5回
2025/08 訪問
夏に二度訪れたが、二度目のほうが恐ろしいほどの完成度で、日本一の高評価を誇る鮨店の名にまったく恥じない。端正で美しい仕事はもちろん、軽やかさの中に繊細なディテールが幾重にも折り重なり、その一貫ごとの余韻がまさに“夏の鮨”としての心地よさを運んでくる。運よく、空気がふわりと沈み込むあの瞬間まで最も鮮明に撮れたのも印象深い。
特に12時一斉スタートの昼席は、店の実力が最も伸びやかに発揮される時間帯。禁漁期と不漁が重なる夏は寿司屋にとって難しい季節だが、すぎたは国内の冷凍鮪に頼らず、あえて外洋(カナダ)の鮪を選択。意外性に満ちた判断ながら、その質は驚くほど秀逸だった。赤身は外側から内側へほどけていく軽い抵抗の中に“サクッ”としたような独特の歯切れがあり、加えて幼魚の旨味が重なることで、意図したのか偶然なのか、これ以上ないほど夏らしい涼感のある味わいを形作っていた。
2025/10/31 更新
2025/08 訪問
夏の二度目の訪問。夏季の出品の強さが本当に際立っていて、正直言って圧倒された。技術の美しさは言うまでもなく、軽やかでありながら細部まで作り込まれた味わいが心から楽しい。偶然とはいえ、(おそらく)ネット上でも最も鮮明な「空気が沈む瞬間」を撮れたのも印象的だった。
特に12:00スタートのランチ回は、最も実力が発揮される時間帯だと感じる。禁漁期や水揚げ不足が重なる夏は、どの寿司店にとっても試練の季節だが、Sugitaではあえて冷凍を使わず、外洋(カナダ)のマグロを採用していた。少し意外に聞こえる選択だが、その品質は予想以上に素晴らしい。
赤身はとりわけ印象的で、外側から内側へとごく軽い抵抗を感じながら歯を入れた瞬間、身が切れるところにわずかな「シャキッ」とした歯切れがある。そこに若い個体の要素も重なり、意図的かどうかは分からないが、結果として驚くほど“夏らしい”感覚に仕上がっていた。
2026/02/04 更新
2025/05 訪問
5月に再訪したすぎた。今回は鯖ではなく鰯の棒寿司だったけれど、その完成度の高さはやはり群を抜いていた。カット面の美しさ、まるで鏡のように反射する艶、そして一体感のある味わいは、他店ではなかなか出会えないレベル。
すぎたに通いたくなる理由のひとつが、つまみのレベルの高さ。滑らかに包丁が入ったホタテやイカ(今回はホタテはなかったけど)、そしてしっとりとしていて旨味が凝縮された棒寿司、さらに私の大好物・あん肝と、つまみだけでも満足度が高すぎるラインナップ。
今回特に感動したのが金目鯛の茶碗蒸し。金目鯛の脂の旨味が卵にじんわり染み込んでいて、上にかかった餡のとろみと艶感が、蓋を開けた瞬間に視覚でもう「美味しい」が確定するビジュアル。ひと口でふわっと口の中がとろける感じに、思わずため息が出た。
その後に続く紫ウニの手巻きと甘海老の握りも抜群の鮮度。特に紫ウニは、ほんのり果実のような甘い香りが立ち上がり、旨味がゆっくりと寿司飯と一体になって広がっていく。じわじわと口の中で膨らむこの“遅れてくる旨味”の感じが本当にクセになる。
やっぱりすぎたは、握りもつまみも、ひとつひとつが完璧に計算されていて、五感すべてが満たされる。何度でも通いたくなる名店。
2025/05/31 更新
2024/12 訪問
出品は相変わらず光り輝き、空気の中に沈むような滑らかさを感じさせます。
冬の終わりに差し掛かる食材たちは、まさに完璧でした。特に、小肌は先月と比べても格段に素晴らしく、その美味しさには思わず追加で二貫頼んでしまうほどでした。また、貝の季節を迎え、赤貝がデフォルトのコースに登場し、さらに私が大好きな魚「クエ」も味わうことができました。印象的だったのは、安康魚の肝が一時的に泥状の状態を試みた後、元の形に見事に回帰した点です。ただし、表面の処理方法には新たな工夫が感じられ、常に進化を続けていることが分かります。やはり、素晴らしいものは無意識のうちに細部まで磨き上げられていくものだと実感しました。
味も、飲み物も、どれも非常に美味しく、昼食として本当に心地よい時間を過ごすことができました。たとえ食材が最上級でなくとも、その扱いや味のバランス、出品の細部においては常に一流であり、味の安定感は群を抜いています。これが「すぎ田」の魅力です。
追伸:同行の友人は、1日に2回「すぎ田」のメインコースを食べた唯一の記録保持者でもあります。
2025/03/27 更新
名店の中でも、ここまで凛と立ち上がる車海老と烏賊の握りはなかなか出会えない。その佇まいは、大将の端正で堂々とした姿そのもののようだ。
私がSugitaを好きな理由は、彼のオマカセコースが常に「一つの完成された流れ」を描いている点にある。単なる名品の集合ではなく、味が互いに受け渡されていく構成だ。今回のコースを一言で表すなら「醇香」。全体の鮮度と旨味の起伏は、どこか緩やかなM字カーブのように感じられた。
序盤の刺身は、肉厚で歯切れの良い帆立が食欲を呼び起こし、季節の終わりを感じさせるウマヅラハギが続く。次に供される柚子香る白子は、驚くほど軽やかで、まったく重さを残さない。大好物のあん肝が一気にコクを引き上げ、前回飲んだ陽乃鳥が黒龍に変わっていたものの、それでも相性は抜群だった。
火入れの見事な焼き魚と茶碗蒸しを挟み、小肌と烏賊で握りが始まる。心地よい燻香をまとった鰆は、今回も完璧な“橋渡し役”。トロの質も文句のつけようがない。さらに印象的だったのは、ふっくらと弾力のある貝類で、特に赤く、わずかに発光しているかのような赤貝は本当に素晴らしかった。
日本酒のラインナップも、訪れるたびに驚きが増している。一合進んだところで、大将が少し意味ありげに「秘密の一本があります」と出してきたのは、見たことのない十四代。その後に勧められたのが、産土の四農香子・山田錦の混醸で、今日の寿司の香りをさらに引き立ててくれた。
料理をカメラで撮るという行為も、ただの寄りの記録写真から、「この一瞬」を切り取ること自体が楽しくなってきた。
やはり好きだし、また通いたい。