「つけ麺」で検索しました。
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店の前を通りかかった時、ふと目に入った「一生懸命」という看板。 ——しかし、営業日は週4日。 「いや、そんなに頑張ってないのでは…?」と心の中で突っ込みながら入店(笑)。 注文したのは魚介豚骨系のつけ麺。 スープは見た目こそ濃厚だが、実際に口にすると塩気が控えめで、 魚介の香りと豚骨のコクがしっかりと調和しており、 意外にもバランスの取れた優しい味わい。 麺は太めの多加水タイプで、表面がつるりとしており、 あまりに滑らかで、箸で掴もうとするとすぐ逃げていく。 だが、その“つるスル”とした喉ごしこそが、この店の魅力でもある。 食べていて心地よい抵抗感があり、スープとの絡みも悪くない。 全体として、見た目の印象よりもはるかに繊細で上品な一杯。 「一生懸命」とまではいかないが、ちゃんと丁寧に作っていることは伝わる。
2025/10訪問
1回
いつからだろうか、ラーメンというものが「日常」ではなくなったのは。 腹が減ったらふらりと入るものだったはずが、 今では一週間前に予約し、あらかじめ心の準備まで整えて向かう料理になっている。 とみ田に入店した瞬間、その変化はさらに鮮明だった。 客に差し出される水は、水道水であるにもかかわらず、 グラスにはウイスキーを冷やすための球氷が沈んでいる。 その冷たさは確かに上等だが、 「上質とは何か」を問いかけてくるようでもあった。 カウンターの内側では、職人が真剣にチャーシューを盛り付けている。 その姿は、もはや一杯の麺に添える肉ではなく、 まるでひとつの「皿」を作り上げるかのような集中である。 私は一瞬、自分がラーメン屋ではなく、 小さなフレンチの厨房に座しているかのような錯覚を覚えた。 看板はつけ麺。 全国一位と評され、評点も高い。 しかし、口に運んだ瞬間、 その味は「完璧」と「記憶に残らない」の狭間に静かに落ち着いていた。 調和はある。技術もある。 だが、心を掴む何かは、そこにそっと沈んだまま浮かび上がってこない。 最後に強く印象に残ったのは、 つけ汁でも、麺でもなく、チャーシューだった。 丁寧で、細やかで、そして確かによい出来だった。 店を出るとき、 つけ麺の味は、もう輪郭が曖昧になっていた。 高級であることと、心に残ることは同じではない。 それを静かに思い出させてくれる一杯であった。
2025/11訪問
1回
食べログ ラーメン TOKYO 百名店 2024 選出店
新宿御苑前、新宿三丁目、新宿/ラーメン、つけ麺
本日訪れたのは、その名も詩的な「金色不如帰」。 名前の美しさに惹かれて入ったが、ラーメン自体も負けず劣らず完成度が高く、 その一杯には確かな職人のこだわりが感じられた。 スープは蛤をベースに取った上品な出汁で、 一口目は優しくふくよかな旨味、 二口目には貝の香りとコクがぐっと立ち上がり、層のある味わいの変化が楽しめる。 飲み進めるほどに表情を変えるスープで、飽きることなく最後まで楽しめた。 トッピングも丁寧で、チャーシューは別皿での提供。 見た目にも整っていて高級感があるが、 「わざわざ皿を増やして洗い物が増えるのに……」と、 思わず笑ってしまうような細やかさも、この店らしいこだわりの一つ。 全体的に非常に完成度が高く、スープ・麺・具材のバランスも秀逸。 名前の通り、どこか金色に輝くような余韻を残す一杯だった。
2025/10訪問
1回
東京からわざわざ足を伸ばして、市川の「小むろ」へ。 支那ソバの名店として知られており、以前から気になっていた一軒だ。 まず印象的だったのはチャーシュー。 しっかりと味が染みており、脂のバランスも絶妙。 何枚食べても重くならず、むしろもっと食べたくなる。 この完成度は見事。 ワンタンは生姜がかなり効いており、 おそらく脂のしつこさを和らげるためだと思うが、 そもそもこの一杯に“しつこさ”自体があまりないので、少し不思議な存在感だった。 スープは非常に澄んでいて、見た目からして美しい。 ネギの香りが加わることで、口当たりが一層軽やかになる。 麺はやや硬めの茹で加減で、個人的にはもう少しスープとの馴染みがほしいところ。 全体としては端正で真面目な一杯という印象。 総じて、きれいにまとまった支那ソバで、せっかくここまで来たなら、ついでにディズニーでも寄って帰るかと思ってしまうのも正直なところ(笑)。
2025/10訪問
1回
2023/09訪問
1回
店の名は「道」。 つけ麺を食べて、なるほど確かに“道”というものがあるのだと感じた。 スープは少し甘め。 魚介の香りが重くなく、口に含むとふっと消えて、 代わりに柔らかな甘味が舌の奥に残る。 一口目で「おや」と思い、 二口目で「なるほど」と納得し、 三口目で、もう箸が止まらなくなる。 甘味とは不思議なもので、 人を安心させ、同時に中毒にもする。 これが“道”の罠かもしれない。 麺はつややかで、よく締まっている。 噛むたびに小麦の香りが立ち、 蘸るたびにスープの甘味が新しい輪郭を作る。 全体の調和は見事で、 味のバランスという点では申し分ない。 ――ただ、惜しいことに。 店の外に出た途端、 生ごみのような臭いが風に乗って鼻を打った。 それはまるで、夢の中から現実に引き戻される瞬間のようだった。 せっかくの“道”も、 結局はこの臭いの中に通じているのかと思うと、 妙に可笑しくなった。 完璧というものは、いつも少し手前で壊れる。 だからこそ人はまた、次の“道”を探して歩くのだろう。
2025/11訪問
1回
食べログ ラーメン TOKYO 百名店 2025 選出店
代々木上原、代々木八幡、代々木公園/ラーメン、つけ麺
2023/11訪問
1回
ようやく、全日本一と評される「飯田商店」のラーメンを口にする日が来た。 この一杯のために、一ヶ月のあいだ毎週日曜の午後四時に目を覚まし、 Omakaseの画面を睨みつけながら予約ボタンを押し続けた。 ようやく最後の日曜、 ようやく一つの席が私のものになった。 前夜は熱海の温泉宿に泊まり、 遅刻して台無しにしないよう、 翌朝は三十分前に到着した。 外観は昭和の香りを残しつつ、 店内は新しく、光がやわらかに差している。 ワンタンチャシューしょうゆラーメンを注文した。 ラーメンが運ばれてきた瞬間、 その美しさに息をのむ。 上から落ちる光に、スープの表面がかすかに揺れ、 まるで湖面のように透き通っている。 一口啜ると、 多層の旨味が、静かに舌に降りてくる。 動物系の厚み、節の香り、 それぞれが主張せず、ひとつの調和として融けている。 麺は細く、滑らかで、 箸で持ち上げた瞬間、意志を持つように喉へと滑り落ちていく。 食べるというより、食べられているような不思議な感覚。 前半はただ感動に包まれた。 だが、胃が少し重くなる頃、 叉焼の脂が、急に濃く感じられる。 隣に座る女の子が、 自分の叉焼を私の丼へそっと移した。 その瞬間、幸福と絶望が同時に口の中に広がった。 食とは、欲望と義理の間にある。 旨味の果てには、必ず満腹という静かな罰が待っている。 帰り道、私は少し笑いながら思った。 ――人は腹が満ちると、 どんな名店の味さえ、過去形で語るようになるのだ、と。