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夜の点数:5.0
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¥1,000~¥1,999 / 1人
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2026/01/31 更新
冬の空気が少しだけ張り詰めた都内の午後、移動の合間に立ち寄ったのが「ニッポン ラーメン 凛 トウキョウ」だった。店先に漂う静かな緊張感は、繁華街の喧騒とは一線を画しており、暖簾をくぐる前からどこか背筋が伸びる。旅先で偶然見つけた一軒に足を踏み入れる瞬間は、いつも小さな冒険の入口に似ている。
注文したのは看板とも言える醤油らぁ麺。ほどなくして目の前に運ばれてきた一杯は、まずその佇まいに目を奪われた。透き通った琥珀色のスープは、照明を受けて静かに光を返し、まるで時間を封じ込めた古酒のような落ち着きを帯びている。表面に浮かぶ油の粒が細かく揺れ、湯気とともに柔らかな香りが立ち上る。その香りは鋭さを持たず、どこまでも穏やかで、食欲を急き立てるというより、静かに招き入れるような印象を受けた。
最初にスープを口に含むと、醤油の輪郭がはっきりしていながら角がなく、舌の上を滑るように広がる。塩気は控えめで、奥に潜む旨味がゆっくりと層を重ねてくる。飲み進めるほどに味わいが深まり、まるで物語の伏線が後半で静かに回収されていくような感覚を覚えた。後味は驚くほど軽く、気づけばもう一口と箸が進む。
麺は細めで、スープとの絡みが非常に自然だ。持ち上げた瞬間にふわりと湯気が立ち上り、すすった時の喉越しは滑らかで引っ掛かりがない。適度なコシがありながら主張し過ぎず、あくまでスープを引き立てる存在に徹している印象だった。
中央に配されたチャーシューは大きく、器の中でゆったりと弧を描いている。脂身と赤身のバランスがよく、口に入れると柔らかくほどける。過度な味付けは感じられず、肉そのものの旨味が穏やかに広がる仕上がりだった。添えられたメンマは歯切れがよく、噛むたびに小気味よい音を立てる。上に添えられた青い薬味が彩りを添え、全体の印象をきりりと引き締めていた。海苔も香りがよく、スープに浸した時の風味の変化が楽しめる。
店内は整然としており、無駄な装飾がない分、料理そのものに集中できる空気が流れている。静かに食事を楽しむ客が多く、器と箸が触れ合う音が控えめに響く。その落ち着いた雰囲気は、旅の途中で少しだけ立ち止まり、自分の時間を取り戻すための小さな休息所のようにも感じられた。
訪れた時間帯は昼下がりで、外の光がやや柔らかくなり始めた頃だった。移動の疲れが少し残る身体に温かなスープが染み込み、気持ちがゆっくりとほどけていくのが分かる。器の中の景色を眺めながら麺をすすっていると、旅先でしか味わえない静かな充足感が胸の奥に広がっていった。
気づけばスープを最後まで飲み干していた。派手さで惹きつける一杯ではなく、静かに心に残る味わい。記憶の引き出しに丁寧にしまっておきたくなるような余韻があり、店を出た後もしばらくその香りが頭の片隅に留まっていた。
旅の途中で出会ったこの醤油らぁ麺は、ただ空腹を満たすだけでなく、時間の流れを少しだけ穏やかに変えてくれる力を持っているように感じた。再びこの街を訪れる理由のひとつとして、静かに心の中へ刻まれた一杯だった。総合評価は迷うことなく5点。再訪を自然に思い描かせる、確かな完成度を備えたラーメンである。