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2023/05訪問
1回
――見た目に反して、するすると胃に収まる沖縄の優しさ。 琉球村 那覇空港店。 那覇旅の締めにふさわしい、空港で気軽に味わえる沖縄らしさの詰まった定食。 ソーキそばのスープは白濁しておらず、澄んだ色合いであっさりとした風味。 それでいて、豚の旨味はしっかりと感じられ、塩気と甘みのバランスが秀逸。 柔らかく煮込まれたソーキは、箸で崩れるほどほろりとしていて、出発前の緊張をほどいてくれるようだ。 ご飯には、三枚肉がたっぷりと。こちらは甘じょっぱく煮込まれ、ご飯との相性は鉄板。 ぱらりと乗った刻み海苔と小口ねぎが、脂の重さを中和してくれる。 ――さっと食べられて、しっかり満足。 このセットには、沖縄の空気がまだしっかりと息づいていた。
2024/05訪問
1回
――金属の皿に、ジリ…と油の音が残っていた。 香川名物「一鶴」の骨付き鶏。 見た目は無骨、けれど噛んだ瞬間に、皮目の香ばしさと肉汁の洪水が口の中で暴れ出す。 身は引き締まっているが、決して固くはない。 一噛みごとに溢れる旨み。じわっと後からくるスパイスの余韻。 白飯と一緒に食べれば、箸も会話も止まらない。 ――シンプルなのに記憶に残る、まさに“主役”の一皿。 香川を訪れる理由が、またひとつ増えた気がした。
2023/05訪問
1回
――迷い込んだ先にこそ、本当にうまい店がある。 そんな予感が的中したのが、渋谷の奥にある「虎視眈々」。 細い路地のさらに先。店構えも控えめで、知らなければ通り過ぎてしまうような場所。 けれど、昼時には必ず人が並んでいる。その理由が、席に着いてすぐにわかった。 今回頼んだのは、炭火焼き鶏の定食。 香ばしく焼かれた鶏は、プリッとした弾力としっとりとした脂を兼ね備えた絶妙な火入れ。 薬味のミョウガやカイワレが爽やかに後味を引き締め、ご飯が進む、進む。 そして何より、ご飯おかわり自由。 うまい米が、遠慮なく食べられるというのは、満足感に直結する。 ――わかりづらい場所、決して広くない店内。 でもそのすべてが、あの一膳の記憶をより深くしてくれる。 渋谷の喧騒を抜けた先に、静かに並ぶ理由が確かにあった。 虎視眈々。また来る、そのつもりで場所をしっかり覚えた。
2025/01訪問
1回
――ひと口かじると、じんわり広がるスパムの塩気と、卵のやさしさ。 手のひらサイズの幸せ、それが「ポーたま」。 沖縄では言わずと知れた人気店。 観光客も地元の人も、その旨さを知っているから、いつも行列。 でもこの日は、雨。しかも休日。 不思議なことに、あの行列がなかった。 迷わず注文。定番のポークたまごおにぎり。 ふかっと握られた白米に、厚切りのスパムと甘めの卵焼き。 それらを海苔で包む、ただそれだけ。だけど、このバランスが抜群。 過不足のない構成と、素材の旨味。温かみがある。 ――雨に打たれずに、並ばずに、この味を手に入れた。 それだけで、今日が特別な一日になった気がする。 ポーたま、また並んでもいい。 でも、こういう“ラッキー”な出会いも悪くない。 あの静かな店内と、やわらかい塩気。しっかり記憶に残った。
2024/05訪問
1回
――炭の香りと、静かに立ちのぼる湯気。 五感がじわじわと満たされていく。 ここは「ひしゅうや」。 外観は、正直くたびれている。 だが、暖簾をくぐればその印象はがらりと変わる。 ここには、“本気のうまさ”があった。 目の前に置かれたのは、小さな七輪と網。 その上に乗せられた肉厚な椎茸が、じんわりと焼かれていく。 みずみずしさを失わず、香ばしさをまとうその姿。 ただの椎茸じゃない。これはもう、主役だ。 焼き上がったところで塩をちょんとつけてひと口。 じゅわっと広がる旨味、ほんのり残る炭の香り。 しみじみと、「ああ、うまい」としか言葉が出てこない。 ――見た目に騙されちゃいけない。 こういう店が一番、記憶に残る。 「ひしゅうや」、覚えておく価値のある一軒だった。
2025/04訪問
1回
――見た目は丼、だが本質は二段構えのごちそうだった。 「こめから」という店名に、どこか真面目な炊き立てご飯への信頼を感じつつ着席。 出てきたのは、つややかなご飯の上に、胡麻だれにくぐらせた漬けの切り身。 中央には卵黄がどんと構え、周囲には海苔、水菜、青ねぎが彩りを添える。 まずはそのまま一口。 うまい。 タレの甘みと胡麻の香ばしさが魚の脂と溶け合い、ご飯の甘みを引き出してくれる。 そして、後半戦。 熱々の出汁をかけてお茶漬けに―― ……風景が変わる。 タレのコクがふわっと緩んで、出汁の旨味と合わさり、まるで別の料理に生まれ変わる。 香り立つ湯気の向こうで、食欲はさらに加速する。 ――一杯で二度おいしい。 この手の丼は数あれど、ここまで“変化の妙”を楽しませてくれるものはそうない。 こめから。名前は素朴だが、やることはしっかりしていた。 また来よう、次は別の魚で。
2025/02訪問
1回
――彩りは見事。だが、満足にはあと一歩届かない。 丸の内、炉端かばの海鮮丼。 エビ、サーモン、カツオ、ブリ、イカ、ネギトロ。 どれも確かに存在感はある。だが、それぞれひと切れずつ。どこか物足りなさが残る。 見た目の豪華さとは裏腹に、箸を入れるたび「もう一枚ほしい」という欲が募る。 特にネギトロはご飯との相性抜群。なのに一瞬で終わってしまうのが惜しい。 真ん中にそびえる赤い大根や、彩り野菜も華を添えるが―― 刺身の「主役感」をもう少し押し出してくれたら、印象も変わっていたかもしれない。 ――土地柄を考えればこの構成も納得はできる。 けれど、次もここにしようとは、ちょっと思いにくい。 そんな一杯だった。
2025/08訪問
1回
――これは…海鮮の山。いや、宝石箱だ。 いくら、マグロ、ホタテ…そのすべてが惜しげもなく高台に盛られている。上にはキャビアのような黒い粒――なんだこれは、もう“海の祭り”だ。 豪快だが、品がある。 レンゲでひとすくい、口に入れれば……うまい。間違いなくうまい。 魚の脂といくらの塩味、酢飯との一体感。口の中が贅沢でいっぱいになる。 こりゃあもう、脳が喜んでる。 値段を見て「ふむ、インバウンド価格だな」とは思った。 でも、それでもいい。たまには、こういう“自分へのご褒美”も必要なんだ。 ――よし、あと一口、もう一回だけ宝石をかきこもう。 今日の俺は、ちょっと贅沢な気分なんだ。
2025/03訪問
1回
――料理を待つ時間が長すぎると、期待値は下がるものだ。 でも、その分“おいしい”が来たときの破壊力はすごい。 渋谷のとある居酒屋。 注文からしばらく経って出てきたのが、この創作手巻き寿司。 ひとつずつ木のスタンドに立てられ、まるで和のカナッペのように上品な佇まい。 ネギトロ、サーモンいくら、エビ天など、具材の組み合わせはどれも王道。 だが、その一つひとつが丁寧に巻かれ、海苔はパリッと、ご飯はほかほか。 素材の温度や水分バランスまでしっかりしていて、ひと口目で「待ってよかった」と素直に思えた。 ――提供の遅さには目をつむるとして、味の説得力はあった。 次回も来るかどうかは……腹の減り具合と相談だが、 この寿司だけはまた食べたいと思った。 渋谷の喧騒のなかで、しっかり記憶に残る一貫だった。
2025/03訪問
1回
――見た目からは、もう少し噛み応えがあるかと想像していた。 「うまやの楽屋」有楽町。 博多にルーツを持つこの店で、牛タンを注文。 期待値はほどほどに、けれどほんの少しだけ、心の中では「厚切り」を想像していた。 目の前に届いた皿。 そこにあったのは、丁寧に並べられた薄切りの牛タン。 悪くはない。けれど、あの独特の歯ごたえや肉の旨味を楽しむには、やや物足りなさを感じる厚みだった。 一口食べてみる。 味はしっかり。下味が控えめで、肉そのものの風味を残している。 だが、タン独特のプリッとした食感が、いささか影を潜めている。 “薄い”という感覚が、最後まで食べ終えてもずっと口の中に残った。 添えられた漬物はさっぱりとしていて、箸休めとして優秀。 でも、主役である牛タンがこの軽さでは、全体の印象はどうしても霞んでしまう。 ――おそらく、これはこれで良いのだろう。 けれど、牛タンに対して無意識に期待していた「厚み」と「噛みしめる歓び」は、今回は感じられなかった。 悪くはない。けれど、次も選ぶかと聞かれたら、少しだけ悩む。 そんな、静かな感想を抱えた牛タン定食だった。
2025/06訪問
1回
了解しました!これまでのテイストを踏まえ、「丸水 愛媛 宇和島鯛めし」のレビューを五郎さん風でお届けします。 ⸻ ――米をかき込む音しか、聞こえない時間がある。 「丸水(がんすい)」。 愛媛・宇和島に来たら、一度は食べるべきだと誰かが言っていた。 鯛の刺身を、卵と特製ダレにくぐらせて、熱々の白米の上にそっと乗せる。 一口。 ――これは、米を制するための料理だ。 つるりとした鯛に、コクのある黄身が絡み、だしの旨味が一気に広がる。 それを受け止める白米の包容力。 この丼に、不要な言葉はいらない。 ただ、箸が止まらない。 おかずたちも控えめに、だがしっかりと仕事をしてくる。 味噌汁の温かさが、食べ進める勢いに休符をくれるのもありがたい。 ――派手さはない。でも、芯がある。 宇和島の鯛めし、恐るべし。 今日の米も、最高だった。