ウィーンの森の物語さんが投稿した魚津屋(京都/西院)の口コミ詳細

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美食考察記:科学的見地・文化的見地、双方による美食の考察

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ウィーンの森の物語 (男性・東京都) 認証済

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魚津屋西院(京福)、西院(阪急)、丹波口/日本料理

2

  • 夜の点数:5.0

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 4.2
      • |雰囲気 4.2
      • |CP 3.8
      • |酒・ドリンク -
2回目

2018/04 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.2
    • | 雰囲気4.2
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク-
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

美食考察記 第六十二話

大好きな魚津屋さん!今回は、こちらの店が発祥と言われる「花山椒鍋」を!

まずは恒例の小鉢から。シャキシャキとして甘味のある牛蒡、滋賀の赤こんにゃく、ホワイトアスパラにグリーンアスパラをたっぷりと刻んで乗せたアスパラのアスパラ、トマトに鯛の白子、筍の若竹煮の下には水菜、山葵の茎と葉を湯引きし土佐酢に付け込んだもの、桜鯛に蛤等、どれも抜群に美味しい。煮た蛸も食感の残し方が絶妙。
煮物って、野菜は色味の残し方、鮑や蛸、豆類等は食感の残し方にセンス出ますよね!

そして、揚げた小魚を口にしようとした時、
御主人が一言、「頭から食べますか?尻尾から食べますか?」と。
続けて、「どちらから食べるかで味わいや余韻が違って来るんですよ」・・・と。
う~ん深いな!まるで、禅問答を受けているかのよう。。。

さて、メインの花山椒鍋!今でこそ全国のあちこちの店で食べれますが、昔は京都でも口に出来る店は極一部でした。
こちらでは、鍋の具材に(牛)肉ではなく、敢えて海鱒を使うのです。
御主人曰く、畜肉系の出汁は花山椒の質(香り)を誤魔化せるので、あれは邪道とのこと
そういえば、祇園白川沿いにある「さか本」の花山椒鍋も超極上だったが、あそこも(牛)肉は入れなかった。。。

さて肝心なお味ですが、生命線である出汁が尋常ではない旨さ。脂の乗った海鱒もこれまた絶品。
やはりこちらのは別格だなと。。。
鍋の味わいに感激に浸っていると、御主人がまたポツリ。
「花山椒は、吉野で始まり伊吹で終わる」と言う言葉が京都にはあるんです・・・と。
今ではスパイス代わりに汎用されていますが、元々は季節の移り変わりを楽しむ食材の一つであったのだなと。
今回も大大大満足で会計を済ませ店を後にした次の日、御主人から私の携帯に一本の電話が。。。
何か忘れ物でもしたかなと思って出たところ、「ウィーンの森さん、昨日はすみませんでした」と。
私は「えっ?何かあったかな???」となっていたところ、
「酒代が高いから同行者の方が気分を害されていたのではないかとずっと気になっていたのですよ」と。
「えっ!いやいや、誰も気になんかしていないですよ!」と。
こちらの御主人、店ではよくしゃべり、豪快に見えるけど、あれだけ繊細な料理を作るだけあって、
実は細かい気配りが出来る、繊細な心の持ち主なのだなと。

また、店が続く限り、お伺いさせて戴きます!

2020/11/28 更新

1回目

2017/12 訪問

  • 夜の点数:-

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

前評判の高さは伊達ではなかった。。。

こちらは、私の長年の課題だった店の一つ。
食通が最後に行き尽く店、著名料理人が勉強の為に足繁く通う店とも言われており、
何年も前から気になっていたが、この度、ようやく訪問する機会を得ることが出来た。

店は西院駅から少し離れた高辻通り沿いの一角にあり、
店内に一歩足を踏み入れると、目の前には時代色を帯びた、
巨大な一枚板のカウンターがドーンと広がっており、度肝を抜かれた。
ちなみに、暖簾の「魚津屋」の文字は、この店を愛した、かの白洲正子女史によるものとのこと。

着席すると、まず、小皿に盛られた料理がテンポよく並べられるのだが、
これが、どの料理もとんでもなくレベルが高い。
例えば、生のきんぴらや鞘豌豆、クレソンと葱に河豚皮等、
いずれの食材も香りや食感の残し方が完璧。
蕗の煮浸しや鮑の出汁は一寸の濁りもなく切れ味抜群。
御主人からは、小皿料理の中には、出汁の塩分を意図的に強くしているものもあるので、
全て飲まないようにと注意を促されたが、あまりの美味さに全て飲み干してしまった。
サイコロ状に切った軽く昆布締めした鯛にシャインマスカットを合わせた皿は意外性が楽しい。
ボラの白子とトマトを合わせた皿は、トマトの味が実に濃厚で、
聞けば、夏は露地物で味が薄いので、2月~4月のトマトしか使わないとのこと。

メインは、鯛と蕪の鍋が供されたが、この鍋も他では味わえない完成度の高さで驚いた。
まず、出汁が超絶。聞けば、鍋は温度管理が超重要で、
余計な灰汁が生じる温度=70度以下をキープすることが一つのポイントとのこと。
また、蕪も食感の妙を引き出す為に意図的に切る厚さを変える等、独自の工夫が光る。
最後のじゃこ御飯やお新香も非常に美味。

また、御夫妻も非常にお話し上手で、その内容も一つ一つが深い。
幾つか印象に残ったものを例に挙げると、
・出汁というものは昆布や鰹の味を少しでも感じては駄目。
・日本料理の極意は引き算にある。油は極力控えるべし。味や香りの強い高級食材をこれ見よがしに使う店、そしてそれを喜ぶ客は下衆の極み。
・筍と若芽、鯛と蕪、茄子と鰊、大根と鰤等、出会いの物同士の食材は非常に相性が良い。
・バーナーで食材を炙る行為は全く以って理解できない。炙る姿は溶接工そのものであるし、味の面でも食材に不快な臭いを付着させるマイナス要素の方が遥かに大きい。
・同じ年数修行しても、オープンキッチンと奥の厨房で料理を作る人間とでは、腕の上がり方が違う・・・等々。

今回、関西方面に行く用事があり、行楽庵、ふきあげ、魚津屋と
日本料理店を立て続けに回ってみたが、
個々の店が放つ、その存在感に圧倒されっぱなしの三日間となった。

う~ん、ここは間違いなく再訪確実だな!

2017/12/27 更新

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