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東京から車で5時間。 山道くねくね、鹿に2回会いながら、着いた先は——柚木元。 tabelog金賞の名に違わぬ、“山のオールスター料理”が待っていた。 熊、羊、渓流魚、山菜…… ジビエ初心者にはちょっと緊張するラインナップだったが、 シェフがめちゃくちゃフレンドリー。 初対面なのに「おす!」くらいの距離感で迎えてくれるから、不安ゼロ。 外の囲炉裏で魚が焼かれていて、窓越しにその様子を眺めながらの食事。 正直、焼き魚なのに演出が“ライブ感”ありすぎて笑った。 滞在2時間。 滞在時間よりも車の中にいた時間の方が長いけど、 こういう“わざわざ感”って、食の旅の醍醐味なんだよなあ。 「え、そこまでして食べに行くの?」って言われるのが、実はちょっと嬉しい。
2025/06訪問
1回
元々は高田馬場にあった店で、その頃は並ばないと食べられないレベルの人気だったけど、 南阿佐ヶ谷に移転してからはネット予約制になって、前よりはかなり行きやすくなった。 低温の油でじっくり揚げて、肉汁を閉じ込めつつ柔らかさをキープするスタイル。 似たような調理法の店は色々行ったけど、ここは正直、肉質も食感もトップクラス。 コースは一人6000円で、3種類の部位が順番に出てくる形式。 揚がったそばから一切れずつ提供されるスタイルで、見た目はレアっぽいけど、食べれば納得の火入れ加減。 今では食べログのとんかつカテゴリーで一位になってるみたい。 これまで色々な個人経営のとんかつ屋に行ったけど、ここまでのレベルはなかなかない。 東京でランチ迷ってるなら、ここは自信を持っておすすめできる一軒。
2025/06訪問
1回
これは二度目の訪問です。牛肉好きの女性にはこの店が一番の選択肢です。 専属の肉の調達ルートがあるため、ここは食べたことのある神戸牛の中で最も質が高いと感じました。料理長はこの高品質な牛肉の魅力をさらに引き立てるために、さまざまな調味料を巧みに使っています。 酒の選択にも牛肉への敬意が感じられ、異なる肉料理に合うようにさまざまな酒が用意されています。すべてが完璧な味の組み合わせです。 予算は一人当たり約2万円で、この価格帯でこのような最高級の神戸牛を楽しめる店は本当におすすめです。
2024/07訪問
1回
池袋で偶然予約が取れた「かぶと」。 言うまでもなく、日本でもトップクラスのうなぎ店の一つだが、 ここは“格式より誠実さ”を選んだ数少ない名店だと思う。 近年の一部有名店が、会員制だの完全紹介制だのと敷居を上げ、 点数や“特別感”を守ることに必死になっている中で、 かぶとはあくまで「多くの人に本当に美味しいうなぎを食べてほしい」という姿勢を貫いている。 その誠実さが、この店の最大の魅力だ。 うなぎは選別から焼きまで、すべてにおいて非の打ちどころがない。 炭火の香りと脂の甘みが絶妙に調和し、 外は香ばしく中はふっくら。 噛むほどに旨味が広がる、まさに理想の焼き上がり。 今回は初訪問だったため、天然うなぎを味わえなかったのは少し残念だったが、 焼きの合間に店主がうなぎの状態や部位の説明をしてくれる。 時間の経過とともに、一つひとつの部位が焼き上がっていく過程を見るのは、 まるで“職人の呼吸”を間近で体感するような楽しさがある。 山椒の香りとしびれがほどよく効いており、 脂の旨味とのバランスも完璧。 全体を通して、味・技・心のすべてが一体となった一軒だと感じた。 長年続く老舗でありながら、どこか謙虚で温かい。 その“食べる人への敬意”こそ、外国人が想像する「日本の伝統的な美徳」そのもの。 華美な演出より、真摯な仕事で勝負する本物のうなぎ屋。 間違いなく、また必ず再訪したい店のひとつ。
2025/10訪問
1回
本来は山形の蕎麦を味わうつもりで、 「つくも」という店に入った。 暖簾をくぐった瞬間、 店内に満ちていたのは、蕎麦の香りではなく、 はっきりとした天ぷらの油の匂いだった。 その時になって初めて、 ここは蕎麦と天ぷら、両方を出す店なのだと気づく。 席は空いている。 それでも待ち時間は三十分ほど。 どうやらご夫婦二人で切り盛りしているらしく、 人手が足りていないのだろう。 正直なところ、その時点では、 「これは蕎麦屋としてどうなのだろう」と 少し構えていた。 だが、天ぷらを口にした瞬間、 その疑念はすべて意味を失った。 品数は多くない。 しかし、一つ一つが驚くほど完成度が高い。 素材の選び方、火の入れ方、 衣の軽さと歯切れの良さ。 どれを取っても妥協がなく、 下手な言い方をすれば、 東京の多くのミシュラン天ぷらよりも よほど真っ直ぐで、よほど美味い。 脂は重くない。 揚げ物でありながら、 どこか素朴で、生活に近い味がする。 それでいて、 料理としての水準は極めて高い。 地方には、 こうした「声高に名乗らぬ名店」が まだ確かに息づいているのだと、 この天ぷらは静かに教えてくれた。 伊勢海老の天ぷらを含むコースで、 会計は6000円に届かない。 理屈を超えて、 もはや“奇跡”に近い。 気取らず、 誇らず、 ただ黙々と揚げ続ける。 長く高級料理に慣れた身だからこそ、 この一食が、 心から愉快だったと言える。 間違いなく、 また足を運ぶ店である。
2026/01訪問
1回
ついに予約が取れ、大阪の名店「本湖月」へ。大阪でもトップクラスの点数を誇る日本料理を味わうために、東京から日帰りで車を走らせて訪れた。 料理は、食材の質・美しさの両面において徹底的に磨き上げられており、一皿一皿から職人としての矜持がひしひしと伝わってくる。まさに「料理人が自らの仕事にどれだけ敬意を払っているか」を体感できる時間だった。 特徴的なのは、調味料の存在感を極力抑えている点。塩気や出汁で強引にまとめるのではなく、素材そのものの持ち味を最大限に引き出すことに全力を注いでいる。野菜の甘み、魚介の旨味、肉の香り――それぞれが澄み切った形で舌に届く。 そのため、せっかちな人にはやや物足りなく感じるかもしれない。しかし、食べる速度を落とし、五感を研ぎ澄ませて味わえば、普段では気づけない「食材のもっとも純粋な表情」に出会えるはずだ。 総じて、本湖月は「素材に対する最大級の敬意」を表現した日本料理店。大阪を代表するにふさわしい一軒であり、料理そのものと真摯に向き合う体験を求める人に強くおすすめしたい。
2025/09訪問
1回
福岡の寿司店「さかい」さんを訪問。 店内は独特な空気感で、黒衣のスタッフが酒を注ぎ、白衣の職人が寿司を握るという、どこか“西洋と江戸が混じり合ったような”不思議なコントラスト。非日常感があって、旅先ならではの高揚感を味わえました。 カウンター越しに立つ大将は、慈悲深い笑みを湛えた堂々たる風格。 目の前の12人を一人で仕切りつつ、私がワサビ抜きを希望したこともちゃんと把握してくれていて、その気配りに感動しました。経験値の高さを感じさせる余裕ある所作でした。 肝心のお寿司も、金賞クラスの実力はしっかり。 ネタは控えめで繊細な味わいのものが多く、それを引き立てようという意図か、シャリはやや塩味強め。 ただ、口の中でほどけた瞬間、その塩気がやや前に出てしまう感じがあり、もう少し抑えてもいいかもしれません。 それでも全体としては、福岡の寿司店としてはかなり上位に入る満足度。 機会があれば、また季節を変えて訪れてみたいお店です。
2025/06訪問
1回
完璧とも言えるとんかつ定食。豚肉の選定から揚げ方に至るまで、すべてにおいて非常に優れたとんかつ店です。 店内のインテリアはシンプルで、各地域から厳選された高品質の豚肉を提供しています。料理人は豚肉の部位に対する理解を活かし、肉汁の香りをしっかりと閉じ込めています。食べる人にとって、一口噛むごとに広がる肉の香りは、確かに高級な体験です。 唯一の欠点は、料理人が自分の料理基準にこだわりすぎるため、料理が出てくるのが非常に遅いことです。しかし、それでもこの店は私が頻繁に訪れたいと思うレストランです。
2024/06訪問
1回
一週前に予約を取ることができたレストランに向かうため、わざわざ東京から車で福岡に向かいました。 東京の寿司とは異なり、ここでは雑多な前菜やお酒は一切提供されず、純粋な寿司だけが提供されます。 食材が口に入る感触は、職人の手から伝わる体温とともに、素材の新鮮さが完璧に閉じ込められています。 まさに金メダルの店、2時間に及ぶ完璧な食体験でした。
2023/11訪問
1回
岩手県に来た今回は、花巻温泉の旅館料理という“お決まりコース”をあえて避け、 「せっかくなら県内で一番評価の高い日本料理を」と思い、 岩手県トップの日本料理店「新茶家」へ。 47都道府県の名店巡りの一環として訪問。 店内は古風で静かな趣があり、 まるで時がゆっくり流れているような落ち着いた空間。 料理長は意外にもとても控えめで、 一品一品の説明をするときも、どこか照れくさそうな笑顔が印象的だった。 しかし、その柔らかい物腰とは裏腹に、料理の腕前は圧巻。 調味料をほとんど使わず、素材そのものの味を引き出すことに徹しており、 どんなに鈍い舌でも、その“自然の旨味”をはっきりと感じ取れる。 人工的な味では決して到達できない、純粋な美味しさがそこにある。 訪問時はちょうど松茸の季節。 香り高い松茸を中心に、蟹・海老・茸・魚など、 山と海の恵みを融合させたコース構成。 焼きを主体とした調理法で、店内に立ちこめる香ばしい松茸の香りはまさに秋そのもの。 視覚・嗅覚・味覚、すべてで楽しませてくれる。 どの皿も丁寧で、派手さはないが、 一口ごとに「本物の料理とはこういうことだ」と実感できる。 価格も良心的で、このクオリティを都内で求めれば倍はしてもおかしくない。 花巻温泉に来ることがあれば、また必ず再訪したい。 旅の中で、心から“食べに来てよかった”と思える一軒だった。
2025/10訪問
1回
今月二度目の訪問。 やっぱり思うけど——ウシマルは愛人と行くのに最高の店だと思う。 まず、場所がとにかく人里離れている。 車で行くしかなく、周囲は一面の田園風景。 この立地、プライバシー性は完璧で、奥さんに偶然出くわすなんてことも絶対にない(笑)。 店に入ると、外ののどかな景色とは対照的に、 モダンで洗練された内装。 田んぼを抜けた先に突然現れるスタイリッシュなイタリアンというギャップに、 思わず「おお…」と声が出る。まさに柳暗花明また一村。 そして何より、料理の完成度が高い。 イタリアの伝統的な技法に、九十九里の新鮮な食材を組み合わせた一皿一皿は、 どれも香り・味・温度のバランスが見事。 食材の良さを最大限に引き出しており、わざわざ訪れる価値がある。 価格も非常に良心的で、コースは一人あたり約2万円。 仮にデート代ギャラ込みでも、1回の出費は5万円以内で収まる。 このクオリティでこの金額は、もはや破格と言っていい。 さらに重要なのは——周りにブランドショップが一軒もないという点。 銀座で食事をすれば「この後シャネル寄っていい?」と言われる可能性があるが、 ここではそんな心配は皆無。 食べ終わったら田んぼと星空しかない。 まさに経済的にも心理的にもやさしいデートレストラン。 千葉の静かな田園地帯に佇む「ウシマル」。 まさに千葉の片隅に輝く一粒の真珠のような存在だ。 店内は静かで落ち着いた雰囲気。 四方からふんわりと漂う薪火の香りが、どこか懐かしくも上質な空気を作り出している。 そしてその香りがしっかりと料理に溶け込み、素材に新しい生命を吹き込んでいるように感じた。 ハムの盛り合わせは特に印象的。 様々な食材を用いて仕立てられたハムは、香り・食感ともに豊かで、 スパイスと千葉特産の落花生の香ばしさが重なり、土地の個性と職人技が共存する一皿となっていた。 全体を通して、イタリア料理と日本の食材の融合が見事。 素材の扱い方、味のまとめ方、香りの立たせ方、どれもが繊細で、 “高級さ”ではなく“誠実さ”で勝負している印象だ。 そして何より、価格が非常に良心的。 このクオリティを東京で求めようとしたら、三〜四万円は覚悟しなければならないが、 その値段を取る店ほど、内容が伴っていないことも多い。 ウシマルは、まさに「本物の料理とは何か」を改めて教えてくれる一軒だった。
2025/10訪問
2回
The Tabelog Award 2026 Bronze 受賞店
食べログ イタリアン EAST 百名店 2025 選出店
白銀、陸奥湊/イタリアン
全日本47都道府県の「食べログランキング1位の店」を巡るという、 ちょっとした個人企画の一環として、青森では「カーサ・デル・チーボ」を訪問。 店内は落ち着いた雰囲気で、クラシカルな中に温かみがあり、料理への期待を自然と高めてくれる。 最初に登場したのは、地元産のかぼちゃと牛乳で仕立てたマスカルポーネ。 そこに青森産のバターとナッツが加わり、まろやかな甘みと香ばしさが絶妙に調和。 口当たりも食感も唯一無二で、この店のスタイルを象徴するような一皿だった。 鱈(タラ)の燻製は軽いスモーク香が心地よく、 わずかに残る魚のクセをオリーブオイルが上手く包み込んでいて、 素材の良さと技術の繊細さが感じられる。 次の八戸産のサワラは特に印象深い。 長芋とサルサヴェルデの組み合わせは意外性がありながらも、 香りと酸味のバランスが抜群で、「この発想は青森だからこそ」と思える一品だった。 黒トリュフときのこのリゾットは、まさに“森の香り”を凝縮したような深い味わい。 きのこの濃厚な旨味に、トリュフの香りが重なり、まるで山の中で食事しているような感覚になる。 そして冷製パスタとイクラの組み合わせは、 ひんやりとした口当たりとイクラの塩味が見事にマッチし、 コースの中盤で気持ちをリセットしてくれるような爽快さがあった。 後半の料理は正直、満足感が高すぎて少し記憶が曖昧になったが(笑)、 どの皿にも素材への敬意と確かな技術が感じられ、 地方発のイタリアンとして極めて完成度の高い一軒だと思う。 価格帯も非常に良心的で、 このクオリティを東京で求めたら倍はしてもおかしくない。 青森、八戸方面を訪れる際には、ぜひ再訪したいお店。
2025/10訪問
1回
友人が日本に遊びに来ると、まず最初に「鮨を食べたい」となることが多い。そんな時に真っ先に頭に浮かぶのが「鮨 あらい」。 ここは外国人ゲストにも非常に評判が良く、味の分かりやすさだけでなく、職人さんとのやり取りや雰囲気づくりまで含めて、とても親切に対応してくれる。寿司というと敷居の高さを感じる人もいるが、あらいでは自然体で楽しめるのが魅力だと思う。 ネタはどれも鮮度抜群で、赤酢のシャリとのバランスが絶妙。特にマグロの握りは脂の切れが良く、噛みしめるごとに旨味が広がる。白身の昆布締めや、貝類の食感のコントラストも見事で、一貫ごとに「次は何が出てくるんだろう」という期待感が高まる。 また、あらいの大きな特徴はカウンター越しの会話。板前さんが気さくに声をかけてくれるので、初めて鮨屋に訪れる人でもリラックスして過ごせる。英語でのやり取りもスムーズで、観光客を連れて行っても安心。実際に外国人の友人も「ここなら何度でも来たい」と言っていた。 近年の拡張スピードも納得で、まもなくシンガポールにも新店舗をオープンするとのこと。海外の人にとって「鮨あらい」が日本を代表する鮨屋のひとつとして受け入れられていくのは自然な流れだろう。 総じて、東京で友人と鮨を楽しむならまず候補に挙げたい一軒。格式張らず、それでいて確かなクオリティを味わえる、非常に貴重な存在だと思う。
2025/09訪問
1回
浜松にある「麟(本店は勢麟)」でうなぎを食べてから、「本当に美味いうなぎってこういうもんか」と思い知らされた。 本店の勢麟は、過去に金賞を2年連続で取ってて、今年は銀賞に落ちたらしいけど、正直まだまだ実力十分。 コースは一人あたり3万3千円くらい。品数はそこまで多くないけど、手間のかかり方がすごい。 蒸す、煮る、揚げる、焼く、全部自分の目の前でやってる感じで、厨房では職人3人がずっとバタバタ。 中でも印象的だったのは、店主が全く客を気にせず、ひたすらうなぎを焼いてる姿。こだわりすごすぎて笑った。 店中がうなぎの香りに包まれてて、焼き上がったうなぎは外パリッ、中ふわっでめちゃくちゃうまい。 味も食感も、しっかり「高いもの食ってる」って感じさせてくれる一品。 予約も比較的取りやすいから、うなぎ好きやグルメ好きなら一度行って損はないと思う。
2025/06訪問
1回
今回の銀座レカンは、久しぶりに「強く印象に残るフレンチ」となった。 一皿一皿に込められた手間と注意深さ、 そして食材の組み合わせや調理の思想は、 こちらの想像を軽く越え、思わず「なるほど」と唸らされる瞬間が何度もあった。 香りの扱い方が特に巧みで、 食材の個性がぶつかることなく、 むしろ互いを引き立て合うように配置されている。 それぞれの皿に、料理という行為の“理由” がきちんと存在している。 全体的に味わいはやや甘め。 しかし、その甘さはただ前へ出るのではなく、 しっかりと旨味によって支えられ、 最終的にはひとつの調和として口の中に収まる。 この「甘さと旨味の均衡」は、 ここ最近のフレンチではなかなか体験できない精度だった。 料理と向き合っていると、 レカンという店がただ古くから続く名店ではなく、 技術と感性が今もなお更新され続けている場所 だということが伝わってくる。 派手な主張はない。 静かな自信と熟練の余白があり、 その余白こそが、この店の味の深さを形作っているように思う。
2025/12訪問
1回
ようやく、全日本一と評される「飯田商店」のラーメンを口にする日が来た。 この一杯のために、一ヶ月のあいだ毎週日曜の午後四時に目を覚まし、 Omakaseの画面を睨みつけながら予約ボタンを押し続けた。 ようやく最後の日曜、 ようやく一つの席が私のものになった。 前夜は熱海の温泉宿に泊まり、 遅刻して台無しにしないよう、 翌朝は三十分前に到着した。 外観は昭和の香りを残しつつ、 店内は新しく、光がやわらかに差している。 ワンタンチャシューしょうゆラーメンを注文した。 ラーメンが運ばれてきた瞬間、 その美しさに息をのむ。 上から落ちる光に、スープの表面がかすかに揺れ、 まるで湖面のように透き通っている。 一口啜ると、 多層の旨味が、静かに舌に降りてくる。 動物系の厚み、節の香り、 それぞれが主張せず、ひとつの調和として融けている。 麺は細く、滑らかで、 箸で持ち上げた瞬間、意志を持つように喉へと滑り落ちていく。 食べるというより、食べられているような不思議な感覚。 前半はただ感動に包まれた。 だが、胃が少し重くなる頃、 叉焼の脂が、急に濃く感じられる。 隣に座る女の子が、 自分の叉焼を私の丼へそっと移した。 その瞬間、幸福と絶望が同時に口の中に広がった。 食とは、欲望と義理の間にある。 旨味の果てには、必ず満腹という静かな罰が待っている。 帰り道、私は少し笑いながら思った。 ――人は腹が満ちると、 どんな名店の味さえ、過去形で語るようになるのだ、と。
2025/10訪問
1回
雨の降る上野の午後、人通りは少なく、傘の先が舗道を叩く音だけが耳に残った。 何の目的もなく歩いていたが、ふと鼻をくすぐる香辛料の匂いに足を止めた。 その匂いは、どこか異国の熱気を思わせるが、決して遠いものではない。 ――デリー、と書かれた小さな看板。 なるほど、ここが日本の中の「印度」か、と一人で苦笑した。 雨のせいか、行列は短く、わずか十分ばかりで店の中に通された。 卓上には水のグラス、照明は明るく、 隣の客が無心にスプーンを動かしている。 このような場所に、一人でいることが急に心地よく思えた。 カレーが運ばれてくると、 湯気の中から立ちのぼる香りに、 一瞬、時間が緩やかになったような錯覚を覚えた。 一口すくう。 最初はただ「辛い」と感じたが、 次第に舌の上に、甘みが滲み、苦味が溶け、 野菜と香辛料の記憶が混ざり合っていく。 人の心というものも、こうして煮詰めれば 案外やわらかくなるのかもしれない――そんなことを考えた。 食べ終えた皿の底には、 小さな達成感のような、しかし言葉にならぬ寂しさが残った。 外へ出ると、雨はまだ細く降っている。 傘を差しながら、 私はふと思った。 「辛さとは、痛みを愉しむ術なのだ」と。
2025/10訪問
1回
偶然予約が取れたうなぎ店「魚政」。 最近うなぎに少しハマっていることもあり、せっかくの機会なので立ち寄ってみた。 店構えはごく普通で、どこか懐かしさを感じるような佇まい。 派手なパフォーマンスもなければ、職人が客の目の前で焼きを披露するような演出もない。 ただ静かに、落ち着いた空間の中で、 店主が丁寧に焼き上げたうなぎをゆっくりと味わう—— そんな**“日常の延長にある美味しさ”**がここにはある。 うなぎは「普通の養殖」と「天然」の二種類。 天然ものは独特の弾力があり、噛むとまるでガムのような粘りとふわっとした柔らかさが同居している。 一方で、個人的には養殖うなぎの方が好み。 見た目はしっかりと焼き色がついているのに、 中の身は想像以上にふんわりとして滑らか。 一口食べるとまるで絹ごし豆腐のような舌触りで、 噛むほどに香ばしい香りと脂の旨味が口いっぱいに広がる。 全体として、派手さはないが確かな腕を感じる一軒。 特別な演出はなくても、真面目にうなぎと向き合っている姿勢が伝わってくる。 きっとまた来たくなる、そんな優しいお店。
2025/10訪問
1回
店の前を通りかかった時、ふと目に入った「一生懸命」という看板。 ——しかし、営業日は週4日。 「いや、そんなに頑張ってないのでは…?」と心の中で突っ込みながら入店(笑)。 注文したのは魚介豚骨系のつけ麺。 スープは見た目こそ濃厚だが、実際に口にすると塩気が控えめで、 魚介の香りと豚骨のコクがしっかりと調和しており、 意外にもバランスの取れた優しい味わい。 麺は太めの多加水タイプで、表面がつるりとしており、 あまりに滑らかで、箸で掴もうとするとすぐ逃げていく。 だが、その“つるスル”とした喉ごしこそが、この店の魅力でもある。 食べていて心地よい抵抗感があり、スープとの絡みも悪くない。 全体として、見た目の印象よりもはるかに繊細で上品な一杯。 「一生懸命」とまではいかないが、ちゃんと丁寧に作っていることは伝わる。
2025/10訪問
1回
広島・西条にある日本料理店「そうびき」さんを訪問。 正直、これほど感動したお店は久しぶり。 東京のゴールド受賞店をいくつも食べ歩いてきましたが、それらを軽く凌駕する美味しさと誠実な料理の数々。 カウンター越しに立つ店主は、物静かで控えめな印象。 しかしその手から生まれる料理は、どれも丁寧で、計算され尽くした構成。 味わいだけでなく、香り、食感、余韻まで見事に調和されていて、まさに「引き算の美学」を体現しています。 特筆すべきは、料理そのものへの美的感覚。 盛り付け、器の選び方、そして何よりも味のバランス感覚が素晴らしい。 派手さはないけれど、静かに心を打つ一皿一皿。これが本物の日本料理だと改めて感じさせられました。 東京では、店主が多くの弟子を従えて華やかな演出を重視する店も少なくないですが、 ここ「そうびき」では、まるで研究者のように一心不乱に料理に向き合う姿勢があり、 まさに“職人の真髄”を見せてもらったように思います。 往復5時間以上かけて足を運びましたが、その価値は十分すぎるほどありました。 「わざわざ食べに行く」その意味を教えてくれるお店です。 また広島を訪れた際には、必ず再訪したいと思います。