62回
2016/11 訪問
バランスが良い京橋の名店
晩秋の天ぷらをいただくために訪問しました。
この日のおまかせのコースもスタートは湯葉から。
天ぷらは口子、河豚の白子、車海老、銀杏、鱚、栗、雲丹、万願寺唐辛子、甘鯛、椎茸、烏賊、アスパラ、穴子
追加で女鯒、舞茸
〆に天丼、デザート
鯊を目当てに訪問したのですが、まさかの欠品。今年は不漁とは聞いていますが・・・。この日一番良い印象を受けたのは鱚。ワーストは車海老かなと。その他の魚介種は総じてGood。鯊の代わりの甘鯛は鱗をパリパリに、身はふっくらと。不満というほどのことではありませんが、雲丹を包む大葉が以前より硬くなったような気がします。食感的に少し違和感を覚えました。
野菜類は特筆すべきものこそありませんでしたが、外れというのもありませんでした。
〆のかき揚げもさすがの仕上がり。コースの合間に供された浦里も食欲が刺激され、良いアイデアだと感心しました。もっと序盤に供されると尚良いのではないかと思いました。
2016年11月
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夏の天ぷらを堪能しました。おまかせのコースにいくつか追加で。
湯葉と蒸し鮑、
天ぷらは口子、車海老×2、万願寺唐辛子、トウモロコシ、鱚、雲丹、水茄子、稚鮎、蓮、女鯒、アスパラ、穴子、
追加でアオリイカ、鱧、茗荷、
〆に天丼、
デザートにわらび餅と抹茶のアイス、
印象に残ったのは鱚、女鯒、穴子。特に鱚と女鯒は絶品でした。どちらも今年食べたものの中では間違いなく一番でしょう。稚鮎も天ぷら屋の中では上位だと思います。魚介ではお陀仏の車海老が唯一微妙かなと。野菜は特筆すべきものこそありませんでしたが、どれも標準以上。玉蜀黍は香りや食感が物足りませんが、甘味はまずまず。和食屋と大差ないとも感じましたが、美味しいとは思います。
2016年7月
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初夏の天ぷらをいただきに訪問しました。
おまかせのコースは湯葉、蒸し鮑でスタート。
天ぷらは口子、車海老、空豆(串に刺して)、万願寺唐辛子(通熟した赤いもの)、鱚、雲丹、水ナス(泉州)、女鯒、稚鮎、椎茸(山形)、アスパラ二種(ホワイト半分、グリーン半分)、穴子
追加でグリーンアスパラ、鱚
〆に天丼、ヨーグルトのシャーベット
特に印象に残ったのは鱚、女鯒、穴子(穴子は揚げが少し甘かったですが)。野菜ではグリーンアスパラです。ホワイトアスパラや椎茸は高額店としてはイマイチでしたが、それ以外の野菜は一定水準以上の美味しいものでした。
定番の魚介種が美味しく、野菜や油切れも常に一定水準以上。ソツのない天ぷらで、超高評価にも納得です。
2016年5月
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おまかせのコースに少し追加で。
湯葉、蒸し鮑(肝のソース)、口子の先付け
天ぷらは口子、車海老、タラの芽、蕗の薹、鱚、雲丹、筍(物集女)、ホタテ、椎茸、スミイカ、アスパラ2種(グリーンの上半分、ホワイトの下半分)、穴子。
追加で空豆、蛤。〆に天丼、ヨーグルトのシャーベット。
良い意味で印象に残ったのは空豆。悪い意味で印象に残ったのは蛤とアスパラ二種です。
相変わらず魚介種の質が高く、美味しい天ぷらでした。残念だったのは蛤くらいです。蛤は生臭さを感じてしまいました。野菜類では空豆が香り良く、美味しかったです。しっかりした衣でかき揚げになっているので、食感的には空豆より衣の方が主役といった感じかなと。もちろん、空豆以外の野菜も標準以上だと思います。筍は朝堀りではないものの、状態の良いものを使っているようです。椎茸もこれまでの訪問の中では一番良かったと感じました。ただ、二種類のアスパラはそれほど薫らず、もう一つという印象を受けました。
薄めながら存在感がしっかりした衣で、非常にバランスの良い天ぷらだと思います。油切れは前回よりは良かったかなと。混んでいるとはいえ、車海老等の剥き置きが目立ったのは残念でした。お酒を少し飲んで2万円台半ば。京橋ということを考えると、CP的には良いとはいえないでしょう。
2016年4月
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先付けに汲み上げ湯葉、
くちこ、河豚の白子、車海老、タラの芽、鱚、蕗の薹、生雲丹、筍(合馬産)、女鯒、稚鮎、椎茸、アスパラ、穴子、
追加で白魚、空豆、ホワイトアスパラ、
〆に天丼、アイスクリーム
白魚はむっちりしていて、非常に美味しかったです。白魚や天丼のかき揚げといった技量が問われるものの揚げ加減が素晴らしかったです。穴子はカラリと中はホクホクに揚げられており、美味しかったです。野菜は全てが一定水準以上で美味しかったです。ただ、やはり野菜の香りは物足りず、最高と感じるものは1つもありませんでした。アスパラ、ホワイトアスパラは美味しかったですが、タラの芽や蕗の薹にはあまり感心しませんでした。
混雑のためか、油切れの良さをもう一つ堪能できませんでした。タネの事前処理も目立ちましたし、混んでいる時はパフォーマンスが落ちるという印象があります。
2016年3月
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夏の天ぷらを頂きました。
先付けに汲み上げ湯葉、蒸し鮑(胆ソース)、
魚介類の天ぷらは口子、車海老、鱚、雲丹、稚鮎、女鯒、穴子、
野菜類が蓮根、新銀杏、とうもろこし、万願寺唐辛子、アスパラ、
追加で鮑(胆ソースで)、
〆に天丼、無花果のゼリー寄せ、
定番のタネはさすがで、穴子とメゴチが印象に残りました。車海老は、一匹目はレア気味に、二匹目は中まで火を通す感じで揚げていると思っていたのですが、今回はほとんど差のない仕上がりでした。一匹目が非常に中途半端な加減で、少々残念でした。鮑は中心部までしっかり火を入れています。天ぷらならではの味わいとは感じませんでしたが、美味しかったです。野菜はアスパラ以外はそこそこ程度でした。アスパラは香りよく、美味しかったです。とうもろこしは甘味が弱く、新銀杏も香りがもうひとつという印象でした。
野菜の質に満足できるならば、定番の魚介種の質高く、お勧めできるお店です。2万円台前半は京橋にしては少々高めと感じなくもありませんが、予約はそこまで難しくなく、使い勝手は悪くないと思います。
2015年8月
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冬の天ぷらを頂きました。
おまかせの内容は以下の通りです。
先付けに湯葉、
天ぷらはくちこ、車海老、烏賊、銀杏、慈姑、鱚、雲丹、蛤、加賀蓮根、メゴチ、椎茸、アスパラ、穴子、
追加で鯊、河豚の白子、〆には天丼、デザート、
江戸前定番の魚介に安定感があり、野菜はマチマチという印象を持っています。衣は薄めながら、その食感がしっかり感じられるものです。天汁は少し甘めで個人的にはあまり好きなタイプではありません。
女鯒、蛤そしてハゼが美味しかったです。特に、ハゼと蛤(レモンで)は非常に美味しかったです。しかしながら、穴子には少し臭みを感じましたし、烏賊や雲丹も火入れに関して疑問を感じる仕上がりでした。安定感があると思っていただけに少々残念でした。野菜では加賀蓮根と慈姑が美味しかったです。椎茸は無駄な水分が多く、食感・香りともに物足りませんでした。かき揚げを成形する技術はさすがで、天丼もなかなか美味しかったです。今回はもたれることなく帰ることができました。
2014年12月
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久しぶりの訪問です。
先付けは湯葉と蒸し鮑でした。頂いたおまかせの内容は以下の通りです。
くちこ、車海老、烏賊、タラの芽、蕗の薹、鱚、雲丹、万願寺唐辛子、メゴチ、椎茸、アスパラ、穴子、
雲丹をもう一つ追加して、〆は天茶、デザートはヨーグルトのシャーベットでした。
鱚、女鯒、穴子といった定番の魚介のタネ質は高いレベルにあると思います。その一方で、椎茸、蕗の薹やアスパラといった野菜はイマイチでした。特に椎茸は無駄な水分が多く、香り・食感ともに良くありませんでした。
衣の主張がしっかりしている(衣の存在感が強い)天ぷらです。バランスが良いとも言えますが、突き抜けたものを感じないというのも率直な感想です。何より残念だったのは胃がもたれてしまったことです。隣席の女性客もかなり残していました。
2014年4月
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山の上出身の深町さんのお店です。
おまかせで〆には天茶をお願いしました。頂いた天ぷらは下記の通りです。先付は湯葉と鮑でした。
車海老、いか、キス、メゴチ、雲丹、白魚、稚鮎、ギンポ、
タラの芽、蕗の薹、筍、アスパラ、椎茸等
天ぷらは衣が薄めで、いかにも山の上出身といった感じです。野菜は素材の風味を生かすように揚げられています。タラの芽は山菜特有の風味があり、なかなか美味しかったです。しかし、蕗の薹や椎茸等はイマイチで、野菜には注文が付く部分もありました。魚介は総じてタネ質が良く満足出来ました。天茶も一流店に恥じない一品だと思います。
内容を考えれば、CPは悪くないと思います。天ぷらを食べている女性の浮世絵を飾るなど、雰囲気作りにも凝っています。サービスは家族経営らしいもので、好き嫌いが分かれるかもしれません。個人的にはアットホームさがあり、居心地は良いと思います。
2016/12/11 更新
冬の天ぷらをいただきに深町さんへ。
おまかせのコースは先付けの湯葉でスタート。
天ぷらは口子、河豚の白子、車海老×2、空豆、蕗の薹、鱚、雲丹、筍(鹿児島)、女鯒、椎茸、蓮根、すみいか、穴子(対馬)
追加で白魚、百合根、
〆に天丼、デコポンのゼリー
この日のベストは白魚。むっちりとしていて、揚げ加減も申し分なし。非常に美味しかったです。
上記以外では鱚、女鯒もgood。デリケートな鱚は味を飛ばさずに、女鯒はカラリと揚げられていました。深町さんは江戸前のものにこだわらずに仕入れているので、一年を通して安定したクオリティを保てるのでしょう。お口直しのうらさとが供されるタイミングも、癖の強い女鯒の後というのは丁度良いかなと。野菜ではゆり根が印象的。甘くてホクホクでした。
その一方で、かき揚げの小柱はやや硬化気味だと感じました。弘法にも筆の誤りか。車海老も少々疑問。穴子はカラリと揚がっているのは流石ですが、ぶよぶよ感の気になるものでした。どれも美味しいには美味しいのですが。
2017年1月