2回
2023/08 訪問
あのときのコーステーマは、忘れもしない《アワビ大作戦》。
前菜からデザート前まで、まさかの全編アワビづくし。
生アワビに始まり、とろりと煮込まれた半熟アワビ、炒め・蒸し・干し・あんかけと、まさにアワビのフルコース。あまりにも楽しすぎて、食べながらずっと心の中で「最高!」と叫んでいた。
シェフは香港で修業を積んだ経験もあり、実力は折り紙付き。それだけでなく、料理だけでなく文化や書の素養も感じられる美しいメニューに、思わず見入ってしまうほどだった。
一品一品の詳細な説明は正直難しい。なぜなら、どれも口当たりがなめらかで、鮮味が濃く、香り高く、完璧だったから。次の皿が来るたびに心が躍りっぱなしで、感想をメモする余裕すらなかった。
そして最後に起きた、ちょっとした楽しい出来事。
「シェフのチャーハン食べたい!」と皆で盛り上がった結果、まさかのその場で一人一皿ずつ炒めてくれることに。
火入れも技術も完璧で、粒立ち・ふくよかさともに申し分なし。ただ、もしかしてちょっと塩が少なかった?(疲れてたのかも?)
…でも、素材のうま味を引き出していたから、もしかしたらそれが狙いだったのかもしれない。
おそらく日本最高峰の中華のひとつ。わざわざ新幹線に乗ってでも訪れる価値が、間違いなくある一軒。
2025/04/06 更新
至高の満足感——仁修楼で味わう極上中華
仁修楼に来るたびに、心も胃も満たされる——たとえ東京から京都へ移動し、さらに金閣寺近くまで足を延ばしてでも。この店には、その価値がある。
今月のコースは、北京ダックと広東式焼き鴨の技法を融合させた「焼鴨四吃」。さらに、一人一皿の大排翅(フカヒレの姿煮)をはじめ、贅沢な品々が続く。
今回は早めに到着したため、シェフが手際よく鶏やフカヒレ、焼き物の下準備をする様子を目の前で堪能。まず提供されたのは、竹笙(チクホン)と羊肚菌(ヤマドリダケ)を使った滋味深いスープ。ほんのりとした酸味と旨味が見事に調和し、食欲をそそる。続いて、前菜の小皿が八寸スタイルで登場。中でも、干し肉(毎回お土産に買うほどの逸品)と焼き物が絶品。
特に、今回の焼き物は撮らずにはいられない(写真4)。見ただけで伝わる、このパリッとした皮の食感。口に入れると、軽やかな歯応えとともに脂と肉汁が広がる。それでいて、余分な脂を感じさせず、たった一切れでも完璧なバランス。
そしていよいよ、メインディッシュの焼鴨。シェフによると、北京ダックと広東式焼鴨の技法を掛け合わせたこだわりの一品とのこと。艶やかな皮は香ばしくパリッと焼き上げられ、噛むたびに果実のようなほのかな香りが広がる。提供スタイルも秀逸で、オレンジピールソースとともに包んで食べる鴨胸の皮、脂の少ない部位をシンプルに味わうスタイル、皮と肉のバランスが絶妙な部分を包んで楽しむスタイル、そして、色鮮やかに盛り付けられた焼鴨の大皿と、食べ進めるごとに異なる魅力を堪能できる。
さらに、チャーシューやアワビを贅沢に使用した「鮑羅万有」、そしてフカヒレの豪快な一皿へ。濃厚な旨味が口いっぱいに広がる一方で、添えられた豆苗の爽やかさがアクセントに。野菜が苦手な自分でも、これは美味しく感じるほどの完成度。そして、たっぷりのフカヒレを存分に楽しみながら、ご飯を二杯おかわり。満足感は言うまでもない。
最後は、アサリの汁そばで口をさっぱりと整え、可愛らしいデザートへ。干支にちなんだ蛇年の流沙包(とろけるカスタードまん)は、特別に蛇のパーツを分けて作り、見た目と食感の両方で楽しめる工夫が施されていた。
やっぱり中華は最高。友人が貸し切りでオーダーメイドの特別コースをお願いしたそうで、その創造性あふれるメニューにも期待が膨らむ。
P.S. ここでは、毎回メニューが手書きなのも魅力のひとつ。ただ美しく整った字というだけでなく、料理の名前にもセンスが光る。これを手がけているのが純日本人のシェフだというのだから、驚きと敬意を抱かずにはいられない。