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仙台に来たら、やはり外せないのが牛タン。 正直なところ、仙台の牛タンはどの店も一定以上のレベルにあると思うが、 それでも毎回必ず食べたくなる“仙台名物”だ。 駅周辺の有名店は観光客で常に行列ができており、 落ち着いて食べられないことが多いので、 ここ数年はいつもこの「仙台牛タン閣」にお世話になっている。 今回は極上牛タンを注文。 分厚くカットされたタンは、表面が香ばしく、中はしっとり。 噛むほどに肉の旨味と弾力が広がり、 「これぞ仙台の牛タン」という満足感がある。 唯一気になったのは、添えられている味噌。 個人的には、利久の唐辛子味噌のようなピリッとした辛味の方が好みで、 こちらの味噌は少し甘めでパンチが弱く感じた。 それでも、行列に並ばずゆったりと厚切り牛タンを堪能できる点は大きな魅力。 観光客に疲れた人や、静かに食事を楽しみたい人にはおすすめの一軒。
2025/10訪問
1回
鳴子温泉へ向かう途中、立ち寄った居酒屋である。 観光のつもりはなかった。 ただ、腹が空いていた。それだけの理由で暖簾をくぐった。 店は小さい。 というより、小さく保たれていると言った方が正しい。 客は皆、顔なじみらしく、方言が自然に飛び交っていた。 外から来た者が座る余地は、物理的にも心理的にも多くはない。 私が入った瞬間、一瞬だけ空気が止まった。 それは拒絶ではなく、確認に近い沈黙だった。 やがて酒が出て、肴が出る。 特別な料理はない。 だが、どれも「この町で、この時間に食べるための味」をしている。 派手さはなく、説明もいらない。 面白かったのは、言葉の変化である。 私が外の人間だと知ると、 それまで自然だった会話が、急に丁寧で、簡単な日本語に変わった。 長年連れ添っているはずの隣の奥さんが 「そんな標準語、初めて聞いた」と笑ったのが印象に残った。 私はただ、 「もう二十年、日本にいますから」と伝えただけである。 それで場の緊張は、嘘のようにほどけた。 会計のとき、女将さんは三本の指を立てて 「三千円です」と、これ以上ないほど正確な日本語で告げた。 私が同額を差し出すと、 なぜか店中から拍手が起きた。 ここは、観光客向けの店ではない。 だが、偶然そこに座ってしまった人間を、最終的には受け入れる店である。 鳴子温泉へ向かう道中、 この一杯が飲めたことを、私は悪くなかったと思っている。