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――湯気の向こうに、札幌の面影が揺れていた。 江戸川橋「三ん寅」—— 北海道・すみれで修行した方が営業しているこの店の味噌ラーメンは、 まるで雪国のストーブのように、ひと口で身体を芯から温めてくる。 脂の層が張ったスープは熱を閉じ込め、レンゲですくえばコクが溢れる。 チャーシューは厚みがありながらもしっとり、味玉の半熟具合も申し分ない。 上にちょこんと乗ったおろし生姜が、途中から味を切り替えてくれる。 ――あぁ、これは冬のご馳走だ。 でも、真夏に食べても間違いなく美味しい。 すみれの味が、確かにここに根を下ろしている。
2023/07訪問
1回
――スプーンを入れると、ほろりと崩れるチキン。それだけで、心が少し緩む。 神保町の老舗「エチオピア」。 チキンカレーを頼むと、まず山盛りのじゃがいもがやってきて、次いでスパイスの香りをまとったカレーが登場する。 辛さは選べるが、油断は禁物。辛口にすれば、額にじんわり汗がにじむ。 けれど、その刺激の向こうに、じっくり煮込まれた旨味がある。チキンは柔らかく、スパイスの鋭さと、ライスの甘みが交差するたびに、スプーンが止まらなくなる。 ――ここでは、米が主役だ。スパイスに負けない堂々たる存在感。 食べ終わる頃には、身体の芯から火が灯るような満足感が残る。 神保町に来たら、また寄りたくなる一皿だ。
2025/06訪問
1回
――焼ける音がいい。煙の香りがいい。そして何より、肉がいい。 ここはジンギスカンの店「かんな」。 鉄鍋の上でじゅうじゅうと音を立てるのは、真新しいピンク色の生ラム。 ラム特有のクセがほとんどなく、脂も軽やか。 火が入ると、香ばしさが立ち上がり、見た目以上の力強さが口の中に広がる。 肉の旨さがしっかりしているから、どんな食べ方でも成立する。 さらにありがたいのが、野菜おかわり自由。 ジンギスカン鍋の周囲に盛ったもやしやキャベツを、どんどん焼いてどんどん食べられる。 肉の脂をまとった野菜は、もはや“主食”。ご飯がなくても成立してしまいそうな満足感。 ――ラムの良さを、改めて思い知らされた。 かんなのジンギスカン、これはまた来たくなるやつだ。 次はもっと腹を空かせて、野菜も倍速で回してやろう。
2025/06訪問
1回
――海鮮が、まるで宝石の山のように盛られている。 これはもう、丼というより“芸術”だ。 場所は「まるり水産」、千客万来の中にある一軒。 この界隈は全体的にインバウンド価格でお高めだが……この丼は、見た目も中身も、その価格を軽々と超えてくる。 その日によって変わるという海鮮のラインナップ。 今日は、マグロにサーモン、タイにいくら。どれも切り身が厚く、脂の乗りも申し分ない。 箸でつまめば崩れそうになるほど柔らかく、口に入れた瞬間とろけて消える。 そして、赤酢のシャリ。 ほんのりとした酸味と、旨味の余韻。ネタに負けない存在感がある。 このシャリがあってこそ、丼全体がひとつにまとまっている。まるで、主役と名脇役の理想的な関係だ。 ――価格は安くはない。だが、この中では確実に“得”な一杯。 観光地の中にあって、抜けたクオリティ。これは……見つけてしまったかもしれないな。
2025/03訪問
1回
――赤い、だけじゃない。記憶に残る炒飯だった。 下北沢「珉亭」。 目の前に現れた炒飯は、まるで桜色の宝石を散りばめたような艶やかさ。 赤い炒飯、という見た目のインパクトにまず心を奪われる。 この赤色の正体は、細かく刻まれたチャーシューの赤色が全体に染み渡ったものらしい。 ぱらっとしすぎず、かといってべちゃっともしていない。 しっとりとした米粒に、チャーシューの旨みとほのかな甘みがじわりと広がる。 味付けは決して濃くはないが、その分、具材の香ばしさが際立ってくる。 食べ進めるごとに、「これは炒飯というより、珉亭の味」としか言えなくなる。 長年愛されてきた理由が、この一皿に詰まっているようだった。 ――唯一無二。これはもう、色も味も、しっかりと記憶に刻まれてしまった炒飯だった。
2023/08訪問
1回
――「また食べたい」と思うラーメンは、案外こういうやつだ。 立川「鏡花」の醤油ラーメン。 洗練されたビジュアルに派手さはない。けれど、湯気とともに立ち昇る香りが、すでに脳を満たしてくる。 スープは奥行きのある淡麗系。節の風味、鶏の旨み、醤油の輪郭が繊細に重なり合い、どこか落ち着いた味わいを残す。 ガツンと来るわけじゃないのに、気づけばレンゲが止まらない。 中細のストレート麺はつるりとした口当たりで、スープとの相性も良い。 チャーシューは薄めだが、しっとり柔らか。三つ葉とメンマが名脇役として器を支えていた。 ――初めての衝撃よりも、2回目に恋をするラーメン。 記憶には残らないかもしれない。けれど、舌と体が覚えている。 気づけばまた、立川に足を運んでいる自分がいるのかもしれない。
2021/12訪問
1回
――湯気の立つ味噌汁、つやのある白米、そしてまっすぐに新鮮なまぐろ。 巣鴨ときわ食堂、日曜18時。 行列覚悟かと思いきや、すっと席に通される。 この時間、この落ち着き、この味。妙に嬉しくなる。 定食は奇をてらわない。けれど、ひとつひとつが丁寧。 まぐろはしっとり、筋張らず、しっかりとした旨み。 味噌汁には海の香りがあり、米は艶やかで粒が立っている。 小鉢の漬物がまたよくて、白米が進む。 ――食べるほどに、身体が日常へ帰っていくようだった。 「何か食べたい」というより「ちゃんと食べたい」日に、また来たくなる。 この定食が、日常の真ん中にあるという安心感。
2025/06訪問
1回
――家系ラーメンの店で、まさかの“つけ麺”チョイス。 でもこれが、意外と……いや、かなり良かった。 ここは「侍 池尻店」。 渋谷の本店も悪くないが、なぜだろう、この池尻の一杯には、何かがある。 極太の麺には艶があり、上には削り節がふわり。 器から香る魚介と醤油の香りに、思わず箸が走る。 つけ汁は、豚骨のコクがありつつも、くどさは控えめ。 酸味と甘み、そして旨味のバランスが取れた、力強い味。 麺をくぐらせてひとすすり―― うん、うまい。小麦の風味とつけ汁の厚みがしっかり絡み、食べごたえも十分。 付け合わせのチャーシューも、柔らかくしっとり。 そのままでも良し、つけ汁にくぐらせて温めても良し。 海苔も、ネギも、脇を固める仕事をきっちりこなしている。 ――家系の“派手さ”は控えめだが、ここには確かな満足がある。 渋谷の賑わいから少し離れた、落ち着いた“侍”のつけ麺。 また来たい、と思える一杯だった。次はラーメンと迷いそうだ。 ――スープに浸ったチャーシュー。 いや、もうこれは“肉が主役”のラーメンだった。 池尻大橋「侍」。 家系ラーメンの雄として知られるこの店で、今回は“肉増し”を選んだ。 運ばれてきた丼には、厚切りのチャーシューがこれでもかと並び、スープの海に船のように浮かんでいる。 見た瞬間、箸ではなくナイフが必要なんじゃないかと思った。 スープは家系らしい豚骨醤油。 濃厚だけど、しょっぱすぎず、きちんとまとまりがある。 そして、そのスープに染みるチャーシュー。 肉はホロホロ系ではなく、しっかり噛みごたえのあるタイプ。 脂の甘みと赤身の旨味が交互に顔を出し、「ああ、いま肉を食べてるな」と実感させられる。 ほうれん草、海苔、ネギといった脇役もちゃんといるけれど、今日は完全にチャーシューの独壇場。 麺にたどり着いたときには、もう満腹寸前だった。 ――ラーメンというより“豚肉フルコース”。 侍、今日も肉に生きる者たちをしっかり満たしてくれた。 次は並で頼もう…たぶん、きっと。
2024/07訪問
2回
――迷い込んだ先にこそ、本当にうまい店がある。 そんな予感が的中したのが、渋谷の奥にある「虎視眈々」。 細い路地のさらに先。店構えも控えめで、知らなければ通り過ぎてしまうような場所。 けれど、昼時には必ず人が並んでいる。その理由が、席に着いてすぐにわかった。 今回頼んだのは、炭火焼き鶏の定食。 香ばしく焼かれた鶏は、プリッとした弾力としっとりとした脂を兼ね備えた絶妙な火入れ。 薬味のミョウガやカイワレが爽やかに後味を引き締め、ご飯が進む、進む。 そして何より、ご飯おかわり自由。 うまい米が、遠慮なく食べられるというのは、満足感に直結する。 ――わかりづらい場所、決して広くない店内。 でもそのすべてが、あの一膳の記憶をより深くしてくれる。 渋谷の喧騒を抜けた先に、静かに並ぶ理由が確かにあった。 虎視眈々。また来る、そのつもりで場所をしっかり覚えた。
2025/01訪問
1回
――牡蠣を食べに来た。 その時点で、もうある程度の幸福は保証されている。 店は「オイスターテーブル」。 まずは王道のカキフライ。 衣はサクサク、中はとろっとジューシーで、ひと口で潮の香りが広がる。 付け合わせのタルタルソースも手作り感があって、油の重さをいい具合に受け止めてくれる。 だが、真の主役はそのあとだった。 アラカルトで頼んだ「牡蠣の揚げ浸し」。 殻の中に熱をまとった牡蠣と出汁が閉じ込められ、口に運べば、じゅわっと旨味が溢れ出す。 揚げの香ばしさと出汁のやわらかさが絡み合って、まさに“和と海の融合”。 これは……一品料理の顔をした本気の逸品だった。 ――カキフライがうまいのは当たり前。 でも、この揚げ浸しには、店の底力を感じた。 また来るなら、これ目当てで間違いない。そう断言できる味だった。
2025/01訪問
1回
――外食で「次はこれを食べよう」と思える店は、信頼できる。 ここはMo’s Cafe。 オーダーしたのはポークソテー。 見た目はシンプル。だが、ナイフを入れた瞬間から、肉の厚みに手応えがある。 口に入れると、まずタレが主張してくる。 甘辛くてコクのあるソースが、豚の旨味をしっかり引き立ててる。 そのあとに追いかけてくるのが、下に敷かれたごろごろ野菜の甘さ。 しっかり焼き目がついていて、これがまたうまい。 ――でも、一緒に来た人が頼んだメンチカツをひと口もらって、ちょっと心が揺れた。 衣は薄くてサクサク、中から溢れ出す肉汁。あれは……正直、主役交代だ。 ポークソテーもうまかった。けど、次回の本命は決まった。 Mo’sのメンチカツ、次は正面から向き合ってみよう。
2025/05訪問
1回
――焼けた肉の香りが、昼を忘れさせる。 ここは「韓の台所 別邸」。 夜は高級、でもランチは手頃。 そのギャップに惹かれて、ふらっと入ってみたら……正解だった。 注文したのは4種盛りの焼肉定食(200g)。 肉の種類は自分で選べて、同じ部位をリピートするのもアリ。 今回はカルビ、ハラミ、鶏もも――王道構成で攻めた。 目の前の炭火で、じゅうじゅうと焼く。 タレにくぐらせて白飯と一緒に――…うん、うまい。 脂の甘み、赤身の噛みごたえ、それぞれに個性があって飽きない。 そして何より、白飯とサラダのおかわり自由。これは地味にデカい。 味噌汁にキムチ、小鉢も抜かりなし。 ただのランチセットじゃない、ちゃんと“焼肉を食べた”という満足感がある。 ――これが、夜には一気に値段が跳ね上がる。 だったら、昼に来るしかないだろう。 腹を空かせて、また来よう。今度はハラミ4連発にしてみるか。
2024/12訪問
1回
――白いご飯が、まるで吸い込まれていく。 ここは「一穀」。 唐揚げ定食を頼んだら、目の前に現れたのは、照り焼き風のタレをまとった唐揚げに、たっぷりかかったタルタルソース。 うまいに決まってる。 一口頬張れば、カリッとした衣の中から肉汁があふれ出す。 そこに濃厚なタルタルが加わって、甘みと酸味のコンビネーション。 まるで、ご飯を食わせるために生まれた料理だ。 当然、おかわり自由の白米は止まらない。 1杯目、ペロリ。 2杯目、まだまだいける。 3杯目、さすがに腹いっぱい……でも、箸が止まらない。 そして、ひじきと漬物。 これがまた、いいリズムを作ってくれる。唐揚げの余韻をリセットして、またご飯へと戻れる。 ――満腹。でも、満足。 今日は一穀に、白旗。完全降伏だ。
2025/02訪問
1回
――重力を感じる太麺に、今日もまた支配された。 「麺と未来」下北沢。 駅から少し歩いた路地の先、だがその距離も儀式のように感じる。 扉を開けると、独特の空気が漂う。 ここはただのラーメン屋ではない、“麺”という主役がすべてを司る舞台だ。 今回注文したのは、いつもの醤油ラーメン。 湯気とともに顔を出すのは、艶やかな漆黒のスープにどっしり沈む太麺。 箸で持ち上げれば、その重みにどこか安心感すら覚える。 もちもちとした食感と小麦の香り――これぞ「麺と未来」の真骨頂。 ただひとつ、海苔の変化に気づいた。 以前はパリッと立っていた海苔が、今回は少しふにゃりと頼りない。 スープに溶けやすいのか、それとも仕様が変わったのか。 ささいな違いだが、常連にとっては気になる点だった。 そして今回は、味玉をサービスしていただいた。 ありがたい。 黄身はとろりと溢れ、スープと交わって一瞬で飲み干してしまった。 ――太麺に引きずられるように、また足が向く。 ラーメンとは、胃ではなく記憶で食べるものなのかもしれない。 ――「ラーメンを食べに行く」 そんな軽い気持ちで暖簾をくぐったつもりだった。 店の名は「麺と未来」。どこか文学的な響きだ。 塩と醤油、ふたつの選択肢。迷った末に、今日は醤油を選んだ。 丼を覗き込むと、スープは澄んだ琥珀色。だが、その奥に隠れた迫力が見える。 レンゲをそっと沈めて啜る。うん、これは……深い。しっかりした醤油の輪郭。 鶏か魚か、いやその両方か、旨味がじわじわと染み渡ってくる。 そして、何より特筆すべきは麺だ。 手打ちのそれは、うどんのように太く、もっちりとしたコシ。 これはもうラーメンの枠を越えてる。ジャンルとしての「麺料理」そのものだ。 すするというより、噛んで味わう一口一口。 添えられたミニチャーシュー丼も、しっかり炙られて香ばしい。 白飯とタレと肉の三重奏。小さいながら、存在感は大きい。 ――この一杯には、“未来”がある。 ラーメンを超えたラーメン、また来よう。次は塩も試してみたい。 ――一見、穏やかな顔をしている。 でもその奥には、静かな情熱が湛えられていた。 「麺と未来」――醤油バージョンに心を掴まれた店で、今回は塩を選んだ。 丼を覗き込んだ瞬間に立ちのぼる、澄んだスープの香り。 湯気越しに見える具材の配置も美しい。まるで一つの“作品”だ。 レンゲでスープをすくうと、黄金色の液体がふわりと光る。 ひと口。……やさしい。でも、ただ薄いわけじゃない。 調和が取れていて、飲むたびにじんわりと身体が温まる。 添えられた白髪ねぎと三つ葉の清涼感が、濃淡のリズムをつくってくれる。 そして何より、あの極太手打ち麺。 あのコシ、あのもっちり感が、塩スープでもしっかり生きている。 ――同じ店でも、塩と醤油でまるで違う顔を見せてくれる。 今回は塩。次はまた醤油か、それとも限定を狙うか。 「また来たい」と自然に思わせてくれるラーメンだった。
2025/07訪問
3回
――白米が、止まらない。 「越玄一斗」――なんとも気になる名前の店に入った。唐揚げ定食に、ご飯のお供を選べるだと? しかも、ご飯おかわり自由?これは…危険だ。 目の前に現れた唐揚げは、揚げたてジューシーで衣はカリッと。 中はふっくら、噛めば肉汁がじゅわっと広がる。これだけで、茶碗1杯は軽く消える。 だが、ご飯のお供がまたやってくれる。塩辛、生卵、シラス…一つひとつが白米泥棒。 これはもはや、炊き立ての白飯に対する総攻撃だ。 気づけば茶碗は3度目のおかわり。…もう、いいだろう。今日くらいは白旗をあげさせてくれ。 ――満腹なのに、妙に清々しい。 「越玄一斗」、侮れないぞ。これは、また来てしまいそうだ。
2025/03訪問
1回
落ち着いた空間で楽しめる「凛」さんの炭火焙煎珈琲は、ひとくちでその違いがわかる風味豊かさ。香りも深く、口に残る余韻がとても心地よいです。丁寧に焙煎された豆の味わいがしっかり感じられ、コーヒー好きにはたまらない一杯。 一緒にいただいたガトーショコラもまた絶品で、濃厚なチョコのコクと、添えられたクリームのなめらかさが絶妙にマッチ。甘すぎず、コーヒーとの相性も抜群でした。 静かな時間を楽しみたいときにぴったりの、上質なカフェでした。
2025/04訪問
1回
炭火の香ばしい香りが食欲をそそる、極上のハンバーグ体験でした。目の前で焼き上げられるライブ感も楽しく、じゅわっと溢れ出す肉汁がたまりません。3個まで同じ値段というのも嬉しいポイント。薬味も用意されていますが、まずは何もつけずにそのままいただくのが一番のおいしさでした。 付け合わせのおばんざい、特にポテトサラダは丁寧な味付けで、思わずおかわりしたくなるレベル。ただ、ボリュームがしっかりあるので1人で行くと少し多く感じるかもしれません。誰かと一緒にシェアしながら楽しむのがおすすめです。
2025/04訪問
1回
――舌の上で広がる脂の甘みに、ほんの一瞬、時間が止まった気がした。 池袋の焼肉店・黒5。 炙られた肉の香りが漂う空間の中、目の前に現れたのは、光沢を帯びた赤身と、とろけるようなサシの牛肉寿司。火入れのいらない贅沢が、口いっぱいに広がる。 網の上に乗せた各種部位――レバー、海老、厚切り赤身。火にかけると共に香ばしい煙が立ちのぼり、焼き加減に神経を尖らせる。 特に、ネギを巻いて食べる一枚肉は、噛むごとに肉汁と香味野菜の清涼感が弾け、思わず箸が止まらなくなる。 締めには担々麺を選んだ。濃厚なごまダレにピリリと効いた辣油、柔らかな細麺がするりと喉を通る。焼肉の余韻を邪魔することなく、静かに幕を閉じてくれた。 ――派手さではなく、丁寧な仕事が際立つ。焼肉をじっくり味わいたい夜にふさわしい一軒だった。
2025/08訪問
1回
――ひと口啜って、驚いた。麺の弾力が常軌を逸している。 亀有の名店「つけ麺 道」。濃厚なつけ汁や豊富なトッピングに目を奪われがちだが、主役はやはり麺だと、改めて思わされた。 太く艶やかなその麺は、箸で持ち上げるとぐっと跳ね返してくるような強いコシ。噛めば、ぷつりと心地よく歯が通り、小麦の香りと甘さがじんわりと広がる。その存在感は、つけ汁すら脇役にしてしまうほど。 つけ汁は豚骨と魚介のダブルスープ。こってりとしながらも不思議と後を引かず、柚子の香りが優しく背中を押してくれる。重さと軽さの均衡、その塩梅が絶妙だ。 具材のチャーシューやつくね、半熟卵に山菜の和え物まで抜かりなく、どこを切り取っても隙のない構成。しかし、何よりも印象に残るのはやはり麺だった。 ――その一本一本に、静かな熱意と矜持が宿っていた。麺好きなら一度は体験すべき一杯だ。
2025/08訪問
1回
――ジンギスカンには、ちょっとだけうるさい自分がいる。 ここは「羊一」。 目の前に運ばれてきたラム肉は、きれいなサシとしっとりとした艶。 脂身も控えめで、いやな臭みもまるでない。 北海道出身の俺にとって、ジンギスカンはソウルフード。 だけどここは味付けじゃない。焼いてからタレにつけて食べるタイプ。 最初は「おや?」と思ったが……一口で納得した。 柔らかくて、甘みがあって、クセがまるでない。 だけど、ちゃんと羊の旨味は生きている。 専用のタレも濃すぎず、肉の味を邪魔しない絶妙なバランス。 鉄鍋でジュウジュウと焼きながら、口に運ぶたびに思った。 「これは、地元にあっても通ってたな」って。 ――“また来たい”と思えるジンギスカン。 それだけで、十分価値がある。 ここは確かに、羊の旨さを知っている店だった。