65回
2022/02 訪問
薄衣の芸術
早春の近藤さん。天種の書かれた紙とにらめっこしながら、お好みで注文するのが愉しいひと時。この日はメヒカリやウマヅラハギといった近藤さんでは初めて見る天種もありました。
メヒカリはしっとり・ホクホクに揚げられていました。鱚の方が上品でしっとりしていますが、脂の乗りならメヒカリといったところでしょうか。ウマヅラハギは肝を身で挟んで揚げられていました。濃厚な肝が淡泊な身の味わいを引き上げてくれます。カワハギに似ていましたが、個人的にはカワハギの方が美味しいかなと。
魚介種で最も好印象だったのは白魚、その次が鱚。この日の白魚(宍道湖)のバラはいつもとは違って、茗荷と一緒にかき揚げで。むっちりとした白魚にシャキっとした茗荷のアクセントが効いていました。個人的には白魚だけのかき揚げの方が好きですが、これはこれでアリだと思います。もちろん、定番の白魚を大葉で包んだものもいただきました。こちらは中がレアでトロっとした仕上がりで美味。
野菜ではそら豆と人参が特に好印象でした。そら豆はとにかく香りが良く、これを頂くと春の訪れを感じます。飴細工を模した人参は甘く、香りもGood。どちらも春が終わるまで外せないタネです。
久しぶりにいただいたのが蕾菜。初めていただいた時ほどの感動は得られませんでしたが、甘味と苦味が時間差で愉しめました。食感や香りも良かったです。
2022/04/29 更新
2022/01 訪問
薄衣の芸術
今年初の近藤さん。本格的に寒くなってきた頃でした。
野菜は人参、魚介では白魚が特に印象に残りました。次点が河豚の白子、カワハギ、蛤といったところでしょうか。
白魚は大葉で包んだ定番のものとバラでかき揚げにしたものを。前者は中がレアでトロっと、後者はもっちり・むっちりとした食感に揚げられています。甲乙付けがたく、ついついどちらも頼んでしまいます。河豚の白子はクリーミーで美味。蛤もうま味に富んでいました。
その一方で、椎茸や牡蠣は晩秋~初冬のものと比べるともう一つだったかなと。例年通りといえば例年通りなのですが、今年は落ち方が顕著なような気がしました。
2022/02/18 更新
2021/12 訪問
写真の恩(最終回)
初冬の近藤さん。秋の食材がメニューから姿を消し、冬のものが中心になっていました。特に印象に残ったものは牡蠣(仙鳳趾)と人参。次点が蛤、さつまいも、椎茸。
この日は久しぶりに近藤さんのシグネチャである薩摩芋を注文。外側はカリっと、中はねっとりと。昔ながらの薩摩芋らしい素朴な甘さが愉しめます。シルクスイートのような最近の薩摩芋を甘すぎる(甘さがくどい)と感じる方にはオススメです。とにかく甘味が強い方が好きという方には合わないかもしれません。また、結構なポーションなので、少人数だと他のものが食べられなくなることも覚悟した方がいいと思います。もちろん、食べきれない場合は持ち帰り可能ではあります。
個人的なお勧めは、もう一つのシグネチャである人参。我が家では薩摩芋よりも人気があります。鍋に広がった千切りの人参が飴細工のように纏められていく様は見ていて楽しいですし、人参の甘味・香りが何とも言えません。肉厚の牡蠣もとにかくミルキー&ジューシーで、非常に美味しかったです。
2021/12/31 更新
2021/11 訪問
写真の恩(其の十二)
晩秋の近藤さん。冬の食材も出始めていました。野菜では椎茸、人参、山ごぼう、魚介では牡蠣(仙鳳趾)と鯊が特に印象に残りました。
椎茸は押し返すような噛み応えがありますが、それに逆らってかぶりつくと口中にうま味が溢れ、香りが鼻に抜けるのが分かります。食感、うま味、香りとどれも印象に残るものでした。山ごぼうは無駄な繊維質が気にならず歯切れよく、香りも良かったです。
牡蠣は仙鳳趾のもの。立派なサイズで大変ジューシー。非常に美味しかったです。鯊も久しぶりにいただけて嬉しかったです。上記以外では肉厚の蛤やホタテも美味しかったです。
2021/12/31 更新
2021/10 訪問
写真の恩(其の十一)
紅葉も少しずつ色づき始めた時期の近藤さん。特に好印象だったものは椎茸。次点が牡蠣(仙鳳趾)と鱚。女鯒や甘鯛なども好印象でした。
椎茸はうま味・香り・食感とどれも素晴らしかったです。牡蠣もなかなか立派なサイズ。ジューシーで美味しかったです。どちらのタネもこれからまだ美味しくなるでしょうから、晩秋~冬の訪問への期待が膨らみました。
鱚と女鯒はいずれも江戸前のもの。この時期にしては良かったのではないかなと。鱚はしっとりさを残した火入れ。このデリケートな火入れは相変わらずお見事。甘鯛は余熱を利用したフワフワの仕上がりで、なかなか美味しかったです。
2021/12/04 更新
2021/09 訪問
写真の恩(其の十)
秋の近藤さん。キノコが美味しい季節になりました。
特に印象に残ったものは松茸(岩手)、舞茸(北海道)、新いか、南瓜
松茸の天ぷらは、傘に酢橘を挟んで揚げたもの。水分を多めに残した揚げ加減で、歯応えが良くジューシー。香りも非常に良かったです。9月下旬から10月初めに訪問したら是非注文したい逸品。繊維に沿って割くようにいただくと食べやすいです。
この日の天然の舞茸は北海道から。食感はもちろん、野趣溢れる香りと味わいが何とも言えませんでした。
南瓜はホクホク・ねっとりとした食感と甘味が好印象。新いかもまだまだ柔らかくて美味しかったです。椎茸はピークにはまだまだ遠い印象でしたが、晩秋に向けて美味しくなりはじめました。天種から季節の移ろいが感じられます。
2021/10/16 更新
2021/08 訪問
写真の恩(其の九)
晩夏の近藤さん。夏の天種も終わりを迎えるタイミングでした。
特に印象に残ったものは、野菜では南瓜、魚介では新いかでしょうか。南瓜はサツマイモ同様大き目にカットし長めに揚げ、最後は余熱で仕上げていきます。ホクホク・ねっとりとした食感と甘味が印象的な逸品です。皮ごと揚げるのですが、特に皮目の甘味が素晴らしいです。新いかの何とも言えない食感もこの時期ならではのもの。
久しぶりにいただいたズッキーニは湯葉を射込んだ従来のものだけでなく、チーズを射込んだものも供されました。新銀杏は7月の出始めのものほどではありませんが、この時期には外せないタネだと思います。
2021/09/19 更新
2021/07 訪問
写真の恩(其の八)
夏の近藤さん。初夏ほどではないものの、魅力的なタネが残っていました。
特に印象に残ったものは黒鮑と新銀杏。鮑は芳醇そのもの。適度な弾力もあって非常に美味しかったです。新銀杏も出始めのこの時期のものは香りが抜群。頬張ると香りが鼻に抜けるのがよく分かりました。
ご飯を挟んだ変わり種のジャガイモ、中が熱々トロトロの賀茂茄子、甘くてジューシーなホワイトアスパラガス、種ごと食べられる爽やかな香りのピーマンと好印象でした。魚介ではホクホクの女鯒と四万十の海苔を包んで揚げた鱧も美味しかったです。
席数の間引きや時短営業もあってか、この一、二年でお好みやおまかせのコースは一割弱値上がりしたように感じています。しかしながら、食材高騰の中でもほとんど値上げをしていなかったことを考えると、いたずらに価格を吊り上げている若手・中堅のお店と違ってCP良好だといえるでしょう。
2021/09/19 更新
2021/06 訪問
写真の恩(其の七)
天ぷらのハイシーズン真っ只中の訪問。特に印象に残ったタネは玉蜀黍(甘甘娘)、ジャガイモ、賀茂茄子、姫竹、さやいんげん。魚介では鮑と鱚といったところかなと。
甘甘娘は一粒ずつの存在感がしっかりしています。甘味、食感、香りと秀逸でした。ジャガイモもこの時期には外せない逸品。ジャガイモでご飯を挟んだものを揚げ、最後は余熱で仕上げます。ちょっと野暮ったい感じもしますが、非常に美味しくついつい注文してしまいます。中が熱々の賀茂茄子はトロトロ・ジューシー。炭火焼きとは一味違った魅力があります。姫竹は5月の方が美味しかったように思いますが、この日いただいたものも十分美味しかったです。
黒鮑は食べ応え十分なサイズ。食感も良く、味わいは芳醇そのもの。鱚はふんわりと揚げられており、しっとりとした中に鱚の味わいが感じられました。銀宝の入荷がなかったのは残念でしたが、来年の愉しみということにしておこうかと思います。
2021/08/07 更新
2021/05 訪問
写真の恩(其の六)
天ぷらのハイシーズン幕開けの時期の訪問。特に印象に残ったものは姫竹、コシアブラ、さやいんげん、ヤングコーン。魚介では鮑や女鯒といったところでしょうか。
姫竹は歯切れの良い食感と素晴らしい香りが味わえました。去年より良かった(ここ何年かで一番良かった)のではないかなと。コシアブラは柔らかい苦味と香りが味わい深かったです。ヤングコーンも粒々の歯触りと中のシャキッとした食感が何とも言えません。噛んだ時に口の中に広がるうま味や香りも好印象。筏状のサヤインゲンも香り良く美味しかったです。やはりサヤインゲンは一度にある程度まとまった量を食べた方が美味しいものだと再認識させられました。
2021/08/07 更新
2021/04 訪問
写真の恩(其の五)
春の近藤さん。初夏や晩秋と並んで魅力的な天種が並ぶ季節です。
通年供されるアスパラですが、この時期の北海道の出始めのものが最も香りが良く美味しいと思います。また、この時期しか供されない朝掘りの白子筍(塚原産)も逸品です。えぐ味がなく、食感・香りともに印象に残るものです。初めてこちらで頂いた時に衝撃を受けたのを今でもよく覚えています。
飴細工を模した人参は強い甘味と香りが印象的。目でも舌でも楽しめる逸品です。それ以外にもタラの芽、山独活、空豆といった春の味覚も堪能できました。
魚介では白魚と蛤がこの時期のお勧めではないかなと。白魚は大葉で包んだものとバラでかき揚げにしたものの二種類があります。前者は中心部がレアの火入れで、食感・味わいのグラデーションが愉しめます。後者はむっちりとした白魚一匹ずつの存在感がより強く感じられます。蛤は例年よりも小振りながらジューシーで美味。この日は女鯒も美味しかったです。
2021/05/08 更新
2021/03 訪問
写真の恩(其の四)
早春~春に掛けての天ぷら。野菜では筍(塚原)、山独活、空豆、魚介では白魚、平貝、蛤が特に美味しかったです。
筍は塚原の朝掘りの白子筍。四月上旬にしか供されないタネだと認識していましたが、単品メニューの中に見つけたので迷わず注文しました。香り良く美味でした。空豆も頬張ると口の中に良い香りが広がります。春には外せない天種です。
平貝は前回訪問時よりも立派なものでした。平貝と海苔の間に木の芽を挟んで揚げられており、中心部はレアの仕上がり。平貝の強い甘味に木の芽が爽やかさを加え、味を引き締めてくれていました。
牡蠣は前回同様長崎のものだったと思いますが、やはり個人的には晩秋~初冬に使用される仙鳳趾のものの方が美味しいかなと。
2021/05/08 更新
2021/02 訪問
写真の恩(其の参)
晩冬~早春の近藤さん。この日印象に残ったものは白魚、タイラ貝、人参、空豆、蕗の薹あたりでしょうか。
空豆は指宿のもの。頬張るごとに空豆の香りが口内から鼻に抜けるのが分かります。一粒ずつ食べるより、まとめて食べた方が美味しい素材の一つだと思います。蕗の薹はガクを開いて。苦味や灰汁が中に籠らずに油と馴染んでくれます。
白魚は大葉で包んだものとかき揚げにしたものをどちらもいただきました。今回はかき揚げの方の写真を載せてあります。タイラ貝は海苔で包んで間に木の芽を忍ばせたもの。木の芽の爽やかな香りが良いアクセントでした。この時期にしては珍しく牡蠣もありましたが、11月にいただいたものの方が美味しかったかなと。
2021/03/24 更新
2021/01 訪問
写真の恩(其の弐)
冬の近藤さん。空豆や山菜等の春の味覚もメニューに載りはじめていました。白魚、公魚、カワハギ、河豚の白子、人参、椎茸、菜の花等が美味しかったです。
白魚は大葉で包んだ通常のものとバラ(かき揚げにしたもの)の二種類をいただきました。大葉で包んで揚げたものは中心部がレアの仕上がり。衣のサクッとした食感から中心部のトロっとした食感へと向かう微妙なグラデーションが愉しめます。両者が口の中で混じりあうと何とも言えません。かき揚げの方はむっちり・もっちりとした食感。こちらの方が一匹ずつの味わいは感じやすいように思います。どちらも美味しかったです。
カワハギは身に肝を挟んで揚げたものを塩と山葵でいただきます。肝の味わいを山葵が引き締めてくれます。河豚の白子もトロっと濃厚。臭みは皆無で美味しかったです。
飴細工を模した人参は冬には必ず注文する逸品。椎茸は食感、うま味、香りとまずまず。一番良い時期(11月や12月)と比べるとやや落ちるように感じましたが、十分満足できるものでした。菜の花は鮮やかなグリーンと香りが印象的でした。
2021/03/24 更新
2020/12 訪問
写真の恩(其の壱) ~写真を撮るのも楽じゃない~
初冬の近藤さん。鯊や牡蠣という目当ての魚介はありませんでしたが、野菜は相変わらず充実していました。
特に好印象だったものは椎茸、人参、山ごぼう。椎茸はうま味、食感、香りとどれもハイレベル。11月にいただいたものの方が味の凝縮感は上だったような気もしますが、この日のものも非常に美味しかったです。
人参の天ぷらは飴細工を模したもの。甘味と香りがしっかり感じられ、目でも楽しめる逸品です。カットやサイズに工夫を凝らすことで、香りやうま味を引き立てたり、立体的なビジュアルに仕上げるというのは、近藤さんの天ぷらの特徴の一つだと思います。個人的には晩秋~冬のイメージですが、椎茸同様通年供されます。季節間での味の差が椎茸ほど大きくないと思うので、比較的季節を問わずオススメできるタネなのではないかなと。
山ごぼうは変な繊維質が無く、心地良い食感が愉しめます。香りや油切れも良好。うどん屋で供されるごぼう天とは全くの別物です。時期的には11~12月位のはずですが、入荷がないこともしばしば。
鯊と牡蠣の入荷がなかったのは残念でしたが、この日はワカサギ(琵琶湖)やカワハギが美味しかったです。どちらも写真を撮り忘れてしまったので、これは次回の宿題。このままでは写真が前回と変わらないという焦りから金目鯛も追加注文しましたが、個人的にはカワハギの方がオススメかなと。
この日の〆は天茶。天丼は前回アップしているので今回は天茶にしました。私もようやくレビュアーらしくなってきたなと(笑)。
天ぷら職人の技量が最も問われるのは何といってもかき揚げでしょう。ここのかき揚げはタネ(特に小柱)が硬化しておらず、衣ももっさりしたところがありません。依然としてハイクオリティだと思います。
天丼はかき揚げの上から丼汁をかけるお店(深町さん)もあれば、最近では熱した丼汁にかき揚げを軽く潜らせるお店(にい留や成生)なんかもあります。近藤さんの天丼は、かき揚げを辛めの丼汁(おそらく常温)に潜らせ蓋をして供する江戸前のスタイルです。
天茶のかき揚げは天丼のものよりも緩く成形されているのだと思います。お茶を入れて食べるとホロっと崩れる塩梅です。天茶に緑茶を使うお店もありますが、近藤さんではほうじ茶と出汁を合わせたものになります。男は天丼一択、天茶は女が頼むものという風潮もゼロではないのでしょうが、このような人種は絶滅危惧種なので好きな方を頼めば良いのではないかなと。
2020/12/22 更新
2020/07 訪問
薄衣の芸術
梅雨の最中の近藤さん。6月と比べると天種的には見劣りする時期です。
お好みで色々いただきました。特に印象に残ったものは賀茂茄子、ホワイトアスパラガス、ジャガイモ。賀茂茄子は6月以上のビッグサイズ。とろとろ・ジューシーで非常に美味しく、食べ応えもありました。夏の時期に合わせて生産されているというホワイトアスパラガスも瑞々しく、甘味に富んでいました。ジャガイモは通年安定して楽しめるので、個人的にはオススメの天種です。
〆のかき揚げの出来は徐々に下降線を辿っているような気がしますが、それでも素晴らしい出来栄え。最近流行りのお店より上でしょう。こちらの天丼はかき揚げを辛めの丼汁に潜らせるスタイル。衣の食感は犠牲になってしまいますが、昔ながらの食べ方が好きな方向きといえるでしょう。
若手・中堅の人気店が一斉スタート・おまかせのみばかりなのに対して、入店時間やコースが過度に制限されてないのも魅力です。そういったお店は客ごとに異なる注文を捌くだけの技術や経験がないのでしょう。
2020/08/31 更新
2020/06 訪問
薄衣の芸術
天ぷらのベストシーズンの近藤さん。銀宝や岩牡蠣といった大好きな天種がなかったのは残念でしたが、初夏の天ぷらを堪能できました。
特に印象に残ったものはトウモロコシ(甘甘娘)、賀茂茄子、ジャガイモ、鮑、鱚など。甘甘娘(山梨)は非常に甘く、香りも良好。この時期以外に使われているゴールドラッシュより上質でしょう。ジャガイモの天ぷらは、ご飯をジャガイモで挟んで揚げた一品。塩で食べても美味しいのですが、ご飯の部分に醤油を垂らしていただくのが近藤さんオススメの食べ方。揚げた香ばしさに醤油が良く合い、ご飯の粘り気と一体になったジャガイモの味わいを引き上げてくれます。
鱚や女鯒もこの時期は高いレベルで質が安定しています。特にこの日の鱚は良質で揚げ方も秀逸でした。ふんわり柔らかく揚げられており、鱚のデリケートな味わいが寸分も損なわれていませんでした。女鯒もこの時期であればそうそう外れを引くこともないのではないかなと。
2020/08/31 更新
2020/05 訪問
薄衣の芸術
初夏の近藤さん。天ぷらのハイシーズン序盤の訪問でした。
いつも通りお好みで。特に好印象だったものは鮑、白魚、姫竹、ジャガイモ、インゲンあたりかなと。黒鮑は内房のものがドーンと。芳醇な味わいでした。白魚(石川)は大葉で包んだものとバラのかき揚げの二種類を愉しみました。インゲンは筏状に揚げるのが近藤流。以前ほどキレイな筏ではありませんでしたが、香り良くこのシーズンには是非注文したい一品です。姫竹もここ4、5年では一番香りが良かったのではないかなと。
上記以外でも、そら豆、こしあぶら、玉蜀黍(ゴールドラッシュ)、グリーンアスパラガス等も美味しかったです。魚介では、良質な鱚がふんわり柔らかく揚げられており美味しかったです。
2020/08/31 更新
2020/04 訪問
薄衣の芸術
春の近藤さん。この日は筍とアスパラを目当てに訪問しました。他のお客さんとの間に空席を設けてありました。いつもの賑やかはありませんでしたが、その分近藤さんとゆっくりお話しさせていただくことができました。
4月の上旬にしか登場しない朝掘りの白子筍(塚原産)は、シャキッとしていながらも柔らかい食感。噛むと口の中に香りが広がり、うま味・甘味も溢れてきます。アスパラは通年供されるタネですが、この時期が一番美味しいのではないでしょうか。他の時期とは香りが違います。こちらも食感・うま味・香りと全てが楽しめます。
この日は、その日の朝に近藤さん本人が採ってきたという山菜も色々いただきました。ヤマユリのかき揚げは初めていただきましたが、外は玉ねぎのような食感で、中はゆり根の食感・味わいでした。
魚介種では、鱚と蛤が特に美味しかったです。鱚はふんわり・しっとりと揚げられており、うま味・香りが飛んでいませんでした。理想的な火入れだといえるでしょう。職人の技量が最も問われる〆のかき揚げ(天丼)も流石のクオリティ。大きめのかき揚げでしたが、無駄な衣が少なく、小柱も硬化していませんでした。
たとえ空席があっても、いつものように頻繁に油を変える姿勢には感心してしまいます。油切れが良いのも納得です。5月下旬から6月下旬までは天ぷらのハイシーズン。コロナを気にせず訪問できるようになればと祈っています。
2020/05/02 更新
2020/02 訪問
薄衣の芸術
冬~早春の天種をお好みで。印象に残ったものはオーロラ、人参、白魚、河豚の白子。この日のメインであるオーロラは前回訪問時にお願いしておきました。
オーロラはパレドZという番組中で考案された天ぷら。大和芋、菜の花、人参を甘鯛で包んで揚げたものになります。断面はきれいな三色で、食感のコントラストも際立っていました。各食材の香りや味わいが始めはそれぞれ別個に感じられ、噛むうちに口の中で調和していきました。山葵も味を引き締めてくれました。
三月から価格を少し上げられるようですが、立地や食材の質等を考慮すれば、依然CPは良好だと思います。
2020/12/07 更新
近藤さんの天ぷらはとにかく軽く、素材の持ち味を十二分に引き出しています。素材の持つ水分を利用した加熱調理で、天ぷらは蒸し料理と言われる所以がよく分かります。揚げる際のタネの最適なカットやサイズまで工夫されており、素材の持つうま味、香り、食感が愉しめます。脆いほどに薄い衣に包まれた天ぷらは芸術的です。
他店と比べると、特に野菜の天ぷらが充実しています。さつまいもが当店のシグネチャーとして有名ですが、個人的には以下の野菜の方がオススメです。
春には筍(塚原産の朝掘り)、アスパラ、空豆。初夏から夏にかけては姫竹、とうもろこし(甘甘娘・ゴールドラッシュ)、じゃがいも、いんげん、賀茂茄子、ピーマン。晩夏には南瓜も外せない一品です。秋が深まり寒くなってくると、椎茸(岩手八幡平)、山ごぼうやニンジンなども美味しくなります。アスパラや椎茸は通年供されますが、それぞれ上記の時期が断トツでしょう。
2020/12/06 更新