Kohは酒と本とネットで本日も引きこもり。さんが投稿したくるますし(愛媛/勝山町)の口コミ詳細

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「食べたい」は、慣れない、飽きない、すり減らない。

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Kohは酒と本とネットで本日も引きこもり。 (男性) 認証済

この口コミは、Kohは酒と本とネットで本日も引きこもり。さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

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くるますし勝山町、大街道、警察署前/寿司

12

  • 夜の点数:4.7

    • ¥30,000~¥39,999 / 1人
      • 料理・味 4.7
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.6
      • |CP 4.8
      • |酒・ドリンク 4.5
おすすめポイント

だから、この店はここにある。
ここでなければ成立しない。

旨い鮨は、質のいい魚、漁師、流通が
あってこそ。
料理は立派な科学です。

その一皿一皿に、敬意をこめて、僕は、

「瀬戸内スペシャリテ」

と呼びます。

2024/06/01 更新

12回目

2025/09 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.6
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

サーマルセンスが際立つのです。


店の前に到着してみると、いつものように車
いす用のスロープが設置してあり、その側に
着物の女性の姿が。


おー、女将じゃん。
2年ぶり。

女将は着物がよく似合う。


まだまだ子育て盛りではありますが、ちょい
ちょい店に出るようになったとのこと。

くるますしに美しい華が復帰しました。
まずはめでたい。


季節はめぐって5か月ぶりのくるますしさん。


さて、今宵はどんな魚たちが迎えてくれるの
かな。


-


一品目からいきなり、串刺しの刑に処された
大物の登場です。

9月に漁が解禁となったアレです。
イセエビ。


この店で初めてイセエビを見て既に久しいで
すが、今回、またアップデートされたようで
す。

これはVer.3か?

イセエビをつまみにしたり、握りにしたりは
この店ではいつものこと。

Ver.2は、血抜きして1日熟成させて、炭火
で焼いて、ミソベースのソースをたっぷりか
けた熱々の鮨。


今回は、焦げがでないどころか、火が通った
ところがどこにもない程度のギリギリの炭で
炙り、半分レアで。

火は通ってないけど、炭火の香りはしっかり
移ってとても芳ばしい。
しかも熱々。

ミソや出汁など、旨味という旨味を根こそぎ
絞りとったような濃厚なソースを絡めてつま
みとして。

大型の甲殻類の力強い筋繊維と濃厚な旨み。

ぶりぶりと弾ける肉質、味覚すべてをもって
かれそうになる暴虐の味わい。

その舌触り、その味わいが、これ以上ないほ
どに、生きもの過ぎて、エロ過ぎて、命にく
らいついてるような気になります。


国が国なら、これはもうフランス料理とも言
えるんでは?

そう、これは海のジビエです。


一品目から火入れの妙を堪能。
高平大将、いきなりやらかしてくれます。


兄弟子である「鮨 宮川」の宮川大将にして、

「狂気の人」

と言わしめた高平大将。


相変わらず、留まることを良しとしないよう
です。
いまだ伸び代の大きさが見えません。

日本の鮨界隈が誇る至宝なのですよ、彼は。
本人はちっとも気づいてないようだけど。

若い大将の鮨はたくさん食べ歩いたけど、モ
ノが違う、というか格が違うんです。


あえて言えば、宮川大将「鮨 三心」の石渕
大将の料理、鮨に宿る「品」が加わればと。


これには時間が必要かもしれません。
高平大将、齢35。
両大将との年齢差は15歳以上ありますからね。


本日も冴え渡る包丁技。
魚への静かな情熱と、研ぎ澄まされた静謐な
蒼白い閃光が見えるようです。


そしていつものように、名漁師、藤本氏をは
じめ愛媛の魚を熟知した漁師によって活け越
し、神経〆めされた超絶ハイパーな魚たち。

藤本氏の魚とて一様ではありません。
ぜんぜんハイパーでない彼の魚を都内では何
度も口にしました。

ここは漁師が料理人に手渡しできる距離。
手を施すのは、瀬戸内の魚を知り尽くした鮨
職人ですよ。

魚がもっとも幸せに召される店なのです。


だから、都内の鮨屋でこのレベルの魚にお目
にかかることはありません。
絶対にです。
時間がそれを許さないのです。


優れた漁師と鮨職人がいてこそ、瀬戸内海は
富山湾と並ぶ無敵の海。

だから、この店はここでなければ成立しない。


料理は立派な科学です。


ここでは、フレッシュも、熟成も、火入れも、
どれもが超越の技。

熟成だけをうれしがってる熟成信者どもを大
外刈でぶん投げるような、ほんものの魚を体
験できる店。

それが「くるますし」です。


今宵も、幸せのため息が何度漏れたことか・・

科学と技術の積み重ねは、魚をここまで旨く
してしまいます。


江戸の「小粋」と鮨職人の技術の「粋」を凝
らした一点突破のごはん料理。
それが鮨。


そして、味覚よりも先に届くもの、咀嚼し、
嚥下した後も残り続けるもの、そして料理を
征するもの、

それは香りです。
そして、鮨は香りの料理です。
技を施されたシャリとタネで香りは決まりま
す。
香りは味覚を裏切りらない。
旨い香りは絶対に旨い。


輪郭が明瞭であり、赤酢の馥郁たる香り、濃
密で熟成したまろやかな旨みに満たされ、ジ
グソーパズルの最後のピースが収まりきった
時のような満足感。

鮮烈な香りが颯爽と吹き抜けるような鮨が、
青春のリビドーを猛烈に呼び起こしやがりま
す。


ここのスペシャリテ数品の紹介は写真のキャ
プションにまかせるとして、

今回、強く記憶に刻まれた料理、鮨をあと少
しご紹介しましょうか。


チャイロマルハタはここではよく出る魚です
が、今回、またなにやら見たこともない調理
法を披露してくれました。


厚めの切り身を串刺しにして皮目だけ炭火で
炙る、、
ここまではいつものプロセス。

大将、大きな器に熱々の出汁を張り、そこに
白身だけを漬けて湯煎してます。

えーと、しゃぶしゃぶ!?

炭で炙られた皮と6割がた火が入った白身。
煎り酒のジュレをかけていただきます。

火入れで温度のグラデーションを描くのは大
将の得意技だけど、今回は、炭と湯煎のコン
ボできやがりました。


文字通り、バリッとした皮目としっとり、も
ちっとふくらんだ白身。

この魚の特徴でもある、透明感のある上品な
白身は淡いながらも強い旨み。

湯煎で生まれるふんわりとした品のいい食感。

煎り酒のわずかな酸味に包まれ、優しい味わ
いなのに、脳内の深いところが猛ります。

食料にくらいつく、ただの捕食者に成り果て
ます。


なんで、こんなに旨くなっちゃうの!?
これ、ナニ現象なの?!


高平大将、器、刃物、道具が好きです。
道楽もんです。

少し前は、とんでもなおろし金をうれしそう
に見せてくれました。

今回はでっかい蒸篭(せいろ)が登場。

これでナニ、やらかすの?!
って楽しみでしかない。


アユです。
アユの蒸し鮨。

僕が知る限り、今回のがVer3 です。

アユを三枚におろして、シャリの上にのせ蒸
します。
その上にアユの内臓で作ったソースをたっぷ
りかけまわして、アオサをふりかけて完成。

蒸し鮨は熱々。
今回はその熱々具合が益々アップデート。

そこにできあがったばかりの、こちらも熱々
のソース。

あとはサジでカチャカチャとほぐしていただ
きます。
しっとり滑らかなアユが旨い。
これだけでも旨すぎる。

繊細なアユの香りが温度をまとって鮮烈に颯
爽と吹き抜けます。
軽い苦みと酸味のソースが柔らかく蒼いアユ
の身とシャリを包んで、口の中でアユリゾッ
トを構成。

目まぐるしく変化する食感と旨さが渦を巻き、
この温度感が生み出す長い余韻にずっと浸り
たい。

はぁ〜、旨〜。
幸せのためいきが漏れます。

恍惚の中で、魂が抜け落ちそうになる陶酔と
喪失感。

もう鮨の概念を思いっきりひっくり返す逸品
でした。


そして、オコゼ。
毎年5月頃、ここのオコゼの炙りを楽しみにし
ています。

が、、今回は、オコゼの蒸し。
大将、蒸籠にハマってるようです。

これがまた別格の旨さ。
オコゼは皮と皮下に大量のコラーゲンが含ま
れてて、プルプルとした食感に加え、あの怪
獣のようなお顔に反して、実に上品な白身魚
です。

皮が炙られたときの煙い香りもたまりません
が、ぷるんぷるんさと繊細さは蒸しが1枚上で
す。

ここのおこぜは、ほんとに逸品。
刺し身とか、フライとか、論外。

「思いっきりかぶりついて!」

って大将。

あー、これはオレさまの野生が猛ってしまう
ケシカランやつだわ〜

いつか、オレサさまの中のケモノが発動して、
吠えてしまうんじゃないかと心配になります。


ノドクロの握りもここだけの品。
火入れが握る直前まで続きます。
どうやらこのあたりが完成形のようです。

ナニがここだけ、なのか、
他店とどう違うのか、ぜひ一度、眼の前で見
てみてください。


-


大将、留まることは退化にすら感じてしまう
のかなぁ。


燻し、炙り、焼き、煮、蒸し、低温調理、湯
煎、、

どれだけの火入れ技を駆使してくれてんの!?
どこまで魚を旨くしちゃうの?!


フレンチばりの火入れレベルには既に数年前
に到達してましたが、、まだ満足してないの
かもしれません。

どこまで追求しちゃうんだろう。


毎度思いますがが、魚ってこんなに旨いもん
だったっけって気づかせてくれるのがくるま
すしさん。


サーマルセンスもますます進化しちゃったな
ぁってのが今回のオレさまのご感想です。

冷製から、人肌、そして手に持てないくらい
に熱々の握りまで。


-


時の螺旋の途上にあって、高平大将、自らの
人生を鮨に捧げています。
そこに費やされたすべての時間が、一皿に、
一握りに凝縮されてます。


今宵もすっかり腰砕けです。
もう、どうにでもしてくれ、です。


うれしくて、楽しくて、終わってほしくない
時間も2時間と少々で終演。

その頃には、また来なきゃっていうモチベー
ションが生まれます。

ここの料理と鮨をこれからも楽しむために、
もっと生きなきゃと思うのです。


-


つまみ8品(汁、シャリ玉含む)、鮨12貫、
玉、みそ汁に加え、酒各半合で5種、ハイボ
ール一杯で〆て36,000円ほど。


素晴らしい時間と食後感でした。
次回は冬に。


♿車いすお一人様難易度
鮨屋としては比較的敷居が低いほう。

♿店内レイアウト
カウンターのみ。
高さも問題なし。

♿接客
なにも心配なし。
特に希望がなければ、すべて大将にまかせれ
ばよろし。

ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の主に鮨屋をめ
ぐっています。
食べログを始めて2年が経過しました。
いいね、フォロー、保存いただいた方々、大
変、励みになります。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー

━ バリアフリー情報 ♿ ━
予約時に「車いすだぜ」って伝えておけば、
玄関にスロープを設置してもらえます。
店内までは完全にフラット。
一人でも十分OK。

  • おまかせ#1 石鎚 愛。 愛媛食材研究会と石鎚酒造さんの全面協力によって生まれた愛媛県の飲食店でしか飲めない、愛媛県内飲食店限定酒。 愛媛の鮨屋や日本料理屋でお目にかかったことがある人も多いのでは?

  • イセエビ。 イセエビ料理のVer.3。 今回は、火が通ったところがどこにもない程度のギリギリの炭で炙り、半分レアでつまみとして。 炭火の香りはしっかり移ってとても芳ばしい。 ミソや出汁など、旨味という旨味を根こそぎ絞りとった濃厚なソースを絡めて。 ぶりぶりと弾ける肉質、味覚すべてをもってかれそうになる暴虐の味わい。 そう、これは海のジビエです。 一品目から火入れの妙を堪能。

  • イセエビの出汁。 イセエビの頭や殻から煮出した出汁。 もちろん、無調味。 大型甲殻類の濃厚な味わいの余韻を楽しむことができます。 塩一粒使わなくてもここまで味わい深いなんて。 命の出汁。

  • チャイロマルハタ。 チャイロマルハタはよく出る魚ですが、今回、見たこともない調理法で。 皮目を炙って、出汁にどぼん。 しゃぶしゃぶ!?

  • 炭で炙られた皮と湯煎した白身。 煎り酒のジュレをかけて。 火入れで温度のグラデーションを描くのは大将の得意技だけど、今回は、炭と湯煎のコンボできやがりました。 文字通り、バリッとした皮目としっとり、もちっとふくらんだ白身。 この魚の特徴でもある、透明感のある上品な白身は淡いながらも強い旨み。 煎り酒のわずかな酸味に包まれ、優しい味わいなのに、脳内の深いところが猛ります。

  • おまかせ#2 いきなり重量級の料理が続いて、酒が追いつきません。 こりゃ、今日も飲んじゃうな。

  • 今が旬の赤ウニ。 今年、初めてかも。 大きな赤ウニです。 甘みの強い濃厚な味わい。 身が厚くぼったくて命の味わい。 ウニの下には・・

  • ウニの下には、アワビのムース。 濃い甘さが支配的なウニに対しアワビは塩の旨みが圧倒的。 合わせて口の中で混ぜ合わせると強いミネラル感で海の様子が見えるよう。 どちらも同じ海底で同じものを食べて育ってるんだとか。 フランス料理と言われてもまったく違和感がないかも。

  • アワビ。 ここで最も有名なスペシャリテ。 アワビの低温調理。 6時間火入れして水すら使わず、一切無調味。 アワビのコラーゲンがとろとろで、深い海の旨みがあふれ出す逸品。

  • もちろん、いつも通りに若いしゃりを追加してアワビの肝リゾットに。 アワビにはこの肝ソースをほとんど使わない派。 そのほうがこのリゾットがより美味しくなるので。 あ〜幸せ。

  • おまかせ#3 どいつもこいつも酒を呼んで呼んでよびまくる逸品ばかありで酒が追いつかない。

  • キンメ。 これもこの店のスペシャリテ。 皮目をしっかり炭火で炙って、皮から身まで、火入れのグラデーションを描きます。 いい香りが届きます。 早く早く!

  • 火入れのグラデーションが美しい。 文字通り、皮はバリっと身はしっとりと旨すぎる。 いつものように、玉ねぎソースとカラシソースをちょっとだけつけて。

  • オコゼ。 もう終わったかと思ってたオコゼ。 ここのオコゼ料理はめちゃくちゃ逸品。 5月にはオコゼを食べに来ます。 いつも炭火の炙りが多いのに、今回は蒸し。 ぷるんぷるんさと繊細さは蒸しが1枚上です。 ここのおこぜは、ほんとに逸品。 刺し身とか、フライとか、論外。 「思いっきりかぶりついて!」 って大将。 あー、これはオレさまの野生が猛ってしまうケシカランやつだわ〜

  • シロアマダイ。 もう、ここまでのつまみが旨すぎて、この貴婦人のような高貴なシロアマダイが霞んでしまうほど。 でも、ここのシロアマダイの鮨は逸品です。 酢だちと塩味がまろやかで明瞭なシャリとの相性がほんと素晴らしい。

  • サワラ。 鮨屋のために生まれてきたようなサワラ。 つまみよし、鮨よし。 炙って芳ばしい香りをたてて、ふわとろな鮨。 あ〜、たまらん。

  • おまかせ#4 今宵は2合で納めようと思ってたんだけど、既にとっくに超えちゃってる。 困った鮨と酒。

  • キス。 なんと身厚なキス。 〆めと鮮度と熟成が素晴らしいせいで、身はいまだにグニっと筋肉質。 なのに旨みも明確。 清澄なのに濃い。

  • マグロ。 なんか、薄切りした中トロと大トロを重ねて握ってた大将。 おー、これは不思議。 似てるようで異なる食感、旨み、香りがそれぞれ主張してきます。 案外、新しい食べ方。

  • ワタリガニ。 今回はオスのようで、内子はなし。 十分旨いけど、これはやはり内子とミソの両方あったほうがより旨い。

  • コハダ。 いいですねぇ、コハダ。 都内にはコハダ自慢の有名店はいろいろありますが、いずれもちょっと塩味がきつくて苦手なんだよな。 このくらいの〆めが好み。

  • おまかせ#5 もうあきらめました。 日本酒、今年から少しづつセーブしていこうと思ったことなど。 旨いはセーブできません。 飲みたいだけ飲む。

  • アユの蒸し鮨。 蒸籠で蒸します。 アユの内臓で作ったソースをたっぷりかけまわして、アオサをふりかけて完成。 繊細なアユの香りが温度をまとって鮮烈に颯爽と吹き抜けます。 軽い苦みと酸味のソースが柔らかく蒼いアユの身とシャリを包んで、口の中でアユリゾットを構成。 はぁ〜、旨〜。 恍惚の中で、魂が抜け落ちそうになる陶酔と喪失感。 鮨の概念を思いっきりひっくり返す逸品。

  • シマアジ。 炭で炙ったり、湯煎したり、蒸籠で蒸したり、まったくいろいろやらかしてくれる大将ですが、これは正統な江戸前鮨。 タネの下に仕込まれた香りの爆弾が弾けてなんという爽快な鮨。 シマアジ、旨〜。

  • ノドグロ。 そこらへんの有名店のノドグロとは一味違いますから、ここのは。 火入れが握る直前まで続きます。 どうやらこのあたりが完成形のようです。 ナニがここだけ、なのか、 他店とどう違うのか、ぜひ一度、眼の前で見てみてください。 嚥下したあのと喪失感がつらい・・

  • 赤ウニ。 本日、2回目の赤ウニ。 しっかし今回の赤ウニは見事です。 ほんとでっかい。 手からこぼれ落ちそう。 甘くて濃くて旨すぎる命の味わい。

  • 山崎ハイボール。 ちょっと一休み的に。 でも爽やかで旨〜。 さて、次いきますか。

  • エビ。 微妙な火入れで、若干の生感を残します。 江戸前鮨の定番中の定番タネですが、ここでは他にスーパースターが揃いすぎてて霞んじゃう。 でも旨いんだよ!?

  • アナゴ。 今回は特に特に崩壊寸前系で、持ち上げた瞬間、思わず崩壊するかと思った・・ でも、これくらいなのが口に入れた瞬間、リゾットに変化して旨いんだよなぁ。

2025/09/16 更新

11回目

2025/04 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.6
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

リビドーを目覚めさせる回春剤なのです。


10回も20回も通ってれば、さすがに書くこと
なくなるっしょって言われますが、この店に
関してはそうでもないんだなぁ。


なぜなら、この店のレビューは高平大将の成
長の軌跡、足跡だから。

この店を與って既に7年。
僕が出会ったのは彼がまだ28歳の頃。
そして今、35歳。


高平大将、ここまできていまだ成長中だし。

いったいどこまで行っちゃうの?
宇宙を目指してんの?
そろそろ鮨の領域超えちゃうよ?


末恐ろしすぎる、日本の鮨界が誇る至宝なの
ですよ、彼は。
本人はちっとも気づいてないようだけど。


30代、40代の大将の鮨はたくさん食べ歩いた
けど、モノが違う、というか格が違うんです。
次元が違うと言ってもいい。


もうここを超える鮨屋は東京にも10軒あるか
ないか、じゃないかな。


料理と心地よさ、この2点において高平大将が
当面目指すとすれば、彼の兄弟子の店、札幌
「鮨 宮川」あたりかな、と勝手に思ってる
んです。


高平大将が、切っ先鋭い刃をたゆまぬ研鑽か
ら磨き続けた一点突破の鮨ならば、宮川大将
は、刀の切っ先すら見せない柔らかさと洞察
力で、客に気づかせることなく心をほどいて
いくような鮨。


本日も冴え渡る包丁技。
魚への静かな情熱と研ぎ澄まされた静謐な蒼
白い閃光が見えるようです。


一瞬の斬撃に、カウンターの我々はただ、ひ
れ伏すのみ、なのです。

刀、いや包丁一本で、まだまだ駆け上がりま
すよ、高平大将。


そしていつものように、藤本氏によって活け
越し、神経〆めされた超絶ハイパーな魚たち。

藤本氏の魚とて一様ではありません。
彼が獲った魚だって時間と調理技術で大きく
変わってきます。
ぜんぜんハイパーでない彼の魚を都内では何
度も口にしました。

ここは手渡しできる距離。
そして手を施すのは、瀬戸内の魚の特徴を知
り尽くした鮨職人ですよ。

藤本氏の手になる魚がもっとも幸せに召され
る店なのです。


だから、都内の鮨屋では、このレベルの魚に
お目にかかることはありません。
絶対にです。
物理的にムリなのです。


名漁師がいて、名料理人がいてこそ、瀬戸内
海は富山湾と並ぶ無敵の海なのです。


だから、この店はここにある。
ここでなければ成立しない。


旨い鮨は、魚、漁師、流通、そして鮨職人の
超絶な技があってこそ。

料理は立派な科学です。


フレッシュも、熟成も、火入れも、どれもが
超越の技。
それが「くるますし」です。


熟成、熟成言うてる熟成信者どもを大外刈で
ぶん投げるような、ほんもののフレッシュな
魚を経験してほしいな。

明け方、活き〆めしてわずか数時間の魚も立
派な熟成であり、日数の長さをうれしがって
る頭がアレな熟成信者どもでもわかると思い
ます、熟成の意味が。


また新しい器が増えてました。
大将、道具・器の道楽もんです。

包丁、つけ台のもり皿、おろし器、そして陶
磁器。
大将のこだわりがどんどん増えます。


そして今宵も、
幸せのため息が何度漏れたことか・・


火の種類と強弱、熱の時間、いつも通りに超
絶な火入れ技を駆使した料理については過日
のレビューにまかせるとして、本日は逸品中
の逸品だけご紹介。


この店の一番は「鯛」です。
大将自らの言葉。


活け越しされストレスを抜いた後、夜明け前に
神経〆された鯛。
半日だけ、大将がベストと思う温度・湿度で
短期熟成された刺し身です。

背と腹を白身専用に作られた塩と山葵でいた
だきます。


静かに冷たく冴えわたる包丁の技が清らかな
身を通して伝わります。

見た目も味わいも、清澄にして清廉。
きれいよりきれい。
そして命の力を感じます。


このあとに出されるこの個体を使った澄みわ
たる旨い鯛汁も合わせて、
これはもう神様に奉納すべき食べものなので
は?
と思ってしまう。


この一皿で、邪さんも狡猾さんも腹黒さんも、
みんな仲良く浄化されます。


噛みしめるほどにあふれる白身の旨味。
塩でなければ味わえない稀有な旨味。

鮮烈で爽快な山葵の香りと辛味が塩を一層引
き立てます。

ほんとに浄化されて召されそうな幸せ。


魚を食べ慣れた方なら、この一品だけで、こ
こが只者ではないことがわかると思います。

科学と技術の積み重ねは、魚をここまで旨く
してしまいます。


江戸の「小粋」と鮨職人の技術の「粋」を凝
らした一点突破のごはん料理。
それが鮨。


味覚よりも先に届くもの、咀嚼し、嚥下した
後も残り続けるもの、そして料理を征するも
の、

それは香りです。
鮨は香りの料理です。
技を施されたシャリとタネが香りを決めます。
香りは味覚を裏切りません。
旨い香りは絶対に旨い。


輪郭が明瞭であり、赤酢の馥郁たる香り、濃
密で熟成したまろやかな旨みに満たされ、ジ
グソーパズルの最後のピースが収まりきった
時のような満足感。

鮮烈な香りが颯爽と吹き抜けるような鮨が、
青春のリビドーを猛烈に呼び起こしやがりま
す。


時の螺旋の途上にあって、高平大将、自らの
人生を鮨に捧げています。
そこに費やされたすべての時間が、1つの鮨
に凝縮されます。


鮨以上にフレンチが好きなお隣のゲストと、
今はなき井上シェフや先月、惜しまれながら
38年の歴史に幕を閉じた名店コート・ドール
の斉須シェフの話をしてたら、高平大将が、

「18歳のときに初めて行って厨房の中も
 見せてもらいました。」

と。

おそらく「鮨よしたけ」で修行を始めて間も
ない頃のはず。

鮨の道を志しながら、フレンチにも目を向け
るとは、その頃から、稀有な才能の芽は育ち
始めてたのかもしれません。

まぁ、高平大将の火入れを見れば頷けなくも
ないか(笑)。


楽しいです。
腰砕けです。
もう、どうにでもしてくれ、です。


今から10年後、高平大将、まだ45歳です。
人として、鮨職人として成熟した彼の鮨を何
がなんでも味わいたいものです。


日本酒を半合づつ6種にハイボールをいただ
いて34,000円をわずかに超えました。


次回は初夏に。


ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の主に鮨屋をめ
ぐっています。
食べログを始めて1年が経過しました。
いいね、フォロー、保存いただいた方々、大
変、励みになります。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー

━ バリアフリー情報 ♿ ━
予約時に「車いすだぜ」って伝えておけば、
玄関にスロープを設置してもらえます。
店内までは完全にフラット。
一人でも十分OK。

  • いつも通りに車いす用スロープを設置して、お見せ前で女性スタッフにお待ちいただいておりました。 変わらぬお気遣いに感謝を。

  • 風格あるRC造のファサードから、闇に一点浮かび上がる縁先手水鉢を現代的にアレンジ したような室礼を抜けると見事な大ぶりの白木の一枚板が待っています。 テーマパークのアトラクションに入ったような高揚感があります。

  • おまかせ#1 いつもの石鎚「愛」。

  • 貝寄せ。 この季節になるとよくお目にかかる一品。 今宵は鳥貝と女郎貝。 その名の通り、艶やかな色。 無調味。 すなわち貝の出汁と水だけ。 強烈な旨味とミネラル感。 貝好きは即死するんじゃない?

  • タイ。 これがくるますし再考の逸品。 藤本氏の手で活きけ越しされ、夜明け前に〆められた超絶ハイパーなタイ。

  • 静かに冷たく冴えわたる大将の包丁さばき。 清澄すぎる味わい。 賜物です。

  • おまかせ#2 川亀 純米吟醸 中汲み無濾過生原酒。

  • オコゼ。 これもこの店の逸品、オコゼの炙り。 いつもより早い時期の登場です。 この脂、コラーゲンたっぷりの皮目を炙った香りと清らかな白身の旨さには抗えません。 いつもよりレア感強めで、大将、いろいろ試行錯誤してるんだと。

  • アワビ。 これもここのスペシャリテ。 無調味無加水で6時間低温調理。 今宵のアワビはいつもに増して旨味が濃くて柔らかい。 昇天しそう。

  • 肝のソースは絶対半分以上残すべき。 それがのちに幸せを倍増してくれますから。

  • おまかせ#3 若波 純米吟醸。

  • きんめ。 これもここのスペシャリテ。 皮目を炙り、身に沿って焼きめのグラデーション。 辛子と玉ねぎのソースで。 大将が厨房でつきっきりで炙ってきます。 熱々のうちに下品にかぶりつくのが一番旨い食べ方。

  • ナマコとコノコ。 数年前、この店で最初に食べた品。 久しぶり。 ポン酢と食感だけに支配されるナマコが、低温調理されてありえない食感に。 フランス料理のコンフィとも言えそうな食感に驚け。

  • タイ汁。 清廉で清澄。 澄みわたる。 ナニ、この猛烈な旨味は!? 俗なる人間が飲んでもいいの? 神様の飲みものでないの?

  • シロアマダイ。 もう、白く透き通る貴婦人を食ってるよう。 (食ったことないけど?) ここの一発目はこれでないと。 いきなり持っていかれます。

  • おまかせ#4 大吟醸 鄙願(ひがん) 新潟県産

  • さより。 吹き抜ける爽快な春風。 薬味を使わず、おぼろで古典的に仕立ててます。 僕はどちらかというと、大葉などの薬味が好き。

  • 中トロ。 たしか石司さんのやつ。 ねっとりぺっとりと舌に絡みつく生本マグロのエロティックな食感と濃い旨味をキリッとしたシャリが引き立てます。

  • 大トロ。 今宵の大トロは抜群でした。 融点が低すぎず、とろけすぎず、上品な旨味をいつまでも引きづってくれます。

  • ワタリガニ。 これもスペシャリテですね。 季節により、ミソと内子の半分がかなり異なりますが、僕は内子多めが好き。 というわけで本日は実にラッキー。 ワタリガニ、好き。

  • 赤貝。 ザクザクッとした元気のいい食感。 海のような旨味とミネラル感。 鮨だから味わえる幸せ。 刺し身だったら、あえてオーダーしないし。

  • のどぐろ。 これもここのスペシャリテになりつつあります。 オレサマならこうやる。 オレサマならここまでやるって志を感じさせる高平大将らしい鮨。 握ってから人数分まとめて炙るのが一般的。 高平大将、一串ごとに炙ってから握るのが高平流。 握るの、相当熱いらしい(笑)。 意識をもっていかれそうになります。 これ1貫で1合飲める。

  • おかませ#5 媛一会 (ひめいちえ) 円月 純米吟醸

  • コハダ。 大将、コハダが苦手なのかなと以前感じてたけど、どうやら越えたのかな、。 剛速球をど真ん中にズバンと決めてきました。 〆め、シャリ、香り、旨味、どれもきれいにバランス。 めちゃくちゃ旨い。 そして、ナニ、この美しいフォルム。

  • イセエビ。 なんか、もう全部スペシャリテとしかいえないよな、こうなると。 これも2年前から登場し始めたスペシャリテ。 身を炙って、ミソのっけてまた炙る2段仕込み。 かなり熱々の鮨、超大型甲殻類しか持ち得ない超濃厚ミソソースにブリブリ筋繊維の食感、ブチ旨い。

  • ムラサキウニ。 これも十分に旨いんだけど、地元産の赤ウニの登場が待ち遠しい。

  • アナゴ。 今回は、崩壊直前まで柔らかい仕立てで、ますます僕好みになっていくアナゴ。 ツメも改良してたみたいな。 けっこう古典的なツメ。 最近、江戸前鮨の系譜をたどってたりするせいか、これが旨い。

  • 玉(ギョクじゃなくてたま)。 冷たくなくしかもしっとり。 甘すぎもしない。 品のいいたま。

  • 今宵の宴はこれにて終了。 あ〜、満たされました。 すばらしい食後感。

2025/04/01 更新

10回目

2024/12 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.6
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

一番簡単で効き目のある魔法、それは「嘘」です。


高平大将、相変わらず、というか、まったく、
人と同じことができません。

それどころか、1歩も2歩も先に行かなきゃ気
が済まないようです。

来るたびに、1つ2つ、びっくり箱を用意し
てて、客を驚かすのが好きみたい。

そして、本人は気づいてないようだけど、い
まだに進化してて、伸びしろの予想ができま
せん。


いろいろ困った人です(笑)。
おかげで僕も困っています。


魚をこんなに旨くしちゃってどうすんのかな?!
年に何度も飛行機乗って来ちゃうんですけど!?
嫁から白い目で見られるんですけど!!


魚に限って言えば、あまりに精緻な手を施し
た生、繊細かつ大胆な火入れ、これほどまで
に卓越した料理技術を楽しませてくれる料理
人は、和、洋を含め、高平大将の右に出るも
のはいないです。


断言します。
彼は超越者です。
誰にもマネできない。


科学と技術の積み重ねと組み合わせは、魚を
ここまで旨くしてしまいます。
大将はそれをよくわかってる。


江戸の「小粋」と鮨職人の技術の「粋」を凝
らしたごはん料理である鮨は、江戸を離れた
地方でも、こうして美しい華を咲かせていま
す。


ここ何度か、満たされない鮨屋が多かったせ
いか、自ずと期待が昂ぶります。


赤酢の馥郁たる香り、濃密で熟成したまろや
かな旨みに満たされ、ジグソーパズルの最後
のピースが収まりきった時のような満足感。

期待を裏切りません。


鮮烈な香りが颯爽と吹き抜ける鮨。
青春のリビドーを呼び起す鮨。


味覚よりも先に届くもの、そして、咀嚼し、
嚥下した後も残り続けるもの、そして料理を
征するもの、


それは香り。
鮨は香りがすべて。
香りは味覚を裏切りません。
旨い香りは絶対に旨い。

やはり、ここの料理と鮨が好きです。


瀬戸内が誇る旨い魚たち。
和食やフレンチの領域をも軽く凌駕してしま
う火入れ。


今宵も、
ゴ・エ・ミヨ2021日本版で、卓越した生産者
らに贈られる「テロワール賞」を受賞、全国
にその名が轟く名漁師、藤本氏が「活け越し」
でストレスを抜いたのちに神経〆した、逸品
中の逸品、超絶クオリティーの魚たちがズラ
ッと並びます。


藤本さんの魚は都内の和・洋各店でも出会う
ことができますが、手渡しできる魚と1日以
上経過した魚とでは、自ずと違いは明白です。


だから、都内の鮨屋では、このレベルの魚に
お目にかかることはありません。
絶対にです。
物理的にムリなのです。


豊洲は間違いなく、魚のロジスティックスの
絶対センターではありますが、そこには魚が
揚がる海はありません。
豊洲の魚は必ず1日以上経過しています。
それは鮮度ではなく、鮨職人の選択肢を変え
てしまいます。

この店は、ここだけの地域特性、自然環境が
もたらす恵みに特化し、存分に活かしきって
います。


だから、この店はここにある。
ここでなければ成立しない。


この店が東京にあればな、、と思ったりもし
ます。

それでも、この店はここでなければ成立しな
い。
この海のそばでなければ存在し得ないんです。

だから僕らも旅をします。



学ぶには余りに短い時の螺旋の途上にあって、
鮨職人たちは、自らの人生を捧げています。
そこに費やされた時間が、この店の料理に凝
縮され投影されます。




一番簡単で効き目のある魔法、それは「嘘」
です。

「嘘」であっても、信じる人がいます。
信じたい人だっています。

「嘘」でなくても、悪気はなくても、人を騙
してしまう、正しくないモノ・コトはたくさ
んあります。

不確かな情報が氾濫し、玉石混淆の中にあっ
て、それでも本物の料理は確かに存在します。



さて、今宵の宴の始まりです。
本日も大将の前。
カウンターから見える風景はいつものように
静謐です。

お父さんが登場するまでは(笑)。


「還暦? そりゃぁ、おめでとうございます!
 29歳ですか!」

「僕は酒やめてかれこれ6時間になります」


なぜか、本日、お父さんのギャグ、冴え渡っ
てます。

大将が魚を仕込んでる間、お父さんはギャグ
を仕込んでるようです。


さて、本日のラインナップです。

 天然青鰻
 うなぎの骨出汁
 朝4時に〆て高温熟成させたタイ
 無水無調味、低温で6時間蒸したアワビ
 切りたてのシャリとアワビの肝ソース
 イナダの炙り
 シロアマダイの炙り出汁仕立て
 ーー
 9日熟成のクエ
 タネの下に肝と薬味仕込んだカワハギ
 タネの下に香りの爆弾仕込だアジ
 塩釜の中トロ
 大間の大トロ
 ワタリガニ海苔巻き(内子・みそ)
 障泥イカ
 ノドグロ炙り
 ※このあたりからタネ、シャリを小さめに
 コハダ
 クルマエビ
 ムラサキウニ
 アナゴ
 ーー
 椀
 玉


今宵も記憶に刻まれる逸品がいくつかありま
したので紹介しましょうか。

この5品は本当に凄かった。
凄まじかった。
狂気すら感じました。


◯大型の天然青うなぎ

 今回は2品目にこいつが来ました。
 相変わらずすごいうなぎ野郎です。

 前回にもまして、デカい! 厚い!

 皮側を蒸してコラーゲンが溶け出す頃、一
 気に炭で焼き上げています。

 関東風でも関西風でもない、天然鰻を使っ
 た鮨屋だけにできる鰻。
 タレを使わないので、本当にピュアで猛烈
 な鰻の香り。
 鰻が焼ける原始の香り。

 はぁ〜、鰻ってこういう香りだったのかぁ。
 香りだけで1合飲めます。

 一切の誇張なく、バリバリッとした皮の食
 感。
 決してふわふわではない脂を大量に含んだ
 白身。

 咀嚼のたびに僕の野生が覚醒し、唸ります。
 海の肉を食らってる感覚。
 もっともっと食い散らかしてみたくなる。

◯タイの刺し身

 この店一番のスペシャリテと言えばタイ。
 大将が自信を持ってそう語ります。

 藤本氏の手になる超絶クオリティのタイ。
 大将の冴えわたる包丁を映したかのように
 静かに蒼く透きとおる白身。

 当日の朝4時に〆て、高めの温度で短期熟
 成させてます。

 清澄にして清廉。
 きれいよりきれい。
 これはもう神の食べもの。

 邪さんも狡猾さんも腹黒さんも、みんな仲
 良く浄化されます。

 熟成、熟成いうてる熟成信者どもを巴投げ
 でぶっ飛ばすような、永遠に噛みしめたく
 なる食感。

 噛みしめるほどにあふれる白身の旨味。
 1日未満の熟成でこの旨味。
 信じられません。
 雑味などかけらもない清らかさ。

 鮨屋では、よく白身を塩でどうぞって言わ
 れることがありますが、僕はあれには懐疑
 的で、塩でいただく良さが感じられること
 は稀です。
 たいていは醤油のほうがいい。

 ですが、ここのタイやアコウだけは、清ら
 かな塩でなければ味わえない領域であるこ
 とがはっきり実感できます。

 鮮烈で爽快な風が吹き抜けるような山葵の
 香りと辛味を塩が一層引き立てます。

 前回、いただいたメイチダイもそうでした。

 背の身、腹の身、どちらも特徴があって旨
 い。
 口の中で長く楽しめるのは背の身かな。

◯イナダの炙り

 皮目をバリッと炙って、そこから火入れの
 グラデーション。
 
 大将得意の料理法です。
 もう何度も何度も食べてきました。

 が、本日のイナダは特別でした。
 身の締り、反する柔らかさ、脂の量、火入
 れ、そのすべてが旨い方向に結びつきまし
 た。
 
 シンプルな醤油ベースのタレが下味になっ
 て、青ネギ、生姜、山わさびの爽やかな香
 りと苦みが、暴走する濃い脂身を上品に包
 み込みます。

 魚という食べものの常識を軽く打破してき
 ます。

 見た目は焼き魚に醤油をかけたものと大差
 ないですが、その味わいたるや、グランメ
 ゾンの一皿を遥かに凌駕します。

 炭は皮を心地よい食感へと変化させ、人を
 わんこに変貌させるほどに香りをたて、時
 間をかけて脂の層へと侵入し、溶かします。

 脂が染みわたり、溶け出す頃、舌に優しい
 温度となって、野性味と気品を備えた料理
 に昇華し、そのすべてを僕らは一口で味わ
 うことができます。

 皮目が、脂が、白身が、ほんとうに旨いの
 です。

 料理は科学ですが、優れた科学は時に魔法
 のように働きます。

 この旨さを長く長く味わいたい。
 だけど、一番旨い時を逃したくない。
 すべてを一口で豪快に食い尽くしたい。

 矛盾と混沌と歓喜に恍惚となりながら、皿
 だけになった風景を前にした喪失感といっ
 たら。。

◯カワハギと肝の握り

 白く透き通り、小気味よい食感とさっぱ
 りとした身と、クリーミーでエロティック
 でありながら、あん肝よりもフグよりも清
 らかな肝が旨すぎるカワハギの握り。
 大好きです。

 貧乏人のフグ、などど軽んじられ、その昔、
 江戸前ではカワハギを使わなかったとか。
 誰、そんなこと言ったバカは?

 そんな頭が昔々な人は、この素晴らしく旨
 い鮨ダネを一生、知ることなく死んでくだ
 さい。

 高平大将、やっぱり人と同じことができま
 せん。

 身も肝も熟成させてしまいました。
 しっかり脱水された肝は清廉でありながら
 マスカルポーネのような熟成感を醸してま
 す。
 
 身も透明感を残しながら薄っすらと熟成色
 に仕上がり、カワハギの握りを食ってる気
 がしません。

 ブラインドならシロアマダイと勘違いする
 ほど上品な旨味を感じます。

 そこに濃厚な乳製品を感じさせる肝です。

 「旨い」より旨い言葉を僕は知りません。
 酒をじゃんじゃか呼びます。

◯アジの握り

 前回お伝えした、ちょっと頭、おかしー
 ノドグロの握り。
 
 満を持して出してきた、

  オレさまがやったらこうなる、
  オレさまならここまでやる、

 という自信と技量を見せつけるようなノド
 グロ鮨を、今回、僅差で破ったのがアジ。

 アジはもともと江戸前の鮨タネとしてドン
 ピシャですが、今回はすごかった。

 活け越しして十分にストレスを抜いて、〆
 たのちに熟成。

 その香り、その旨味たるや、マグロやウニ
 など江戸前の華とされるタネを軽々と凌駕
 します。

 タネの上ではなく、中に仕込まれた香りの
 爆弾は控えめですが、この脂がのりまくっ
 て旨味を増したタネに素晴らしく爽快な和
 の彩りを加えます。

 そして、ここのキリッとした酢だちと芳醇
 なまろやかさを感じさせるシャリとの最高
 のマリアージュ。

 江戸前鮨の1つの完成形です。


もうこの5品だけで本日のお代は十分、元取
れました。
満たされました。
恍惚となりました。


狂おしいほどに旨い。
真に狂気を感じさせる、鬼気迫るような料理
と鮨。

どこにでもあるのに、どことも違う。


兄弟子であり、ともに修行し、同じ屋根の下
で生活してたという、かの鮨宮川の大将を
して、

「狂気の人」

と言わしめる高平大将。


10年後、彼はまだ44歳です。
人として、鮨職人として成熟した彼の鮨を何
がなんでも味わいたいものです。


その頃、僕は74歳。
立派な後期ダメ人間になってる頃。
がんばってダメ人間の道を邁進しなきゃ。


その料理は人を生かす力になり得るのです。


日本酒を半合づつ4種に竹鶴ハイボールをい
ただいて33,000円。

都内では絶対にお目にかかれない、超絶クオ
リティの素材に、稀有な才を惜しみなく投入
した卓越の料理と鮨。


もう西日本は言うに及ばずです。
ここを超える鮨屋が日本に何軒あるだろう?

と正直、思います。


ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の主に鮨屋をめ
ぐっています。
食べログを始めて1年が経過しました。
いいね、フォロー、保存いただいた方々、大
変、励みになります。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー

━ バリアフリー情報 ♿ ━
予約時に「車いすだぜ」って伝えておけば、
玄関にスロープを設置してもらえます。
店内までは完全にフラット。
一人でも十分OK。

  • 玄関をくぐり、この暗く短い回廊を通るたびにワクワクします。 宴の始まりの高揚感。

  • カウンターの上もつけ台にもほぼ何も置かれていません。 ここは非常にミニマルで美しい。 三尺、約1メートル弱という絶妙の距離を置いて、今日も大将と向き合えることを幸せに思います。

  • おまかせ#1 おまかせの清酒の最初はいつもこれ。 石鎚の「愛」。 愛媛県内の特定の飲食店でのみ提供される酒。 大将も主要メンバーである「愛媛食材研究会」と石鎚酒造が新しい 酒造りに取り組むプロジェクトから生まれた酒。 豊かな吟醸香にふんわりとした優しくもしっかりとした味わい。

  • カウンター正面。 静謐な時を感じさせます。 ただし、お父さんが登場するまでの僅かな時間です(笑)。

  • フグの白子。 焼いたふぐの白子の茶碗蒸し。 上に熱々の餡がかけられ、焼かれた白子もアツアツ。 この季節の一品目らしい。 茶碗蒸しとは言え、大半は白子。 熱さが勝って、白子が以外にもさっぱりといただけます。 一品目から酒を呼びます。 器もいいですね。

  • これがまな板にのるたびに歓声があがります。 この日の個体は特に大きく厚みがありました。 まだ煙がたちのぼり、香りが猛烈に襲ってきて、僕らは一瞬でわんこになります。 大将がすばやく切り分ける間すらもどかしい!

  • 天然青鰻の焼き。 わずかな時間なのに待ち侘びました。 前回にもまして、デカい! 厚い! 皮側を蒸してコラーゲンが溶け出す頃、一気に炭で焼き上げています。 関東風でも関西風でもない、天然鰻を使った鮨屋だけにできる鰻。 鰻が焼ける原始の香り。 咀嚼のたびに僕の野生が覚醒し、唸ります。 海の肉を食らってる感覚。 もっともっと食い散らかしてみたくなる。

  • おまかせ#2。 松山三井(まつやまみい)を使った純米酒。 米感がしっかりした、ちょっと酸味が特徴の酒。 脂があふれる魚や濃厚な料理には相性バツグン。

  • 鰻の骨出汁。 さきほどのうなぎの出汁。 わずかな調味のみですが、味わい深い魚の出汁を堪能できます。 骨でこんな豊かな旨味が抽出できるって、どんな技だよ、いったい。

  • 名漁師、藤本氏の手で活け越しされてストレスを抜いた後、神経〆されたタイ。 その後、大将が1日未満の短期熟成させてます。 静かに冷たく冴えわたる包丁の技が清らかな身を通して伝わります。 清澄にして清廉。 これはもう神の食べもの。 噛みしめるほどにあふれる白身の旨味。 塩でなければ味わえない稀有な個体。 鮮烈で爽快な山葵の香りと辛味を塩が一層引き立てます。

  • アワビ。 原材料、アワビのみ。 水すら使いません。 無調味で6時間低温調理。 森咲智美くらい豊満でムチムチでプルプルです。 男なら誰しも絶頂を迎えずにはいられない、香りと食感と旨味のエロティシズム。 アワビの正体はコラーゲンだと思いしるほどに旨い、旨すぎる。 器も素敵です。

  • おまかせ#3 花のような香り。 柔らかい甘さと瑞々しい酸味が軽さが共存し、シルクのようになめらかで 心地よい旨みの酒。

  • 切りたてのシャリアワビの肝。 握る前の、名刺代わりのシャリ。 まずはこいつが、めちゃめちゃ旨い。 だからここの鮨が旨い。 それを、アワビの肝ソースにぶっこんでまぜまぜ。 瞬間に、世界一旨いアワビリゾットの完成です! 100杯くらいおかわりしたい!

  • イナダの炙り。 大将得意の料理法です。 青ネギ、生姜、山わさびの爽やかな香りと苦みが、暴走する濃い脂身を上品に包み込みます。 脂が染みわたり、溶け出す頃、舌に優しい温度となって、野性味と気品を備えた料理に昇華し、そのすべてを僕らは一口で味わうことができます。 矛盾と混乱と歓喜に恍惚となりながら、皿だけになった風景を前にした喪失感といったら。。 酒を飲むのも忘れてた。

  • シロアマダイの炙り。 丁寧に火入れしたシロアマダイを自身から引いた出汁の中でふぐしながらいただきます。 貴婦人のような気品あるシロアマダイの脂が炙られて香ばしいのです。 日本酒と抜群の相性。 ただ、魚の焼きが2品続くので、何らかの変化が欲しかった、、というのはこの店だけに言える贅沢。

  • おまかせ#4 しぼりたて新米新酒第1号。 新酒ならではの若々しくシャープな旨味、フレッシュ感、キレ味。 新酒の醍醐味です。

  • クエ。 9日熟成のクエです。 ブリブリの新鮮なクエは鮨には馴染みませんが、熟成されたクエの身は、上品で繊細で舌に旨味がまとわります。 白身の旨い鮨のお手本のような鮨。 すばらしいスタート。

  • カワハギ。 高平大将、人と同じことができません。 身も肝も熟成させてしまいました。 しっかり脱水された肝は清廉でありながらマスカルポーネのような熟成感を醸してます。 身も透明感を残しながら薄っすらと熟成色に仕上がり、カワハギの握りを食ってる気がしません。 この透明感がエロティックです。 美味いよりも旨い。 こういうのが酒を呼ぶんだよな。

  • アジ。 素晴らしいというか、江戸前鮨の生徒会長のような鮨でした。 江戸前の技術とは、青魚を旨くするためにある、ともいい切れるほどに旨い鮨でした。 不飽和脂肪酸で頭も血液も若く保てるオジサンたちの味方。 しかも旨い。 毎日食べたい。

  • 中トロ。 塩釜産です。 上品で重量感のある脂にわずかな酸味。 非常にバランスの良い中トロ。 ただ、カワハギ、アジがあまりに素晴らしくて少し霞んじゃう。

  • 大トロ。 大間産です。 この季節の大トロは脂が飽和状態。 もう口の中はあふれんばかりに脂まみれです。 江戸前鮨の華。 資本主義の原理原則に逆らうことができないタネ。 旨い、旨すぎる。 でも、コスト込で考えれば、僕は、上述のカワハギやアジのほうが断然、好感がもてる。

  • 竹鶴ハイボール。 脂っこい2つマグロのせいか、日本酒が重くなってきたので。 さっぱりしますなぁ、これ。 口直しして、鮨も終盤へ。

  • ワタリガニ海苔巻き。 ここの定番。 おもしろいのは、季節ごとに、その日ごとに内容が変わります。 この日はメス。 内子もミソもたっぷり。 わずかなシャリとカニの身の上にこの2つが彩ります。 蟹好きにははずせない、この店のスペシャリテです。

  • 大将、職人による一品モノが大好きです。 なんだかうれしそうに話してましたよ、このおろし金。 和歌山県は橋本にあるおろし金専門の板金職人の手で一目一目、タガネにより立てた刃物。 お父さんが山葵おろしに使ってました。

  • イカ。 アオリイカ。 少し白く飛んでますが、縦横に包丁が細かく入ってます。 こうすると旨味、甘みが素早く味蕾に届きますからね。 だけど、僕は、スーッと3,4本、包丁を入れて、パキッとした食感からゆっくり甘みが届くイカのほうが好きなんです。 このあたりから、お腹がきつくなってきて、大将に、タネもシャリも少なめでお願いしました。 フォルムがシャープになってるでしょ?

  • ノドグロ。 オレさまがやったらこうなる、オレさまならここまでやる、 という自信と技量を見せつけるような鮨。 満を持して、くるますしにノドグロの登場です。 瀬戸内のノドグロをここまで昇華させてしまう大将の新たな愛媛スペシャリテになりそうです。 ふつー、ここまでやらんでしょ。 高平大将、やはり「狂気の人」。

  • コハダ。 前回、アレ?って思うほどに、大将らしくない完成度のコハダでしたが、今回は きっちり仕上げてきました。 もともとキリッと酢だちがいいここのシャリに合わせて、少し優しいめの〆具合。 いいですねぇ。

  • クルマエビ。 そろそろお腹が限界に近いかな。 朝9時過ぎにカツカレーを食べたきりなんだけどなぁ。 このヘタレな消化器官がほんとにムカつく。 なので、こんなに小さなエビの姿に。 大将は、クルマエビにも温度のグラデーションをつけます。 下半身から徐々に半生状態に。 プリプリから少ししっとりめへと食感の変化が楽しめます。

  • ムラサキウニ。 出回り始めた旬の走りのムラサキウニ。 旨いですねぇ。 ただ、この店では、やはり地元産の赤ウニが待ち遠しい。

  • アナゴ。 大将、この1年、好んで大穴子を使います。 骨を1つ1つ取り除く作業も大変らしい。 今回は、ふわっふわの崩壊型江戸前アナゴ。

  • 味噌汁をいただきながら、本日のコースを振り返ります。 記憶に刻まれる逸品たちにも出会えていい宴でした。

  • 玉。 このフォルムを見てるだけで、大将らしさが見えてきます。 どこまでもこだわらなければ気がすまない大将(笑)。 この一片にも技ぎゅつの粋が投入されてるのがわかります。

2024/12/24 更新

9回目

2024/08 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.6
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

人を生かす力、それは狂気です。

昨年の秋以来、

オマエの好きな鮨屋つれてけー とか、
旨い鮨屋つれてけー      とか、

オジサンたちがうるさくて、挙句の果てには、
嫁までが、松山つれてけーって言い出す始末。


ようやく3ヶ月ぶりに1人で訪店。
やっぱり鮨屋は一人に限ります。

白木のカウンターで一人静かに大将の包丁捌
きを楽しみ、最良の魚介たちが料理へと昇華
していく姿を堪能し、酒を飲み、鮨を味わう。
そんな時間が至高なのです。


僕は晴れ男でも雨男でもありません。
強いていうなら、熱男。
ワクワク鮨旅の1、2日前になると熱が出ます。。

昔、遠足とか修学旅行とか、うれしいたびに
熱だしてましたが、今は鮨旅で熱。
子供かよ。


そんな時、頼りになるのが抗生剤。
僕は、トマトと抗生剤は全面的に信頼してる
のですよ。

熱のせいで、大将には、つまみも鮨も半分の
量でお願いしようかと思ってたけど、午前中
にチェックインしたホテルで4,5時間ほど
休んだらすっかり元気に。


いつも通り、この日もつまみはフレッシュな
当日〆めが中心。
そして鮨の多くは熟成させた個体が多めでし
た。


この店を一言で特徴づけるなら、日本料理や
鮨の領域を超越した火入れと、舌を巻くほど
良質な瀬戸内の魚介を使った、この海、この
街でしか成立しない鮨屋、かと。


豊洲は間違いなく、魚のロジスティックスの
絶対センターではありますが、そこには魚が
揚がる海はありません。
豊洲の魚は必ず1日以上経過しています。
それは鮮度ではなく、鮨職人の選択肢を変え
てしまいます。

この店は、ここだけの地域特性、自然環境が
もたらす恵みに特化し、存分に活かしきって
います。

だから、この店はここにある。
ここでなければ成立しない。


「活け越し」されたり、放血神経締めされた
超絶クオリティーの魚たち。
都内の鮨屋では、絶対にお目にかかることは
ありません。
今治の名漁師、藤本さんの魚であってもです。
物理的にムリなのです。

くるますしは藤本さんの魚を手渡しできる距
離ですから。

これこそが愛媛の、くるますしの醍醐味。

獲った魚を数日泳がしてストレスを抜き、活
きた魚の脳と脊髄を破壊し瞬殺し、その場で
血を抜き、冷やすことで、死後硬直を遅らせ、
筋肉破断強度を維持し、アデノシン三リン酸
(ATP)の減少を防ぎます。
「鮮度」を維持し「熟成」の元を守るんです
ね。

筋肉破断強度は食感に、ATPは旨味(イノシ
ン酸)に大きく影響します。
刺し身なら、プリプリ感を残した食感、鮨や
炙りならしっとり感と香りと旨味というよう
に、1つの個体であっても、異なる時間管理、
温度管理を経て、朝獲れのまま使ったり、1
日から2週間以上熟成させて使ったりと、魚
種や料理用途によって適切な仕事が施されま
す。


料理は科学です。

そして、ここで使うのは、ほぼ、

 塩、しょうゆ、酒、酢

のみで、加えて、素材から滲みでた出汁と脂、
そしてわずかな薬味。
あとは、超絶の火加減のみ。

たったこれだけの素材で、これだけの料理。
これが、素材を活かしきった一点突破の鮨屋
の仕事です。


都内の調子こいた鮨屋みたいに、一枚10万円
を超えるようなウニ板どばーっと積み重ねた
り、キャビアをのせたり、そんなアホなこと
はしません。

一皿に込める技を見せつけてきます。


その一皿一皿に敬意をこめて、僕は、

「瀬戸内スペシャリテ」

と呼びます。


さて、それでは3ヶ月ぶりに至高の宴、始め
ましょうか。


本日は、普段、この店では見かけない魚がい
くつか。
季節柄、魚集めに苦労してるのかもしれませ
ん。

本日のラインナップ。

 大型の天然青鰻炙り
 メイチダイ フレッシュ
 伊勢海老炙り 1日熟成
 鮑 無調味、6時間低温調理
 マナガツオ(3キロ)炙り 
 クエ(10キロ)のしゃぶしゃぶ  
 ーー
 白甘鯛 6日熟成
 イサキ炙り 5日熟成
 剣崎イカ  
 マナガツオ(別個体) 3日熟成
 さく漬け(6日)大トロ 
 わたり蟹(メス)
 シンコ
 のどぐろ炙り
 アジ(1キロ)
 赤ウニ 2日熟成
 鮎蒸し寿司
 大アナゴ
 玉(「たま」です)
 味噌汁


さて、今宵も出色の逸品がいくつかありまし
たので紹介しましょう。
この6品は本当に凄かった。
凄まじかった。
狂気すら感じました。


◯大型の天然青鰻

 一品目からすごいの来ました。
 今宵も相変わらずぶっ飛ばしますなぁ。

 関東風でも関西風でもない、天然鰻を使っ
 た鮨屋だけにできる鰻。
 タレを使わないので、本当にピュアな炙っ
 た鰻の香り。
 鰻が焼ける原始の香り。
 はぁ〜、鰻ってこういう香りだったのかぁ。
 香りだけで1合飲めます。

 一切の誇張なく、バリバリッとした強い食
 感。
 決してふわふわではない脂を大量に含んだ
 白身。

 咀嚼のたびに僕の野生が覚醒し、唸ります。
 味付けは塩のみ。
 海の肉を食らってる感覚。
 もっともっと食い散らかしてみたくなる。


◯メイチダイ造り

 お父さんが、東京ならキロ2万円というほ
 どの高級魚らしいです。

 確かに、
 清澄にして清廉。
 きれいよりきれい。
 神の食べ物のようです。

 熟成、熟成いうてる熟成信者どもを大外刈
 でふっ飛ばすような、噛みしめたくなる食
 感。
 歯を大切にしたいと思います。
 でなきゃ、この楽しみが味わえない。

 にも関わらず、噛みしめるほどにあふれる
 明瞭な白身の旨味。
 雑味などかけらもない。

 鮨屋では、よく白身を塩でどうぞって言わ
 れることがありますが、僕はあれには懐疑
 的で、塩でいただく良さが感じられること
 は稀です。
 たいていは醤油のほうがいい。

 ですが、この品だけは、清らかな塩でなけ
 れば味わえない領域であることがはっきり
 実感できます。

 前回、ここでいただいた、アコウもそうで
 した。

◯クエ

 10キロもあるクエ。
 なのにきめ細やかで表面が脂でテカテカ。
 白身の間には脂とコラーゲンの層が見えま
 す。

 肉厚でしっとり、しかし食べごたえあり。
 10%程度の生感を残す絶妙な炙り加減。
 これを醤油でいただくだけでも十分に旨す
 ぎなはず。

 それを、魚脂が乳化して白濁した白湯スー
 プでいただきます。

 もちろん鶏、豚はまったく使わないので、
 味わいは上湯に近い、魚版白湯です。

 フランスにコンソメ、フォン・ド・ボー、
 フュメドポワソンがあるように、日本には
 精進出汁や合わせ出汁あり。
 そしてこれは、日本の新しい出汁。
 魚白湯出汁。

 こういう料理は、ここでしか味わえない。

◯イサキ(鮨)

 今年の愛媛のイサキはもう半端ないんです
 が、今宵もめいっぱいやらかしてくれまし
 た。

 写真からも伝わると思いますが、上品だけ
 どあふれ出すほどの脂が炭火で炙られて、
 香ばしさと旨味が暴走するのです。

 酢だちが明確なシャリと口腔内で混ざり合
 う頃、魔法をかけられたように、気品に満
 ちたごはん料理に変貌します。

 こんな旨いもんが世の中にあったのかー、
 と心が慟哭します。
 嚥下後の恍惚感、喪失感といったら・・

◯ノドグロ(鮨)

 鮨とは思えない変な形状、変な包丁入れて
 るな、、
 いったいどうするつもりなの、大将?
 と思いながら眺めてました。

 全国の鮨屋で大流行のノドグロだけどこれ
 まで、ここでノドグロの握りはなかった。
 究極の炙りと半生感味わってほしくて、と
 大将。
 何やら新しく開拓したよう。

 興味深く観察してると、まずは大将が1人
 分を一串で串打ちし、全人数分を炙り、弟
 子くんにバトンタッチ。
 弟子くんは一人分だけ炙る。
 それを大将に戻し大将が握る。
 弟子くんが次を炙り、大将に渡して握る、、
 の繰り返し。

 いくら面の皮の厚い大将でも熱々過ぎるら
 しく笹の葉をはさんで熱を遮って握ります。
 こんな炙りノドグロのプロセス、見たこと
 ない。

 オレさまがやったらこうなる、
 オレさまならここまでやる、

 という自信と技量を見せつけるような鮨。
 ノドグロと言えば、みんな北陸から目線に
 なりますが、瀬戸内のノドグロをここまで
 昇華させてしまう大将の愛媛スペシャリテ
 への誇りと力量に感服です。

 ふつー、ここまでやらんでしょ。
 高平大将の兄弟子でもある、かの「鮨宮川」
 の宮川大将が言う通り、高平大将、
 「狂気の人」。

 ますます惚れましたなぁ。
 日本海で、九州で食いまくってきましたが
 本日、僕史上、至高のノドグロとなりまし
 た。
 
 これ5個ちょうだいって言ったら大将、
 こたえてくれるんだろうか。。


◯鮎蒸し鮨

 でっかい蒸籠から出てきたのは・・
 大将が大急ぎでソースをかけ、弟子くんも
 大急ぎでアオサをのせ、大急ぎで客の前に。

 よほど熱々で食べさせたいらしい。

 もう蒸しを超えて、水で焼いた感じです。
 ウォーターオーブン料理です。

 若くて青くて苦くて深いソースがふわりと
 した鮎の身と酢だちのいいシャリを強く結
 びつけ、
 若くて青くてちょっとスイカのような香り
 が強烈に押し寄せます。
 
 熱い!旨い!香る!
 去年初めてこの料理が出たけど大幅に進化
 してます。

 これ、鮨?
 地球上になかった新しい食べ物では?


もうこの6品だけで本日のお代は十分、元取
れました。
満たされました。
達しました。
恍惚となりました。


真に狂気を感じさせる、鬼気迫るような料理
で、大将、魂出し切ったのかな、これまで感
じたことがない、わずかに残念な品がいくつ
かありました。

まずはシンコ、これは大将、苦手なのかな。
経験不足かな。
もちろんここでは初めての品でした。

そして大定番のアワビ。
明らかに旨味がいつもより劣りました。
この料理には一切調味しないので、個体差が
出やすいのかな。


まぁ、この2品の減点を補って余りある驚き、
感動、もう腰砕けになりそうなほど圧巻の宴
となりました。


ほんと、来るたびに驚かさせる。
相変わらず、尖りまくりの高平大将。
若さの力、突進力は魅力です。

が、、彼があと10年、人としても、鮨職人と
しても、熟練の頃にさしかかったらどうなる
んだろう、、って楽しみでなりません。

うーん、僕もそれまで元気に生きていなきゃ
って強いモチベーションが生まれます。
これってすごいことだと思います。

僕は、くるますしさんに生かされてるんです
よ(笑)。
高平大将の狂気の領域とも言える品々が僕の
命をつないでくれます。

45歳になった高平大将の鮨、必ず食べに行き
ますから。


実は今日、大将のちょっとしたミスでめった
にない3回転になってしまったとかで、お父
さん、大将のことをボロクソに言うてて、普
段、ちょっと痛いギャグが、妙に冴え渡って
たことも付け加えておきましょうか(笑)。


料理6品、鮨12品、玉、味噌汁、そして、
日本酒4品+白州ハイボールを合わせて、
33,000円ほど。
ここ3年で何度かにわたりお代が上がってき
てますが、それでも十分過ぎる満足感と食後
感、幸せ感。
魚の質、技量、心地よさを考えると、僕の
中での競合は、唯一、鮨 宮川さんだけかな。


ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の主に鮨屋をめ
ぐっています。
食べログを初めて1年が経過しました。
いいね、フォロー、保存いただいた方々、大
変、励みになります。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー

━ バリアフリー情報 ♿ ━
予約時に「車いすだぜ」って伝えておけば、
玄関にスロープを設置してもらえます。
店内までは完全にフラット。
一人でも十分OK。

  • 18時の部。 外はまだこんなに明るいんです。 でも、料理と鮨と酒に浸りますよ。 いつも通り、スロープを設置いただき、お父さんが待っててくれました。

  • おまかせ#1 いつもの、石鎚 愛。 安定のスタートです。

  • 一品目、いきなりきました。 大型の天然うなぎの炙り。 これを8等分していきます。 鰻もデカいけど、大将の顔もデカく撮れちゃった。 ほんとはこんなにデカくないですから(笑)。

  • 関西風でも関東風でもない、鮨屋仕立て。 鰻を焼く本当の香りを経験できます。 香りだけで1合飲める。 脂を蓄えて厚みも十分。 バリバリっと音を立てて咀嚼するたびに野生が覚醒します。 鰻は動物です。 鰻のあとは、キュウリと酢が目を覚まさせてくれます。 本日の逸品#1

  • メイチダイ。 東京ならキロ2万円というほどの高級魚らしいです。 熟成、熟成いうてる熟成信者どもを大外刈でふっ飛ばすような見事な歯ごたえ。 清澄にして清廉。 噛みしめるほどにあふれる明瞭な白身の旨味。 雑味などかけらもない。 本日の逸品#2

  • 伊勢海老。 炙りたての熱々を大将が大急ぎで切り分けます。 この店は温度に非常にこだわりがあるんです。 ちょっと、「めくみ」さんに似たようなこだわり。

  • 大型の甲殻類特有の太い筋繊維が食感と甘い旨味を伝え、ミソを使ったソースがまとわりついて、 エビのハイパーインフレーション! 旨味の大砲火をぶっ放します。

  • おまかせ#2 加儀屋純米吟醸。 地元愛媛の食中酒にこだわった蔵元らしい。 ほんのりとした吟醸香と強い旨み。 若干の酸味を効かせたキレのある酒。

  • 鮑。 この店のスペシャリテ中のスペシャリテ。 なんですが、今回は少し鮑らしい旨味に欠けました。 これまであまりなかったこと。 個体差があるのかな。

  • ここで必ず、お父さんから「肝ソースは少しだけ残しといてね」って声がかかります。 少しだけ、ではなく大量に残したほうが、このあとがうれしくなります。 作りたての酢の角が立ったシャリとこのソースが生み出す肝ソースリゾットは何度いただいても至福。

  • マナガツオ。 3キロと大型のマナガツオの炙りです。 皮目はバリッと音をたてるほどに炙り、徐々に生に近づけ、温度のグラデーションを描くこの店のスペシャリテ。 大将得意の超絶火入れの逸品です。 マナガツオって、焼くとほこほこと少々大ぶりな味わいになる店が多い中、この火入れが常識を変えてきます。 広島の出汁で有名な店などでは、惜しいことにこれができないんだよな。

  • おまかせ#3 京ひな 七星剣 純米大吟醸。 これもここでは定番の酒。 なめらかな口あたりときれいに澄んだ味わい。 米の旨みが感じられ、キレの良さも光る。 いい酒です。 石鎚 愛同様、大好きです。

  • クエ。 10キロもあるクエをしゃぶしゃぶ仕立てに。 きめ細やかで表面が脂でテカテカ。 白身の間には脂とコラーゲンの層が見えます。 むっちりとしてプルプル。 なんと贅沢な旨さ。 魚脂が乳化して白濁した白湯スープでいただきます。 もちろん鶏、豚は使わないので、味わいは上湯に近い、魚版白湯です。 日本の新しい出汁。 魚白湯出汁。 こういう料理は、ここでしか味わえない。 本日の逸品#3

  • 白甘鯛。 盛り皿が変わりました。 漆でしょうか。 映り込みがきれいです。 忘れた頃に完成してきたって大将。 包丁と同じで、オーダーして2,3年後に完成することが多いんだって。 白身のクイーン。 本日も期待通りに美しすぎる旨味。 味わいつくしたくなる鮨のスタート。 素晴らしい。

  • イサキ。 今年はイサキがやってくれます。 上品だけどあふれ出すほどの脂が炭火で炙られて、香ばしさと旨味が暴走するのです。 酢だちが明確なシャリと口腔内で混ざり合う頃、魔法をかけられたように、気品に満 ちたごはん料理に変貌します。 こんな旨いもんが世の中にあったのかー、と心の中で叫びます。 嚥下後の恍惚感。 そして喪失感・・ 本日の逸品#4

  • 剣崎イカ。 2種の包丁を使い分けて刻みます。 このあたりも高平大将らしい。 旨味を全面に推しだすための包丁。 実は毎回書くけど、僕は、サクッとした食感のイカのほうが好きなんだよなぁ。 大将、そっちの包丁入れてくれないかなぁ。

  • おまかせ#4 川亀酒造 純米吟醸 中汲み 無濾過生原酒。 愛媛県八幡浜市の小さな蔵元の酒。 酒質の一番安定した中汲みのみを瓶詰めした数量限定酒。 香りが華やかで、旨み、酸味のバランスが良好。 キレもあって食中酒としてもいい感じ。

  • マナガツオ。 料理のマナガツオとは別の個体で、こちらは3日熟成。 熟成ものは、どちらかというとぺったりとなめらかな食感のタネが多い中、こちらはグリッとした鮮度を感じさせる食感を残しています。 なんでこんなに旨いんだよ、ここのタネは。 いや、シャリはもちろん、僕の中では、鮨 宮川さんと並んで日本一ですが。

  • 中トロ。 6日さく漬けした大トロに近い部位の中トロ。 あれあれ、、これまでさく漬けなんて出たことなかったけど、どうしたことかな? さく漬けと言えば、兄弟子の宮川大将の定番。 これ、ほんとに旨いんですよ。 さく漬けすることで、漬けられたとこと漬けてないとこが明快なグラデーションを生み出すんですよ。 良質な国産マグロあってこそですが。 うーん、この店で過去一のマグロの握り。

  • ワタリガニ。 これも大きなワタリガニを使った定番。 でも、来るたびに、季節のたびに、内容が変わります。 この日はメスのワタリガニ。 なので、内子とミソ。 昨日は雄だったらしい。 この下にはほぐし身とシャリが隠れています。 熱々で旨〜。

  • シンコ。 この店では初めてでした。 めったにないですが、これはどうしたことか、大将らしくない完成度。 下処理が十分でないようです。

  • ノドグロ。 まずは大将が全員分を炙ります。 全国的には大流行ですが、実はここではお目にかかったことがありませんでした。

  • 次に弟子くんが、一人分づつ炙り、大将は握る準備。 肌の色や言葉はアレですが、この弟子くん、既に日本人の精神性、職人魂が宿りつつあります。 動きを見てるだけで十分わかります。 この子の成長は来るたびに目をみはるものがあります。 お父さんも鮨職人なんだって。

  • なんだかものすごく熱そう。 なので、笹の葉を挟んで熱さを和らげているようです。 素晴らしい連携技は見てて楽しい。

  • オレさまがやったらこうなる、オレさまならここまでやる、 という自信と技量を見せつけるような鮨。 遅れながらも、満を持して、くるますしにノドグロの登場です。 瀬戸内のノドグロをここまで昇華させてしまう大将の新たな愛媛スペシャリテになりそうです。 ふつー、ここまでやらんでしょ。 高平大将、やはり「狂気の人」。 本日の逸品#5

  • アジ。 デブでメタボなアジです。 1キロもあるんだと。 もうそれってアジじゃなくてシマアジじゃね? ってくらいデカい。 お気づきでしょうか? アジをこんな形に握るの大将くらいじゃないかな。 タネの仕立てまったく違う高平流。 脂とろとろで香りの爆弾なしなのに、めちゃくちゃ旨い。 どうなってんの、このアジ?

  • 鮎の蒸し鮨。 でっかい蒸籠から出てきたのは・・ 大将が大急ぎでソースをかけ、弟子くんも 大急ぎでアオサをのせ、大急ぎで客の前に。 二人の連携はすっかり板についた感じ。 よほど熱々で食べさせたいらしい。

  • 若くて青くて苦くて深いソースがふわりとした鮎の身と酢だちのいいシャリを強く結びつけ、若くて青くてちょっとスイカのような香りが強烈に押し寄せます。 熱いし、旨いし、香り高い。 去年初めてこの料理が出たけど大幅に進化してます。 鮨の領域を超えて、地球上になかった新しい食べ物になってしまいました。 本日の逸品#6

  • 赤ウニ。 一点のにごりも感じさせない、ピュアな赤ウニ。 バフンウニばかりがウニじゃない。 北海道がかりがウニじゃない。

  • アナゴ。 ここ1年くらい、大将、大穴子ばかり使います。 骨がデカいので全部抜くんだとか。 それがすんごい手間なんだって。 江戸前の、ふわふわ崩壊系とはもう別の鮨です。 アナゴの香りと柔らかい食感が3倍増されたペヤング超大盛り焼きそばみたいなアナゴの握り。

  • 玉(ギョクでなくてたまって発音してね) ここのタマは、しっとりとして量感がたっぷりのタイプ。 芝海老のフレーバーもしっかり。 これのために、もう一杯もらうか(酒ね)いつも悩む。

  • 味噌汁。 今宵の宴もこれでおしまい。 大将やお父さんたちは、これからすぐにもう1回転。 ほんとにご苦労さまです。 あー、今日の逸品6品は凄まじかった。 忘れられないなぁ。

  • 風格あるRC造のファサードから、闇に一点浮かび上がる縁先手水鉢を現代的にアレンジ したような室礼を抜けると見事な大ぶりの白木の一枚板が待っています。 テーマパークのアトラクションに入ったような高揚感があります。

  • 松山空港離陸直後。 西に向かって離陸し間もなく大きく左に旋回。 石槌山上空を経て、右手に太平洋を望みながら、紀伊半島を通過後、太平洋に出て房総半島に至る、 という、羽田〜松山の往路とは少し異なる航路をとります。 グッバイ、松山。 また3ヶ月後。 帰りの機材はB8-900、機材コード78M。 ANAさんの安心あったか明るく元気なフライトでのんびり帰ります。

2024/08/23 更新

8回目

2024/05 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.4
    • | 雰囲気4.6
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

90%嘘だとわかっていても、残り10%に確信が持てない限り、その嘘は確実に心を揺らすのです。

僕の鮨めぐりの旅はいつも一人。
白木のカウンターで一人静かに大将の包丁捌
きを楽しみ、最良の魚介たちが料理へと昇華
していく姿を堪能し、酒を飲み、鮨を味わう。
そんな時間が至高なのです。

なのに、この店に関しては、もう半年以上、
一人で行けてない。

 旨い鮨屋、連れてけー     とか、
 オマエの好きな店連れてけー  とか、

周りのオジサンたちがうるさくて。

そして、ようやくオジサンたちのリクエスト
を一通り満たしたかと思えば、本日は、とう
とう、嫁。

ここは嫁には秘密にしておきたかったなー。
きっと、

 「いつもこういうとこで遊んでんだな。」

と思われたことかと・・
あーあ。
早く一人で鮨屋行きてー。


風格あるRC造のファサードから、闇に一点
浮かび上がる縁先手水鉢を現代的にアレンジ
したような室礼を抜けると見事な大ぶりの白
木の一枚板。

人の姿のない静謐な空間に、鮨屋初心者なら
背筋がピンとなるかもしれません。

まぁ、でも緊張するのもそこまで。
おとうさん(先代)が声をかけてくれ、大将
と挨拶を交わす頃には気持ちもほぐれること
でしょう。


ここは、ゆるりと軽く挨拶代わりの料理なん
か出しません。
一発目からぶっ飛ばしてきますよ。


本日のつまみは、ほんとにすばらしい個体が
揃い踏みでした。
その多くが、当日〆たフレッシュな個体。
熟成の手を借りません。

熟成も科学ですが、こちらも科学。
どこぞの、東海地方の有名魚店が得意な長期
熟成魚にはその良さもありますが、こと食感
に関しては、どうにも、べちゃってし過ぎて
て、僕はちょっと苦手。


この日、素材の旬が奇跡のように重なり合い、
どれもが最高の逸品といっても過言ではない
くらい、絢爛のつまみの数々と相成りました。

それでも、そんな中にあって、逸品中の逸品
がありました。

1つは、大将が、

 「うちの一番」

と言い切る、鯛。

見事としかいいようがない、名漁師、藤本さ
んの手になる鯛。
大将に、

 「今季、最高で最後」

と言わしめるほどの愛媛の最良の個体。

当日神経〆めしたもので、ちっとも熟成させ
てません。
あえて言うなら、割と高めの温度で超短期熟
成。
にも関わらず、

 ナニ、この旨味は!

と驚くほどに旨い!
加えて、アスリートの美しい筋肉を思わせる
ような、素晴らしい食感。
熟成信者どもを大外刈で豪快に薙ぎ払うほど
の旨さ。

これを自家製ポン酢で和えて、そこに大量の
鯛の白子をのせていただくわけです。

 白子の量がおかしいだろ!

って思いません?
この量、おかしいですよね。
聞けば、市場でオスだけかき集めてこれだけ
の白子を確保したんだとか・・

この鯛の白子、この量をいただいて初めて気
づきました。
フグのそれより、深く甘く濃いんです。
濃厚で真っ白で清廉な旨味。
神様の食べものみたいです。

これを下品にかき込んで一気食いしたら、獣に
変身するんじゃないかと思うくらい、
何かが覚醒しそうです。


そして、もう1つの逸品は間違いなくイサキ。

この時期の愛媛のイサキ、ものすごいですね。
脂が蕩けて、流れ出しています。
なんですかー、このケシカランやつは!
ブリブリに太ったデブでメタボで活きのいい
イサキ。
淡い白身のイメージが強いイサキが僕の中で
ひっくり返りました。

ブリやマグロのような重量級の魚の脂よりも
軽く上品。
透明感のある口溶けのよい白身。
そして、藁で燻して炭で炙った皮目。
目の前で、皮目と白身の間から脂が溶け出し
ていくのがわかります。
目と鼻が、

「今すぐ食え!」

って叫んでます。


アコウ(キジハタ)の炙りも、オコゼの全部
のせも、いつものアワビも、他では決して味
わえないレベル。

少し酢だちが強めの、僕が今、日本で一番好
きなシャリを使った鮨の数々も、もう腰砕け
になるほどに旨かった。


鮨に関して言えば、本日の逸品は、天然ウナ
ギを使った海苔巻き。

関東の鰻重のような蒸し工程はなく炭火で直
に炙るのみ。
文字通り、皮目はバリバリの炙りたて。
ツメは使わず、きりっとさっぱりとした味付
けにシャリを合わせて、炙りたての海苔で包
みます。

想像してみてください。
写真を撮るのがやばいくらいに熱々なんです。
いまだ炙りの煙が立ち上りそう。
海苔と皮目に一気に歯を立てると、バリッ、
ザクッと軽快な音。
重量感のある脂がジュワッとあふれ出してシ
ャリに染み込んで、咀嚼のたびに旨味が深ま
ります。
あー、いつまでもこの幸せに包まれていたい!

このわずか数十秒の間、僕は絶頂感に満たさ
れ、至りました。

こんなに旨くても、本日の逸品には一歩及ば
ず。

いかに今宵の鯛とイサキがものすごかったか、
伝わったでしょうか?

つまみはフレッシュな当日〆めが中心だった
一方、鮨の多くは熟成させた個体が多めでし
た。

「活け越し」されたり、放血神経締めされた
超絶クオリティーの魚たち。

獲った魚を数日泳がしてストレスを抜き、活
きた魚の脳と脊髄を破壊し瞬殺し、その場で
血を抜き、冷やすことで、死後硬直を遅らせ、
筋肉破断強度を維持し、アデノシン三リン酸
(ATP)の減少を防ぎます。
「鮮度」を維持し「熟成」の元を守るんです
ね。

筋肉破断強度は食感に、ATPは旨味(イノシ
ン酸)に大きく影響します。
刺し身なら、プリプリ感を残した食感、鮨や
炙りならしっとり感と香りと旨味というよう
に、1つの個体であっても、異なる時間管理、
温度管理を経て、朝獲れのまま使ったり、1
日から2週間以上熟成させて使ったりと、魚
種や料理用途によって適切な仕事が施されま
す。

料理は科学です。

そして、ここで使うのは、ほぼ、

 塩、しょうゆ、酒、酢

のみで、加えて、素材から滲み出た出汁と脂、
そしてわずかな薬味。
あとは、超絶の火加減のみ。

たったこれだけの素材で、これだけの料理。
これが、一点突破の鮨屋の仕事です。


その一皿一皿に敬意をこめて、僕は、

「瀬戸内スペシャリテ」

と呼びます。


この店を一言で特徴づけるなら、日本料理や
鮨の領域を超越した火入れと、舌を巻くほど
良質な瀬戸内の魚介を使った、この海、この
街でしか成立しない鮨屋、かと。


豊洲は間違いなく、魚のロジスティックスの
絶対センターではありますが、そこには魚が
揚がる海はありません。
都内の魚は必ず1日以上経過しています。
それは鮮度ではなく、鮨職人の選択肢を変え
てしまいます。

この店は、ここだけの地域特性、自然環境が
もたらす恵みを存分に活かしきっています。

だから、この店はここにある。
ここでなければ成立しない。


江戸前の技を極めし鮨屋は、既にいくつかあ
ります。

ただし、魚介という素材を、僕らが知らない
未知の領域まで至らしめる道、今の日本の鮨
屋において、その先頭を走るのは、この店か
も知れない、と思うのです。


特徴あるつまみは、その発想、料理法、完成
度において、日本随一と言っていいと思いま
す。
蒸し、煮、炙り、低温、すべての火入れが、
日本料理、フランス料理の名店すら凌駕しま
す。

ブレゼでもポアレでもポッシェでもグリエで
もない、大将独自の多彩な火入れを駆使した
つまみは、僕らの脳の新たな部位を覚醒させ
ます。

握るだけでなく、火入れもすべて大将が受け
持つことで実現できる技。
なので、しょっちゅう、大将、カウンターか
ら姿を消します。
ほんとにフル稼働。
そして、質の高いアウトプット。


そして、大将の技を支えるのが、今治のカリ
スマ漁師、藤本純一さんや、素材の味わいま
で変えてしまうという包丁研ぎ師の藤原将志
さんらの技師(わざし)たち。
「愛媛食材研究会」を中心とした生産者や料
理人たちとの日々の研鑽も、この店の成長を
加速させているのでしょう。


今、地方が、若い鮨職人たちが動き始めてい
ます。
ますます楽しみです。


卓越した料理と鮨だけでなく、大将が選び抜
いた古伊万里や信楽の器の数々にも目を向け
てみてください。

そして、「おとうさん(先代)」のちょっと
痛いギャグに和むのも、この店のユニークな
お楽しみかと。


僕が敬愛するフーディーがこんなことを言っ
ています。

 「結局、最後は客への、料理への
  愛なんだろうな。」

と。


90%嘘だとわかっていても、残り10%に確信
が持てない限り、その嘘は確実に人の心を揺
らします。

が、、こと、この店に限って言えば、100%
真実。
対価を裏切ることは決してありません。
どころか、あなたの想像の斜め上行く食体験
になることでしょう。

これだけの料理と鮨に二人で日本酒5合(写
真1枚取り忘れ)飲んで、一人ほぼ30,000円。
十分に納得できる値付けだと思います。

地方の鮨屋を食べ歩いてきた僕が愛してやま
ない「くるますし」。
心をこめてオススメします。


ーー
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  • おまかせの清酒の最初はいつもこれ。 石鎚の「愛」。 愛媛県内の特定の飲食店でのみ提供される酒。 大将も主要メンバーである「愛媛食材研究会」と石鎚酒造が新しい 酒造りに取り組むプロジェクトから生まれた酒。 豊かな吟醸香にふんわりとした優しくもしっかりとした味わい。

  • オコゼの全部のせ。 ここのオコゼの炭火炙りは圧巻ですが、こちらもすごい。 当日〆たバッキバキの白身に、胃袋、皮、肝、卵と多くの部位をそれぞれ 調理したのち合わせて、最後に煎酒のジュレをかけた料理。 醤油よりも昔から庶民の調味料である素朴な煎酒。 これが一品目です。 おこぜの命まるごといただきます。 食とは過酷で厳粛なもの。

  • おこぜの骨汁。 先程のオコゼの骨を煮出した汁。 ここは、その日使った魚の骨汁を必ず出します。 鯛だったり、イセエビだったり。 共通するのは、塩以外、調味料を使わないこと。 都内には骨汁出す超有名イノベーティブな店もありますが、こと魚の扱いに関しては遠く及びません。 これが日本の鮨屋の技です。

  • アコウ(キジハタ)。 どこの鮨屋もサクで炙るのが常識。 ここは、まず切り分けて串に通して皮だけ炭火で炙ります。 違いは火入れに現れます。 わかりますよね? サクと切り身では、火の通り方が違うんです。 これ、ほんとに旨かったー。 超高級魚の新鮮で品のある食感に炙った香りがまとわりついて、しかも1割り程度、 火が通ってるんですよ。 これが高平マジック。 未体験ゾーンへようこそ。

  • おまかせ2品目。 松山三井(まつやまみい)を使った純米酒。 米感がしっかりした、ちょっと酸味が特徴の酒。 脂があふれる魚や濃厚な料理には相性バツグン。

  • 鯛。 大将に「今季、最高で最後」と言わしめるほどの超絶個体と鯛の白子を和える。 言葉に尽くせないほどの引き締まった素晴らしい食感と信じられないほどの旨味。 自家製ポン酢にハイパーインフレな白子。 ポン酢と素材だけ。 これを下品に一気食いしたら、獣に変身するんじゃないかと思うくらい、 何かが覚醒しそうです。 熟成熟成言うてる熟成信者たちを大内刈りでぶっ倒す、旨さの暴力です。

  • アワビ。 原材料、アワビのみ。 水すら使いません。 無調味で6時間低温調理。 あなたが大好きなグラビアアイドルのボディーくらい豊満でムチムチで プルプルです。 僕は森咲智美が好きです! 男なら誰しも絶頂を迎えずにはいられない、香りと食感と旨味のエロティシズム。 アワビの正体はコラーゲンだと思いしるほどに旨い、旨すぎる。 器も素敵です。

  • 握る前の、名刺代わりのシャリ。 まずはこいつが、めちゃめちゃ旨い。 だからここの鮨が旨い。 それを、アワビの肝ソースにぶっこんでまぜまぜ。 瞬間に、世界一旨いアワビリゾットの完成です! 100杯くらいおかわりしたい!

  • イサキの炭火炙り。 高平大将、ちょいちょいいなくなります。 たいてい、奥で魚を炙っています。 これが超絶な火入れとなって登場します。 本日はイサキ。 愛媛の旬、そして本日〆めたばかり。 脂が蕩けて、流れ出しています。 ブリブリに太ったデブでメタボで活きのいいイサキ。 柑橘の香りを加えた醤油に脂が浮き出して旨そう!

  • この料理、イサキのイメージがひっくり返りますよ。 重量級の魚の脂よりも軽く上品。 透明感のある口溶けのよい白身。 そして、藁で燻して炭で炙った皮目。 目の前で、皮目と白身の間から脂が溶け出します。 ポアレでもポッシェでもグリエでもない、彼独自の火入れ手法 バリッとザクッと、そしてしっとり。 目まぐるしく変化する食感と旨味のグラデーション。 魚の旨さの限界を突破します。

  • おまかせ3品目。 清らかな口あたりで澄んだ味わい。 米の旨みと吟醸香、そしてキレのいい酒。 これは贅沢だなー。

  • コノコとサザエの茶碗蒸し。 今が旬真っ盛りの愛媛のさざえ。 茶碗蒸しというより、ムースです。 なまこの卵巣である、このこ。 独特の風味と食感。 これをさざえの出汁を使って茶碗蒸し風に仕立てています。

  • サザエの塩味と苦味が十分に滲み出たオトナの酒肴。 きれいなグリーンはサザエそのものの色。 これも調味ゼロ。 鯛の白子、アワビ、イサキと酒が無情に消えていく中、ここらで少し 箸休め、と思っても休ませてくれません。 もう、イケイケです。

  • 白甘鯛。 ここから鮨です。 白身の女王。 脂たっぷり、旨味あふれるまさに白身のクイーン。 3日熟成でも、歯ごたえはしっかり。 歯切れがいいのでシャリとも十分馴染みます。 美しい旨さに満たされます。

  • マナガツオ。 口にした瞬間、ザクッとした食感。 これがマナガツオ? マナガツオってしっとりまったりしてるよね? 聞くと、切り方が違うんだとか。 へぇー、包丁使いでこんなに食感が変わるんですね。 甘くしっとりとした旨味に活力ある食感。 旨いですねー。

  • アマテカレイ。 梅雨の時期が旨いと言われる愛媛産のカレイ。 これも熟成させて旨味が十分なのに勢いのある食感が楽しめます。 抜群に旨い! さすがにこれだけの個体は、豊洲ではムリですね。 カレイは鮨と相性がいい魚。 この店がここにある理由、ここでなければ成立しない理由がこれです。

  • 血合いぎしの中トロ。 これだけは瀬戸内海では獲れません。 血合いぎしの中トロは赤身と中トロの間。 脂がのってて歯ごたえの良いトロが味わえる貴重な部位。 鉄分の存在感があって香りもいいですね。 繊細な脂ののりもなめらか。 口腔内の温度でゆるりと蕩けます。

  • 大トロ。 中トロに比べても、脂の融点がぐっと低くてすぐに蕩けます。 愛媛産じゃなくても、旨いものは旨い。 この店は、都内の鮨屋のようにマグロを至上命令のように扱わない ところがいいですね。

  • シラサエビ。 車海老ではありません。 二周りくらい大きな初めて聞く海老。 車海老ほど色鮮やかではありませんが、大将が言うように、カニとエビを 合わせたような味わい。 甲殻類っぽさがより濃いです。 シャリの3倍はある巨大サイズですが、筋繊維はしっとりとしなやか。

  • アジ。 大型のアジです。 3日間熟成。 まったりとアジの旨味たっぷりの鮨のための魚。 香りの爆弾の力を借りて、江戸前鮨の旨さにうっとりです。 さすがに、シマアジほどの深い味わいは期待できません。

  • 本日の鮨の一等賞。 天然うなぎの炭火炙りを炙りたての海苔で。 文字通り、皮目はバリバリの炙りたて。 ツメは使わず、さっぱりとした味付け。 写真を撮るのがやばいくらいに熱々です。 ザクッと軽快ないい音。 弾ける香り。 重量感のある脂がジュワッとあふれ出して咀嚼のたびに旨味が深ま ります。 このわずか数十秒の間、僕は絶頂感に満たされ至りました(笑)。

  • メバル。 なんか、いかにも瀬戸内前って感じ。 めばるの鮨、はじめてかも。 クリクリプルプルした食感に、小型の魚にしてはしっかりとした 香り。 白身の魚って江戸前ではあまり大切にされない感じがありますが、 白身のほんとうの実力をこの店で知っていただきたい。 鯛やヒラメにも負けない瀬戸内前の逸品。

  • 4品目、撮り忘れました。 おまかせ5品目。 媛一会 山廃仕込 純米吟醸。 こちらも松山三井100%。 口当たりが柔らかな、米の旨みが強い酒。 脂が強いタネが続いてるし、続きそうなので、このくらいの酒っぽさが ちょうどいい感じ。

  • イセエビ。 通常300g程度が、こちらは1kgの超大型。 ここ1年、毎度、これが登場します。 もう、ここのスペシャリテの1つでしょう。 〆たあと血抜き!?して、1日熟成させてます。 これがどう姿を変えていくのか、終盤の見せ場でもあります。

  • 叩いて、刻んだイセエビの身は等分されシャリと合わせて炭火で。 上から炙るんで炭火サラマンダーですね。 そして、その後、エビミソをたっぷりのせて、またサラマンダーで 炙る。 弟子くんが炙り、大将が横から具合をチェック。 これが毎度、なんか可笑しいんですよ。

  • そして完成したのがこれ。 イセエビの炙り握り。 大ぶりの筋繊維はいい塩梅にほぐれ、味わい深くなり、他のエビには ない、超絶濃厚で少々暴力的なミソとともに頬張れば、カウンターの 全員、獣さんです。 ザクッザクッと筋繊維を咀嚼し、ミソを味わう。 もう、みんなライオンさんです。

  • 赤ウニ。 今季初の愛媛産赤ウニ。 ついこの間、この店で最後の赤ウニをいただいて、もう季節が一回転。 季節の移ろいが加速してて怖いです。 北海道だけがウニではありません。 小ぶりな赤ウニの濃密な旨味、一度経験してほしいな。 これからもっともっと味わい深くなるとのこと。 またここに来るのが楽しみです。

  • アナゴ。 300gもある大穴子。 ここ数ヶ月、大将、好んでこれを出します。 確かに食べごたえがあるアナゴです。 江戸前のように、煮てやんわりふわふわ崩壊系とは異なる、食感を 残した仕立てなので、この大ぶり感がいいのかもしれません。 力強く味わいがはっきり感じられるアナゴです。 今回は、強くねっとりしたツメでした。 いろいろ試行錯誤してる模様。

  • いつものシンプルな味噌汁。 玉を取り忘れました。 これでおしまい。 今宵は運良く、揃いも揃った素晴らしい個体のオンパレード。 また腰砕けにされました。

2024/06/02 更新

7回目

2024/04 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.2
    • | 雰囲気4.6
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

彼はたぶん、人生が3回目なのです。でなきゃ、、

今宵も、もう腰砕けになりそうなほど圧巻の
宴となりました。


西日本を代表する鮨職人。
そう称しても、もはや、誰も異論は無いでし
ょう。

軽薄なパフォーマンスや、高額食材に頼るこ
となく、静かに、素早く仕事を積み重ねてい
く。
笑顔にはあどけなさのかけらが残るこの大将、
10代からの研鑽は、弱冠、34歳にして、既に
20年近いキャリア。

ミシュランでは、日本史上最年少にて2つ星
を獲得。
少なくとも、彼においては、年齢とキャリア
は比例しない。
店での所作や声は静かで控えめですが、その
技、経験に裏打ちされた鮨職人としての厚み、
幅広さは決してキャリアに背くことのない堂
々たるもの。

彼が生み出す料理を口にすれば、それが真実
であることに誰もが気づくはずです。

年に数回、この店に通いますが未だに伸びし
ろを感じさせる、末恐ろしい店、それが、
くるますしです。

江戸前鮨の食体験を多く重ねた人ほど、より
多くの良質な魚料理を味わってきた人ほど、
この店の真の価値を見いだすことができるの
ではないかと思います。

以前にも増して、関西、東京方面の食通さん、
鮨好きさんを目にするようになりました。


この店は明らかに特異な存在です。
決して他では出逢うことができない、
その一皿一皿を、敬意をこめて、僕は、

「瀬戸内スペシャリテ」

と呼びます。


この店を一言で特徴づけるなら、日本料理
や鮨の領域を超越した火入れと、巻いた舌
がねじ切れるほど良質な瀬戸内の魚介を使
った、この海、この街でしか成立しない鮨
屋、かと。


豊洲は間違いなく、魚のロジスティックスの
絶対センターではありますが、そこには魚が
揚がる海はありません。
都内の魚は必ず1日以上経過しています。
それは鮮度ではなく、鮨職人の選択肢を変え
てしまいます。

この店は、ここだけの地域特性、自然環境が
もたらす恵みを存分に活かしきっています。

だから、この店はここにある。
ここでなければ成立しない。


江戸前の技を極めし鮨屋は、既にいくつかあ
ります。

ただし、魚介という素材を、僕らが知らない
未知の領域まで至らしめる道、今の日本の
鮨屋において、その先頭を走るのは、この店
かも知れない、と今回の訪問で思うのでした。


特徴あるつまみは、その発想、料理法、完成
度において、日本随一と言っていいと思いま
す。
蒸し、煮、炙り、低温、すべての火入れが
日本料理、フランス料理の名店すら凌駕しま
す。

握るだけでなく、火入れもすべて大将が受け
持つことで実現できる技。
なので、しょっちゅう、大将、カウンターか
ら姿を消します。
ほんとにフル稼働。
そして、質の高いアウトプット。

鮨だけでなく、あまりに卓越したつまみのク
オリティがこの店を特徴づけています。

高平大将はたぶん、3回目の人生なのです。
過去2回の人生も鮨職人だったのです。
4回目は、きっと、勇者です。

そして、大将の技を支えるのが、今治のカリ
スマ漁師、藤本純一さんや、素材の味わいま
で変えてしまうという包丁研ぎ師の藤原将志
さんらの技師(わざし)たち。
「愛媛食材研究会」を中心とした生産者や料理
人たちとの日々の研鑽も、この店の成長を加
速させているのでしょう。


僕が今、日本で1番えこひいきするこの大将
と2番目にえこひいきする福岡の若き大将が、
今年、食べログさんのSilverに上がってきま
した。

今、地方が、若い鮨職人たちが動き始めてい
ます。

富山でも自治体や鮨屋を中心にこうした動き
が活発になっています。
ますます地方が楽しみです。


卓越した料理と鮨だけでなく、大将が選び抜
いた古伊万里や信楽の器の数々にも目を向け
てみてください。

そして、「おとうさん(先代)」のちょっと
痛いギャグに和むのも、この店のユニークな
お楽しみかと。


僕が敬愛するフーディーがこんなことを言っ
ています。

 「結局、最後は客への、料理への
  愛なんだろうな。」

と。

地方の鮨屋を食べ歩いてきた僕が愛してやま
ない「くるますし」。
心をこめてオススメします。


さて、明日も鮨屋めぐりの旅は続きます。
変なお兄さんやオネーサンに捕まらないよう、
気を付けてホテルまで帰ろー。

と思ったのですが、少々、酔っ払ってしまっ
てたようで、やからしてしまったのです。


ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の主に鮨屋をめ
ぐっています。
まだ食べログを始めたばかりですが、いいね、
保存、フォローいただいた方々、大変、励み
になります。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー

━ バリアフリー情報 ♿ ━
予約時に「車いすだぜ」って伝えておけば、
玄関にスロープを設置してもらえます。
店内までは完全にフラット。
一人でも十分OK。

  • 巨大なトラフグを厚めの細切りにして、薬味とポン酢で和えたところに 熱々の白子ソース。 鉄刺にはないグリグリの抜群の歯ごたえ、プルプルの湯引き、爽快 で引き締まった下味に濃厚で清澄な味わいの白子を絡めます。 この料理は春のスペシャリテとして定番になりつつあります。

  • これもこの店の春のスペシャリテ。 そして僕が大好きな料理。 今回も期待してた! オコゼの炙り。 皮をバリバリに炙ると、皮目と白身の間のコラーゲンが溶け出してプルプルに。 こちらもコラーゲンたっぷりの白身は10%の生感を残します。 自身の脂で揚げたような香ばしい皮にプルプルしっとりの食感。 見た目地味ですが、精緻な火入れが為せるすごい料理なんです。

  • 炙り魚が出た後は、必ずこれ。 その魚の骨で煮出した吸い物。 ほぼ調味なしです。 これがね、驚きの炙り料理で躍った気持ちをほっと静めてくれるんです。

  • どうです、この美しさ。 うちの一番は「鯛」と言い切る高平大将。 全国にその名が轟く名漁師、藤本さんの手によって泳がせてストレスを 抜いたのちに神経〆され、大将が目の前で切り分けた鯛。 手前が腹の身。 奥が背の身。 「腹と背、よーく比べて食べてみてね。」と先代。 みなさん、「先にそれ言ってよー」って一斉に(笑)。 僕は背中側のほうが好き。

  • 1年を通して出されるスペシャリテ。 一切調味なし。 6時間、低温調理されたアワビ。 それでも、いや、だからこそ、これだけの旨味のシャワー。 固い肉質は牛すじのコラーゲンのように柔らかく、アワビ自身の 塩味と旨味のみに脳が喜んでます。 先代が「肝ソースを少し残しといてね」って言う頃には、みなさん けっこう召し上がってる(笑)。 肝ソースなしで十分すぎ。 だってこのあと・・

  • こうなるんですから。 名刺代わりのシャリ。 これからこれで握ってくよって感じ。 これを肝ソースに投入。 まぁ、日本全国、よく見るプレゼンテーションです。 が、、これが、世界一旨いアワビの肝リゾットなのです。 たいたいの客がここで1回死にます(笑)。

  • キンメの炙り。 でっかいキンメの半身を大将が火入れします。 皮は自身の脂で揚げたようになり、温度差が白身に グラデーションを描きます。 皮の反対側はほぼ生です。 大将が切り分けるたびに、スーッ、ザクッと美味しい音がします。 季節で使う魚は変わりますが、この仕立て方もこの店のスペシャリテ。 繊細な火入れは、日本料理、フランス料理をも軽く凌駕します。

  • このこ(ナマコの内蔵)とさざえの茶碗蒸し。 とは言え、さざえのすり身を蒸したもの。 餡は先程のアワビの出汁。 苦みと海感は、茶碗蒸しというより、さざえのフランという感じ。 もうこれ、フランス料理でないの?(笑) 珍味のこのこ。 ものすごく奥深く、繊細な大人の味わい。 箸休めの料理なのに、旨すぎてサジが止まらないよ!

  • 箸が止まらないまま、こんどは手づかみで。 ここから握り。 しっかり熟成が完了したクエです。 白身の王です。 しっとりと柔らかくなった上質で脂がのって旨味があふれます。 フォルムも美しい。

  • イサキ。 藁で燻して、そのあと炙って、香りの二重奏。 そこに赤酢の香りが重なります。 少し酢が立ち気味のさっぱりしたシャリと炙り魚。 鮨好きにはもう説明はいりませんね。

  • アオリイカ。 少し白く飛んでますが、縦横に包丁が細かく入ってます。 こうすると旨味、甘みが素早く味蕾に届きますからね。 だけど、僕は、スーッと3,4本、包丁を入れて、サクッとした食感の ゆっくり甘みが届くイカのほうが好きなんです。

  • シマアジ。 言わずと知れた、江戸前の高級タネ。 香る鮨の定番ですね。 身の下にはしっかり香りの爆弾も仕込まれてます。 香り、旨味、食感、すべて完璧。 旨すぎます。

  • 中トロ。 美しい脂のサシが入ってますねー。 もう指に触れただけで、ねっとり柔らかで繊細な脂のとろけるような 旨味が伝わってきます。 咀嚼するたびに、美味しい香りが鼻腔を抜けます。 飲み込むのがもったいないくらいに旨し。

  • 大トロ。 中トロの3倍くらい、脂の融点が低そうな、もう指で触れる前から とろけちゃってますよ、これ。 薄い切り身を2枚重ね。 マグロは飲み物だった、ってヤツです。

  • これも年間を通してこの店のスペシャリテとなりました。 瀬戸のワタリガニのアレですアレ。 内子とミソのソース、その下には熱々のほぐし身とシャリ。 海苔でつつんで、温かいうちにガブッとやります。 ワタリカニ好き、甲殻類好きにはたまらんでしょ!! この瀬戸内の幸せを味わいたい人は、ぜひこの店へ。

  • 白身の王や炙りや脂や、もう重量級のすんごいタネが続いたあと、 これはうれしいですね。 うーん、やはり、小肌はこのタイミングでしょう。 一発目の名刺代わりに出す、都内の超有名店もあるんですけど、僕は このタイミングがいいな。 しゃきっとする酢だち、やわらかくシャクシャクの食感。 発酵香がすべてを整えて、さぁ、第二幕へとまいりましょう。

  • 赤貝。 ザクッザクッと解けかけた固い雪を踏み固めるような勢いのある食感 と海感が赤貝の美味しさ。 でっかい赤貝なので半分に切ってもらいました。 これから貝の季節ですね。

  • イセエビ。 1kgの超大物。 実は千葉が一大産地です。 なら、チバエビだよね!って大将に言ったら、じゃぁ愛媛産は伊予エビ ですねって(笑)。 実はイセエビ、あまり興味ないんです。 でっかい筋繊維が大味過ぎてあまり好きじゃないというか。 ですが、この店にかかると・・

  • 身を刻んで繊維をほぐして、握って、炭火で炙ります。 大皿にいっぱいイセエビ鮨が並んだんで、座敷はないし、「配達?」って 聞いたら、大将がUber eats用 だって言うからカウンターが大笑い。 ハンディーバーナーなんて無粋な機械は使いません。 炙り具合は上からは見えないので、弟子くんが炙って、大将が横から 何度もチェック。 二人がかりで大変な料理です。

  • これで出来上がりかと思ったら違うんですよ。 1度炙り終わったら、ここにイセエビのミソをたっぷりかけて、再度、 炭で炙るんです。 弟子くんが炙って大将が横からまたまたチェック。 ミソが、プクプクなってきたら出来上がり。 二人がかりでほんと大変。 いい香りを前に、僕らはよだれ垂らしてワンコになります。

  • そしてできあがったのがこれ。 イセエビの身とミソの炙り鮨。 この料理が出始めたのが1年前。 来るたびにちょこちょこ変わってて、試行錯誤を繰り返してましたが、 そろそろ完成形なのかなと。 濃厚で濃厚すぎるミソ、ブリブリ感と炙った大型甲殻類の強烈 な香りが脳天を突き抜け、エクスタシーへ。 あっちの世界に行ったかと思いました。 世紀末的凶暴な旨さ、危ないです。

  • 危ないのが続きます。 そろそろ旬を迎えつつあるらしい地元産のムラサキウニ。 あの鮨のあとだけに、ウニが上品で繊細で優しく感じられます。 そっか、ウニってこんなに優しい味わいだったのかと。 イセエビ炙りの世紀末的で凶暴な旨さの後ですからね。

  • アナゴ。 ものすごい大型アナゴだったんだって、これ。 まぁ、見た目もすごいですけどね。 「骨一本一本抜くのが大変だったんです!」て大将。 アナゴの骨は身の奥深くで身と一体化してるんだと。 ボリュームは、ほぼウナギでしたよ。 味わいはどこまでもアナゴ。 ほわほわでめちゃ旨くて、大将の苦労なんて一瞬で忘れてしまい ました(笑)。

  • タマ(ギョクって発音嫌いなんで)。 ここのタマは、しっとりとして量感がたっぷりのタイプ。 芝海老のフレーバーもしっかり。 これのために、もう一杯もらうか(酒ね)いつも悩む。

  • 味噌汁。 やっぱ、僕ら日本人は、これいただくと、なにかしら心の中で 落としどころを得た感じになりますよね。 今日も旨かったー。 ちょっと危なかったー。 変なお兄さんやオネーサンに捕まらないよう、気を付けてホテル まで帰ろー。

2024/04/23 更新

6回目

2023/11 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.2
    • | 雰囲気4.6
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

もはや、魔法? いえ、科学です。

僕が今、日本で一番エコヒイキして
いる鮨屋の大将。
高平康司。
若干、33歳。

この店のレビューでは、毎度繰り返
しになりますが、もう、なんかね、
言葉に尽くせないほどに、今回も圧
巻の宴となりました。

先月、日本は言うに及ばず、世界中
から食通たちが集まる北陸の小さな
街にある鮨屋で腰砕けになるほど
ヘロヘロにされ、今月、今年5回目
となるこの店では、足腰立たないく
らいトロけさせられました。


フランス料理のような、途方もない
種類の調味料(酒も含む)とスパイ
スから生み出される複雑で重層的な
味わいに対し、こちらは塩、醤油、
酢、酒とごくわずかな調味料から生
み出される一点突破の味わい。

都内の予約困難店の中には脂分を重
ねたり、香りづけをしたり、外国産
の高級食材を追加したりと、バブリ
ーで調子こいた店もあるようですが、
ここの大将はそんな姑息で小手先の
技を用いたりはしません。


稀有な漁師がいて、釣り上げて即、
最高の技術で魚を手当し、最短で鮨
職人に渡る流通が整った店が稀にあ
ります。

それは、
その地でしか成立しない店。
だから、
そこに行く価値のある店。
旨い鮨は、質のいい魚、漁師、流通
があってこそ。
料理は立派な科学です。


日本において、脈々と受け継がれて
きた料理、その中で最もわかりやす
く、かつ、料理技術の粋を集めた、
まるで日本刀のように研ぎ澄まされ
た、一点突破の料理法。
それが鮨です。

鮨職人もまた、地道な研鑽を惜しま
ないが故に到達することができた、
日本の誇り高き魂をもった存在です。
彼らが行き着い場所は、料理の最高
到達点であり、ある意味で狂気の領
域です。

これまでたどってきた道のりと試し
てきた途方もない数の組み合わせか
ら生まれた引き出しを総動員して、
頭の中で構築し続けています。
思考を止めず、探り続けてきた足跡
こそが、料理人としての厚みに他な
りません。

33歳にして、高平大将はここまで
たどりついています。
彼が40歳の頃、僕は70歳。
考えるだけで、いろいろ恐ろしいで
す。


今回は、熟成の技に頼らない、割と
フレッシュに近い調理が多いようで
した。
大将も、

「フレッシュだからこそ感じられる
 甘みを楽しんでほしい。」

とのこと。

それでも、シャリとちゃんと馴染む
のは、タネの厚さ、大きさが1mm
以下の単位で調整されてるからこそ。

名釣り師、漁師の藤本氏の手になる
魚を中心に、「活け越し」されたり、
放血神経締めされた超絶クオリティ
ーの魚のおかげもあるんでしょう。

活きた魚の脳と脊髄を破壊し瞬殺し、
その場で血を抜き、冷やすことで、
死後硬直を遅らせ、筋肉破断強度を
維持し、アデノシン三リン酸(ATP)
の減少を防ぎます。
「鮮度」を維持しながら、「熟成」
の元を守り、「腐敗」を抑えるわけ
です。

筋肉破断強度は食感に、ATPは旨味
(イノシン酸)に大きく影響します。
刺し身なら、プリプリ感を残した食
感、鮨や炙りならしっとり感と香り
と旨味というように、1つの個体で
あっても、異なる時間管理、温度管
理を経て、朝獲れのまま使ったり、
1日から2週間以上熟成させて使っ
たりと、魚種や料理用途によって適
切な仕事が施されます。

時代が時代なら、もはや、魔法?
と見紛うほどに、人の手を超えてる
んじゃないかと思うほどに感動を覚
えます。
今年だけで5回もこの店を訪れても
なお感動が薄らぐどころか、加速し
ているんです。

科学を駆使した料理、、では、ここ
の料理は

イノベーティブ?
フィージョン?

いえいえ、そんな軽々しいものでは
ありません。
ものめずらしさや、ぶっとぶ演出、
奇っ怪な組み合わせで目を奪われて
も、それが美味しさの感動を呼び起
こす力があるのかどうか、

本物なのか
パチもんなのか

口にしてみれば、すべてはわかりま
す。

これが日本の、「くるますし」の料
理です。


この店を訪れるたび、この超絶ハイ
パーな鮨職人を、そして日本人を誇
らしく思います。
そして自分自身が日本に生まれたこ
とを幸せに思います。

これだけの料理と鮨に加え、酒2合
超飲んで3万円を切りました。
もう驚きという他ありません。

日本人よ、
今一度、日本の誇り高き鮨職人の技
に感動せよ。


料理は立派な科学なのです。

ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の
主に鮨屋をめぐっています。
まだ食べログを始めたばかりで
すが、いいね、保存、フォロー
いただいた方々、大変、励みに
なります。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー

━ バリアフリー情報 ♿ ━
店内はフラット。
予約時に「車いすだぜ」って伝え
ておけば、玄関にスロープを設置
してもらえます。
一人でも十分OK。

  • 11月を迎えて期待してたんだけど、一品目から登場の甲殻類。 もうずがに。 上海蟹は別名、Chugoku Mokuzugani。 そうです、もくずがには上海蟹の同属異種。 この若い鮨職人はお弟子さんではありませんよ。 僕が今、日本で一番エコヒイキしている鮨屋の大将。 高平康司氏。 自家製ビスクのムースを注いでる最中。

  • もくずがに。 最下層から、酢飯、肩・脚の身、ビスクムース、そしてカニ味噌、内子と積み上げられたカニの玉手箱。 この季節の中華の名物、蒸し上海蟹よりも格段に価値ある美味さ。 都内の上海蟹専門店なら4,000円は下らない。 この一杯、大将が持つ引き出しが総動員され、稀有な逸品に仕上がっています。 これが鮨職人の仕事です。

  • カニ汁。 いつもなら、一品前に出される魚の骨からとった出汁なんだけど、本日はカニから。 味わい深く染み入るような旨さ。 これもほとんど調味料が使われてない、味蕾のセンサーが試されるような一品。

  • クエ。 真冬に備えて脂がのりつつある西日本が産地の旬を迎えた高級魚。 わずかに火入れされ、表面に超絶旨い脂が浮き出したクエを塩とワサビで。 舌にまとわりつく上品な脂、しっかりとした身質、ほぼ熟成なしにしてすごい旨味。 クエのポテンシャルを知らしめる一品。 既に1回目のエクスタシーを迎えたのでした。

  • キンメダイ。 この店で初めて体験する調理法。 腰抜かしそうになりました。 魚ってこんなに美味しくなるのか!と思わせる一品。 低温で一度、高温で一度、二度に分けて湯通ししたキンメ。 超絶の火入れがもたらす、柔らかくとろける食感、溢れ出す滋味深い魚の旨味を、数種の柑橘と醤油が味付けし、山椒の刺激と香りで頂点へと召されました。

  • アワビ。 これもここのスペシャリテ。 アワビ1つとっても鮨屋ごとに、ほんとに味わいはそれぞれです。 でもここの、無調味、無加水、低温で6時間煮たアワビの天然の旨味とコラーゲンの塊感は特別です。 そして、この肝ソース。 これが次、とんでもない一品のベースとなります。 このソースは、半分以上残しておかないと、このあと、人生を後悔することになるんです(笑)。

  • アワビのキモリゾット。 「後悔先に立たず」とは、この料理のためあるようなことわざ。 美味しさを先取りした人は、この料理を前にして、自分の人生を悔いてください。 そして、我慢してソースをたっぷり残した人は、自らの賢い選択の果実を存分に堪能してください。 米ってこんなにおいしい食べ物だったのか! と新たな発見ができます。 お店はソースを追加してくれることは決してありません!

  • ここの大将、炙ったり、湯に透したり、切りつけたりと一人でこなすので、厨房と付け場を行ったり来たりで忙しいのです。 藁の薫香がしてたと思ったら、炙られた大きな切身が登場。 温かいうちに供するため、大将、急いで、静かに切ってます。 僕らは、それをヨダレたらしたワンコにのように待ってます。

  • サワラ。 藁で燻して炭火焼きされたサワラ。 これくらいの大きさなると、サワラの繊細な食感と優しい旨味よりも大ぶり感が前に出てしまう店が多いんですが、さすが、この店。 いつものように、グラデーションされた温度により、皮目の香ばしいパリパリ感からしっとりとレアな食感までを一口で味わえる焼き魚。 この料理のために生まれたかのようなサワラを極上に仕上げる仕事。 これが鮨屋の仕事です。

  • オコゼ。 オコゼは見た目、怪獣ですが、皮の下には、めちゃくちゃ旨いコラーゲンがたっぷり。 あの顔からは想像できないほどに、繊細で上品でぷっくりした白身を一緒にいただけば、A5の黒毛和牛を蹴散らすような破壊力。 魚がもつとんでもない旨さ、まだ気づいていない日本人は多いような気がします。

  • タイ。 「うちの一番は、タイ。」と言い切る大将。 これが瀬戸内自慢のタイです。 江戸前では決してない、あえて皮を残したタイ。 理由は、「皮も食べてほしいから。」と大将。 この大将が言うんだから間違いない。 これが、鮨です。

  • 不明。 朝から予約時間の20時30分まで、時間を持て余してしまって、そこそこの量を飲んでしまったせいか、不覚にも、このタネだけどうしても思い出せず。。

  • マナガツオ。 見た目はちっともカツオじゃないし、味わいもカツオとは似ても似つなないマナガツオ。 カツオが獲れない瀬戸内海などで「カツオ」に見立てて「真似鰹」と呼ばれたことが由来なんだとか。 関東ではほとんど見かけないけど、しっとりと柔らかく上品な味わい。 僕は、サワラと並んで鮨タネにどんぴしゃな魚と思ってて好みです。 が、足が早く実は鮨タネにするのが難しい魚なんだとか。

  • イカ。 ネットリとした甘み、旨味を引き出すために、縦横に包丁が入っています。 僕は、江戸前の基本の縦に3,4本入れて、サクッとした食感のほうが好きなんだけど、今、日本中の鮨屋がこの包丁の入れ方しています。 やはり、ネットリ、うっとりのほうが好まれるのかもしれません。

  • 中トロ。 鉄の酸味が控えめな、上品な脂と煮きりが引き出すマグロ独特な甘い旨味が素晴らしい逸品。 いいマグロでした。

  • 大トロ。 同じ個体の大トロ。 熟成が進んで、魚の旨味の塊。 マグロは放っておいても美味しいんだけど、鮨職人の手になる熟成技は、マグロをここまで進化させてしまいます。 言葉や文化が違っててても、世界中の誰もが美味しいと感じる旨さ。 天然の生でありながら、鮨が立派な料理である所以です。

  • ワタリガニ。 これもここのスペシャリテであり、瀬戸内だからこその鮨。 実は持ってるのがつらいくらい熱々なんです。 シャリの上に蟹身の塊、その上にカニ味噌のソースをたっぷり乗せ、炙りたての海苔ではさんでるんです。 なぜか、来るたびにカニ味噌ソースの色が微妙に違います。 先々月は、薄緑のソースでした。 カニ味噌の量や、内子がいるかいないかで違ってくるんでしょうね

  • コハダ。 脂の多い、濃いタネが続いたあとにこれです。 江戸前でのコハダのポジションは、全く逆で、脂の多いタネの前に出すことが多いですが、僕は脂を落とすこの流れのほうが好きです。 味覚がしゃきっとします。 このポジションの理由は、このあとの流れからも正しい選択だと思いました。 それにしても、しっかり締めてあって、酢がしっかり表に出るこの店のシャリとともに、背筋が伸びるような旨いコハダ。

  • シマアジ。 江戸前では高級魚のシマアジ。 1キロ超えるものは、仕入れが10,000円を超えることもあるとか。 すごいですね(笑)。 ネギとしょうがから作る香りの爆弾が今回も仕込まれてました。 素晴らしい香りと旨味。 これが鮨です。

  • クルマエビ。 ムキムキの筋肉質で大ぶりなクルマエビ。 見た目通り、少し内部がレアになるような丁寧な火入れ。 サクッと音をたてそうなくらいにブリブリです。 生では決して得られない、甲殻類独特の旨味がじゅわっとあふれます。

  • ウナギ。 この期に及んでまだこんな主役級のタネが登場します。 コハダがあのポジションにないと、ヘロヘロでまた腰が砕けてしまうくらい、圧巻のラインナップ。 天然もののウナギを蒸し工程なしでバリバリに焼いて薄いガラスが割れるようなパリンとした食感の海苔でシャリではさんで、そりゃもー超絶旨いに決まってるでしょ。 煮つめ使わず塩で味付けして、ウナギの脂と旨味を前面に引き出します。

  • 大将が、炙った笹の葉の中から取り出したのはアナゴ。 大将、最後まで、厨房と付け場を行ったり来たりで忙しい。

  • アナゴ。 笹の葉から取り出されたのは、これも蒸し工程なしの、食感をしっかり残したアナゴ。 江戸前のふわふわとろとろのアナゴも美味しいですが、こうしたアナゴもありのあり。 熱々のアナゴに温かいシャリ。 タネによってシャリの温度を変えるのは、鮨屋では完全にスタンダードになりました。 これ、仕事量をかなり増やしてしまうんですどね。

2023/11/12 更新

5回目

2023/09 訪問

  • 夜の点数:4.6

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.2
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.7
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

一番簡単で効き目のある魔法、それは「嘘」です。

いつもなら、一人でめぐる鮨の旅。

今宵は、人を切らしたら鮨職人よ
りちょっと上手なオジサンと、い
ちいち人と同じであることを嫌う
絶対的ワンオフの家しか作らない
オジサン、そしてサボることしか
考えてない、前期ダメ人間のオジ
サン3名で鮨の旅。

いやはや、今宵の松山も想像を軽
く超えてくる、圧巻の宴となりま
した。
もう、なんか、言葉になりません。
若干、33歳の高平大将、いったい
どこまで行ってしまうんでしょう
か。


最高気温が30℃を下回る日が増え、
季節の移ろいを肌で感じる9月も終
わろうとしている今宵。
移ろうのは、海の中でも同じよう
で、瀬戸内の、初秋に旬を迎える
魚たちがお目見えです。


9月、漁が解禁されたばかりの伊
勢海老。
脂をしっかり蓄えたイナダ。
香り高く旨みが増したアユ。
みっちりと身が詰まって甘さが増
したオスの渡り蟹。
ラスボスみたいな顔したこわーい
ウツボ。
ㅤㅤ

お魚のロジスティックスの絶対的
センターが豊洲であることは間違
いありません。
ただ、そこには魚が水揚げされる
海はありません。
それは、漁師から鮨職人に渡るま
でに、手当されない(放置とは言
いません)時間を生み出します。
それを嫌い、獲れた魚に最短で手
を入れるために、あえて間近に居
を構える鮨屋があります。
北陸の「めくみ」さん、そしてこ
こ「くるますし」さんもそう。

都内の名店には、全国から取り寄
せる彩り豊かな魚介が並びます。
一方で、魚種は絞られますが、漁
師によって海の上で最適な処理が
施され、最短で鮨職人に手渡すこ
とができる限られた地方の名店。
そこから生まれる差は、思いの外
大きいようです。
食べればわかります。


この店が東京にあればな、、と思
ったりもします。
それでも、
この店はここでなければ成立しな
い。
この海のそばでなければ存在し得
ないんです。

だから僕らも旅をします。


学ぶには余りに短い時の螺旋の途
上にあって、鮨職人たちは、自ら
の人生を捧げています。
そこに費やされた時間が、この店
の料理には凝縮されて投影されて
るんですね。


一番簡単で効き目のある魔法、
それは「嘘」です。

「嘘」であっても、信じる人がい
ます。
信じたい人だっています。

「嘘」でなくても、悪気はなくて
も、人を騙してしまう、正しくな
いモノ・コトはたくさんあります。

不確かな情報が氾濫し、玉石混淆
の中にあって、それでも本物の料
理は確かに存在します。


いやはや、まったくもって恐れ入
りました。


本日、マイリスト第一位を、
「鮨さんとう」さんに代わって、
「くるますし」とします。


ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の主
に鮨屋をめぐっています。
まだ食べログを始めたばかりです
が、いいね、フォロー、保存いた
だいた方々、大変、励みになりま
す。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー


━ バリアフリー情報 ♿ ━
店内はフラット。
予約時に「車いすだぜ」って伝えて
おけば、玄関にスロープを設置して
もらえます。
一人でも十分OK。

  • 本日は、一皿目から、頭をガツンとやられるような強烈な逸品。 伊勢海老の炙り。 少し前までは握ってましたけど、こちらは一層、力強い。 ほのかな炙りの香を楽しみ、濃厚で強烈なミソまみれのはじこる弾力の大振りな身に食らいつけば旨味爆弾が炸裂。

  • いつもの出汁。 本日は、先ほどの伊勢海老。 甲殻類の出汁のかたまり。 調味はほぼされてません。

  • 3mmはあろう透きとおるようなゼラチン質の皮目。 なんだと思います? ウツボです。 上質なゼラチン、白くて弾力ある白身は、その外見からは想像できないほど上質。 高貴ですらあります。 酸っぱい玉ねぎソースが引き締めます。 外見で判断しちゃダメって、死んだ(死んでない!)母ちゃんの言葉を思い出しました。

  • 蒸してもないのに、分厚い青鰻が登場。 大将が切り分けてる間、オジサンたちは涎垂らしたワンコ状態。

  • 蒸し工程がないので、関東のヘタレの対極をなすような鰻。 甲殻類をいっぱい食べた鰻の一部は、最高級の「青鰻」になるんだとか。 文字通り「ザクッ!!」っと、音を立てるような皮目の食感。 タレなしで、焼き上がりを最短で客の前に。 鰻の脂と旨味を存分に味わえます。 おもわず声があがるほど、今年最高の鰻。 これが鮨職人の仕事です。

  • 焼き目にグラデーションをつけるこの店のスペシャリテは、出世魚のブリの小型であるイナダ。 関東ではハマチでしょうか。 若いけどあふれる脂をたたえています。 強烈な香りのネギ・生姜の薬味。 味醂や酒で甘く仕上げる煮汁ではなく、あえて酸味が強いソース。 これこそが鮨職人の仕事です。 本日最高の逸品。

  • ワタリガニの餡がたっぷりの茶碗蒸し。 下にはしゃりが。 まるで殻を炙ったような甲殻類特有の香りとミソ、身の旨味。 これもすごいです。 怒涛のように押し寄せる旨さの大群に、しあわせ過ぎて、もう、ヘロヘロです。

  • 旨すぎるつまみに腰抜けになる寸前、やっと鮨で一息。 とはいえ、いきなり、白身さかなの女王、白甘鯛。 高貴でありながら、強い脂身。 またまた旨味あふれる。 旨味攻撃に休む隙がありません!

  • ハマチでしょうか? この店でいつも出されるブリに比べて、20代女性ピチピチさを感じる瞬間漬け。 漬けるのは毎度、先代の大将。

  • イカに隠し包丁を入れまくる大将。 甘みを引き出す包丁の技です。

  • わずかな包丁を入れ、サクッ感が残るイカも僕は好きです。 ネットリとねばりつくほど包丁を入れる店が昨今多くなってますが、僕はこれくらいにとどめておいてほしい派。

  • この店において、これだけは四国産ってわけにはいかないようで。 キメが非常に整った中トロ。 素晴らしい香りと舌ざわり、そして品のいい脂。 美味しいです。

  • 中トロとの差が激しい大トロ。 こちらのほうがお値段、はるかに上なんだけど、僕は中トロで十分満足です。

  • 先代大将が海苔を炭火で炙り、大将が握る。 これもここのスペシャリテ、ワタリガニの身とミソのソースの海苔巻き。 季節によってはウチコが加わることも。 これ、実は海苔もワタリガニもシャリも熱々なのです。 この店だけで味わえる、親子技。 シビレます。

  • 人を切るのが上手なオジサンの写真を拝借。 この大将独特のスタイルの切りつけ方。 サワラです。

  • 皮目をしっかり炙ったサワラ。 ほんと、サワラは鮨のために生まれた魚だと思う。 やわらかいとろけるような身質と甘い脂が、大将の手技を経て最高の江戸前鮨になります。

  • これはビックリしましたなぁ。 アユの蒸し鮨。 アユの香りがうわぁってあふれます。 酸味強めのシャリに深みのある優しい肝ソース。 卓越したフランス料理のようです。 これが鮨職人の仕事。 ほんとに素晴らしい。

  • タイの2枚重ね。 初めて見ました。 この店ではめずらしく、朝揚がってわずか数時間の熟成で。 プリプリ感を残しながら、柔らかくシャリと馴染むのは、薄く2枚重ねにしたおかげ。 これ、大将の計算なんだろうなぁ。 ほんとすごいなぁ、この人。

  • お父さんが剥いて、大将が握る。 いい連携です。 エビはさばくのに時間がかかりますからね。 頭は強めに、しっぽに向かって徐々に弱く、茹でにグラデーションつけてることを知る客は少ない。 食べればわかるんだけどね。

  • 今宵の赤ウニはすごかった! 大きさ、弾力、味わい、これまでで最高の赤ウニ。 素晴らしすぎて、イッてしまいました。

  • 都内の名店に比べて、少し口当たりを残した穴子。 ふわっふわのとろっとろが東京では好まれますからね。 僕はどちらも好きです。 これだけ盛り上がった、想像の斜め上いく宴もそろそろ終わろうとしています。

  • 今宵は少し、芝海老感多めのきめ細かい食感のたま。 (ぎょくって言い方嫌いなので、僕の中ではタマです)

2023/09/28 更新

4回目

2023/06 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.6
    • | サービス4.2
    • | 雰囲気4.4
    • | CP4.6
    • | 酒・ドリンク4.4
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

科学は魔法を軽く超越するのです。

魔神ですか?
末は魔王ですか?

3月末に続き、今月も松山まで、こ
の店を訪れるためだけに朝っぱら
からANAさんの飛行機に。

今回、驚いたのは、入り口に車いす
用スロープが設置されたこと。
これまでは先代やフロア担当のスタ
ッフに親切にお手伝いいただいてま
したが、これで1人で楽に入店でき
る。
4回目の訪店にしてありがたい。


前回、その成長の速さに、もー、な
んか、圧巻というか、凄い一夜とな
った記憶も薄れぬまま、今回も、素
晴らしい一人宴となりました。

高平大将、若干31歳。
どこまで伸びしろもってんのよ、、
いったい。
魔神ですか?
末は魔王ですか?

コースの構成、流れも前回とほとん
ど変わってない。
なのに、期待を裏切る洗練度。
同じ流れ、同じ料理だけにわかるん
ですよ、その進化のほどが。
こんなに速いスピードでアップデー
トしてくる料理人、30年を超える食
いしん坊人生の中で見たことありま
せん。

酒はいつものように、いずれも半合
で出していただき、多くの種類を堪
能。

今回は、若い女将から、

「燗したお酒は好きですか?」

って初めて聞かれる。
そりゃ、まぁ、あなたのような可愛
い女性から、

「好きですか?」

って聞かれれば、男は十中八九、

「好きですよ!」

と答えるでしょ(笑)。
どうやら、最近、この店では、特定
の料理や鮨に対して積極的に「燗」
をリコメンドするらしい。
初夏の宵の時、エアコンが効き始め
たこの季節には、案外、「燗」の酒
が旨い。
「石鎚」のバリエーションを中心と
したここの酒が一層華やぐ。


ミシュラン2つ星獲得直後、まだど
こかしら凡庸で、独自の際立つ特徴
もなかったこの店が、よくもまぁ、
2年程度でここまで来るとは・・


この1年で、鮨の味わいには艶が生
まれはじめてる。
色香といってもいい。
見栄えに限らず、内より料理が放つ
氣、湧き出るように惹きつける魅力
がある。
魚が旨い。
米が旨い。
なので料理も鮨も旨い。

強く主張するわけではなく、かとい
って決して凡庸でもない。
潔い極みを感じる。
澄みきって、かつ明瞭な輝きを放つ
味わい。
それほどに旨い。

フランス料理で言えば、ルセットに
は書かれていない、いや、書きよう
のない、精緻に作られた部品の1つ
1つが一人の熟練の職人の技を通し
て組み上げられた腕時計のように、
小さな小さないろいろがきっちりと
合わさって初めて生まれるような味
わい。

イノベーティブだの、分子ガストロ
ノミーだの、最新の料理も科学の力
を結集した調理も、結局のところ、
一流の素材と一流の技術によるシン
プルな料理を前にして、無力にひれ
伏すしかないことを思い知らされま
す。

とはいえ、魚の〆め方も、熟成のた
めの時間や温度管理も、いや、料理
すべてが科学ではあるんですが・・

科学は魔法を軽く超越するのです。

さて、次はどの季節に行くかな・・
大将の進化と、季節ごとの魚を思い
描きながら、既にANAさんの予約サ
イトを眺めてる。

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主に鮨屋をめぐっています。
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店内はフラット。
予約時に「車いすだぜ」って伝えて
おけば、玄関にスロープを設置して
もらえます。
一人でも十分OK。

  • 看板。 ものすごく小さくてクリエーター心をくすぐります。

  • 予約時間に言ってみれば、スロープが設置されてる・・ 先代のお迎えをいただき、「これなら大丈夫でしょ?」って。 ほんとうにありがたい。

  • 店内の設え。 玄関からカウンターまで、こんな設えの中、進みます。 水の一滴が落ちるのを狙って撮ろうとしたんだけど、、他のお客様の邪魔になるんで。

  • オコゼ。 前回、おこぜの焼き物に目を閉じてうなりましたが、今回もすごいもん出してきた! これ、おこぜの全部。 煎り酒のジュレの下には、おこぜの切り身、キモ、子、火入れした内蔵が隠れてるんです。 黒いのは炙った皮。 さまざまな食感や味わいを、品の良い酸味に包みこんで洗練された料理にまとめ上げています。

  • タイ。 タイの刺し身を、タイの白子でいただきます。 酒が進みますねー。 このあたりで最初のクライマックス。 この季節のタイは一番力強いんだとか。 この白子、ふぐのそれより少しあっさりしてるけど、タイってこんなに大量の白子を持ってるんですね、驚きです。

  • アワビ。 いつもこの店のこの料理で書いてますが、 材料はあわび。 調味料はおろか、水すら足さない。 数時間の低温調理のたまものです。 肝ソースも鮨屋では見慣れたものですが、ここのはちょっと違う。 各店の違いを楽しむのも鮨旅の醍醐味です。

  • これも、どこでもやってることですが、めちゃくちゃ美味しいんですよね。 鮨にすると、まろやかなシャリが、なぜか、肝ソースでリゾットにすると赤酢の香りと酸味が際立つんですよね、なんでかな。。 おかわりはご法度!

  • アコウ。 全国的には、キジハタですかね。 しっかりとした身質で旨味があふれる高級魚ですね。 いつも出される「骨汁」は、今回、こうして椀として供されました。 魚の滋味あふれる汁の中に、最高の状態に仕立てられた焼きアコウ。 わずかな柑橘の香りが素晴らしいインパクトを与えて、肉にかぶりつくワンコのように、本能でいただきました。 素晴らしい。

  • マナガツオ。 これもここのスペシャリテ。 皮目をパリッと炙って、火の通しにグラデーションをつけて、焼きから生への食感と旨味の変化を楽しむ料理。 これまでも、いろんな魚がこの仕立てで供されましたが、今回のマナガツオ、柔らかく、素晴らしい脂質を併せ持ってこの料理にぴったり。 ぜんぜんカツオじゃない。 姿形も全然カツオじゃない。 なんで? マナガツオ、不思議な魚です。

  • コノコ。 茶碗蒸しです。 これは、酒飲みでないと理解できない一品。 なまこの卵巣です。 これを干したのが、クチコとかバチコと言われるもの。 魚介系の生殖器官は、酒飲みは大好きですが、生殖器官独特の香りが「絶対ムリ!」な人も多くいるようです。 針の穴を通すような、精緻な料理が求められ、ちょっと外すとエラいもんができてしまいますからね。

  • またやっちまったぜ。 なぜか、ここに来るたびに、米1粒の写真を撮ってします。 僕はここのシャリが大好きなんですよ。

  • 「燗」した酒、2種類ほどいただきました。 冷酒に混じって、瞬間、ほっとしてぼよーんとして、オジサン、カウンターでくつろいでしまいます。

  • マナガツオ。 焼き物に続いて、鮨でも。 これは美味しいですねー。 旬の「サワラ」といい勝負ができます。 こういう一品が最初に出されると、期待値爆上げです。

  • イサキ。 実は、イサキ独特のシーンとした香りがちょっと苦手。 だったんですが、この炙ったイサキは、その苦手な香りを素晴らしい香りに化学変化させています。 これはまいった。 こういうやり方があるんですね、、まだまだ、未知の驚きが隠されてる。

  • 赤身。 瞬間漬け。 これもいい色、いい香り。 本マグロの漬け、まぐろの中で一番好きです。

  • 中トロ。 どこ産か失念。 とっても軽くて、それでもしっかり粘りつき、とろけ出す脂と旨味は素晴らしい。 夏まぐろバンザイ。

  • コハダ。 今回は、車海老のおぼろを中に挟んで。 コハダの立ち上がった酸味は、コハダの握りの旨さそのものですが、間にちょっと柔らかく濃厚な甘みが入ると、これはいい感じです。 マックのバーガーをがぶっとやったときに、小さいけど強く顔をのぞかせるピクルスの逆バリ的存在。

  • マゴガレイ。 わりとフレッシュに近い状態。 鮨屋では2,3日寝かせたヒラメが多い中、プリっとした食感をあえて残しているんでしょうね。 そういや、カレイの握り、めずらしいですね。

  • ワタリガニの海苔巻き。 ここのスペシャリテですね。 季節によって、内子が目立ったり、ミソが目立ったりで1年に渡ってバリエーションが楽しめます。 瀬戸内前の鮨の1つ。

  • イセエビ。 前回、初めて出されたのがこれ。 でもしっかり進化してました。 前回は、その場で解体。 カウンターに「おぉー!!」っと歓喜の声が上がりましたが、今回は2日寝かせた身だけをその場で炙り、握り、また炙り。 活き造りは客へのパファーマンスにはなりますが、味も歯ごたえも強すぎる。 今回はじっくりと香りを味わいを楽しむことができました。 素人が喜ぶパフォーマンスよりも断然支持しますよ、僕は。

  • 赤ウニ。 これは地元産のウニですね。 バフンのほうが見栄えも旨さも上ですが、あえて地元産。 それも良し。

  • アナゴ。 江戸前では、マグロと並んで人気があるのがこれですよね。 ただ、この店では、この美味しい握りが霞んでしまうほどに、瀬戸内の美味い魚が、江戸前にはない火入れと調理で供されるので可哀想です。 でも、すごく旨いんですよ。

  • アナゴ。 江戸前では、マグロと並んで人気があるのがこれですよね。 ただ、この店では、この美味しい握りが霞んでしまうほどに、瀬戸内の美味い魚が、江戸前にはない火入れと調理で供されるので可哀想です。 でも、すごく旨いんですよ。

2023/07/26 更新

3回目

2023/04 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.6
    • | サービス4.2
    • | 雰囲気4.4
    • | CP4.6
    • | 酒・ドリンク4.4
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

ま、でも、告白一つで世界ががらっと変わってしまうこともあるのです。

冷たく切る。
静かに切る。

どっかの不思議ちゃんの言葉
みたいだけど、神様からのお
告げのように妙に感じ入る言
葉でもあります。

繊細な白身は、包丁の材質が
変わると、味が変わるそう。
たぶん僕の味覚が追いつけな
い領域。


もー、なんか、圧巻というか、
凄い一夜となりました。
ぼちぼち、全国区となりつつ
あることは肌身で感じてまし
たが、既に、というか、とっ
くの昔に、名店と呼ばれるそ
こらへんの先輩鮨屋を凌駕し
て、蹴散らしてはるか前を颯
爽してました。

なんだ、この成長の速さは!
初訪問からわずか2年。
3回目の訪問にして、この若
き鮨職人を前に、僕はひれ伏
しました、マジで。

都内の名店で修行して、帰省
後開いた店がいきなり日本史
上最年少でミシュラン2つ星
を獲得。
お弟子さんかな、と勘違いす
るほど若過ぎる大将の鮨は、
それでも2年前の僕には、凡庸
でした。

その1年後、ここにも既に書
いてますが、可愛い子を妻に
娶ってそれが原動力になった
のか、凄まじい成長を遂げ、
そして、また1年後の本日、満
を辞して3回目の来店をして
みれば、なんと、この若き大
将、既に化けてたのでした。

ま、でも、全霊の告白一つで、
心優しい嘘の一つで、一人の
男の世界ががらっと変わって
しまうこともあるんでしょう
ね。ㅤ
これだけの進化、ただ事では
ありません。
きっと、何かのタガが外れる
か、大きなブレイクするーが
あったに違いありません。


谷口さんのために、小さめに
包丁入れときましたってこっ
そり一言。
既に僕が大きめの塊が飲み込
めない可哀想な人だと記憶い
ただいているようで、こんな
ニクいことまで言えるように
なっちゃって、若いもんのと
んでもんない成長を前にして、
オジサンもちょっとがんばっ
ちゃうぞ! 


タネが旨い。
シャリが旨い。
だから鮨が旨い。

近いうちに大化けする予感し
かしません。
この店が東京でも、大阪でも、
福岡でもなく、松山でよかっ
た。

泳ぎ回っていた姿が脳内に投
影されるような、その魚の海
が見えるような鮨。

鮮度の食感と熟成の旨味とが
反比例の曲線を描き交わる瞬
間をどこまで高められるか、、

平日、火曜日の20時30分、
8席のカウンターはすべて埋ま
り、味の探求者たちがその証
人となります。

絶対、来月、もっかい行く。

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店内はフラット。
予約時に「車いすだぜ」って
伝えておけば、玄関にスロー
プを設置してもらえます。
一人でも十分OK。

  • ふぐの湯引きと白子の和え物。 1年前の訪問時と同じ料理。 だからこそ、違いがわかるのです。 1年という時間の重さが。 ザクザクと固まった氷を踏み砕いているような食感と棘のある酸味を濃厚な白子が甘く、エロく、くるみます。 この一皿で、本日起きる事件を予感したのでした。

  • タイ。 店一番の自慢は、「鯛」だと。 背と腹。 江戸前では皮は剥きますが、ここの大将、「皮も食べていただきたいです」とのこと。 鮨タネの鯛とはまったく異なる温度管理と熟成。 「鮨とは、酢飯に刺し身をのっけたものではない」を証明するような一皿。 とても、静かに切られているように見えます。

  • オゴゼ、焼き。 これも1年前と同じ順番、同じ皿で出された料理。 1年前、これが悶絶するほど旨くて、今回の再訪のきっかけとなりました。 が、、1年後の同じ料理は、もう、別次元に昇華してました。 頭が壊れるくらいに旨すぎる。 自身の脂で皮目が揚がり、燻される。 皮目と身の間のコラーゲンが溶け出す。 熱で反り上がったブリっとした厚い身から旨味が弾ける。

  • オコゼの骨汁。 材料 オコゼの骨 水 調味料なし。 潮、塩、旨味はすべて骨から。 どうやったら、こんなもんが生まれるのやら・・ ついさっきまで泳ぎ回っていた姿が脳内に投影されるような命の味。

  • アワビ。 材料 アワビ 調味料なし。 アワビの体液のみで6時間低温調理。 我が家にある20種類以上の調味料、、捨てようかな。

  • キンメ焼き。 この料理もこの店開店時からのメニュー。 温度のグラデーションが肝です。 でも、今回のグラデーションは、激しかった。 皮目は、言葉通りに音を立て、旨味と生感が舌の上で反比例の曲線を描く。 焼き魚を食べながら、徐々に刺し身食べてるという脳の違和感。 これ、フランス料理ですか?

  • 貝寄せ汁。 これはこの店初めての料理。 材料 アオヤギ 女郎貝 あといろんな貝のみなさん 水 調味料なし 旨味の塊だもの、貝は。 すごいな、この出汁。 貝は海です。

  • 清酒。 鮨屋では、だいたい、地の酒をおまかせでいただきます。 本日も、四国の酒まみれ。 石鎚「愛」。

  • 1年前のこの店の投稿でも、僕はメシ1粒の写真を撮ってました。 奇しくも今回同じ写真。 1年前も、今回も、この1粒を心底、愛してしまったようです。 ここのシャリは、現時点で、僕の一番。

  • シロアマダイ。 今、全国的に流行りつつある白甘鯛ですが、これ、絶句するくらい、これぞ、「キング オブ 白身」と言える鮨。 いやー、興味なかった白甘鯛、認識変わりました。

  • なんとかハタ。 なんかコミカルな名前のハタ。 ハタ科はみんな噛みごたえがありますが、旨味も抜群。

  • ブリ。 12日ほど熟成して瞬間漬け。 旨いに決まってるでしょ!

  • イカ。 これは東京の江戸前が美味しい。

  • マグロ赤身。 赤身の瞬間漬け。 半分中トロの部位ですが、酸味抑えめ、マグロ独自の香りと脂の旨味がとても上品。 極上です。

  • 中トロ。 僕の中では、これは大トロです。 東京の鮨通が大好きな大トロよりも脂控えめ。 ここまでなら僕も食べれます。 上品。 トロは液体です。

  • ここのスペシャリテ。 瀬戸内の蟹と言えば、ワタリガニ。 身ではなく、ミソと内子のおにぎり。 悠長に撮ってたら流れ出すのでご注意を。

  • コハダ。 美しい姿。 姿通りに、江戸前のお手本のようなコハダ。 噛み締めて噛み締めて旨味を味わいつくす。

  • これ何でしょう? 鮨屋ではまず見ない伊勢海老。 これを8人で分けます。 続く・・

  • これを炭で炙って、ミソをのせて再び炙ります。 続く・・

  • そして出来上がったのがコレ。 伊勢海老の握り。 カウンターですべてを目撃した8人から歓声が上がります。 ただ、これは残念。 身もミソも強すぎます。 鮨には向かない。

  • ムラサキウニ。 地場のウニ。 ウニはバフンのファンが多いですよね。 ただ、お値段もね。

  • タマ。 何度も言いますが、僕は「ぎょく」が嫌いなので「タマ」なのです。 とてもしっとり感が強く、シフォンケーキとレアチーズケーキの間のような食感。 これ専用の酒が欲しくなります。

2023/07/26 更新

2回目

2022/05 訪問

  • 夜の点数:4.4

    • [ 料理・味4.3
    • | サービス4.2
    • | 雰囲気4.4
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.3
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

美しい人のためになら、どんな恥だってかく準備はできてますって。

この1年でいったいナニがあっ
ったんだーー!?

どうしてしまったんでしょう、、
突然、料理が華やいでて、鮨の
味わいもキラキラしてるんです。
シャリがすっごく旨くなってる
んです。

これだけの変化は、ナニか大き
なトリガーがあったに違いあり
ません。


ちょうど1年前、初めて訪れた
この店。

地の利を生かした瀬戸内の魚介
にこだわり抜いたこの店の美味
さが、実は僕の中で十分に消化
しきれてなくて、イマイチモヤ
モヤしてたんですよ。

店構えも料理も間違いなく一流
の鮨屋。
食べても美味しい。
でも、なんだろう・・
僕の舌の感性が鈍ったのか、
よほど僕と相性が悪い料理と鮨
だったのか・・
湧き上がる感情が生まれないん
です。

いくつかの料理には驚かされた
んですが、すべてを食べ終えた
あとに感動がすごく薄いんです。

それがこの1年、なんだか、喉
元に刺さった小骨みたいに気に
なってしかたなかった。

だから、今回、27歳の当時、日
本では最年少でミシュラン2つ
★を獲得した、この素朴な若き
大将の未来を見に来ました。

伸びしろをたっぷりと備えた若
き料理人の変わり様は如何なも
のか。
あと、僕自身の舌の感性を再確
認する意味もあって。


時を置いて、同じ店の扉を開く
のは「食」への探究心を刺激し
てくれて、楽しいです。
(1年前のこの店の投稿はコチラ。)


そして今回、冒頭の文章のよう
になったわけです。
コースの仕立ては、1年前とた
いそう変わってないんですけど
ね・・

いやいや、いろいろ変わっては
いるんです。
鉄筋コンクリートのモダンな平
屋は、玄関がわずかに変わって
ました。
玄関をくぐった先は、、まった
く別の空間にデザインされてま
した。
真新しい白木のカウンターに、
一層洗練された空間にリノベー
ションされてましたが、、そん
なんで料理人は変わらないです。


酢、突き抜けた酸味の使い方。
まったく異なる食感の合わせ方。
素材の旨味の引き出し方。
そしてそして、圧倒的な素材の
魅力の引き出しすシャリ。
いずれも格段にレベルアップし
てました。

そして、、少々、少年のような
氣負った感、氣の強さが感じら
れたニキビ面が、少し柔和にな
ってニキビもなくなってより好
青年の面構え。

一層、丁寧で洗練された火加減。
ちょっとうなっちゃうほどに見
事なソース。
そうです、この店は、大将知っ
てか知らずか、多分にフレンチ
の調理要素を取り込んでるんで
すが、それが一層洗練されまし
た。

たくさんの引き出しから引っ張
り出され、混ぜ合わされた経験
値が皿の上で自由に、鮨屋の常
識を壊します。


すると、気になってしかたがな
いのが、大将をここまで変えた
理由ですよ!

で、コースが終了する頃、わか
りました、その理由。
ちょっと気になるスタッフが一
人いましてね。

おまかせした6,7種の酒を選
び、丁寧に説明してくれる新し
いスタッフ。
大将が創る料理にも鮨にも詳し
い。
振る舞いがどこかしら凛々しい。

『この1年、大きな変化が
 あったんじゃないの?』

って聞くと、大将、白状しまし
た(笑)。

『はい、結婚しました。』

と。


やっぱりね。
この魅力的な容姿をたたえる女
性こそが若き女将だったんです。

そうかぁ、信頼できるパートナ
ーの出現が、ここまで料理人を
変えてしまうのか。。

いやー、びっくりです。
いや、今さらですが、女性の存
在の大きさを思い知らされまし
た。
男を変えるのは女だったんです
ねぇ。

まぁ、美しい人のためになら、
どんなに困難な壁も飛び越える
し、どんな恥だってかく準備は
できてますって。
男ですから。


変わりますよね。
変えられますよね。
変わってしまったよな、、オレ
(笑)。

ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の
主に鮨屋をめぐっています。
まだ食べログを始めたばかりで
すが、いいね、フォローいただ
いた方々、大変、励みになりま
す。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー

━ バリアフリー情報 ♿ ━
店内はフラット。
予約時に「車いすだぜ」って伝えて
おけば、玄関にスロープを設置して
もらえます。
一人でも十分OK。

  • フグ。 あえて身をごっつく切りつけた一品。 キン肉マンのような身質のふぐは、僕に合わせて小さめに切りつけてくれる大将の細やかな仕事に感謝。 味蕾に刺さる柑橘系の爽やかな酸っぱさを、ふぐの白子が柔らかく包み込んで、噛んでも噛んでも旨味があふれて、いきなり強烈な逸品をかましてくれました。 大将の成長を感じ取れる一品。 それにしても、生殖器系の素材って、こんなにも甘美でエロティックなんでしょ!

  • 炙りおこぜ。 二品目から本日最高の逸品登場。 おこぜってこんなに超絶美味い魚だったっけ!? 切断面が丸っこい魚は皮にゼラチン質がいっぱい含まれますが、刺し身や揚げ物ではあまり楽しめない。 この炙りは、浅い火加減で、ゼラチン質がまだプルプルしてます。 上品な白身はふんわりと脂をたたえ、これが旨くて旨くて旨い!! 怪獣みたいなおこぜが、こんなに最上質のつまみに。 先のフグとこれでイッテしまいました。

  • タイ。 キレイでしょ?! 綺麗すぎます。 たぶん、自分が死んだことを知らないかのように、美しい白身。 今や、肉も魚も熟成熟成やかましいけど、このフレッシュさはどうよ! なんでもかんでも寝かせて旨味成分云々言ってる前に、獲れたてのパキパキに筋肉質の魚を食ってみって言いたい。 富山同様、漁場から市場、店まで最短で届く地の利あってこその味わい。 魚において、この差は大きいです。 白身専用の藻塩で。

  • アワビ。 一切の味付けなし。 アワビから出る体液のみで6時間ほど低温調理。 アワビのコンフィ、とでもいいたくなる。 口の中は、瀬戸の海が広がるように海。 味付けがない分、この肝ベースのソースが加わることで、アワビよりもアワビな濃厚かつまろやかさと塩加減と複雑で奥深い味わい。 これをフランス料理だと言ってもシェフたちは誰一人文句を言わないと思う。 だって、これ、ソースで食べる料理だから。

  • フグの皮の茶碗蒸し。 なんだけど、上には葛餡。 この葛が上顎にまとわりついて、食感の確かなフグの皮のコラーゲンと相まって、なんだかとっても味覚のエロい部分を刺激します。 しかも底には薄く敷かれたシャリが顔を出し、酸味が交じります。 3つの層が織りなす様は、ロワイヤル仕立てのよう。

  • 骨汁。 さきほどのおこぜの骨だけで作られた汁。 たぶん、わずかな塩以外調味してないと思います。 それでも、これだけの旨味。 焼き魚飲んでるみたい。 骨の臭みなど欠片もなし。 先日の富山の名店で出された、あたかもスープ・ド・ポワソンのような汁の対極。 どちらもお見事。 これが、魚ひとつで勝負する鮨職人の仕事なのです。

  • イシダイ。 釣りマニアには、「幻の魚」なんだとか。 これは大将得意の、皮目から身の奥へと、火の当て方に変化をつけ、温度と食感のグラデーションを楽しむ逸品。 前回は、キンキの玉ねぎのソース仕立てでしたが、今回はきゅうりのソースで。 これも見事な料理でした。 きゅうりのソースがさっぱり爽やかで素晴らしい。

  • カスゴダイ。 春です。 春子です。 江戸前の技術を結集したような鮨といえば、方やコハダ。 そしてカスゴです。 タイの幼魚で片身で鮨一貫程度の小さい小さい魚ですが、瑞々しくて柔らかいけど、鮨職人の腕が垣間見られるたねでもあります。 皮目を熱湯で柔らかくし、その後に湯霜、水分を拭き取ってこぶ〆に。 刺し身にならない、焼けない、ひと手間もふた手間もかけて生まれるキレイな味わいなのです。

  • シマアジ。 江戸前では定番の高級魚。 握る少し前に先代が瞬間漬けにしてました。 もちろん中に忍ばせた香りの爆弾が一発目の咀嚼から爆ぜて口腔内に香るわけですが。 思わず目をつぶって噛みしめてしまうほどに旨い旨い味わい。 あー、鮨ってほんとに美味しい。

  • シャリ。 あまりに旨いので、思わず写真撮りました。 こいつです。 この一粒一粒が合わさることで、このシャリが、たねをまとって見事な鮨へと昇華するんです。

  • イカ。 鮨屋によって、イカの種類によって、さまざまな包丁が入れられて、それぞれの食感を楽しめるのがイカのいいところ。 江戸前でよく使うスミイカとは異なり、このあたりのイカにはたくさんの包丁を入れるほうが確かに美味しい。

  • アナゴ。 ちょっと初めての食感かも。 僕も大好きなたねですが、多くの名店では、ほろほろと崩壊寸前で供されますが、この店のアナゴはわずかに焼いた歯ごたえを残しています。 少し身厚で人肌程度に温かさが僕好み。 もう1こ食べたかったなー。

  • 店の中。 ここもすっかり様変わり。 たった1年でいろいろ変わる。 大将、まだ若干31歳だから、これからもいろいろ変わるはず。

  • コハダ。 僕は、砂糖を一切使わない、切れのいい酢が好きです。 もちろんシャリも。 なので、シャリだけに関していえば、小野二郎さんのようなやつが好み。 そんなシャリと一番相性がいいのが、これですよ。 この店も、かなり切れのいいシャリ。 赤酢をつかってますが、まろやか寄りではないのがいい。

  • シロアマダイ。 京都では「グジ」とも言いますね。 けったいな頭の形した魚ですが、ほんのりやわらかい甘みと上品な脂の、鮨にはぴったんこの超高級魚。 しっとりと柔らかくて、アップグレードした大将のシャリとの相性もいい。 旨い旨い。

  • アカガイ。 僕はどうも、このたねの旨さがよくわからないんです。 ザクザクとした食感は嫌いじゃないんですけどね。 ただ、鮨たねにはあまりしないけど、生のとり貝の炙りは死ぬほど好きです。

  • クルマエビ。 いっけん普通の江戸前のクルマエビですが、写真でわかりますかね。 実は、頭からしっぽにかけて火入れをグラデーションにしてるんです。 エビの旨味を強く感じる頭から、甘味を感じるしっぽまで、少しづつ味わいが変化します。 すごい。

  • マグロ。 瞬間漬けにされてます。 やま幸さんではないまぐろは久しぶり。 もう、日本全国どこに言っても名店と言われる店では、やま幸さんばっかりなんで、地方めぐりの意味ないじゃん!って言いたくなる。 このマグロは秀逸でした。 鼻腔を抜ける香りがたまらん!

  • ムラサキウニ。 ウニといえば、どうしても北海道でしょ、、という声が聞こえてきそうですが、これは地元愛媛のウニ。 高級店で出されるような、1枚1枚が葉っぱの形をしたきれないウニではありませんが、味わい、旨味は負けてないこと、そんな北海道のウニラブの人に見せてあげたいウニ。 だって、あの葉っぱ系ウニ、鮨にしたら、いったいおいくらするのか知ってますか?

  • ワタリガニの海苔巻。 瀬戸内で育った僕には最も身近なカニ。 小さいけど、ズワイガニのような繊維がなく、ほろっとした塊感のある身質が特徴で、カニみそもうんまい! 本日は、内子とカニみその2種のソースが身とシャリを包み込んで、神秘的で甘美な得も言われぬ美味しさの饗宴。 まさにワタリガニの乱れ咲き。

  • 中トロ。 これも同じ個体ですごく中トロらしい脂と旨味。 口腔内で温度が上がるととろけ出す上質な脂が、この店のシャリの立ち上がる酸味を優しく包み込んで、煮切りが調味付けしてくれて、いつの間にか口の中では極上のリゾットに成り代わります。 東京の鮨屋は、マグロを不磨の大典のように扱って、赤身、中トロ、大トロとコースにのせますが、僕は大トロが苦手なので、これでよし!

  • 玉。 あまり興味のない玉ですが、これ、見た目に惹かれて食べちゃいました。 海老、芋、あと(なんだっけ・・)色々と練り込んであり、みっちりと密度と重量感ある 玉は甘さが控えられてて、酒にも合ってしまって美味しかった。

2023/07/26 更新

1回目

2021/02 訪問

  • 夜の点数:3.9

    • [ 料理・味3.8
    • | サービス3.8
    • | 雰囲気4.2
    • | CP4.2
    • | 酒・ドリンク4.1
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

間違いなく良店、、でもまだ、鮨職人の顔が目に浮かぶような何かが明確に感じられない、、けれど、そこが楽しみ。

松山市一番町ってまるでお殿様が
住んでるみたいな街におもしろい
鮨職人がいるとのうわさを聞いて
やってきました。

聞けば、開店2年目、27歳の当時、
日本では最年少でミシュラン2つ
星を獲得したんだとか。
いまだ30歳にも満たない若さ。
すごいですね。
マジ若い。

っていうか、一見、見習いくんの
ようでもあり(笑)。
それが、客の前に立ち、包丁を振
れば、みるみるオーラーが立ち上
り、誰が見てもこの店の大将の面
構えに。
不思議ですね。

史上最年少といえば、2002年当
時、28歳で史上最年少3つ星ホル
ダーとなった、マッシミリアーノ・
アライモさんの料理を味わったの
はいつだったっけか・・

あのイケメンも、今や、ヒゲオヤ
ジになってます。

若いシェフ、若い料理人の料理は
好きです。
もちろん、鮨も。

彼らの一品には、たいてい未来が
見える。
3ヶ月後、半年後、3年後、

彼らの、料理人としてたどる道を
僕にイメージさせてくれて、それ
がまた、店を再び訪れるためのモ
チベーションを刺激します。

それは再び、この店の扉を開ける
僕自身の未来のイメージでもある
んです。    

銀座の名店「よしたけ」さんで数
年修行されたとのことですが、
おそらく、この店のオリジナルと
思われる料理が続き、なかでも、
「なまこ」の一皿が強烈に記憶に
刻まれました。

「なまこ」は瀬戸内の魚介に慣れ
親しんだ人には定番のつまみで、
グリグリの食感を楽しむものです
が、60歳には案外、硬い。

そんななまこらしさをわずかに残
しながら、軽く噛み通すことがで
きたことに脳が一瞬、混乱しまし
た。

柑橘類のジュが鼻腔を抜け、透き
通るような爽やかな食感は低温調
理の為せる技。

数ミリの口の動きの中に描かれる
硬さから柔らかさへの食感の変化。
まだまだ未知の領域の美味さがあ
るもんですね。
長生きしなきゃ(笑)。

見栄え、香り、味わい、食感、そ
して火の当て方に変化をつけてグ
ラデーションのような温度差を表
現したり、小さな皿の中で、若い
ながらもたくさんの引き出しから
引っ張り出され、混ぜ合わされた
経験値が軽やかに踊ります。

なかなかやりますよ、この若きエ
ースは。

本人はちっとも意識してないみた
いですが、フランス料理とも言え
そうな皿が2,3ありました。

他にも、ふぐの白子和え、ワタリ
ガニの手巻きや煮蛤、煮穴子など
卓越した品々が供されたんだけど、
気づいた時には、口の中の幸せに
うつつを抜かしてまして。。
(撮り忘れ、、久しぶり・・)

ただ、この店の美味さが僕の中で
十分に消化しきれてなくて、イマ
イチモヤモヤしてるんで、来月、
もっかい行ってみようかと。
なんか、この店独自の極めつけ、
というか、鮨職人の顔が目に浮か
ぶような何かが明確に感じられな
かったせいかな。


そしてこの店は「氣」がいいです
ね。
清々しい。
神様がいらっしゃるのかな。

「氣」とは、人と空間が創り出す
もの。
なので大将を中心としたスタッフ
のみなさんと客がいいということ
でしょう。

そしてカウンターは整然として、
余計なものが置かれない。
大将の周りもすごく整ってる。
僕は、カウンターや調理周りが雑
然とした鮨屋があまり好きではな
いんです。

陶器、磁器など、ど素人な僕の目
にも、趣のある器の数々。
聞けば、大将、大の焼物好きなん
だとか。
へぇー、若いのに造詣が深い。

信楽焼から伊万里焼、はたまた明
朝時代の皿まで。。
手元にぐっと力が入ります(笑)。

建築や空間にも、そのこだわりを
十分に感じます。
料理人、鮨職人はクリエーターで
すから。

ーー
読んでいただきうれしいです。
車いすで飛行機に乗って全国の
主に鮨屋をめぐっています。
まだ食べログを始めたばかりで
すが、いいね、フォローいただ
いた方々、大変、励みになりま
す。
ありがとうございます!
ご参考になればうれしいです。
ーー

━ バリアフリー情報 ♿ ━
店内はフラット。
予約時に「車いすだぜ」って伝え
ておけば、玄関にスロープを設置
してもらえます。
一人でも十分OK。

  • アコウ。 1日熟成して白身専用の藻塩で。

  • 白魚の茶碗蒸しでスタート。 冷えてる体が温まります。

  • ナマコ。 この触感には脳が混乱するほど驚きました。 食べたことのない料理がまだまだ世の中にはあるみたいです!

  • キンキ。 パリッと炙った皮目から身の奥へと、温度と食感の変化がグラデーションとなって目でも確認できます。 裏方にまかせず、大将自身が丁寧に火入れしてました。

  • 骨汁。 原料、さっきのアコウの骨。 鮮度がちょっとでも劣ればクソ料理になるはず。 素晴らしい。

  • アワビ。 自身の体液だけで6時間ほど低温で煮たもの。 肝ソースで。

  • 残った肝ソースには、小さなごはん玉。 このごはんで握っていくねっていうご挨拶。 いまや、全国共通の鮨屋のルールとなりつつあります。これより美味しいリゾット、そうそう、お目にかかれませんよ。

  • タイ。 これは瀬戸内の定番ですね。 この店のごはんは、赤酢と塩のみ。 酢が立ち気味の江戸前でも、砂糖ゼロはめずらしい。 僕は江戸前仕立てのタイが大好きなんです。

  • サヨリ。 これも瀬戸内で育った人には定番中の定番。 早春の爽やかな香りが鼻孔を通り抜けます。昔、よく釣ったなぁ。

  • マグロ。 残念ながら、最良は豊洲に集まるんですよね。。

  • クルマエビ。 江戸前のド定番。 僕はあんまりそそられないタネなんですよね。

2023/07/26 更新

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