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大阪を代表する料亭「かが万」が経営するおでん懐石の店。
関西のおでんでは、京都の「おいと」と双壁を成すと
前々から高い評判を伺っていたので、訪問してみることにした。
料理はアラカルトでも可能ですが、面倒なので全ておまかせで戴くことにした。
付き出しは、玉子豆腐の椀と筍の木の芽和えの上に土筆が添えられた小鉢。
まず、玉子豆腐の椀。玉子豆腐自体も旨いし、何より生命線である出汁が秀逸。
白魚、蕨、大根、人参、青豆といった脇役の芸も細かい。
大体、この一品を戴いただけで、この後供される料理のレベルも自ずと見えてくる。
筍の木の芽和えの小鉢もセンスを感じさせる味付けで、思わず箸が進む。
また、お椀、小鉢共に春春の息吹を感じさせる素材で構成されているさり気ない心遣いがうれしい。
一品目は、名物の「炒殻とさえずり」。
まず、黄金色の出汁の旨さに思わず声を上げる。
素材の下処理も完璧で、しょっぱなからノックアウト。
これ、マジで超絶品です！！！
二品目は揚げだし豆腐。豆腐の上にはたっぷりととろろ昆布がのせてあり、
すこしづつ出汁を含ませながら戴くと、全体の味わいが少しずつ変化するのが楽しい。
三品目は、何が登場するかと思いきや、
葛あん仕立てのふかひれスープ。
無論、アンモニア臭等は一切なく、肌理細やかな食感のフカヒレでした。
四品目は蒟蒻。これがまさに技ありの一品でした。
食感が非常に独特なので、御主人に製法を伺ったところ、
一度、高温の油にくぐらせて出汁と一緒に炊いているとのこと。
いやぁ、この製法はちょっと思い付きませんでしたね。
これ、是非食べてみて下さい。
蛍烏賊の酢味噌和え、筍と万願寺唐辛子のソテー？が供された後、
出汁をたっぷりと含んだ焼売の登場です。
自分は、同じ北新地の讃岐路の（おでんの）焼売が好物で、
会社帰りによく戴いておりますが、やはり専門店の味は違いますね。
そして、次にロールキャベツが登場したのですが、
これも驚きの一品でした。
酸味のあるトマトソースを使ってイタリアンテイストに仕上げているのですが、
味の方も単なる創作に終わっておらず、作り手のセンスが光ります。
三品目のふかひれもそうですが、
和洋折衷の技法を取り入れて、遊び心をしっかり残しつつも、
更なる味へと昇華させている点は流石だと思いました。
言うまでもなく、「和の創作」は、基本がしっかりとした料理人でないと、
和風ダイニングバーの料理に成り下がってしまいますからね。（笑
その後、太刀魚のバターソテーやら、
ベーコンと蕗を軽くソテーし、その上に出汁をかけたもの、
そして、（おでんの）大根を戴いた後、
〆の御飯物の登場です。
おむすび、稲荷寿司、牛肉の時雨煮、香の物、しらすおろし等が
目の前に美しく盛り付けられましたが、
思った以上に、ボリュームがあり、一瞬たじろぎました。（汗
でも、おむすび一つ取ってもプロの仕事が伺える味で、
知らず知らずのうちに、あっという間に食べ切ってしまいました。（笑
蜆汁のお椀も大変美味しい。
最後は、好物の宮崎産のゴールデン マンゴーを戴いて大満足。(^O^)
いやぁ、こちらのおでん懐石、
一つ一つの料理に明確なコンセプトが感じられて、とても楽しめました。
言うまでもなく料理は一つの作品ですから、
作り手の意志や意欲が感じられなければ、何の魅力もありませんからね。
味の方は私見で関西一で、
京都の「蛸長」、「おいと」、堺の「たこ吉」をも凌駕しています。
無論、関東では、このレベルのおでんは戴けません。（と思います）
こちらの店の唯一の欠点は、喫煙可で、
しかも、建物の構造上、、煙が店内に充満し易いこと。
でも、それを差し引いても、絶対に行く価値のある一軒と思います。