レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2013/09訪問 2014/11/30
精進料理のコースを戴く。
ちなみに、このコースは5名以上人数を揃え、事前に予約することが必須である。
主人は月心寺の料理に影響を受けたというが、
過去に口にした精進の中でもかなりのレベルのものであった。
素材への包丁の入れ方、火の入れ方、塩の塩梅、出汁の加減、
その全てが研ぎ澄まされており、
料理人としての力量は、広島のみならず、
日本国内でも相当上位にあると感じた。
今度は、精進以外の料理も是非戴いてみたいと思う。
2位
1回
2013/01訪問 2013/11/30
化学調味料を使用しない繊細な味わいの韓国料理。
韓国料理は一時期、一通り評判の店を回ったが、
こちらの店で供される料理の数々は、手間のかけ方や、食材、
そして、調理法のレパートリーの広さが他店とは次元が異なっている。
頻繁に訪問できるエリアではないので、
今回は事前に食べたい料理の内容を伝え、無理を言って作って戴いた。
二名で訪問したこともあり、人数の関係上難しいとのことで、
シンソンロだけは丁重にお断りされたが、他はほぼ希望通り作って戴いた。
どこの店でも供されているチャプチェはスープを吸って旨味充分。
栗、ナツメ、卵の黄身等と共に煮込んだカルビチムや
原価を無視した(としか思えない)巨大な朝鮮人参の天婦羅、
胡麻油の香り高い肝の旨味まで凝縮された鮑の粥、
手作りのしっとりとした皮の旨さが印象的なクジョルパン等、いずれも美味。
そして、食事の締めに供された伝統的な宮廷菓子の盛り合わせは、
圧巻とも言うべき内容で、韓国料理は菓子類がチープ(失礼!)という概念を
見事なまでに一掃させられた、
これだけ手間暇のかかる希少な韓国料理の数々を口にしたのは、
私の経験上、ちょっと他に思い当たらない。
本来は定休日でありながら店を開けて戴き、
料理だけでなく、非常に真心のこもった接客までして戴いた、
こちらの店の関係者の方々には心より感謝申し上げたい。
3位
1回
2013/01訪問 2013/11/30
予約の際、特に予算を設けず、河豚のコースを組んで欲しいと所望したところ、
予算を指定して戴いた方がやり易いとのことなので、
25,000円前後で河豚をメインにしたコースを組んで戴いた。
河豚の一枚引き、二枚引き、ぶつ切りの食べ比べ、
白子の柚子釜、焼き河豚、河豚御飯など、いずれも抜群に美味しい。
中でも焼き河豚と河豚御飯は白眉。
てっさは、やはり一枚引きに尽きるという結論に。
河豚料理の合間に供された唐墨(からすみ)餅も脳髄が痺れるほど旨かった。
ここはやはり九州では絶対外せない一軒である。
4位
1回
2013/04訪問 2013/11/30
山菜のお任せコースを戴いたが、その内容は圧巻であった。
日本料理の枠だけに捕らわれず、様々な調理法を駆使することで、
それぞれの山菜の持つ特性を見事なまでに活かし切っていた。
御主人は山菜の種類毎の風味の違いは勿論、
土壌や生育条件によって、
それらがどのように変化するのか迄知り尽くしており、
それらの話を聞くのはとても楽しかった。
ちなみに関東の和食の味ではないので、
聞けば下鴨の吉泉で修行を積まれたとのこと。
値段は決して安くはないが、
間違いなく、通ってみたいと思わせる「何か」がある店である。
5位
1回
2013/09訪問 2013/12/01
瀬戸内で揚がった最上質の魚料理を楽しめる、広島が誇る名割烹である。
今回が初めての訪問であるが、瀬戸内の帆立と称される板屋貝の酢味噌和え、
赤烏賊と鱧子、海老と夏野菜の鱧出汁のゼリー寄せ、ヤハギとガザミの南蛮漬け、
小海老と障泥烏賊の鳶の串焼き等、いずれも調理法はシンプルではあるが、
こちらでしか口に出来ない一品料理の数々に思わず圧倒された。
今回の白眉は、やはり、鰯の真子と瀬付の鯵、小鰯の塩焼きであり、
やはり瀬戸内の小魚の美味さは、
日本の海域でも屈指のものであることを再認識した。
事前情報では、ひつまぶしが名物であると聞いていたが、
個人的には、こうした「瀬戸内ならでは」の一品料理の方により感銘を受けた。
正直、料理の味付けは繊細というより、少々濃いめであるが、
下手に媚びていないところがまた良いと思う。
主人に、なぜ、これだけ質の高い魚介類を仕入れられるのか?と、
その理由を伺ってみたところ、
現在、仕入先が10軒以上あり、長年築き上げた信頼関係から、
その日その先が仕入れた一番良いものだけ回して貰っているとのこと。
ちなみにこちらの店は、信頼する東京のF氏及び
大学時代からお世話になっている先輩からの強い推薦を受け訪問した。
この場を借りて厚く御礼申し上げたい。
6位
1回
2013/11訪問 2013/11/30
これまで訪問した韓国料理店の中では小倉「雪姫亭」、大阪天満「ほうば」、
京都北山「芝蘭」、東京「松の実」等が印象に残っている。
しかし、こちらの料理は、それら店よりも更に洗練された、より深い味わいを感じた。
タッカンマリのコースを戴いたのだが、チジミやチャプチェ、
ちょっと甘めの味付けのチョレギサラダなどいずれも抜群に美味しかった。
メインのタッカンマリも一切雑味のない繊細な味わいで、
久しぶりに韓国の鍋を口にして唸った。
これだけの完成度を誇る鍋は、
以前西天満に店を構えていた萬人の参鶏湯以来かもしれない。
予約時に店の人の忠告を聞かずに、二人でコースを注文してしまったが為に、
最後の方はかなり苦しくなったが、
料理は前評判以上の味わいで、かなりの満足感を得られた。
また必ず再訪しようと思う。
7位
1回
2013/08訪問 2017/09/16
ここ数年の間、京都市内では、
有名店で修行を積んだ若手が凄まじい勢いで店を出している。
まだ修行経験が浅いにも関わらず、高価な食材を用い、
開店当時より強気の価格設定で、マスメディアを上手く利用して客を取り込む姿は、
個人的に東京の鮨屋の現状と被って見えて仕方がない。
しかし、そのような店は一時は持て囃されるだろうが、
時間の経過と共に、本来の実力が露呈され、客離れが進み、
営業方針の転換を余儀なくされたり、
最悪のケース、閉店に追い込まれるケースも多々出てくると見ている。
ミシュランが発売された当時は、ある程度星の重みがあったが、
今はどこもかしこもお星様だらけ。
市場のパイは限られているのである。
こちらの店の主人は、非常に注目されている若手の一人であるが、
実力もに兼ね備えた、数少ない一人であると確信する。
まだ訪問回数は一回ながらも、供された料理の数々を口にすることで、
料理人としての力量の高さは十二分に感じられた。
由良の雲丹、能登の黒水雲、徳島の鮑御飯等、
どれも素材の特性を活かした優美で繊細なお味。
備長炭を用いて遠火の強火でじっくりと焼き上げた、
二日間という熟成させた琵琶湖の鰻は、
口にする度に、何度も唸ってしまった。
ちなみに、過去に西の鰻で私が唸ったのは、
閉店した四万十の三月、炭火割烹のいふきの二軒のみである。
鱧と茄子の白味噌の椀も何とも深みのある味わいで美味。
お造りの食べさせ方にもう一工夫あればと感じたり、
唯一、城陽いちぢくと但馬牛の一品だけはあまり口に合わなかったものの、
トータル的には非常に満足出来る食事内容であった。
また、ご夫妻のホスピタリティ溢れる接客も
特筆すべきものであったことを付け加えておく。
ちなみに、現時点でさえも予約が非常に取り辛いのに、
今後どうなってしまうのかが、個人的には非常に心配である。。。
8位
1回
2013/11訪問 2013/11/30
過去二回の訪問により、主人の料理人としての力量は確認済みなので、
(失礼を承知で)食材、そして調理法まで事細かく指定し、
15,000円できのこ尽くしコースを組み立てて戴いた。
正直、焼き岩魚は少々私の好みと違っていたし、
岩魚卵の冷製茶碗蒸しは魚卵の塩気が少々強いと感じたが、
松茸と菠薐草のおひたしや、いふじ茸?のおろしは、
さっぱりと繊細な味わいで私の口に非常に合っていたし、
松茸真丈の椀は出汁の加減、真丈の口当たり共に
完璧ともいえる内容のものであった。
また、締めに供されたきのこと塩のみで作った
(余計なものは一切加えない)きのこ鍋は、
今回のコースの締めに相応しい、過去最高のきのこ鍋であった。
ちなみに、こちらの店は完全予約制であり、
普段は5,000円~の予算でも充分対応して戴けます。
参考までに、今回戴いた料理の内容を以下に明記しておきます。
■松茸と菠薐草おひたし
■いふじ茸?おろし
■松茸真丈の椀
■岩魚卵の冷製茶碗蒸し
■岩魚の焼き物
■焼き松茸
■焼いた時候坊にアンチョビとチーズ
■猪の燻製、烏舞茸、老茸
■猪とキノコのすき焼き
■栗茸、原木椎茸、老茸、烏舞茸、なめこ、栗風船茸の鍋
■冷菓
食は生命の源。「自然の恵みを口にする喜び」は、食を語る上で最も本質的な部分であると考えます。
①市場の原理により、良質な食材は(ほぼ)全て大都市圏に集積される
②料理は料理人の修業先で8割方決まる
③鮮度命ではなく熟成により風味が増す食材や、料理人の力量及び加工度の高さが要求される料理は、やはり大都市圏で戴くに限る
・・・が持論ですが、
日本各地には、「その土地でしか味わうことが出来ない美味なる食材」や
「長い歴史と文化によって培われてきた素晴らしき伝統(郷土)料理」が
多々存在するのも、また事実であります。
2013年は、2011,2012年と同様に「食材の旬」、「地産地消」、
「食文化」に重きを置きながら、食べ歩き活動に勤しみました。
数多訪問した店の中から、以下の10軒をチョイスした主な理由は、
味も然ることながら、やはり「個性」です。
修行先で学んだ料理を、そのまま安価に供しているだけのような店や
食材に恵まれた地方にありながら、
築地から仕入れた全国各地のブランド食材を使用しているような店は、
いくら費用対満足度が高かろうが、美味しかろうが、
私はあまり興味が湧きませんし、評価もしません。
なお、マイ★ベストレストランにつきましては、
「新鮮味を持たせる意味合いで、」
過去に「ベストレストラン」として選んだ店は、
なるべく掲載しないように心掛けています。
また、どの店も甲乙付け難いので、
昨年と同様に順不同とお考え戴ければ幸いです。
なお、2013年は幅広いエリアから選択することも加味しました。
相も変わらず駄文を書き連ねておりますが、
今後とも末永くお付き合い戴ければ幸いに存じます。