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「本場の比内地鶏を食べたい」——その一心で、秋田市内から車で約1時間半かけて大館市の「秋田比内や」へ。 長距離を走った甲斐あって、ここでしか味わえない地鶏の旨味をしっかりと堪能できた。 比内地鶏の魅力は、やはりその肉質の締まりと弾力。 一口噛むたびに、歯を押し返すような張りと、内側からじんわりとあふれる旨味が広がる。 この食感の密度は、他の鶏ではなかなか味わえない。 特に印象的だったのは焼き鳥の肝と皮。 肝はねっとりとした舌触りで、濃厚ながらも嫌なクセがなく、後味が非常に上品。 一方の皮はしっかりと焼かれていて、外はパリッと、中は弾力があり、 噛むたびに脂の旨味がじゅわっと広がる。 全体として、地鶏の個性と職人の技がきちんと伝わる一軒。 秋田まで来たなら、ぜひ足を伸ばしてでも訪れる価値がある。 “鶏を食べる”というより、“鶏を味わう”体験をさせてくれる店だった。
2025/10訪問
1回
秋田に来るたび、必ず一度は立ち寄る店がある。 名を「久」という。 看板も地味で、観光客の目には留まらない。 しかし、こういう店ほど、旅人にとっては頼もしいものだ。 これで二度目の訪問になる。 理由は単純で、予約が取りやすく、値段が手頃で、しかも人に紹介しても恥ずかしくない。 この三つを兼ね備えた店は、世の中そう多くはない。 肉は丁寧に下味がつけられ、 脂の少ない赤身を中心に、ホルモンまで幅広く揃っている。 どの部位を食べても、塩の加減と火の通りが絶妙で、 食べるたびに「こういう真面目な仕事こそ美味い」としみじみ思う。 派手さはない。 けれど、旅の途中でふらりと立ち寄り、 温かい炭火の前で肉を焼くと、 その煙の匂いに、どこか安堵を覚える。 食とは結局、腹を満たすことよりも、 心を落ち着かせるための行為なのかもしれない。 秋田の夜風に少し冷えた身体を温めながら、 私はこの街に「久」という店があることに、 静かに感謝した。