「ステーキ・鉄板焼」で検索しました。
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2023/10訪問
1回
――ナイフが入るとき、ジュワッと音がした気がした。 外苑前「青山牛彩」。鉄板焼きという言葉のもとに集まった、食材たちの祝祭。 ステーキはサシの入り方が芸術的。鉄板の上で焼かれていく様を目の前にして、期待感が加速する。絶妙な焼き加減で提供された和牛は、口の中で脂と旨味が溶け合い、ほんのりと塩がそれを引き締める。ひと噛みで、ご飯が欲しくなるのを堪えるのが大変。 ――そして、伊勢海老。 半身にカットされた身は、焼かれたことで甘さが凝縮。付け合わせのソースがまろやかさを添え、磯の香りとコクが同時に押し寄せてくる。贅沢という言葉が、この料理のためにあるようだった。 ガーリックチップの香りや、添えられた野菜たちも、主役を引き立てる名脇役。 ――五感が鉄板の上で踊った。至福とはこういうことかもしれない。
2023/04訪問
1回
――鉄板から立ち上る、あの音だけで白米一杯は余裕だ。 「BIG BEAR」三軒茶屋。 名前のとおり、がっしりとした肉料理がウリの洋食店である。 運ばれてきたのは、ハンバーグとグリルチキンのコンボプレート。 ハンバーグはフォークを入れると中から肉汁がとろりと溢れ出す。コクのあるデミグラスソースと合わさり、しっかりめの味付けがごはんをひたすらに呼ぶ。 隣のグリルチキンは皮面が香ばしくパリッと焼かれ、肉厚でジューシー。鶏の旨みを閉じ込めたような焼き加減に思わず唸る。 付け合わせの玉ねぎソテーやマッシュポテトも、全体のバランスを支える名脇役。 鉄板の余熱でソースが煮詰まりながら、最後までアツアツを楽しめるのも嬉しい。 ――食後には、満腹の幸福感とともに、胃の奥に小さな“熊”が座り込んだような重たさが残る。 だがそれすらも、次の訪問へのフックとなるのだった。
2023/06訪問
1回
――鉄板焼きというと、どこか“ハレの日”のイメージがある。 でも、ここ「鉄板二百℃」はその敷居をぐっと下げてくれる。 まずは牛肉のガーリックソテー。 焼き加減は絶妙で、表面はカリッと香ばしく、中はジューシー。 にんにくの香りが食欲をくすぐり、下に敷かれたパンがその肉汁と脂をしっかり吸っていて、これがまた旨い。 そして、焼き野菜。 彩り豊かなブロッコリー、ズッキーニ、トマト、エリンギ――どれも丁寧に焼かれ、素材の甘みと香ばしさが際立つ。 目の前の鉄板で焼かれる音、香り、立ち上る湯気。五感で味わうひとときだ。 さらに驚くのは、その価格。 鉄板焼きという贅沢が、飲み放題までついてこのカジュアルさで楽しめる。 肩肘張らずに楽しめる鉄板焼き、まさに“ちょうどいい贅沢”。 ――高級ではないけれど、満足度は高い。 鉄板二百℃、ここは気軽に通いたくなる“平日のご褒美”だった。
2024/12訪問
1回
――鉄板の上でジュッと立ち上る煙と香りが、五感を刺激してくる。 「さわやか」静岡県民の誇りとも言えるファミリーレストラン。 昼どきの店内は観光客と地元民が入り混じり、誰もが肉を待ち望む眼差しを向けている。 名物のげんこつハンバーグは、運ばれてきた時点ではまだ“未完成”。 スタッフが目の前で半分にカットし、鉄板に押し付けるように焼き上げるパフォーマンスは、もはや一つの儀式。 そこから立ち上る音と香ばしさが、口の中の準備を整えてくれる。 ナイフを入れると中はほんのり赤く、絶妙な火入れ。 ソースはオニオンかデミグラスから選べるが、素材の良さを感じたいならオニオンが正解。 ジューシーな肉質にスパイスがじわりと広がり、噛むごとに“肉を食べている”という実感が強まっていく。 ――ファミレスの枠を超えた一皿。 それでいて、肩肘張らずに楽しめるのが「さわやか」の魅力。 静岡を訪れる理由がまた一つ、ここに加わる。
2020/11訪問
1回
――焼く前の牛タンがこれだけ美しいと、もうすでに半分うまい。 渋谷PARCOの「KINTAN」。 名前の通り、タンが主役の焼肉店。 一見してわかる、その仕込みの丁寧さ。 薄くスライスされたタン先に、中央には肉厚のタン下。 どちらも同じ“タン”なのに、まるで別の料理のような存在感を放っている。 まずはタン先。 サッと炙ってレモンをひとしぼり。コリッとした歯ごたえと、噛むたびに広がる肉の旨み。 そしてタン下。 少し長めに焼き、脂がじゅわっと浮いてきたら頃合い。 やわらかく、舌に吸い付くような食感。これは“ご褒美”の味だ。 正直、値段は安くない。 そして、気づけばじわじわと値上がりしているのも事実。 けれど、それでもまた来てしまうのは、この牛タンの引力のせいだ。 ――焼肉のなかでも、タンに特化したこのスタイル。 KINTAN、やっぱり“タン”だけじゃない。記憶にも残る。 贅沢をした気分になれる、そんな一皿だった。
2025/01訪問
1回
――分厚い雲を抜けて、陽が差し込む一皿だった。 「ケルン」北海道・森町。 函館から車でおよそ30分。周囲にはなにもない、けれど確かにここにしかない味がある。 観光客がふらっと立ち寄るには難しい立地。でも、だからこそ、特別な食体験になる。 名物のハンバーグは、鉄板の上でジュウジュウと音を立てながら登場。 まるで肉の塊そのままを、ぎゅっと詰め込んだような見た目。 ナイフを入れた瞬間に、肉汁が洪水のようにあふれ出す。 そして覆いかぶさるのは、重厚でとろみのあるデミグラスソース。 苦味も酸味も抑えられたまろやかな仕上がりで、まさにハンバーグと一体化する味。 大ぶりのソーセージ、エビフライ、付け合わせのコーンやポテトまで、どれも手を抜いていない。 ――郊外にあるのに、いや、郊外だからこそ成立している一皿。 車を走らせる価値があるとは、こういうことを言うのだろう。 北海道の広さと、この店の懐の深さが、皿の上でぴたりと重なる。
2020/02訪問
1回
――「うまい」と「普通」の境界線は、案外はっきりしている。 bonのハンバーグ。 鉄鍋にのせられ、ジュウと音を立ててやってくる姿は、まさに王道。 湯気とともに立ちのぼるソースの香り。鼻孔が刺激され、胃がひとつ鳴る。 箸を入れると、じゅわりと肉汁。 だが、ひと口目のインパクトは思ったほどではない。 丁寧に焼かれ、肉の旨みもある。あるけれど…何かが足りない。いや、これはもう贅沢か。 ――悪くはない。でも心が震えるほどでもない。 そんな一皿もまた、日常の食事には必要だ。 bonのハンバーグ、誠実で、そしてやや控えめな味だった。
2023/05訪問
1回
――ジュウ…という音が、静かな空間に響く。 ここは「極味や」。 ただのハンバーグじゃない。自分の手で、目の前の鉄板で焼き上げる。 まるで肉と対話しているような時間だ。 箸で割ると、中はまだ赤い。火の通し加減は自分次第。 焼けた面は香ばしく、赤身の部分はしっとりと肉の旨みが詰まっている。 塩をちょんとつけてひと口―― ……くるな、これ。ご飯が、止まらなくなる。 脂の甘みと塩のキレ、そこに白米が追いかけてきて、三位一体のうまさが広がる。 ただし、価格は“極味”。しっかりインバウンド仕様。 財布に響くのは間違いない。だけど、それでもこの体験には価値がある。 ――目の前で焼くという行為が、味をもっと特別にしてくれる。 高い。でも、うまい。…たまには、こういう贅沢も、いいだろう。
2025/03訪問
1回
――赤身の断面が、食欲を静かに煽ってくる。 焼きたてではない。だけど、これはこれで、ありだ。 ここは「ステーキ屋松」。松屋系列が展開するステーキ専門店。 普段は鉄板の上でジュウジュウと音を立てる溶岩焼きステーキが定番だが、今回は気分を変えて“ステーキ丼”を選んでみた。 ご飯の上には、レアに近い焼き加減のステーキがぎっしり。 その上から刻み海苔がぱらり。 肉の香りとタレの香ばしさが鼻先をかすめる。 ひと口。 想像以上にやわらかく、噛むたびに赤身の旨味がじんわり広がる。 タレは控えめながらもしっかり下支えしていて、ご飯との相性も良好。 ――鉄板でのライブ感はないが、丼としての完成度は高い。 何より、これがこの価格で味わえるのが嬉しい。 サッと食べたい昼にも、ちょっと肉が欲しい夜にも、ちょうどいい。 ステーキ松。今日は“静かな肉の実力”を見せてもらった気がする。 また来よう。今度は、やっぱりあの溶岩焼きで。 ――焼き加減に迷いがない人間などいない。 でも、目の前にこの肉があれば、誰でもちょっと職人気分になる。 ここは「ステーキ屋松」。 溶岩石の上に置かれた肉が、じゅうじゅうと音を立てる。 火力は控えめ。でもそれがいい。焦らず、ゆっくり、じっくり焼く。 自分で焼いて、自分で判断して、自分で食べる。それがこの店のスタイル。 ご飯はおかわり自由。 つまり、肉と米を交互に楽しむペース配分は完全にこちらの自由。 肉はミディアムでも、ウェルダンでもレアでも成立する柔らかさ。 塩だけで旨い。ソースもある。でも、まずは塩。 そして、白米。これで完成する。 ――「焼く」という行為を、ちゃんと味わえる場所。 肉を食べているというより、肉を育てているような感覚。 ステーキ屋松、ここでは客が焼き手であり、演者でもある。 満足感は自分次第。その自由が、最高の調味料だった。
2024/12訪問
2回
――静かに、ナイフを入れる。 じんわりと滲む肉汁と、赤身のグラデーション。 それだけで、「来てよかった」と思える。 沖縄のステーキハウス「HANS」。 目の前に現れたのは、石垣牛のステーキ。 霜降りではなく、赤身中心。それでも柔らかさは損なわれておらず、肉の旨みが噛むたびにしっかり伝わってくる。 焼き加減はミディアムレア。 表面の香ばしさと、内側のしっとり感のコントラストが心地いい。 添えられたオクラやナス、かぼちゃも丁寧に焼かれていて、野菜の甘みが肉の後味を引き立てる。 ――値段は決して安くない。 でも、石垣牛のこの火入れ、この厚み、この満足感。 “贅沢をしてよかった”と思える瞬間は、そう多くない。 今日は、その数少ない一つだった。