「カレー」で検索しました。
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2025/06訪問
1回
――カレーの海に、白い島が沈みかけている。 ここは「インド」という名の店。 だけど出てきたのは、れっきとした日本のカツカレー。しかも、ご飯430gの大盛り仕様。最初からフルスロットルだ。 まずはカレーをひとすくい。 とろみのあるルウはどこか懐かしくて、じんわり甘い。にんじん、じゃがいも、玉ねぎ――家庭の味に近い。 だが、このボリューム感がただ者じゃない。 カツはルウに沈んでも、サクッとした衣が健在。噛むと肉の旨みと油のコクがカレーと一体になって攻めてくる。 ご飯の量が430g。数字で見るとピンとこなかったが、食べ進めてようやくその意味を知る。 なるほど、これは挑戦状だ。 ――完食。胃がどっしりと重い。けど、不思議と達成感がある。 今日も戦った。そんな気がした。
2025/05訪問
1回
――白い罪悪感が、とろりとあふれ出す。 函館の名物、ラッキーピエロ ベイエリア本店。 この日は定番の「スノーバーガー」をチョイス。 たっぷりとかけられたホワイトソースが、ハンバーグとバンズの隙間からこぼれ落ちそうな勢いで、見た目からすでに背徳感がある。 分厚いハンバーグにナイフを入れると、ふわっとした肉の蒸気とソースの香りが立ち上がり、一口ごとに「これはハンバーガーなのか…グラタンなのか…」と自問するほどの濃厚さ。 そして嬉しいのが、ポテトに紛れてこっそり添えられているオニオンリング。カリッと軽い口当たりで、重めのバーガーにちょっとした緩急をつけてくれる。 ――まるで、洋食プレートをバンズで包んだような一品。 「ラッピに来たらやっぱこれだよな」と思わせる、圧倒的安心感とボリューム。観光で食べるもよし、地元民のように食べるもよし。
2022/04訪問
1回
――フォークでは足りない。ナイフでも足りない。 両手と顎の覚悟がいる。それが「TSUNAMI BOX」のネイビーバーガー。 横須賀で有名なこの店で注文したのは、直径20cmはあろうかという巨大バーガー。 バンズはこんがり焼かれ、中にはベーコン、チーズ、パティ、トマト、玉ねぎ……見える限りの具材が積み上がっている。 味はしっかり美味しい。 バンズは甘みがあり、パティはジューシーで肉の旨味が濃い。 ベーコンの塩気とチーズのコク、野菜のフレッシュさがしっかり支えている。 だが、それ以上に主張してくるのは「大きさ」だった。 手では持てない。かぶりつけない。 分解しながら食べるうちに、いつの間にか無言になっていた。 ――ハンバーガーというより、“小さな建造物”。 味も満足だが、ボリュームに完敗。 次は腹をすかせて、覚悟を決めて挑みたい。 TSUNAMI、ネイビーの名は伊達じゃない。
2025/06訪問
1回
――可愛い顔して、しっかりスパイス。 「タケウチ」神保町、煮込みハンバーグカレー膳。 まるでお子様ランチのようなビジュアル。 黄色く艶やかなサフランライスには、にんじんと梅干しがちょこん。 鉄板には色とりどりの野菜と共に煮込みハンバーグが鎮座し、彩りも構成もポップでにぎやか。 スープにはナルトが浮かび、どこか遊び心すら感じさせる。 しかし、その見た目に油断してスプーンを進めると――予想外のスパイスの洗礼が待っていた。 辛さは「旨辛」などという生ぬるいものではなく、喉の奥にまで響いてくる鋭い刺激。 水を一口、また一口と欲するペースが止まらない。 辛さ耐性がない人には、なかなかハードな一皿。 煮込みハンバーグは柔らかく、味の染み方もちょうど良い。 副菜の野菜たちも手を抜かず、それぞれに食感の変化と楽しみがあり、全体としてのバランスは悪くない。 だが何より印象に残るのは、そのギャップだ。 可愛らしさとスパイスのギャップが、頭に残って離れない。 ――水を飲み干しながら考える。 これは癖になるか、二度と頼まないか、好みがはっきり分かれるカレーだと。 刺激を求める人にはたまらない、小さな鉄板の戦場。
2024/06訪問
1回
――観光ガイドには「ハンバーガーが名物」と書いてある。 けれど地元の人は、ちゃんと知っている。 本当の魅力は、もっと広い。 ここは函館の誇るローカルチェーン、「ラッキーピエロ」。 今回はあえてハンバーガーではなく、チャイニーズチキンカレーを選んだ。 銀のプレートに、盛られたルーと白米。 その上には、甘辛いタレをまとった唐揚げ――通称「チャイニーズチキン」。 表面はカリッと、中はじゅわっとジューシー。 そのままでもご飯が進むのに、そこにカレーのコクが加わると、もう止まらない。 ルーは昔ながらのとろみ系。 スパイスが強すぎず、やさしく包み込むような味わい。 懐かしさとジャンキーさ、そのちょうど中間を行く絶妙なバランス。 ――名物はハンバーガー。 でも“裏名物”として、このカレーも推したくなる。 ラッキーピエロ、やっぱり只者じゃない。 胃袋も、気持ちも、しっかりつかまれた。
2024/12訪問
1回
――カレーの皿に、富士のようにそびえる白米の山。 渋谷「ムルギー」。 老舗の風格を感じさせる店内に入り、迷わず名物の卵カレーを注文。 まず目に飛び込んでくるのは、ご飯の圧倒的な立体感。 この山のふもとに、ルウがぐるりと流れ、ゆで卵が花びらのように並ぶ。 まるで一枚の風景画だ。 カレーは油分が多く、スパイス感もかなり強め。 ガツンと辛さがくるわけではないが、じわじわと舌に残る深い刺激が特徴的。 インドカレーとも欧風カレーとも違う、独特の存在感がある。 ゆで卵はしっかりと火が通った固茹でで、辛さを受け止める優しい役割。 赤くかかったソースが、ほんのり酸味を加えているのも面白い。 ただ、ルウの量に対してご飯の面積は広いものの、意外とボリュームが足りない。 ルウが濃厚で米を進ませる力が強いだけに、「もう一口」が欲しくなる展開。 ――皿の上で完結するひとつの物語。 だが、最後の一文を書ききる前に紙が足りなかった。 米よ、もっと語らせてくれ。
2019/02訪問
1回
――銀皿にたっぷり盛られた、あの茶色い海。 一口で、思い出す。これは「帯広の味」だ。 「インデアン」。 帯広市民のソウルフードにして、観光客にとっては“地元に寄り添った贅沢”。 今回も迷わず「インデアンルー」を選ぶ。 見た目はオーソドックス。でもその中に、安心と旨味が詰まっている。 口に入れれば、じんわりと広がる甘みとスパイスのやさしさ。 決して尖っていないのに、物足りなさはない。 じっくり煮込まれたルーには具材の旨味がしっかり染み込んでいて、ご飯との一体感が心地いい。 そしてなにより、この価格。 ボリュームも味も十分なのに、懐に優しい。 “毎日でも食べられるカレー”とは、こういうもののことを言うのだと思う。 ――派手さはない。でも、それがいい。 インデアンのカレーは、今日も変わらず帯広の昼を支えていた。 また来る。その時もきっと、同じルーを選んでしまうだろう。
2025/01訪問
1回
――一口ごとに確かに感じる、老舗の仕事。 渋谷「いんでいら」。 街の喧騒から一歩離れた店内には、時が止まったような昭和の空気が流れていた。 頼んだのはカツカレー。 皿の上に整然と並ぶカツの断面が美しく、衣はさっくり、肉はしっとり。 そしてルーは、懐かしさと奥深さが同居する味。 辛すぎず、でも物足りなさはない。丁寧に煮込まれたその口当たりが、じんわり胃を満たしていく。 ただ――惜しむらくは、厨房から聞こえる咳払い。 マスクはなく、調理の合間にも時折咳き込む様子が気になった。 味は間違いなく美味しい。 でも、食事は味だけじゃない。 安心して箸を進められる空気も、料理の一部なのだと、あらためて思い知らされた。
2022/03訪問
1回
――いつもの茶碗の代わりに、少しだけ背筋が伸びる定食が置かれていた。 「吉野家」下北沢店。 いつも通りの牛丼を横目に、ふと目に留まった「牛タン定食」の文字。 期間限定。しかも下北沢という街で。試さない理由がなかった。 定食の構成は悪くない。 麦飯に味噌汁、とろろにオクラ、そして専用のタレ。 箸を取る前から「これはちゃんと作ってる」と感じさせる一式だ。 だが、肝心の牛タン――これが惜しかった。 しっかり焼かれているにもかかわらず、口に含むと独特の臭みが抜けきっていない。 牛タン特有の弾力と風味を期待していたぶん、違和感が先に立つ。 どうしても、その一歩が越えられていなかった。 ただ、脇を固める小鉢たち、とろろとオクラの存在が救いだった。 それらを麦飯にかけてかき込めば、牛タンの陰も薄れるほどにホッとする。 ――看板メニューを離れたとき、見えてくるのは挑戦の跡。 惜しい、けれど面白い。 そんな定食だった。
2025/07訪問
1回
――銀皿に盛られた濃厚な一皿。 フォークを手に取るだけで、もう戦いが始まっている気がする。 ここは「ゴーゴーカレー」。金沢カレーを代表するチェーン店。 黒くてとろみのあるカレー、千切りキャベツ、そしてどかんと乗ったカツと唐揚げ。 まさに“全部乗せ”のごちそう感。 カレーは甘さとコクがどっしりしていて、スパイスの刺激は控えめ。 でも、それがまた揚げ物の存在感を引き立ててくれる。 トンカツは厚みがあってジューシー。唐揚げは衣がザクッと香ばしく、ひと口ごとに満足度が跳ね上がる。 大量のキャベツが途中の口直しにちょうどいい。 箸休めというより“命綱”。これがないと完走できなかったかもしれない。 ――腹を空かせて挑むべきカレー。 トッピング次第で自分だけの“欲張りプレート”が完成する。 今日の一皿は、完全に自分仕様だった。 ゴーゴーカレー、満腹の向こうにある達成感。しっかり味わった。
2024/10訪問
1回
――赤身の断面が、食欲を静かに煽ってくる。 焼きたてではない。だけど、これはこれで、ありだ。 ここは「ステーキ屋松」。松屋系列が展開するステーキ専門店。 普段は鉄板の上でジュウジュウと音を立てる溶岩焼きステーキが定番だが、今回は気分を変えて“ステーキ丼”を選んでみた。 ご飯の上には、レアに近い焼き加減のステーキがぎっしり。 その上から刻み海苔がぱらり。 肉の香りとタレの香ばしさが鼻先をかすめる。 ひと口。 想像以上にやわらかく、噛むたびに赤身の旨味がじんわり広がる。 タレは控えめながらもしっかり下支えしていて、ご飯との相性も良好。 ――鉄板でのライブ感はないが、丼としての完成度は高い。 何より、これがこの価格で味わえるのが嬉しい。 サッと食べたい昼にも、ちょっと肉が欲しい夜にも、ちょうどいい。 ステーキ松。今日は“静かな肉の実力”を見せてもらった気がする。 また来よう。今度は、やっぱりあの溶岩焼きで。 ――焼き加減に迷いがない人間などいない。 でも、目の前にこの肉があれば、誰でもちょっと職人気分になる。 ここは「ステーキ屋松」。 溶岩石の上に置かれた肉が、じゅうじゅうと音を立てる。 火力は控えめ。でもそれがいい。焦らず、ゆっくり、じっくり焼く。 自分で焼いて、自分で判断して、自分で食べる。それがこの店のスタイル。 ご飯はおかわり自由。 つまり、肉と米を交互に楽しむペース配分は完全にこちらの自由。 肉はミディアムでも、ウェルダンでもレアでも成立する柔らかさ。 塩だけで旨い。ソースもある。でも、まずは塩。 そして、白米。これで完成する。 ――「焼く」という行為を、ちゃんと味わえる場所。 肉を食べているというより、肉を育てているような感覚。 ステーキ屋松、ここでは客が焼き手であり、演者でもある。 満足感は自分次第。その自由が、最高の調味料だった。
2024/12訪問
2回
――レトロな店内、落ち着いた雰囲気の中で供されるカツカレーに、心が高鳴った。 「王ろじ」新宿。 老舗のとんかつ屋が提供するのは、ひと際存在感を放つ“とん丼”。 ライスの上にどっしりと鎮座する肉厚のとんかつ。 その上から惜しみなくかけられたカレーは、どこか懐かしい色合いととろみを持ち、濃厚な香りが立ちのぼる。 衣はざくっと力強く、中の肉はみっしりと詰まっている。 ルーはスパイスよりも旨味と甘みが前に出ており、とんかつと合わさると一層濃厚さが際立つ。 ――だが、正直に言えば、このカレーとカツの相性が思ったよりも噛み合わなかった。 「何かがずれてる」そんな違和感を覚えたのは、私だけではなかったようで、同行者も同じ感想を漏らした。 ――老舗の個性。だが、万人受けする味ではない。 期待値が高かっただけに、余計にそのズレが印象に残った一杯だった。
2023/03訪問
1回
――スプーンを入れると、ほろりと崩れるチキン。それだけで、心が少し緩む。 神保町の老舗「エチオピア」。 チキンカレーを頼むと、まず山盛りのじゃがいもがやってきて、次いでスパイスの香りをまとったカレーが登場する。 辛さは選べるが、油断は禁物。辛口にすれば、額にじんわり汗がにじむ。 けれど、その刺激の向こうに、じっくり煮込まれた旨味がある。チキンは柔らかく、スパイスの鋭さと、ライスの甘みが交差するたびに、スプーンが止まらなくなる。 ――ここでは、米が主役だ。スパイスに負けない堂々たる存在感。 食べ終わる頃には、身体の芯から火が灯るような満足感が残る。 神保町に来たら、また寄りたくなる一皿だ。