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すきやき村越蒔田、弘明寺(横浜市営)、井土ケ谷/すき焼き、しゃぶしゃぶ、とんかつ
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夜の点数:4.8
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料理・味 -
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横浜の片隅に、すき焼き文化の金字塔あり。老舗の温もりと職人の矜持が、肉を芸術に変える。
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2025/06/26 更新
1. 店内の雰囲気
横浜・蒔田の喧騒から一歩入った路地に、その店はひっそりと構えている。提灯と木の看板が灯す柔らかな明かり――それが『すきやき村越』の序章だ。
ディナータイムになると照明はさらに落ち着きを増し、空間にほのかな緊張と和みが同居する。まるで芝居小屋の開幕前。客たちは静かに箸を握り、やがて運ばれる肉と割下の香りに会話がほどけていく。個室感覚の仕切られた座敷やテーブルもあり、接待から家族団らん、そして職場の忘年会まで、幅広いシーンに応えてくれる。騒がしすぎず、静かすぎず――その絶妙な空気づくりもまた、“老舗の力”といえよう。
2. スタッフの対応
一見して控えめだが、ふとした瞬間にこちらのペースを察し、最良のタイミングで声をかけてくれる。これはマニュアルではなく、経験と人情のなせる技。予約名を伝えれば、まるで親戚の家に帰ったかのような柔らかな笑顔と挨拶が返ってくる。注文や配膳の間合いも見事で、空腹もせっかちも、すべて“あたたかく包まれる”。
3. 料理について
料理の主軸は、言わずと知れた「すき焼き」。だが、この村越の魅力は、ただ高品質な牛肉を出すだけではない。
まず、肉質へのこだわりは尋常でなく、仕入れは日によって微妙に変わる。宮崎牛、米沢牛、黒毛和牛などのブランドが登場するが、単なる名のある肉に頼るのではなく、その日の“脂の入り方”“筋の具合”“赤身とサシのバランス”を職人の目で吟味し、最も美味な部位を見極めている。
そのため、同じ「特選すき焼き」でも日によって表情が違う。グラマラスな脂が主役の日もあれば、赤身の力強さで勝負する夜もある。だからこそ、リピーターにはたまらない“一期一会の一皿”となるのだ。
割下は関東風でありながら、妙に辛くも甘すぎもせず、まろやかな旨みとキレを両立。卵との相性はまさに“計算された必然”。肉のあとに口にするネギ、焼き豆腐、春菊までもが、しっかりと役者の演技を果たしている。
4. 素晴らしいと感じた点
• 料理人の哲学が宿る肉の選別:ブランド名に頼らず、肉そのものと“向き合う”姿勢が、一流。
• 価格と内容の驚異的バランス:この肉質と空間、そして接客で、夜でも一人4,000〜5,000円台という良心。大都市では考えられない。
• 宴会への万能性:20人程度の貸切から100名まで対応可能な設備と、手作り感を失わぬスタッフ体制は、まさに年末の宴の理想形。幹事にとっては“頼れる救世主”。
• 気取りなき高級感:和牛を扱いながらも“背伸びさせない設計”が見事。庶民の懐にも、味覚にも優しい。
5. まとめ
『すきやき村越』は、ただの老舗ではない。そこには「肉を知る者の審美眼」と、「客を想う者の優しさ」、そして「時間という名の調味料」がたっぷりと染み込んでいる。
横浜におけるすき焼き文化のランドマークであり、食のプロたちが唸る“知る人ぞ知る名店”。
忘年会、記念日、ふと肉が恋しくなった夜――そのすべてに応えてくれる、この場所は、まさに“現代に生きる食の遺産”だ。