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行ったお店

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これらの口コミは、訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

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13 件を表示 3

もつ幸

呉服町、中洲川端、千代県庁口/もつ鍋、居酒屋、日本料理

3.66

962

¥4,000~¥4,999

-

定休日
日曜日

夜の点数:4.0

もつ幸 ★★★★☆(4.0) 博多の夜は、不思議なやさしさがある。少し湿った風と、人いきれと、どこからか漂う出汁の香り。その香りに導かれるように歩いて辿り着いたのが、「もつ幸」だった。古びた暖簾と、控えめな看板。観光客向けというより、地元の人が信頼して通う場所、という空気が漂っている。予約で埋まった店内には、笑い声と湯気が混ざり合い、冬の夜の居心地をいっそう深くしていた。 通されたのは、壁際の小さなテーブル席。ほどなくして運ばれてきたのは、白濁のスープに浮かぶもつ鍋。一般的な味噌や醤油ベースとは違い、もつ幸のスープはあっさりとした鶏ガラ出汁。澄んだ色合いの中に、深い旨味が潜んでいる。まずはスープをひと口。驚くほど軽やかで、塩気も控えめ。それでいて、奥行きのある優しい味。疲れた身体にすっと染み込んでいく。 もつは小ぶりでぷりっとしており、脂のしつこさがない。噛むと弾力があり、スープの旨味をまとって口の中でほどけていく。キャベツやニラの甘みがじんわりと広がり、全体のバランスが見事だ。特徴的なのは、鍋に入る大量の餃子の皮。最初は意外に思ったが、スープを吸って柔らかくなった皮がまるでパスタのようで、箸が止まらない。出汁の旨味をすべて吸い込んでおり、もつ以上に印象に残った。 店員さんは忙しい中でも丁寧で、言葉少なに気を配ってくれる。替えスープや追加の具材を頼むと、ほどなくして笑顔で持ってきてくれる。決して派手な接客ではないけれど、その自然な距離感が心地よい。店内は満席で、隣のテーブルとの距離も近いが、それもまたこの店の味の一部だと思う。鍋を囲む人たちの声や笑顔が、温かいスープの湯気と一緒に漂っている。 最後の締めはちゃんぽん麺。スープをたっぷり吸った麺をすすりながら、ふと「また来たい」と思った。高級感はないけれど、ここには“特別な日常”がある。旅の途中で立ち寄った身でありながら、どこか懐かしい気持ちになる不思議な場所。店を出ると、冷たい夜風が少しだけ頬を撫でた。その瞬間、まだ口の中には、もつ幸のスープの余韻が静かに残っていた。

2025/10訪問

1回

博多らーめん Shin-Shin 博多デイトス店

博多、祇園、櫛田神社前/ラーメン、居酒屋、中華料理

3.57

2401

~¥999

~¥999

定休日
-

昼の点数:4.0

博多らーめん Shin-Shin 博多デイトス店 ★★★★☆(4.0) 博多駅の喧騒を抜け、エスカレーターを降りた先に漂う、独特の豚骨の香り。夕方の少し疲れた身体には、その匂いがやけに心地よく感じられた。行列の先にあるのは「博多らーめん Shin-Shin」。駅ナカにありながらも、どこかローカルの空気を残している。赤い暖簾と、厨房から立ち上る湯気。それだけで、すでに期待が高まる。 席に通され、注文したのは「チャーシューメン」。ほどなくして運ばれてきた丼は、思わず息をのむほど美しかった。白濁したスープの上に、薄くスライスされたチャーシューが円を描くように並び、その中心にはきくらげと青ねぎ。全体のバランスが絶妙で、どこか音楽的ですらある。レンゲでスープをひと口。まろやかでいて、芯のある味。豚骨のコクが舌の上で静かに広がり、ほんの少しの塩気が全体をまとめている。重たさはなく、むしろ軽やか。飲むたびに、博多の空気をひと吸いしているような気分になる。 細麺は博多らしく、歯切れのいいストレート。替え玉前提の軽さだが、しっかりとした存在感がある。スープとの絡みがよく、啜るたびに「もう一口」と誘われる。チャーシューは脂がほどよく抜け、口の中でゆっくりと溶けていく。肉そのものの旨味を残しつつ、スープの味を邪魔しない。何気ないようで、計算された一枚一枚。職人の丁寧な手仕事を感じた。 周囲を見渡すと、観光客も地元の人も入り混じり、それぞれの一杯に向き合っている。笑い声や箸の音が混ざり合い、まるで交響曲のようだった。店員の声は明るく、テンポがいい。無駄のない動きに、忙しさの中にもプロのリズムがある。 食べ終えるころには、スープの底が見えていた。満腹というより、満たされたという感覚。派手な演出も、奇をてらった味もない。ただ、真っすぐに「美味しい」がある。そんな一杯だった。店を出ると、外の夜風が少し冷たく感じられた。けれど、身体の奥にはまだ、あのスープのぬくもりが残っていた。

2025/10訪問

1回

元祖ラーメン長浜家

赤坂、大濠公園/ラーメン

3.64

1384

~¥999

~¥999

定休日
-

昼の点数:4.0

元祖ラーメン長浜家 ★★★★☆(4.0) 夕方、小雨のにおいがまだ路面に残る時間帯だった。博多の街を少し歩いて、ふと目に入った青い看板の「長浜家」。その素っ気ない外観には、飾らない自信のようなものがあった。観光客向けではない、地元の時間が流れている場所。暖簾をくぐると、店内は湯気と豚骨の香りで満たされていて、まるで長年煮込まれた記憶が漂っているようだった。 カウンターに腰を下ろすと、手際よく湯切りの音が響く。頼んだのは、もちろん「ラーメン」。ものの数分で、白濁したスープを湛えた丼が目の前に置かれた。トッピングは潔く、ネギとチャーシュー。それだけなのに、不思議と完成されている感じがした。 スープをひと口すすると、豚骨の旨味がふっと舌に広がる。重たすぎず、しかししっかりと芯がある。まるで夜の港に立つ一本の街灯のような、静かな強さを感じた。脂は控えめで、後味は意外にもすっきり。豚骨特有の獣臭はなく、むしろ穏やかなミルク感すらある。麺は細く、茹で加減はやや硬め。スープをよくまとい、すするたびに音と香りが小さなリズムを刻む。チャーシューはほろりと崩れるほど柔らかく、骨の旨味が残る。脂身と赤身の境目に、職人の匙加減を感じた。 隣の席では、常連らしき男性が「替え玉!」と慣れた声を上げていた。その声が響くたびに、店の空気が少し温かくなる気がした。店員の対応は簡潔で、それが逆に気持ちいい。無駄な言葉のない接客は、この店のリズムを壊さない。まるで、スープの湯気のように淡々と存在している。 ラーメンを食べ終え、丼の底が見えるころ、ふと「また来よう」と思った。派手さはないが、どこか懐かしく、日常の延長線にある一杯。観光の途中に寄った自分が、地元の人の時間に少しだけ混ざれたような感覚だった。外に出ると、雨はすっかり上がっていた。あのスープの余韻が、口の中でまだ静かに波打っていた。

2025/10訪問

1回

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