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夜の点数:3.6
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¥1,000~¥1,999 / 1人
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料理・味 3.6
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|サービス 3.2
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|雰囲気 3.2
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|CP 3.2
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|酒・ドリンク 3.0
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[ 料理・味3.6
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| サービス3.2
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| 雰囲気3.2
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| CP3.2
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| 酒・ドリンク3.0 ]
幻の行き止まりに現れる一杯 ― 特製蜆昆布水つけ麺(塩)
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2025/10/20 更新
土曜日の午後5時52分。街灯の灯りがまだ本格的に輝きだす前、私は静かな住宅街の行き止まりに足を踏み入れた。まるで迷路の果てに隠された秘密の場所を探し当てたかのような感覚。この店は偶然の散歩では決して辿り着けない。意志を持って、ここを目指して来なければ出会えない一杯である。
開店8分前に到着すると、すでに一人の先客が静かに待っていた。わずかな行列の静けさに身を委ねながら、扉の奥で湯気が立ち上る音を想像する。やがて開店と同時に暖簾をくぐり、電子食券機の前に立つ。いつもの「左上ポチ」の習性がここでは封じられる。ページをめくる仕組みに少し戸惑いつつ、思い切って「特製蜆昆布水つけ麺(塩)」を選んだ。
しばしの待ち時間の後、運ばれてきた麺は、淡い黄金色を帯び、自家製ならではの艶やかさを放っていた。箸で一口すすると、昆布水のとろみが舌を優しく撫で、蜆の旨味が奥行きを与える。これは一口目から「当たり」だと確信させる力を持っている。
続いてつけ汁を一口。塩気は決して前に出すぎず、出汁の深みと合わさって澄んだ旨味の世界を描き出す。その隙間に顔を出すミョウガの清涼感が、繊細な輪郭を加える。派手さはないが、職人のこだわりと気骨をしっかりと感じさせる一杯だ。
さらにサイドで「100円のTKG」も頼んでみた。卵かけご飯としては十分美味しいものの、この店の看板である麺に比べれば特筆すべき驚きはなく、正直なところ他にも秀逸なTKGは数多ある。あくまで“つけ麺を引き立てる脇役”と考えるのがよいだろう。
今回はつけ麺を選んだが、ここまで完成度が高いなら、次は醤油ラーメンを試さずにはいられないだろう。静かな住宅街の終点にあるこの店は、私にとって“ふと口が寂しくなった時に足を運ぶ秘密の避難所”となりそうだ。
一度訪れれば、友人に「ちょっと不便な場所にあるけれど、絶対行ってみて」と勧めずにはいられない。そんな魔性を秘めた店である。