無料会員登録/ログイン
閉じる
携帯電話会社の提供IDはこちら
食べログ
年間365日の外食生活
メッセージを送る
朝倉みくる
エリアから探す
開く
このエリアを地図で見る
ジャンルから探す
すべて
夜の口コミ
昼の口コミ
検索条件を変更
「フレンチ」で検索しました。
並び替え:
地図表示
これらの口コミは、訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。詳しくはこちら
1~1 件を表示 / 全 1 件
The Tabelog Award 2025 Silver 受賞店
食べログ フレンチ TOKYO 百名店 2025 選出店
北品川、大崎、品川/フレンチ
4.52
1839人
夜¥30,000~¥39,999
昼-
夜の点数:5.0
Quintessence|カンテサンス(東京・白金) ― 完成された時間に、少しだけ追いつけなかった夜 ― 東京・白金。 その夜、私は「静寂が音を持つなら、こういう店なのかもしれない」と思った。 カンテサンスの個室。 研ぎ澄まされた空間、 ほとんど無音のやりとり、 そして運ばれてくる料理たちは、すべてが 「一切の無駄を持たない芸術」だった。 ⸻ ◆ 写真は撮れた。でも、心には残っているのに、カメラロールには見つからない。 奇跡的に、個室で写真を撮ることが許された。 ちゃんと撮った。たしかに、あの白い皿も、灯りも、空気感も。 …けれど、いま、どこにあるかわからない。 カメラロールのどこかにはあるはずなのに、 “記録されたはずの記憶”に手が届かない感覚が、妙に寂しかった。 でも—— だからこそ思った。 この体験は“記録”ではなく、“体内に沈むもの”だったんだと。 後ほど携帯をしっかり見て貼りなおします。 ⸻ ◆ そして何より後悔しているのが、ババロア あのババロアを、グラン・メゾンを見る前に食べてしまった。 これは本当にショックだった。 先に食べてしまったのがいけないのか、 グラン・メゾン東京を先に見るべきだったのか。 たぶんどちらでもいい。けれど—— 「見た後だったら、もっと震えながら味わえた気がする」 そう思った自分がいた。 ⸻ ◆ ワインペアリングで、優雅に酔うはずが、ひとりベロベロに 本来なら、料理に寄り添うためのワイン。 なのに私は、全く寄り添えなかった。 寄り添うどころか、完全に追い越してしまった。 気づけばグラスが5つ並び、 テーブルの片側だけが、“何かの儀式の後”のようだった。 ワインの繊細な香りや構成を感じるべきはずの空間で、 私はただ、酔いという曖昧なベールに包まれてしまった。 とほほ、と笑って言えるけれど、 少しだけ、もったいなかった。 ⸻ ◆ それでも、“失敗すらも記憶に残す場所”だった この夜は、完璧ではなかった。 むしろ、後悔の多い夜だった。 けれど、 後悔が残るほど美しい体験だったという事実が、逆に愛しい。 カンテサンスという店は、 「全部うまくいったね」という記念写真のような場所ではない。 「もっと大切にすればよかった」 「あの一口を、もう少しゆっくり味わえばよかった」 そういう、取り戻せない感覚が積もっていく店。 だからこそ、また行きたくなる。 もっと静かに、もっと素直に、 “自分自身とぴったり合う呼吸”で、あの皿に向き合いたい。
1回
Quintessence|カンテサンス(東京・白金) ― 完成された時間に、少しだけ追いつけなかった夜 ― 東京・白金。 その夜、私は「静寂が音を持つなら、こういう店なのかもしれない」と思った。 カンテサンスの個室。 研ぎ澄まされた空間、 ほとんど無音のやりとり、 そして運ばれてくる料理たちは、すべてが 「一切の無駄を持たない芸術」だった。 ⸻ ◆ 写真は撮れた。でも、心には残っているのに、カメラロールには見つからない。 奇跡的に、個室で写真を撮ることが許された。 ちゃんと撮った。たしかに、あの白い皿も、灯りも、空気感も。 …けれど、いま、どこにあるかわからない。 カメラロールのどこかにはあるはずなのに、 “記録されたはずの記憶”に手が届かない感覚が、妙に寂しかった。 でも—— だからこそ思った。 この体験は“記録”ではなく、“体内に沈むもの”だったんだと。 後ほど携帯をしっかり見て貼りなおします。 ⸻ ◆ そして何より後悔しているのが、ババロア あのババロアを、グラン・メゾンを見る前に食べてしまった。 これは本当にショックだった。 先に食べてしまったのがいけないのか、 グラン・メゾン東京を先に見るべきだったのか。 たぶんどちらでもいい。けれど—— 「見た後だったら、もっと震えながら味わえた気がする」 そう思った自分がいた。 ⸻ ◆ ワインペアリングで、優雅に酔うはずが、ひとりベロベロに 本来なら、料理に寄り添うためのワイン。 なのに私は、全く寄り添えなかった。 寄り添うどころか、完全に追い越してしまった。 気づけばグラスが5つ並び、 テーブルの片側だけが、“何かの儀式の後”のようだった。 ワインの繊細な香りや構成を感じるべきはずの空間で、 私はただ、酔いという曖昧なベールに包まれてしまった。 とほほ、と笑って言えるけれど、 少しだけ、もったいなかった。 ⸻ ◆ それでも、“失敗すらも記憶に残す場所”だった この夜は、完璧ではなかった。 むしろ、後悔の多い夜だった。 けれど、 後悔が残るほど美しい体験だったという事実が、逆に愛しい。 カンテサンスという店は、 「全部うまくいったね」という記念写真のような場所ではない。 「もっと大切にすればよかった」 「あの一口を、もう少しゆっくり味わえばよかった」 そういう、取り戻せない感覚が積もっていく店。 だからこそ、また行きたくなる。 もっと静かに、もっと素直に、 “自分自身とぴったり合う呼吸”で、あの皿に向き合いたい。