ミシュランPACさんが投稿した関内本店 月(神奈川/関内)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

PACのレストランガイド

メッセージを送る

この口コミは、ミシュランPACさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

関内本店 月関内、馬車道、桜木町/居酒屋、創作料理、海鮮

1

  • 夜の点数:4.6

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 -
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2025/06 訪問

  • 夜の点数:4.6

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

夜の関内に、静かに月は昇る。接客は一流、酒は芸術、料理は哲学――すべてが本物のための居酒屋。

1. 店内の雰囲気

関内駅からほど近いビジネス街の一角、ふと灯る一軒の明かり。そこが『関内本店 月』である。外観は控えめでありながら、暖簾をくぐった瞬間、空気が変わるのを感じる。木目と間接照明を活かした設えは、気取らず、それでいて洗練されている。

店内はカウンター、テーブル席、個室が程よく配置され、用途によって表情を変える柔軟性を持つ。ビジネス利用の硬質な空気も、プライベートな語らいの空気も、この空間は自然に受け入れる。だが、すべてに共通しているのは「整えられた静けさ」だ。余計な音も装飾もない。必要なのは、良き食と良き会話、そして良き余韻だけである。



2. スタッフの対応と“二層構造のホスピタリティ”

この店最大の美点は、「接客」に宿っていると言って過言ではない。初回の訪問時には、まるでラグジュアリーホテルのダイニングかと錯覚するほどの丁寧さ。所作・言葉遣い・料理の説明・おしぼり一枚の出し方まで研ぎ澄まされている。だが、それが“過剰な演出”に感じないのは、そこに真心が伴っているからだ。

そして、何度か通ううちにわかる。彼らは“客の顔を覚える”。それは記憶の問題ではない。客を“覚えるべき存在”として敬っているからこそだ。
「いつものでよろしいですか?」その一言に込められた信頼と敬意。初回のフォーマルな応対と、常連としての温かい迎え。これが共存している居酒屋は、希少である。



3. 喫煙者にとってのオアシス

現代の飲食業界において、喫煙者が自由に煙草を楽しめる空間は、確実に少なくなった。だが『月』はその希少な例外である。完全分煙の個室席があり、静かに煙草をくゆらせる空間が用意されている。
喫煙所に追いやられることなく、“会話と煙草と酒”という昭和的美学が許容される場所。それだけでもこの店に足を運ぶ理由は十分にある。



4. 酒と氷の芸術

この店において、バーテンダーはただの“酒を注ぐ人”ではない。専属のバーテンダーが立ち、氷一片すら芸術として扱う。使用する氷は、冷凍庫で作られるキューブなどではない。板氷からカットされた澄みきった氷。それをグラスに沈める音さえも演出となる。

ジンの香りが氷の輪郭とともに立ち上り、ウイスキーの深みが滑らかに開く――そんなグラス一杯の中に、“丁寧な夜”が宿っている。カクテルの種類も豊富だが、何より“注ぎ方が美しい”のがこの店の真骨頂である。



5. 料理という名の設計美

和の基本を軸にした創作料理は、どれも一品ずつが“完成された作品”である。
だし巻き卵には出汁の透明感が宿り、刺身の盛り合わせは美術品のように配置される。酒肴の一つひとつが、食べる者の心と五感に問いかけてくるようだ。

また、季節によって変わる一品料理も秀逸。旬の食材を活かし、あくまでシンプルに、しかし確実に美味い。これは、技術ではなく哲学の所産である。



6. この店が“トップクラス”である理由
• 接客=体験の格を決定する唯一の要素として扱っている
• 喫煙者という少数派への誠実な受け皿
• バーテンダーによる酒の最上演出
• 料理の細部にまで宿る料理人の美意識

いずれを取っても、“価格以上の価値”を確実に得られる。だからこそ、「関内でトップクラスの居酒屋」と断言できる。



7. 総括

『関内本店 月』は、単なる居酒屋でも、単なる隠れ家でもない。そこには、食と酒、接客と空間、そのすべてを通じて「夜を整える」力がある。
初めて訪れる人には“感動”を、常連には“安心”を提供し、すべての客に“理由ある余韻”を与える。
喫煙者にとっては最後の砦であり、美食家にとっては信頼できる避難所である。
そして、酒を愛するすべての人間にとって――この店の一杯は、まさに“夜を完成させる最後の鍵”となるだろう。

2025/06/28 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ