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夜の点数:5.0
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料理・味 5.0
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昼の点数:5.0
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河豚好きなら誰しもが一度は憧れる「上関の河豚」
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2011/06/22 更新
「上関の河豚を食わずして、河豚を語ることなかれ」。
河豚好きなら誰しもが一度は憧れる「上関の河豚」。
かつては、かの北大路魯山人も、その味を絶賛したと聞く。
※(一般的に河豚といえばイメージされるのは「下関」であり、
取扱量という点では、下関南風泊であることは疑う余地がない。
ただし、消費量においては大阪、
漁獲量においては東海や北陸地方を始めとした他地域に
大きく溝を空けられているのが実情である。)
その上関で最も良質な河豚料理を供する店として知られているのが、こちらの「田中旅館」。
毎年シーズンになると、全国から多くの美食家が集うとのことで、
関門海峡を渡ってまで、わざわざ訪れる九州の客も多いと聞く。
また、ノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作や現行の社会保障制度の礎を築き上げた岸信介も
こちらの河豚の味わいに大いに魅了されていたのは、あまりに有名な話。
料理は伊万里の見事な大皿に盛りつけられた「てっさ」から始められる。
他地域では、皿の絵柄が透けて見えるように薄く引くのが通例であるが、
上関では、河豚本来の味や歯応えを重視して、厚く引くのが通例のようである。
まず、このてっさの濃厚なる味わいに誰もが驚かされるだろう。
肝入りのぽん酢で戴くのであるが、比類するものなき程旨いことこの上ない。
明らかに今まで私が口にしてきた河豚とは、「別格」である。
女将に何日間寝かせたのか伺ってみたところ、何と驚くべきことに、全く寝かせていないとのこと。
これまで白身魚というものは、一日以上寝かせてアミノ酸値を高める=旨味を引き出すのが鉄則であり、
新鮮な白身魚なんぞ、水っぽい味わいで食えたものじゃないと思っていたが、これが全く覆された。
なお、女将曰く、店の河豚は1.5キロ前後のものを選別して使い、
2キロ以上のものは味が落ちるので使わないとのことだった。
白子は、生臭みが一切なく、意外としっかりとした食感で、これもまた美味。
白子があまり得意でない同行者が、何の抵抗もなく、旨そうに口にしていたのには驚いた。
焼き河豚は、熱を加えることで河豚の旨味がギュッと凝縮されており、夢中で骨の隅々までむしゃぶりついた。
塩の塩梅も控えめで、(私には)丁度良い。
河豚の究極の調理法は「焼き」であると言う方も多いが、それが自ずと納得できる味だった。
ちり鍋は、河豚の量が比較的少なめ。どちらかというと野菜の存在の方が目立っていた。
野菜自体も良質であったが、何より出汁が超絶品であった。
ちり鍋の主役は、河豚の身ではなく、河豚の出汁であることを改めて認識させられる、そんなちり鍋であった。
この鍋の出汁を雑炊にしたら、さぞかし・・・と思いきや、
何と、女将曰く、鍋の出汁は全て捨てると言う。
「うちの雑炊は、河豚の出汁だけでとった雑炊です」・・・と。
それからしばらく待つと、河豚出汁ベースの醤油仕立ての雑煮と白味噌仕立ての雑炊が供された。
この二品、河豚の旨味が凝縮されまくりで、食べ終えた後の余韻が凄かった。
その日は一日中、河豚の味が口の中から消失しなかった程である。
昨年末に白身魚の王様と称される、
紀州で揚がった25キロ前後の天然物の九絵を口にする機会があったのだが、
味わいが濃厚過ぎて、途中で食傷気味となってしまった・・・が、
こちらの河豚に関しては、一切そのようなことがなかった。
鯛や鮃以上に気品があって、濃厚なる味わい。
まさに「海のダイヤ」と称されるに相応しい食材であると心底思った。
料理を一通り戴いて、噂以上の味に大満足。
敢えて難点を申し上げるなら、
雑炊と一緒に供された香の物がイマイチだったことくらいかもしれません。。。^^;
実は、別の機会に、全国でも有数の河豚の名店で、下関直送の特注の河豚を戴いたのですが、
河豚自体の味わいは、当店の圧勝でした。
こちらの店では、煮凝り、唐揚げ、茶碗蒸し・・・等は供されません・・・が、
(個人的に)素材自体が極上なので、手を加えた料理は却って「余計である」とさえ感じます。
いやぁ、それにしても本当に美味なる河豚料理でした。
実は、来年は九州で二軒、大阪で一軒、河豚の店を考えているのですが、
奈可越無きあと、こちらの河豚を超える店に今後出会えるのだろうか?・・・と。
なお、鯛料理にも非常に定評のある店でありますが、
現在は河豚料理のみの営業しか行っていないとのことです。