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「ラーメン」で検索しました。

これらの口コミは、訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。詳しくはこちら

118 件を表示 18

どうとんぼり神座 エキマルシェ新大阪店

新大阪、東淀川、東三国/ラーメン、餃子

3.42

861

¥1,000~¥1,999

¥1,000~¥1,999

定休日
-

夜の点数:4.0

新大阪駅の雑踏の中で、僕には一つの“儀式”がある。東京へ戻る新幹線に乗る前、必ず立ち寄る店があるのだ。それが「どうとんぼり神座 エキマルシェ新大阪店」である。旅行者や出張族でごった返す構内の一角に、明かりをにぎやかに灯す暖簾。その先に待つ一杯は、僕にとって単なる食事ではなく、旅の締め括りであり、次の時間へと心を整えるための儀式のようなものだ。 席に腰を下ろし、迷うことなく「半熟卵ラーメン」を注文する。待っている間にも、厨房から漂う湯気とスープの匂いが鼻先をくすぐる。ガタンゴトンと新幹線の発着を告げるアナウンスが遠くに響くなか、僕は心の中で「大阪に来た」と静かに頷く。ここでこの一杯を食べてこそ、大阪の旅が完結するのだ。 やがて目の前に現れた丼は、湯気を立ちのぼらせながら堂々たる姿で僕を迎える。透き通るようでいて奥深いスープ、その表面に浮かぶのは鮮やかな野菜とチャーシュー、そして中心に鎮座する半熟卵。レンゲでスープをすくい口に含むと、その優しさに思わず肩の力が抜ける。塩気は強すぎず、ほんのりと甘みがあり、まるで体の奥に沁みこんでいくような味わいだ。大阪の食文化の懐の深さが、この一杯には凝縮されているように思える。 麺をすすると、コシがありながらもするりと喉を通っていく。次に箸を半熟卵へと伸ばす。割ると、とろりとした黄身が流れ出し、スープに溶け込んで黄金色の膜を広げていく。その瞬間、ラーメンはひとつの料理から、別次元の世界へと変貌する。スープにコクが増し、麺を絡め取る味わいが深みを帯びる。僕はその瞬間を待ち望んでいた。何度食べても、この流れは儀式そのものであり、心を落ち着ける一種の祈りに似ている。 周囲を見渡せば、同じように出張帰りらしき人々が慌ただしくラーメンをすすっている。誰もがこの短い時間に、束の間の癒しと活力を求めているのだろう。エキマルシェという場所は、時間に追われる人々の交差点。その中で「神座」のラーメンは、一瞬だけ立ち止まり、自分を取り戻すための場所になっている。 大阪の街には数え切れないほどの食がある。串カツも、お好み焼きも、焼肉も、数々の誘惑が旅人を惹きつける。しかし僕にとって最後に欠かせないのは、この「半熟卵ラーメン」だ。豪華でも派手でもない。だが確実に、旅の記憶をひとつに束ね、次へと送り出す力を持っている。 丼を空にし、席を立つとき、心の中で小さな安堵を感じる。これでまた東京へ戻れる、と。食べ終わった余韻が、体の芯を温め、足取りを軽くする。改札を抜け、新幹線のホームへ向かう僕の中で、さっきまでの一杯がまだ生きている。 「どうとんぼり神座 エキマルシェ新大阪店」。僕にとってここは単なるラーメン屋ではない。大阪という街と東京をつなぐ、味の架け橋であり、旅のリズムを刻む鼓動のような場所だ。半熟卵ラーメンは、これからも僕にとって“出発の儀式”であり続けるだろう。

2025/09訪問

1回

麺場 田所商店 松戸二十世紀が丘店

北国分/ラーメン

3.05

101

~¥999

~¥999

定休日
-

夜の点数:4.0

夜の帳がゆっくりと街を包み始めた頃、俺は車のエンジンを切り、静かな住宅街の一角にぽつんと光る「麺場 田所商店 松戸二十世紀が丘店」の暖簾をくぐった。 この日、どうしても味噌ラーメンが食べたかった。いや、正確に言えば「北海道味噌の炙りチャーシューメン」が、頭の中に焼きついて離れなかったのだ。腹が減っていたというより、体がそれを欲していた──そんな夜だった。 厨房からは味噌の焦げる香りと、炙られたチャーシューの香ばしい匂いが漂ってくる。しばらくして現れたその一杯に、思わず息をのんだ。 濃厚な北海道味噌のスープが黄金色に輝き、力強く、それでいてどこか包み込むような温もりを湛えている。そして何より目を引いたのは、炙られたチャーシューたち。表面にしっかりと焼き目が入り、脂はとろける寸前で踏みとどまっていた。まるで焚き火の煙を纏ったかのような香りが、食欲を暴れさせる。 レンゲですくってひと口。スープはどっしりとしたコクと塩味が押し寄せ、それが決してしつこくない。太めの麺がその濃厚なスープを絡め取り、噛みしめるたびに北の大地の厳しさと恵みが伝わってくるようだった。 そして炙りチャーシュー。これはもう、ラーメンの中の贅沢ではなく、一つの料理だった。口に入れた瞬間、炭の香りと肉の甘みが混ざり合い、咀嚼という行為が一種の儀式に思えるほど、ひと噛みひと噛みに重みがある。 食べ終えた丼の底に、うっすらと残るスープを見つめながら思った。これは偶然の一杯ではない。今日この日、この場所で、このラーメンに出会う運命だったのだと。 ──北海道味噌の炙りチャーシューメン。それは、旅では味わえない、日常の中に潜む非日常だった。

2025/08訪問

1回

スパイス・ラー麺 卍力 西葛西店

ラーメン TOKYO 百名店 2024 選出店

食べログ ラーメン TOKYO 百名店 2024 選出店

スパイス・ラー麺 卍力 西葛西店

西葛西/ラーメン、つけ麺

3.77

1900

~¥999

~¥999

定休日
水曜日

夜の点数:4.0

東京・西葛西にある「スパイス・ラー麺 卍力 西葛西店」は、前から気になっていたラーメン店のひとつ。ようやく訪れる機会があり、評判の「パクチー入りスパイス・ラー麺」を注文してみました。結果から言うと…これはもう、想像以上の衝撃的な旨さ。クセになるとはこのことか!と実感しました。 まず、店の外観からしてインパクト大。黒を基調にした力強いデザインに「卍」の文字が目を引き、名前の通りエネルギーがあふれている雰囲気。店内に入ると、スパイスの香りがふわっと漂ってきて、もうこの時点で期待が高まります。 注文したのは、看板メニューである「スパイス・ラー麺」のパクチー入り。カウンター席に座って待つこと数分、運ばれてきた丼には、こんもりと山盛りのパクチー、鮮やかなスパイススープ、そして中太のもっちりとした麺が美しく収まっていました。まずはスープを一口──。ガツンとくるスパイスの香りと複雑な風味が口いっぱいに広がり、カレーやエスニックとも違う、唯一無二の味わい。スープなのにまるで“食べるスパイス”といった印象で、一瞬で虜になりました。 そこに絡んでくるのが、大量のフレッシュパクチー。このパクチーがまた絶妙で、スパイスの刺激をやさしく包み込むような爽やかな香りと清涼感があり、相性が抜群。パクチー好きにはたまらないどころか、むしろ「これを食べずしてパクチー好きは語れない」とすら思わせてくれるほど。しかも、苦味やえぐみがほとんどなく、フレッシュで柔らかい葉が使われていて、スープとの一体感がすごいんです。 麺は中太ストレートで、もちもちとした食感がスープをしっかり拾い上げてくれます。トッピングのチャーシューは厚切りでトロトロ、さらにシャキシャキのもやしも加わって、口の中でいろんな食感が楽しい。そして、終盤に向かうにつれてスパイスの余韻がじんわりと体に広がっていく感じも最高。食後はしばらく身体がポカポカしていて、まるでアジアの屋台で本場のラーメンを食べたような不思議な満足感がありました。 店内はコンパクトながら清潔で、スタッフさんの対応も元気で丁寧。常連客が多いのも頷ける雰囲気で、女性ひとりでも入りやすい空気感があります。カウンターでサクッと食べられるのも魅力的です。 他にもトッピングで“追いパクチー”ができたり、辛さ調整も可能だったりと、自分好みにアレンジできるのも嬉しいポイント。個人的には次回、辛さを少しアップして、さらにスパイスの奥行きを感じてみたいと思っています。 全体として、「スパイス・ラー麺 卍力 西葛西店」のパクチー入りラーメンは、ラーメンというジャンルに新しい可能性を見せてくれる一杯でした。スパイス好き、パクチー好き、エスニック好き、すべての人に体験してもらいたい、唯一無二のラーメンです。また必ず、いや、定期的に通いたくなるお店です。

2024/07訪問

1回

まんぷく亭

新松戸、幸谷/中華料理、ラーメン

3.27

58

¥1,000~¥1,999

~¥999

定休日
-サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

昼の点数:3.9

昼をとうに過ぎた時間、腹の虫が静かに鳴いていた。 街の喧騒が午後の陽射しにやや鈍く溶け込むころ、ふと足が止まったのが「まんぷく亭」だった。暖簾は少し色褪せていて、入り口横の看板には筆文字で“定食”の二文字。いかにも飾り気のない店構えに、妙に心を惹かれた。 ドアを開けると、カウンターの奥から「いらっしゃい」と短く、けれども芯のある声。店主の声には、厨房で長年油を浴びてきた職人の温度があった。客はまばら。時計の針は午後二時半。昼の混雑が過ぎ、店内には油の香ばしさと、ゆっくりとした時間が漂っていた。 壁のメニューを眺める。唐揚げ、しょうが焼き、焼き魚定食──どれも定番で、悩ましい。だが、その中で「レバニラ定食」という文字に、心がピクリと反応した。最近、まともなレバニラを食べていない。チェーン店のそれでは、どうも魂が感じられない。そんな思いが背中を押した。 「レバニラ、お願いします」 注文してから、わずか数分。中華鍋の底でレバーが躍り、ニラが弾ける音が聴こえた。油が金属に跳ねるリズムが心地よい。料理の音には、作り手の集中が宿る。その音を聞いていると、なぜか落ち着くのだ。 やがて、目の前に置かれたレバニラ定食。 白飯の湯気が立ち上り、味噌汁が隣に控える。主役の皿は、鮮やかな緑と艶やかな茶色の対比が美しい。レバーの表面には光沢があり、厚みも申し分ない。箸でひと切れつまむと、驚くほど柔らかい。口に入れた瞬間、ふんわりとした食感のあとに、濃密な旨みが広がる。 ニラのシャキシャキ感、もやしの歯ごたえ、そしてレバーのコク。 それらがひとつのリズムとなって舌の上で調和する。にんにくの香りが立ち上がり、後からほんの少しだけ辛味が追いかけてくる。その絶妙なバランスが、箸を止めさせない。 気づけば、白飯がどんどん消えていく。 このレバニラは、ご飯のために生まれた料理だ。噛むほどに味が深まる。タレの濃さもほどよく、脂の重さを感じさせない。まるで料理全体に“節度”という美学が貫かれているようだった。 店主がちらりとこちらを見る。 「レバー、ちょっといいやつ使ってます」 そう言って笑った。 その一言に、この店のすべてが詰まっている気がした。素材に対して嘘をつかない。手間を惜しまない。派手さはないが、味で勝負している。そんな誇りが感じられる。 外に出ると、午後の陽射しが傾き始めていた。 腹は満ち、心も満ちている。ふと振り返ると、まんぷく亭の暖簾が風に揺れていた。その姿が、どこか人生の一場面のように映った。 うまいものというのは、単に舌を喜ばせるものではない。 心に静かに残る余韻、それこそが本当の“うまさ”だと思う。 まんぷく亭のレバニラは、まさにそんな一皿だった。 ──またあの音と香りに会いに来よう。

2025/10訪問

1回

麺屋亥龍

市川、市川真間、国府台/ラーメン

3.48

287

¥1,000~¥1,999

¥1,000~¥1,999

定休日
火曜日サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:3.7

夜が深まるほど、人はなぜかラーメンに惹かれる。 一日を終えた身体が、最後のご褒美のように、温かい汁物を求めるのだろう。 代々木の街を歩きながら、その衝動が静かに胸の奥でうずき始めていた。 「麺屋亥龍」。 その名を見つけた瞬間、迷いはなかった。 まるで吸い寄せられるように暖簾をくぐった。 カウンターの向こうで、店主が無駄のない動きで鍋を操る。 スープがひと息つくように湯気を立て、背脂が光を帯びて揺れている。 深夜特有の静けさのなかで、その音だけがはっきりと耳に届く。 やがて目の前に置かれた一杯。 青い龍の絵柄が入った器に、背脂が雪のように浮かんでいる。 ネギがどっさりと盛られ、チャーシューは丼の端で静かに存在感を示している。 海苔が少し湿り始めていて、その様子がなぜか愛おしい。 まず、れんげを沈めてスープをすくう。 背脂が舌に触れた瞬間、じんわりと広がる甘みとコク。 その奥から醤油の輪郭が顔をのぞかせ、喉を通る頃には身体全体が温まる。 「深夜にこれは反則だな」と、思わずひとりごちた。 そして、投入した大量の大蒜。 ニンニクが溶け出す瞬間、スープは一気に別物になる。 鋭いパンチが加わり、背脂の甘さがさらに引き立つ。 深夜に食べる罪悪感と、翌朝の活力を同時に与えてくれる味。 ラーメンとは、時に“背中を押す料理”なのかもしれない。 麺をすすれば、その感覚はさらに強くなる。 太すぎず細すぎず、スープを絡め取ってちょうどいい。 すすった瞬間に立ち上るニンニクの香りは、夜の街の疲れを一瞬で吹き飛ばしてくれる。 チャーシューはしっとりとしていて、箸を入れただけでほぐれていく。 脂の旨みと肉の筋がほどよく残っていて、噛むたびに力強い味が広がる。 どこか懐かしさすら感じるその一枚は、この一杯の中で欠かせないパーツだ。 そして、大好きな“深夜のラーメン”特有の感覚が訪れる。 空腹を満たすというより、今日一日の自分を労う儀式のようなもの。 背脂が溶ける音、スープの香り、麺の温度── そのすべてが、まるで「お疲れ」と語りかけてくる。 店内は決して華やかではない。 照明は必要以上に明るくなく、客同士の会話も少ない。 だが、不思議な“安心感”がある。 深夜の店でしか味わえない、静かなぬくもりだ。 最後の一滴まで飲み干す頃には、 身体の中心から熱が湧き上がり、明日へのエネルギーが満ちてくる。 背脂ラーメンというのは、ただの食事ではなく、 “明日に繋げるためのエネルギー補給”なのだと実感する。 外に出ると夜風がひんやりしていたが、 その冷たさですら心地よく感じられた。 胃袋に宿った温もりが、ゆっくりと全身を満たしていく。 代々木の夜、麺屋亥龍の一杯。 深夜の孤独を癒し、翌日僕を支える── そんな力強いラーメンだった。

2025/11訪問

1回

七菜矢

掲載保留七菜矢

錦糸町、住吉、菊川/つけ麺、ラーメン

3.44

322

¥1,000~¥1,999

~¥999

定休日
-サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:3.7

夜の街、新宿の雑踏の中でふと立ち止まる。仲間と連れ立ち、暖簾をくぐった先にあるのが「七菜矢」だ。看板の明かりは控えめながら、扉を開けた瞬間に漂ってくる出汁の香りが、迷いなくこの店を選ばせる。 僕らが注文したのは、店の看板ともいえるつけ麺。そして飲み物はコカコーラ。ビールやハイボールではなく、あえてコーラを選んだのは正解だった。濃厚な一杯を前に、炭酸の爽快さが抜群の相性を発揮するからだ。 大ぶりの丼に盛られた太麺は、艶やかに輝き、見ただけで強烈に訴えかけてくる。箸で持ち上げれば、その重量感としなやかさが伝わり、噛めば噛むほどに小麦の風味が口いっぱいに広がる。表面は滑らかで、スープをまとわせると一筋の絹のように口へと流れ込み、そこで爆発する旨味に圧倒される。 スープは濃厚かつ複雑だ。魚介と豚骨が重なり合い、一見すると重たそうだが、実際に口に含むと意外なほど軽やかに抜けていく。鰹の香りが鼻を抜け、豚骨のコクが舌に残り、煮干しの苦味が輪郭を整える。まさに「飲む」ではなく「食べる」スープだ。麺を潜らせるたび、濃密な旨味が全身を駆け抜ける。 ここでコカコーラをひと口。炭酸の刺激と甘さが、スープの濃厚さをリセットし、また新しい一口を欲する気持ちを生み出す。油を切り裂く炭酸の鋭さが、食欲をさらに焚きつける。ラーメンとコーラの組み合わせにこれほど説得力を感じたのは初めてだ。 仲間と顔を見合わせ、「これはやばい、病みつきになる」と同時に声を上げた瞬間、僕は確信した。七菜矢のつけ麺は、ただ旨いだけではなく、人を中毒にさせる何かを持っている。食べ進めるうちに、すでに「また来たい」と心がつぶやいている。 店内は広くない。だが、その距離感が良い。厨房の中で職人が麺を湯切りする音、スープをかき混ぜる音、器を置く小さな衝撃音がすべてBGMとなり、待ち時間までもが期待感に変わる。湯気が立ち上るその向こうで、ラーメンを作る人の真剣な姿が見える。そうした臨場感も含めて、一杯の価値を引き上げている。 やがて丼の底が見え始めると、惜しむ気持ちが湧き上がる。それでも最後の一滴まで飲み干したとき、身体の奥から湧き上がる満足感が全身を包み込む。額に滲む汗、炭酸で冷えた喉の心地よさ、そして再び麺を欲する渇望――これらが混ざり合い、食事を超えた体験になる。 店を出ると、外の新宿の雑踏が再び押し寄せてくる。だが、不思議とその喧噪が軽やかに聞こえる。美味いものを食べたあとにしか訪れない幸福感が、歩調を緩め、夜の街を少し美しく見せてくれる。 七菜矢のつけ麺は、一度食べたら忘れられない。いや、忘れることを許してくれない。食べ終わった直後から、すでに次の訪問を心に刻んでしまう。病みつきになるとは、まさにこのことだろう。 ――この一杯を知ってしまった以上、もう後戻りはできない。

2025/09訪問

1回

二九八家 いわせ

本八幡、京成八幡、篠崎/ラーメン

3.60

530

~¥999

~¥999

定休日
-

夜の点数:3.5

仲間と車を走らせる時間というのは、目的地よりもその過程が面白い。ハンドルを握り、幹線道路を滑っていくと、都会の喧騒はバックミラーの向こうへと置き去りになる。目的地は「二九八家 いわせ」。口コミの評価がどうこうというより、仲間のひとりが放った「ここのチャーシュー、ちょっと人生変わる」という半ば胡散臭い誘惑に負けたからだ。 到着したその店構えは、決して観光客を意識した派手な色彩ではない。むしろ、地元の胃袋を長年支えてきた職人の寡黙さを思わせる。暖簾をくぐると、豚骨の匂いが鼻腔に広がる。旨さと脂が絡み合い、空腹という原始的欲求に火をつける香りだった。 テーブルに腰掛け、迷うふりをしながらも、心はすでに「チャーシュー麺」へと決まっている。仲間たちも同じ頼み方だ。注文が通ると、厨房の奥からチャーシューが切られる音が聞こえた。トントン、とリズムを刻む包丁の音が小気味よい。まるで「これからお前の世界を変えてやる」と言わんばかりだ。 ほどなくして、その一杯は目の前に置かれた。 黄金にも見える濃厚な豚骨スープ。ぴたりと整列した麺が沈む下、重厚な存在感を放つチャーシューが鎮座している。脂身と赤身が描く模様は、まるで熟成された大理石のようだ。視覚だけで、人は幸福になれるのだと実感する。 箸を伸ばし、チャーシューをつまむ。ふわり、と持ち上がる軽さ。噛む前に、唇で崩れる。肉の繊維がほぐれ、脂がとろける。味が舌に触れると同時に、豚肉の生きざまが語りかけてくる。決して派手ではない。だが、丁寧に毎日積み重ねられてきた仕事の結晶。それを、ラーメンの上にそっと寝かせているのだ。 スープは濃厚だが決して重くない。豚骨という素材を知り尽くし、その魅力を最大値に引き上げている。レンゲですくい一口。喉を通過したあとに残る余韻が、酒の余韻にも似た深さを持っている。そこに中太の麺が絡むと、旅はクライマックスに向けて加速する。麺を啜るという単純な動作に、こんなにも快楽が潜んでいるとは。 仲間たちは無言だった。会話を奪うラーメンが世にどれだけあるだろうか。人は本当に美味いものに出会った時、言葉を失うのだ。会話が止まり、湯気と鼻息だけが店内の空気と混ざる。そんな静寂の中で、幸福だけが満ちていった。 食べ終えた後、ふと外を見ると、車のフロントガラスに夕日が反射していた。胃袋を満たしたばかりなのに、心のどこかに切なさが漂う。美味い一杯というものは、いつも別れの瞬間に寂しさを連れてくる。なんでこんなにも短いのだろう。人生と同じで、良いものほどすぐに終わってしまう。 「また来たいな」 誰かが呟いた。それは全員の本音でもあった。 二九八家 いわせ。 そこには、無駄な飾りも、奇をてらった演出もない。ただただ誠実に、チャーシューが激ウマという事実のみがそこに存在する。 旅をする理由は人それぞれだ。 だが、ここには一つの動機がある。 「このチャーシューに会いに行く」という理由が。 その理由だけで、また車を走らせる価値がある。

2025/10訪問

1回

喜夜楽番

浅草(つくばEXP)、入谷/中華料理、ラーメン

3.10

30

¥3,000~¥3,999

-

定休日
-サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:3.5

喜夜楽番 ― 吉原の灯の下で味わう中華 夜の浅草を抜け、吉原の近くまで歩みを進めると、街の空気はがらりと変わる。煌びやかな提灯やネオンが、昼間とは別の顔を見せる。どこか妖しげで、しかし人を惹きつける磁力を放つ街。その一角にひっそりと光を灯すのが「喜夜楽番」だった。 店の前に立つと、夜更けにも関わらず明かりは温かく、まるで帰りを待つ灯火のように揺れている。仕事終わりに仲間と「ここで一杯やろか」と暖簾をくぐった瞬間、油の匂いと鉄鍋を振るう軽快な音が、吉原の喧噪を一気に忘れさせてくれた。 最初に頼んだのは餃子。皿に並んだ焼き目は黄金色に輝き、箸でつまめば皮がぱりりと音を立てる。ひと口頬張ると、中から熱々の肉汁が溢れ出す。香ばしさと旨味が混じり合い、冷えたビールを流し込めば、喉を滑る苦味と肉の甘みが見事に調和する。吉原の夜に漂う退廃と欲望を一瞬忘れさせる、純粋な「旨さ」がそこにあった。 続いて青椒肉絲。ピーマンと豚肉が色鮮やかに皿の上で絡み合い、シャキリとした歯ごたえと柔らかい肉の旨味が舌を踊らせる。ほろ苦さと濃厚なソースのコントラストが、どこかこの街の陰影を思わせた。気づけば仲間の箸も止まらず、皿はあっという間に空になった。 チャーハンは夜中の腹に染み渡るご馳走だった。米一粒一粒がしっかりと立ち、卵とネギの香りがふわりと鼻を抜ける。油の香ばしさと塩気の加減が絶妙で、スプーンを運ぶ手が止まらない。吉原の街を彷徨い、疲れた体をそっと包み込むような優しい一皿だ。 そして肉もやし炒め。これほど潔い料理もない。強火で一気に炒められたもやしはシャキシャキ感を残しながら、肉の旨みと混ざり合う。余計な飾り気はなく、ただ真っ直ぐに食欲へ応える。その素朴さが、夜更けにふさわしい力強さとなって僕らの体に染み渡った。 気がつけば、テーブルの上は空の皿とグラスで埋まり、仲間の笑い声が絶えなかった。外の世界では、吉原の街がまだ眠らず、赤い灯と人々のざわめきが漂っている。しかし、この店の中は穏やかで、ただ料理の旨さと人の温もりが支配していた。 「喜夜楽番」。その名の通り、夜を喜び、楽しく過ごすための番所。吉原の近くという土地柄が生む妖しさと人情、その両方を抱きとめる懐の深さを、この店は持っている。きっとまた、仕事に疲れた夜、あるいはふらりと街に迷い込んだ夜に、僕はこの店の灯りを探してしまうのだろう。

2025/09訪問

1回

日高屋 小岩南口店

小岩/ラーメン

3.01

16

~¥999

~¥999

定休日
-サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:3.5

昨日、僕たちは小岩駅南口の「日高屋 小岩南口店」に足を運んだ。 駅を出てすぐ、ふと「軽く一杯どう?」という流れになって、自然とこの店に吸い寄せられた。気取らず、サクッと飲めて、つまみも安くて旨い。そんな日高屋特有の安心感。まさに、日高屋マジックである。 まずは、緑茶ハイで乾杯。これがまた妙にうまい。チェーン店の居酒屋系ドリンクって、薄いとか甘すぎることが多いのに、ここの緑茶ハイは程よい濃さと渋み、そしてアルコール感がちゃんとある。喉を潤しながら、「今日も一日お疲れさま」なんて言葉が自然と口をついて出た。 そして運ばれてきたのは、定番中の定番、焼餃子。これぞ日高屋の看板メニュー。皮はパリっと、具はジューシー。ニンニクの香りもそこまでキツくなく、でもしっかりとした食べごたえ。タレをちょっとつけて、一口で頬張れば、ビールや緑茶ハイとの相性は文句なし。 続いて注文したのは、野菜炒め。これがまた、絶妙だった。キャベツ、もやし、人参、豚肉、そしてほんのりニンニクの風味。中華鍋で一気に火を通したその香ばしさが、テーブルに届くや否や、食欲が爆発する。シャキシャキとした食感、しっかりとした味付け、なのに後味は意外にさっぱり。これでワンコイン以下なんて、本当にありがたい。 店内は仕事帰りのサラリーマン、大学生風の若者、年配のおじさん、いろんな客層がそれぞれの時間を楽しんでいた。どのテーブルにも気取らない会話と笑い声があふれている。僕たちもついつい、いつもより会話が弾んでしまった。 普段は意識しないような昔話や、最近のちょっとした悩み、将来のことまで。気取ったレストランではこうはいかない。こういう「ちょい飲みできる街の中華屋」でこそ、自然体で本音を話せる空気がある。それが、僕は好きだ。 テーブルの上に並んだ餃子の皿、野菜炒めの鉄板、そして2杯目、3杯目と進む緑茶ハイ。気づけば2時間以上、ゆったりと時間を過ごしていた。 そういえば、途中で隣の席のサラリーマン風の男性二人組が、「やっぱ、日高屋は落ち着くなー」なんて笑っていた。まさに、その通りだと思った。高級じゃない。でも、ちゃんと旨くて、安くて、居心地がいい。 最後にちょっとお腹が空いて、半チャーハンでも頼もうか迷ったが、また次回の楽しみに取っておくことにした。 店を出ると、夜風が心地よく、小岩の駅前のネオンが少しだけ優しく見えた。 「また来ようぜ」 そんな何気ない一言で、昨日の夜が締まった。 きっとまた近いうちに、ふらっと寄って、あの緑茶ハイを飲みながら、いつものように餃子と野菜炒めをつまみに語り合うことになるだろう。

2025/07訪問

1回

食堂 たいちゃん

柴又、新柴又、京成高砂/ラーメン

3.23

34

¥1,000~¥1,999

~¥999

定休日
水曜日サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:3.5

柴又散策の途中、ふと立ち寄った「食堂たんめん」。昔ながらの町中華の雰囲気が漂う、どこか懐かしさを感じるお店でした。 店名にもなっている「たんめん」は、野菜がたっぷりで、スープは優しくもしっかりとコクのある味わい。暑い日にも不思議とするする食べられて、身体に染みるような美味しさでした。シャキッと炒められた野菜の歯ごたえも絶妙で、見た目以上にボリュームもあって満足度◎。 店内はこぢんまりとしていて、どこかアットホームな雰囲気。地元の常連さんらしき方々が次々と訪れ、「ここが地域に根づいた食堂なんだな」と感じました。お店の方も気さくで、「たんめん美味しいよ〜」と笑顔でおすすめしてくれたのが印象的でした。 柴又の観光で少し歩き疲れたとき、こういう落ち着ける食堂があるのは本当にありがたい存在。また近くに来たら、ぜひ再訪したいお店です。次は焼きそばや餃子も食べてみたい!

2025/06訪問

1回

市川ブラックらーめん 林遊船

原木中山/ラーメン

3.43

105

~¥999

¥1,000~¥1,999

定休日
-サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

昼の点数:3.5

屋台風の佇まいに惹かれて訪問。名物・市川ブラックラーメンは見た目の黒さとは裏腹に、旨味たっぷりで奥深い味わい。醤油のコクと香ばしさが絶妙で、スープを一口飲んだ瞬間にその世界観に引き込まれました。モチっとした中太麺との相性も抜群で、トッピングのチャーシューもとろける旨さ。暑い中で熱々のラーメンを食べる一杯は、で格別でした。地元の名物としてもっと広ま

2025/06訪問

1回

らぁ麺モリズミ

足柄、御殿場/ラーメン

3.49

284

~¥999

-

定休日
-サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:3.4

帰り道の高速道路。西に傾いた陽が、リアウィンドウから淡く車内を照らしていた。 ラジオは流れていたが、誰も聴いていなかった。運転席の男がハンドルを握ったまま、ぽつりと言った。 「ちょっと、何か食ってくか」 その一言が、疲れた体の中に静かに響いた。助手席の男が頷き、俺は後部座席から景色を見つめながら、なんとなく目を閉じた。午後と夕暮れの境い目を漂うようにして、車は走る。 次のパーキングエリア。そこに、俺たちはふらりと吸い込まれるように入った。 広い駐車スペースには、県外ナンバーの車が並び、家族連れや単身の男たちが行き交っていた。 そして、その一角に、白地に黒文字で「らぁ麺モリズミ」と書かれた暖簾が風に揺れていた。 ただのフードコートではない。そこだけが異質な空気を纏っていた。 「ここにしよう」 誰ともなく言った。 カウンター席に三人並ぶ。注文はそれぞれ違ったが、俺は迷わず、特製ラーメンを頼んだ。 店内は無駄な装飾のない、静謐な空間だった。厨房の中では、若い男が黙々と仕事をしていた。 やがて運ばれてきた一杯のラーメン。 澄んだスープの表面に浮かぶ油の粒が、まるで水面に反射する月光のように揺れていた。 箸で麺をすくい、静かに口に運ぶ。 ──これは、うまい。 節系の香りが鼻を抜け、舌にじわりと広がる旨味。動物系のコクと魚介の繊細な出汁が、互いを邪魔せず、調和している。 麺は中細のストレート。コシがありながら喉越しは軽やか。 チャーシューは噛むごとに脂がとろけ、炙った香ばしさがほんのりと残る。 目の前の丼に、静かに没入していく。 まるで誰かの語りをじっと聞いているような、そんな感覚だった。 「……これは、なかなかだな」 隣の男が呟いた。 俺は答えなかった。ただ、心の中で、そうだと強く頷いていた。 外の喧騒も、高速のエンジン音も、この一杯の前では意味を成さない。 日常と旅路の間にある、ほんの一瞬の“静けさ”が、このラーメンにはあった。 食べ終わったあと、誰もスマホを取り出すことはなかった。 店を出て、車に乗り込んでも、しばらくの間、三人とも口を閉ざしていた。 エンジンがかかり、再び走り出す車内に、少し遅れてラジオの音が戻ってくる。 しかし、それももう耳には入らなかった。 思えば、旅というものは、目的地だけでは成り立たない。 こうして、偶然立ち寄った場所で出会う、一杯のラーメン。その味、その時間、その沈黙。 それこそが、旅の“芯”なのかもしれない。 後部座席の窓の外に、赤く染まった空が広がっていた。 俺は目を細めながら、それを見つめる。 「また、来てもいいな」 心の中で、誰に言うでもなく、そんな言葉を呟いた。

2025/07訪問

1回

日高屋 市川北口店

市川、市川真間、国府台/ラーメン、中華料理、食堂

3.03

28

~¥999

~¥999

定休日
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夜の点数:3.3

市川駅の北口を出ると、どこか下町らしいざわめきが漂っている。大通りの喧騒を抜けて路地に足を踏み入れると、赤提灯に照らされた小さな看板が目に飛び込んでくる。「日高屋 市川北口店」。この街に暮らす人々にとって、そして通りすがりの旅人にとっても、ここは憩いの場であり、胃袋を満たす安らぎの場所だ。 ドアを押し開けると、油の香りと焼き立て餃子の匂いが鼻をくすぐる。チェーン店という言葉で片づけられない、どこか家庭的な温もりがある。カウンター席に腰を下ろすと、店員の声が飛び交い、ジョッキを持ち上げる音や、鉄板に油が弾ける音が混じり合って、ひとつの交響曲を奏でている。仕事帰りのサラリーマン、部活帰りの学生、買い物袋を下げた主婦。彼らが一堂に会する光景は、この街の縮図そのものだ。 ハイボールを頼む。シュワリと炭酸が立ちのぼり、氷がカランと音を立てる。その一口目が、乾いた喉を鮮やかに潤す。アルコールの刺激と、レモンの香りが一日の疲れをどこかへ追いやってくれる。値段は驚くほど安い。しかし安さが決して軽さを意味しないことを、ここに座れば誰もが知るだろう。むしろ「安いからこそ、毎日寄れる」。そういう距離感が心地よい。 皿の上に餃子が運ばれてきた。焼き目はきつね色にこんがりと輝き、皮はパリッと音を立てる。箸で割れば、中からは肉汁がほとばしる。ニンニクの香りと野菜の甘みが絶妙に絡み合い、ハイボールとの相性は抜群だ。これがまた、三百円そこそこというのだから驚かされる。背伸びする必要もない。大衆に寄り添う値段設定こそが、この店の真骨頂なのだろう。 そして、肉の皿を追加する。決して高級な肉ではない。だが、鉄板の熱が直に伝えた香ばしさは、舌に幸福を与えてくれる。塩気の効いたシンプルな味付けが、アルコールを呼び込む。隣の客がラーメンをすすり、向かいの席では炒飯をかき込む。そのすべてが「ごちそう」であり、同時に「日常」でもある。特別な夜を演出するわけではない。ただ、いつ来ても同じように迎えてくれる安心感が、何よりの魅力なのだ。 この街で長く生きてきた人にとって、日高屋は「第二の食卓」かもしれない。財布を気にせず、腹を満たせる。そこにあるのは、贅沢とは異なる幸福感。肩書きも立場も関係ない。すべての客が「飲みたい、食べたい」という欲求のままに、同じ空間を共有する。それは一種の平等であり、自由でもある。 店を出る頃には、夜風が火照った頬を冷ましてくれる。駅前のネオンが瞬き、足早に帰路につく人々の群れが流れていく。その中で、心はどこか軽やかになっていた。安くて旨い――このありふれた言葉が、これほどまでに説得力を持つ場所が他にあるだろうか。日高屋 市川北口店は、単なる中華チェーンではない。ここは、人々の日常に寄り添い、明日へとつなぐ力を与える「名店」なのである。

2025/09訪問

1回

日高屋 両国東口店

両国、浅草橋、蔵前/ラーメン、中華料理、食堂

3.03

48

~¥999

~¥999

定休日
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夜の点数:3.2

両国駅東口を出て、夜のざわめきに背を押されるようにして、小さな赤い看板に灯る「日高屋」の文字を見つけた。 「ちょっと寄ってくか」と、気心知れた仲間ふたりと肩を並べて暖簾をくぐる。冷房の風が頬をなで、立ちのぼる油と醤油の香りが空腹の底をくすぐる。 カウンターではなく、奥のテーブル席に腰を下ろす。メニューは迷いがなかった。餃子、野菜炒め、そしてレモンサワーと緑茶ハイ。それぞれの喉を潤すには十分すぎる布陣だった。 まず餃子。ジュウと音を立てて鉄皿に載せられ、照明の光を背に黄金色に焼きあがったそれは、まるで一日の終わりを労うような味がした。かりっとした皮の下には、ふわりと肉汁が詰まっている。 野菜炒めは潔いほどにシンプルだ。キャベツ、人参、もやしに豚肉。熱された中華鍋の記憶をそのまま皿に移したような、躍動感ある味わい。ごま油の香りと塩の塩梅が、なんとも言えず心地いい。 「明日からまた、がんばるか」 誰ともなく呟いたその言葉に、レモンサワーの泡が静かに応えた。 緑茶ハイを口に含むと、ほんのりとした渋みが喉を通り抜け、妙に落ち着いた気分になる。気取らない、飾らない、けれど確かに沁みる夜だった。 ああ、こういう時間があるから、日々のあわただしさもまた愛しく思えるのかもしれない──そんなことを思いながら、店を出た。夜風が心なしか、さっきよりも優しく感じた。

2025/08訪問

1回

桂花ラーメン 新宿東口駅前店

新宿西口、新宿、新宿三丁目/ラーメン

3.47

962

~¥999

~¥999

定休日
-

夜の点数:3.2

夜の帳が降りはじめた新宿の街は、ネオンの光がビルの谷間を泳ぎ、人々のざわめきに熱を帯びていた。そんな街の鼓動に引き寄せられるように、俺は「桂花ラーメン 新宿東口駅前店」へ足を向けた。 暖簾をくぐると、豚骨の香りが鼻腔を刺激する。九州ラーメン特有のあの濃密な匂いだ。席に着くと、注文していたラーメンが湯気をまとってやってくる。スープの中に沈む太めの麺、その上に鎮座するチャーシュー、マー油がほのかに揺れている。 レンゲですくったスープを一口啜ると、その瞬間、身体の奥にじんわりとした熱が灯る。豚骨の旨味に包まれて、疲れた心と胃袋がやさしくほぐれてゆく。麺を啜れば、歯ごたえと共に喉を滑り落ちる感覚が心地よい。ラーメンというより、一杯の「体験」だ。 外の喧騒が、店内の静かな時間を際立たせている。カウンター越しに黙々とラーメンを作る職人の背中が美しかった。都会の真ん中で、何かと向き合うようにして啜った一杯のラーメン──それが、今夜の俺の、夜ご飯だった。

2025/08訪問

1回

日高屋 錦糸町北口店

錦糸町/ラーメン、中華料理、食堂

3.05

95

~¥999

~¥999

定休日
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夜の点数:3.0

──錦糸町の北口を出た瞬間、街の熱気が肌にまとわりついた。夕暮れ前のざわめき。サラリーマン、買い物帰りの主婦、そして俺たちのような“途中”の人間たちで、駅前は妙に騒がしかった。  そんな中、無意識のように足は「日高屋」へと向かっていた。気取らない白い暖簾、いつもの蛍光灯の光。涼しげな顔で隣を歩いていた仲間の一人が言った。「ここ、いいっすよ。安いし、早いし、うまい」  テーブルにつき、ハイボールを注文。すぐに薄い氷が入ったジョッキが運ばれてくる。乾杯の音もそこそこに、俺たちは一気に喉を鳴らした。喉に触れる冷たさは、安物のウイスキー特有の突き刺すような荒々しさを持っていたが、それがいい。汗ばむ身体がそれを欲していた。  続いて餃子。六個、規則正しく並んだ焼き面はきつね色で、ひと口かじると、やや控えめな肉とニンニクの香りが、舌の奥でゆっくり広がる。  そして野菜たっぷりラーメン。シャキシャキのもやしとキャベツ、その下に隠れたあっさり醤油スープの麺。気がつけば、俺たちは無言だった。言葉を交わすより、黙って啜るほうが、今は正しかった。  夜の始まりには、こういう場所がちょうどいい。過剰でもなく、過少でもない。値段にして、たった数枚の小銭で、腹も心も満たされた。 ──店を出たとき、風が少しだけ涼しく感じたのは、日高屋のせいだったか、それとも安上がりな満足感のせいだったか。

2025/08訪問

1回

味一番!九州ラーメン 博多っ子 新宿店

東新宿、新宿三丁目、西武新宿/ラーメン、ちゃんぽん、食堂

3.34

262

¥1,000~¥1,999

¥1,000~¥1,999

定休日
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昼の点数:3.0

新宿・歌舞伎町── 昼でもどこか夜の匂いが残る、不思議な街だ。ネオンは消えていても、人の気配が消えることはない。 その街角に、「味一番!九州ラーメン 博多っ子 新宿店」はあった。地上にひっそりと、それでいて毅然と構えている。派手さも洒落っ気もない、ただ「食わせる」ことに全力を注いでいるような外観。私は、その無骨さにどこか惹かれ、ふらりと入った。 昼メシどき。店内には男たちの背中と、意外にも若いカップルたちの姿が目立っていた。ラーメン屋といえば、男の城──そう思い込んでいたが、この街ではそう単純でもないらしい。肩を寄せ合ってメニューを覗き込む男女、ラーメンをすする音と小さな笑い声が混ざり合う。 だが私はひとり、焼肉定食を頼んだ。湯気を立てながら、すぐにそれはやってきた。皿の上で照り返す肉、白い飯、味噌汁、漬物──何の変哲もない、だが一切の無駄がない。箸を伸ばし、肉を噛む。甘辛いタレが舌を叩き、白飯がそれを包み込む。言葉はいらなかった。ただ、「うまい」とだけ呟いた。 店の片隅で、焼肉を口に運びながら、私はカップルたちの姿を眺めていた。恋愛もまた旅だと思うことがある。相手の心という未知の地図を手に、迷い、傷つき、また笑う。旅人が知らぬ街で道に迷うように、彼らもまた迷っているのかもしれない。そして今、たまたまこの小さなラーメン屋で、焼肉定食を挟んで一瞬の停泊をしているのだ。 私は食べ終えると、冷たい水で喉を潤し、静かに席を立った。 扉を開けると、歌舞伎町の陽射しが強かった。カップルたちはまだ店内で笑い合っていた。私はひとり、その笑い声を背にして、またこの街の雑踏に戻っていった。 焼肉の余韻と、昼の光と、誰かの笑い声──それらが、妙に心に残った。

2025/07訪問

1回

舎鈴 シャポー本八幡店

本八幡、京成八幡、鬼越/つけ麺、ラーメン

3.07

108

~¥999

~¥999

定休日
-

昼の点数:3.0

本八幡の駅ナカにあるシャポー。改札を抜けて、昼の喧騒をすり抜けるように進むと、ふいにあらわれる麺屋がある。 「舎鈴」。 この名を耳にしたのは、もう何度目になるだろう。都内を中心に店舗を広げるその勢力に、どこかチェーン店らしからぬ風格を感じていた。だがそれでも、一度暖簾をくぐってみなければ、その真価はわからない。 暖簾をくぐったのは昼をやや過ぎた時間だった。サラリーマンの波が引いた直後、店内はほどよい静けさをまとっていた。食券機の前に立ち、迷うことなく「つけ麺」のボタンを押す。あつもりか、ひやもりか。迷った末に、やはり「ひやもり」を選んだ。締まった麺のコシにこそ、つけ麺の真髄があると信じているからだ。 カウンター席に腰をおろす。厨房からは、寸胴の中でぐつぐつと音を立てるスープの香りが漂ってくる。鰹と煮干のだしに、豚骨のコクを重ねた重層的な匂い。食欲を刺激するには十分すぎる。 そして、つけ麺が目の前に置かれた。まず麺に目を奪われた。やや太めのストレート麺は、表面が艶やかで、まるで何かを語りかけてくるような存在感がある。一方のつけ汁は、琥珀色に濁った重厚なスープ。チャーシュー、メンマ、ネギが浮かぶその様子は、どこか落ち着いた居酒屋の煮込みにも似ていた。 箸をとる。麺をすくい、そっとつけ汁に沈める。ずるりとすする。口の中に、だしの旨味と動物系のコクが一気に広がる。甘味、酸味、塩味のバランスが絶妙で、重いのに重すぎず、パンチがあるのにどこかやさしい。 それはまるで、よくできた旅のようだった。一本の道に見えて、その裏には幾重にも重なるストーリーがある。初めて口にしたはずなのに、どこか懐かしい。そんな味だった。 途中、卓上の七味と酢を少し加えてみる。味の輪郭がぐっと引き締まり、まるで別の料理に生まれ変わる。その変化を楽しみながら、あっという間に麺を食べ終えた。 スープ割りを頼む。店員が差し出したポットからスープを注ぎ、再びレンゲですする。味が和らぎ、だしの香りが際立つ。まるで、ひとつの物語のエピローグを読んでいるような、穏やかな満足感があった。 店を出ると、外はいつもの本八幡。通行人が行き交い、駅前は騒がしい。だが、僕の中には、静かで確かな充足感が残っていた。たった一杯のつけ麺が与えてくれた、短くも深い旅路のような時間。 舎鈴のつけ麺。それは派手ではない。だが、しっかりと芯がある。流行りに流されない、地に足のついた味。その姿勢に、どこか職人の矜持を見た気がする。 また食べたくなる。そんな一杯だった。

2025/07訪問

1回

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