90回
2023/02 訪問
ギムレットの夜
宵の口
コロナ禍の数年などなかったかのように
Etsukoさんは笑顔でカウンターに佇んでいた
最近
アメリカンサイズのグラスの時は1杯
スタンダードサイズのグラスの時は2杯
ギムレットを楽しんでいる
昔は
ボンベイサファイアを使った派手な味付けを好んだ時もあったし
プレミアムジンもたくさん発売されているけれど
最近はタンカレーで作ったオーソドックスな味を好んでチョイスしている
まるで
お薄の茶でも点てるような所作で
シェイカーに材料と氷を滑り込ませ
長い腕を優雅に動かしシェイクする
シェイカーから
カクテルをグラスに注ぎ
そっと僕の目の前にサーブされたら
写真をすばやく撮影していただきます
ステムを
つまんで持ち上げると
ライムの香りが鼻をくすぐり
口に含めばドライで軽快な味のギムレット
フレッシュのライムジュースと砂糖を使うのがEtsukoさんの味付け
いつ飲んでも美味しいと思う
スタンダードサイズは
繊細ながら飲みきりに丁度いい分量
アメリカンサイズは
スタンダードの倍以上の分量だから
温度が低いまま安定してじっくり味わえる
2杯分の料金も納得の価格設定
好きなサイズのグラスで楽しんでみてほしい
カクテルと会話
一時の現実逃避を少し楽しんでからバスに乗って家路につき
帰宅後身ぎれいにしたら
作っておいた食事を温めて食べる
これが
最近僕が作った酒飲みの作法
自分でも気に入っている
P,S,
PUBはお酒を楽しむ場所であり酔う場所にあらず
というイギリスのマナーがあります
マナーを守って楽しく飲むことを心掛けたいですね
2023/02/15 更新
2021/02 訪問
あれから一年以上たちました
写真 2021年2月26日
文 2021年4月9日
宵の口
Etsukoさんは自家焙煎の豆を購入してきて
コーヒーをハンドドリップしてくれる
淹れてくれる間
会話することもなく静かにのんびり待っている
酸味は少なくほろ苦い珈琲
どことなく人生を感じる味
ほんのり甘いシナモンの味がするビスケットは
ベルギーのお菓子
人生に添えられた一輪の花のようだ
これでまた頑張れる
そんな気がして
Etsukoさんとウイルスパンデミックなんて
何事もなかったように会話していいた
仙台は変異ウイルスまで確認され
1万人程度の小さな町からですら
毎日数人感染者が出てしまっている
ここで最後にカクテルを飲んでから
一年以上外でアルコールを飲んでいない
朝4時に起きて
弁当や朝ごはんの支度から
洗濯物の取り込みと片付け
乾いていなければ部屋干しする
毎日やる必要もない掃除機をかけ
年に一度くらいでいい床ワックスを
月に2度もかけたおかげで床がビカビカだ
仕事を終えて帰宅しても
食事の支度と洗濯
たまにジョグするけど
あっという間に眠くなり誰とも話すこともなく一日を終える
いろんなことがありすぎて
ちょっとフラストレーションと疲れがたまってきて
いつの間にか少し心がおかしくなっていた
そんな時だから
自転車の友人とランチしてから
夕方軽く飲もうなんて約束をした
ランチは信頼のおけるお店でフレンチ
そのあとはメロンで軽く飲んでしめよう
それまでは毎日おとなしくして
ウイルスにつかまらないようにしようと思っている
P,S,
今年の仙台は史上最速3月中に開花宣言が出た
異常である
それでもその後は仙台らしい気候に戻り
今朝は3度と花冷えの朝だ
写真は宮城県庁駐車場のモクレンと桜
薄桃色のモクレンとソメイヨシノの大木が美しく
思わず仕事も忘れてシャッターを押した
最近お気に入りのデンマークのJACK & JONESのデニムを
ネットで個人輸入した
日本ではNextで取り扱っているものの
(Next個人的におすすめです https://www.nextdirect.com/jp/ja )
パンツの丈が日本人向けで短いから海外から買っている
スリムストレートでわりとローライズ
おっさんが履くには毎日の腹筋が必要だけど
がんばろうと思うw
2021/04/09 更新
2021/02 訪問
Coffee time
2021年2月の話
コロナ19ウイルスパンデミック緊急事態宣言中の話
仙台の街もその例にもれず緊急事態宣言中は午後10時閉店を余儀なくされている
深夜まで営業しているメロンもそれは同じこと
だから期間限定15時から店を開けている(2021年2月の話です)
Etsukoさんはいつもと変わらない笑顔で迎え入れてくれた
お店が明るいと印象が変わるけど
自然光を取り入れたお店の良さもある
きちんと作りこまれたお店だから
カウンター廻りの猫さんの置物やイラスト等が飾られ
窓辺にはパリの牡蠣屋さん(シーフードレストランw)の灰皿があったり
ハロッズのアヒルさんもちょこんとウヰスキー樽の上に鎮座していたw
いろいろ眺めるのもまた楽しみの一つ
メロンのコーヒーは
長年同じ自家焙煎のお店のブレンド豆を使っていて
Etsukoさんはゆっくりと時間をかけハンドドリップしている
丁寧な所作でカウンターに運ばれてきた
アンティーク好きなEtsukoさんらしい
お塗りの皿に地の厚い湯呑に入ったコーヒー
脇にはクッキーが添えてある
口当たりのいい器で飲むコーヒーは味が変わると思っている
縁の薄いカップで飲むと印象が変わるだろうけど
雑味がないのは当たり前として
かなりビターで酸味も少なく結構エッジの効いた味付
焙煎香も強めのコーヒーである
クッキーは素材の味がしっかり目でシナモンの味がアクセントとなっている
コーヒーと味わいのに丁度いい感じだ
原則的にいつでもコーヒーを飲めるが
ノンアルコールカクテル的な扱いとなる
この日は寒かったし(氷点下)車移動という事も有りコーヒーを注文した
Etsukoさんは去年パスポートを取ったのに使えていないとか
次に行くならどこに行くか?とか
やはり旅の話に花が咲いた午後だった
定禅寺通り
欅越しのメロンの窓辺に
ぼんやりと灯りがともっていたら
ほんの少しだけ勇気を出して
ビルの階段を上ってみてほしい
注)
その時によって営業時間や定休日が異なります
確実に利用したいときは
電話してから行くようにしてくださいね
2021/02/06 更新
2020/03 訪問
指輪物語
2020年ホワイトデーの話
この日も一人店を訪れてロブロイを飲んだ
スコッチベースのマンハッタンと言ったら分かりやすいかな?
どうなる人類?
なんてSFドラマみたいなことが現実の世界で起きていて
要人だろうが老人だろうがお構いなしに
すごい勢いで感染が広まっている
自分だけは大丈夫
なんて思いが身の危険につながる
あくまで冷静に行動したいけど
写真を見ただけであのカウンターに座りたくなる
ああ
早くおいしいカクテルをゆったりと味わいたいな
あの日母が身に着けていた四つの指輪
もともと身に着けていた二つの指輪に
祖母が身に着けていた二つを足して
四つ一緒に母がつけていた
僕はそれをネックレスにして受け継いでいる
この指輪にどんな物語があったのだろう
そう問いかけても
指輪は黙って
胸元で鈍い輝きを放つだけである
2020/12/18 更新
2020/02 訪問
ギムレットとカキモリのローラーボール
2020年2月来店
2020年11月UP
Melonはお酒の中にほのかに百合が香る
僕はその百合の花の前に座るのが大好きだ
この夜もタンカレーで作るギムレット
Etsukoさんの美しい所作を眺めた後
ひんやりとしたグラスを唇に当てお酒を口に含む
同じものばかりと思う人も多いと思うけど
沢山の種類のものが幸せにするとは限らない
「知らぬが仏」という言葉もあるくらいなんだから
いろんなお酒を飲んでみて
このギムレットにまた戻る日が来る
そんな日が早く来てほしいものだ
家の中を片付ける機会を設けて
まめに整理している
そんな中
カキモリのローラーボールを見つけた
再出発の想いが詰まった
懐かしい贈り物
些細な失敗から始まり
全てを失った時のあの手紙
あのインクの色も僕の持つブレンドインクと同じ「Comet」だった
ペン先を交換すると
もう一度使えることを知り
注文してみたら
モデルチェンジをした後で以前のペンには使えないことが判明
送り主とも贈り物とも縁がなかったかと一度は思った
無理を承知でカキモリに電話すると
丁寧な応対と真摯な対応をしてもらい
使えるものを送ってもらう事となった
もう一度使えたからといって
時間が戻ることはもうないけれど
もう一度出発するチャンスをもらえた気がして
それがとてもうれしかった
P,S,
ブレンドインクCometの解説は次のとおりです
「遠い、遠い空間の果てしない色。目に見えないものほど美しさを感じる。」
万年筆用の顔料インクで書いた時に気持ちに響く色です。
2023/12/12 更新
2020/02 訪問
今年一番の素晴らしい映画
2020年2月の話
この夜
映画を見たらたまらなくMelonに行きたくなって
ついついギムレットをお代わりまでして飲んでしまった
こちもとにグラスを引き寄せたときの抑制のきいた香りと
唇にグラスが触れた時ひんやりする口当たり
強いアルコールが口中温度により花開き
喉を過ぎる事には一気に柑橘とジンのミックスされた味わいが花開く
きっと
Etsukoさんは今もいつもと変わらぬ夜を忙しく過ごしている事だろう
彼女が作ったギムレットを飲みたい
P,S,
テレンスマリックの作品は
光・色彩・構図・脚本
すべてにおいてどこを切り取っても美しく
まさに「写真の集合体」であり「芸術」と言いたい
その中でも「名もなき生涯」は特筆すべき作品だ
第二次世界大戦中のオーストリア
一人の農夫がナチスに対して疑問を持ち
ヒトラーに忠誠を誓えないと兵役を拒否する物語
内容に触れることになるのでこの辺でやめておく
見ている途中から涙が止まらなかった
こんなことは久しぶりだった
世の中はこの題材を過去のことで
他人事のようにとらえるかもしれないけれど
今現在も似たようなことは世界中で起こっている
日本なら「自粛ポリス」や「不謹慎狩り」
個人主義を否定し利己主義からくると思われる偏った正義感から起きてしまう行動
この映画はそんなことに対する警告だったのかもしれないし
人類の永遠の問題なのかもしれない
年末年始に時間のある方はぜひ見てほしい映画で
私は今年見た中でいちばんの作品だった
2020/12/25 更新
2020/02 訪問
昭和生まれの仙台人以外はわからないお話だと思います(^^;)
2020年2月の話
シングルモルトで口開けした
ブレンデットより荒々しい口当たり
これを本格的というファンも多いけど
口当たりの良いブレンデットウイスキーでも
十分楽しめる年齢になった事を感じた
令和になった今
長町は知らない場所になってしまった
僕は門前町・長町・長町南に昔住んでいて
小さい頃
あの界隈は下町の佇まいがあって路面電車の始発だった
現在JR長町駅は高架駅舎になり昔の面影を探せない
吉里吉里人の冒頭に登場した国鉄駅だったころは
古い駅舎で一番ホームは戦前の高さだったから実質使えなかった
今じゃ「たいはっくる」なんて複合の高層マンションの場所だって
昔は宮城交通の停車場とトーコーチェーンというデパートというか多層階のスーパー
その裏手は僕が小さいころからネオンがともっていた
キャバレーニューミカド
向かいは2番街で子供は通る事さえ憚られ
国鉄保線区に努めるお父さんや国分町より安く遊びたい男たちの社交場だった
こうして書いていると幸せだったこと不幸せだったこと
いろんなことが自分の身に起きた多感だったころに住んだ街だと改めて感じる
すごく長いこと書いてしまったが
長町が僕の昭和から平成に移ろう頃を思う時
欠かせない大切な場所
そんなこともあって
東京から新幹線で帰りつくメロディが聞こえる頃
長町から八木山の電波塔を見ると
自分の街に帰ったことを実感するのかもしれない
この夜もギムレットをお代わりした
ゴードンは
クラッシックな43%と
EUの酒税法に合わせている40%に
最近になって37.5%が登場した
ゴードン37.5%
ライト感覚でフルーティーなギムレット
ライチのような味もちらほらしたに残る
アルコールを減らすとこれほどスパイスや果実香が立つのかと少し驚く
強かに酔った自分をどうしてよいかわからい夜だった
そんな夜があってもいい
2020/10/30 更新
2020/02 訪問
ゆきみざけ
10th Feb 2020
予報通り
仙台の街に雪が降った
最初はパラパラだったのに
二杯目のギムレットを飲むころには雪が積もり始めた
Melonの窓に映る景色は
枝に積もったケヤキ並木と家路を急ぐ通勤者
そんな中僕はゆっくりと雪見酒としゃれ込むことにした
ギムレットのベースにゴードンを選び
出来上がったものを口に運ぶ
ロックで飲む時のおっとりとした
少し野暮ったいイメージは失せて
ちょっと背伸びした幼いモデルようなイメージの酒になる
帰るとき
Etsukoさんから階段をくれぐれも転ばないようにと見送ってもらった
自分では分からないけど
休日前の疲れた体にギムレットが十分しみ込んで
僕の雰囲気から酔いがにじみ出ていたに違いない
そんな気遣いがまた彼女らしいところでもある
2023/09/21 更新
2020/02 訪問
やっぱりくまだった話 2020年2月の話
2020年2月
いつものギムレット
いろいろカクテルはあるだろうけどMelonのギムレットが好き
ほかのお店にって飲みたいと思わない
ここの味が気に入ってるから
そして冬になると自分のベッド環境がとっても気になる
何せ冬になると僕の家の温度が下がるけど
省エネ宣言してるからリビング以外暖房器具は使わない
(お小遣いを灯油代に取られたくないだけw)
だからベッド周りをもこもこにする
まずは厚手のタオルケット
フランネルのカバーに入れた羽毛布団を二枚重ね
シーツにもフランネルを使う
そして今年は羽毛枕をIKEAのセールで調達した
なんて言ったって4990円のものが990円のBIGSALE!
羽毛でも温水で(65℃まで)洗うことができる優れもの
その枕カバーもフランネルに変えて準備OK
依然買ったもっちもちマットレスともこもこのベッドメークで
初めはひんやりだけどすぐにホッカホカ
体が温まるときからぐっすり眠りにつく
冬はよく寝れる
きっと僕の前世はくまだったに違いない
帰ったら今日もぐっすり眠ろうと一人考えて
カクテルの最後の一口を煽るように飲み込んだ
2020/10/17 更新
2020/02 訪問
2020年2月の話 デフレだと思う今日この頃
この夜のギムレットはいつもの組み合わせ
初めはベースをボンベイサファイアで
二杯目はベースをタンカレーでEtsukoさんに作ってもらった
飲み口がよく華やかな一杯目と
ドライで控えめな二杯目
なかなかの名コンビだと思っている
去年一年間SALE以外で服を買っていない
P,C,の画面に映る仮想空間では常にどこかがセール中
それに張り合うようにアウトレットモールがセールして
そこに引きずられるように小売店やデパートもセールで売り上げを競い合っている
デニムはアウトレットで5000円だった
アウトレット品はデニムの繊維の太さが均一でないために
縦の繊維に沿って色落ちするところがB級品なんだろう
シャツもアウトレットで950円
赤白青の色彩はアメリカ人とイギリス人が好きな色使い
売れ残って980円まで下がったところで会員割引5%offだった
セーターはちょっとリッチに10000円
イギリスの有名サイクルウエアブランドRaphaのもので
日本人に合わない大きいサイズで売れ残ったものを購入
冬テンションが下がってた時同じ理由で
セールしていたサイクルウエアを大人買いしてしまった(汗)
(ちなみにこれにも名札がついていましたw)
といった具合に定価で買い物をしていない
日々の食料品も賞味期限切れ間時価のものをSEIYUで物色する癖があるしw
世の中は実際のところデフレが続いているとひそかに僕は思っている
P,S,
イギリスは強制的にデフレ抑制しようと
公共交通機関を毎年1月2日から値上げする
だから多くのロンドナーは9つのゾーンから選んで(僕が住んでた1995年頃はzone6だったw)
翌年分の年間定期券を駆け込みで購入する人も多い
その代わり問屋制度のないイギリスでは
ハロッズやセルフリッジみたいな格式髙いデパートのブランド品だって
SALEは売り切りで半額とか当たり前だから
わざわざSALEを待ってに買い物しに行く人も多く
クリスマス後の恒例行事として有名である
2021/02/08 更新
2020/01 訪問
ベースのジンについて 2020年1月の話
Etsukoさんも作ったことのない
ベースリキュールのカクテルだってある
Melonに来るとついつい甘えて
いろいろな組み合わせリクエスト
この夜は無理言ってBEEFEATER(ビーフィーター)を使ったギムレットをお願いした
流れるような所作が美しく
シェイカーが振り終わったとき
どこか時間の流れがスパッと途切れた感じがした
出来上がったギムレットは
レモンの持つ渋みとジンの持つスパイシーさがバッティングしてしまい
ちょっと渋みのついた苦い大人の味がした
BEEFEATER(ビーフィーター)はロンドン塔の守衛のこと
これは造語で語源はBEEF(ビーフ)EATER(食べる人)からきている
彼らは王室の財産の管理とロンドン塔に収監された囚人の監視を行い
王室晩餐会のたべ残しである
ねぎらいの牛肉を食べることができたからだそう呼ばれた
現在のロンドン塔は王立軍近衛連隊と警備会社が陰で王冠や宝石をきちんとガードしている
最低22年以上の軍歴を持ち勲章授与された退役軍人さんが
例の赤い衣装(黒い衣装の時も)を着てガイドをする名誉職なのである
ちなみにロンドン塔ができてから500年以上過ぎて
初めて女性のビーフィーターが誕生した
そんな話題で一時盛り上がった
ギムレットのベースリキュールとしてビーフィーターはとても個性的
それでもロンドンのパブに行ったら必ず置いてあるジンの一つだから
ロックやソーダで割って旅の思い出に飲んでみるのも一つだろう
旅はいい
一人旅ならもっといい
けれど
忘れられない旅は
二人で旅した風景である
2020/08/12 更新
2020/01 訪問
今度の旅のテーマは・・・
いつもの笑顔を見れてなんとなくほっとして
いつもと同じギムレットをオーダー
ふっと頭をあの曲がよぎった
歌が独り歩きする曲がある
例えば「石狩挽歌」
オリジナルは北原ミレイだが
歌詞と曲の良さが際立ち
歌い手よりも「なかにし礼」の代表曲として
Jazzstandardのように独り歩きしてしまった
八代亜紀が歌っても
石川さゆりが歌っても
坂本冬美が歌っても
中森明菜が歌っても
柴田淳が歌っても
誰が歌ってもいい曲だ
♪ゴメ(海猫)が鳴くから鰊が来ると♪
♪赤いつっぽ(筒袖)のヤン衆(やんしゅ=鰊漁に雇われた若い衆)が騒ぐ♪
♪雪に埋もれた番屋の隅で♪
♪わたしゃ夜通し飯を炊く♪
老婆が昔賑わった鰊漁と
自分の女盛りを懐かしむ歌
土地の人しか知らない言葉を用いて
冒頭からぐいぐい歌の世界に引き込んでしまう
捕れた鰊を値段の高い本州水揚げしようとして腐らせて商売をだめにした
なかにし礼の人生をいつも狂わせ苦境に立たせる破天荒な兄
礼がスランプの時「鰊を歌にすればいい」と言って
インスピレーションを与えた歌というのも因縁を感じさせる
彼の底だまった思いを吐き出した名曲ともいえよう
今度の札幌旅のテーマは「石狩挽歌」
ちょっと足を延ばして小樽にいってみようとおもいたつ
そんなことを考えながら
ギムレットを二杯
静かに味わった夜だった
僕が静かなとき
Etsukoさんは適度にほっておいてくれる
そんなところも良店の条件だとおもう
2020/07/14 更新
2019/12 訪問
スコッチウイスキーが好きです
この夜はブラックアンドホワイトをストレートでいただきました
伝統的なスコッチで昔は高い関税もあって高級品でしたが
今では手ごろで飲みやすくブレンドバランスのよいウイスキーになりました
日本のウイスキーブームのあおりを受けて原材料不足から高騰していますが
安定した品質でコストパフォーマンスの高いスコッチウイスキーを
今こそ楽しんでみるのも良いと思います
ただ初めになにを飲もうか迷ったとき
こういったBARを利用して様々な銘柄を楽しんでみるのもよいですよ
参考にしてみてくださいね
最近は温暖な気候もあって
オーバーコートまで要らない季節が増えてきました
そんなときに便利なのがトレンチコートで
アクアスキュータムのトレンチコートを3枚持っています
いずれもいまはなきリージェンツストリート100番地の本店で購入した
思い出深いアイテムです
一つは25年前に買った紺のロング丈ダブルブレスト
皮のパーツが風化してぼろぼろと剥げても芯が金属製のがっちりしたパーツで出来ているから
スタイリッシュでさらに長く使うことができる優れものです
もう一枚は黒のショート丈シングルブレスト
細身でイギリス人はドライビングコートとして使うことも多いです
イギリスのギャバジンはコットン100%だから色落ちが早く風合いが出てきました
(日本のトレンチはコットン100といっても理由があって色落ちしにくいです)
最後の一枚は黒の礼装用ダブルブレスト
礼装用は肩のショルダーストラップと襟元のホックがないタイプで
すっきりとした上品なデザインで気に入ってます
シーズンに一枚だけチョイスしてトレンチを着用します
(トレンチコートはクリーニングがパーツに分けるので高価につくからw)
どれも程よい色汗が出てきましたがまだまだ現役で
僕の今後の人生でもうトレンチコートを買うことはもうないでしょう
これから先も素晴らしいトレンチコートを着続けることが出来るように
体型を維持しなければいけないことが年を追うことに難しく感じるようになりました
2020/05/14 更新
2019/12 訪問
旅に興味のない方はスルーしてくださいw
光りのページェントが始まってもメロンはいつも通り
来る者は拒まず去る者は追わず
Etsukoさんのスタンスは数十年変わっていない
この夜はボンベイサファイア・ゴードン・タンカレーでギムレットを作ってもらった
ゴードンで造るギムレットは香りつけのハーブが重たい感じで
ちょっと野暮ったい仕上がりながらジンの個性が強く
好きな人にはたまらない味だと思う
長期休暇が取れなくなって数年経つ
そろそろ旅がしたいと思うけど当分お預けだろう
N,Y,に行きたいけどあの街に行くならが情熱が必要だと思う
やはり食事・酒・街並みが大切だけどw
街で落ち着きたいならヨーロッパの都市がいい
美術館のある街に行きたい
大きな美術館じゃなくていい
ウイーンのベルヴェデーレでシーレを眺めて空しくなるもよし
ミュンヘンのノイエピナコテークでクリムトの小さいブルーサファイヤの指輪のような
「音楽 1」を見て物語を紡ぐのも楽しいだろう
でも・・・もう一度行きたいのはベルリンだ
またベルクグリュン美術館に行きたい
僕が唯一ベルリンを旅したのは1997年
チェコの友人をブルノまで訪ねたあとプラハから電車でベルリン入りした
僕が知るベルリンはまだ東西の特色が沢山残っていたころ
旧西側のカーデーヴェーデパートの食料品売り場は最高級食材にあふれていたし
東側に繰り出せば美味しいソーセージや焼いた鶏を出すビアホールがいたるところにあった
その数日間のうち見学した美術館のひとつがベルクグリュン美術館だった
ベルリン生まれのユダヤ人ベルクグリュンは大戦中アメリカに亡命後
ジャーナリストを経てサンフランシスコ美術館に就職
終戦の前年アメリカ軍兵士としてドイツ入りしている
(勝手な推測ですがナチスの美術品探しの一員だったかも知れません)
そんな彼が戦後パリでギャラリーを開きピカソなど
その時代の画家たちと交流を図り
画商として成功しコレクションしたものが展示されている美術館
なにがすごいかって
青の時代・赤の時代・キュビズム・新古典主義・シュルレアリスム等
ピカソのほとんどのスタイルをコレクションしていて
ピカソ作品の教科書的な常設展示している事
エッジング「僅かの食事」もモダンアートの先駆け的存在で迫力があるし
それからシュルレアリスムの手がかりとなるような「緑爪のドラマール」
美しい絵画をくしゃくしゃに歪めてしまいそうな技巧がすごい
この美術館だけなら半日あれば十分見学可能
見学が終わったら向かいにあるシャルロッテン宮殿に足を向けて
そこにあるビアホールで一息つくのがお勧め
あそこのクラフトビールは幾分色が濃い目で飲み応えがある
・・・
なんて頭の中で旅していたら
Etsukoさんが振るシェイカーの音でMelonの世界の引き戻された
そしてMelonの世界も現実と少し違うことろがなんともこの店らしいところである
2020/03/27 更新
2019/11 訪問
試験点灯の夜
光りのページェントの試験点灯の夜
久しぶりにメロンの店内に光りが飛び込んできた
目の前はけやき並木で照明が目映い
すっかりメロンでギムレットが定番となった
はじめはボンベイサファイアで作ってもらう
オレンジなど華やかな仕上がりの一杯
次はドライにタンカレーで作ってもらう
ハーブの香りで引き締まりドライな仕上がりの一杯
いつもながら美味しくて文句のつけようが無い
普通に美味しいカクテルを飲みたいだけだから
別に特別なものを要求するつもりも無い
たまたまコンパクトデジカメを持ってきたから数枚撮ってみた
自分の好きな色調にしているので実際の色と違うけど
酒飲んでカメラ持ってるんだからこんなものだろう
いつまで経っても写真は上手くならない
なんでも一番はやる気の問題なんだけど
プロならどんなくだらない被写体だって上手く仕上げるのだから
被写体が見つからないなんて戯言は酔っていても言ってはいけない
光りのページェントの灯りでカクテルを撮影できるチャンスなんだから
自分の下手さ加減を棚に上げて数枚シャッターを切り
目の前のカクテルを口に含んだ
2020/02/28 更新
2019/11 訪問
Everglow
November
ギムレットのベースにするジンを何にするかいつも迷う
もっともドライなタンカレー
華やかなボンベイサファイア
ロンドンのパブに必ずあるビーフィーター
同じくらい人気のあるゴードン
この夜は最初にボンベイサファイアで作ってもらった
Etsukoさんのお師匠さんと同じように陶器丸型の三段重から
砂糖などを器用に取り出してカクテルを完成させる
相変わらず美しい所作に品が宿る
一度カウンター越しに眺めてもらいたいものだ
ギムレットは冷えているから一口含んだときは大人しいイメージ
そのあとオレンジの香など華やかな香りが口の中で温めれて一気に花開く
飲み口の良さに少し気をよくした
何度も音楽の話をした事はあるけれどロックの話は久しぶりで
「katka(かてぃか)さんはコールドプレイなんて聞かないでしょ?」と言われて驚いた
なぜならコールドプレーのEVERGLOW(エバークロー)
が大好きだから
その曲はコールドプレイのクリスマーティンと妻だったグイネスパルトロウとの別れを歌ったともいわれている
せつないピアノのメロディーに
悲しくも相手を思いやる優しさのこもった歌詞が語りかけてくる
最後にモハメドアリのメッセージも収録されているバージョンが一番好きだ
自分の好きな曲の話をして
ひととき盛り上がった夜
窓に写るけやき並木からは
木の葉が静かに落ちていた
2020/02/16 更新
家に帰るのもつまらない
金曜日宵の口
ぽつぽつぽつと雨粒が落ちる中
長い階段を上りメロンの扉を開けた
いらっしゃいませ
笑顔で迎えるEtsukoさん
ネオンに照らされきらきら光るケヤキ並木が美しい
いつもの席に腰掛けて
いつものように注文をする
ギムレットをひとつ
大きいグラスにします?
そう聞かれるのもいつもの事で
うん
その一言でカクテルグラスのアイシングを始める
カクテルを作る過程の所作を眺め
シェイクする音も楽しみ
シェイカーからギムレットがグラスに注がれるのを待つ
そうして出来上がったカクテルを
カウンターをぐるりと回ってきて
僕の目の前にそっと置いた
ライトに照らされたギムレットは
ぼんやりと光を放っている
グラスが大きいから
ステムをつまむというより
落ち着いてつかむような感覚で持ち上げてから
そっと口に含む
きりっとした苦み
ツンとくる酸味
ひんやりとした口当たりで始まる一口目
おいしい
そう告げると
ありがとうございます
いつものように答えてくれた
ドライなギムレットではあるものの
時間の経過とともに温度が上がり
同時に甘味も少しづつ感じるようになり変化を味わえる
映画の話
車の話
ペットの話
音楽の話
旅の話
その時々感じたことを
感じたままに会話する
ギムレットをお代わりし
少し気持ちが大きくなって
現実世界だってそう悪い事ばかりじゃない
そのうちきっといいこともあるさ
なんて心を軽くしてから店を出て
小雨に濡れながら歩く
それが僕なりのMelonの楽しみ方
そんな週末があったっていい