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【湯気の向こうに広がる至福 ― 牧のうどん 博多バスターミナル店の肉ごぼう天うどん】
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2025/08/07 更新
博多駅直結の博多バスターミナルB1Fにある「牧のうどん」。福岡のうどん文化を語るうえで外せない名店であり、地元の方はもちろん、観光や出張で福岡を訪れた人たちも立ち寄る人気の一軒です。店内は活気に満ち、席につくとすぐに湯気と出汁の香りに包まれ、自然と心が解けていくような感覚に。今回は「肉ごぼう天うどん」と瓶ビールを注文しました。
ほどなくして運ばれてきた丼は、視覚からすでに食欲を刺激します。黄金色に澄んだスープの上に、甘辛く煮込まれた牛肉と香ばしいごぼう天がたっぷりと盛られ、その周りを太くふっくらとした麺がぐるりと囲む。立ち上る湯気には、出汁のやさしい甘みと揚げたごぼうの香りが混ざり合い、箸を取る前から期待が高まります。
まずはスープをひと口。昆布やいりこ、しいたけを思わせる複層的な旨味がふわりと広がり、続いてほんのりとした甘みが後を追いかけてきます。力強さと優しさが同居した味わいは、飲むたびに体の奥までじんわり染み渡るよう。瓶ビールの冷たさと交互に味わうと、スープの甘みと旨味がさらに際立ち、思わず何度もレンゲを運びたくなります。
麺は牧のうどん特有の太くて柔らかなタイプ。最初はもちもちとした弾力があり、食べ進めるにつれてスープを吸ってふわっと膨らみ、食感が少しずつ変化していきます。この“育つ麺”は、牧のうどんを食べる上での醍醐味のひとつ。時間をかけてゆっくり食べれば、同じ丼の中でまるで別のうどんを味わっているかのような感覚になります。
甘辛く煮込まれた牛肉は、口に入れると脂のコクとタレの旨味がじんわり広がり、スープ全体の深みを増す存在。ごぼう天は薄切りのごぼうを香ばしく揚げたかき揚げ風で、サクサク感と香りの強さが印象的です。スープを吸ってしっとりと変化した頃には、ごぼうの香りがより鮮やかに立ち上り、箸を持つ手が止まりません。
瓶ビールはキリッと冷えており、ひと口飲むたびに口の中をリセットしてくれる存在。揚げたてのごぼう天の香ばしさや、甘辛い肉の濃厚さをすっと流し、次の一口をさらに美味しくしてくれます。うどんとビールという組み合わせは意外に思えるかもしれませんが、この相性の良さは一度体験するとやみつきになります。
店内は回転が早く、忙しい時間帯でも待ち時間は比較的短め。スタッフの動きはきびきびとしていながらも温かみがあり、訪れるたびに安定感のある居心地の良さを感じます。博多駅直結という立地も相まって、移動の合間や出発前後の腹ごしらえにも最適です。
「牧のうどん 博多バスターミナル店」の肉ごぼう天うどんは、湯気、香り、味、そして食感の移ろいまですべてが一体となった、心も体も満たしてくれる一杯。瓶ビールを添えれば、その満足感はさらに高まり、ちょっとした日常の中に確かな幸福感を与えてくれます。福岡のうどん文化を味わうなら、この組み合わせはぜひ試してほしいと思えるものでした。