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夜の点数:4.5
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料理・味 4.5
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建築考古学的観察:文房具店がパティスリーに変容する際の空間の記憶について
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2025/10/14 更新
都市人類学を研究する者として、この西元町2-17-10の物件は、機能転換における「場所の記憶」の継承事例として興味深いです。
2003年3月、この場所に「Le sourire d’ange(天使の微笑み)」がオープンしました。しかし、ここはかつてシェフの妻の曾祖母が営んでいた文房具店でした。つまり、ノート、鉛筆、消しゴムといった「学びの道具」を扱っていた空間が、20年以上の時を経て、ミルフィーユやキャロットケーキという「喜びの道具」を扱う場所へと変容したのです。
興味深いのは、オーナーシェフ木村勝司氏の職人としての探究心です。あるとき「パン屋巡り」をした際に食べたドーナツに衝撃を受け(「お菓子屋じゃないんかーい」というセルフツッコミ付き)、毎日試作を繰り返し、最終的には「先着25名無料試食」という実験的アプローチで市場調査を実施。ただし商品化は未定とのこと——この姿勢は、効率性よりも純粋な探究心を優先する態度として評価できます。
名物のミルフィーユは、パイ生地をチョコレートでコーティングすることで「持ち歩いても崩れにくい」という実用性を確保。繊細さと堅牢性の両立という、工学的にも優れた設計です。
また、フランスパティスリーウィークでは能登の揚げ浜塩を使用したサントノレを1.5倍サイズで提供するなど、地域性とボリュームへのこだわりも見られます。
文房具から菓子へ——知的活動を支える道具から、感情的満足をもたらす食品への転換。しかし両者とも「人の営みを豊かにする」という点では同じです。西国分寺駅徒歩8分の場所で、この連続性を静かに観察できます。