4回
2025/03 訪問
「中目黒 炎水」静と動の先にたどり着く味わい、食材への感謝のメッセージを体現したお任せコース
炎水
外観
カウンターセット
一杯目はオリオンビールで爽快な喉越しを楽しむ。
おや?
●吸い物 お出汁と焼いたフキノトウ
本日使う魚介や野菜のエキスを白味噌で整えたお出汁。土感とやわらかな旨みが粘膜へと浸透し、 焼かれたフキノトウのほのかな苦味を添えながら、心地よく流れるようにアイドリングさせる。
◉黒龍 火いら寿 / 黒龍酒造(福井 永平寺町) フルーティー且つ熟した味わいに感じるキレとコク。生ならではのおいしさが込められている。
遅れて届いたラブレター
●先付け 佐島の真蛸、青大豆の絹ごし豆腐、スナップエンドウ、そら豆 青梅にある豆腐品評会で1位を獲った豆腐屋「豆腐工房ゆう」の青大豆の絹ごし豆腐との3種類の豆と真蛸を合わせて。
青大豆らしい旨みと風味にしっかり抱かれるお豆腐を起点に、そら豆とスナップエンドウが青みで繋ぎ、その先に統一感を出す真蛸。そのふくよかな旨味と蒸発するような香りがグッと主張して完成する味の一体感! そのまま使う食材が無い炎水さんが唯一そのまま提供する極上豆腐。
急遽、ホタルイカを食事にまわして黒鮑に変更される臨機応変な展開。しかも薄切りにする意図はこの後、明らかに。
立派なアスパラガス"ビオレッタ"
●前菜 アスパラ(ビオレッタ)と黒鮑(鳥取)のそうめん 仕上げに小豆島のオリーブオイルをかけて。
鮑とアスパラが見事に同化するように餡が繋ぎ、オリーブオイルが味に厚みを添えて完成する旨さ。 想像を超える確度とアプローチに思わず顔を綻ばす。
アワビそうめんの隠し味に使うは小豆島のオリーブオイル。
●アスパラの穂先 炙り 先程と同じアスパラの穂先を炙って、食べ終えた器の上に不意打ちで添えて頂いた。
みずみずしく歯切れするとふわっと引き立つ香ばしさ。溢れるミネラルに煌めく塩気が無性に美味い!
◉黒龍 しずく / 黒龍酒造(福井 永平寺町)
手際よく削られていく本枯本節
削りたては鏡面のような光沢すら感じる鰹節。カンナのキレと良い鰹節が合致することでエアリーな一枚を実現させる。
●削りたての鰹節
舌に着地するとじっとりと旨味を広げていき、香りが溢れ出して生き生きとした豊かなおいしさに!
何と、次のお椀にはこの鄙願を合わせています。
お馴染みとなる一番だし
澄んだ口当たりは優しく粘膜へと浸透し、しっかりと主張する昆布の旨味と素材から抽出された綺麗なえんみが重なり、自然と炎水の真髄へと惹き込まれていく。
素晴らしいお椀は江戸期の桜椀。
●お椀 アイナメ、蔵囲い昆布(奥井海生堂)、本枯本節(坂井商店) アイナメはお昼に活き〆とされた抜群の鮮度。
お出汁に映える弾力のあるアイナメが崩れるほどにその旨みが滲み出し、円やかに纏め上げる昆布の旨味と風味に合致。 木の芽の香りと白髪ねぎをアクセントに、一つのお椀の奥深い味わいを見事に表現する。
◉鄙願 冬春飲み比べ / 大洋酒造(新潟 村上市)
●お造り 真鯛、キタムラサキウニ 〆たての真鯛は右から腹身、背肩、背肩の順に頂きます。
右には塩ポン酢となり、噛むほどにじっとりとした旨味を広げ、塩ポン酢でキュッと引き締めれば必然的に浮かび上がる旨さ! 鯛の骨から取った煎り酒と合わせればお酒を運ばせること必至!!
キタムラサキウニのごくナチュラルな口どけは呼ぶクリアながら深みのある味わい。 海苔を乗せて口に運ぶと、ミネラルを磯感の素晴らしき相乗に。旨い!
●鯛皮ポン酢 弾力とグリップに浮かんでくる旨味をさっぱりと楽しませる。
ワイングラスに注がれる次なるお酒は、
◉黒龍 二左衛門 / 黒龍酒造(福井 永平寺町)
●長万部の北寄貝と菜の花 金目鯛のカマや今日のアラなどで作ったさつま揚げを忍ばせてあります。
北寄貝の歯応えに膨らむ香ばしさ。菜の花の初々しい青みで繋ぐ先にはさつま揚げ。
丁寧にカットされており、断面からも伝わるほどの密度あるフレッシュな旨み。 食材を無駄にしないとうフードロスへの取り組みをメッセージとして込めている。
◉AKABU SAKURA 2025 生酒 / 赤武酒造(岩手 盛岡市)
●焼き物 金目鯛(千葉銚子) 4日寝かせた肉厚な金目鯛。東京青ヶ島のひんぎゃの塩を使った塩胡椒で味を乗せています。 付け合わせは黄韮と豆苗。
皮目の軽やかな食感に相反するホロホロとした身はギリギリの火入れにより、潤沢に保たれた溢れんばかりの旨味あぶら。絶妙な食感のバランス、そして高まる旨みが美味しさをただただ育んでいく至極のヒトサラ。
●ホオズキ お口直しはブランデーで炊いたもの。
●SP 気仙沼のふかひれ唐揚げ、越前蟹餡かけご飯
これぞ炎水さんのスペシャリテに相応しい逸品
フカヒレの繊維に沁みた餡の旨味と衣の味わいが合致し、一口の口福を生む。餡同時に蟹だしもグッと主張し、蟹味噌を隠し味にすると旨さに深みをつくる。 うめぇ!!
◉賀茂金秀 桜吹雪 特別純米 うすにごり生 / 金光酒造(広島 東広島市)
●箸休め 自家製手打ち蕎麦
お好みで辛味大根と合わせて頂きます。
蕎麦つゆの厚みのある旨味、辛味大根のキレによって味わいはより豊かに。
蕎麦湯を注いでくださるサービス。 円やかな口当たりとほのかに抜ける蕎麦の風味が後味を心地よく締める。
◉瀧自慢 辛口一徹 純米 はやせ / 瀧自慢酒造(三重 名張市)
●炊合せ 鹿児島の筍の若竹煮、鳴門のわかめ、能登の原木椎茸
ハッとする歯切れに感じる甘みは春らしく若さに満ちていて、付け合わせのわかめですら、そのおいしさに引き込んでいく。
①越前蟹の炊き込みご飯
香の物
①越前蟹の炊き込みご飯
黄柚子の香りに抱かれてた蟹の繊維から伝わる格別な旨み。
序盤に鮑と変更になった旬のホタルイカが炙りでやってきます。
見惚れてしまうほど素晴らしい表情
②ホタルイカの炊き込みご飯
炙って高まる香ばしさが強く引き立ち、ホタルイカを潰して膨らむ旨さと再び押し寄せる季節ならではの風味が堪らない。 美味しい!
③卵かけご飯、雲丹乗せ UTKG!
京都丹波産の"卵どすえ"をはつしもの銀シャリに混ぜ込んだTKGに同化するような色合いの雲丹を乗せた究極のスタイル。
ドシッとくるお米の旨み、そしてクリアに口どけながらコクを出す雲丹を山葵の辛味で輪郭をつくる。 3杯目なのにさらっと頂けてしまうおいしさに満ちた土鍋ご飯。
お決まりの仕立てで器に綺麗に納まる季節のデザート。
●甘味 古都華(奈良) 薄造り
ココナッツを効かせた牛乳プリンの上に、折り重なり敷き詰めた綺麗な表情のいちご。芸術の域です。
薄造りにすることでピュアな香りを乗せながら酸味と甘みが際立ちながら、プリンの味わいが均衡を図る。 スイートな口どけと余韻で口福が生まれる〆の甘味。
ご馳走さまでした!
素晴らしきラインナップを美味しいお料理と合わせて愉しむことができました。
昔から好きな場所からの眺め。 実は昨年の桜の時期の前に全体的に枝を伐採されてしまった影響で、過去よりも桜のトンネルは控えめとなってしまいました。それでも今も変わらない光景。
2025/05/07 更新
2024/07 訪問
「中目黒 炎水」和良川の鮎、淡路の鱧、浜名湖の鰻、極めつけは鮑を食べ比べさせる至極のSummerコース!
中目黒でも静かなエリアにしっとりと佇む「炎水」さん。
今回もご常連様との貸し切り会にてお伺い。
前回は松葉がにと天然とらふぐを心置きなく楽しんだのがまだ記憶に新しい1月。
春から夏本番を迎えた7月、夜になっても暑さが収まらないなか中目黒駅から目黒川を越えて8分ほどの道のりに少し汗ばむなか、打ち水された入口には立派な木目の扉と表札がぼんやりと浮かび上がる。
少し早めながら、気の利いたお弟子さんによって快く招き入れて頂きました。
心地よく目に飛び込んでくる凛とした和の情景と広がるカウンター。
奥へとフラットに日本料理らしさをしっとりと表現し、手元のお料理が主役のように照らされる設計。
2回転目19:40の定刻通りにグルメなレビュアー様方が揃ったところで一斉スタートとなりました。
お料理はおまかせコースとのみの提供となります。
頂いたものは以下の通り。
「おまかせコース 35,000円」
●先付け
噴火湾の毛蟹とキタムラサキウニ 黒酢のジュレ添え
●前菜
夏野菜の盛り合わせ
●SP
気仙沼 吉切鮫フカヒレの唐揚げ
●お椀
鱧、鱧玉子豆腐、つるむらさき、酢橘
●お造り
真鰈(徳島)、赤雲丹(福井)
山葵肝醤油
●鰹(気仙沼):葱醤油/カラシ醤油
●鮑の食べ比べ
★鮑の薄造り(千葉 大原)
★蒸し鮑(島根)、わかめ(鳴門)、芋茎(千葉)
●炭火焼
岐阜・和良川鮎の炭火焼
●箸休め
手打ち蕎麦、辛み大根
●炊き合わせ
銀の鴨もも肉ワンタン(青森 バルバリー種)、京都賀茂茄子
●肉料理
銀の鴨むね肉の藁・炭火焼(青森 バルバリー種)
●お食事
鰻蒲焼き(愛知 浜名湖産養殖)
木の芽ご飯
鰹節卵かけご飯
●甘味
宮崎県産マンゴーの薄造り 菊花仕立て
◉オリオンビール:瓶
◉天蛙 低酒精発泡 純米酒 / 新政酒造(秋田 秋田市)
◉夢花火 恋花火 純米吟醸 / 久須美酒造(新潟 長岡市)
◉冩樂 純米酒 火入 / 宮泉銘醸(福島 会津若松市)
◉鄙願 大吟醸 / 大洋酒造(新潟 村上市)
◉疾風怒濤 國権 俺の出番 辛口純米 / 国権酒造(福島 南会津町)
◉仙禽一聲 / せんきん(栃木 さくら市)
◉磯自慢 純米大吟醸40 古家 / 磯自慢酒造(静岡 焼津)
◉高龍 朱判 火入 / 高千代酒造(新潟 南魚沼市)
◉黒ビール
◉大嶺 3粒 火入れ 山田錦 / 大嶺酒造(山口 美祢市)
◉一白水成 純米吟醸 愛山 / 福禄寿酒造(秋田 五城目町)
◉而今 純米大吟醸 名張産山田錦 / 木屋正酒造(三重 名張市)
鱧、鮎、鰻と夏らしい食材に加えて、この日は鮑の食べ比べを特別に用意する粋な計らい。
そこに炎水らしさを与える昆布と削りたての鰹節で取った出汁の円やかで甘みと香りを一つに。
夏らしい風物詩の鮎、日本一おいしい鮎が住むと言われる岐阜県和良川のもの。
炭火で仕立てた身は皮目の極薄くパリッと、中はふんわりしっとりと見事な緩急。鼻から抜ける香りと優しく降りてくるえんみの煌めきの虜に。
思わず黒ビールを合わせれば、香りとエグ味の相乗は増すばかり。美味い!
鱧を主役としたお椀。自慢の鰹節と昆布に鱧の骨から取ったお出汁を合わせ、鱧の味わいに共鳴させるかのように躍動的な一体感を形成し、食べ進めるほどに旨みが満ちるように移ろう。
炎水さんの新たなスペシャリテの座を狙いつつあるのがフカヒレの唐揚げ。
熱々のリゾットに差し込まれるように置かれた唐揚げを一口頬張ると、香ばしくしっかりとした繊維にリゾットの味を纏わせれば旨味を爆発させる!
ご飯ものとして大好きな晩成米"はつしも"の上に大胆に覆い被す浜名湖産の鰻の蒲焼き。関東風にふわっとさせながらもタレを纏わせしっかり伝わる味わいに。さらに素晴らしい香りと後から立ち上がる軽やかな痺れの山椒が旨さを煽る。
他にも極上の薫香を魅せつける気仙沼の鰹や、徳島の真鰈のお造りに福井の赤雲丹をマッチさせる離れ業など、夏しか味わえない構成を存分に楽しませて頂きました。
写真に簡単なコメントを添えておりますので、ご参考頂けましたら幸いです。
今回、特に日本酒を多彩な種類で楽しむことができたのも知識豊富なスタッフにより組み立て、序盤の味わいを忘れてさせないよう味の移ろいにまで配慮された丁寧な仕事。
まるで一緒に頂いているかのような味わいの表現やストーリーまでも楽しませてくれる以上に、これほど頂いたのに翌日は何故かスッキリ!
江戸切子の繊細な酒器も華やかな呑み口へと誘ってくれる素晴らしきキーアイテム。
大将がやりたいことを存分に魅せつける炎水さんの貸し切り会だから可能とさせる特別すぎるお任せコース。
旬を余すことなく堪能させてくれる、中目黒が誇る日本料理店です。
□炎水
所在地:東京都目黒区中目黒1-5-12 ATRIO1F
電話番号:03-5860-7530
営業時間:17:00、19:40の二回転
定休日:日曜日、不定休
滞在時間:約3時間半
お会計:55,440円税込/人
予約:前回訪問時、次回来年1月
炎水
外観
カウンター
カウンターセット
火照った身体に涼を伝えるおもてなし
◉オリオンビール:瓶 夏限定
本日の主役は鮑! しかも千葉大原の活き鮑は薄造り、そして左は島根の蒸し鮑。
北海道をイメージさせた毛がない毛蟹の甲羅
●先付け 噴火湾の毛蟹とキタムラサキウニ 花穂と黒酢のジュレ添え
肉厚な毛蟹の甘みを爽やかに引き締めるジュレの酸味。紫蘇の花穂が香りを添え、小葱の小気味よい清涼感と共にコースを迎え入れるために静かにアイドリングさせる一品。
◉天蛙 低酒精発泡 純米酒
この光景が次のヒトサラへの期待を高める瞬間
遅れて手渡された本日の献立
●前菜 夏野菜の盛り合わせ
石川の近江市場から買えるだけ野菜を買って合わせた八寸のようなヒトサラ。 野菜の一つひとつに味わいを芽生えさせるように、それぞれの素材が旨さを主張しながら全体のバランスに富み、手間ひまかけた夏らしいおいしさに満ちる。
ずんだ、冷奴、うずらの卵以外はこの鰹節パウダーで染めることで、鰹の風味と旨味がしっかり素材を生かしてくれる。
◉夢花火 恋花火 純米吟醸
◆岐阜県和良川産の鮎 伯雲に通われる常連様を気遣って、泳がせではなくワンサイズ大きなものを炭火焼に。
◉冩樂 純米酒 火入
セットされたのはアツアツに煮えたぎる雑炊。
さらに唐揚げをセットすれば完成
●SP 気仙沼 吉切鮫フカヒレの唐揚げ
カリッとした衣に包まれたしっとり厚みのあるフカヒレ。衣の香ばしさに繊維のしっかりしたフカヒレがしっかり主張し、リゾットのコクと旨味がグッと深まる。 これからスペシャリテになっていくであろう逸品。
奥井海生堂:蔵囲昆布、坂井商店:本枯本節
●削りたて鰹節 エアリーな舌触りは口にしっとり着地すると雑味のない綺麗な甘みが降りて、圧をかければ旨みに風味を滲ませる。
◉鄙願 大吟醸
●一番出汁 円やかに口内に着地すると粘膜に優しく伝わる甘み。香りと合致すれば極上なコントラストで一口を魅了させる。
●お椀 鱧、鱧玉子豆腐、つるむらさき、酢橘 先ほどのお出汁と鱧の骨から取ったお出汁で合わせている。
お出汁の艶やかな香りと甘みに旨味の統一感を出す鱧出汁。舌で転がすほどに味わいが引き立ち、それぞれの素材をグッと引き立てる。 炎水さんならではのお椀に広げる味の躍動感!
●お造り 真鰈(徳島)、赤雲丹(福井) 3枚をそれぞれの薬味で楽しめる粋な計らい。
ミシミシと踏み込む身は淡白ながら抜群の甘みを漲らせ、酢橘で透明感のある綺麗な味わい。雲丹のクリアな甘さとミネラルに合致させる甘みの一体感は格別! 肝醤油に付ければ、必然的に意図した旨さを爆発させる!
●山葵肝醤油 えんがわも忍ばせることで生まれる食感に抜群のコクと旨味、そして小葱を主体とした風味で攻め立てる酒の肴。
◉疾風怒濤 國権 俺の出番 辛口純米
●鰹(気仙沼):葱醤油/カラシ醤油
葱醤油乗せ 葱の青みが全体を染めると同時に咀嚼で立ち上がる驚くほどの薫香! 噛み締めるほどに旨味が強く深まり、鰹の持ち味を綺麗に発揮させる。
藁で燻した薫香感に輪郭を与えるカラシ。一度着火したスモーキーさは余韻にまでも止まらない!
こちらも止まらない酒のアテ。。
この日は終始お酒をセレクトして頂けた彼に注目が集まりました。素晴らしいセレクト揃いに皆様唸るばかり!
◉仙禽一聲
★鮑の薄造り(千葉 大原) 初めて頂く鮑の薄造り。敢えてこの薄さでお造りにすることで素材本来の甘みを引き出す技。
●肝ソース
肝のコクと青みが一枚の甘みを旨味へと導き、咀嚼が進むほどに口を染める味は余韻へと繋げる。
◉磯自慢 純米大吟醸40 古家
★蒸し鮑(島根)、わかめ(鳴門)、芋茎(千葉)
お出汁はワカメ出汁と貝出汁をブレンドした円やかで優しい口当たりで浸透。 蒸し鮑の弾む食感はそのバウンドの度に引き出される抜群の旨味!自然な味わいの融合が綺麗な統一感を出してくれるヒトサラ。
先ほどの肝ソースに浸せば、鉄板すぎる悶絶の旨さへ、、
◉高龍 朱判 火入
●炭火焼 岐阜・和良川鮎の炭火焼
炭火でしっかり焼き上げることで皮目は極薄うパリッと、中はしっとりと甘みに満ちて、ほろ苦い肝の風味。骨せんべいや頭含めて全てにあふれる香りは季語を感じさせる味わい。
◉黒ビール 恐らくダッシュで買ってきて頂きました、、
◉大嶺 3粒 火入れ 山田錦
●箸休め 手打ち蕎麦、辛み大根
和ませる笑顔
コシのある食感にツルッとした喉越し。辛みのある大根が清涼感を添え、後味に残るさっぱりとした旨味で心地よくリセットさせる。
●炊き合わせ 銀の鴨もも肉ワンタン(青森 バルバリー種)、京都賀茂茄子
ここで中華料理! 鴨のお出汁と鴨もも肉をミンチしたワンタンで驚くほどの味の統一感が生まれ、スープに滲む旨さは絶品級! そして賀茂茄子に含んだ旨味を香ばしくジュンワリと響かせる。おいしい!
◉一白水成 純米吟醸 愛山
●肉料理 銀の鴨むね肉の藁・炭火焼(青森 バルバリー種)、葱のお浸し 手前から火山の地熱蒸気で温めて作るひんぎゃの塩、カラシ醤油乗せ。
薄い身を折りたたむように咀嚼すればギュッと滲む力強い旨味。 炭火の香ばしさを合わせるように鴨肉の魅力を引き出し、薬味で作用させるシンプルながら絶妙な仕立て。
◉而今 純米大吟醸 名張産山田錦
●お食事 鰻蒲焼き(愛知 浜名湖産養殖)、木の芽ご飯 お漬物、お味噌汁
関東風の蒸し焼きながら、見た目で圧倒させる焦がしのグラデーション!この山椒がまた素晴らしい味を生むことに!
厚みがりふわふわとした口当たりと関西風に似たタレの重ね方で、身の味も感じられつつタレの少し甘みを持たせたタレをはつしもに染めて着地する美味しさはもう格別!
この山椒が素晴らしい味を生むことに!
山椒の鮮やかな色。しっかりとした香りがありながら軽やかな痺れが後から立ち上がり、鰻らしさをグッと高めてくれる! めちゃくちゃ美味い!!
●鰹節卵かけご飯 福知山の卵を忍ばせて、静岡の有東木山葵農園の食べ方なんだそう。
鰹節の旨味と醤油が融合し、卵のコクが見事に合致する! 流行りの鰹節ご飯専門店を容易く凌駕する一杯が今ここに。
●甘味 宮崎県産マンゴーの薄造り 菊花仕立て
蓋を開けた瞬間に香りが良く立ち上がり、口に含めばさらに高める甘み!マンゴープリンのコクと甘みは噛み締めて膨らむ瑞々しい一体感。 ほんのり甘くて見た目も美しい素晴らしき作品。
ご馳走さまでした!
2024/08/25 更新
2024/01 訪問
「中目黒 炎水」松葉がにと天然とらふぐで攻め、出汁の香り高き冬の重奏
中目黒の落ち着いたエリアにしっとり佇む「炎水(えんすい)」さん。
昨年5月に次いで2回目となる、フォロワー様方との貸し切り会。
凍てつく北風が吹き付ける1月中旬、1回転目の終わりが少し遅れているようで立派な表札を眺めながら待ち焦がれるように膨らむ期待。
お声がかかると、コートを預かってもらいネクタイをキュッと正したら、いざ中へ。
選ばれし6名のゲストのために贅沢なスペースを取ったカウンター。
手元を境にして世界を変えるようにダウンライトで照らされ、その奥は控えめな間接照明とすることで視覚的にストレスなく手元にスッと惹き込まれていく。そして水の音が呼吸を整えるように馳せる心に響かせる。
お料理はおまかせコースのみの提供となります。
頂いたものは以下の通り。
「おまかせコース 32,100円」
●先付け
焼き白子の白味噌汁
●前菜
富田林の海老芋、芹の炒り胡麻和え
自家製からすみ飯蒸し
●お椀
蛤、若筍(鹿児島)、わかめ(鳴門)
●お造り:天然とらふぐ(大洗)
てっさ、あん肝、ふぐ皮ポン酢
焼きふぐ、とうとうみ
●揚物
ふぐの唐揚げ
●箸休
からすみ大根蕎麦
●炊合替
松葉がにしゃぶ(島根 隠岐)
鍋野菜、湯豆腐
●お食事
蟹飯
卵綴じふぐ雑炊
●甘味
いちご「あまりん(埼玉)」薄造り 牛乳プリン
◉瓶ビール:エビス 小瓶
◉ぬる燗:
賀茂金秀 純米 するする優しいお燗酒 / 金光酒造(広島)
◉ひれ酒:楽器正宗 / 大木代吉本店(福島)
◉narai sankei / 杉之森酒造(長野 塩尻)
◉黒龍 干支ボトル 辰年 2024 / 黒龍酒造(福井)
◉迎春祝酒 竹之園 縁起開運 金箔純米 Obrigado / 矢野酒造(佐賀)
まず手渡される本日の献立に心踊るワードが散りばめられ、ついさっきまでの寒さは高揚感で吹き飛ばしてくれる。
お雑煮に見立てて白味噌に浮かぶ焼き白子。
ふぐ出汁をプラスすれば、いきなり心を掴んでいくと共にぬる燗を運ばせる。
この日の主役は5キロ超えの天然とらふぐと隠岐の松葉がにの2大巨塔。
とらふぐはお店で捌いているからこそ提供できる部位の多さと、その出汁の合わせ方。
てっさにあん肝、ふぐ皮ポン酢と安定した味わいを届ける一方、衣の細部にまでこだわったスパイスを効かせた唐揚げの虜に。
ふぐ専門店でしか味わったことのない焼きふぐのぷりっとした身の弾力とクリアながら纏わりつく旨味汁、さらには"とうとうみ"までもが季節を彩ってくれるアイテムに。
ふぐを堪能すると待っていたのが立派な隠岐のタグ付き松葉がに。
蟹しゃぶ鍋とし、身の繊維からはハッキリ伝わる甘み、そして香り高く、爪肉にミソを絡ませれば至極の旨味を炸裂!
食事には蟹飯&ふぐ雑炊と至れり尽くせり。
蟹の胴体の身を炙って香りを付けたものを昆布出汁の炊き込みご飯とあわせれば、香りと身からも繊細に引き立つおいしさに思わずうっとり!
ふぐ出汁のお米とふぐ出汁で溶いた卵が綺麗な一体感で、ポン酢の味変でライトに締まった食べ心地も◎。
誰一人も残さず旬の食材を最後まで綺麗に食べ尽くしました。
貸し切り会という舞台が伊藤氏のやりたい事を上手く引き出し、食べ手を喜ばせるサービス精神も素敵な隠しメニューに。
また出汁の香りや炒り胡麻の風味が五感を刺激し、上質な空間とともにスタッフによる潤沢で細やかなサービスが抜群の居心地を添えてくれる。
よって、お値段を遥かに上回るコストパフォーマンスを高く感じさせてくれる圧巻の内容となりました!
「龍吟」で育まれた慣性と、「炎水」で研ぎ澄まされた個性が合致する、素晴らしいき風情あふれる日本料理です。
□炎水
所在地:東京都目黒区中目黒1-5-12 ATRIO1F
電話番号:03-5860-7530
営業時間:17:00~、19:40~の二回転
定休日:日曜日、不定休
滞在時間:約3時間半
お会計:約45,100円税込/人
予約:前回訪問時、次回7月
炎水
外観
蟹の箸置きの意味がわかるコースが繰り広げられます。
◉瓶ビール:エビス 小瓶
◉ぬる燗 賀茂金秀 純米 するする優しいお燗酒。
●先付け 焼き白子の白味噌汁 ふぐ出汁をベースとして、さらにふぐヒレの香ばしさを乗せた白味噌。
トロみのあるコクとグッと立ち上がるふぐヒレの香ばしさ! 焼き白子をパツんとほどけばミルキーな味わいとふぐ出汁の旨味が香りと一体になり、綺麗な重奏をつくる。 お雑煮に見立てた綺麗な先付けです。
目を見張るサイズの富田林の海老芋。
◉narai sankei
●前菜 富田林の海老芋、秋田の芹の炒り胡麻和え 直前に目の前で炒った胡麻の香りがふんだんに溢れます。
一口で感じる海老芋の甘みと豊かな風味。 合わせる芹のシャッキリ感は青みと胡麻の香りが抜群に乗って、素材の味それぞれがシンプルに引き立つ美味しさに!
◉ひれ酒:楽器正宗
大きなヒレを何重にも重ねるように出汁を取る贅沢感。 口当たりに鼻からも抜けていく香りをプラスさせるように分厚い旨味とともに飲んでいる!そんな一体感が無性に美味い!
●自家製からすみ飯蒸し お米は新潟のこがねもち。
からすみはしっとり柔らかく、えんみを抑えた優しい旨味を広げていく。 その僅かな塩気をお米に染める、この感覚が実に心地よく、小角大根と三福海苔もあわせて。
この会に使用するたった今しがた削りたての鰹節。 鹿児島の指宿産。
毎回恒例のテイスティング。 エアリーながらもしっとりとした手触り。 噛みしめる挙動で香りが逃げるように立ち上がり、口で圧をかけると濃縮した旨味が絞りだされる。 この上質な味わいを楽しめるのは炎水さんならではの見せ場。
からすみ避難所。笑
●引き立ての一番出汁 5年熟成昆布、鰹、お水と素材の旨味のみ。
クリアな口当たりながらすぐにグッと伝わる厚みのある旨味。 小さな器の量でも圧倒的に押し寄せる深い味わいと抜けていく風味にうっとり!
先ほどのお出汁を用いたお椀です。
●お椀 蛤、若筍(鹿児島)、わかめ(鳴門)
澄んだお出汁にそれぞれの食材が表情ひとつ変えずに佇み、お出汁を中心とするように個々をつなぎ留め、時間の経過とともに染み出す旨味が極上の味へと導く。 素材の一つひとつを頂く上での楽しみが生まれ、綺麗な纏まりまで魅せつけるお椀。
●お造り:天然とらふぐ(大洗) てっさ、あん肝、ふぐ皮ポン酢
●てっさ 塩と酢橘の味付けで、そのままでも抜群に美味い!
こちらはあん肝。よく混ぜて乳化させると、、、
●ふぐ皮ポン酢 皮の弾力を噛みしめることで、葱の清涼感と鶏卵のコクが締まった酸味に旨さを与えていく。
てっさをあん肝に潜らせるという秘技。。 乳化させたあん肝を絡ませれば、実直すぎるほどの甘旨味をガッツリ炸裂!
◎本日の松葉がには島根の隠岐漁港より
大洗産の天然とらふぐの図。 右が上顎と下顎という5キロアップの巨大サイズです。早速焼き上げるのは横隔膜
◉黒龍 干支ボトル 辰年 2024
早速焼き上げるのは横隔膜
●焼きふぐ:横隔膜 酢橘醤油。 プリプリとし弾力からスッキリとした旨味を弾ませ、ザクザクと噛みしめるほどにふぐの楽しみ方に浸れる多幸感。 めちゃくちゃ美味しい横隔膜!
●焼きふぐ 胡麻ダレ。
弾むような旨味が口中を埋め尽くすと共に、胡麻ダレが肉汁にコクを与えて、これもまた美味い! メニューにはない味つけ。
●とうとうみ ちり酢おろしはレモン汁やポン酢のような味付け。
身の強い食感を噛みしめるほどに甘みが引き出され、さっぱりとした味付けとともに旨さを彩ってくれる。
鮮度や香りが逃げないうちに手際よく捌かれる松葉がに。
まだ動いている心臓
●揚物 ふぐの唐揚げ
南蛮七味と柚子胡椒の和のスパイスをまとわせた衣はカリッとした表情。
豪快な食感と共に膨らむ衣もスパイシーな旨さ! 身はしっとりとゼラチン質に纏わりつく旨味とが一体になり、その味の相乗が堪らない。。 衣をしっかり完成させているからこその油の軽さが美味しさの最大の秘訣に! ケンタッキー好きには堪らない美味さ!!
◉迎春祝酒 竹之園 縁起開運 金箔純米 Obrigado
●箸休 からすみ大根蕎麦 宗田節と鯖節をあわせて。
そばつゆのキリッとした旨味と抜けていく香りも高く、蕎麦の香りが綺麗に重なって奥ゆかしい風情を彩る。 可愛い海苔を添えて。
蕎麦湯を注いで。 トロみが加わりギュッと凝縮したかのような旨さが生まれ、花穂紫蘇が心地よい香りをプラスさせる。
●松葉がにしゃぶ鍋(島根 隠岐)
クリアすぎる出汁を纏わせ、身の一房からしっかりと膨らむ甘み。 器に残るお出汁はもはや極上!
●蟹の爪肉 見た目の通り、カニ味噌に浸かってます。。
一口であふれる甘みと旨味と風味の極上の攻めぎ合い!
松葉がにの炊き込みご飯!
旨さあふれる圧巻のビジュアル! 胴体の身の部分を炙って香りを付けたものをご飯に合わせています。
●松葉がにご飯
炊き込みご飯は昆布出汁を使い、カニの風味が良く立ち、さあに身からも際立つほどの美味しさであふれる贅沢さ。
●原木しいたけ かに出汁を含ませた原木しいたけ。
椎茸のふくよかな香りとステーキのような肉厚食感でジューシーに出汁を炸裂させる!
なんとここまでキープしたあん肝に追いシャリして染めました、、
●湯豆腐 長崎県産の本絹豆腐に小豆島のオリーブオイルをあわせる。 豆腐の強い食感にオリーブオイルが輪郭を与えるように見事にマッチ。 熱々だからこその美味さがここに形成される!
●卵綴じふぐ雑炊 ふぐ出汁で炊いたお米と、ふぐ出汁と溶いた卵の極上の組み合わせ。 卵は京都の"卵どすえ"を使用。
味変アイテムのポン酢は途中から投入します。
箸休めのすぐきを添えて。
卵の透明な甘みと香り、酢橘の柑橘感が絶妙に響かせ、素材の持ち味を活かしたおいしさが確立される。
後半はポン酢を投入することで味に締まりを与えれば尚おいしい!
最後は定番の季節のフルーツ薄造り。
●甘味 いちご「あまりん(埼玉)」薄造り、牛乳プリン 牡丹の花に見立てた綺麗な仕上がり。
苺の甘酸っぱさが断面からあふれ、敷かれている牛乳プリンに染めて和らげるように清涼感で満たしていく〆の甘味。
ご馳走さまでした!
2024/02/23 更新
2023/05 訪問
「中目黒 炎水」2018ビンテージ昆布が生み出す出汁で育む唯一無二の日本料理
中目黒でも落ち着いたエリアにしっとり佇む「炎水」さん。
常連様の貸し切り会にお招き頂きましたのでご紹介。
☆食べログ 百名店 日本料理TOKYO 2023 選出店
炎=炭火、水=出汁を表し、日本料理としての原点ともいえるもの。生産者と料理人が繋いで、継承してきた素晴らしい形をより探究されたいとして屋号に込め、温故創新をコンセプトに掲げます。
場所は中目黒駅より徒歩8分ほど。
目黒川を越えて、駒沢通りのトンネルを抜けた先にある静かなエリア。目の前にある目黒学院はタクシーの際は目印に。
ぼんやりと闇に浮かび上がる立派な木の扉と表札が期待をグッと高め、思わずネクタイをキツくと整えて足を踏み入れます。
この日の貸し切りは6名のみと極めて贅沢なスペースが取られるカウンター。関節照明に凛とした情景をつくりだすように引き締まった印象を与える和空間。
手元がしっかりと明るく映えて、白木の一枚板のさらっとした質感に思わず胸が踊る。
この凛とした素晴らしい舞台で腕を振るうのはオーナーシェフの伊藤 龍亮氏。
ミシュラン三つ星に輝く日本料理の名店「龍吟」で腕を磨き、2020年に中目黒にこの「炎水」を構えられました。
日本の自然の豊かさを五感に響かせるように、巧みな技術でヒトサラに和の精神やイズムを表現されます。
6名のゲストが揃ったところで一斉スタートとなりました。
頂いたものは以下の通り。
「おまかせコース 27,500円」
●前菜
帆立香煎揚げ アスパラ炭火焼 ずんだ
雲丹飯(浜中根室)、海苔(有明)、ヤングコーン
●お椀
ぐじ(徳島)、丸茄子のお浸し
●お造り
おこぜとおこぜの肝と胃袋(明石)、スミイカ、海苔三つ葉添え
天然車海老(愛知)
●炭焼き
すっぽん炭火焼(長崎)、酢橘大根おろし
●箸休
ひたち蕎麦(茨城)、じゅんさい、山葵
●炊合
鮑(徳島)、若芽、青ゆず
●お食事
はつしも(岐阜)
伊吹島いりこ出汁の赤出汁
蕪、もりきゅう辛子漬け、山椒昆布
のざき牛フィレ肉
●甘味
完熟いちご「あまりん(埼玉)」薄造り
・瓶ビール エビス
・黒龍 純米大吟醸 / 黒龍酒造
・黒龍 大吟醸 龍 / 黒龍酒造
・飛露喜 純米大吟醸 / 廣木酒造本店
・黒龍 石田屋 / 黒龍酒造
・日高見 中取り 大吟醸 勝色 / 平孝酒造
奥深い出汁の旨味が創り上げる日本料理の真髄に触れられたかのような心地よさへ酔いしれるひととき。
コースの始まりを告げるように削られる一本の本枯本節。
その直線的な断面は今まで目にすることのない綺麗な一枚となり、エアリー且つ放たれる香りの力強さ。
削りたてをテイスティングさせて頂きましたが、抵抗なく舌に馴染んでいき、そして優しく味を広げ、旨味がグッと顔を出す。衝撃のおいしさは2018ビンテージ昆布。
お次はお出汁のみをテイスティング。
口に含んで感じるクリアでコク深い旨味、込み上げる風味との均衡が保たれて厚みをも感じさせる特別な旨さに!
このお出汁を随所に用いることで、見事なまでに一品の完成度を上げていく。
ぐじの存在感をグッと高めるお椀、鮑の香りに満ちた炊合せも素晴らしい味へと導く。
炭火で焼かれたすっぽん、山椒の香りを纏わせ鰻風味に焼かれると、見事なまでに旨さを爆発させる。
お食事としてメニューに記載のなかったのが"のざき牛のフィレ肉"、レアな火入れに炭火の香りを綺麗に乗せた極上の一口。
一つ、車海老の透明感に素晴らしい食感、名古屋で頂いたレアな車海老の握りを思い出させる極上のおいしさ。
自宅でも使っている岐阜のお米の品種"はつしも"は、大きな粒を活かすようにふっくらとエアリーに南部鉄器で炊かれると、自然の恵みに溢れる一膳目。
二膳目は先ほどの削りたて本枯本節に卵黄を乗せて贅沢すぎるTKGに。
最後は薄造りの完熟いちごの甘酸っぱさを牛乳プリンの甘みに響かせる最高の口直し。
他、写真に簡単なコメントを添えておりますので、ご参考頂けましたら幸いです。
お出汁の心地よい味はゆりかごに包まれたかのような素敵な時間を演出し、余すことなく堪能させて頂きました!
お料理お酒共に提供のタイミングはジャストで、しっかり味を楽しみながら進行する印象です。
オペレーションもご主人含めて4名と手厚くもてなされ、お店の雰囲気にふさわしいサービスによって大変心地よく過ごすことができました。
炭火とお出汁を巧みな技術で圧倒的な旨さの一皿に表現し、気が付けば思わず魅了されている。
中目黒が誇る日本料理店「炎水」さんです。
□炎水
所在地:東京都目黒区中目黒1-5-12 ATRIO1F
電話番号:03-5860-7530
営業時間:17:00~、19:40~の二回転
定休日:日曜日、不定休
滞在時間:約3時間
お会計:約42,000円税込/人
予約:常連様の貸し切り会にお誘い
この場を借りて御礼申し上げます。
立派な表札
外観
カウンター
お品書きに目を通しながら、待ち侘びる開始の時刻
エビス 小瓶
まずはビールで乾杯!
木製のクーラーがとても粋です
黒龍 純米大吟醸
●前菜 帆立香煎揚げ アスパラ炭火焼 ずんだ
アスパラのあぶらに乗せて綺麗に響いていくえんみ。そして炭火の香ばしさが堪らない。
キメ細かな衣を破ると、むっちりとふくよかな食感の帆立。米粉の風味が揚げ物としての完成度の高さを引き立てるように底上げ。温かさから風味がよく立つずんだも一皿をしっかり彩る。
●雲丹飯(浜中根室)、海苔(有明)、ヤングコーン
雲丹のミルキーな味を上書きするように海苔が香りを与え、ヤングコーンがザクザクと瑞々しく優しい甘みで満ちる!
口に入れるだけで温かなシャリと共に溶ける雲丹の口当たりをシャリが上手くアシスト!
削りたての本枯本節 2018年もののビンテージ昆布
◎削りたての昆布をテイスティング 抵抗なく舌に馴染んでいき、優しい旨味が引き出されるように伝わる。 一枚がこれほどまでに直線的でムラの無い削り節に高まる期待。
この小さな器は?
●お出汁 口に含んだ瞬間に口中に広がる昆布の旨味。クリアながらも奥行きのある旨味が、込み上げてくる空気感との均衡を保ち、めちゃくちゃ美味い一体感を生む!
お弟子さん、イケメンです。
●お椀 ぐじ(徳島)、丸茄子のお浸し
クリアなお出汁に浸るぐじ。その身のえんみをお出汁に響かせて中和させるようにおいしさが彩られ、茗荷がほのかな香りで味を引き締めます。 鰹だしの旨味がお椀にしっかり生きている様を終始感じられる逸品。
またもや注がれる見覚えのあるラベル
黒龍 大吟醸 龍
●お造り
おこぜ(明石)、スミイカ、海苔三つ葉添え プリプリむっちりとした寝かせかかのような抜群の食感のおこぜ。ふくよかな舌触りに漲る甘み、そこに響かせる醤油のコクで着地する格別の美味さ! スミイカはコリコリとねっとりを兼ね備え、酢橘と塩、そして土佐醤油が身のおいしさを焙り出す!
おこぜの肝と胃袋のポン酢和え 胃袋は食感が素晴らしく、肝はフレッシュでクリアな旨味を伝えてポン酢で締まった味を表現。
オーナーシェフの伊藤 龍亮氏。お料理に取り組む姿勢がヒトサラ溢れる味わいを生む。
◎天然車海老(愛知) 軽く湯切りした程度のレアさはムチムチ感からサクサクと食感を変える。香りと甘みが一気に引き出され、車海老としての美味さに満ちる。
名古屋の「鮨旬美 西川」さんで頂いたレアな車海老の握りを彷彿とさせる、抜群且つ驚きのおいしさ!
飛露喜 純米大吟醸
裏で炭焼きされ、カウンターでもタレを潜らせて炭火で仕上げます。
黒龍 石田屋
●炭焼き すっぽん炭火焼(長崎)、酢橘大根おろし
鰻風のタレには山椒の香りを乗せて、強い食感から膨らむタレの奥深い甘旨味! 山椒がやわらかな香りであふれる脂を引き締めて炭焼きの香ばしさと交わる旨さ! 酢橘おろしがタレの味を整える箸休め。
チェイサーグラスの底には富士山!
●箸休 ひたち蕎麦(茨城)、じゅんさい、山葵
鮮度抜群のじゅんさい、お蕎麦のコシから膨らむ香りと旨味がお出汁の旨味と綺麗に相乗させるようにおいしさを確実に引き出す。
特別に割る前のかえしを頂きました。 強い甘みにギュッと詰まった芯のある旨味。 これだけで皆さんお酒が進んでました笑
そしてさらに蕎麦湯のサービス!
蕎麦湯でトロっとした旨味へと変貌し、かえしがこれほどまで変化すると驚かせるほどにめちゃくちゃ美味い!
●炊合 鮑(徳島)、若芽、青ゆず
6時間蒸した鮑は軟らかながらも弾むような極上の食感。コシアブラの風味が綺麗に立ち、クリアなお出汁の旨味が奥深く舌に心地よく沁み入る味は唸るほどの旨さ!
日高見 中取り 大吟醸 勝色
蕪、もりきゅう辛子漬け、山椒昆布
南部鉄器で炊かれたお米は「はつしも」です。
●お食事セット
◎のざき牛フィレ肉 繊維が解けるようにやわらかな食感で、噛み締めて甘みがじゅわーっと溢れる!
後味に残る余韻の甘さも綺麗に響き渡ります。
お米の炊きあがり方がお見事! お米は解けるようにさらっとバラけ、甘みを伝えながら口どける絶妙な美味しさ!
◎伊吹島いりこ出汁の赤出汁
二膳目はスペシャルなTKG。
一枚一枚が極めてエアリーで、綺麗な香りを放ちます
最高級の鰹節を使った贅沢すぎる〆
とんでもなく贅沢な瞬間
濃厚な卵黄に染まるエアリーな鰹節の香り。山葵醤油が旨味を呼ぶようにしっかり引き立てる!
想像してください。
●甘味 完熟いちご「あまりん(埼玉)」薄造り
薄造りシリーズのいちごです。
牛乳プリンの甘みに響く薄さがポイントのいちごの酸味。 口に一緒に入れると甘みの後から立ち上がるギュッと締まった酸味が最高の口直しに!土台に綺麗な甘みと香りを膨らませて甘酸っぱく締まりました。
ご馳走さまでした!
個室
美味しい黒竜を皆さんで楽しめました。
2023/06/24 更新
桜が咲き始め、ぼんぼりがライトアップされた目黒川。
風物詩となる光景を横目にしながら、静かな路地にそっと表札が灯る「炎水」さん
馳せる想いをそっと胸に、この日も集まったグルメな方々との楽しみな貸し切り会。
カウンターの準備が整い、快く招き入れて頂きました。
いつになく凛とした面持ちの和空間のちょうど中央に陣取り、皆さんで「炎水」を迎え討つかのようなこの上ないフォーメーション。
和やかな笑顔とともに姿をみせるオーナーシェフの伊藤 龍亮氏。きっとこの日も何かやってくるはず、そんな期待と共にコースが始まっていく。
お料理はお任せコースのみの提供となります。
頂いたものは以下の通り。
「おまかせコース 35,000円」
●吸い物
お出汁と焼いたフキノトウ
●先付け
佐島の真蛸、青大豆の絹ごし豆腐、スナップエンドウ、そら豆
●前菜
アスパラ(ビオレッタ)と鮑(鳥取)のそうめん
アスパラの穂先 炙り
●お椀
アイナメ、蔵囲い昆布(奥井海生堂)、本枯本節(坂井商店)
●お造り
真鯛、キタムラサキウニ
鯛皮ポン酢
●長万部の北寄貝と菜の花
●焼き物
金目鯛(千葉銚子)
●ホオズキ
●SP
気仙沼のふかひれ唐揚げ、越前蟹餡かけ
●箸休め
自家製手打ち蕎麦、辛味大根
●炊合せ
鹿児島の筍の若竹煮、鳴門のわかめ、原木椎茸
●お食事
①越前蟹の炊き込みご飯
②ホタルイカの炊き込みご飯
③卵かけご飯、雲丹乗せ
●甘味
古都華(奈良) 薄造り
◉瓶ビール:オリオン
◉黒龍 火いら寿 / 黒龍酒造(福井 永平寺町)
◉黒龍 しずく / 黒龍酒造(福井 永平寺町)
◉鄙願 冬 / 大洋酒造(新潟 村上市)
◉鄙願 時分の花 / 大洋酒造(新潟 村上市)
◉黒龍 二左衛門 / 黒龍酒造(福井 永平寺町)
◉AKABU SAKURA 2025 生酒 / 赤武酒造(岩手 盛岡市)
◉賀茂金秀 桜吹雪 特別純米 うすにごり生 / 金光酒造(広島 東広島市)
◉瀧自慢 辛口一徹 純米 はやせ / 瀧自慢酒造(三重 名張市)
炎と水が織り成す、静と動を体現する日本料理。
厳選された素材を用いて、手元に置かれた瞬間の"静"の裏には、炎水さんが誇る出汁や火入れを始めとする"動"の仕上げによって完成する素晴らしきヒトサラ。
予め準備されていたコースの中から旬のホタルイカを前菜からお食事へと変更し、代わりに黒鮑のそうめんとして愉しませる伊藤氏の臨機応変な発想と手腕。
特に印象付けたのが、フードロスや食材への感謝を込めた取り組み。
始めの吸い物には、この日に使用する魚介や野菜のエキスを白味噌で整え、澄んだ中にも様々な視点から感じさせる素材の旨みでアイドリングさせた。
そして北寄貝に添えられたさつま揚げ。金目鯛のカマや本日の魚のアラからつくり、フードロスへの取り組みとしたメッセージを込める。
炎水さんは素材をそのままを提供することが殆どないが、唯一そのままにこだわっていたのが青大豆の絹ごし豆腐。
豆腐品評会で1位を獲った豆腐屋さんのもので、豊かな風味と旨みは実に堂々たるおいしさ。
お食事に合わせるように串焼きとされたホタルイカ。ご飯の上に並べられた光景が忘れられない瞬間を生む。
芸術のように美しく仕立てたイチゴ"古都華"の薄造りのスイートな口どけで締め括ってくれる。
ほか、写真に簡単なコメントを添えておりますので、ご参考頂けましたら幸いです。
春の息吹を感じながら、食材の恵みを堪能させて頂きました。
お酒は黒龍を3つも引っ張り出しながら、お料理と合わせた他の日本酒も安定さえも超えるペアリング。
行き届いたサービスを提供するスタッフに加えて、ソムリエールが常駐することでワインセレクトも任せることができる。
中目黒という立地が日本料理「炎水」としての風格を引き立て、訪れる人たちを魅了する。
唯一無二の味を求めて、これからも通い続けたい一店です。
□炎水
所在地:東京都目黒区中目黒1-5-12 ATRIO1F
電話番号:03-5860-7530
営業時間:17:00、19:40の二回転
定休日:日曜、不定休
滞在時間:約3時間半
お会計:約61,000円税込/人
予約:前回訪問時、次回12月
☆食べログ 百名店 日本料理TOKYO 2025 選出店