2回
2025/12 訪問
コスパ優勝ーやればできるものだな
焼鳥「利行」の入っているビルの一階にあって,以前利行に行った時に,若いがミシュランの星をとって人気らしいと聞いて、電話で予約して約1ヶ月くらいで初訪問となった.まだ新しい設えで,潔良いほどシンプルな造作である.飾りものは生花が一つだけだ。親方は一流店ならまだ若い衆と呼ぶのがちょうど良いくらいの青年のように見えたが,二人の弟子を従えている。
先にツマミが出て握りに移るという伝統的なスタイルを守っている。ツマミはスマガツオを目の前のグドで藁焼きにして叩きにするという演出からスタートして気分を上げて来る.ついで鰯の磯辺巻きと今年の当たり魚を外さないところに感心していると,佐島のタコの柔らか煮が湯気を立てて出てきた。タラの白子焼きも季節柄だし、アラの酒蒸しも出汁が多めで美味しく飲めた。蒸し鮑もマダカの黒鮑で、キモのソースは多めで,残してご飯を混ぜて食べる趣向も良い。ツマミは全7品で質も高いし仕事も良い上に、最初から山葵が小皿に用意されているのも、わさび好きには嬉しい配慮だろう。
握りは、鰆,石鯛、アオリイカで鮪の赤身と中トロと続いた.マグロは仲卸が樋長、延縄で160キロというのも良いではないか,最近はどこに行ってもやま幸ばかりだから。
小肌には白板昆布が乗せられ、車エビにはデンブが忍ばせてあり、手巻きの海苔は炭火で炙るという丁寧な仕事ぶりである.雲丹も握るのは珍しい。穴子も身が厚く,炙り方も熱々で美味い.卵も二切れとサービス満点.握りはしめて11貫。
昼間だったのでアルコールはビールしか飲まなかったので,何が用意されているかはわからなかったが,ビールはエビス瓶ビールだけであった。
寿司は,今の有名店に勝るとも劣らずのネタであったが,あと研究の余地があるとすればシャリではないだろうか?米が少し硬めで酢加減も緩いような気がした。シャリこそ鮨の勝負所なので,ここは精進して欲しいところだ。
しかしながら,なんと言ってもコスパの良さは抜群で,これで一人20000円ちょうどである。この品質でこの値段では他店のどこにも追随を許さないであろうが,では最近の寿司屋のハイコストはなんだろうかと考えてしまう.5万6万というのはブランド料の上乗せ分ということなのかな。
次回は夕食で予約したら,2ヶ月先になってしまったが,それくらいなら予約しない手はない優良店であると思う。
2025/12/08 更新
昨年に訪問した時に、鮨は仕入れが高いのでいい魚を使うところは値段が高くなっても仕方ないというのは嘘じゃないか、亭主がその気になれば2万でやれるのかと,感動と,多少の怒りを込めてここに書いたが,再度訪問して,確証に変わった。はっきり言えば5万の店と遜色無い。昨今の鮨バブルとは一線を画して潔良い。ネタを選ぶ目も,仕事も確かだし,店の雰囲気も良い。何処かのように,高いから来るというドヤ顔の品性の低い客層ではなく,身の丈に合ったグルメを志向する若いが謙虚な客層である。
つまみは,クエの煮たものから始まり,メジマグロのトロと藁で炙ったすま鰹の叩き風の皿、蛸の柔らか煮、鰯と胡瓜や芽ねぎを海苔で巻いたもの,鰯は脂の乗り具合が素晴らしい。次いで蒸し鮑にたっぷりの肝がついて,後で酢めしを入れて絡めて食べるものだが、肝が不自然に多いので不思議に思ったら、肝だけ別に仕入れるというが、身より価値のある肝だけ売るのも奇妙な話だ。ま,こちらは美味いからありがたいので事情はどうでも良いことだが。鱈の白子を焼いて酢飯と混ぜて食べるもの,大ぶりの牡蠣のみぞれ煮で,ようやく握りに入った。つまみのレパートリーは,前回とほぼ同じだが,時間が開いた事もあり,皆新鮮な感覚で美味かった。手際が良いので間が開くというストレスフリーである。握りも同様で出るリズム感がとても良い。握りもアオリイカには細かく包丁を入れネットリ感を出す,カワハギは肝を忍ばせる,コハダには白板昆布を載せる、車海老には味噌を忍ばせるなど丁寧な仕事をするが,ごく自然体であるのが清々しい。雲丹は当たり前のように握ってくれた。味噌汁は甘草の白味噌が珍しいが、大将は天草の出身らしい。卵焼きは芝海老のすり身が入っているという。最後に干瓢を頼んだが,これは少し太めで食べ残してしまった。巻物はあん肝とラッキョウを混ぜたご飯を手巻きで出たのを忘れていたのだ。老いたものだ。
いわゆる高級鮨屋となんの遜色もない。むしろ仕事は丁寧で何より間が良い。常連になりたいが,次は3ヶ月先になるというが,無理もない話だ。