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夜の点数:3.5
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¥1,000~¥1,999 / 1人
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料理・味 3.5
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|サービス 3.3
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|雰囲気 3.3
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|CP 3.2
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|酒・ドリンク 3.0
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[ 料理・味3.5
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| サービス3.3
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| 雰囲気3.3
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| CP3.2
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| 酒・ドリンク3.0 ]
銀座の静かな午後、スパイスカリー半月でひとり
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2026/02/08 更新
日曜日の午後、またもや東京にいる自分に気づき、少し苦笑しながら銀座へ向かった。特別な用事があったわけではない。けれど、銀座という街は「ついで」に立ち寄るにはあまりに表情が多く、用事が終わる頃にはいつも、腹よりも先に気持ちが空腹になる。
時計を見ると16時を少し回ったところ。夕食にはまだ早く、昼には遅い。そんな時間帯に1人で入れる店を探して歩く銀座は、昼と夜の間に漂う、わずかな隙間のような空気をまとっている。人通りもまばらで、ショーウインドウに映る自分の姿がやけにくっきりしていた。
その隙間に、ひっそりと佇む「スパイスカリー半月」。暖簾をくぐると、店内は想像以上に静かで、先客は若い女性が1人だけ。厨房側には店員さんが2人。カレー屋にありがちな緊張感や無言の圧はなく、どこか肩の力が抜けた、心地よい空間だった。
メニューを前に少し迷っていると、店員さんがさりげなく声をかけてくれる。おすすめを聞くと、押しつけがましさのない、実にちょうどいい距離感で説明してくれた。その流れで選んだのがスペシャル3種盛り。席につき、前払いでPayPayで支払いを済ませた。待つこと2、3分。皿が目の前に置かれた。
一目でわかる。「これは正解だ」と。
皿の上には三つのカレーが、互いに主張しすぎることなく並んでいる。まずは梅しそキーマ。口に運ぶと、スパイスの奥からふわりと香りが立ち上がり、しその香りが鼻に抜ける。重くなりがちなキーマが、驚くほど軽やかで、まるで初夏の風のようだった。
続いてチョコビターチキン。名前から想像する甘さはなく、むしろカカオの苦味がスパイスと溶け合い、奥行きのあるコクを生んでいる。甘いのではない、「深い」。この一皿だけで、時間帯が夕暮れに一歩進んだ気がした。
最後にココナッツポーク。柔らかい豚肉とココナッツのまろやかさが、全体を包み込む。三種の中で最も安心感があり、しかし決して凡庸ではない。計算された優しさがそこにあった。
そして、この店で思わぬ主役となったのが、テーブルに置かれた味変用のお酢だった。一口垂らすと、酸味だけでなく、旨味と香りが一気に立ち上がる。カレーの輪郭が際立ち、別の表情を見せる。気づけば何度も手が伸び、食後にはそのお酢をお土産に買ってしまっていた。抗えなかった。
食べ終え、店を出る頃、銀座は少しずつ夜の準備を始めていた。きっとまた来るだろう。混んでいたら少し考えるが、回転は良さそうだし、その時にはきっと、また違うカレーが待っているはずだ。
半月のように、形を変えながら、何度でも。