2回
2025/04 訪問
すしショーに参加して,満足してまた予約する
四谷すし匠はつとに有名で,新参者は出入りできず,行ったことはないが,麻布台ヒルズに新店舗を構えたいうのでチャンスがあるかもと電話してみたら,キャンセル待ちで受付てもらえて1月ほどして初訪問となった。一度行けば次の予約が取れる仕組みである。予約は約半年後になったが,その間にキャンセル待ちがまた来てそれにも行ったら、間隔は3ヶ月になったという訳である。そんなんでもう4-5回は行ったので大体のようすはわかったつもりでいる。鮨の旨さは当然として,一言で評すればオーナー中沢氏演出のショーが始まり,客はそれに参加して,満足して次回のショーを予約して喜んで帰るという構図である。今のスターはすし匠の番頭杣木氏である。すし匠は弟子の育成に熱心で吉田松蔭の彫刻を冷蔵庫の扉に配して店の名前も寺子屋がつく。教育は全寮制の体育会系であるから、そこで長年寮長をして人望を得たのが彼であり,その寝食共にした信頼関係はゆるぎないものとなり、店の流れは阿吽の呼吸で,まるで一つのチームのショーを見るかのようである。酒のアテと握りが交互に出され,その間にも客に退屈させないように等しく話し掛ける。それは客に押し付けがましいところはまるで無く、ショーに参加して楽しい気分にさせてくれる。鮨の話をすると,シャリの旨さが卓越している。赤酢と白酢のシャリを使い分ける。箸でとると割れてしまいそうな握りであるが,今風に小降りで食べやすく,どれもハズレはない。握りは一通りコースで出たあと,コースに入っていなかったものを中心に本日のネタが示されアラカルトで注文出来る。いくつ頼んでも良い。最上等の大トロを巻いてもらうこともできる。握るのは杣木大将だけだから客も変な気遣いもいらす安心で切る。料金も常識の範囲であれば、5をこえることはない設定みたいなので,気遣いなくたくさん食べた方がお得な気がする。運が良くチケットが手に入るならば金を借りてでも参加するのをお勧めする。最後に一つご注意を。次回の予約ができるのは1組だけだから,その権利を同行者に譲ってしまうと自分は途切れしまう。情けはかけないことである。
2025/08/17 更新
前回の訪問時に,次回の予約の権利を連れに譲ったので,私はキャンセル待ちになってしまった。キャンセルがなかなか来なくて,ようやく来た時は生憎当方が旅行中であって,2回目のキャンセル待ちになった.それがようやく来て今回の訪問になった.おそらく一年ぶりに近いかと思われる.
18時の予約で10分前には着いたが,いつものようにウェイティングバーで待たされることもなく,そのまま鮨カウンターに案内された。先客は6人ですでに始まっていた。なんか今までと勝手が少し違うなと思ったが、その後はいつものように実にタイミングよく運ばれ,何も変わっていない風であった。変わったと言えば吉田松蔭が彫られた冷蔵庫のケヤキの扉の板が経年変化で色が少し濃くなっていた.やがて赤味がかった朱色から飴茶色になって行くのだろうが、それを自分がいつまで楽しめるかな、とふと考えてしまうのは多分に歳のせいだろうな。周りの若い客達は,そんなことは微塵も思わないに違いない.自分も若い時には,いつ来れなくなるかなんて考えもしなかったからな。この冷蔵庫が飴茶色に変わる頃は,大将はどんな顔になり,若い料理人達もどうなっているかと,話して和めるのもこの店の良さである。変わらないようで、皆変わっていくことを冷蔵庫の欅の木が教えてくれた。料理人達も,一人前になると、まもなく円熟期に入り,やがて衰えが味に現れるようになると引退して行くのを何人も見てきた。食べ手の味覚の衰えも同じことだろうが、こちらは無責任でよいので、元気ならいつまでも楽しめるのは有り難いことである。
そんなことを考えながらの今回の訪問であった。
今日の料理と握りは写真の順に、鰤しゃぶ、かすご、ヒラメ刺身、こはだ,赤身、ホタテの磯部焼き、しまあじ,バチマグロ,すみイカ、毛蟹茶碗蒸し,海葡萄の和物、さわらの昆布締め,イワシの海苔巻き、香箱蟹のちまき、松前漬け、中トロ、メヒカリ味醂干し風、 車エビ.あとはお好みで追加で、赤貝,甘鯛白皮,白エビ,背トロ、サバ棒鮨,大トロ、煮はま、カンピョウ、たまご焼.アルコールは無濾過生ビールをグラス2杯と黒龍しずくを半合で締めて3杯の不文律は守った。
最後のアラカルトはいつも板場は戦場となる。客一人が平均5貫としても40貫の注文が一度に入るが、これでフィニッシュになるからスタッフはチームプレーで一気に走るのが心地よい.寺子屋すし匠ならではである。
今回の推しは鰯と背トロかな。
それにしてもよく食べた。