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――ジンギスカンには、ちょっとだけうるさい自分がいる。 ここは「羊一」。 目の前に運ばれてきたラム肉は、きれいなサシとしっとりとした艶。 脂身も控えめで、いやな臭みもまるでない。 北海道出身の俺にとって、ジンギスカンはソウルフード。 だけどここは味付けじゃない。焼いてからタレにつけて食べるタイプ。 最初は「おや?」と思ったが……一口で納得した。 柔らかくて、甘みがあって、クセがまるでない。 だけど、ちゃんと羊の旨味は生きている。 専用のタレも濃すぎず、肉の味を邪魔しない絶妙なバランス。 鉄鍋でジュウジュウと焼きながら、口に運ぶたびに思った。 「これは、地元にあっても通ってたな」って。 ――“また来たい”と思えるジンギスカン。 それだけで、十分価値がある。 ここは確かに、羊の旨さを知っている店だった。
2025/03訪問
1回
――「モルメン」ってやつを初めて食べる。 名前からしてなんとなくワイルドな感じはしてたけど……目の前に現れたそれは、予想以上のパンチ力だった。 味噌ラーメンなのに、ホルモンがドカンと乗ってる。しかも、けっこう量がある。 レンゲでスープをひと口。 甘めだ。けど、甘ったるくはない。味噌のコクと、野菜の旨味がちゃんと活きてる。 ホルモンもふわっとやわらかく、噛めば脂の甘みがじんわり広がる。 もやし、ネギ、キクラゲ……具材がしっかりしてる。麺を啜ると、スープがよく絡んで口の中がにぎやかになる。 これは……ラーメンというより“食べる味噌鍋”だな。 白ごはんと一緒に食べると、もう敵なし。 ――モルメン、恐るべし。次は絶対、ごはん大盛りにしよう。
2025/05訪問
1回
――湯気の向こうに、札幌の面影が揺れていた。 江戸川橋「三ん寅」—— 北海道・すみれで修行した方が営業しているこの店の味噌ラーメンは、 まるで雪国のストーブのように、ひと口で身体を芯から温めてくる。 脂の層が張ったスープは熱を閉じ込め、レンゲですくえばコクが溢れる。 チャーシューは厚みがありながらもしっとり、味玉の半熟具合も申し分ない。 上にちょこんと乗ったおろし生姜が、途中から味を切り替えてくれる。 ――あぁ、これは冬のご馳走だ。 でも、真夏に食べても間違いなく美味しい。 すみれの味が、確かにここに根を下ろしている。
2023/07訪問
1回
――玉ねぎだけで、ここまで主役を張れるとは思わなかった。 淡路島・うずの丘にある「あわじ島バーガー」。 見た目は素朴なバーガーだが、ひと口かじった瞬間、考えが変わる。 カリッと揚げられた玉ねぎカツが、ジュワッと甘く、香ばしい。 パンのやわらかさ、レタスのしゃきっと感、それらすべてが玉ねぎを引き立てる。 主役は、肉でも魚でもなく、玉ねぎ。けれど、それで十分だった。 ――口の中に広がるのは、島の恵み。 「ああ、これはもう一度食べに来る価値があるな」と、思わず遠くを見つめてしまう昼下がり。
2023/05訪問
1回
了解しました!これまでのテイストを踏まえ、「丸水 愛媛 宇和島鯛めし」のレビューを五郎さん風でお届けします。 ⸻ ――米をかき込む音しか、聞こえない時間がある。 「丸水(がんすい)」。 愛媛・宇和島に来たら、一度は食べるべきだと誰かが言っていた。 鯛の刺身を、卵と特製ダレにくぐらせて、熱々の白米の上にそっと乗せる。 一口。 ――これは、米を制するための料理だ。 つるりとした鯛に、コクのある黄身が絡み、だしの旨味が一気に広がる。 それを受け止める白米の包容力。 この丼に、不要な言葉はいらない。 ただ、箸が止まらない。 おかずたちも控えめに、だがしっかりと仕事をしてくる。 味噌汁の温かさが、食べ進める勢いに休符をくれるのもありがたい。 ――派手さはない。でも、芯がある。 宇和島の鯛めし、恐るべし。 今日の米も、最高だった。
2023/05訪問
1回
――スプーンを入れると、ほろりと崩れるチキン。それだけで、心が少し緩む。 神保町の老舗「エチオピア」。 チキンカレーを頼むと、まず山盛りのじゃがいもがやってきて、次いでスパイスの香りをまとったカレーが登場する。 辛さは選べるが、油断は禁物。辛口にすれば、額にじんわり汗がにじむ。 けれど、その刺激の向こうに、じっくり煮込まれた旨味がある。チキンは柔らかく、スパイスの鋭さと、ライスの甘みが交差するたびに、スプーンが止まらなくなる。 ――ここでは、米が主役だ。スパイスに負けない堂々たる存在感。 食べ終わる頃には、身体の芯から火が灯るような満足感が残る。 神保町に来たら、また寄りたくなる一皿だ。
2025/06訪問
1回
――真夏の陽射しが照りつける南房総。 汗をぬぐいながら駆け込んだその先に、まるでオアシスのように現れたのが「木村ピーナッツ」のピーナッツソフトだった。 見た目はやさしいミルク色。でもひと口食べれば、その印象はガラリと変わる。なめらかな口溶けの奥に、香ばしさとほんのりとした苦味が顔を覗かせる。 これはただの甘いソフトじゃない。 ピーナッツという素材の力強さと、丁寧に作られた手仕事が確かに感じられる味だ。 ――炎天下の中、歩いた距離も、じりじり焼ける肌も。 すべてがこのひと口のためだったと、そう思えるほど。 冷たさだけじゃない、心まで癒される。 そんな一杯だった。
2025/06訪問
1回
――焼ける音がいい。煙の香りがいい。そして何より、肉がいい。 ここはジンギスカンの店「かんな」。 鉄鍋の上でじゅうじゅうと音を立てるのは、真新しいピンク色の生ラム。 ラム特有のクセがほとんどなく、脂も軽やか。 火が入ると、香ばしさが立ち上がり、見た目以上の力強さが口の中に広がる。 肉の旨さがしっかりしているから、どんな食べ方でも成立する。 さらにありがたいのが、野菜おかわり自由。 ジンギスカン鍋の周囲に盛ったもやしやキャベツを、どんどん焼いてどんどん食べられる。 肉の脂をまとった野菜は、もはや“主食”。ご飯がなくても成立してしまいそうな満足感。 ――ラムの良さを、改めて思い知らされた。 かんなのジンギスカン、これはまた来たくなるやつだ。 次はもっと腹を空かせて、野菜も倍速で回してやろう。
2025/06訪問
1回
――海鮮が、まるで宝石の山のように盛られている。 これはもう、丼というより“芸術”だ。 場所は「まるり水産」、千客万来の中にある一軒。 この界隈は全体的にインバウンド価格でお高めだが……この丼は、見た目も中身も、その価格を軽々と超えてくる。 その日によって変わるという海鮮のラインナップ。 今日は、マグロにサーモン、タイにいくら。どれも切り身が厚く、脂の乗りも申し分ない。 箸でつまめば崩れそうになるほど柔らかく、口に入れた瞬間とろけて消える。 そして、赤酢のシャリ。 ほんのりとした酸味と、旨味の余韻。ネタに負けない存在感がある。 このシャリがあってこそ、丼全体がひとつにまとまっている。まるで、主役と名脇役の理想的な関係だ。 ――価格は安くはない。だが、この中では確実に“得”な一杯。 観光地の中にあって、抜けたクオリティ。これは……見つけてしまったかもしれないな。
2025/03訪問
1回
――懐かしい顔に、久しぶりに会った気分だ。 店の名は「北の富士」。もう何年も通っている。 変わったのは、値段くらいなものか。いや、そこは結構変わった。でも、味は――変わらない。 目の前のきしめんは、やわらかくて、幅広で、つるりとした喉ごし。 そして、透き通った鶏の出汁。クセがなくて、でも薄くもない。旨味の輪郭がしっかりしてる。どこまでも丁寧で、どこまでもまっすぐな味だ。 わかめと鶏肉、ネギ。シンプルな具材が、主役の出汁を引き立てている。 一口すすって、ふう、と息をつく。心がほどける感じがする。 ――値段が上がった? そうだな。 でも、この一杯を前にすると、不思議と納得してしまうんだ。 変わらないものがある。その尊さを、ここで噛みしめている。 ――ほんのり甘く、そしてスパイシー。 一口で冬の寒さがほどけていく。 旭川「北の富士 櫻屋」。 歴史を感じさせる暖簾をくぐると、重厚な器にたっぷりと注がれた「カレーきしめん」が現れた。 まず目を惹くのは、とろみのあるカレー餡。見た目は濃厚だが、香りは優しく、食欲を静かに刺激してくる。 一口すすれば、スパイスの輪郭がしっかりと感じられつつも、和風のだしがそれを包み込む。 味の構成は複雑だが、まとまりがあり、まさに「和」のカレーといった印象。 きしめんは平打ちでコシがあり、汁をたっぷり絡めて喉を滑る。具材の鶏肉は柔らかく、噛むほどに旨みが広がる。 トッピングの青菜が清涼感を添えて、バランス感も良い。 派手さはないが、ひとつひとつの仕事が丁寧で、カレーきしめんの完成度としては高い一杯。 寒さの厳しい土地だからこそ、この温かさが沁みるのだろう。 ――体の芯まで、じんわりとあたたまる。 この一杯が、今日の午後を少し優しくしてくれた気がした。
2025/05訪問
2回
――カレーの海に、白い島が沈みかけている。 ここは「インド」という名の店。 だけど出てきたのは、れっきとした日本のカツカレー。しかも、ご飯430gの大盛り仕様。最初からフルスロットルだ。 まずはカレーをひとすくい。 とろみのあるルウはどこか懐かしくて、じんわり甘い。にんじん、じゃがいも、玉ねぎ――家庭の味に近い。 だが、このボリューム感がただ者じゃない。 カツはルウに沈んでも、サクッとした衣が健在。噛むと肉の旨みと油のコクがカレーと一体になって攻めてくる。 ご飯の量が430g。数字で見るとピンとこなかったが、食べ進めてようやくその意味を知る。 なるほど、これは挑戦状だ。 ――完食。胃がどっしりと重い。けど、不思議と達成感がある。 今日も戦った。そんな気がした。
2025/05訪問
1回
――見た目に反して、するすると胃に収まる沖縄の優しさ。 琉球村 那覇空港店。 那覇旅の締めにふさわしい、空港で気軽に味わえる沖縄らしさの詰まった定食。 ソーキそばのスープは白濁しておらず、澄んだ色合いであっさりとした風味。 それでいて、豚の旨味はしっかりと感じられ、塩気と甘みのバランスが秀逸。 柔らかく煮込まれたソーキは、箸で崩れるほどほろりとしていて、出発前の緊張をほどいてくれるようだ。 ご飯には、三枚肉がたっぷりと。こちらは甘じょっぱく煮込まれ、ご飯との相性は鉄板。 ぱらりと乗った刻み海苔と小口ねぎが、脂の重さを中和してくれる。 ――さっと食べられて、しっかり満足。 このセットには、沖縄の空気がまだしっかりと息づいていた。
2024/05訪問
1回
――白い罪悪感が、とろりとあふれ出す。 函館の名物、ラッキーピエロ ベイエリア本店。 この日は定番の「スノーバーガー」をチョイス。 たっぷりとかけられたホワイトソースが、ハンバーグとバンズの隙間からこぼれ落ちそうな勢いで、見た目からすでに背徳感がある。 分厚いハンバーグにナイフを入れると、ふわっとした肉の蒸気とソースの香りが立ち上がり、一口ごとに「これはハンバーガーなのか…グラタンなのか…」と自問するほどの濃厚さ。 そして嬉しいのが、ポテトに紛れてこっそり添えられているオニオンリング。カリッと軽い口当たりで、重めのバーガーにちょっとした緩急をつけてくれる。 ――まるで、洋食プレートをバンズで包んだような一品。 「ラッピに来たらやっぱこれだよな」と思わせる、圧倒的安心感とボリューム。観光で食べるもよし、地元民のように食べるもよし。
2022/04訪問
1回
――殻の中に詰まっていたのは、冬の海の濃密な甘みだった。 函館「海光房」。 活きのいい海鮮で有名なこの店で、今回頼んだのはカニの刺身盛り。 運ばれてきた皿の上には、透き通るようなカニの脚。 箸で持ち上げれば、ほんのりとしたぬめりと、繊維のしなやかさが伝わってくる。 その一口め。 口の中でほぐれていく身の甘さは、刺身というよりも果実に近い。 噛み締めるたびに、海のミネラルと旨味がじんわりと広がっていく。 鮮度の高さがストレートに舌を打つ。 ――醤油やわさびは、もはや添え物だった。 素材がすでに完成している。 昆布の香り、潮の気配、静かな余韻。 函館の海、そのものを食べているような体験だった。
2022/07訪問
1回
――角煮の旨みが、ふわふわの生地に包まれていた。 「岩崎本舗」西浜町店。朱色の門をくぐり抜けた先、異国の香りが漂う街角にその暖簾はある。観光客の手に、ひとつまたひとつと蒸したてのまんが渡されていく。 手にすると、湯気がほんのり顔を撫でる。ふかふかの生地はしっとり柔らかく、歯を入れれば甘辛い角煮が現れる。口に入れた瞬間にほろりと崩れ、じわりと広がる豚の旨み。味つけは濃すぎず、でも印象はしっかりと残る。 ――旅の途中、立ち止まって味わうには、ちょうどいい一品。 あつあつのまま、両手で包み込んでかぶりつく。派手さはないけれど、長崎らしい温かさが詰まった、そんなひと口だった。
2022/11訪問
1回
――赤い、だけじゃない。記憶に残る炒飯だった。 下北沢「珉亭」。 目の前に現れた炒飯は、まるで桜色の宝石を散りばめたような艶やかさ。 赤い炒飯、という見た目のインパクトにまず心を奪われる。 この赤色の正体は、細かく刻まれたチャーシューの赤色が全体に染み渡ったものらしい。 ぱらっとしすぎず、かといってべちゃっともしていない。 しっとりとした米粒に、チャーシューの旨みとほのかな甘みがじわりと広がる。 味付けは決して濃くはないが、その分、具材の香ばしさが際立ってくる。 食べ進めるごとに、「これは炒飯というより、珉亭の味」としか言えなくなる。 長年愛されてきた理由が、この一皿に詰まっているようだった。 ――唯一無二。これはもう、色も味も、しっかりと記憶に刻まれてしまった炒飯だった。
2023/08訪問
1回
――函館でしか出会えない、ローカルの魔法。 「ラッキーピエロ」函館。 地元の人に愛され、観光客には一種の観光地としても知られるご当地バーガーショップ。 今回も、迷わずスノーバーガーを注文。 ふっくら焼かれたバンズに、とろけるチーズと濃厚なソースが絡むパティ。 口に入れた瞬間、チーズの香りがぶわっと広がり、ジューシーな肉の旨みと一体化する。 この「濃い」味わいが、なぜかまったくくどくない。中毒性すら感じる完成度だ。 そして、さりげなく添えられたオニオンリングとポテト。 この脇役たちが、全体の満足感を確実に底上げしてくれる。 ――観光地価格ではない、地元価格。 だけど満足感は、期待以上。 函館に来たら、やっぱりここ。ラッキーピエロの魅力は、変わらず健在だった。
2022/04訪問
1回
――「また食べたい」と思うラーメンは、案外こういうやつだ。 立川「鏡花」の醤油ラーメン。 洗練されたビジュアルに派手さはない。けれど、湯気とともに立ち昇る香りが、すでに脳を満たしてくる。 スープは奥行きのある淡麗系。節の風味、鶏の旨み、醤油の輪郭が繊細に重なり合い、どこか落ち着いた味わいを残す。 ガツンと来るわけじゃないのに、気づけばレンゲが止まらない。 中細のストレート麺はつるりとした口当たりで、スープとの相性も良い。 チャーシューは薄めだが、しっとり柔らか。三つ葉とメンマが名脇役として器を支えていた。 ――初めての衝撃よりも、2回目に恋をするラーメン。 記憶には残らないかもしれない。けれど、舌と体が覚えている。 気づけばまた、立川に足を運んでいる自分がいるのかもしれない。
2021/12訪問
1回
――旅の途中、新潟で立ち寄ったのは「ぽんしゅ館 魚沼釜蔵」。 駅直結の立地で、観光客にも地元の人にも親しまれる和食処。今回はお刺身御膳を注文。白米の横に丁寧に盛られた刺身は、どれも脂がのっていて驚くほど新鮮。中でも、白身魚がふわっととろけるようで特に印象的だった(何の魚かはわからなかったが…)。 小鉢や味噌汁にも手が込んでいて、定食としての完成度が高い。さらにアラカルトで頼んだカキフライは、大粒で衣が軽く、レモンをひと搾りすれば旨みが一層際立つ。 ――「新潟に来たらここで米を食べろ」そんな声が聞こえてきそうな一膳。 派手ではないが、誠実で滋味深い。土地の味をしっかり受け取れる、旅先での理想の和定食だった。
2025/08訪問
1回
――スープを一口すすった瞬間、今日ここに来た理由がはっきりした。 「飯田商店」湯河原本店。 ラーメンを食べにここまで来るのは、決して“あえて”ではない。ただただ「この一杯が食べたい」から。予約を取り、店に向かう理由はシンプルで、強い。 注文したのは、特製醤油ラーメンと塩ラーメン。 醤油は、透明度の高いスープからは想像できないほど深い旨味。舌の奥でしっかりと広がるのに、喉越しは限りなく軽やかで雑味がない。上にのるチャーシューも驚くほど滑らかで、スープと一体になる。ワンタンの皮は薄く繊細で、肉餡の味わいに輪郭がある。 塩はまた別の世界。黄金に輝くスープに浮かぶ白髪ねぎと柚子皮が見た目にも爽やかで、香りからすでに勝負は始まっている。塩味の中に甘さと旨味が混ざり合い、後を引く飲みごたえがある。 どちらも、突出した個性ではなく、すべてのバランスが調和しているからこその「美味しさの説得力」がある。 ――選ばれるラーメンには、理由がある。 飯田商店の一杯は、誰かの特別な記憶になって当然だと思った。 次は、食べている人が多かったつけ麺を。 そう思わせる余韻もまた、この店の実力のうち。