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九月初旬にすし宮川を訪問。凛とした空間の中、誠実なおもてなしと共にいただくお任せは、一貫ごとに親方の心意気が伝わってくる。 まず印象的だったのは赤酢のシャリ。酸味と温度のバランスが絶妙で、ネタの持ち味を自然に引き立てる。その真価を最も感じさせてくれたのが小肌で、締め加減が見事。香りと旨味が幾重にも重なり、江戸前の粋を体現する一貫だった。 名物の雲丹は、この日はむらさきとバフンの二種類。むらさきはよりクリーミーで濃厚な口当たり、バフンは冷水産らしく粒が大きく、甘みが際立つ。赤酢のシャリと調和した瞬間、それぞれの個性が鮮やかに浮かび上がり、食べ比べの楽しさを存分に味わえた。 さらに全国各地から蒐集した酒器も魅力の一つ。この日は「黒龍」を、親方自ら制作した猪口でいただいた。土の温もりが酒の柔らかな旨味を引き立て、特別なひとときを演出してくれる。また、店名の「宮」をあしらった漆器の猪口は、すし宮川のために特注されたもの。酒・器・鮨が響き合う世界観こそ、この店の真骨頂だろう。 穴子のふんわりとした口溶け、車海老の鮮烈な甘み、大トロの脂のキレなど、全体を通して緩急があり、最後の玉子まで一切の隙がない構成。 素材の確かさと職人技、そして器や酒の調和。すし宮川は、まさに一期一会の物語を紡いでくれる銀座の佳店だと改めて実感した。
2025/09訪問
1回
2024/11訪問
1回
革新と探求の天ぷらコース:常識を超えた味わい この日の天ぷらは、ただの揚げ物ではなく、一皿ごとに計算され尽くした”表現”だった。伝統に縛られず、それでいて芯のある料理。まさに「最も美味しい天ぷら」を追求する姿勢が、一品一品から伝わってきた。 低温油でじっくり火入れしたカツオ は、天ぷらの概念を覆す一品。衣をまとわせず、低温の油でじっくり火を通すことで、カツオ本来の旨味と食感を最大限に引き出している。口に入れるとQ弾な弾力がありながら、ねっとりと舌に絡みつくような濃密な食感。これはもう、もはや天ぷらではなく、天ぷらの技法を活かした新しい調理法といってもいい。 そして、印象的だったのが アスパラガスの天ぷら。一本をただ揚げるのではなく、部位ごとに異なる油温・揚げ時間を設定することで、それぞれの甘み・食感・香りを引き出している。この細やかなアプローチこそ、天ぷらという料理を極める職人技。 驚きは料理だけにとどまらず、ペアリングの妙 もまた絶品だった。単なる”天ぷらに合うワイン”ではなく、一皿ごとにベストな”マリアージュ”を探求する姿勢が素晴らしい。 最初の 白甘鯛×Chassagne-Montrachet は王道の組み合わせで、香ばしさと旨味の重なりに納得。そしてコースが進むにつれ、ペアリングは大胆になっていく。 Baby Aji(豆鯵)×黒中白(Blanc de Noirs)シャンパーニュ の組み合わせには驚かされた。鯵の脂とミネラル感の強いシャンパーニュが絡み合い、天ぷらの概念が変わる瞬間。そして エボダイ(イボダイ)×オーストラリアのピノ・ノワール には正直、衝撃を受けた。通常なら白ワインを合わせるところを、あえて赤のピノ・ノワールを選び、その結果が見事にハマる。この思い切りの良さ、まさに”天ぷらの概念を超える”アプローチだった。 さらに素晴らしかったのが、ペアリングのタイミング。ただワインを注ぐのではなく、こちらのペースを見ながら、ベストなタイミングで次のグラスを差し出す。「これはBaby Ajiに最高に合いますよ」と、ちょうど前のワインが残り2杯くらいのところで次のグラスが提供される。計算し尽くされた流れの中で、まるで物語のようにペアリングが進んでいく。 伝統を重んじながらも、決して型にはまらない。「最も美味しい天ぷら」を追求する職人の哲学と、それに寄り添うワインペアリング。どこまでも研ぎ澄まされた味の探求に、心から感動した夜だった。
2025/02訪問
1回
冬の贅沢・白子尽くしの至福の時間 冬といえば白子の旬。今回いただいた料理は、白子の魅力を余すことなく引き出した品々ばかりで、一つひとつがまさに芸術のようでした。 焼き白子とお粥 は、この夜のハイライトとも言える逸品。表面は香ばしく焼かれ、ほんのりとした焦げ目が白子の甘みを一層引き立てます。一口噛めば、中からとろりと濃厚な旨味が広がり、まるでミルクのように滑らか。そのままいただいても絶品ですが、優しい味わいのお粥と一緒に食べると、白子の旨味がより際立ち、余韻がじんわりと口の中に広がります。寒い冬の夜に、心まで温まるような一皿でした。 白子の椀物と柚子皮 もまた、繊細な一品。澄んだお出汁の中で白子がふわりと浮かび、口に入れた瞬間にとろけるような食感を楽しめます。柚子皮のほのかな香りがアクセントになり、濃厚な白子の味わいを爽やかに引き締める絶妙なバランス。まるで冬の静かな夜にそっと舞い落ちる雪のような、儚くも美しい味わいでした。 そのほかにも、ふわふわの雪のように盛られた氷の上に添えられた白子や、繊細な焼き魚、卵料理など、一皿ごとに職人の技と季節の恵みを感じさせる逸品ばかり。料理だけでなく、美しい器や盛り付けも見事で、一品一品に物語が込められているようでした。 冬の味覚を存分に堪能できる、まさに至福の時間。白子の奥深い魅力を再認識する、贅沢なひとときでした。
2025/02訪問
1回
スガラボヴィーで素晴らしい夏の料理を堪能しました! まず、見た目も可愛らしいうさぎのカレーは、まるで絵本の中から飛び出してきたような一皿でした。まろやかなルーと程よいスパイスのバランスが絶妙で、一口ごとに幸せを感じました。 そして、桃のデザートは、夏にぴったりの爽やかな一品でした。ジューシーな桃の甘みと、さっぱりとしたシャーベットの組み合わせが最高で、暑い季節にぴったりの締めくくりでした。 美しい盛り付けと洗練された味わいに感動しました!また訪れたいです。
2024/07訪問
1回
野口太郎——料理の余韻とともに届く、シェフの温かさ 料理が素晴らしかったのはもちろんだが、最後の瞬間まで心に残るのが、この店のシェフの温かさだった。 食事を終え、店を出ようとすると、そっと手渡されたのは暖かいカイロ。冬の冷え込みの中、その小さな気遣いが心まで温めてくれるようだった。店を出た後も、料理の余韻だけでなく、シェフのもてなしの心がじんわりと残る。 この気遣いが、この店の料理と同じく繊細で、優しく、そして忘れがたいものにしてくれる。味だけでなく、心まで満たされる時間だった。
2024/12訪問
1回
et NOU——都市から地方へ、食材への深い愛が紡ぐひと皿 et NOUの料理には、地方の食材への深い敬意と愛が感じられる。それもそのはず、大将は都市での経験を経てこの地へやってきた料理人。地方ならではの恵みを最大限に活かしながらも、都会的な洗練さを融合させた、独自の世界観を持つ料理を生み出している。 どの皿にも、その土地ならではの食材が活かされている。新鮮な野菜や魚介、地元の肉など、一つひとつの素材が丁寧に扱われ、持ち味を引き出す工夫が光る。例えば、メインの肉料理は絶妙な火入れで旨味が凝縮され、そこに添えられた地元産のスパイスや野菜が、より一層味の奥行きを広げる。デザートに至るまで、その土地の風土を感じさせる味わいが詰まっていた。 地方の食材に寄り添い、都会で培った感性と技術で昇華させる。そのバランス感覚が、et NOUの魅力を唯一無二のものにしている。この地の恵みを愛し、料理を通じてその魅力を伝えたいという想いが、一皿一皿から伝わってくるような食事だった。et NOU——都市から地方へ、食材への深い愛が紡ぐひと皿 et NOUの料理には、地方の食材への深い敬意と愛が感じられる。それもそのはず、大将は都市での経験を経てこの地へやってきた料理人。地方ならではの恵みを最大限に活かしながらも、都会的な洗練さを融合させた、独自の世界観を持つ料理を生み出している。 どの皿にも、その土地ならではの食材が活かされている。新鮮な野菜や魚介、地元の肉など、一つひとつの素材が丁寧に扱われ、持ち味を引き出す工夫が光る。例えば、メインの肉料理は絶妙な火入れで旨味が凝縮され、そこに添えられた地元産のスパイスや野菜が、より一層味の奥行きを広げる。デザートに至るまで、その土地の風土を感じさせる味わいが詰まっていた。 地方の食材に寄り添い、都会で培った感性と技術で昇華させる。そのバランス感覚が、et NOUの魅力を唯一無二のものにしている。この地の恵みを愛し、料理を通じてその魅力を伝えたいという想いが、一皿一皿から伝わってくるような食事だった。
2024/04訪問
1回
島津——台風の日、最高の状態ではない魚で見せた完璧な仕事 訪れた日は、あいにくの台風。漁の状況が悪く、魚のコンディションは決して完璧ではない。それでも、島津の大将はその時々の食材を見極め、最善の仕立てで一貫一貫を丁寧に握っていく。 ウニや赤身といった主役級のネタももちろん素晴らしかったが、この日に特に印象に残ったのは、白身や光物の仕事。ほんのりと昆布締めにすることで旨味を引き出し、酢や塩を効かせて魚の個性を際立たせる。素材が万全でないときこそ、職人の真価が問われるが、大将はその技で見事に補い、最高のバランスへと導いていた。 また、炙りや軽い漬けといった仕込みも秀逸。火入れによって旨味を凝縮させ、漬けの塩梅で余分な水分を抜き、味を引き締める。どんな状況でも、最良の状態を作り出すこの技術こそが、島津の真骨頂だと感じた。 台風の影響で魚が本来のポテンシャルを発揮できない日、それでも一つも妥協せず、完璧な寿司を提供する大将の仕事ぶりに、ただただ感服するばかりだった。
2024/08訪問
1回
鮨処 やまと ——寡黙な大将と、美味しすぎて思わず追加した小肌 店に入ると、静かで落ち着いた空気が流れている。鮨処 やまとの大将は多くを語らない。淡々と、しかし一つひとつの動作に迷いがなく、寿司を握る手元からは熟練の技が滲み出ている。カウンター越しに交わされるのは、最低限の言葉と、寿司そのものが語る美味しさ。 その日の握りの中で、特に心を奪われたのが小肌(こはだ)。程よい締め加減、口の中でふわりとほどけるシャリ、噛むたびに広がる旨味の層。あまりにも美味しくて、気づけばもう二貫追加していた。 大将はそれを見ても特に何も言わず、ただ静かに同じ仕上がりの小肌を握ってくれる。その仕事ぶりはまるで、一切の無駄を削ぎ落とした日本刀のように鋭く、それでいて美しい。 やまとでの時間は、華やかさとは無縁の、静かで研ぎ澄まされたひととき。寡黙な大将の手が生み出す寿司に、ただただ身を委ねる贅沢な夜だった。
2024/10訪問
1回
NK | 独創的なアプローチで魅せる一皿 NKの料理は、クラシックな技法をベースにしながらも、独自のエッセンスが加わった一皿一皿が魅力的✨ 素材の組み合わせがユニークで、見た目の美しさと味の奥深さが共存している✨ どの料理も、ひと口食べるごとに新たな発見があり、シンプルな皿の中に計算されたバランスが感じられる 温かみのある空間と、料理に合わせたワインのセレクションも素晴らしく、トータルで完成された食体験✨ ひとつひとつの料理に個性があり、最後まで飽きることなく楽しめる一軒✨
2024/08訪問
1回
軽やかな揚げ上がりで、油の香りは控えめ。衣は薄く、素材そのものの甘みが素直に伝わるスタイルでした。車海老や野菜の火入れも安定しており、最後まで重さを感じません。静かに丁寧な仕事を感じられる天ぷらでした。