2回
2025/01 訪問
2025年になっても、トップクラスの女性寿司職人は依然として少ない。
(性別の問題ではなく、単純に実際に目にする機会の少なさとして。)
そんな中で、彼女はまさに今最も「正統派」な寿司職人の一人。性別を問わず、その技術と存在感は圧倒的で、寿司を握る姿には独特の優雅さと気迫がある。
彼女の寿司は、見た目も味も常に安定しており、一貫ごとに繊細な弧を描くような美しさがある。それは、計算され尽くしたディテールの積み重ねによるもの。例えば、中トロ・大トロ(p12/13)の口当たり。内側はなめらかでクリーミー、表面にはわずかに弾力があり、程よい脂の旨みが広がるが決して重すぎない。例えば、車海老。表面にほんのり海老の卵を纏わせることで、微かなサクッとした食感をプラスするなど、細部へのこだわりが光る。
そして、今回のコースの締めくくりとして登場した**季節限定の蜜柑入り玉子焼き(p18)**が、個人的には忘れられない一品。玉子焼きの層の間に、漬け込まれた蜜柑ピールのようなフィリングが2~3層重なり、口に入れた瞬間、柑橘の香りがふわっと広がる。違和感はなく、むしろ食感の奥行きをぐっと深めるアクセントになっている。
本来は食事を締めくくる甘い一品のはずなのに、むしろ味覚をもう一度リセットし、「もっと食べたい」という衝動に駆られる、そんな魅力を持つ一皿だった。
2025/04/04 更新
清らかで上品──まさにそんな言葉が似合う一貫一貫だった。女主厨が描く“夏”は、冒頭の季節魚と野菜を閉じ込めたフランス風アスピックの時点で、その世界観がはっきりと伝わってくる。毎回思うが、Meiさんの寿司には“フレンチの呼吸”がほんのり溶け込んでいて、それが決して主張しすぎず、むしろ寿司の奥行きをそっと広げている。
例えば、ふわりと鼻に抜ける柚子の香りが層を作り、舌の上でほどける細やかな粒立ちが余韻を生み、マグロは選びや漬けのニュアンスがとても繊細で、最後にすっと残る“ほんのりした甘み”が、単なる脂の旨さとは違う“美しい締め方”をしてくれる。軽く炙った鰻の握りも秀逸で、薄くて細かく砕ける焦がしの表面が、香ばしさを上品に纏わせてくる。
店内の柔らかい暖色、均一に落ちるやさしい光、肩の力が抜ける穏やかな空気感。そして彼女のトレードマークの微笑み。友人と軽く飲みながら過ごす時間までもが味になって、全体としてとても“温度のある”心地よい寿司時間だった。