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都市を歩き、皿を旅する。

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「海鮮」で検索しました。

これらの口コミは、訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。詳しくはこちら

116 件を表示 16

星空の中へ

西新宿、新宿西口、都庁前/ダイニングバー、日本料理、海鮮

3.43

639

¥6,000~¥7,999

¥1,000~¥1,999

定休日
-

夜の点数:4.0

高層ビルのエレベーターが静かに上昇していくあいだ、 耳に残るのは、わずかな機械の振動と自分の呼吸の音だけだった。 目的の階に近づくにつれ、胸の奥で何かがふっと軽くなる。 この景色を相手に見せたい。そんな思いが、自然と歩幅を整えていた。 扉が開くと、冬の光に満ちた大きな窓が迎えてくれた。 都心のビル群がどこまでも広がる。 まるで「星空を逆さにしたような」都会の眺めだった。 昼でありながら、どこか夜の気配を宿す静けさ。 この景色を背景に食事をするというだけで、 今日のランチは“勝ち”が決まったような気がした。 テーブルに腰を下ろすと、目の前には 透き通るほど冷えたドリンクが静かに置かれていた。 グラスの中で小さな泡が弾けては消え、また生まれていく。 まるで街のざわめきが、氷を解けて上昇してくるようだった。 最初に運ばれてきたのは彩り豊かな刺身の小鉢。 白身の端が光を反射し、サーモンは深い朱に染まり、 そして紫がかった野菜が、まるで画家の一筆のように皿に置かれている。 わさびの香りが鼻をくすぐり、思わず姿勢を整えて箸を伸ばした。 続いて現れたのは、湯気を立てる一品。 器の底で銀杏が静かに沈み、 優しい白味噌の香りがふわりと立ちのぼってくる。 季節の移ろいを湯気の温度で感じる――そんな瞬間だった。 それから、メインの肉重がゆっくりと到着した。 艶やかに輝く牛肉、ふくよかな香りを持つししとう、 そして豆腐と糸こんにゃくが落ち着いた表情で寄り添う。 上質な肉が口に触れた瞬間、 こちらの緊張も、相手の緊張もどこかへ溶けていく気がする。 接待というより、人生という旅路の途中で 偶然同じ列車に乗り合わせた同志のような空気が流れていた。 串揚げは軽い衣をまとい、一噛みで世界が変わる軽妙さがあった。 皿の片隅に落とされたタレの一点は、 画家が最後のサインを残すような存在感を放っていた。 デザートのわらび餅は、陽光を浴びて金粉のように輝く。 口に含むと、きな粉の香りと柔らかな甘みがほどけていく。 外の景色とは対照的に、こちらは静寂そのもの。 ただ自分の舌と心だけが動いていた。 食事が終わる頃、窓の外には 昼と夕方の境目のような淡い光が差していた。 女性経営者との会話は、 ビジネスの未来から人生の哲学まで、滑らかに続いていた。 気づけば、ここでの時間そのものが お互いの距離を自然に縮めていたように思う。 東京の空を眺めながら食べたランチは、 料理の味以上に、 「この景色の高さにふさわしい関係を築けるかどうか」 そんな問いを自分に投げかけてくる。 そして店を後にするとき、ふと気づく。 あれほど明るい昼間だったのに、 どこか“星空の中”にいたような心地がしていた。 そんな一昼のランチだった。

2025/11訪問

1回

立鮨 すし横 イイトルミネ新宿店 エキナカ

新宿、新宿西口、新宿三丁目/寿司、海鮮、日本料理

3.47

319

¥1,000~¥1,999

¥1,000~¥1,999

定休日
-

夜の点数:3.8

新宿駅という巨大な交差点のただ中で、ふと立ち寄りたくなる瞬間がある。人の波に押され、光と音が渦を巻くあの街で、ほんの数分だけ漂流をやめて、自分の足で立ち止まる時間だ。その場所として、イイトルミネの一角にある「立鮨 すし横」は妙にしっくりくる。椅子もない、席の番号もない。ただ木の板と湯呑みと、流れるように握られる寿司だけがある。そんな潔い店は、人の迷いを吸い取ってくれるようなところがある。 暖簾をくぐると、職人がすでに手を動かしている。客は次々と入っては次々と出ていく。長居する必要がないのがいい。旅の途中、あるいは人生の途中に寄る場所という感じがする。俺はカウンターの真ん中に立ち、まず玉子を頼んだ。玉子は、その店の“やさしさ”が染み出る握りだ。 黄金色の玉子はふっくらと厚く、海苔の黒との対比が美しい。ひとかけら箸で触れただけで、ゆっくり沈む。甘すぎず、主張しすぎず、ただ真面目な玉子焼き。それをシャリがしっかり受け止めている。立ち食いであっても、きちんと仕事がある玉子だ。最初の一貫で気持ちが整う。 続けて白子軍艦を口に運ぶと、ふわりとした温度と濃厚な旨味が舌の上でほどけていく。白子の柔らかさと、上に乗ったもみじおろしのほのかな辛味。その対比が見事だ。ここがエキナカだという事実を、一瞬忘れる。混雑したホームのざわめきとは別の世界が、数センチ先のカウンターに広がっている。 蟹の軍艦は繊細で、ほぐした身の甘さがしっかり感じられる。大量生産ではなく、ちゃんと蟹の旨味が生きている。立ち食い寿司という気軽さの中に、手抜きをしない意地がある。 赤身や白身の握りも良かった。特に白身は舌を滑るような質感で、脂は控えめなのに、噛むほどにうま味が立ち上がる。鮮度の良い魚は、派手ではないが、確実に印象に残る。赤身の握りは、見た目より軽やかで、スッと消える後味が心地よい。寿司はこうであってほしいと、改めて思わせる味だった。 締めの味噌汁は、海老の殻から出た旨味が溶け込んだ濃厚な一杯。立ち食いとは思えない満足感がそこにある。湯気が顔にあたった瞬間に、肩の力が抜けていく。駅を通り抜けるだけだった自分が、ちょっとだけ旅人になれたような気がした。 すし横の良さは、価格でも、気軽さでも、スピードでもない。店に立った時の、あの“ひと呼吸”の感じだ。 慌ただしい都会で、腰を下ろさない寿司屋だからこそ、逆に落ち着くという矛盾がある。立って食べるという行為は、どこか武骨で、潔く、そして自由だ。客は自分のペースで頼み、自分のタイミングで出ていく。だがその短い時間の中に、鮨という仕事の真面目さがしっかりと流れ込んでいる。 新宿の雑踏の中で、ほんの数十分。 電車を降りた人間が、次の目的地へ向かう手前で、気持ちを整える場所。 立ち食いという形は、忙しさの象徴ではなく、“余白”を作るための工夫なのかもしれない。 「また来よう」と思わせる理由は、派手なネタでもサービスでもなく、ただ“まっすぐな寿司”がそこにあるからだ。 すし横の寿司には、旅人の背中を軽く押してくれるような力がある。

2025/12訪問

1回

金沢旬菜 なごみや

野町/居酒屋、焼き鳥、海鮮

3.17

23

¥5,000~¥5,999

-

定休日
日曜日

夜の点数:3.8

金沢の街は、夜になるとしっとりとした艶をまとい、石畳に灯る光がどこか旅情を誘う。その夜、僕はひとりの女性を伴って「金沢旬菜 なごみや」の暖簾をくぐった。デートに店を選ぶのは、いつだって緊張を伴う。場所の雰囲気、料理の質、そして店の人柄――それらがうまく噛み合ってこそ、夜は記憶に刻まれる。 小さな引き戸を開けると、木の温もりに包まれた空間が広がっていた。派手さはない。だが、心を静かに落ち着けるような佇まいがある。カウンターの奥で迎えてくれた店長の笑顔が印象的だった。どこか安心感を与える雰囲気をまとっていて、こちらの緊張を解きほぐしてくれる。彼の声には、人を思いやる柔らかさが滲んでいた。こういう人柄に出会うと、料理への期待も自然と高まる。 席に着くと、まず頼んだのは刺身の盛り合わせだった。金沢は海に近い街である。その地の利を最大限に生かした刺身は、言うまでもなく新鮮そのもの。氷の上に美しく並べられた旬の魚たちは、宝石のように光を放っていた。口に運ぶと、身がほどけるように滑らかで、海の香りが広がる。特に鯛の切り身は、噛むほどに甘みが増し、舌の上で静かに存在感を示した。イカの透き通るような白さ、マグロの赤の鮮烈さ――色彩の対比が、視覚からも楽しませてくれる。彼女が「おいしい」と微笑む、その一言が、この店を選んだ自分を肯定してくれるようで、胸の奥に安堵が広がった。 料理を通じて二人の会話は自然と弾んだ。酒をすすめられ、地元の冷酒を口にしたとき、ひやりと冷えたその一口が、魚の旨味をさらに引き立てた。食材と酒が互いを高め合う瞬間こそ、旅先で味わう醍醐味だ。彼女がグラスを傾ける姿を見ながら、僕は「ここで過ごす時間が、長く記憶に残るものになるだろう」と確信していた。 なごみやの良さは、料理だけにとどまらない。例えば店内に流れる空気だ。賑やかすぎず、かといって静まり返ってもいない。適度なざわめきが二人の会話を守り、安心して心を開ける雰囲気をつくっている。店長が時折見せる気配りも心地よい距離感で、こちらの邪魔をすることなく、さりげなく飲み物の追加を促してくれる。その立ち居振る舞いに、この店の本当の価値を見たような気がした。 デートというのは、料理や場所だけでは成り立たない。そこに流れる空気、人の温かさが重なって、ようやく完成する。なごみやは、その三拍子が揃っていた。店を出る頃には、金沢の夜風が心地よく、街灯の下で交わした会話が、どこか甘美に響いた。彼女の横顔に灯る微笑みを見ながら、僕は心の中で「また必ず来たい」と思っていた。 なごみやは、ただ食事をする場所ではなく、大切な人と時を刻む舞台だ。新鮮な刺身の旨さに舌鼓を打ち、店長の人柄に癒やされる。そんな体験は、旅の記憶に確かな彩りを添えてくれる。この街を訪れる誰かに、心から勧めたい店のひとつである。

2025/08訪問

1回

さかながはねて 神田本店

神田、新日本橋、淡路町/居酒屋、海鮮、日本料理

3.48

361

¥4,000~¥4,999

¥2,000~¥2,999

定休日
-

夜の点数:3.7

先日、神田駅近くの「さかながはねて 神田本店」に晩御飯を食べに行きました。以前から魚が美味しいと評判のお店で、楽しみにしていたのですが、実際に訪れてみて、その期待を裏切らない素晴らしい刺身に出会うことができました。 この日の目当てはやはり「刺身」。盛り合わせを注文すると、テーブルに運ばれてきた瞬間、その見た目の美しさに思わず声が出てしまいました。鮪、鯛、ブリ、甘えび、帆立など、どれも新鮮で艶やかに光り、まるで一皿の中に海の幸の世界が広がっているようでした。 一口目から、鮮度の良さがはっきりとわかります。鮪の赤身はしっとりとしていて、噛むほどに旨みが広がり、ブリは脂がのっていてとろけるような口当たり。鯛は歯ごたえがあり、さっぱりとした後味が日本酒とよく合いました。特に印象に残ったのは帆立の甘さ。素材そのものの味がしっかりしていて、まさに“本物の刺身”を食べているという満足感がありました。 合わせて注文した日本酒もまた絶妙で、スタッフの方が勧めてくれた辛口の純米酒は、魚の旨みを引き立ててくれる名脇役。料理と酒の相乗効果で、自然と会話も弾み、心地よい時間が流れていきました。 ただ一つ、気になった点があるとすれば、店内の賑やかさ。ちょうど隣のテーブルにサラリーマンの団体客がいて、かなり盛り上がっていたため、やや騒がしく感じました。静かにゆっくり食事を楽しみたい方には、タイミングによっては少し気になるかもしれません。とはいえ、そうした喧騒もまた“仕事終わりの居酒屋らしさ”であり、活気のあるお店という意味ではプラスにも捉えられます。 店内は和風で落ち着いた雰囲気の内装が印象的で、カウンター席やテーブル席、半個室も用意されており、使い勝手は良さそうです。スタッフの対応も丁寧で、注文や配膳もスムーズでした。 全体として、「さかながはねて 神田本店」は、魚好きにはたまらないお店。特に刺身の質の高さは特筆もので、この価格帯でこれほど新鮮なネタを提供してくれるのは本当にありがたいです。今度はもう少し静かな時間帯に訪れて、煮付けや焼き物などもじっくり味わってみたいと思いました。

2025/05訪問

1回

七福神 新宿西口店

新宿、都庁前、新宿西口/居酒屋、海鮮、焼き鳥

3.09

30

¥3,000~¥3,999

¥1,000~¥1,999

定休日
-

昼の点数:3.5

新宿西口の雑踏を抜けた路地裏、真夏の陽射しがビルの谷間を焼きつける午後。汗をぬぐいながら「七福神」の暖簾をくぐると、そこには外の時間とは別の、小さな安堵の世界がひろがっていた。 まずはキンと冷えたハイボール。グラスの側面には汗の粒が滲み、口に含んだ瞬間、氷の冷たさが喉元を駆け下りて、身体の奥にこもった熱を静かに鎮めてくれる。それだけで、今日ここに来た意味があると思わせてくれる一杯だ。 たこ焼きは、ふわりと柔らかく、とろけるような中身から熱が溢れる。外側の香ばしさとソースの甘辛い風味が舌の上で混ざり合い、思わずハイボールをもう一口煽ってしまう。そして焼き鳥。炭火で丁寧に焼かれた串は、噛みしめるたびに肉の旨味がじゅわりと滲み、焦げ目の香りが鼻へ抜けていく。 店内は飾らない賑わいがあって、どこか旅先の屋台のような気安さもある。ひとり客でも気負うことなく、ただ自分のペースで飲み、食べ、息をつくことができる。 外に出れば、また灼けつくような陽射し。しかし胸の奥には、氷のように冷えたハイボールと炭火の余韻が、しぶとく残っている。夏の新宿でひとり、暑さに挑むように訪れた「七福神」。あの一杯がある限り、私はまたこの路地裏へ、ふらりと戻ってきてしまう気がする。

2025/08訪問

1回

けやき

小岩、京成小岩/居酒屋、海鮮、揚げ物

3.42

134

¥3,000~¥3,999

¥1,000~¥1,999

定休日
木曜日

夜の点数:3.5

小岩駅を降りると、夜の空気はまだ少し蒸していた。 昼間に降った雨が地面を濡らし、通りのアスファルトがほんのりと熱を持っている。そんな中を歩いていくと、髙架下にぽつんと暖かい灯りが見えた。 「けやき」——この街に根を張って何年になるのだろう。派手な看板でもなければ、観光客が殺到するような話題の店でもない。ただ、誰かが「ちょっと寄ってく?」と口に出す、その対象として在り続けている場所だ。 店に入ると、カウンターの奥で年季の入った鍋がコトコトと音を立てていた。 二人掛けのテーブルに腰を下ろす。互いに「ビールでいいか?」と目でうなずきあい、冷えたジョッキがカタンと置かれる音が、夜の始まりの合図になる。 つまみは、板わさと冷奴。 ただそれだけのものが、なぜこんなにうまいのだろう。薬味のネギ、ツンとしないわさび、そして醤油の控えめな香り。誰かが手間をかけたわけじゃない。ただ、“そこにある”というだけで十分な味がした。 俺は「冷やしたぬきそば」を頼んだ。 夏の終わりには、温かいものよりも、ひんやりとしたものを喉に通したくなる。冷たく締められた蕎麦の上に、天かすと刻みネギが踊るように散っている。 すするたび、蕎麦の滑らかさと、つゆの冷たさが口の中で合わさり、食欲の波がすっと立ち上がっていく。こんなに静かな一杯が、なぜこんなに心をほどくのか、よくわからない。 連れが頼んだのは天ぷら定食だった。 エビ、ナス、白身魚。それぞれが衣の中でふわっとしていて、箸で割ると湯気が立ち上った。彼は黙々と食べていた。 ときどき目を合わせて、「うまいな」と短く呟く。それで十分だった。 店を出ると、夜風がほんの少しだけ冷たくなっていた。 高架の音が頭の上でゴウンと鳴り、ふたりとも黙ってしばらく歩いた。 ふと、連れが言った。 「なんか、こういうのが一番いいよな。」 そうだな、と俺はうなずいた。 何か特別なことをしたわけじゃない。ただ、静かに一日を終えた。それだけの夜だった。

2025/07訪問

1回

魚の登竜門すしショップ百太郎

錦糸町、住吉、菊川/寿司、海鮮、居酒屋

3.40

111

¥3,000~¥3,999

-

定休日
-

夜の点数:3.5

錦糸町の駅を降りて、賑やかな街の空気を感じながら向かった先は、寿司酒場「百太郎」。このあたりは昔からいろんなお店があって、どこに入ろうか迷うこともしばしばだけど、今日は迷わずここに決めた。何となく「今日は寿司が食べたい!」って、みんなで意見が一致したからだ。 店内は明るくて、どこか肩肘張らずにいられる空気感。高級感がありすぎて緊張するようなお店ではない。でも、料理にはしっかりとしたこだわりが感じられる。カウンター席もあるけど、今日は仲間内ということでテーブル席に。やっぱりこの人数だとわいわいできるのが楽しい。 まずは乾杯。ビールを頼んで、みんなでグラスを合わせる瞬間のあの一体感がたまらない。とりあえずお刺身盛り合わせを頼んで、ひとくち食べると、ああ…やっぱり海鮮が美味しい。マグロもサーモンも、脂がのってて新鮮さがわかる。特に白身系は、口の中でスッと溶けていく感じがなんとも言えない。 次に頼んだのは、名物っぽい「煮込み」。これがまた想像以上に旨い。濃すぎず、優しすぎず、ちょうどいい味加減。ネギがたっぷり乗ってて、お酒が進む系。個人的には、こういう一品料理がしっかりしてる店って、絶対にハズレがないって思ってる。 他にも気になっていた「いくらの小鉢」や「玉子焼き」も頼んだ。いくらはプチプチで、口の中で弾ける感じが最高。玉子焼きは、甘さ控えめで出汁がきいてるタイプ。寿司屋の玉子って、その店のこだわりが出るからつい頼んじゃうんだよね。 もちろんメインの寿司も何貫か注文。握りたてで、シャリがほんのり温かいのが嬉しい。個人的には、マグロとアジが特にお気に入り。ネタが大きめで食べごたえがあるのも、この店の良いところかもしれない。 途中から日本酒も投入。地酒が何種類か置いてあって、みんなで違う種類を頼んで、まわし飲み状態(笑)。銘柄は忘れたけど、スッキリ系もあればしっかり系もあって、料理との相性を楽しみながら飲めたのが良かった。 店員さんもフレンドリーで、変に距離感が近すぎるわけでもなく、でもこちらが話しかければちゃんと気さくに答えてくれる。こういう対応、実はすごくありがたい。お酒も食事も進んで、気づけばもう何品頼んだかわからないくらいテーブルがにぎやかになっていた。 仲間とこうやって集まって、旨いもの食べて、飲んで、笑って…。こういう時間って、普段の忙しさとか、仕事のプレッシャーとか、いろんなものを一瞬忘れさせてくれる。改めて、こういう時間があるからこそまた明日から頑張れるんだなって思えた。 錦糸町で「おいしい寿司を、気軽に楽しく食べたい」って時には、またこの店を選びたくなる。次はカウンターで一人飲みもアリかもしれないけど、やっぱり仲間と来てワイワイするのが似合うお店かもしれない。ごちそうさまでした!

2025/06訪問

1回

オッティモ・シーフード・ガーデン さくらテラス店

京成上野、上野、上野御徒町/イタリアン、海鮮、ピザ

3.45

261

¥4,000~¥4,999

¥1,000~¥1,999

定休日
-

昼の点数:3.3

東京駅のすぐそば、さくらテラスの一角に佇む「オッティモ・シーフード・ガーデン」。その名の通り、海の恵みを惜しみなく提供してくれる店だ。夜の帳が降り始める頃、僕は女性の仕事のパートナーと共にここを訪れた。食事をしながら、これからの企画や打ち合わせを進める。だが、ただの会食で終わらないのがこの店の魅力だ。料理そのものが、仕事の話を軽やかに弾ませてくれる。 テラス席のガラス越しに街の灯りが滲む。グラスに注がれた白ワインの冷たさが、夏の夜気と絶妙に調和する。その一杯を口に含むと、まるで潮風を浴びているような感覚になる。 メニューを開けば、どれもこれも魚介の名を冠した皿ばかり。だが、僕の視線を釘付けにしたのは「蟹のパスタ」だった。店員に薦められるままに、それをオーダーした。 やがて、深い皿に盛られて運ばれてきたパスタは、赤く濃厚なソースを纏い、殻ごと盛られた蟹が鎮座している。フォークを差し入れると、トマトベースのソースがしっとりと麺に絡み、蟹の旨みを逃さぬように抱き込んでいる。ひと口すすった瞬間、舌にまとわりつく濃密な味わいに思わず息を呑んだ。 蟹の香りは、鼻腔を抜けると同時に記憶を呼び覚ます。子どもの頃、海辺で食べた浜茹での蟹。その甘みと塩気が蘇る。しかし、ここのパスタはただ懐かしさを追うだけではない。イタリア料理の技法をまとい、洗練された形で僕の舌に迫ってくるのだ。濃厚でいてしつこくなく、ソースの酸味が蟹の甘さを引き立て、余韻が長く続く。 隣に座る彼女も一口頬張った瞬間、目を丸くして小さく笑った。その笑みは言葉以上に雄弁で、料理の力を如実に物語っている。仕事の話は一旦脇に置かれ、気づけば僕たちは料理の感想を語り合っていた。 「やばいくらい旨い」という言葉は、こういう時のためにあるのだろう。蟹の旨みは舌に絡みつき、なかなか離れようとしない。ワインを重ねても、まだその余韻が残る。まるで、夜が終わっても忘れられない恋のように。 打ち合わせという名目の食事だったが、帰り際には仕事以上の確かな手応えを感じていた。それは、料理が作り出す空気と、互いの言葉が自然に交わる瞬間があったからだ。 「オッティモ・シーフード・ガーデン」。ここは単なる食事の場ではなく、人と人の距離を縮め、未来の話を具体的に描かせてくれる舞台だ。東京の喧騒の中で、蟹のパスタに舌鼓を打ちながら交わす言葉は、確実に日常を少し変える力を持っている。 また訪れることになるだろう。その時も、きっと蟹のパスタを頼むに違いない。

2025/09訪問

1回

魚屋のマグロ食堂 オートロキッチン 新橋店

新橋、内幸町、汐留/海鮮、居酒屋、バル

3.42

235

¥3,000~¥3,999

~¥999

定休日
日曜日、祝日

夜の点数:3.3

先日、友人と新橋にある「魚屋のマグロ食堂」に行ってきました。新橋といえばオフィス街のイメージが強いですが、駅から歩いて数分のこのお店は、まさに“知る人ぞ知る”穴場の海鮮スポット。昼も夜もにぎわっている人気店だと聞いていたので、期待値高めで訪れましたが、その期待をしっかりと超えてくれました。 まず驚いたのは、お店に近づいた瞬間に漂ってくる海鮮の香り。どこか懐かしくもあり、鮮度の良さを匂いで感じ取れるって、実はすごいことだと思います。店頭には「マグロ推し」がひしひしと伝わる看板が掲げられ、海鮮好きなら通り過ぎることは不可能な迫力。 店内は大衆食堂のような親しみのある雰囲気で、活気があって明るい。カウンター席とテーブル席が並び、夜は仕事帰りのサラリーマンやカップル、グループ客で賑わっていました。我々は2人で訪れ、テーブル席へ案内されましたが、席の間隔もちょうど良く、ゆっくり食事を楽しめる空間でした。 注文したのは、定番人気の「まぐろ食べ比べ定食」。赤身、中トロ、大トロ、ネギトロなど、部位ごとに盛り付けられていて、目にも鮮やか。刺身の切り方も絶妙で、口に入れた瞬間、脂の乗り具合や食感の違いがはっきりと分かります。特に中トロは、口の中でとろけるような舌触りと、ほんのりとした甘みが絶品。ごはんが進みすぎて、思わずおかわりしそうになったほど。 友人は「マグロのレアカツ定食」を注文。ひと口もらいましたが、これまた絶品。衣はサクサク、中はレアで柔らかく、まぐろの旨味がギュッと詰まっていて、付け合わせのタルタルソースとの相性も最高。食堂スタイルながら、調理のレベルが本当に高いです。 味噌汁もあら汁で、魚の出汁がよく出ていてほっとする味。こういう細かいところに手を抜かないのが、人気の理由だと感じました。全体のボリュームもたっぷりで、お腹も心も大満足。 食事をしながら友人と話していたのは、「こういう店、家の近くに欲しいよね」ということ。肩肘張らずに新鮮な魚を味わえる場所って意外と少ないんですよね。値段も非常に良心的で、コストパフォーマンスはかなり高いと思います。ランチ営業もしているようなので、次回はお昼の丼メニューも試してみたいところです。 スタッフの方々も気さくで、注文の際も丁寧に説明してくれたり、お茶をこまめに注いでくれたりと、心地よいサービスが印象に残りました。店全体がフレンドリーで温かい雰囲気に包まれていて、友達との食事はもちろん、ひとりでふらっと立ち寄っても居心地が良さそうです。 新橋という立地も便利で、仕事帰りや友人との集まりにぴったり。海鮮好きなら絶対に外せないお店です。今回の食事で、改めてマグロの奥深さを実感すると同時に、“またすぐ来たい”と思わせてくれるような一軒でした。ごちそうさまでした!

2025/05訪問

2回

築地市場 298 東新宿店

東新宿、西武新宿、新大久保/居酒屋、焼き鳥、海鮮

3.09

35

¥2,000~¥2,999

~¥999

定休日
-

夜の点数:3.2

築地市場 298 東新宿店。 夜のざわめきを帯びた新宿の裏路地を抜けると、ひときわ明るい灯りがぼんやりと人を吸い寄せている。暖簾をくぐると、魚の匂いが立ちのぼり、どこか港町の食堂に迷い込んだような錯覚を覚える。 三人で席についた。今夜は食事でありながら、同時に打ち合わせという名目を持つ。酒を注ぎ合う前の沈黙が、どこか緊張を孕んでいたが、最初の皿が並んだ瞬間、その空気はゆるやかに溶け出していく。 刺身は艶やかに輝き、白身は舌にしなやかに絡みつき、赤身は噛むほどに旨味を滲ませる。焼き物の香ばしい匂いが漂いはじめると、自然に会話が弾んだ。店の喧騒と混ざり合い、こちらの声も少し大きくなる。打ち合わせのはずが、酒の勢いに引き寄せられて、話題はいつのまにか未来の夢や、くだらない昔話へとすり替わっていく。 テーブルの上に並ぶ皿はどれも潔く、余計な飾りを排した分、魚本来の力強さが剥き出しになっていた。熱燗を口に含むと、胃の奥でじんわりと広がり、外の夜風の冷たさを忘れさせる。 気づけば時計の針は進み、打ち合わせは結論を見ないまま宙ぶらりんに終わっていた。それでも不思議と心は軽く、三人の間には言葉にならない結束のようなものが残った。 「築地市場 298 東新宿店」。魚を肴に、仕事と遊びの境目を曖昧にしてしまう、不思議な魔力を持つ場所だ。 ――仕事か食事か。その境界線を曖昧にしながら、僕らは夜を過ごした。

2025/08訪問

1回

個室居酒屋 座楽 渋谷駅前店

渋谷、神泉/居酒屋、海鮮、鍋

3.30

267

¥4,000~¥4,999

¥2,000~¥2,999

定休日
-

夜の点数:3.2

渋谷の駅前に人があふれ、ネオンの波が頭上から降ってくるような夜だった。だが、その喧騒をほんの数歩外れるだけで、空気の色が変わる。看板の明かりを頼りに、細い路地を抜けた先。地下へと続く階段を下りると、まるで別世界だった。 「個室居酒屋 座楽」。 どこか旅館のような名前に惹かれて予約したその店は、まさに今夜のためにあったのかと思うほど、完璧な空間だった。木のぬくもりと、やわらかな照明。案内されたのは、完全な個室。障子風の引き戸が閉まると、そこはもう、渋谷ではなかった。 最初は仕事の話だった。事業の方向性、資金繰り、信頼できる人間とは何か。そんな真面目なテーマを、互いに一歩も引かずに語り合った。だが、一杯目のハイボールが喉を抜けたあたりから、空気が変わった。炭酸の刺激が舌を越え、アルコールが血に溶ける頃には、言葉が少しずつ滑らかになり、声に笑いが混じり始める。 二杯、三杯、四杯。冷えたグラスが卓に運ばれるたびに、話のトーンが変わる。打ち合わせという名の真剣勝負が、やがて人生相談に姿を変え、気づけばお互いの過去や夢、そして誰にも話してこなかったような胸の内にまで、自然と踏み込んでいた。 料理もうまかった。だし巻き卵がほどよく甘く、炙りしめ鯖の脂が口の中でほどけた。けれど、この夜を印象づけたのは、やはりあのハイボールだった。冷たさと刺激が、言葉と気持ちの距離を一気に縮めた。ふたりのグラスが何度も何度もぶつかり合い、乾いた音が個室に響いた。 「今日は飲むよ」と言ったのは、相手だったか、僕だったか。もう定かじゃない。ただ、グラスが空になるたびにおかわりを頼む、そのテンポと勢いが心地よく、そして清々しかった。 話は尽きなかった。酔いがまわるにつれ、笑いが増え、時には沈黙も訪れた。でもその沈黙すら、嫌じゃなかった。むしろ、静けさが言葉以上のものを伝えてくれた気がする。 気づけば、2時間が過ぎていた。会計を済ませて個室を出るとき、ふたりとも少しだけ背筋が伸びていた。酔ってはいたが、だらしない酔いではなかった。言葉をぶつけ合い、酒を酌み交わし、互いの温度に触れたあとの、いい意味での疲労感と満足感だった。 「またここでやりましょう」 その一言に、僕も黙って頷いた。渋谷という街の地下に、こんなにも深く語り合える場所があったことに、少し感動すら覚えた。 外に出ると、夏の夜風が火照った頬を撫でた。ネオンがまだきらきらと輝いている。けれど僕らは、その喧騒に戻ることなく、静かに帰路についた。 「座楽」——この夜、この酒、この語らい。全てが渋谷の片隅にある小さな個室から生まれた。そんな夜だった。

1回

養老乃瀧 錦糸町店

錦糸町、住吉、菊川/居酒屋、焼き鳥、海鮮

3.04

34

¥2,000~¥2,999

-

定休日
-

夜の点数:3.0

大衆酒場の湯気と、友情の体温が入り混じる夜— 錦糸町という街には、妙な湿度がある。 人と酒と欲望が混ざったような、都会の影の温もりだ。その中心に佇む「養老乃瀧」の白い暖簾は、昔から旅の途中の僕のような人間を、ふっと吸い寄せる力を持っている。 その夜、僕は仲間三人とこの店に腰を落ち着けた。 入口から奥へと伸びる細い通路には、揚げ物の油と焼き鳥の香りが薄い霧のように漂っていた。 席に着くなり、誰かが「メガハイいっとく?」と声を上げた。 目の前に置かれたジョッキは、普通の倍はある。 氷がごろんと音を立て、レモンが黄色い閃光のように沈んでいる。 その一口目は、まるで喉の奥を鋭利な刃物で切り裂かれたような刺激だが、それこそがこの街で働く男たちの“再起動スイッチ”なのだ。 ジョッキを置くと、テーブルにはすでに皿がいくつか並んでいた。 黒く焦げた衣をまとったハムカツ。 粗く刻まれたキャベツのうえに堂々と鎮座し、マスタードの黄色が挑発するように輝いている。 一口かじれば、衣がざくりと崩れ、懐かしい脂と塩気がにじみ出る。 こういう料理は、上手い下手の評価を超えた場所にある。 まるで古い友人に久しぶりに会ったときのような、妙に安心する味だ。 店員が次に持ってきたのは、茶色い紙袋に入ったポテトフライ。 チーズと青のり、ケチャップが雑然と混ざり合い、袋の底には少しだけ油が溜まっている。 それをつまんで口に運び、ハイボールで流し込むと、まるでそれがこの街の正しい“手順書”であるかのような気がしてくる。 そして、ぐつぐつと煮えたぎる鍋。 海藻の青が浮き、豆腐が静かに揺れている。 湯気の向こうに仲間の笑顔がぼんやり浮かんだ。 「なんか、こういうのがいいんだよな」 誰かが呟いた。 その言葉に、僕は深く頷いた。 大衆酒場とは、特別でも上品でもない。 だが、ここには仕事で擦り減った身体を補修する力がある。 雑多だからこそ、心がほどけるのだ。 串焼きの皿も運ばれてきた。 ねぎ間は香ばしく、噛めば肉の旨味と焦げの苦味が絶妙に混ざり合う。 衣をまとったホルモン串は弾力があり、酒の勢いをさらに加速させる。 4人の会話は、仕事、家族、金、そして少しだけ夢の話へ。 時おり、誰かの笑い声が店の奥まで突き抜けていく。 隣の席のサラリーマンたちも、僕らと同じように明日への小さな弾みをつけに来ているのだろう。 酔いがまわり始めると、店のざわめきがどこか心地よくなる。 ジョッキは汗をかき、テーブルには食べかけの皿が散乱している。 だが、その乱雑さこそが、今日の夜が“本物”である証拠でもある。 気づけば、鍋の湯気が少し弱まり、店の時計は終電の存在を知らせようとしていた。 街の喧騒が外から漏れ、もう少しだけこの夜に浸っていたいという気持ちが胸に残る。 養老乃瀧 錦糸町店。 ここは、人に戻る場所だ。 格好つけなくていい。 強がらなくていい。 ただ、仲間と酒を酌み交わし、くだらない話で笑い合う—— そのためだけに存在している店だ。 そして、人は案外、そういう時間に救われているのだと、ふと気づかされる。 ハイボールの氷が溶けて、最後の一口が少し薄くなる頃、僕はそんなことを思っていた。

2025/11訪問

1回

屋形船 あみ達

浅草(東武・都営・メトロ)、本所吾妻橋、とうきょうスカイツリー/屋形船・クルージング、海鮮、日本料理

3.30

73

¥10,000~¥14,999

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定休日
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夜の点数:3.0

会社の飲み会というのは、不思議な時間だと思う。 日々の緊張をほぐすために設けられた場でありながら、 どこかでまだ仕事の延長線を引きずっている。 だが、その夜の「屋形船 あみ達」は違った。 東京湾の夜風と、揺らぐ灯りの中で、 僕たちはようやく“人間”に戻れた気がした。 屋形船の甲板には、既に赤提灯のような明かりが灯っていた。 海面に映る光が波と一緒に揺れる。 36名の社員が次々と乗り込み、 ざわめきと笑いが船内を満たしていく。 長いテーブルには、すでに刺身の舟盛りが並び、 透き通るようなイカ、脂の乗ったマグロ、 そして炙りしめ鯖の香ばしい匂いが、 「今夜は長いぞ」と静かに告げていた。 乾杯の音頭が響いた。 その瞬間、グラスの氷が一斉に音を立てた。 ビール、ハイボール、焼酎──。 それぞれのグラスがぶつかり合い、 船の上にだけ吹く特別な風が、僕たちの肩をゆるめていった。 一口目のビールが喉を通るとき、 まるで体の中に灯がともるようだった。 次に運ばれてきたのは、湯気を上げる牛鍋。 鉄鍋の中で、割下の香りが船室いっぱいに広がる。 肉を箸で持ち上げると、柔らかく、そして重みがある。 それを溶き卵にくぐらせて口に入れると、 甘辛い汁が舌の上でとろけ、酒を呼んだ。 気がつけば、誰もが笑っていた。 普段は無口な上司が、若手に肩を叩かれながら笑っている。 その姿が、どこか愛おしく見えた。 続いて揚げたての天ぷらがやってきた。 海老、キス、舞茸。 衣がカラリと鳴る。 船の揺れが微妙なリズムを生み出し、 その音さえ音楽のようだった。 塩を軽くふって頬張ると、 海の匂いと油の甘みが一瞬で広がる。 外の夜景が、金色に輝いて見えた。 船はお台場の方へと進んでいく。 レインボーブリッジの下をくぐるとき、 誰かが窓を開けた。 潮の香りが風に乗って流れ込み、 それがまた酒をうまくした。 東京という街は、昼よりも夜に本当の姿を見せる。 ビルの光、船の明かり、人の声。 それらが混ざり合い、都会の静かな詩を奏でていた。 やがて宴もたけなわとなり、 マイクが手渡された。 「カラオケ大会、始めます!」 歓声が上がった。 上司も部下も関係なく、次々とマイクを握る。 誰かが昭和の歌を熱唱し、誰かがハモる。 外では東京タワーが赤く光っていた。 あの灯りが、まるでこの船の上の小さな騒ぎを 温かく見守っているようだった。 僕はデッキに出て、夜風を吸い込んだ。 海の上の静けさは、街の喧噪よりもずっと深い。 足元で船が小さく軋み、 遠くに見える橋の灯りが、まるで波のように揺れていた。 あの時のハイボールの冷たさ、 鍋の熱、笑い声の温度── どれもが混ざり合い、 この夜をひとつの記憶として刻み込んでいた。 船が桟橋に戻る頃、 誰もが少しだけ静かになっていた。 帰り際、ふと振り返ると、 屋形船の明かりがまだ水面に揺れていた。 その灯りを見ながら、 僕は思った。 人が集まって食べ、語り、笑うという行為こそが、 人生のもっとも確かな“航路”なのかもしれないと。

2025/10訪問

1回

目利きの銀次 両国駅前店

両国、浅草橋、蔵前/居酒屋、海鮮、創作料理

3.03

28

¥2,000~¥2,999

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定休日
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夜の点数:3.0

両国駅前の雑踏を抜けると、白い提灯に照らされた「目利きの銀次」の暖簾が夜風にはためいていた。仕事終わりの仲間たちと肩を並べて入店すると、早くも漂ってくる磯の香りに、胃袋より先に胸が高鳴る。 まずは生ビールで乾杯。泡は細やかで、喉を滑り落ちた瞬間、今日一日の疲労が音もなく溶けていく。刺身の盛り合わせは、まるで漁場からそのまま届いたかのように鮮度が際立ち、赤身のマグロはねっとりと舌に絡み、白身はキリリと引き締まっていた。 特筆すべきは「お通し」のスタイル。卓上の小さな七輪に火がともされ、干物やイカゲソを自分であぶって食べるという“闇で焼く”システム。これが実に楽しい。誰が一番うまく焦げ目をつけられるか、仕事の延長のような勝負もまた酒の肴になる。焼き上がった瞬間の香ばしさと醤油の焦げた匂いに、もう一杯、と自然にジョッキが空になっていく。 店内はざわざわと賑やかで、器量良い女将がテキパキと注文を捌いていく様子も心地よい。刺身で静かに海を味わい、七輪で焚き火のような遊び心を楽しむ。まさに“両国前夜”の粋な寄り道。 腹も心も満たされた帰り道、微かに残る炭の香りを纏いながら、私は思う。料理とは舌だけではなく、五感で味わうものだ、と。

2025/08訪問

1回

鳥道酒場 新宿歌舞伎町店

西武新宿、新宿西口、新宿/居酒屋、焼き鳥、海鮮

3.14

208

¥2,000~¥2,999

¥1,000~¥1,999

定休日
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夜の点数:3.0

歌舞伎町の夜は、いつもどこか湿っている。ネオンに照らされた通りを抜けて、「鳥道酒場」の暖簾をくぐったのは、まだ宵の口。だが、すでにカウンターもテーブルも、どこかの誰かの語りと笑いで満ちていた。 仲間内三人。互いに言葉は少なかったが、それでも目と杯で通じ合える時間があった。最初の一皿、串盛りが卓に置かれた瞬間、ふっと空気が変わった。香ばしく炙られた皮のパリっとした感触。もも肉のジューシーな熱が舌を焼く。塩と脂と、そして焼き手の執念が、一本の串に宿っていた。 続いて頼んだつくねには卵黄が絡み、濃厚なコクが喉の奥まで押し寄せてきた。「これだ」と、誰かが小さく呟いた。聞こえたか聞こえなかったか、その声もまた肴だった。 ビールが進む。ハイボールが弾ける。気づけば話もほどけ、遠慮と虚勢がどこかに消えていた。焼き鳥というものは、味よりも「空気」を喰わせる料理だと思う。誰と、どこで、どんな時間を共有したかで、一本の串は意味を変える。 「鳥道酒場」は、そんな意味での「酒場」だった。熱を帯びた炭火と、ざらついた会話。頬を染める酒と、口の端に残るタレの香り。 夜はまだ終わらないと思った。が、それも酔いのなせる幻想。われわれは、それぞれの夜に帰っていった。ただ、あの焼き鳥の温もりだけが、どこか心の奥で灯のように残っていた。

2025/08訪問

1回

東通りまぐろセンター

東梅田、梅田、大阪梅田(阪神)/海鮮、天ぷら、居酒屋

3.26

81

¥2,000~¥2,999

¥2,000~¥2,999

定休日
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夜の点数:2.9

東通りは、夕暮れになると色が変わる。看板が光り、道ゆく人々の足取りが少しだけ軽くなる。繁華街特有のざわつきのなかをすり抜けるようにして、小さな看板を見つけた。「まぐろセンター」。言い得て妙な名前だと思う。 仲間たちと、何の打ち合わせでもない、ただの“飲み”に来た。店先には「ハッピーアワー100円」の文字が踊っていた。100円だ。ハイボールも、レモンサワーも、ビールさえも100円でいいらしい。たったコイン一枚で、酒が出てくる時代になったのかと、少しだけ呆れ、そして少しだけ笑った。 乾杯は、気がつけば三度目だった。グラスの中身は確かに冷えていた。氷の音は心地よく、喉も潤った。ただ、酔いだけがどこにもなかった。アルコールというよりは、水に香料を落としたような、透明な味だった。何杯飲んでも身体が温まることはなく、逆に冷えていく気がした。氷が主役で、酒は脇役。いや、そもそも舞台に上がっていたのかどうかすら怪しい。 料理は悪くなかった。というより、むしろ良かった。刺身の盛り合わせは、赤身と中トロが交互に並び、見る者に小さな祝祭を感じさせる。口に運べば、とろりとほどける脂の甘さが残った。まぐろの命は、こうして誰かの舌に宿り、記憶になるのかもしれない。 だが、その静かな感動をかき消すように、店員の対応はあまりに雑だった。呼んでも来ない。来ても無表情。どこか、ここにいることが苦痛だと言わんばかりの空気。まるで、僕たちがそこにいないかのようだった。酒も、接客も、ただの形だけ。魂が抜け落ちたサービスは、料理以上に味を殺すのだと知った。 仲間のひとりが「これ、百円だから文句言えないよな」と笑った。確かにそうかもしれない。値段がすべてを決めるわけじゃないが、期待値というものは、知らず知らずのうちに財布の厚みと比例してしまう。 それでも、僕は思う。この街には、百円で酒が飲めて、まぐろが食べられて、仲間と笑える場所がある。それだけで、少しは救われているのかもしれない。 静かな夜だった。酒の酔いはなかったが、人の声と灯りの中に、ほんのわずかな熱があった。

2025/07訪問

1回

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