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ふと、身体がそばを欲していた。 観光地の喧騒から少し外れた、素朴な店構え。こういうところが、意外と美味いんだよな。 席に座ると、目の前に並べられた竹風の器に盛られたざるそば。 そして、おろし器とまるごとの生わさび。――自分ですりおろすタイプか。手間だが、こういうのが嬉しい。 ひとおろし、ふたおろし……うん、いい香りが立ってきた。 そばにのせて、つゆにつけて、ひとすすり―― ……おお。キた。わさびのツンとくる刺激が、鼻に抜けて目が覚めるようだ。 だが嫌じゃない。この刺激こそが、そばの風味を引き立てる。 噛むほどに、小麦じゃない、そば独特の香ばしさが口に広がる。素朴だが、深い味だ。 添えられた薬味も地味ながら味わい深い。ご飯には鰹節とわさび。シンプルだけど、この組み合わせ、悪魔的にご飯が進むやつだ。 こういうのだよ、俺が求めてたのは。 華やかじゃなくていい。心に沁みる、静かな満足。
2025/03訪問
1回
――鉄板の上でジュッと立ち上る煙と香りが、五感を刺激してくる。 「さわやか」静岡県民の誇りとも言えるファミリーレストラン。 昼どきの店内は観光客と地元民が入り混じり、誰もが肉を待ち望む眼差しを向けている。 名物のげんこつハンバーグは、運ばれてきた時点ではまだ“未完成”。 スタッフが目の前で半分にカットし、鉄板に押し付けるように焼き上げるパフォーマンスは、もはや一つの儀式。 そこから立ち上る音と香ばしさが、口の中の準備を整えてくれる。 ナイフを入れると中はほんのり赤く、絶妙な火入れ。 ソースはオニオンかデミグラスから選べるが、素材の良さを感じたいならオニオンが正解。 ジューシーな肉質にスパイスがじわりと広がり、噛むごとに“肉を食べている”という実感が強まっていく。 ――ファミレスの枠を超えた一皿。 それでいて、肩肘張らずに楽しめるのが「さわやか」の魅力。 静岡を訪れる理由がまた一つ、ここに加わる。
2020/11訪問
1回
――一口すすった瞬間、鯛が静かに主張してくる。 決して派手じゃない、けれど確かにそこにいる。そんな存在感。 ここは「ま石」。注文したのは鯛ラーメン。 透き通ったスープには脂がほとんど浮いておらず、上品な仕上がり。 その中に鯛の旨味がぎゅっと詰まっている。 あっさりしているのに、物足りなさはまったくない。 鶏チャーシューはしっとり、柚子の香りがふわっと立ち上がり、水菜の清涼感が後味を軽くしてくれる。 細めのストレート麺もスープとの相性が良く、つるつると気持ちよく喉を通る。 味玉の半熟具合も絶妙で、全体に一切のムダがない構成だ。 ――魚介系のラーメンって、時にクセが強すぎることもあるけど、 この一杯は“ちょうどいい”の美学を極めていた。 出汁で勝負してるラーメン、やっぱり好きだ。 ま石、またひとつ、心に残る店が増えた。
2025/01訪問
1回
――潮風と、フルーツサンド。 この組み合わせが、こんなにも心に沁みるとは思わなかった。 熱海の海沿い、「フルーツキング」。 手に持ったのは、みかんといちごのフルーツサンド。 パンの間からあふれんばかりの果肉、生クリームも惜しみなく挟まれている。 ひと口かじると、まず果物の存在感がすごい。 いちごは甘酸っぱく、みかんはみずみずしくてジューシー。 それを受け止める生クリームが、ただの甘さではなく、軽やかでフルーツの良さを引き立てている。 パンもふんわりしていて、全体のバランスが絶妙だ。 そして、視界の先には青い海。 波音をBGMに頬張るこの一瞬だけで、旅に出てよかったと思える。 ――贅沢って、必ずしも高級なものじゃない。 こういう時間こそが、何よりのごちそう。 フルーツキング、名前に偽りなし。まさに“王様気分”だった。
2025/03訪問
1回
――これは…海鮮の山。いや、宝石箱だ。 いくら、マグロ、ホタテ…そのすべてが惜しげもなく高台に盛られている。上にはキャビアのような黒い粒――なんだこれは、もう“海の祭り”だ。 豪快だが、品がある。 レンゲでひとすくい、口に入れれば……うまい。間違いなくうまい。 魚の脂といくらの塩味、酢飯との一体感。口の中が贅沢でいっぱいになる。 こりゃあもう、脳が喜んでる。 値段を見て「ふむ、インバウンド価格だな」とは思った。 でも、それでもいい。たまには、こういう“自分へのご褒美”も必要なんだ。 ――よし、あと一口、もう一回だけ宝石をかきこもう。 今日の俺は、ちょっと贅沢な気分なんだ。
2025/03訪問
1回
――「究極の親子丼」と聞いてしまったら、どうしたって期待してしまう。 ここは「ご当地グルメ屋台」。 目の前に現れたのは、ふんわり半熟卵の親子丼、そして片側には濃厚そうな鶏そぼろ。 ビジュアルはなかなか、食欲をそそる。 まずは親子丼部分をひと口。 甘めの出汁と卵のとろみ、鶏肉も柔らかく、確かに美味しい。 家庭的でほっとする味。 そぼろは甘辛く、味にしっかり輪郭がある。ご飯が進む系。 でも、ちょっと味が重なってるというか、コントラストが弱い。 ――うまい、でも「究極」かと聞かれると、そこまでではない。 看板に惹かれたこちらのハードルが、少し高すぎたかもしれない。 とはいえ、味は確か。 名前に左右されず、ひとつの“親子丼バリエーション”として見れば、十分アリな一杯だった。 肩肘張らずにまた食べたい、そんな一杯。
2025/01訪問
1回
――旅先の夕食には、ちょっとした“ご当地感”を期待してしまう。 ここは「パウエル」というホテル。 見た目には立派な会席風の構成。しゃぶしゃぶ用の鍋が灯り、前菜には刺身の盛り合わせ。 刺身は確かに新鮮でうまい。 白身にマグロ、シラスも悪くない。口に入れれば、ちゃんと海の味がした。 でも、それ以外が……正直、普通。 出汁の味も控えめで、しゃぶしゃぶの具材も特筆すべきものはなかった。 何より残念だったのは、「揚げ物あり」と書かれていたはずの料理に、なぜか“冷やしうどん”が登場。 悪くはない。悪くはないんだが、期待していたものとは違う。 そのちぐはぐさが、余計に印象を薄くする。 ――旅の食事は、味だけじゃない。 そこにある“体験”や“土地の気配”も含めてのごちそうだ。 今回はちょっと、肩すかしだったかもしれない。 次は、地元民が通う小料理屋にでも行ってみよう。きっと、何かが違うはずだ。
2025/03訪問
1回
――ここは御殿場プレミアム・アウトレット内にある「熱海おさかな食堂」。 観光地価格かと思いきや、海鮮丼はしっかり“本物”。 いくらのプチプチ、まぐろのねっとり、サーモンの脂の甘み――どれも抜群に鮮度がよくて、ひと口ごとに「うまい」がこぼれる。 アウトレットで買い物の合間に、こんな海鮮丼が食べられるなんて…嬉しい誤算だった。 ただし、やっぱりあら汁の鱗問題は残念。 せっかくいい出汁が出てるのに、そこだけがもったいない。 ――それでも、再訪確定。 次はあら汁じゃなくて、小鉢とかにしてみようか。 丼のクオリティがこのままなら、それだけで十分また来る理由になる。