miti4134さんが投稿した銀座 しのはら(東京/銀座一丁目)の口コミ詳細

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銀座 しのはら銀座一丁目、銀座、東銀座/日本料理

39

  • 夜の点数:4.9

    • ¥40,000~¥49,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 4.8
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 4.7
      • |酒・ドリンク 4.8
  • 昼の点数:5.0

    • ¥50,000~¥59,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 4.8
      • |酒・ドリンク 5.0
39回目

2025/10 訪問

  • 夜の点数:4.9

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.8
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.7
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

秋味満載の食材と味覚が奏でる美食のオーケストラに陶酔

■訪問日 2025.10.30(木)17時〜20時

■お料理 お任せ¥35,000税込
オプションall追加¥15,000
お酒含むお会計¥47,300税込

■予約 受付開始日にお電話にて予約

1.玉露

本日は何時もの香煎茶に変えて玉露を頂きます。
玉露の高貴な香りに包まれ喉もお腹も癒す様に
温めて頂きました。

2.先付

本日の先付は3種の菊に3種の蟹の身を合わせて
味覚と美観を綺麗に整えている一品となります。

◉伊勢海老
◉渡り蟹
◉毛蟹
◉菊
◉持ってのほか菊
◉達磨菊
◉生姜酢のジュレ

本日は旧暦の重用の節句に因んで菊のあしらいを
節句は人の運気が最も下がるので邪気を払う菊を
ご用意しての先付となります。

伊勢海老の解し身の上には黄色に輝く菊花
渡り蟹の上には達磨菊
毛蟹の上には紫色の持って菊

渡り蟹の甲羅を器に設えて伊勢海老と毛蟹
渡り蟹を可愛く盛り付け蟹の身と海老から
解し身を整えた上に3色の菊たちを乗せて
とても雅なカタチで整えておられます。

珍しいのは達磨大師菊で大師の命日に因み
ご用意された達磨菊を飾られている事です。
あしらいの全ての要素に理由付けが明快に
備わっている所も流石と思わせるものにて
篠原大将の博識のお話には聞き耳を立てて
しまいました。

その蟹と伊勢海老の身に生姜酢のジュレを
全体に纏わせて甘酸っぱさを演出しており
咀嚼すると途轍もなく蟹や伊勢海老の甘い
香りや大海の恵みを受けた旨みとジュレが
調和して心地良すぎる妙味を発揮して舌を
ずっと唸らせ続けておりました。

3.お椀

◉鯛
◉松茸
◉卵豆腐
◉松葉柚子

松茸は国内海外の二つの産地より
ご用意を頂いており特に雲南省の
松茸の香味の芳しさに目を見張り
飛騨高山産との食べ比べも楽しい。

お椀の中に盛り付けられた松茸は
針松仕様にて刻んだ松茸を束ねて
クルッと巻物の如く厳かに鎮座し
鯛のお側に確り添えられています。

鱧松ならぬ鯛松は豪華な合わせ技
椀種としても椀づまとしても何と
舌が喜んでしまいそうな豪華版の
椀盛かと燥いしまいそうなのです。

更にダブル椀種らしきものが底に
深く座らせられていて此れが何と
嬉しくなるしのはら特製玉子豆腐!
この滑らかな舌触りとプヨプヨの
食感には瞬く間のうちに虜となり
魅入らせられてしまいましたね。
一口プルッと揺らせながらお口に
佇む甘美な味わいと濃厚な玉子の
地に無茶苦茶感激しちまいます。

また、

鯛の中骨を炙り吸い地に香りを施し
その上で地を張ると言う仕掛けにも
感嘆してしまいます。

鯛の骨と昆布で張る吸い地の淡麗さ
塩味はあくまでも薄く張りながらも
舌で感じるか感じないかギリギリの
境界線で控えさせている慎ましさを
兼ね備えた地の施し方は芸術品とも
言えます。
昆布から滲み出る旨味だけを純粋に
味わうことができます。

そして勿論極め付けは鯛の椀種!
身も皮目も確り炭で焼かれており
炭の香ばしさがお椀の中で仄かに
写され地に香り高いアクセントを
添えられて大変地味を深堀りする
効果が発揮されてて地に染まった
鯛が大変雅な味わいで舌に寄せる。
斯様な美味なる鯛の身を椀種へと
持ってこられては堪りませんね。
更に鯛の皮裏を厳かに剥がしつつ
お口へ当てますと皮裏の脂質から
フワァッと蕩ける様な旨みの塊が
口内に零れて来てこれもまた凄く
妙味を重ねて来るでは無いですか!
もう、二重三重の味覚の仕掛けが
施されて全く飽きの来ない椀盛に
感謝感激ばかりとなります。

歯がフワッとする皮目に触れ合うと皮に
へばりついてるゼラチン質からの旨味が
めちゃくちゃ舌を喜ばして来るのです。
真鯛の活きの良さが冴える一貫を痛感し
咀嚼した途端に鯛の身が元気良くプリッ
と舌に向かって跳ねて来る。
さらに咀嚼して行くとジワッとその身が
捩れる様に鯛身質がトロンと蕩けて来て
艶かしくも舌をモチ〜ッとした舌触りで
撫でてて来るのです。

何処迄も淡麗な地の張り方を研ぎ澄まし
淡く無垢なうま味を表現する椀盛に感謝!

4.お凌ぎ

◉穴子と胡瓜と卵真薯の手巻き。
◉柴漬けと寛平
◉舎利

この時期限定のしのはら特製料理で正に
抱腹絶倒の逸品となる味わいを頂けると
優れものの一品のご登場となります。
このメニューだけは銀座しのはらの実力
発揮する名作かとも思える傑作なのです。
凡そ大海の幸をギュッと手巻きの中にも
凝縮し妙味を溢れさせる美味しいが舞う。
兎に角、凄く舌から食欲を揺さぶる作品!

もう、カウンター越しに調理場で巻物を
仕上げて行く様子を見てるだけでかなり
興奮を覚えて来ます。
俎板上に広げられた海苔の上にはですね
これでもかとどんどん積み上がる酢飯に
卵焼きに穴子の蒲焼がドンと積み上がる。
何が出来上がるのかなと想像が膨らんで
とっても不思議な気持ちになりキュンと
なる心持ちに支配されてワクワク感等が
全く止まりません。
巻き上がったしのはら特製穴子の太巻き
料理人から手渡しされ手元に届きます。
ウフン、と興奮気味にお海苔がクルッと
巻かれた穴子も玉子真薯も胡瓜も舎利も
一気に包み込まれた雅な姿態を一見して
心待ちにした手巻きを漸くお口の中へと
一口齧り付きお海苔をパリパリッと割り
ムシャムシャと食らいついて行きます。

う〜んまぁい!
行成お海苔の風味が先行したかと思うと
直ぐ後に玉子のふわふわとした甘い味が
やって来てフムフムと舌を頷かせつつも
玉子真薯自体がめっちゃ美味しく感じて
そうかと思うと次に控える味覚は穴子の
ふっくらとした身質の豊満な味わいには
唸りっぱなしの絶品なる美味が訪れてて
正に抱腹絶倒の美味しさに溺れちまって
衝撃が一気に脳天まで突き抜けますね。

飛んでもない料理を作っちゃいますね〜
とつくづく思うのであります。
更にもっと海苔巻きを進んで齧り付いて
ムシャムシャッと大きくお口を開け乍ら
貪っちまいます。
んん〜、もう感動の領域を越えて来ます。
めっちゃ美味しい海苔巻きとの出会いに
大いに歓喜し舌が燥いでおります。
穴子を染める特製ダレの甘味もたっぷり
穴子の身に染みてて合わせ舎利もとても
相性が良くお似合いのご様子なのです。

上手く包み込んでいるし海苔風味と共に
訪れる舎利と穴子と玉子が混じり合って
甘く穏やか乍ら穴子の迫力も中々旺盛に
舞い上がって途轍も無く美味しい体験を
させて頂きました。

5.八寸

里芋が美味しくなる季節の芋名月に因み
大きな芋の葉で飾った器で飾られてます。
そしてその後直ぐに近付いて来てますのが
栗名月となり栗が美味しい時節到来となり
栗名月に因んで里山の雰囲気を表現された
八寸の構成となっております。

◉柿鱠
◉四角豆と椎茸と赤蒟蒻の白和え
◉蛸と菊の酢の物
◉鮑の煮っ転がし
◉ほうれん草と占地のお浸し 酢橘搾り汁
◉揚げ銀杏松葉串
◉庄内麩のチーズ挟み
◉無花果の胡麻だれ掛け
◉鰆のたたき おろし添え

八寸でお膳に乗らなかったものとして

◉帆立の昆布締め 長芋と岩茸の割醤油和え

秋銘柄の定番品でもある柿鱠よりお口を
染めさせて頂きサラリ酸味が通う食感を
楽しませて頂きチョットしたお口慣らし。
仄かな酸味を余韻としてお口に残し乍ら
気分の良さを携えつつもしっとり身質が
嬉しい鰆のたたきの皮目を楽しんでから
チョンとおろしを鰆に乗せて今度は少し
淡い感じの味変となった鰆を頂きます。
この鰆の感じがまた秋味で舌に寄せる所
これがまたお酒を誘っちゃうんです。
実にしのはら八寸の緩急を織り交ぜての
おもてなし度の高さに歓喜しちゃいます。

更にもう少し肉肌を感じるもので歯応え
楽しいものを頂きたく
・鮑の煮っ転がしに箸を伸ばします。
鮑が良く出汁味が染み込んでて絶妙なる
美味さで咀嚼が激しく進んじまいますね。

次に少し箸休め的な一品にてお口を改め
サッパリとさせたくなり
・蛸と菊の酢の物
・四角豆と椎茸と赤蒟蒻の白和え
を頂く事にします。
酢の物で口腔内をサッパリと酸味で染め
爽やかな感じとなりその後で頂く白和え
滋賀の名品である赤蒟蒻が弾力感強くて
プルンとプヨって弾み乍ら零れる甘味に
つい頬っぺたがつい落ちてしまいますね。

此処で少し塩味の効いたものや酸味含む
しっぽり感が欲しくなり
・揚げ銀杏
を頂いて仄かな振り塩の底味が口内にて
浮き上がりとてもうんま!そして続くは
・庄内麩のチーズ挟み
でチーズのしっぽり食感と庄内麩の淡い
甘味とが調和する味覚を楽しませて頂く。

更には
・ほうれん草と占地のお浸し
で舌を少しリセットさせてほうれん草の
シャキッとする繊維感がお浸しに染まり
とてもサッパリする気さくなお味に喜ぶ。

そして締めにやはりジューシィな甘味を
・無花果の胡麻だれ掛け にて
一旦八寸を締めさせて頂ける嬉しい構成
こんな贅沢な秋味の八寸を頂けますのは
しのはらさんだけと改めて痛感致します。

こう言う色々な角度から味覚を楽しめる
ご用意が揃えられてるのがまた嬉しくて
流石はしのはら八寸の真骨頂とも感じて
心よりありがとうございましたとそっと
謝辞を心の中で述べさせて頂きました。

6.揚げ物

◉栗の渋皮煮の唐揚げ
◉丸十の栂尾煮
◉菊花餡

栗の唐揚げの温物で秋味を代表する名料理
渋皮煮を作り上げて唐揚げ仕立てのご用意。
これは食べる前から楽しみで仕方がない

先ずは菊花で着飾られた銀餡を少し含む。
其の儘菊花餡を纏った渋川煮をご一緒に
舐めつつ齧り付いてみると中の栗の身が
とても穏やかな味わいで舌に寄せて来る。

菊花餡が温和な甘味で丹羽栗に寄り添い
渋皮煮の唐揚げの中からは和栗の秋味が
舌を満足させる栗の風味豊かな甘さにて
菊花餡に見事に調和しているのです。
この両素材の雅な甘い味わいが掛け合い
耽美な味覚の完成度が高く昇華され乍ら
円やかで奥ゆかしさを兼ね備えて深みを
ストレートに感じる味わいに感銘する。
ゆ〜っくりと餡をお口の中で流しながら
丹羽栗の甘味を口内で転がし悦に至るは
至福の甘味と言えましょう。

7.焼き物

◆子持ち鮎の潤香醤油焼き

香りが高く醤油風味が素敵で酒が進む

頭はカラッと唐揚げにして後ほど別途
ご登場です。

もうそろそろお仕舞いですが琵琶湖の鮎を
潤香醤油で塗って炭火でジワッと焼かれ
頭からボリボリッと一気に齧り付いてバリッと
噛み砕いて漲る破砕感の小気味良さが嬉しい
破砕された湖鮎からはうるか醤油の香味と
旨みが優れてパワフルな美味しさ!
舌も歯も巻き込んで美味が渦巻き舌を脱帽させる

潤香(うるか)醤油焼きは銀座しのはらさんの
オリジナル作品で確かに他の日本料理店では
お目に掛かって無い様な気がいたしました。
然も潤香の味が鮎の身にコク深さを与えてて
滅茶苦茶お酒のアテになってしまってました。

先ずは香ばしさ漂う頭からガブリッと齧り?
と思いましたら何と頭はカットされて仕舞い
身のふっくらした美味しい箇所だけ潤香焼き
なので頭からはガブッとは齧り付かずとなり
腹の部位よりザクッと噛んで膨よかな身肉の
塊を破砕感も心地良い弾みを感じるものにて
潤香の染み渡った潤香焼き鮎の個性的な味を
満喫させて頂きます。

そしてカリッカリに揚がった鮎の頭の部分が
別皿で登場すると見るからに美味そうな勇姿
そいつを
ガブッと頭から齧って頭の方は本当にめちゃ
唐揚げっぽいカリカリ食感がグンと広がって
潤香の芳しさと珍味と唐揚げのサクサク感が
同時に口内を席巻して陶酔する美味さに感動。

この時期の鮎は最高かつ潤香焼きと言う一種
発明品とも言える新鮮な味わいを楽しみつつ
潤香醤油が鮎の全身を纏う鮎珍味旨味甘味を
こよなく引き出した秋味の秀作を堪能させて
頂きました。
来年もこの逸品との出逢いを楽しみに此方へ
通いたいと思わせる素晴らしい作品でした。

8.珍味

◉牡丹海老の紹興酒漬け 海胆
◉舎利玉

オプションの牡丹海老料理は紹興酒の香りも
妙味も牡丹海老の甘味や瀞みと重なり合って
じつに良く牡丹海老の個性を引き出すもので
舌を喜ばせて頂くものでした。
更に海胆ソースと牡丹海老を少し残してから
別途小皿にご用意されてる舎利玉をポトッと
海胆ソースの中へ落として箸先で掻き混ぜて
海胆リゾット化した小丼をザクザクッと口へ
運んで咀嚼すると海胆珍味に紹興酒のお酒の
味わいが入り混じったリゾットが口内を占領。
珍味が舌一面に広がり印象的な個性を募らせ
妙味を振り撒いておりました。

9.お口直し

◉フォアグラとあんぽ柿とウイスキーゼリーの
焼き立て最中

◉満寿泉の貴醸酒

しのはら名物の炭火焼きされた最中の生地と
共に広がる耽美な美味しいが織り重なる名作
最近は満寿泉貴醸酒がご一緒に用意されます。

10.焼き松茸

◉手前の開きと軸が雲南省
◉奥の蕾と軸が飛騨高山産

・酢橘
・塩

秋味の名実共に代表する一品が漸くご登場です。
これは見逃すわけには行かない幸せの味覚たち
其れも海外版の雲南省産と国内産は飛騨高山の
逸品たちで贅沢なご用意となり松茸を満喫です。

しのはら大将の繊細な飾り包丁による仕掛け
軸の表面には澄み切った透明の松茸のお露が
薄っすらと滲んで来てキラキラと輝いていた
熱々のコロをサクッと縦に剥いて齧り付くと
唸る食感と旨味エキス溢れる哀楽重なる程に
至極の美味が浮き上り芳醇な旨味が飛散する。

チュルッと松茸の清純なエキスが舌を染めて
開きの胞子も蕾の香る粒子もコロの繊維にも
互いを尊重し合い滋味溢れる松茸の持ち味が
悉く仲睦まじく繋ぎ合い乍ら至福の味わいを
口内へと導き恍惚さえ舌に訪れるのである。
淡い淡いうま味の甘露から舌が松茸オールの
香味成分に染まり陶酔感に浸るひと時となる。

11.揚げ物

◉鼈の唐揚げ
◉胡椒塩
◉カボス

鼈は甘辛いしのはら特製タレをたっぷりと
漬け込んでカラッとしたフライに仕上げて
目の前に堂々と中皿に鎮座してます。

こいつはどんだけでも貪り尽くしたくなる
揚げ物では欲望の塊と言える逸品なのです。

よって

一口目を両手で持ち熱々の温感が鋭敏にも
掌迄伝わって来るのを直に感じながら鼈の
ダイナミズムを直感する味わいを探り乍ら
俄然喰らいついて仕舞います。

齧り付いて骨の髄まで舐め尽くしたくなり
欲に駆られ喰らいつくが美味い旨いの連打!
このビンビンに響く唐揚げのカリッとする
食感は鼈の肉塊を齧っている時に届く快感
それと同時に展開して迫る鼈肉の激旨なる
肉片を最大漏らさずに食い尽くし一欠片の
残滓迄も悉く綺麗にしゃぶり尽くしつつも
感動の味覚を貪り尽くして仕舞いました。

身悶えするほどの迫力漲る肉感に溺れ乍らも
正気を失わずに妙味と美味溢れる唐揚げにほ
夢中になってしまいます。

そして食べ終わった後の満足感に浸り切り
更なる欲が芽生えるのを噛み締めてみる。
鼈の唐揚げを頂いている間の興奮に溺れて
食い切った後の満足に浸る至福のひと時に
感謝しか有りませんでした。

12.箸休め

◉徳島県半田素麺
◉馬糞海胆
◉胡瓜
◉花穂紫蘇
◉ 『だし』に寄せたお出汁の麺つゆ

山形郷土料理の『だし』に寄せて模した一品
となっており正にだし料理×お出汁のコラボ

野菜出汁とも言える優しいうま味の地の味が
誠に地味深く半田素麺をしっぽりと包む様に
穏やかに絡み地味でオブラートされた素麺の
お料理を完成させており半田煮麺と言うべき
一品となっておりました。

『だし』に寄せたお出汁のうま味が冷ややかに
サッパリと半田素麺にサラッと絡み合いつつ
細麺に妙味を与え来ているのと同調しつつも
麺自体のコシの強さが咀嚼感にも表れて歯に
触れた時の噛み心地の健やかさにも美味さを
強烈に感じて其の儘ストレートにツルツルの
細麺の鮮やかさが余韻として残る様な感じで
喉越しも健やかに楽しませて頂いた一品。

お出汁のコク深さと麺が絡み合いながら
喉越し豊かに滑り込んで来る口福感との
貴重な出会いに感謝の気持ちが募ります。
更に其の儘素麺をツルツル〜ッと啜ると
喉越しも豊かに噛み心地快適に走り抜け
仄かにエッジの効いてるたな麺の恵みと
一緒にお口がサッパリとリセットされる。

13.鍋物

◉猪鍋
◉九条葱
◉茸

猪鍋にドサッと網籠に山盛りの秋の茸類を
投入してコトコト煮込み猪肉と共に中鉢へ
取り分けてからお手元へとお運び頂きます。
届きました中鉢
猪鍋の出汁スープが秀逸過ぎてコク深さに
舌が感銘し過ぎて最後の一滴まで飲み干し
仕舞いには中鉢を舐めたくなりました。

フワフワと湯気立ちする湯煙から美味しい
香りが浮き立ち鼻腔に届き食欲をかき乱し
中鉢に取り分けされた猪鍋仕立ての茸達を
今か今かと待ち焦がれて仕舞います。

秋の茸類が
たくさん投入されてコトコト煮込まれます。
煮込み立ての猪鍋スープに沢山の茸と猪の
身肉をたっぷり中鉢の方へ注いで頂きつつ
香り高くプワァンと漂う香味を嗜みつつも
中鉢の中のスープは猪鍋肉からの脂の身と
活き活きと融合するかの如く茸とうま味が
躍動する感じに仲睦まじく味が溶け合って
実に印象的な味わい深さを醸し出します。
一口を舐めて茸も猪肉も濃厚な旨うまなる
コク深さに舌が喜びまくって脂身と赤身は
ガツガツと喰らいつき乍ら茸類は穏やかに
咀嚼を重ねて更に締めにうま味深い猪鍋の
スープを堪能させて頂き満面の笑み浮かべ
頬っぺたは転げ落ちて大満足を頂きました。

こう言うホッとして安堵感が佇む一品を
ちゃんとお食事前に用意して頂けるのは
本当に嬉しいものですね。

11.お食事

❶松茸ご飯

・飛騨牛シャトーブリアン
・香の物
・山葵
・お塩
・お醤油
・ポン酢

秋味ご飯の1発目には右代表の
松茸ご飯となります。
松茸ご飯にはお塩を振ってます、
とのお話があり良く掻き混ぜて
お召し上がりくださいとの事。
大将が振り塩パラパラと施して
松茸ご飯に塩味を散らしてます。
このナイーブな塩加減の施しが
松茸ご飯の甘味と旨みを至高の
味わいに昇華させて堪りません。
塩味がご飯に寄せますと松茸も
俄に躍動して妙味が膨らみます。
香りと味覚のバランスが最高の
正に秋の味覚を代表するご飯を
美味しく頂けて最高でした。

❷秋鮭とイクラの雑炊。

秋味ご飯2発目は秋鮭のお雑炊が登場。
更にはイクラ乗せと言う贅沢な雑炊の
ご用意に舌が歓喜しております。

秋味麗しく輝く味覚は秋鮭から優れた塩味と
お雑炊の卵よりも甘い味覚が静かに佇みつつ
新イクラのプチプチ食感に加えて新鮮魚卵の
甘味も生き生きと弾ける美味しさがお雑炊の
中に溶け込んでお互いの素材妙味を高め合い
絶品雑炊の誕生となっておりました。

ナチュラルにかつピュアな大海に育まれての
この時期でしか味わうことが出来ない秋鮭と
イクラのコラボ雑炊は鉄板の味覚を作り上げ
これぞ秋味実り豊かなお雑炊だと思えました。

秋鮭の塩味を馴染ませた雑炊から湧き上がる
沸々とした旨味に散りばめられた赤い真珠が
プチュンと呟く甘味で雑炊を染めてダブルで
味わいが交差し深め合う秋鮭イクラ絶品雑炊!

最後の最後迄舌を飽きさせないお料理たちに
拍手喝采を浴びせたくなるお食事でした。

12.甘味

◉大豆珈琲の屑饅頭

大豆コーヒーで作る葛饅頭となります。
大豆を焙煎してコーヒー風に仕立てた葛饅頭。
お饅頭の中には大納言が入ってます。

2025/11/17 更新

38回目

2025/05 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

春薫る食材と味覚の雅なオーケストラに酔う

■訪問日 2025.5.7(水)17時〜20時

■お料理 お任せ¥35,000税込
オプションall追加¥4,800
キャビアとらお酒含むお会計¥65,500税込

■予約 受付開始日にお電話にて予約

1.桜の香煎茶

定番の昆布茶に桜の香り付けを施したもの
舌をほんのりと湿らして頂きお口に潤いを
頂きつつお腹も温めほっこり落ち着かせて
頂きましてお料理をお待ち致します。

2.先付

◉鱧水仙
◉車海老
◉おくら
◉雲丹
◉恵みキャビア

本日もしのはら節は絶好調で有ります。
この先付から始まる日本料理の故事に
纏わる歴史の紐を解き明かして頂く
講義に毎回聞き惚れてしまいます。

更に八寸の頃になるとお話はピークを迎え
多くの学びを得る貴重な授業を頂く事になり
大変興味深いお話が聞けるのも銀座しのはら
ならではの個性でありお店の風格を作り上げ
銀座しのはらのカタチとして歴史を刻むもの
そんな希少かつ貴重な尊い時間を頂けるのも
篠原大将の類い稀なる才能の一つかと感銘を
受けてしまいます。

先ずは先付のお話から気持ちよく耳を傾けます。
端午の節句に差し掛かり皆様の運気が下がるも
穢れを防いで邪気を祓う願いを込めて葉菖蒲を
ご用意です。
見事に花瓶に屹立してグッと一直線に伸びます
葉菖蒲の姿が誇らしく見えます。
見ているだけで自分の周りの運気が上がる様な
気の漂いを感じます。
お側には江戸切り子の器に先付のご用意があり
鱧水仙を車海老と共にお出汁の煮凝りで固めて
クルッと包んでいる感じで纏められております。
この江戸切子のカットがとても深く飾られてて
実に趣きに奥行きを感じる江戸切子の器です。
特注との事で指で触れてその鋭い感触も楽しみ
鱧水洗を頂きつつ車海老をプリッと噛んで歯と
戯れ合い乍らついでに海胆の珍味を頂いてから
しのはら特製キャビアも一緒に頂くと更に更に
珍味度が増して煮凝りを美味しくさせます。
この煮凝りをペロリと舐めた後にキャビアへと
進みますとキャビア塩味が追いかけて来て味の
輪郭が深まりますね。
一番出汁で巧みに作られた煮凝りのうま味から
舌が泣いちゃうほどしっぽりと優しく包まれて
もう感動ものでした。
先付と言いつつ随所に季節のピンの素材妙味に
隠し味的に珍味も添えたコラボ味を見事に完成。
弛まぬ精進と研究の賜物と言う事が良く分かる
一品料理に流石と感じるものが有りました。

3.揚げ物

香川県熊海老を叩いたものをパンに挟んでから
サクッとパンを揚げたものになります。
この揚げパンに『恵み』キャビアをチョコンと
盛り付けしてお口へパクッと頂いちゃいます。
篠原ブランドのキャビアはとてもエレガントな
珍味で華麗に優しく舞うお味なのにかなり驚く。
塩分濃度がコントロールされて薄味であるのと
純真無垢な感じの透明感に溢れる綺麗な珍味が
冴える気品さを感じる味わいなのです。
この淡麗とも言えますキャビア珍味が何処から
来ているのかと不思議ゴチに思っていましたら
篠原大将のお話によれば
天竜川の源流の方で掛け流しで育成された蝶鮫
から取れた卵なので大変に癖がなく綺麗な卵が
育つとの事で味も軽くて美しい卵のキャビアが
生まれるとの事でした。
因みに蝶鮫はサメでは無く淡水魚らしいです。
希少なキャビアを楽しみ乍ら淡水魚のお話まで
頂けるとは嬉しい勉強となるお話を頂きました。

4.お椀

◉鱧の葛叩き
◉鮑 対馬
◉賀茂茄子
◉浜防風
◉柚子の花
◉松葉柚子

葛打ちされた鱧は

ほんのりと鱧の脂汗が浮き上がり鱧からの
滋味を地に写して地が白濁っぽく染まって
穏やかな感じの昆布鰹のうま味が馴染んで
吸い地に鱧からのエキスが素直に地に写る。
鱧の骨から取った出汁が鰹昆布に良く合い
うま味の表情が自然に変わって行きながら
楽しむ奥ゆかしさがまた極上の味わいにて
舌を唸らせておりました。

此処でふと気が付きますと此方の椀盛には
鱧と加茂茄子と言う鱧松に見立てた春仕様

秋頃の荀の装いで鱧松と言うお献立は良く
お目にかかる事は有りますが春メニューで
鱧茄子と言うものには中々今迄お会いした
事が少なかった様な気がします。
こう言うチョット気の利いたご配慮と心の
籠った仕掛けを頂きますと本当に身も心も
癒されて銀座しのはらとしての真骨頂とも
言える名作劇場での出逢いに料理の喜びと
言うものを切に感じて仕舞います。

そして
その葛打ちが艶やかに仕込まれた鱧を頂き
滑らかな舌触り食感と鱧の純白の身が溶け
ハラリと解けていく鱧の肉肌との距離感に
舌は絶句しつつ愉悦を漏らしてしまうわ。

更に此の儘では終わらじとする鮑の絶妙な
塩梅に蒸された柔らか〜な身肉から揺蕩う
旨みが追い討ちを掛けて来て旨みを重ねる
周到さと言い計算し尽くされた味覚創造に
本当に脱帽しちまいます。
此処迄繊細かつ大胆な創作料理とも言える
逸品との遭遇に際しこのひと時こそ口福の
瞬間と脳裏に一所懸命記憶を刻んでました。

常に篠原大将の椀盛で痛感する事は

地に染められた椀種も椀づまも互い相手を
尊重しつつ持ち味を出して肉肌を重ね合い
咀嚼すれば仲睦まじく美味なるメロディが
奏でられ味覚がコラボして極上の味わいに
舌は恍惚となる世界へと惹き込まれて行く。
どの季節で巡っても伝統の名作入りとなる
名品となるものである事に人生の思い出を
作って頂いてるかの印象を受けております。

5.お凌ぎ

◉鰻の蒲焼と玉子焼きと花山椒の手巻き鮨
◉有明のお海苔
◉酢飯

この時期限定のしのはら特製料理で正に
抱腹絶倒の逸品となる味わいを頂けると
優れものの一品のご登場となります。
このメニューだけは中々他では味わえず
銀座しのはらの本領発揮する名作かとも
思えるお品書きにて斯様な美味なるもの
ならば機会が有れば毎回食べたいと思う。
兎に角、凄く舌から食欲を揺さぶる作品!

もう、カウンター越しに調理場で巻物を
仕上げて行く様子を見てるだけでかなり
興奮を覚えて来ます。
俎板上に広げられた海苔の上にはですね
これでもかとどんどん積み上がる酢飯に
卵焼きに鰻の蒲焼の様子を見てるだけで
何が出来上がるのかなと想像が膨らんで
とっても不思議な気持ちになりキュンと
なる心持ちに支配されてワクワク感等が
全く止まりません。
巻き上がったしのはら特製鰻の太巻きを
料理人が手渡しされ自分の手に届きます。
ウフン、と興奮気味にお海苔をクルッと
巻いて鰻も玉子も包み込まれた奴を一見
そして遂にお口の中へと海苔巻きの先を
一口齧り付きお海苔をパリパリッと割り
ムシャムシャとがっついて行きます。

う〜んまぁい!
行成お海苔の風味が先行したかと思うと
直ぐ後に玉子のふわふわとした甘い味が
やって来てフムフムと舌を頷かせており
玉子焼き自体がめっちゃ美味しく感じて
そうかと思うと鰻のふっくらとした身と
地焼きされた皮目のパリッとした食感も
同時に口内で展開し秀逸なる妙味が炸裂
更に振りかけられた花山椒の辛味刺激が
ピリッと背筋を伸ばす様な感じとなって
鰻の甘美なる美味しさと同期して来ます。
その妙味を携えながら広がる酢飯からの
酸味もこれまたとても心地良く舌に着地
もう、万華鏡の様に様々な味覚が回転し
目まぐるしくどんどんと変化する美味が
グルグル回り続けております。
飛んでもない料理を作っちゃいますね〜
とつくづく思うのであります。
更にもっと海苔巻きを進んで齧り付いて
ムシャムシャッと大きくお口を開け乍ら
貪っちまいます。
んん〜、もう感動の領域を越えて来ます。
めっちゃ美味しい海苔巻きとの出会いに
大いに歓喜し舌が燥いでおります。
鰻ダレの甘味もたっぷり鰻の身に染みて
温感も玉子の柔らかくフワンとする身を
上手く包み込んでいるし海苔風味と共に
やって来る舎利が鰻と玉子に混じり合い
甘く穏やか乍らも鰻のパンチ力も旺盛に
舞い上がって途轍も無く美味しい体験を
頂きました。

6.鮎料理三部作

◉琵琶湖の小鮎
◉蓼酢

❶串刺しにて生姜醤油焼き
❷塩焼き:蓼酢
❸鮎の握り

湖鮎の焼き物三部作のご登場です。
此れもこの時期だけの期間限定特別料理

一品目は生姜醤油味仕様にて頂きます。
二品目はシンプルに炭で塩焼きを蓼酢で
三品目は酢飯と合わせて握りで

生姜醤油の焼き鮎も塩焼きよりワタとかの
甘味が冴える仕上がりで乙なお味を頂けて
こらは酒の肴にもピッタリ相性が良いもの。
成る程こう言う鮎の焼き物も有ったのかと
あらためてしのはらさんの多彩なお料理の
引き出しに魅力を感じてしまいました。
更に驚きは見た目も鮮やかに自らの掌の上
踊っている感じに見える鮎の握りがご登場。
眼前で見る鮎の握りは中々の凛々しさにて
まるで子持ちみたいにプクッと膨らませた
感じがする握りで食べてみると感動の味覚。
握りの湖鮎はワタとか苦味や嫌味な部位は
全部綺麗に洗い流し鮎の美しい旨みだけを
舎利に乗せての握られております。
故に
鮎が研ぎ澄まされて美味を奏で舎利と鮎の
味覚のハーモニーに舌が狂っちゃいそうで
これは印象に残る名品の味を頂きました。

鮎は塩焼きだけじゃないよ、
色々有るんですよ、と言う大将のお声が
聞こえて来そうでした。

7.揚げ物

◉鼈の唐揚げ
◉鼈の煮凝り
◉松葉打ちした肝
・酢橘
・ちり酢

煮凝りが見事な仕上がりを見せていました。
その煮凝りにはしのはら特製の調理技術の
成せる技ものと言っても過言ではないほど
滋味深さが纏うウマミの塊りの様相を呈し
コラーゲンたっぷりのエンペラを有効活用し
骨周りのコラーゲンも全て使用して煮凝りを
拵えております。
更に
炊いた肝を松葉に打ち長寿の願いを掛けて
一つ一つが意味のあるあしらいにて何とも
細やかなお気遣いに感謝しかありません。

鼈の部位という部位を全部無駄なく活用
唐揚げと言いつつ身肉に骨とエンペラも
お料理に活用されてます。

唐揚げは逞しい肉感にダイナミックな
旨みが旺盛に漲って齧り続けていたい
欲望が渦を巻いて舌を訪れます。
そして噛めば噛むほどに肉汁が迸って
激ウマうま鼈の味わいが口内に轟いて
目眩く陶酔感に襲われてました。

無我夢中で鼈肉を貪りつつ酢橘を徐に
数滴ほど垂らしてやり少し酸味を加え
味変も美味しく楽しませて頂きました。

8.お口直し

◉フォアグラとマンゴーにパッションフルーツの最中
◉貴醸酒 稲とリンゴ

此処でタイミング良くお口直し
定番中の定番で銀座しのはらの可愛い
シグニチュアーとも言えます有名銘柄

数あるしのはら発祥作品の中で恐らく
このフォアグラ最中が一番に都内では
各お料理店へ普及した作品であろうと
推察される作品。
今でこそ多くのお店にて出逢いますが
しのはらさんが始められた頃は何処も
フォアグラと最中なんて合わせ技とは
縁が無く取り入れてませんでした。
このままず〜っと守り続けて貰いたい
名作でも有ります。

9.八寸

◉鬼瓦の飾り付け

運気が下がる端午の節句に因み鬼瓦で邪気に
対する睨みを効かせて無病息災を願うと言う
慣わしを取り入れたしのはら八寸なのです。
毎回時節に因んだ故事や宮中の慣わしなどを
取り入れての八寸の飾り付けが楽しみな料理。
銀座しのはらに匹敵する雅な八寸には未だに
巡り会ったことがなく毎回楽しみにしてます。

最近は一つのお膳に盛り付けオーバーとなり
別皿で更に追加の八寸のお品書きのご用意が
有るみたいでアレもこれもと盛り沢山状態の
八寸となりがちなんですよね〜、と篠原大将
からの笑顔に満ちたお言葉に舌はつい甘えて
それならばと言う事で腹パンになるまで酒と
共に酒肴を楽しむと言う手合いになりますね。

さて、八寸メニューの方はと言いますと

[ガラスの器]

◉飛騨高山のあずき菜と帆立を
加減酢の煮凝りで寄せたもの

少し外気が暖かくなって来る頃合いですので
体感的に此方の涼風を感じる煮凝りに酸味を
纏わせて帆立をプリッと食感良く働かせての
一品は歯も舌も喜ぶ一品となってます。

[黄瀬戸の小鉢]

◉白瓜と焼き茄子と三度豆と干し椎茸の胡麻和え
胡瓜と大徳寺麩の胡麻白酢和えに山椒を振って

黄瀬戸は好みの陶器でマイお猪口も黄瀬戸です。
白瓜のコリッとする破砕感に焼き茄子が風味を
散らして来ながら胡麻の香りと甘みを振り撒き
多種多様な具材たちからの食感と香味が美しい
味覚のメロディを奏でております。
実にバランス良く整えられた作品なのです。

[竹のお猪口]

◉大徳寺麩・胡瓜・海月の胡麻白酢和え

利休さんで有名な大徳寺のお麩を瑞々しい
胡瓜やポリッと噛んでグニュ〜ッと潰れる
海月さんの楽しい食感たちに胡麻白酢から
甘酸っぱさが繋がれてる刺激で舌が仄かに
不思議な味覚の共演で燥いでおりました。

[八つ橋を模して8枚板を繋いだ木製ミニチュア]

◉一寸豆の甘煮
◉蛸の柔らか煮
◉鰆の木の芽焼き
◉松葉串には滋賀の赤蒟蒻とのし梅
◉四国でとれた岩茸の山葵酢和え
◉庄内麩の蒲焼きにチーズを挟んだもの
◉行者大蒜の醤油漬けと黄韮のお浸しを
鴨ロースで巻いたもの
◉穴子の笹巻き鮨

最初にお口に含んだのは一寸豆の甘煮です。
サクッと噛んでジワッと甘酢が浮き上がり
舌にジンと来て厚手の皮も噛み応え抜群に
伸びるのが空豆自身の甘味と持ち味を深め
噛む度に美味しさを膨らまして来るのです。
八寸の中に斯様な優しい甘いものがあると
何かしらほっこりして舌が癒されます。
しのはら八寸は香りも味覚も食感も全てが
忙しく舌を結構こき使う代物ばかりなので
一呼吸置けるお摘みが有ると助かりますね。

秀逸だったのは鰆の木の芽焼きで鰆を正に
持ち味を活かすふっくら身質を躍動感にも
溢れるものに焼き上げつつ木の芽の風味を
嗅がせて香味を忍ばせての妙味を完成させ
舌を歓喜の世界に導いておりました。
噛めばグッと迫る肉感が逞しく伸びて来て
歯触りがとても心地良い快感を運びます。
身質に潜む甘味がフワッと浮き上がり実に
咀嚼が楽しくなる美味しさに翻弄されての
嬉しいひと時を頂きました。

更には鴨ロースの巻物からの旨みが旺盛に
口内に広がり乍ら庄内麩チーズの酸味整う
しっとり味も舌を楽しませてくれて八寸の
締めご飯とも言える笹巻き鮨からは穴子の
甘味が口内を揺蕩い誠に色とりどりの味に
感嘆させて頂きました。

10.珍味

◉牡丹海老のブランデー醤油漬け
・海胆ソース
・酢橘
◉酢飯

八寸の追加的な位置付けで饗される一品
此処から追加オプションで頼んだものが
続きます。
トロットロンの舌触りに一度口に含むと
牡丹海老が見溶けしながら蕩ける甘さが
いっぱいにお口に膨らみつつその甘味に
ピタッと寄り添う海胆ソースの濃厚なる
珍味に支えられて絶品珍味が口内を占領。
牡丹海老の紹興酒漬と共に馬糞海胆を
溶いた海胆ソースに浸され珍味が舞う。

牡丹海老の瀞みが伴う甘味と海胆珍味
との共演に舌が興奮して堪らない程の
味わいにでこの不思議で絶品な味覚に
耽溺して仕舞う程の興奮を覚えちゃう。

珍味と甘味のナイスな破壊力に感激し
海胆珍味を纏わせた牡丹海老の瀞みと
そのトロットロ〜ンの食感に加えての
紹興酒が爽やかな潤いをも含む旨味を
育んで素晴らしい味わいを作り上げて
紹興酒と交わり合う極上の牡丹海老が
艶やかに蕩ける甘味を振り撒いて舌を
蠱惑の渦に招き入れておりました。

また牡丹海老の殻には甘い味噌がたっぷり
格納されており甲殻風味漂う独特な香りが
口の中に残って余韻を豊かに楽しめました。

〆に酢飯がポトンと落とされ海胆ソースに
お付き合いを頂く珍味満点の舎利玉仕立て
舎利が海胆ソース塗れとなり舎利の酸味と
海胆珍味とのコラボ味を存分に楽しませて
海胆珍味に染まる舎利にゾクゾクしちゃい
快感する味わいを頂きました。

11.揚げ物

◉瀬戸内の河豚の唐揚げ
・檸檬
・山椒塩

瀬戸内からの水揚げされた7.1kg程の
虎河豚を唐揚げにされてのご用意ですが
オプション的にしてはいるものの最近は
定番のオプション追加となってて人気の
お料理となっている模様。
生姜醤油の下味が施されており河豚肉と
揚げ衣からの生姜醤油の風味が満遍なく
お口の中に広がって香味麗しく漂う美味。

揚げたての河豚はサクッとした揚げ衣を
纏わせた唐揚げなのでとても歯触り感が
軽くて揚げ衣をサクサクッと齧り付いて
衣を割くと虎河豚の純白なお肉が露わに
なり舌を誘って来て欲が疼きますね。

俄然、勢い増してガブっと齧り付きます。
全く骨の無い部位だけを厳選した唐揚げ
身が豊満に膨らみたっぷり重量級の身の
厚さを誇り食べ応え感を満喫できるもの
ガッツリ歯が河豚の唐揚げにしがみ付き
躍動感溢れる肉肉しい河豚の唐揚げとの
戦いに挑んでしまいます。
咀嚼する度に感動の味わいが溢れて来る
身の旨味がぎゅっと閉じ込められつつも
弾力のある身肉と旨味と脂質が重なって
よりジューシィな肉感とサクッと割かれ
曝け出される肉の旨みに戸惑い隠せずで
衣と身の柔らかく官能的な食感が絶妙に
マッチして来て堪らない美味しさが舞い
もう、震えちゃいますね。
齧れば届けられる肉の旨味と見事な香味
その悶絶級のウマウマな河豚の唐揚げに
舌が歓喜するばかりでした。

12.鍋物

◉飛騨牛のリブロース
◉飛騨高山の豆餅
◉筍
◉秋田の蓴菜
◉こごみ
◉クレソン
◉木の芽

牛鍋的な栄養たっぷりの鍋物は
お食事前の定番にて何時も季節の
お野菜や山菜と共にお肉の鍋物を
ご用意されてます。
滋賀の猪だったり月の輪熊とかを
季節ごとにお肉の種類を変えての
鍋物のご用意には流石と感じます。

牛鍋のお肉をお椀に取り分けされ
お出汁と一緒に手元に届きます。
本日は牛肉に加えてお餅まで用意
お肉も4〜5枚もロースを重ねて
ご提供するサービスっぷりに舌が
喜んじゃっております。

この鍋の出汁スープがめちゃうま!
お出汁に写されるリブロースから
脂汗の甘味が滲み出てコク深さと
野生的なうま味が旺盛に漲ってて
舌に地味の奥行きを感じさせてる。

お出汁のスープをたっぷりと浸されてる
リブロースの柔らかな肉片を噛みますと
肉感がプルンと揺れてスムーズに千切れ
口内では、ふわんとなり解けて行くのは
実に舌を悩ませる妙味で満たされるもの
うまうま過ぎてこの肉肌に吸い付きたく
なっちゃいますね。
そしてほんわかと茹でられた豆餅からは
モッチリムッチリとお餅が弾力しつつも
ビヨ〜ンと伸びて豆餅の甘味を口内へと
お届けです。
牛鍋の出汁のうま味に染められた豆餅は
モチッと歯で踏み込むとジュワッとして
お餅の甘味と出汁のうま味が見事に調和。
実に味わい深い美味さで舌を喜ばせます。

更に筍もこごみもシャクッとする繊維が
潔い食感を歯に伝えて来て躍動感が募り
蓴菜が其処に参加して来てヌル感が伸び
お野菜から元気を貰ってる印象が残って
実に嬉しい大地の恵みを頂きました。

斯様な贅沢味覚が盛りだくさんの牛鍋に
出逢えて舌は歓喜に導かれ正に口福感が
最大に広がるお料理でした。

12.お食事-❶

◉毛蟹のコロッケと玉蜀黍に枝豆のご飯
◉泉州の水茄子
◉揉み海苔を散らして


鮮度の高き噴火湾の毛蟹の甘く香る美味さを
ギュッと閉じ込めたコロッケのスペシャリテ
そして春の恵みをいっぱいに感じる枝豆様と
玉蜀黍の炊き込みご飯となります。

お米はやまのふもと産のミルキークイーンが
ふっくら艶々に炊き上がり白米の甘い香りが
土鍋の蓋を開けた途端にフワワ〜ンと届いて
気分はうっとりしお腹はいっぱいの筈なのに
食欲が湧いて来ちゃうと言う不思議な欲望が
舞い上がるのです。

毛蟹を囲むようにして蟹コロッケがゴロゴロ
してます。
其れ等全部を勢いよく杓文字で掻き混ぜ混ぜ
してからお茶碗に装って頂き手元に届きます。
而して
炊き込みご飯を頂きますとやはり甘味が先に
伸びて来る玉蜀黍の存在感が抜群に印象的で
舌にメモリーを刻んでいきます。

そして毛蟹コロッケと同化した艶やかな白米
確りご飯の甘味と馴染み合いコロッケ食感と
ご飯の粒々感が奏でる甘味のハーモニーから
流れる美しい味覚のメロディに感動の美味さ!
甘味も旨みも旺盛に口内に広がるも意外にも
サラリとした食後感がとても嬉しくなるもの。

毛蟹飯を食べてる合間にお口直し的な泉州の
水茄子のお漬物がとても清々しく瑞々しさを
募らせる茄子本来の繊維感をキュンと伸ばし
毛蟹飯との相性良くとても仲睦まじくお口を
慰めて頂きました。

お代わり必須と言いたい所なのですが既に
次の煮麺料理が眼前に見えて来てますので
お腹の具合と相談し一膳のみで控えました。

13.お食事-❷

◉半田素麺
◉揚玉
◉牛鍋のお出汁

お食事の直前に頂いた先程の牛鍋の出汁を
使って半田素麺で煮麺のお料理となります。

飛騨牛のうま味をたっぷり取り込んだ鍋の
お出汁を使い揚玉もたっぷりスープ表面に
敷き詰められてとても心地良さそうに麺が
揚玉と一緒にぷかぷかと浮いております。

牛鍋からのコク深きうま味がたっぷりと
馴染んだ地が張られて素麺が浸されてて
大変美味しそうで喉がゴクリと唸ります。

そのホットな味が募るだろうと思い描き
煮麺をツルツル〜ッと啜って揚玉食感の
フワッとする衣の甘味を感じつつ煮麺の
コシの強さも確り踏み込みながら味わい
お出汁のコク深さと麺が絡み合いながら
喉越し豊かに滑り込んで来る口福感との
貴重な出会いに感謝の念が募ります。
更に其の儘煮麺をツルツル〜ッと啜ると
喉越しも豊かに噛み心地快適に走り抜け
温和な麺の恵みと一緒にほっこりとする
安堵感がなんとも言えな癒しを感じます。

こう言うホッとして安心感が佇む一品を
ちゃんとお仕舞いに用意して頂けるのは
本当に有難いものです。

14.水菓子

◉西瓜
◉ブルーベリー
◉八朔
◉ウイスキーゼリーかけ

15.甘味

◉蓬の葛饅頭

定番自家製の和菓子となります。
最近では日本料理店でも和菓子を
自作で提供するのは珍しくなって
来ておりこの仕込みを継続してる
しのはらさんは大したものと感心。

柏の葉の上に一緒に盛り付けられた
練りたての葛饅頭はプルップルン!
中の大納言の小豆の粒餡の甘美なる
美味と蓬を練り込んだ苦味と香りが
舌にとてもモッチリと蕩けて来てて
饅頭の本分たるを知らしめてくれて
蓬の葛饅頭の魅力を如何なく発揮。

夏の風物詩的なニュアンスを感じる涼菓は
見た目にも美しく艶やかな葛のお饅頭との
出逢いがつるんとした食感と練り物として
粘りも強いがお上品なモチモチ感の甘さも
お淑やかな印象にてとても気品を感じての
和菓子の仕上がりに感銘致しました。

16.お薄

2025/08/01 更新

37回目

2024/12 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

究極のおもてなしを心ゆく迄頂ける年の瀬の宴に感謝

■訪問日 2024.12.21(土)17時〜20時

■お料理 お任せ¥35,000税込
オプション追加¥4,800
キャビアお土産とお酒含む会計¥67,000税込

■予約 受付開始日にお電話にて予約

⓪香煎茶

定番の昆布茶で舌を湿らして頂いて
お腹もほっこり落ち着かせてくれて
お料理をお待ちします。

1.先付

◉檸檬釜のすき焼き
◉飛騨牛肩ロース
◉椎茸
◉割下
◉全卵

1品目に先付けの位置付けで
肩ロースのすき焼きが登場。
かなり今日のメニューは異色
チョット吃驚しちゃった。

静岡県清水の「いっちゃん檸檬」と言う
ブランド品の檸檬釜の中に割下を入れて
小さな一人前仕様の七輪に金網を掛けて
その上に檸檬釜を乗せ割下を温めてます。

お料理の初めに檸檬の酸味が
舌をスッキリさせてくれると
同時に割下のしゃぶしゃぶが
ほっこり舌を保温してくれて
咀嚼活動の潤滑油とした働き
とても良い塩梅に仕掛けてて
流石はしのはら流と痛感です。

檸檬釜からは檸檬の香りが良く割下に写って
ほんのり割下と交わる事で甘酸っぱいタレに
仕上がりその割下の中に飛騨牛の肩ロースを
ドボンと投入してくれます。

私たちはその間にご用意された卵を溶いて
シャカシャカと卵黄と卵白をかき混ぜつつ
すき焼きの肩ロースを待ちます。
お弟子さんたちが一人一人の檸檬釜の中の
肩ロースをしゃぶしゃぶして味が染み込み
頃合いを見乍ら卵の中にポチャッと落とし
出来上がりです。

その檸檬釜でしゃぶしゃぶして頂いた
肩ロースを卵黄たっぷりの小鉢の中に
ポチャリとお弟子さんが落としまして
卵黄が生暖かくてお肉の熱々な旨味が
ジュウ〜ッと溢れ出して来ている所を
スッと掬い上げ卵黄がタラ〜ッと滴り
其の儘お口に放り込むと舌に旨み零れ
卵黄と肩ロースが愛し合うかのように
仲睦まじく美味を重ね合って麗しくも
溢れ出る肉汁の旨味と渾然一体となり
一心不乱に陶酔する味覚へと迷い込む。

肩ロースの飛騨牛は卵に良く絡んで口の中に
入れた時に程よく解ける肩ロースの蕩けつつ
肉感と脂質穏やかな甘味旨味が俄然すき焼き
の割下の仄かに甘ずっぱい感じの味わいにて
舌に襲い掛かり絶品なる味覚で舌を蠱惑する。
蕩ける様な柔らかみが舌を抱き寄せ官能的な
味わいが口内に其れこそジュワ〜ァンと迸り
肩ロースが身溶けする時のシルキーな食感に
恍惚となってしまいました。

未だ先付だと言うのにかなり興奮度高し!
最初からすき焼き檸檬釜はヤバかった。

◉しのはらスパークリングワイン

2.珍味

◉鉄刺 身欠で粋のいい瀬戸内の虎河豚
◉鉄皮
◉ちり酢で伸ばした白子ソース
◉白菜と白葱サラダ
◉紅葉おろし
◉ポン酢

カウンター中央に大きな雪だるまの片割れ
の様な氷で固められた大きな球体の氷釜の
中で瀬戸内の虎河豚の身欠を熟成されてて
その氷釜に横一線に包丁を入れてスパッと
カットしてザクザクザク〜ッと崩して行き
中に収められた陶器を取り出してその中の
虎河豚の身欠を捌いて白子和えにされます。

その白子和えを美観も目が覚めるお皿に
盛り付けららます。
特注で作られましたガラスの器の見事な
雪化粧模様が目にも鮮やかに飛び込んで
透明なガラス皿の雪化粧が渦を巻いてる
如く見事な美観と冷感を呼び起こしてて
見つめているだけで美味しさが漂います。

この真っ白い珍味度に優れた絶品の河豚の
白子ソースが飛んでも無く鉄刺に寄り添う。
共和えと言っても良いほどの白子和えには
舌がその美味さに支離滅裂になって仕舞い
正に冬将軍のお料理と言わんばかりの珍味。
鉄刺を白子ソースにたっぷり絡め乍ら噛む
弾ける虎河豚の活力漲る肉感と溢れ零れる
旨味とがよりジューシィなくらいに轟いて
絶妙な食感が口内を徘徊すると共に珍味が
留まるところ知らずにて駆け巡るのである。

もうね、最高の噛み応え感が突き抜ける。
この白子混じりの噛み応えは堪らんです。

ある意味一種共和えなのでありますが
こんな共和えなら毎回出して欲しいな。
兎に角、身質の鮮度が素晴らし過ぎて
身欠きの落とし方も芸術的な美しさで
鉄刺の切り口断面の滑らかな舌触りが
もう一枚の咀嚼へと繋がる欲を広げて
歯応えと弾力が漲る舌触りで唆られる。

その活き活きと躍動する咀嚼感に舌が
震えゾクゾクする様な食感が訪れてて
こんな珍味を頂けるとは口福感を満喫
忘れ難い印象的な河豚の逸品でした。

◉日本酒 銀座しのはら
◉Shizen お水

3.お凌ぎ

◉越前蟹と酢飯
◉蟹の餡掛け
◉鮟肝

小鉢の中には温かい舎利に毛蟹の解しが
温感を佇ませながら酢飯がこんもりとし
装いも麗しく餡掛けの中に潜んでいます。
温度感が丁度人肌の温感に合わせて有り
食べる間際迄のタイミングに合わせての
ご用意は流石と言わざるを得ません。

蟹の風味がこよなく餡掛けの中で立て籠もり
それでいて鮟肝のお手伝いも促し旨み珍味を
グゥッと引き延ばして来るミラクル芸を操る
超激うまウマの越前蟹リゾットとなっており
舌を喜ばすどころか感動と興奮が渦巻く一品。
ほっこりする蟹リゾットを一口頂いてみると
越前蟹の甘味に鮟肝が滅茶絡んで来て濃厚な
甘味を訴えかけて来る。
其処に口の中では速やかに鮟肝が身溶けして
蟹の餡と溶け合いその後に酢飯と重なり合い
実に見事な円やかさを放って旨味は最高潮に
達する味わいが贅沢すぎる美味しさに感じる。

素材の踊り子たちは自由自在に口内で飛び跳ね
踊る様子が何とも言えず賑やかな様相を呈して
見事に蟹の甘味に鮟肝珍味を深めておりました。

4.お椀

◉瀬戸内の真鯛 炭火焼き
◉新潟の車麩
◉焼き葱
◉霙仕立て

淡く佇む地がとても奥深いうま味を携え
香りが気高く鼻腔をピクンと唸らせてる。
思わずうっとりしてお写真の撮影忘れて
お椀に手をつけそうになって仕舞います。

椀種は先程大将が焼き場で炭の火をかけ
柵通しされた真鯛の透明感あふれる身を
一心に炙られていたものでかなり大きな
真鯛の肉塊で皮付きのままこんがり火を
入れられてました。
その焼き上がった真鯛は皮目がこんがり
狐色に変色し純白な身はふっくらとして
膨よかさを増してる真鯛となったものを
椀種としお椀に盛り付けされてます。

その上から霙のお出汁が注がれてます。
まるで薄氷椀の様な美観が整えられて
美しく真鯛が落ち着き払い座してます。

こんがりと皮目も狐色に焼かれた真鯛
齧ると皮目がとっても香ばしくて炭の
匂ひが美味しさを追いかけ舌に印象を
刻み始める。
真鯛は香ばしさとふわっふわの咀嚼感
堪らなく膨よかな味わいに抱腹絶倒だ。
更に
お出汁を一層美味しくさせてるのは霙
サラサラッと飲むと仄かに霙の苦味が
安らぐアクセントとなり癒しを覚える。

その横隣には大きな車麩がお側に控え
ゆったりと威風堂々の姿態を横たえる。
因みに新潟の篠原商店の車麩との事で
此方のお店は特にご親族でも無ければ
何も関係ない篠原商店との事でした。
その車麩をお口に頂くと此れが車麩か?
と思い違える程のソフトな肉感が漂い
吸い地に良く絡まり噛むとジュワ〜ッ
車麩が潰れる度に地の味わいが口内へ
迸ってとっても気持ちいい〜。

椀づまの車麩からそのサイズ感で咀嚼を
楽しませてくれて身厚で麩の大きささえ
食べ応え感が充実するもので満足度高し。

焼き葱の繊維がシャクッと心地良く歯切れ
トロンとして蕩ける様な葱からもクリアな
甘さが育まれており鯛と焼き葱の食感から
軽快なコントラストが生まれていた。
そして鯛から旨味が吸い地に写るに従って
その表情が穏やかに変り気品豊かな味覚を
ジンワリと広げて行きました。

5.巻物

◉手巻きの鮪の太巻き鮨

其の儘パリンとお海苔を咀嚼
心地良く海苔の破砕感が先行
有明のお海苔は香りもパリッ
と心地良く響く食感も重なり
舎利を巻き込んで滅茶うまい。

舎利を敷き詰めた中にへ鮪の
中トロや赤身の中落ちからの
すき身と合わせてべったらな
胡瓜が中に射込まれて更には
白胡麻を散らしてからクルッ
と海苔巻きに仕上げています。
花穂紫蘇で飾り付けを施して
美観を整えて手渡しとします。

見た目も麗しい可愛さで佇み
ムシャムシャッと一口を噛み
噛んだ瞬間にパリッと海苔が
快適に破砕される食感広がり
噛んでいる海苔巻きの中から
べったらのコリコリっとした
清々しさと鮪すき身滑らかに
舌を撫でる甘い舌触りが快適。
咀嚼がナチュラルに進み乍ら
海苔味や鮪の旨味がお互いに
絡み合ってこの一品の味覚を
見事な完成度で纏めてました。

◉みむろ杉

6.揚げ物

◉河豚の白子とフォアグラの天麩羅
◉海老芋の唐揚げ
◉聖護院蕪
◉黒トリュフの餡掛け
◉黒トリュフ

聖護院蕪の上にフォアグラの天麩羅と白子の
天麩羅を乗せて更に上からトリュフ餡掛けに
トリュフを削ってトリュフ香味を重ねさせて
香り付けを楽しんで頂く趣向となっています。

此処で冬珍味と冬の名物の大行進を捧げつつ
フレンチ風珍味も合わせた大合作の揚げ物が
登場すると言う離れ技を簡単にやってのけて
その凄さを感じさせない見事なあしらいには
ため息しか出て来ませんね。

食べ方としては軽めにソフトタッチで素材を
和める様に崩しながら素材達全部とご一緒に
頂くと言う感じで進んで行きます。

美味しい味覚エレメントたちが少しずつ皆で
助け合って麗しい美味を互いに協力のもとで
見事な味わいに完成させて行く様で珍味度が
どんどん広がる輪を繋げて口内調理がとても
美味しく進んじまうのである。

衣はサクサクお芋の粉質感がとても穏やかな
海老芋の唐揚げがホックホクの歯触りで最高。
白子の天麩羅を齧ればプチュンと衣を潰した
瞬間に中からトロットロンにクリーミィかつ
滑らかな舌触りで陶酔しそうな珍味に満ちる
白子が口内に熱々の溶岩の如く流れて来ます。
この白子はどうやったらこんなにフワンとし
トロットロの衣を着せる事が出来てしまうの?
と声を上げたくなる程の天麩羅が完成されて
不思議な気持ちになります。
更にはフォアグラ迄も天麩羅で用意され衣を
プチって齧りプツンと外側の薄皮を破ったら
中からはフォアグラの塊がこれも白子同様に
トロ〜ンと流れ出て口内に耽美な甘味を留め
舌を何処迄も官能的な甘味の世界に誘い出す。
トリュフ香に纏われ乍らも地味深く甘く佇む
聖護院蕪のほっこり柔らかな歯触りに狼狽え
此等の食材達から放たれる抱腹絶倒の味覚に
舌は興奮し高揚感に苛まされてしまいました。

和食でこれだけトリュフを巧みに使われるのも
珍しいですが濃厚過ぎず優しくトリュフ香味を
重ねて香りも芳醇なフォアグラの耽美な味覚の
舞にうっとりとして様々な味わいを堪能でした。

7.揚げ物

◉河豚の唐揚げ
◉檸檬
◉塩胡椒

サイズ感が半端無い虎河豚の唐揚げ
骨付きのままでゴロンとお皿の上に
堂々と鎮座する唐揚げを手掴みして
勢い良くガブリと歯で齧り付きます。
下味も生姜醤油の風味が気品溢れる
味付けにて河豚の逞しい肉感が伴い
歯応え十分な美味が口内を支配する。

やや厚目の衣で身厚さとサイズ感に
見合うダイナミックな唐揚げが完成。
衣を齧るとザクッと破砕感が迸って
これこそ河豚の唐揚げの醍醐味かと
感無量の躍動する肉感と歯触り走り
骨の髄まで全部しゃぶり尽くしたい
衝動がどんどん溢れて来て無我夢中。
齧っては肉片を引き千切って河豚の
骨に歯が当たると露わとなった骨を
舐め尽くす様にして貪って仕舞う。

一先ず食い散らかしたところで一旦
咀嚼を止めて一呼吸を置いてみる。
数滴の酢橘を河豚の唐揚げに滴らせ
力強く歯に反発する身肉の美味さに
爽快な酸味を纏わせて河豚の旨味と
同調するエネルギッシュな肉感をも
僅かに和やかな味わいへ表情が変り
仄かに優しさが芽生えた唐揚げ様を
堪能させて頂きました。

正に貪り尽くすと言う感じで小骨に
へばり付いてる肉片の残りカスまで
美味しく舐め舐めして卑しくも全部
綺麗に残さず食べ尽くして大満足の
境地に至り感動の味覚を頂きました。

8.八寸クリスマスバージョン

明治時代に明治屋さんがお店にクリスマスツリーを
初めて飾ったのがきっかけで品物が飛ぶように売れ
其れが全国に広まったと言うお話で八寸が始まる。

照明が落とされて蝋燭の明かりが煌びやかに灯り
クリスマスツリーの飾りがムーディな雰囲気作り
高揚感が増して八寸とは思えぬ賑やかな飾り付け
銀座しのはら恒例クリスマスバージョンの八寸に
目が釘付けとなり乍ら八寸を愛でつつ楽しみます。

さて、お料理の方は

❶海胆豆腐
❷青味大根の味噌漬け
❸蛸を炊いたもの
❹卵を蒸し上げた玉子真薯
❺雉と芹のお浸し
❻唐墨大根
❼栗の渋皮煮
❽柿の胡麻だれ掛け
❾雪輪蓮根の酢漬け
➓大徳寺麩にチーズを挟んだもの
⓫スモークサーモンにスモークキャビア

とまぁ、いつものように豪華な顔ぶれに
どの一品も直ぐクリスマスパーティーに
お出掛けしたくなる様なあしらいのもの。

一品目は珍味度抜群かつプルンと揺れる
食感が楽しい海胆豆腐から頂きます。
可愛い胡麻豆腐には馬糞海胆をトロンと
乗せて海胆珍味に塗れたお豆腐の甘味と
馴染み合い舌を興奮させてのスタートを
切ります。
そして少し興奮気味となった舌を諫める
かの様に青味大根が甘辛さを伸ばしつつ
シャリッとした破砕感を募らせ海鼠腸と
一緒に此れもまた珍味度を膨らませてて
少し海鼠腸の塩味が青味大根の甘辛との
距離を詰めて来て舌を刺激して来れます。

蛸が何時も通り良く炊かれて蛸の芯まで
とても柔らかな肉感を整えており噛むと
自然な海の潮味がジワぁンと舌に届いて
口内に蛸の旨みが広がって大海の恵みを
感じて感謝したくなります。

此処で一休みしたくなるのを知ってるか
上手いタイミングでご用意されてるのが
玉子真薯なのです。
実にスムーズに舌を一呼吸置かせてくれ
いい塩梅の間合いで舌を助けてくれます。
仄かな玉子真薯の甘味がとてもお優しく
舌を労ってくれますね。

次にホッと一息ついて舌が元気に復活し
雉と芹に向かいます。
雉が炭の火が良く入ってて肉感も踊って
歯を楽しませてくれるのと同時に芹から
健やかな繊維感が溢れて雉肉の咀嚼感を
後押しするかの様な後方支援なてとても
素材の組み合わせの妙味を感じるもので
巧みな料理構成に感心してしまいます。

雉と芹に染み染みうま味を感じたのは
雉と芹と言う美しい味覚と食感の賜物
雉のお出汁がジワァンと静かに寄せて
雉のうま味が芹へ染み込みシャキッと
噛むとジュワ〜ンとなるのです。
此奴は地味深くとても美味しさが募り
印象的な一品でした。

此処でチョコンと可愛く松葉串に飾られ
配色も感じの良い唐墨大根を同時に口に
パクッと入れて大根の甘味と唐墨塩味が
蕩け合ってハーモナイズする美味しさが
また舌をジンジンと痺れさせる美味しさ

そして何と何と此処で名残の秋味が満開

和栗の渋皮煮に
柿に胡麻だれを纏わせて
この2品が秋味を名残惜しそうに懐かしく
思い起こさせてくれます。

❼の栗の渋皮煮 新潟の五泉の栗を使用し

秋味の名残を感じられてとても憂いを感じ
和栗に佇む甘さも滑らかに麗しいお味です。
噛んでみるとコリッと砕かれポロリと弾け
口内に破砕感が静かに響き和栗らしく秋を
思い出させてくれる懐かしの味覚が広がり
口福に包まれて仕舞いました。

実に渋い甘味が栗の中からも通う渋皮煮と
柿の果実がジュウ〜ッと零れてる瑞々しさ
其処に纏う甘美な胡麻の香りと甘味が調和
多様な甘い口福感を頂けた一品たちでした。

甘いもんの次にはやっぱり酸っぱいもんが
食べたくなるのは自然の摂理と言いたげで
上手い塩梅で雪輪蓮根がシヤリッとしてる
繊維感から小気味の良い酸味を伸ばしつつ
舌を爽やかにリセットしてくれました。

その隣では大徳寺麩とチーズを合わせた物
定番の一品ですがモチッとした食感と共に
チーズの酸味と甘味が大徳寺麩の個性的な
プヨンっと弾む柔らか味と良い塩梅で調和。

更に八寸の締めと言わんばかりにスモーク
サーモンみ食べてる所にしのはら特製缶の
『恵』キャビア

浜松Hal Caviar産のしのはらキャビア
塩味が大人しい仕上がりのキャビアの用意
此の儘ストレートに頂いてもお酒のアテに
もなりますし此処で日本酒から一旦距離を
置いてワインでも良い感じになるかなぁと
思いつつ其の儘ストレートで嗜みました。

メリークリスマス!と合唱したくなる程の
煌びやかな八寸のご用意にムーディーさを
きちんと整えて楽しいしのはらトーク交え
冬の走りものと秋の名残を繋ぐ名品たちに
囲まれた口福紀行に大満足の八寸でした。

◉広戸川

9.お口直し

◉フォアグラとあんぽ柿とウイスキーゼリーの最中

最中生地を炭火で焼く事で
温感とフォアグラの冷感の
コントラストがクリアーに
芽生えてサクサク感が漂う
最中生地とフォアグラから
耽美でクリーミィな甘味が
舌を一気に陶酔させ極上の
美味をキュンと唸るくらい
膨らませておりました。

◉満寿泉 純米貴醸酒
満寿泉とのセットで提供されます。
古酒っぽい貴醸酒でフォアグラの
甘美な味覚にメチャニュアンスが
お似合いのお酒でした。

10.鍋物

◉猪と月の輪熊の鍋
◉豆餅
◉下仁田葱と芹

お鍋から中鉢に取り分けられてお肉から旨み成分が
たっぷりと写った肉汁がお出汁に乗り移り芳醇なる
お肉の香りがフワワァンと立ち上りとても芳しい。
猪肉と月の輪熊の威力は素晴らしいものです。
この時期ならではの月の輪熊と滋賀の猪に恵まれた
大地からのクリスマスプレゼントに感謝ですね。

中鉢の中には月の輪熊と猪がお出汁の中を泳ぎ
脂汗をかいてますが肉の色が少し黒っぽくなり
赤身肉の方が月の輪熊で少し白っぽくて脂身が
多か含まれてる方が猪のお肉となります。
猪肉は齧ってみると赤身の部分と脂身の割合が
ほぼ均等に広がっており脂身の方が大変甘くて
身質も柔らかで美味い。
月の輪熊の方は肉の旨みが豊富で肉感も漲って
熊肉を齧ると肉肉しくさが豊かに感じられる。

月の輪熊はもっと獰猛な肉感と思いきや優しく
柔らか味があり意外と芳醇な肉汁がジュワッと
口の中に広がり滅茶美味しい。
臭みとか熊肉の匂ひ等も皆無で香ばしい美味が
広がり舌を歓喜に導いている。
其処にシャキッとする芹から繊維感も爽やかに
口内に伝わって芹の香りも好ましくて美味しい
シャキシャキ感のアクセントにお肉が絶妙なる
バランスを整えてお互いが最高の味を引き出す。

豆餅がお肉や芹を食べてる途中でいい味を出し
味変ならぬ食感の移り変わりは味覚の居心地が
とても安らぎを与えてくれて仄かに正月気分を
味わえて嬉しくなる。

最後に肉汁の旨み豊富に溶け込んだお出汁まで
一滴も残さず全部を飲み干すと舌は穏やかにも
お出汁から温かみを貰いほっこりとする妙味に
慰められておりました。
ホッと安堵感が募り心地良い余韻が広がります。
とても品のある肉鍋を頂き幸せの味わいで舌は
満足げに喜びを感じておりました。

◉黒龍 しずく

11.しのはら定食

◉近江米の白ご飯
◉鰤の漬け
・板海苔
・鬼おろし
◉飛騨牛シャトーブリアンの炭火焼き
・山葵
・塩
◉塩昆布
◉白菜
◉おろしポン酢
◉醤油
◉焙じ茶

ご飯のお供が豪華過ぎた。

しのはら大将が焼き場で飛騨牛との
距離を詰めて慎重に火を入れてます。
オプションでご用意頂いた飛騨牛の
シャトーブリアンの肉塊を焼き場で
濛々たる煙が立ち昇りジュワ〜ッと
肉汁から滴る脂汗が炭火に向かって
ポタポタ〜ッと落ちる度にジュッと
叫びバチバチッと炎が弾けてます。

焼き上がったばかりの熱々飛騨牛の
シャトーブリアンの肉塊を食すのに
お手頃の一口サイズにカットされて
お皿に盛り付けてお膳に配置。

この肉肉しくも外周はこんがり黒く
焼け爛れつつも中はロゼ色の赤身が
肉汁滴らせつつ堪能的な美観で舌を
誘って来ております。

また、鰤の漬けも板海苔が添えられ
香ばしい色合いで目を楽しませます。

お漬物には白菜の浅漬けに塩昆布と
ご一緒にお口直し的にセットされて
お肉や鰤のお薬味もおろしに山葵と
塩などが整えられ更に味付け用には
ポン酢に醤油と各種が勢揃いです。
準備万端整い白ご飯のお供たちには
シャトーブリアンも鰤も艶々ご飯を
美味しくおもてなしする為に今かと
お待ちかねです。

先ずは肉汁が滴る飛騨牛に唆されて
一切れを頂き白ご飯を掻き込みます。

尚、此処で大将の一言お話しが有り
飛騨牛シャトーブリアンは数切れの
盛り付けですが全部食べきらないで
一切れだけ残しておく様にとの進言。
この後の鼈拉麺に使うのでと言う事
だそうです。

さて、シャトーブリアンの柔らかな
肉感がプヨンと揺れ乍ら肉汁が滴る
極上の美味しさを携え白ご飯と共に
お口に放り込むと途轍もなく美味し!

豪快な飛騨牛飛び牛の肉肉しい躍動感が
迫力の肉感と圧巻の旨味を口内に満たし
飛騨牛ヒレ肉の底力を炭火の力がグッと
引き出して山葵が綺麗に肉の甘味に対し
輪郭をクリアに浮かばせて来るのです。
肉質の品格の良さも有り肉汁溢れ出るも
サラリと甘く旨味と調和して来る味わい。
噛めば噛むほどにお肉の旨みが溢れ出て
フワンとお肉が柔らかく歯を招き入れる。
肉肌の官能的な旨味が舌を蠱惑して来て
咀嚼が止まらなくなります。
そのお肉の官能的な柔らか味に舌は唸り
お肉を噛んでジュワ〜ッと零れる旨味に
没頭して舌が耽溺する官能の渦に溺れる。

最後の一切れ迄一気に完食したくなるも
大将からの留意事項を思い出して危うく
全部食べ切って仕舞う所でした。

そして鰤へと舌の関心が赴きお肉の次に
しっぽりと漬けの鰤のしなやかな身質と
甘く漬けを施されてる甘美な旨みが着地。
確りとした漬けのうま味が鰤の持ち味を
引き出してて鰤の風味や咀嚼時の食感が
かなり極まりホクホクの白ご飯に最高に
meetして来る。

そしてお薬味を縦横無尽に使いこなして
鰤の一枚には板海苔を添えて海苔風味と
一緒に鰤の旨みを香り高く味わい喜ぶ。
シャトーブリアンにはおろしポン酢との
相性も良いがやっぱり此処は山葵醤油が
大変お似合いでしっくり肉汁を受け止め
この高品質の肉片に見事にマッチしてる。

しのはら定食の季節感の違いを引き出し
風味豊かに味わえるご飯タイムに大満足。
頂く度にジワッと舌が美味しさの方へと
のめり込んで行って仕舞います。
そんな気持ちに浸りつつ完成度が高くて
喜びに満ちたお食事タイムを楽しませて
頂きました。

12.鼈拉麺

◉鼈出汁のスープ
◉黄韮
◉雲呑
◉浅草開花楼の麺
◉残しておいた飛騨牛一切れ

鼈出汁が存分に引き出されている麺つゆ
さらに拘りの浅草開花楼の細麺が浮かぶ
拉麺通なら一度は食べてみたい開花楼の
麺をご用意されてるとは流石です。
腰が確りしてる上に噛み心地啜り心地と
満点の麺なのです。
然もツルツル〜ッと啜ると朧げに麺自体
甘味を放ち鼈出汁がジュワッと絡みつつ
滑らかな麺の肌触りに驚いちまう。
こんな麺なら何杯でも行きたくなる細麺。
其処に一切れのシャトーブリアンを丼に
ポトンと投入し麺つゆの鼈風味を纏わせ
同時に
牛肉の肉汁がスープに写って麺に麗しく
旨みを添えて来るのである。
こんな贅沢な鼈拉麺を食べてしまったら
忘れられ無くなりそうでした。

13.甘味

◉黒糖の葛焼き
◉百合根

14.お薄

2024/12/26 更新

36回目

2024/02 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥50,000~¥59,999
    / 1人

節分の祝いとともに味わうしのはら初ランチは春の味覚のオーケストラでした。

■訪問日 2024.2.6(火)12時〜14時

■お料理 お任せ¥35,000税込
オプションall追加¥4,800
お酒含むお会計¥54,800税込

■予約 受付開始日にお電話にて予約

⓪香煎茶

定番の昆布茶で舌を湿らして頂いて
お腹もほっこり落ち着かせてくれて
お料理をお待ちします。

①先付

⚫︎柚子釜
⚫︎海鼠粥
⚫︎ぶぶ霰

柚子釜の中には海鼠粥を入れてその上に
ぶぶ霰で食感を軽やかにカリッとさせて
味覚と食感で口内を癒してくれる一品に。

本日は積雪の東京の中の徒歩にてお店まで
身体が凍えちゃう程寒かったところにこの
暖を取れる様な優しいおもてなしが嬉しい。
ほっこりいに優しい温かみを覚える魅惑の
うま味が佇む海鼠粥は海鼠のコリッとして
それでもお粥の中で温かく育まれた海鼠の
食感と妙味が揺蕩いながら舌を蠱惑する味

木製のお匙で有り難く頂きながら柚子釜の
蓋から少し柚子のエキスを搾って海鼠粥へ
ポトリと滴らせてお粥に酸味を加えて少し
輪郭をクリアにさせながらブブ霰とともに
ザクッと噛み心地も健やかな伸びを感じて
更には
お腹も空きっ腹に熟れの良いものが入って
ほっこり満足感が広がって行く幸せを感じ
大変美味しく心身を温まらせて頂きました。
とても気持ちが和む良いスタートです。

◉日本酒しのはら
◉黄瀬戸の酒碗

日本酒を所望するのですが最近のしのはらさん
お猪口ではなく酒碗のご用意でお酒を頂けます。
この酒碗が逸品揃いで信楽や美濃や黄瀬戸等々
黄瀬戸が気に入ったのでこちらにて半合ほどを
頂きますが丁度半合が上手く酒碗に収まるので
とても飲みやすく美味しく頂きました。

②お凌ぎ

⚫︎越前蟹の焼き蟹の脚と爪
⚫︎淀大根
⚫︎九条葱
⚫︎松葉柚子

しのはら大将が焼き場で越前蟹の脚と爪を
炭で焼いておられます。
また甲羅ごと蟹味噌も炭の上でじっくりと
焼いて甲羅の香り付けが通った蟹味噌とし
とても味噌の匂ひが香ばしくカウンターに
漂って来ています。

その甲羅焼きの香り高い蟹味噌を焼き蟹の
先っちょに付けて淀大根の上に盛り付けし
天に九条葱をたっぷりと添えられます。

手前に届きました焼蟹の脚や爪をパカッと
2つに割って中の身を蟹フォークで殻から
身を解すとスルスル〜ッとホクホクしてる
焼き蟹の身が剥がれて脚の先に塗されてる
蟹味噌と和えてご一緒すると、んん〜!と
唸るくらいに甘味と味噌珍味が見事な迄に
マリアージュして超美味!なのです。
温感も手伝って蟹の甘味が頗る美味く炸裂
其処に甲羅焼きされた蟹味噌の風味が参加
とても豊かに甘味と珍味が広がって美味し!
更に
淀大根や九条葱の繊維感も一緒に添えながら
蟹をお口に含みますと九条葱のクタッとする
食感と淀大根から滲む煮汁の名残りの甘味に
葱が浸されて淡くうま味を纏った甘味が伸び
その淡味にほんのりと蟹の身が染まりとても
蟹の持ち味を深掘りする良いお味に伸びてる
此れは絶妙な味覚の鉢合わせって感じとなり
微妙に絶品でした。

特に淀大根は良く炊かれててお出汁の滋味が
無茶苦茶馴染んでて薄く狐色に変色する程で
甘味も出汁の旨味も全身に染み渡っています。
なので淀大根の何処から箸を入れても大根の
地味深さが舌にジ〜ンと染み入る美味さにて
堪んなく絶妙な味わいが舌に澱みなく着地。
まるで高級おでんみたいにジワァッと舌へと
し 染み渡り味わい深さに舌が魅了されます。
更に
そのお出汁の煮汁に支えられて蟹の身の方も
少し浸されてうま味と甘味が同調して美味を
膨らませておりとても心地良い味わいとなり
心に残る味覚で印象付けられました。

③節分飾り

⚫︎柊鰯(ひいらぎいわし)

節分にちなんで柊に鰯と鬼の面を装った
柊鰯の節分飾りの一品のご用意です。
良く伝えられてますのは鬼除け用として
柊と鰯を玄関の軒先に飾らと言う風習で
此れは柊の尖った葉と鰯の生臭い匂ひに
鬼が避けると言われてます。
本来の鬼と言いますのは節分飾りの様な
赤い面をしたカタチでは無く病気を撒く
悪い神様と言うものであったとのことで
無病息災を避ける意味合いからも節分の
行事に意味があるとのことです。
本日お集まりの皆様の無病息災を祈願し
健康で元気に日々を過ごせます様にとの
願いを込めてのお料理となります。
そんなお話を季節毎に日本の歴史を学ぶ
そう言った貴重な機会を頂ける料理店は
此処銀座しのはらの持つ魅力の一つかと
痛感する訳で有ります。

さて、お料理の方は柊鰯を取り除きます。
黒信楽の器に綺麗に盛り付けられた前菜

・白魚
・車海老
・蛍烏賊
・鮑
・子持ち昆布
・菜の花
・帆立貝
此れ等の春の装いたちを加減酢で
煮凝り寄せの一品にてご用意です。

流石で御座います。
春らしさが垣間見えると同時に旬の
新鮮な海の幸たちに喜び溢れて舌鼓
もう、蛍烏賊のプヨンとした可愛い
食感と甘味を頂けるとは嬉しくなり
加減酢の煮凝りがその甘味に程よい
酸味で味をキュンと時めかせている。
白魚からの自然な塩味が舌に届いて
車海老の躍動するプリプリ感が響き
帆立貝が大人の味わいでその甘味を
振り撒いて舌を喜ばしてます。
更に春の装いも美しい緑の菜の花が
大地からの春の息吹きを伝える様に
繊維感を伸ばして煮凝りといい感じ
又、大海の恵みを受け子持ち昆布が
コリコリッと食感を元気よく伸ばし
磯の香りをご一緒頂いてます。
全ての素材達がきちんと役割を理解
節分に微笑ましい春の味覚の交響曲
ありがとうと言いたくなる一品です。

◉黒龍 純米大吟醸

④お椀

⚫︎薄葛仕立て
⚫︎伊勢海老
⚫︎車麩
⚫︎鶯菜
⚫︎柚子

椀種の伊勢海老は一度揚げてるので
とても甘味が漲り歯応えも躍動感が
とても溢れてて伊勢海老の醍醐味を
頂けるものでした。
更に本日のお椀で特筆すべきは何と
地の滋味深さがいつもと違う?かな
と思って聞いて見たら昆布を変えた
との事でした。
利尻の天然の4年もの昆布を今月より
初めて使用し始めてるとの事。
3年ほど前に新しい利尻の離島の昆布を
手に入れて蔵元で寝かして頂いてるもの
その4年ものの利尻を水出しにして地を
張ってのお椀となります。
故にとても良い感じの淡いうま味が舌に
ジワァンと寄せて来て飲む程に深く潔い
味わいが訪れて味覚の奥深さに浸り続け
其の儘溺れて仕舞いたい気持ちに駆られ
うっとりする口福感に包まれてました。
昆布のチカラをまざまざと見せつけられ
その魅力を再認識した椀盛に感謝でした。

⑤鮪の太巻き

⚫︎赤身の漬けに山葵和え
⚫︎中トロは煮切りで
⚫︎すき身はべったら漬けで和え
⚫︎胡瓜の繊切り
⚫︎振り胡麻
⚫︎別皿でガリをご用意

久し振りに登場した定番の太巻きです。
この太巻きの中身が中々のてんこ盛りで
具材の豊かさにてんてこ舞いとなるほど
沢山のネタを射込んでおられます。
故にお手元に太巻きが配置された時には
太巻きに突き刺さっている赤身さん達が
恰もアルプスの如く頂きを見せています。

赤身は漬けを施して山葵で和えられてて
中トロは素直に煮切りで整えて本鮪から
すき身はべったらと胡麻で和えて居ます。
更には胡瓜の繊切りに花穂紫蘇を添えて
てんこ盛りの巻物にして隣には念入りに
ガリ迄ご用意して太巻き三昧の舌鼓です。

此の大きな太巻きを一口で頂いて下さい
とのお声掛けにウ〜ンと唸って仕舞うわ。
覚悟を決めてガバッと大きく口を開けて
挑みますと太巻きの端の方から鮪が少し
ムニュッと口からはみ出してきて零れて
仕舞いそうになりますが其処を箸で抑え
グッと突っ込んでやり何とか一口で納め
モグモグとゆっくり咀嚼すれば後は結構
スムーズに舎利と一緒に解けて行きます。
一所懸命mogmogしてるとお口の中では
漬けもすき身も中トロもべったらも胡瓜も
皆んなが仲睦まじく交差し合い乍ら味覚が
滞る事なくどんどんお口の中で渦を巻いて
極上な旨み溢れる美味しさが咀嚼を進めて
口内に暴れ捲る鮪の醍醐味を存分に味わい
食べ応え感の満足度の高さに喜びが溢れる
納得の鮪の太巻きでした。

⑥焼き物

⚫︎白子の天麩羅
⚫︎フォアグラの天麩羅
⚫︎聖護院蕪
⚫︎海老芋
⚫︎黒トリュフ

鍋物と言っても過言ではない鍋焼きで
グツグツとお出汁で煮立てた天麩羅

スプーンとお箸を両手で捌いて軽く
全部を和えながら混ぜ混ぜした所を
お口に入れて下さいとのお達しです。
あと、注意事項としてお鍋が大変に
熱くなってますの絶対に触れないで
下さいとのお言葉も頂きます。
確かにカウンターに運ばれてからも
グツグツと泡を立てて煮立ってます。

さて、

黒トリュフが最初にグツグツ煮立つ
鍋の中で熱々の温感に刺激されつつ
木耳の様な感じの身質に変貌するも
プワァンとトリュフ香味を匂わせて
鼻腔をピクンと掠めて行きます。

また、煮立っているお出汁は何かな?
と思いきやバターとお醤油の餡にて
とても良い風味に魅せられてます。

一方で熱々お鍋の方にも気を使って
手が触れない様に留意しつつお箸で
焼き白子の皮をプチュンと潰し更に
フォアグラの衣もサクッと割き乍ら
白子のトロ〜ンと流れてくる中身と
柔らかく瀞みを帯びたフォアグラを
一緒にグチャグチャに混ぜ混ぜして
煮立ち泡がブクブクと唸りグツグツ
煮汁が煮え沸る中、チンチンに熱い
白子フォアグラがソースの様になり
完全に身溶けして珍味と甘味が展開
真冬の旬の珍味の宝石箱の様です。

そして

其処に寄り添うのは何処までも淡く
お出汁の旨味が良く染み渡っている
聖護院が落ち着き払って佇みジワリ
静かに舌に浸食する滋味深き味わい
この奥ゆかしい程の滋味に出会えて
口福感と興奮が引き続いて仕舞う。

更には

奥に控えし海老芋までもが少しの
瀞みを誘って来乍ら甘美な旨味を
振り撒いて舌を楽しませて来れて
嬉しい味わいを満喫するのです。

最後に全食材を食べ切った後には
意外なお楽しみが待っており此奴
中々の強者にて舌を歓喜させてて
嬉しい悲鳴が轟きました。
其れは何かと言いうと名残の煮汁
お鍋にベタッと張り付いてお焦げ
の様に鍋際のあちこちに張り付き
狐色にこんがりと焼け爛れており
其奴をスプーンでゴシゴシ削って
食べ尽くす楽しさが残って愉快な
旨味を存分に楽しく味わいました。

⑦珍味

⚫︎牡丹海老の紹興酒漬け
⚫︎舎利玉

牡丹海老の紹興酒漬けには馬糞海胆を
溶いた海胆ソースに浸されて見事なる
牡丹海老の瀞みが伴う甘味と海胆珍味
との共演に舌が興奮して堪らない程の
味わいにでこの不思議な味わいに対し
耽溺して仕舞う程の興奮を覚えるもの
珍味と甘味のナイスな破壊力に感激し
海胆珍味を纏わせた牡丹海老の瀞みと
そのトロットロ〜ンの食感に加えての
紹興酒が爽やかな潤いを含む旨味育み
かつ、寄り添って堪らなく素敵な味に
完全に打ちのめされて仕舞いましたね。

紹興酒と交わり合う極上の牡丹海老が
艶やかに蕩ける甘味を振り撒いて舌を
蠱惑の渦に招き入れておりました。

◉農口尚彦

⑧箸休め

⚫︎しのはら特製キャビア恵(めぐみ)

食前のお口慣らしの香煎茶に加えて本日は
浜松Hal Caviar産のしのはらキャビア
塩味が大人しい仕上がりのキャビアの用意
此の儘ストレートに頂いてもお酒のアテに
もなりますし此処で日本酒から一旦距離を
置いてワインでも良い感じになるかなぁと
思いつつ其の儘ストレートに嗜みました。
然もこの恵さんをお年賀の挨拶という事で
プレゼント頂いて仕舞い感謝感激でした。

⑨初午の八寸

2月に入って最初の午の日に稲荷神社で
邪気を払い願い事を叶えるお祭りに因み
絵馬を飾った八寸の仕様となってます。
稲荷神社は元来五穀豊穣を祝う神社です。
現在では他に商売繁盛や家内安全などの
願い事を叶える神社として広く慕われて
そう言う意味合いからも皆様の願い事が
叶う様にとの思いを込めて絵馬を使った
お料理をご用意との事でした。

毎回八寸にまつわる歴史を紐解くお話を
聞くのが大変楽しみなしのはら八寸物語。
本日もしのは大将の歴史の蘊蓄を聞けて
少しお勉強した気分に浸りながら八寸を
頂きます。

さて、お料理の方はお膳の上に各種香合や
小鉢が整えられて雅な宴のご用意が完成。
以下八寸の内容です。

[宝珠の香合]
花山葵のお浸しに海胆を乗せて
酢橘の割り醤油掛け

[竹のお猪口]
福豆の代わりに大豆を炊いたもの

[茶色い六角小鉢]
小肌に蕪の霙酢掛け

[絵馬の杉板の上には]
金柑の茶巾絞り
鶉の炭火焼き 天然に近いもの
わかさぎのにんぴん漬け
(ワカサギを南蛮漬けにして千枚漬けで
巻いたもの)
星薇を炊いて油揚げで巻いた信田巻
数の子の酒粕味噌漬け
玉子真丈

[雪洞の六角小鉢]
烏賊と分葱のぬた和え

[黄色と緑の蕗の薹の香合]
揚げと水菜の辛子胡麻干し

[長方形の小鉢]
鰤のたたきといぶりがっこ

まぁ、いつもの事ですが誠に季節の
趣を雅に反映させてお膳の上には
稲荷神社に降臨されたと言う白狐のお面を
飾り付けに用意されて皆様の息災を祈願し
共にお願い事が叶う様にと趣向を凝らして
おられます。

どの香合も由緒が感じられると共に季節の
味わいを楽しむものばかりでお口が余程に
慌ただしくなり素材の音色を様々な調べで
奏でる旬の味わい達に拍手を贈りたくなる。

今年一年の息災が叶います様にチョットは
自分の願い事を込めて福豆代わりの大豆を
齧って楽しむ。

雪洞の模様が稲荷神社を想起させる小鉢の
ぬた和えがしっぽり舌を慰めてくれます。

冷めないうちにと鶉の焼き物に齧り付いて
鶉肉のふっくらとした肉感に歯が招かれて
旨味豊富な鶉肉の以外と迫力の肉質旺盛な
奴をグッと噛んで楽しんで堪能する。

此処で小休止に丁度良い感じのサッパリ味
小肌の霙掛けが舌を労ってくれますね。
良い塩梅で八寸が流れる様に構成されてる
このストーリー性にも感謝しちまいます。

少しお休みさせて頂いた後はまた甘い系の
ものを欲して玉子真丈を摘みつつ数の子を
ポリポリ齧って日本酒が進んじゃいます。

ワカサギのにんぴが酸味も爽やかに伸びて
妙味が口内にサクッと寄せて来て美味しい。
更にこの時期の鰤が油も乗ってたたきから
鰤から甘味がジンワリ忍び寄って来て実に
美味し!
ワカサギの甘酸っぱさが口内に留まってる
間に金柑が同様に果汁をジユワッと零して
甘酸っぱさを重ねて来て舌を心地良く刺激。

何時も舌を飽きさせずに季節の旬を多角的に
味わさせてくれるしのは八寸に感謝!

⑩揚げ物

⚫︎鼈の唐揚げ
⚫︎酢橘
⚫︎黒胡椒

堂々と肉感漲る勇姿に惚れ惚れしつつ
最初の一口だけ齧った途端に溢れ出る
しのはら特製甘だれと鼈肉の衝突とが
衝撃的な美味さを繰り出す。

炭火の香りの芳しさがフワンフワァン
と鼻腔を掠め猛烈に食欲を唆って来て
堪らなくなります。
鼈の塊のお側に添えられた粉山椒から
ツンと鼻腔に刺さる刺激の香りが漂い
粉山椒をパラパラ〜ッと振りかけた後
咀嚼を進めてみますと激しく立ち上る
香味が更に肉欲を誘って来て舌を魅了
とても堪らなくなり手掴みしながらも
ガブッと齧って喰らい付いて行きます。

齧った途端に猛然と逞しい肉感が迸り
旨味も珍味も漲る鼈肉の塊を歯で削ぎ
骨の髄まで一気に齧り付き舐め尽くす
鼈肉が歯にガツンと当たったと思うと
鼈の肉片がペタッと吸い付きながらも
ダイナミックな肉感其の儘に口内では
肉汁と共に縦横無尽に暴れまくりにて
この生命力溢れる豪快な肉の旨味こそ
焼き鼈の醍醐味と感じられ理屈抜きで
とことん骨が丸見え状態になるまでに
食い千切っては舐め尽くし貪りました。
肉片が消滅して骨だけが曝け出されて
まだ骨肉の残滓を舐めたくなる衝動に
駆られ続けて中々諦めが尽きません。

もっと吸い付きたくなるこの鼈珍味は
ホント、飽きが来ない不思議さに満ち
これ程の衝撃的な味わいとは信じ難く
兎に角ビビッと脳天を突いてくるのは
最初に齧った時のストレートな肉感と
その直後に届く鼈肉からの強烈な旨味
そして
鮮烈なゼラチン質の脂質の膨よかさに
濃厚なタレ焼きの甘味が覆い被さって
麻薬的な妙味が生まれ更に欲を唆って
止まらなくなると言う欲望の循環には
抗いにくいものが有りました。

欲望に身を委ねて何も考えずにガブッと
鼈肉に齧り付きつつ肉布団の中に埋もれ
ゾクッとするほどの旨味に舌が震える中
鼈の肉塊に果敢に挑んで行きたくなる。
そんな感情がズ〜ッと芽生えて来ながら
咀嚼がどんどん進んで仕舞う羽目に陥り
その猛々しい肉感と野性味溢れる味覚が
重なり合い全顧客の口を沈黙させつつも
大満足を得た一品で御座いました。

⑪焼き物

⚫︎焼き河豚 ちりず 香川

元々の河豚の身は脂が全く無い筋肉質の塊で
その焼き河豚を噛むと肉感が素晴らしく漲り
プリッと跳ねて来て歯応えが小気味良く着地。

明るく元気な噛み心地と言う感じにて纏まり
素晴らしい食感に歯が喜んで仕舞いますよ。

心地良く弾む食感と共に河豚肉の迫力を
堪能し此処迄プリンと潔く弾力する河豚
フレッな肉感には

ピリ辛のちり酢がフグの躍動する珍味を
更に引き締めてくれる様な味わいで舌を
訪れプリプリ感を広げて行き美味しいが
止まらない。
こんなに激うまの焼き河豚には過去には
お目に掛かった事が無く感動の味わいで
満たされました。

⑫鍋物

⚫︎熊鍋→月の輪熊です。
⚫︎鼈
⚫︎餅を鍋に入れてサッとだけ湯がく
⚫︎芹
⚫︎お餅

栄養価満点のジビエっぽいお鍋となります。
鼈出汁を熊鍋でグツグツと煮立てて最後に
振り塩にて味や濃さを整えて完成させてる
そんな仕立て方の熊鍋です。
野菜のアクセントは芹をたっぷり入れ乍ら
熊のコッテリ系を穏やかに宥めてます。

岐阜高山の月の輪熊を使ってる熊鍋となります。
煮詰めるとチキンラーメンの様な味になる様で
次回は月の輪熊ラーメンにもチャレンジなどと
冗談混じりの会話が弾みます。
鼈肉の肉片もコラーゲンもたっぷりと熊鍋に
写ってて旨味濃厚な味わいに滋養を感じつつ
ズズ〜ッと啜って心身共に温まりつつ幸せを
感じるほっこり鍋を満喫させて頂きます。

月の輪熊の熊肉はちっとも熊臭く無く獰猛な
匂ひや嫌味等が皆無でサラリとしてる肉感と
躍動して踊り出す元気エネルギーを発散する
鼈肉や熊の脂身の脂質が旨味たっぷり拡散し
地味深くコクの存在感を浮き立たせてとても
味わいに奥行きを感じさせる熊鍋でした。

⑬お食事

⚫︎出汁ご飯 大根おろし
⚫︎鰯の炭火焼き 染めおろし
⚫︎香の物:白菜の漬物

滋賀県甲賀の近江米でミルキークイーンを使用。
炊いたばかりの米はふっくらモチモチして甘い
かつ米粒感がしっかりとしてて食べ応え抜群に
美味い白ご飯なので大根おろしのサッパリ感と
とても相性が良くて咀嚼がどんどん進んじゃう。

そして秀逸だったのは鰯です。
炭火で焼いていた時には鰯の身から
脂が炭の上に滴り落ちてバチバチッ
と快音を鳴らして炎が煌めいて正に
真っ黒焦げの炭色に変色したものが
目の前に登場です。
その炭で真っ黒になってる鰯を一口
頂きますとちっともパサ付いて無く
寧ろ丁寧にコーティングをした様に
脂が乗り切っており無駄な脂質分は
全て炭火が飛ばして身を引き締めて
同時に適度な脂が身に纏わりついて
甘味旨味を深掘りする身質に昇華し
鰯の妙味を深めさせておりました。

その鰯と白米の甘味とのコラボする
味わいが口内で一体となり同調して
美味しさを深めて行く所に味わいの
喜びを密に感じ取り口福感が満ちて
癒されるしのはら定食でした。

⑭甘味

●雪間草

捏芋の白い金団の中に
碓井エンドウ豆の餡を
入れて雪の合間から春の息吹きが
芽生えて来る様子を表現した和菓子

●お薄

2024/07/09 更新

35回目

2023/12 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥50,000~¥59,999
    / 1人

しのはらお初のクリスマスバージョンの煌びやかなお料理が衝撃的過ぎた

■訪問日 2023.12.13(水)17時〜20時

■お料理 お任せ¥35,000税込
オプションall追加¥4,800
お酒含むお会計¥58,000税込

■予約 受付開始日にお電話にて予約

■スペシャルゲスト

本日は何と幸運な事に天本御一行様が同席
皆様着席時に気が付き吃驚しておりました。
その所為かお料理も何気に天本バージョンの
様な気がしました。

⓪香煎茶

定番の昆布茶で舌を湿らして頂いて
お腹もほっこり落ち着かせてくれて
お料理をお待ちします。

①先付

□鉄刺 身欠で粋のいい虎河豚
□鉄皮 鮫皮 身皮 とうとうみ全部
□ちり酢で伸ばした白子ソース

特注で作られましたガラスの器は
雪化粧が渦を巻いてる如く見事な
美観と冷感を呼び起こすものにて
見た目だけで美味しさが漂います。

先程お見せ頂いた氷室の丸い釜の中で
虎河豚の身欠を漬け込んで冷んやりと
熟成されております。

美観が煌びやかなお皿の上にしっとり
佇む鉄刺と鉄皮に白子ソースを和えて
ご用意が整っている所を一枚と数本の
鉄皮、鉄火は白黒の鮫皮も身皮も全部
クルッと鉄刺の一枚で巻物の様に包み
其れに白子ソースをたんまり浸し乍ら
パクッと飛びついて仕舞いました!
んん、最高の噛み応え感が突き抜ける。
もう、神応えですね。堪らん!
然も虎河豚の身肉の何と力強い弾力と
裏腹に河豚の身欠にしては優しい食感
噛めば噛むほど味が出てプリップリで
白子ソースの珍味の旨さに驚きまくり
感動を超えるわ
ある意味一種共和えなのでありますが
こんな共和えなら毎回出して欲しいな。
兎に角、身質の鮮度が素晴らし過ぎて
身欠きの落とし方も芸術的な美しさで
鉄刺の切り口断面の滑らかな舌触りが
もう一枚の咀嚼へと繋がる欲を広げて
歯応えと弾力感が漲る肉感を委ねます。

更に鉄刺から鉄皮へと欲が疼いて来て
鮫皮も身皮もとうとうみも全て珍味の
透明感が綺麗に磨かれた妙味に溢れて
身厚に歯応えする質感に惚れて仕舞う。
その美しい味わいにこれも鮮やかなる
珍味の白子ソースが上手く絡み合って
抱腹絶倒しちまう味わいに困惑します。

キラリと煌めく鮫皮や身皮の肉肉しさ
腹側も背中側も綺麗に磨かれての旨味
ゼラチン質がプルップルンに漲ってて
その三種類の河豚皮を咀嚼してる時の
高揚感がどんどん高まって行く喜びは
例え様がない程絶品の旨味を曝け出す。
その活き活きと躍動する咀嚼感に舌が
震えゾクゾクする様な食感が訪れてて
こんな先付を頂けるとは口福感を満喫
忘れ難い印象的な一品でした。

②檸檬釜のすき焼き

□飛騨牛リブロース
□椎茸
□割下
□全卵

2品目にお凌ぎの位置付けで
リブロースのすき焼きが登場
かなり今日のメニューは異色
チョット吃驚しちゃった。

コースの初めに檸檬の酸味が
舌をスッキリさせてくれると
同時に割下のしゃぶしゃぶが
ほっこり舌を保温してくれて
咀嚼活動の潤滑油とした働き
とても良い塩梅に持ってきて
来れます。

釜の中に割下が潜ませてあって
リブロースをしゃぶしゃぶして
お肉がほんのり火が入った頃に
檸檬釜から掬い上げて全卵へと
ポトンと落とす。
すき焼き風に全卵に浸しリブを
ズルズル〜ッと一気にしゃぶる

お肉を全部掬い上げて檸檬汁が
染みた割下スープを飲もうとし
お肉に集中していましたら
サッと檸檬釜が引き上げられて
しまい残念無念な事に。

何でも2品目な為濃厚味付けの
割下を飲んじゃうとお腹の方が
思った以上にに膨れてしまう為
避けたいとの意図があるとの事。

しゃぶしゃぶしたリブロースを
卵黄たっぷりの小鉢にポチャリ
落としまして
卵黄が生暖かくてお肉の熱々な
旨味がジュウ〜ッと溢れ出して
掬い上げ卵黄がタラ〜ッと滴り
其の儘お口に含むと舌と馴染み
合い愛し合いリブロースからの
溢れ出る肉汁の旨味と卵黄との
甘味とが絡んで渾然一体となり
陶酔する味わいへ惹き込まれる。

未だ2品目なのに興奮度MAX!
となっておりました。

◉銀座しのはら 日本酒
◉Shizen お水

③お凌ぎ

□毛蟹と酢飯
□蟹の餡掛け
□鮟肝

小鉢の中には温かい舎利に毛蟹の解しが
温感を佇ませながら酢飯がこんもりとし
装いも麗しく餡掛けの中に潜んでいます。
温度感が丁度人肌の温感に合わせて有り
食べる間際迄のタイミングに合わせての
ご用意は流石と言わざるを得ません。

更に毛蟹にサラサラと散らしてる鮟肝が
程良い珍味を添えて毛蟹の甘味を広げて
其処に同期して来る蟹味噌のほろ苦さが
後追いして実に妙味を膨らませている。

何だろう、この味覚の不思議さに感じる
戸惑いに舌が狼狽えてしまっている。
素材の踊り子たちが自由自在に口内では
踊る様子が何とも言えず賑やかな様相を
呈して見事に味わいを深めています。

毛蟹の解し身の優しさと酢飯のマッチング
その中から浮き上がって来る蟹味噌の珍味
互いに混じり合い甘苦さがぼんやりと滲み
唸ってしまう美味しさに着地する。

④お椀

□鯛炭火焼き 淡路
□淀大根
□焼きネギ
□丸仕立て

淡く佇む地がとても奥深いうま味を携え
香りが気高く鼻腔をピクンと唸らせてる
思わずうっとりしてお写真の撮影忘れて
お椀に手をつけそうになって仕舞います。
椀づまの淀大根がそのサイズ感で咀嚼を
楽しませてくれて身厚で径の大きささえ
食べ応え感が充実するもので満足度高し。

焼き葱の繊維がシャクッと心地良く歯切れ
トロンとして蕩ける様な葱からもクリアな
甘さが育まれており鯛と焼き葱の食感から
軽快なコントラストが生まれていた。
そして鯛から旨味が吸い地に写るに従って
その表情が穏やかに変り気品豊かな味覚を
ジンワリと広げて行きました。

⑤焼物

□青首鴨
□近江鴨
□おろし
□柚子胡椒

焼き場ではジュワジュワと大将が鴨を
炭火で焼いており煙が猛烈にモクモク
でもカウンター側にはちっとも煙等は
届かずで吸引設備も優秀だなと感心。

お料理は鴨肉を2種類もご用意と言う
贅沢な鴨料理の食べ比べとなります。

鴨肉はロゼ色に染まった肉肌の色合いが
実に欲を唆るもので舌がブルッとします。

鴨肉には風味が涼しいアクセントの
柚子胡椒の辛味がキリッと鴨を刺激
鴨肉の肉汁に付き添って肉肉しさに
ピタリと照準があって旨味の輪郭を
クッキリと浮かばせている。
この辺の調味バランスも大将の味覚
センスが優れている所だなと何時も
感心してしまう。

青首鴨の方がサイズ感がやや大き目で
近江鴨は少し小振りな感じがしますが
近江鴨の方がキュッと引き締まってる
肉感が咀嚼を進めて
青首の方はふっくらして肉感が豊かな
感じで咀嚼を楽しめます。
何方も甲乙付け難く美味しさは抜群で

歯応えも肉肉しさも
肉汁も血湧き肉踊り
香りがとても芳しい
鴨の臭み嫌味は皆無
肉感は野生的なのに
味わいは甘く香りは
気高く野性味等無縁
鮮烈な旨さに溺れる
天下一品のお料理!

◉黒龍 二左衛門

⑥揚げ物

□鼈の唐揚げ
□おろし

鴨肉の次に今度は鼈様と来ました。
本日はお肉祭りかな〜と言うくらいに
お肉尽くしのメニューで希少な回です。
最初のリブロースも素晴らしかったし
鴨肉に引き続き鼈まで用意とは嬉しい。

堂々と肉感漲る勇姿に惚れ惚れしつつ
最初の一口だけ齧った途端に溢れ出る
唐揚げの衣をザクンと破砕し鼈肉へと
歯が衝突して生まれる衝撃的な美味さ!

唐揚げはほんのり醤油風味の下味が
ジュワ〜ンと鼈肉汁と共に滲んでて
舌を攻めて来ます。

手掴みでガブッと喰らい付いていると
旨味も珍味も漲る鼈肉の塊を歯で削ぎ
骨の髄まで一気に齧り付きたくなる。

鼈肉が歯にガツンと当たったと思うと
鼈の肉片がペタッと吸い付きながらも
ダイナミックな肉感其の儘に口内では
肉汁と共に縦横無尽に暴れまくりにて
この生命力溢れる豪快な肉の旨味こそ
焼き鼈の醍醐味と感じられ理屈抜きで
とことん骨が丸見え状態になるまでに
食い千切っては舐め尽くし貪りました。

食い散らかしている途中

鼈の肉塊のお側に添えられたおろしも
咀嚼を進めてみると鼈の漲る逞しさを
大人しく宥めて穏やかな肉感と旨味へ
表情が変化してこの味変も頗る美味し!

そして最後には
肉片が消滅して骨だけが曝け出されて
まだ骨肉の残滓を舐めたくなる衝動に
駆られ続けて中々諦めが尽きませんが
その猛々しい肉感と野性味溢れる味が
重なり合いこの時だけは口が沈黙して
大満足を得た一品で御座いました。

⑦お口直し

□フォアグラとあんぽ柿とウイスキーゼリーの最中

※満寿泉とのセットで提供されます。
古酒っぽい貴醸酒でフォアグラの
甘美な味覚にメチャニュアンスが
お似合いのお酒でした。

最中生地を炭火で焼く事で
温感とフォアグラの冷感の
コントラストがクリアーに
芽生えてサクサク感が漂う
最中生地とフォアグラから
耽美でクリーミィな甘味が
舌を一気に陶酔させ極上の
美味をキュンと唸るくらい
膨らませておりました。

◉満寿泉 純米貴醸酒

⑧箸休め

□しのはら特製キャビア 恵

食前のお口慣らしの香煎茶に加えて本日は
浜松Hal Caviar産のしのはらキャビア
塩味が大人しい仕上がりのキャビアにて
此の儘即、お酒のアテにもなってしまう為
しのはらスパークリングにドンピシャでした。

◉黒龍 しずく

⑨八寸クリスマスバージョン

銀座しのはら初まって以来の
クリスマスバージョンの八寸です。

クリスマスツリーを着飾り銀の燭台の
蝋燭の灯りが大変雅に目に飛び込んで
来ます。
お部屋の明かりの輝度を調整されて
薄暗くなり蝋燭がとても揺れる姿が
美しくムーディです。

⚫︎氷見の寒鰤を山掛けにしたもの
⚫︎縞海老を紹興酒のタレに漬け込んだものに
海胆ソースを掛けて
⚫︎青み大根の味噌漬け
⚫︎鱈の白子を擂り身と合わせて蒲鉾に
⚫︎蛸を炊いたもの
⚫︎水口干瓢
⚫︎庄内麩にチーズを挟んだもの
⚫︎堀川牛蒡の山椒焼き
⚫︎スルメイカの塩辛
⚫︎紅白なますの上に唐墨を一枚乗せて
⚫︎雉と芹のお浸し

お料理も此の儘クリスマスパーティーに
お出掛けしたくなる様なあしらいのもの
氷見の寒鰤などは天下一品でこれぞ鰤!
と唸るほどの脂質感が漲りその美味さに
山掛けのトロッとした食感の相性が良く
咀嚼が夢中になって仕舞います。

また鱈の白子と擂り身で蒲鉾を拵える等
舌がさっぱりして一口含んでキュッとね
お酒を煽るのも悪くないし
その隣の庄内麩とチーズの組み合わせは
定番ですがモチッとした食感とチーズの
甘味が庄内麩の個性的な持ち味と合う

更にはスルメイカの塩辛なんて絶対酒の
完璧なアテにて此れだけで当分チビチビ
やって飲めちゃいます。
美味し過ぎて舐め舐めして慎重に満喫

八寸を色々食べてると舌が少し疲れる
そんな気分を一新してくれるご用意が
紅白なますと唐墨ちゃんの名コンビ!
サッパリとなますをシャクッと咀嚼し
ご一緒に唐墨珍味が程良い塩味と共に
舌を鮮やかに蘇らせてくれちゃいます。
此れも嬉しい一品となります。

そしてしみじみとうま味を感じたのは
雉と芹と言う美しい味覚と食感の賜物
雉のお出汁がジワァンと静かに寄せて
雉のうま味が芹へ染み込みシャキッと
噛むとジュワ〜ンとなるのです。
此奴は地味深くとても美味しさが募り
印象的な一品でした。

更に

追って温物の小皿が届きますので
冷めない内に一旦八寸の手を止め
温物から先に召し上がって下さい
とのお声掛けが有りました。

其処で︎追って用意されてましたのは

⚫︎栗の渋皮煮 新潟の五泉の栗

鰹出汁の餡掛けに少し醤油で
味を整えて浸してます。
秋味の名残を感じられてとても
憂いを感じる一品です。

栗に佇む甘さも滑らかに麗しいお味
噛んでコリッと砕かれポロリと弾け
口内に破砕感が静かに響き栗らしく
秋を思い出させてくれる味が広がり
口福に包まれて仕舞う。

年の瀬に相応しいあしらい方で
冬の走りものと秋の名残を繋ぐ
お料理に嬉しくなります。

⑩揚げ物

□数の子のフライ

数の子の揚げ物が珍しいだけでは無く
お酒のアテにピッタリな食感と美味さ!
此れは驚いた
何でも焼いたりして試したらしく
焼き物にするとゴムみたいになり
余り?今ひとつだったので揚げて
見たら意外と良かったので料理に

こんな妙味のあるフライの中身が
数の子だなんて瓢箪から駒!
お酒がクイッと進んでしまいました。

⑪握り鮨

□大トロ

天本様が見てる前で何となく緊張気味な
しのはら大将が可愛いお姿で握られます。
確かに大トロを咀嚼した途端に身溶けし
始めて舎利をどんどん巻き込んで乳化し
一気に身質が蕩けて消えていきました。
藤田さんの鮪は大トロの醍醐味と同時に
品格を感じる鮪でした。

⑫珍味

□白子の磯辺焼き
□土佐醤油
□板海苔
□酢橘

八寸の直後に熱々の焼き白子
これは味覚的にも舌を健全に
活躍させる為にも丁度良い。
八寸は種類も豊富かつ冷製が
多いので少し舌が冷えて来る。
その点をリカバリーする温物
此れは嬉しい一品たなります。

酢橘を絞って金田のお海苔を
乗せてパクッと厚い皮を破る
プチュンと口内に白子が弾け
トロ〜リ絶品珍味が散乱する
生まれる陶酔感に溺れちゃう。

熱々の白子珍味と海苔風味の
見事なハーモニーが麗しい程
気高い香りに包まれ育まれる
白子の珍味をこよなく美味に
昇華させるのを手伝っている。
お醤油味にほんのりと染まる
白子の蕩ける味わいから舌が
恍惚となる渦へ惹き込まれる。

この季節の焼き白子はホント
白眉の一品なのです。

⑬鍋物

□蛤
□聖護院蕪
□金粉

潮汁の様に蛤出汁が吸い地を白濁させ
蛤の風味豊かな旨味を誘い出してます。
蛤もプリップリの身肉を誇る弾力感で
キュッと噛みムニュッとゴム毬の様に
弾んで身肉が歯に抱きついて来ちゃう。

その反発感がとても悩ましい食感にて
舌を蠱惑の味わいに誘って来ます。
蛤から出汁が十分に写されたスープは
潮汁の如く白濁し蛤からの地味が伸び
舌を穏やかに宥めてくれるほっこり味
お出汁を飲んでも蛤のプックリとする
膨よかさを噛み締めてもとても癒され
嬉しい味覚を頂いておりました。

⑭お食事

□白魚と百合根とアスパラの掻き揚げと牛蒡の
炊き込みご飯
□赤出汁:飛騨のジャンボなめこ
□香の物

ご飯の上には天かす絨毯が敷かれて
細かく刻んだアスパラと共に白魚と
百合根の掻き揚げを覆っております。

そのホックホクの炊き込みご飯を
お茶碗にフワッと装って下さって
一口を摘んだだけでフワワァンと
掻き揚げからの匂ひが鼻腔に届き
其の儘口内を抜けて行く快感にも
うっとりとして仕舞いますね。

ご飯を咀嚼すると

牛蒡のザクッとする食感と交差して
百合根の甘味が白ご飯と交わり乍ら
白魚からの潮の風味も馴染んで来て
炊き込みご飯としての妙味が完成し
其処に鮮やかに天かすがサクサクと
心地良い響きを奏でて多様な味覚を
募らせております。
此れは美味しいが脳味噌を連打して
堪らなくご飯への欲望が上がります。

更に赤出汁からのジャンボなめこが
トロンと蕩ける様に舌に飛び込んで
炊き込みご飯と一緒になめこ独特の
艶めかしい食感で甘味を振り撒く。

こうなって来ると多種多様な味わいが
走馬灯の様に走り去り後に残る余韻が
また印象的で素晴らしい。

しのはら定食の季節感を味わえるご飯
頂く度にジワッと舌が美味しさの方に
のめり込んで行って仕舞う。
そんな気持ちに浸りつつ満足度の高い
お食事タイムを楽しませて貰いました。

⑮甘味

□玉子の葛焼き
□お薄

2024/04/06 更新

34回目

2023/10 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.9
    • | 酒・ドリンク4.9
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

秋味深まる雅な八寸に舌鼓しつつ酒肴に溺れる

■訪問日 2023.10.24(火)20時半〜23時

■お料理 お任せ¥35,000税込
オプションall追加¥4,800
お酒含むお会計¥49,800税込

■予約 受付開始日にお電話で予約

⓪香煎茶

オールドバカラのグラスに注がれた
定番の昆布茶で舌を湿らして頂いて
お腹もほっこり落ち着かせてくれて
お料理をお待ちします。
バカラのグラスは10月まで

◉しのはら大将と島袋料理長の
久し振りのツーショットによる
名コンビが復活しておりました。
阿吽の呼吸が育む至福の馳走が
舌を蠱惑の秋味へと誘いますね。

①先付

先付は9/9の重陽の節句に合わせて菊花を
あしらった着綿をガラスの箱にあしらった
お飾りで登場です。
菊の着綿(きせわた)は
平安時代の貴族の習わしにて重陽の日に菊の花で
染めた黄色の真綿を被せて早朝に朝露を含む綿を
菊より外してその綿で体を拭えば菊の薬効により
無病息災であるという事による慣わしと言う事の
様です。

着綿のガラス箱の中にはバカラの小鉢が入って
その中に先付がご用意されてます。

□天然の大車海老
□鮑
□松茸
□玉子豆腐
□生海胆のソース
□加減酢の煮凝り

秋味の風味がたくさん感じられる先付は
松茸の香りに大海の珍味が小鉢の底にも
敷き詰められて具材全体をプルンとする
煮凝りで覆って酸味整えたお味で纏めて
いらっしゃいます。
これは最初のお口慣らしにもまた、胃を
元気にさせてくれる効果も有り今からの
怒涛のお食事に最適解なのではと感じる
最高のスタートとなりました。

此処でやはりお酒を欲する誘惑にに負け
しのはらを所望してしまいました。
今回から日本酒には酒碗でのご用意です。
此れは飲み口が気持ち良くなり嬉しい。

◉日本酒 銀座しのはら
◉織部の酒碗で

■揚げ銀杏 振り塩

更に先付にはセットで素揚げされた銀杏が
別の小鉢で揚げたてをご用意
少し間を置いて青々とした銀杏がお届けで
塩が程よく効いて絶妙なほろ苦さを讃えて
柔らかすぎず硬すぎずの歯に少しコリッと
来る食感の清々しさが銀杏の妙味を誘って
美味しさを膨らませそれがまたお酒を誘う
と言う好循環を導いてました。

②お椀

□明石の鯛
□飛騨高山の舞茸
□菊花の吸い地
□松葉柚子

一目惚れしてしまうほど菊花がお椀に雅に
敷き詰められて黄菊の絨毯の如く鮮やかな
色合いで地を染めております。

元々重陽の節句は菊の花を飾る慣わしにて
菊の花びらを浮かべた菊酒を飲んだりして
不老長寿を願う節句となりますが菊自体は
古来中国から優れた薬効をもつ植物として
知られており故事には菊の花の雫が落ちる
川の水を飲んだ人が長寿にもなったと言う
「菊水伝説」も有る事から菊を浮かべた酒を
飲むと長寿になると考えられていました。
そう言う慣わしに因んでしのはらさんでは
お料理屋さんらしく菊花をあしらった椀を
ご用意と言う趣旨だそうです。

椀種には明石からプリプリ元気な鯛が鎮座
椀づまには飛騨高山の舞茸の香りと茸から
旨みが菊花の地に写されて
口に松葉柚子をあしらい香味も豊かな椀に

菊花を浮かべた吸い地を嗜みつつ柚子の香味
芳しく感じながら頂く分厚い鯛の身がハラリ
解けて艶かしい白身をパフッと頂く時の口福
最高に高揚感が口内に訪れる瞬間には満面の
笑顔となって仕舞います。

鯛は明石の激流に揉まれてしっかり肉付きの
良い感じで然もじっくりと焼き場の炭火から
鯛に火が通り皮目もしっかり炭の香りを吸い
味わい深いものに育まれており豊満な肉質と
心地良く美味を奏でておられます。

そして舞茸の大きさに驚いていると舞茸から
プワァンと芳しい匂ひが舞い散りそれと共に
茸のうま味が咀嚼と同時に口内に満ち満ちて
其の儘吸い地との交わりも深まり大変気分の
良い格調の高さを伴う味わいを頂いてました。

③鮪と太巻き

□赤身の漬けに山葵和え
□中トロは煮切りで
□すき身はべったら漬けで和え
□胡瓜の繊切り
□胡麻
■別皿でガリをご用意

永楽の写しの器に威風堂々の海苔巻きに
3種の鮪が鋳込まれて舎利で巻かれてて
とても一口では無理と言うサイズ感にて
鎮座されております。

この太巻きの中身が中々のてんこ盛りで
具材の豊かさにてんてこ舞いとなるほど
沢山のネタを巻いてます。
赤身は漬けを施して山葵で和えられてて
中トロは単純に煮切りで整えて本鮪から
すき身はべったらと胡麻で和えて居ます。
更には胡瓜の繊切りに花穂紫蘇を添えて
締めに海胆迄も射込んで巻物にしてます。
真逆海胆迄参加してバージョンアップし
久し振りの再開となるリニューアルした
太巻きに懐かしくもあり嬉しい驚きとの
出会いも有りで
此奴らを一口で頂いて下さいとのお声に
ウ〜ンと唸ってしまいました。
覚悟を決めてガバッと大きく口を開けて
挑みますと太巻きの端の方から鮪が少し
ムニュッと口からはみ出してきて零れて
仕舞いそうになりますが其処を指で抑え
グッと突っ込んでやり何とか一口で納め
モグモグとゆっくり咀嚼すれば後は結構
スムーズに舎利と一緒に解けて行きます。
一所懸命mogmogしてるとお口の中では
漬けもすき身も中トロもべったらも胡瓜も
皆んなが仲睦まじく交差し合い全ての味が
お口の中で渦を巻いて極上にうま旨となり
太巻きが口内で暴れて鮪の醍醐味を存分に
振り撒いておりました。

④焼き物

□焼き鼈
□粉山椒

冬眠に入る前の脂肪も滋養もたっぷりと
貯め込んでる鼈で旨味倍増してる時期で
恐らくはこの時期の鼈は格別でしょう。

長年繋いで熟成させたしのはら特製の
鼈ダレをたっぷりと纏わせて焼き場で
熾火による火入れの妙技が鼈の旨味を
コク深く炙り出させてる絶妙の一品。

しのはら大将が焼き場でつきっきりに
面倒を見ている焼き鼈

炭火で特製ダレを幾重にも塗りながら
タレを滴らせて時にバチバチッと火が
湧き上がり鼈を焦がす様に焼き上げて
鼈の猛々しい身肉から脂質をしっかり
曝け出し鼈自身の脂で身を焦がす様に
焼き上げて行きます。

この焼き鼈の味の整え方には脱帽する
鼈肉のパンチ力で弾ける旨味の広がり
咀嚼した途端にブワッと広がる充実感
ダイナミックな咀嚼感が漲って絶品の
美味さが口内に溢れて行きます。

そしていよいよ仕上がった焼き鼈との
本番を迎えて鼈に喰らい付きます。
開口一番にダイレクトに響く肉感から
この特製ダレの濃度の深さも手伝って
齧り付いて咀嚼してるうちに野生的な
旨味からコクの深さが滲み出して来て
抜群に突き抜ける旨味の炸裂に感動!
この焼き鼈の味覚の奥行きの広がりを
途轍もなく深く感じます。

鼈の焼き物としての完成度も
鼈の妙味を後押しする甘ダレ
ピリッと辛味が効く粉山椒も
全てが混沌とする旨味の中に
渦を巻いて口内を蹂躙します。

鼈の骨にはコラーゲンたっぷりの
ゼラチン質がプヨンとへばり付き
其れをグゥッと引き千切って齧り
舌で舐め回すと快感が飛び回って
頬っぺたがストンと落ちる美味さ
食べ切った後も暫く骨を舐め乍ら
豪快な旨味の余韻が続いてました。

⑤揚げ物

□郡上八幡の落ち鮎の唐揚げ

郡上八幡の鮎ですとサイズ等気にしなければ
11月頃まで漁れる様でかなりの期間で鮎には
お世話になる事が出来るものだと感心します。
とは言っても季節感が大切な日本料理ですと
その時期まで鮎を出すのは難しいでしょうね。

そんな訳なので恐らく相当な期間しのはらの
鮎料理は引き続きご利用されてますが流石に
もうお終いになる様です。
名残の落ち鮎を卵いっぱいな奴で堪能したく
味わいたいと期待膨らませて目の前でガッと
此方を睨みつけている落ち鮎と睨めっこです。
さて、
産卵前の卵がいっぱい詰まってる落ち鮎を
大きく口を開いて眼光鋭い形相に負けじと
睨み返して頭から齧り付いて頂きます。
このサイズ感には良くしのはらさんで頂く
湖鮎でも産卵期にこれほどの大きさの物は
無いかも知れません。
此の位のサイズ感ですと口もエラも開いて
腑まで揚げた時の油が通る様に仕掛ける為
唐揚げにすると鮎に良く火が入りカラッと
仕上がり中も外もカリカリになるみたい。
なのでこんなに大きく口を開いた形相とは
理に適うカタチと言う訳になるのです。
故にこの落ち鮎を齧った時に感じる躍動と
破砕感が漲る揚げたてから来るサクサクは
とても心地良く響くと共にお腹いっぱいに
抱えた玉子の粒感も旺盛に歯触りを楽しめ
頭からどんどん貪り尽くしこれぞ落ち鮎!
と言う醍醐味を満喫させて頂きました。

⑥お口直し

□フォアグラとマンゴーと
パッションフルーツの最中

最中生地を炭火で焼く事で
温感とフォアグラの冷感の
コントラストが冴えており
美味しさがキュッと膨らみ
パリパリ感が伸びる最中。

⑦八寸

お部屋の明かりが一気に薄くなり仄かに
大根灯籠の薄明かりが揺ら揺らと輝いて
八寸のお膳が眼前に届けられます。
秋が深まるに連れて冬が近くなる景色を
忍び残花の趣を八寸に枯れかけたお花で
飾り付けをしており篠原大将の芸術的な
センスが光るあしらいとなっております。

その薄明かりに灯されて

〜鈴虫籠〜

[琵琶型の小鉢]

□帆立をブランデー・醤油・実山椒のタレで
染めた物

[黄色の小鉢]

□鰆のタタキ
玉葱と茗荷とカイワレにみぞれポン酢

〜箕籠〜

□蒸し鮑
□蛸の柔らか煮
□石川小芋の唐揚げ
□庄内麩にクリームチーズを挟んだもの
□水口(みなくち)千瓢の含め煮
□フルーツ鬼灯

流石ですね〜。

蒸し鮑から箸を付け最初にモチッと弾力が
感じられ肉感が伸びるものから咀嚼を開始。
次に蛸の柔らか煮が良〜く揉まれてるから
噛んだ時のプヨンと跳ねる食感が心地良く
響いて蛸の芯から甘味が健やかに伸びてて
噛み応えを満喫する美味しさに喜びを感じ
庄内麩をサクッと噛んでチーズがムニュッ
飛び出てチーズ味とお麩の淡白な甘味との
ハーモナイズが舌を落ち着かせてくれる。
このお摘み軍団たちの〆には殆ど見た事の
無い鬼灯のフルーツで〆る
このフルーツ鬼灯が目に飛び込んで来ると
此んな珍しい一品は経験値も乏しく初体験
鬼灯って凡そ苦くて食べれたものじゃ無い
と思ってましたがこんな甘い品種があると
思っても見ませんでした。

半分ほど食べ終わった所で次は色々な器に
盛り付けられている一品たちを酒のアテに
活用して珍味妙味鮮やかな八寸を頂きます。

[ガラスの器]

□無花果の胡麻ダレ掛け

前回糖度の高さと甘味の優雅な踊り方に
惚れ惚れした香川の無花果は終了との事。
本日のは普通の無花果に味覚の相性良い
胡麻ダレを纏わせたもの。
齧ればフワンと柔らかく潰れて行き乍ら
甘美な無花果エキスがジューシィに溢れ
口内を満たすと共に胡麻の甘味と香り共
同調し舌をまったりと撫でながら甘味で
満たしてくれました。

相変わらず絶妙な蒸し加減で無花果の甘味を
存分に引き出すものにて無花果の上に添えた
胡麻ダレが濃厚に甘美な味を無花果に重ねる。
胡麻ダレのコッテリした甘味が一緒に同居し
其の甘美な味覚が同時にトロ〜ッと身溶けし
舌に着地すれば堪らなく無花果の愛おしさに
溺れそうになります。
そうして咀嚼するかしないかの圧で無花果を
弄ってやるとこのジュワジュワ〜ンが此の儘
ずっと続き止まら無いで欲しいと言う願いが
沸々と沸き起こっておりました。

[黄瀬戸の器]

□泥障烏賊のぬた和え

泥障烏賊のネットリ粘性が穏やかに伸びる
食感と酸味も程々に散らされた美味しさが
自然と咀嚼を進めてぬた和えの味覚を堪能。
舌をぬた和えの甘酸っぱさとまったり感が
絡む食感でリセットしてくれました。

[柿の器]

□柿なます
柿の果肉がゴロリと2切れも入ってます。
なますをシャリシャリッと爽やかに噛み
繊維感がスキッと歯を洗う感じで酸味も
伸びてぬた和えの後に頂くと更に舌触り
爽快に膨らんで目が覚めて気持ち良い。

[白の丸い器]

□しめ鯖にラ・フランスを合わせて
上から霙酢をたっぷり掛けてます。

しめ鯖にラ・フランスと言う合わせ方も
個性的なら酸っぱい甘いを巧みに合わせ
新鮮な味覚を作り出す技術にも長けてる
こう言うキュンと来ちゃう甘酸っぱさを
味わいとして普通に成立させている所が
やはりしのはらさんの凄さだと思います。
このしめ鯖にラ・フランス果肉の糖度を
絡ませて香りも食感も鯖に匹敵するもの
然も決してしめ鯖を邪魔してないのには
舌も素直に喜んでおりました。

然もラ・フランスって収穫時期も短期で
旬の味わいが期間限定出来な果実なので
このチャンスを逃すと中々ですよね。
この時期に出回るラ・フランスは糖度も
高くて果肉がジューシィなうえにかなり
香りも強くなって来てて芳しさも楽しめ
それらをしめ鯖と合わせちゃう技ものの
お料理になります。
もう頬っぺた緩みっぱなしでした。

更にここで何と八寸からの流れを汲み
別皿で焼き松茸のご用意と来ました!

⑧焼物

□焼き松茸 岩手
□塩
□酢橘

此処で焼き松茸と言う温物を頂くのは
八寸で少し冷えた舌を蘇らせるのにも
温感で和やかに包んでくれて嬉しくて
ホッと安堵感が広がる感じなのです。
こう言う構成の緩急の付け方を見ても
とてと良く考えられてるなぁと感心。

然もお皿の上には炭火で焼き上がった
ばかりのホックホクの松茸様が湯気を
フワンと立ち登らせてて香りも芳醇に
鼻腔を擽っております。
その香りの誘惑に食欲が俄然膨らんで
来ちゃいますね。

お側に用意されてる酢橘を搾って
松茸に滴らせてからなるべく細く
松茸の極太のコロを割いて手前の
お塩をチョンチョンと付けてから
食べて下さいとのご指導の通りに
頂きます。

細く割いて頂いても見事なほどに
松茸エキスのジューシィさが浮き
旨み失われずに口内を蹂躙しつつ
ギュッと歯で松茸噛み千切る時に
心地良く弾む快感と芳しい匂ひが
口内に満ちて口福感にうっとりし
口内は喜びでいっぱいとなります。
更に
引き続き2本目3本目と咀嚼を重ねると松茸の
軸からの旨みエキス瑞々しくジュワァンと滲み
口内に零れて来て松茸の旨み色に染まって来て
悦楽の味わいに舌が溺れてしまいます。
而して
お口の中は瞬く間に松茸の気高き匂ひが充満
旨みエキスが鮮やかに浮き上がりその香りも
極上の旨味も口内に渦巻き満ち満ちて至福の
ひと時を迎えさせて頂きました。

⑨握り寿司

□羅臼の鰤の漬け

お料理店で頂く握りとしては
中々の貴重な一貫です。
シャリが柔らか目な炊き方で
酢飯が少し甘く感じられます。
鰤がかなり漬けの酸味が良く
切れ味が良くて咀嚼が進む。
チョット舎利が追いついて無い
感じがしますが許容範囲かなと
八寸を〆るカタチで登場しつつ
舌を旬のピンネタで楽しませて
くれる一貫となってます。

⑩強肴

□飛騨牛 飛び牛のシャトーブリアン
■お塩
■山葵
■おろしポン酢
■醤油

此奴はやはり贅沢なお供として天下一品
豪快な飛騨牛飛び牛の肉肉しい躍動感が
迫力の肉感と圧巻の旨味を口内に満たし
飛騨牛ヒレ肉の魅力を炭火の力がグッと
引き出して山葵が綺麗に肉の甘味に対し
輪郭をクリアに浮かばせて来ます。
肉質の品格の良さも有り肉汁溢れ出るも
サラリと甘く旨味と調和して来る味わい

フワンとお肉が柔らかく歯を招き入れて
肉肌の官能的な旨味が舌を蠱惑して来て
咀嚼が止まらなくなります。
肉肌の官能的な柔らかい味に舌が抱かれ
お肉を噛んでジュワ〜ッと零れる旨味に
没頭して舌が耽溺の中に埋没してました。

⑪牡丹海老の紹興酒漬けと海胆和え

牡丹海老の紹興酒漬けに馬糞雲丹を
絡ませて海胆和えっぽい感じとなり
海胆珍味を纏わせた牡丹海老の瀞み
そのトロットロ〜ンの食感に加えて
紹興酒が爽やかな潤いを含む旨味が
寄り添って素敵に美味しいが膨らむ
一品となってます。
紹興酒と交わり合う極上の牡丹海老が
艶やかに蕩ける甘味を振り撒いて舌を
蠱惑の中に招き入れておりました。

⑫鍋物

□伊勢海老
□季節の茸6種
□海老味噌を溶いたスープ
□九条葱
□京揚げ

季節の茸〜
平茸
ハナビラタケ
鮑茸
白麗茸
山伏茸
琥珀茸

良くこれだけの茸を揃えておられます。
酷暑だったのでキノコ類は成長しなくて
蒐集するのも大変だったかと思います。
そんな劣悪環境でも
伊勢海老で取った旨味溢れるお出汁に
秋の茸の香りと旨みをドッサリ写して
その上に伊勢海老の味噌までも溶いて
味わい深く含ませた小鍋仕立てです。

思わず唇にお鍋のスープを触れさせる
伊勢海老と茸の旨味がジワリ滲み出て
堪らなく濃厚な滋味溢れる旨さが舌に
ジワァッと染み入り美味を奏でます。

スープのコクの深さと言い旨み広がる
味わいと言いどんどん深みにハマって
お口に広がる美味しさ続いて
キノコにどんどん繋がる妙味
伊勢海老に絡むスープの滋味
何奴も此奴も全部がピタッと
味覚同士を寄せ合い舌を誘う

濃厚スープに絡んで元気な伊勢海老を
宥めるかの様に九条葱がシャキッとし
繊維感を露わに曝け出し乍らスカッと
熱くなった舌への刺激を諌めてくれる
この濃厚な旨みたちとの合間を絶妙に
繋ぐ感じが更にスープへの欲を唆る。

ふぅ〜、今日は絶品続きの一品ばかり
満足感で高揚しっ放しでした。

⑬お食事

□岩手産松茸の炊き込みご飯
□赤出汁
□レンコン餅
□蕎麦米
□黒一味
(蕎麦米プチプチしておいしい。黒
一味がインパクトのあるアクセント。)
□香の物:キャベツの重ね漬け

やっとお食事に辿り着きました〜。
でもお腹はかなりはち切れそうで
ご飯がはいるかなぁ〜と心配気味。

恒例の如く土鍋の中をお披露目です。
おぉ〜、期待は外しませんね。
純白のコロの部位の松茸スライスで
一面を染めて正に松茸絨毯の様相を
呈しています。
一面雪化粧ならぬ松茸化粧です。
松茸は軸のど真ん中しか使用せずで
一番香り高き美味しい所を満載です。

炊き上がったばかりのご飯に松茸を
絨毯爆撃して土鍋の蓋を閉めて蒸す。
そうする事で松茸の鮮度が劣化せず
香りも瞬時に米粒に深く馴染みつつ
旨みは倍増と言う感じの松茸ご飯に
仕上がる様です。

此処で流石はしのはら流ならではの
小技がキラリ光るアクセントが入り
松茸ご飯を昇華させちゃいます。

もっと美味しくもっと松茸の味を深め
美味しいの常識を超えていく美味への
探求を常に怠らないしのはらさん流の
ご飯への振り塩の施しでお茶碗に装い
松茸ご飯の上からパラパラと塩を振り
更に松茸の滋味を深めて味わい極めて
お手元に届けて頂きます。

その松茸ご飯を一口頂いただけでもう
天にも昇る気持ちとなりお口が開いて
ホント塞がらない体となって美味妙味
更に旨味爆裂ジワァッと口内で馴染む
松茸の美味さとご飯のハーモナイズが
極自然に進み互いの美味しさが馴染み
完全な洞調律を演じてご飯が輪舞です。
いゃあ、此れ絶品ご飯で至高品となる
ひと時を頂き興奮がずっと続いて舌が
唸りっぱなしでした。
兎に角
振り塩するだけでこんなにも松茸ご飯が
その旨味をくっきりと輪郭を曝け出すか
と、かなり衝撃的な美味さとなっており
松茸の香りとお米の甘味が塩味を加える
事でグゥッと松茸ご飯のポテンシャルを
引き上げてるのです。
悶絶する松茸ご飯に完全に脱帽でした。

⑬甘味

□栗の葛焼き
□お薄

白小豆をお水と葛で溶いて練り込んだものに
焼いた栗を射込んでます。
モチッとする食感から甘い妙味が舌と戯れる
そんな感じの楽しい甘味を頂きました。

2024/01/12 更新

33回目

2023/09 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

中秋の名月を雅に整えて秋味満載の和空間にて酒肴を嗜む至福のひと時

■訪問日 2023.9.28(木)17時〜19時40分

■お料理 お任せ¥35,000税込
オプションall追加¥4,800
お酒含むお会計¥44,800税込

■予約 受付開始日にお電話で予約

⓪香煎茶

オールドバカラのグラスに注がれた
定番の昆布茶で舌を湿らして頂いて
お腹もほっこり落ち着かせてくれて
お料理をお待ちします。

①先付前菜

中秋の名月に因んでお月様に豊穣の感謝の
気持ちを込めて月神様の月読尊にお供えを
奉じる慣わしが有りその趣を醸し出す様に
三宝に芋の葉とススキをあしらっての前菜。

□兎の器に胡麻豆腐の胡麻酢餡かけ
□きぬかつぎに黒胡麻
□枝豆の紹興酒漬け
□蒸し鮑
□蛸の柔らか煮

■揚げ銀杏 振り塩(別皿)

少し間を置いて別皿で揚げたての銀杏が
用意されてました。

月見団子に見立てた胡麻豆腐はぷるんプルルン
兎さんの器には真っ白なお月様の見栄え美しく
お豆腐にかけられている胡麻だれの純白さには
感嘆あるのみ。
舌触りの滑らかさも正にシルキーそのものにて
舌にお豆腐と胡麻だれが絡み乍ら一緒に着地し
ジワジワァンと胡麻の芳しさとお豆腐の甘味が
行き交い愉悦を受け取ります。

高台に用意された衣被の里芋は一口くらい程の
サイズ感も茹でた加減も丁度良くヌルリと舌を
滑りながら振り撒く甘い味わいが楽しい一品で
其処にモチッとしなやかに肉感を整えて来る鮑
コレが又絶品の美味さで歯を喜ばしてます。
更に魅力的なアクセントの味が染み入る枝豆が
紹興酒漬けの甘味を滲ませていて味覚の様々な
色合いが浮き出ている前菜模様に感動しました。

追って別皿で登場のホクホクの揚げたて銀杏も
塩味がとても良い塩梅で振られておりコリッと
噛んでホクッとする破砕感が清々しくて美味を
こよなく感じるものでした。
気がつくと
スタートから酒が進む進むとなり酔っ払いの道
大行進となる銘酒「しのはら」をクイッと煽り
飲み干しておりました。

②お椀

□繊切り松茸
□瀬戸内の鯛の塩焼きを椀種に
□菊花の吸い地

一目惚れしてしまうほど菊花がお椀に雅に
敷き詰められて黄菊の絨毯の如く鮮やかな
色合いで地を染めております。

榎木の様に細く繊切りして山盛りにされた
松茸をポトンとお椀の中に落とすと忽ちに
とても芳しい松茸からの匂ひがプワァンと
湯気と共に立ち上がり地にも写り留まって
吸い地を啜るとその香りと共に優雅な味を
楽しめます。

更には

鯛の脂汗からも力強い旨味が流れて来てて
実に地の表情の変化を楽しめるお椀となり
舌が喜びに満ち溢れてます。

然も椀種の鯛の底力が漲るかの如く立派な
堂々たる佇まいから底味がしみじみと漂い
逞しさと優雅な味わいが同居する整え方に
舌が完璧に狼狽えてしまいます。

菊花がいっぱいに敷き詰められている故か
最初は大人しい静かなお椀かと勘違いして
真逆の鯛の力強さを松茸の香りがこれ程に
良く互いを理解し合って馴染み合うなんて
意外な味わいの深さが佇む椀盛にて圧倒の
秋味を頂きました。

③鮪の海胆の太巻き

□赤身の漬けに山葵和え
□中トロは煮切りで
□すき身はべったら和え
□胡瓜の繊切り
□紫海胆
□胡麻
□花穂紫蘇
■別皿でガリをご用意

この太巻きの中身が中々のてんこ盛りで
具材の豊かさにてんてこ舞いとなるほど
沢山のネタを巻いてます。

永楽の写しの陶器皿には

赤身は漬けを施して山葵と和えたものと
中トロは単純に煮切りで整えた本鮪から
すき身はべったらと胡麻で和えたものを
ご用意されてます。
更には胡瓜の繊切りに花穂紫蘇を添えて
締めに海胆迄も射込んで巻物にしてます。
真逆海胆迄参加してバージョンアップし
久し振りの再開となるリニューアルした
太巻きに懐かしくもあり嬉しい驚きとの
出会いも有りの此奴らの太巻きを一口で
頂いて下さいとのお達しにうぅと唸って
少し困惑気味な一気食いを楽しみます。
覚悟を決めてガバッと大きく口を開けて
挑みますと太巻きの端の方から鮪が少し
ムニュッと口からはみ出してきて零れて
仕舞いそうになりますが其処を指で抑え
グッと突っ込んでやり何とか一口で納め
モグモグとゆっくり咀嚼すれば後は結構
スムーズに舎利と一緒に解けて行きます。

一所懸命mogmogしてるとお口の中では
漬けもすき身もトロもべったらも胡瓜も
皆様が仲睦まじく交差し合い素材全ての
持ち味がお口の中でグルグルと渦を巻き
極上な美味さに高められて行き太巻きが
口内で暴れて鮪太巻きの醍醐味を存分に
味わせて頂きました。

④焼物

□鼈のタレ焼き
□粉山椒

堂々と肉感漲る勇姿に惚れ惚れしつつ
最初の一口だけ齧った途端に溢れ出る
しのはら特製甘だれと鼈肉の衝突とが
衝撃的な美味さを繰り出す。

炭火の香りの芳しさがフワンフワァン
と鼻腔を掠め猛烈に食欲を唆って来て
堪らなくなります。
鼈の塊のお側に添えられた粉山椒から
ツンと鼻腔に刺さる刺激の香りが漂い
粉山椒をパラパラ〜ッと振りかけた後
咀嚼を進めてみますと激しく立ち上る
香味が更に肉欲を誘って来て舌を魅了
とても堪らなくなり手掴みしながらも
ガブッと齧って喰らい付いて行きます。

齧った途端に猛然と逞しい肉感が迸り
旨味も珍味も漲る鼈肉の塊を歯で削ぎ
骨の髄まで一気に齧り付き舐め尽くす
鼈肉が歯にガツンと当たったと思うと
鼈の肉片がペタッと吸い付きながらも
ダイナミックな肉感其の儘に口内では
肉汁と共に縦横無尽に暴れまくりにて
この生命力溢れる豪快な肉の旨味こそ
焼き鼈の醍醐味と感じられ理屈抜きで
とことん骨が丸見え状態になるまでに
食い千切っては舐め尽くし貪りました。
肉片が消滅して骨だけが曝け出されて
まだ骨肉の残滓を舐めたくなる衝動に
駆られ続けて中々諦めが尽きません。

もっと吸い付きたくなるこの鼈珍味は
ホント、飽きが来ない不思議さに満ち
これ程の衝撃的な味わいとは信じ難く
兎に角ビビッと脳天を突いてくるのは
最初に齧った時のストレートな肉感と
その直後に届く鼈肉からの強烈な旨味
そして
鮮烈なゼラチン質の脂質の膨よかさに
濃厚なタレ焼きの甘味が覆い被さって
麻薬的な妙味が生まれ更に欲を唆って
止まらなくなると言う欲望の循環には
抗いにくいものが有りました。

欲望に身を委ねて何も考えずにガブッと
鼈肉に齧り付きつつ肉布団の中に埋もれ
ゾクッとするほどの旨味に舌が震える中
鼈の肉塊に果敢に挑んで行きたくなる。
そんな感情がズ〜ッと芽生えて来ながら
咀嚼がどんどん進んで仕舞う羽目に陥り
その猛々しい肉感と野性味溢れる味覚が
重なり合い全顧客の口を沈黙させつつも
大満足を得た一品で御座いました。

⑤お口直し

□香川の羽間無花果の胡麻味噌焼き

酸味と甘味のバランスがとても良く釣り合う
ジューシィさ溢れる無花果でとよみつひめ?
よりも甘さが芳醇に感じられる気がするのは
錯覚かなと思いつつ一度両方を食べ比べして
確かめてみたくなりました。
何れにせよ蒸し加減が抜群に無花果の甘味を
存分に引き出すものにて無花果の上に乗せた
焼いた胡麻味噌が濃厚に甘美な味を無花果に
重ねて来ており無花果のジューシィさの間に
胡麻味噌のコッテリした甘味が佇んで同居し
其れ等が同時に舌にトロンと解け着地すると
もう、堪らなく甘美な味わいに舌が蕩けそう
となり無花果のエキスに混ざって一緒になり
身溶けして仕舞いたくなります。
このジュワジュワ〜ンと口溶けする無花果に
何時迄も続いて欲しいと切に舌がお願いして
叶わぬ事と知りつつ羽間無花果に思いを馳せ
願って止まないので有りました。

⑥揚げ物

□琵琶湖の落ち鮎の唐揚げ

産卵前の卵がいっぱい詰まってる落ち鮎
相当厳つい形相で此方を睨みつけている
ガッと大きく口を開いて眼光鋭い形相に
負けじと睨み返して頭から齧り付きます。
湖鮎でも産卵期にはこんなに大きくなる
と言うのは意外に思えて年間通して食す
湖鮎は小さいサイズの物ばかり見るので
珍しさが膨らんだのかも知れません。
此の位のサイズ感ですと口もエラも開き
腑まで揚げた時の油が通る様に仕掛けて
唐揚げ調理すると良く火が入りカラッと
仕上がる様です。
なのでごっつい形相もきちんと理に適う
カタチと言う事だったのですね。
そうして揚げたてのサクサク感が漲って
破砕感心地良く響きお腹いっぱい抱えた
玉子の粒感も旺盛に歯触り楽しめる物で
頭からどんどん貪り尽くしこれぞ落ち鮎!
と言う醍醐味を満喫させて頂きました。

⑦箸休め

□フォアグラとマンゴーと
パッションフルーツの最中

最中生地を炭火で焼く事で
温感とフォアグラの冷感の
コントラストがクリアーに
芽生えてサクサク感が漂う
最中生地とフォアグラから
耽美でクリーミィな甘味が
舌を一気に陶酔させ極上の
美味をキュンと唸るくらい
膨らませておりました。

⑧お月見八寸part1

八寸が一つのお膳に乗り切れず別途
お膳に配された子付や小鉢等に配し
お酒のアテとしても十分な陣容にて
盛り付けられ合わせて2回に分けて
八寸を頂きます。
こちらだけでも十分な八寸の前哨戦
此処まで品数を日々揃える精力には
ホトホト感嘆してしまいます。

□戻り鰹のたたき:おろしポン酢
□膾(なます):小鯛の昆布締めを挟んで
□車海老の昆布締め
・もってのほか菊と酢橘の割醤油
・山葵
□ブランデーと山椒ダレと醤油に漬け込んだ渡り蟹

全てが酒のアテにバッチリ相性良くて
食べる順としてのご指導を頂きまして
膾→車海老→鰹の叩き→渡り蟹の順に
頂くのがよろしいかと言うお話に従い
お口に次々とお酒をチビリと嗜みつつ
頂戴致しました。
膾はじっくりと酢に漬けられて程良い
酸味と小鯛から僅かに昆布のうま味が
ジンワリ漂う感じで混じり合ってます。
最初に膾がお口の中をスッキリさせて
次に進む準備をしっかり舌を慣らして
頂ける一品となっておりました。

次に控えしは車海老の昆布締めです。
もってのほか菊がシャキッと繊維感を
伸ばしつつ車海老のプリプリな白身が
対照的な食感で甘酸っぱさを纏い美味。

鰹の叩きは身厚でしっかり食べ応えが
伴いと咀嚼が嬉しくなってしまう程で
しっとり戻り鰹の醍醐味を頂きました。

更に

ブランデー漬け渡り蟹には蟹スプーンの
ご用意が有りシャカシャカと殻から身を
掻き出してトロットロンに蕩けた渡り蟹
ブランデーの香りをフワンと纏い鼻腔を
掠める心地良い香りが食欲を掻き立てて
妙味を振り撒きながら柔らかい瀞みとの
調和が見事に整う味わいでした。

◉伯楽星

⑨握り

□ 秋刀魚の握り
□ 墨烏賊の握り

最近の篠原さんは八寸の途中で握りを
サクッと食べさせてくれる粋な計らい
これも中々乙なおもてなしかと感じる。
中々日本料理店で握りメニューを挟む
と言うのも変った趣向かと感じますが
楽しいひと時を頂きます。

⑩お月見八寸part2

重陽の節句に因み菊で飾り付けをとの
つもりが此の暑さで菊が全然良く無い
綺麗な飾りとなる様な菊が見つからず
其処で里山の秋の風景をイメージして
八寸に写されたとのことです。

此方の八寸が本番となります。
お部屋の明かりが一気に薄くなり仄かに
大根灯籠の薄明かりが揺ら揺らと輝いて
八寸のお膳が眼前に届けられます。

その薄明かりに灯されて

芋の大きな葉の上には鬼灯と栗にススキ
秋の風情を愛でられてとても雅な美しさ
しのはらさんのこの1シーンの印象的な
光景は何度も目に焼き付けたくなります。

[柿の器]
□柿と梨の白和え

[角皿]
□梭子魚の柴漬け焼き
□丸十の栂尾煮
□玉子を蒸し上げた玉子真薯
□胡瓜 大徳寺麩 海月の酢の物
□海蘊酢

[葛屋の器]
□鰊茄子

こう言った所で秋の風情を楽しみながら
酒肴を楽しんで頂きたいと言う大将から
心意気がビンビンに伝わって来ますね。

先ずはこの時期の名産品である鰊茄子は
一番に頂きたくなる逸品で欲を掻き立て
食がつい進んで仕舞うもの
ジワッと出汁で煮込まれた鰊とお茄子の
コンビネーションが成せる技ものの味覚

茄子紺が美しく甘味が清らかなる味わい
鰊は真っ黒に日焼けして冷製に仕上げて
京都のおばんざいそのままと言う感じの
仕上がりに参るのです。
こんな絶品の鰊茄子に巡り会って仕舞い
舌が歓喜しちまって堪らないですね。
八寸に位置するボリューム感も小振りで
丁度お口に合います。

此の八寸の合間に墨烏賊の握りが届いて
お口直し的な感じとなるのが舌を刺激し
食も酒も自然に進んじゃいますね。

小話でチョット驚いたのがススキのお値段
八寸に飾り付けの綺麗に流れてるススキは
一本数百円もするそうです。
ススキも到頭サンマを超える時代が来たか
と話を聞いて目がパチクリしちゃいました。

秋のお魚の梭子魚が脂質も旺盛に漲りつつ
柴漬けをチョコンと添えて脂の濃度を宥め
程良く梭子魚の甘味を整えております。
咀嚼するとジュワンと脂質が零れ美味し!

丸十や玉子の真薯がソフトタッチで咀嚼を
進めてくれて少しお口が忙しい。
次から次に繰り出される八寸の多様な味覚
この秋味の連打には流石に舌も唸り続けて
途中でお疲れ気味になりますね。
其処に海蘊酢をちゃんと用意してくれてて
舌を慰めてくれる優しい味の整え方に感謝

そして八寸の〆には

まったりとして舌触りも滑らかに柿と梨の
白合えが良い感じで舌を骨休みさせてくれ
良い感じの塩梅です。

⑪珍味

□牡丹海老の紹興酒漬け
□泥障烏賊
□海胆ソース

八寸に引き続き間隙を縫う様にご用意
牡丹海老の一品が届きます。
この小鉢の中に舎利玉を入れて下さり
かつ海胆ソースで和えて仕舞うと言う
色々変幻自在に味わい方を創意工夫し
舌を楽しませてくれまれる品々に感銘

その間に次のお料理の鍋物の下拵えを
お料理人が伊勢海老相手に包丁を入れ
バリバリッと出刃包丁が殻を割りつつ
胴体をガバッと捌き奮闘しております。
その直ぐ隣でしのはら大将が厳しくも
優しい眼差しで包丁の捌き方を教育し
臨場感溢れる調理の場を直に鑑賞出来
この珍しいシーンをカウンター越しに
眺めて楽しむと言う有り難さを感じて
暫しジッと見つめて仕舞いました。

⑫鍋物

□伊勢海老
□季節の茸
□海老味噌を溶いたスープ
□九条葱

先程豪快に捌いていました伊勢海老の身が
鍋の中にドボドボ〜ッと一気に注がれます。
カウンタ越しに鍋の中を見る事は能わずで
想像するに伊勢海老が恐らく鍋の中で暴れ
グツグツと煮込まれ乍ら海老味噌の溶き汁
いっぱいに馴染んで珍味を身肉に寄せつつ
旨味を育ててるのでしょう。

一方茸郡の方は季節の茸としてのご用意で

大黒占地
平茸
花びら茸
鮑茸
柿の木茸
とまぁ多彩なる茸たちで日々仕入れ状況で
変わる様です。

その茸からの甘味や旨味がベースの伊勢海老
スープに取り込まれながら茸からの味を写し
伊勢海老と共に仲睦まじくいいお出汁を形成。

中鉢に緑色の海老味噌スープと一緒に注がれ
九条葱もてんこ盛りに盛り付けた伊勢海老と
茸の鍋物は見るからに欲を唆って来ますね。

そして
一口海老味噌スープを啜って仕舞って感銘
伊勢海老の濃厚な味噌が出汁に溶かされて
旨味と珍味がないまぜとなった甲殻風味と
コク深さが同居する極上の妙味に唆されて
ゴクリと飲む度に舌が疼いて仕舞っており
無我夢中となってしまいます。

また、伊勢海老からは

ダイナミックな肉感が呼び覚まされ舌に届き
プリプリッと口内で弾け飛んで踊り続けては
甘味を振り撒いて実に楽しい味わいを広げる
其処に九条葱がシャキッと心地良い食感にて
咀嚼感をキュッと伸ばして味覚と食感の共演
味わい深めて行く伊勢海老スープと共に味の
グラデーションが素晴らしい展開を見せつつ
舌を陶酔の世界へと導いておりました。

⑬飛騨牛炭火焼き

□飛騨牛 シャトーブリアン
□お塩
□山葵
■おろしポン酢
■醤油

炭でじっくり時間を掛けて焼かれてます。
かなり前に焼き台に炭の火を入れた所に
飛騨牛のブロックを置きモクモクと煙を
立てながら表面は黒焦げになるくらい迄
焼き上げてました。
八寸より前のお時間頃より火を入れてて
相当なお時間を費やして焼かれてますが
焼き上がったばかりの肉塊を箸先で掴み
一齧りしてみて驚きの柔らか〜な食感に
驚愕しちゃう、やはりシャトーブリアン!

がぶり付くと黒焦げの皮目は少しカリッ
中の赤身肉
ローストの

シャトーブリアンにおいては赤身肉であるにも
関わらず運動量が少ないために柔らかい身質を
保有しており分厚くカットしててもその身肉の
柔らかさは太鼓判で硬さが全く気にならずデス。

それでいて咀嚼すると歯切れも良く脂質が甘く
ジューシーにジュワンと唸って零れて舌で味が
浸透した時には肉質が上品で優しくも躍動感も
漲る美味しさなので其の儘でも塩でも醤油でも
味蕾をカッと開いて全力で噛み締め乍ら価値を
最大限に味わって喜びを享受すべき逸品でした。

今回は単品でご飯の前に頂きましたが白ご飯の
お供としてご一緒しても抜群の旨味を恐らくは
発揮して舌を喜ばす事でしょう。

更に飛騨牛ローストの咀嚼を重ねて行きますと
ヒレ肉の力強さとナイーブさが同居する肉感を
頂きながらフワンと柔らかく歯を招き入れます。
その官能的な味わいには途轍も無くうっとりで
此の儘昇天しても構いません位に思って仕舞う。
その肉肌の官能的な旨味の渦に巻き込まれつつ
その柔肌からエロい肉感と肉汁が舌を抱き寄せ
トロンと蕩けさせちゃう魅惑の味わいに脱帽し
この飛騨牛の焼き物の美味なるインパクトには
脳天まで突き抜け脳裏に鮮やかな刻印を留めて
おりました。

⑭お食事

□岩手産松茸の炊き込みご飯
□振り塩
□赤出汁:新潟の車麩
□香の物

土鍋のプレゼンテーションからも
ワクワクドキドキしっ放しとなる
真っ白な松茸の軸で埋め尽くされ
松茸絨毯の見応えのある美しさに
先ず見惚れてしまいました。

炊き上がったばかりで湯気が立つ
ご飯へ切り立ての松茸を投入して
蓋を閉めご飯と一緒に蒸し松茸の
鮮度其の儘に香り付けと旨味をも
一緒に写すとしなやかな儘の松茸
から味わい深い味覚が素直に写り
ご飯の米粒にスッと馴染むとの事

お茶碗にフワッと装って下さって
一口を摘んだだけでフワワァンと
鼻腔から口内にまで松茸の匂ひが
心地良く充満し幸せ気分が溢れる

そして

ホックホク炊き立て松茸ご飯には
お塩をかけて混ぜ混ぜして食べる
お塩が良い仕事振りで松茸ご飯に
ほんのりと底味を浮き上がらせて
誠に松茸の風味と旨味をくっきり
底上げしながらも味わいの輪郭を
綺麗に際立たせるお仕事振りには
舌が感銘の領域を飛び越えるもの

斯様に松茸ご飯の旨味が明瞭なる
味わいで舌に着地してくれるのは
実に至福のご飯と感じで興奮度も
満足度もMAXにて口福そのものを
頂いた気分に浸って仕舞いました。

松茸ご飯の後にジワッと舌を温め
ムニュッと食感を伸ばしてくれる
新潟の車麩もとてもほっこりとし
お味噌の落ち着く味わいが素敵な
和みのひと時を与えてくれました。

しのはら松茸定食をご馳走になり
感謝と感動を頂き秋味を満喫して
大満足のお食事となりました。

⑮甘味

□能登大納言の水羊羹
□お薄

2023/12/06 更新

32回目

2023/06 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

初夏への移ろいを感じる紫陽花が鮮やかな八寸に旬の鮎の食べ比べが舌を唸らせる

◆訪問日 2023.6.10(土)17時〜19時半

◆お料理 お任せ¥35,000税込
オプションall追加料金¥4,800
お酒含むお会計¥49,400税込

◆予約 受付開始日にお電話で予約

⓪香煎茶

定番の昆布茶で舌を湿らして頂き
お腹もゆるりとほっこり落ち着かせます。

①先付[昆布船]

○酢飯
○積丹半島の馬糞海胆
○車海老の天麩羅
○いちご煮風餡掛け

昆布船と言う珍しいあしらい方の先付にて
解禁となりました積丹半島より馬糞海胆を
贅沢にもご用意して酢飯と和えてます。
いちご煮風にした餡を掛けて合わせてます。

昆布船には酢飯を海胆和えにして敷き詰め
その上に車海老の天麩羅で雅な盛り付けで
完成されております。

海胆和えの酢飯からトロンと瀞みが訪れて
その後で車海老の天麩羅サクサク感が届く
これが実に良い塩梅でコントラスト妙味を
膨らませて来るのが舌を美味しくさせます。
酢飯に海胆を纏わせて瀞みを持たせた上で
天麩羅の軽やかな衣で食感を整えに来てて
天丼風な感じで仕上がりを滲ませてる所に
しのはら大将の類い稀な料理センスが光る

更に海胆が溶け込んだいちご煮風の餡には
コクと旨味が生まれ車海老のプリプリ感が
満ちる肉感を穏やかに纏い甘味を広げてて
車海老の天麩羅からはサクッと響く食感と
プリッと跳ねる弾力感が交差し滅茶滅茶に
旨しの感動が口内に鳴り響いてました。

最初にこんな衝撃的な美味しいご飯ものを
頂いてしまうとやはりお腹は落ち着くなぁ
と安堵感が広がって嬉しくなるものですね。

②お凌ぎ

氷室の神事に倣って榊が載せられた釣瓶の
木箱の中に氷を敷き詰めオールドバカラの
小鉢が納められております。

氷室の神事は邪気を祓う目的も一つですが
夏バテしない様に暑気払いの願いを込めて
皆様の健康を守る意味合いも有ります。
そう言う気持ちを込めての一品となります。

○蒸し鮑とクレソンと海苔のお浸し
○別の小皿に小さくカットした板海苔
◯花穂紫蘇

蒸し鮑が地に浸されてうま味を膨らませて
パクッと噛んだら硬すぎず柔らか過ぎずの
シコシコ感が漲り食感豊かに口内で跳ねる
咀嚼が楽しくなり美味しさ広がりますね。

其処にクレソンがシャキッと青みを足して
鮑の旨味と対照的な味わいを見せてくれる
其処に丸友の板海苔を散らして磯の香りが
振り撒かれて食感と香りと旨味の3拍子を
巧みに整えている一品が完成されてしまう。

この巧みな味の整え方仕上げ方の上手さに
何時も拍手喝采してしまうのである。

③お椀

○煮麺
◯雉羽太
○赤芽付き蓴菜
◯梅肉
○隠元
○酢橘の飾り切り
◯生姜風味を含ませた地

梅雨の季節に雅な光を放つ旬の源氏蛍の
蒔絵が美しいお椀に夏の滋養をサラッと
身体に優しく口当たり穏やかに取り込み
元気を頂けて嬉しくなる椀盛となります。

雉羽太は夏場が旬のお魚の様に言われますが
産卵期は夏場なのでそれ程でも無いかと思う
逆に冬場の油の乗った時期にお鍋にするのも
美味しいのかなと思いつつ純白の身を眺める

地に浸されて浮かぶ煮麺がとても夏に食欲を
唆る雅な佇まいを見せて周りにプカリ浮かぶ
赤芽付きの蓴菜が微笑ましく思えて来ます。

梅肉の鮮やかな赤が雉羽太の純白との配色が
良く映える色彩を見せてお椀に浮かぶ姿態の
美観が実にキレイに感じる。

煮麺がツルリと舌触り気持ち良く口内を
滑り流れて温感を残しつつ出汁の旨みが
舌を馴染ませて雉羽太を誘い込んでくる。
雉羽太はふっくら身質を自慢気に讃えて
フワッと舌に着地して嫋やかな身からの
弾力感と気品のある脂質が乗って淡白な
味わいが迫力を帯び歯応えを感じる。

食欲を自然なカタチで進ませる香りにも
誘われる中でほんのりと舌を痺れさせる
刺激を頂く生姜の佇ませ方が奥床しくて
舌を元気に溌剌とさせてくれる味わいに
酔いそうになります。
こう言うあしらい方の上手さには定評の
ある篠原流をある意味尊敬の念を抱いて
飽きの来ない流れが素敵です。

そして
〆はともすると忘れてしまいそうになる
隠元の絶妙シャキシャキ感が伸びて来て
咀嚼の自覚を促してお椀を整えてました。

④焼物

○琵琶湖の鮎と郡上八幡長良川の鮎食べ比べ
○蓼酢

本格的な鮎の季節が到来となり鮎も本番を
無事迎えることが出来て喜んでおられます。

鮎を二尾産地違いで朴葉皿の陶器に用意
二尾を重ねて盛り付けられております。
上に載せてある方が湖鮎で小振りなもの
下は郡上八幡長良川の若鮎で1サイズ程
大きな若鮎で大将自ら備長炭で仕上げて
こんがりと皮目が狐色に焼かれています。

この6月〜7月の頭位までの時期にしか
丸ごと齧り付いて食べれる焼き加減とは
行かずこれ以上大きくなると矢張り骨も
かなり硬くなりなり焼き切れず焼いても
今度は身が乾燥し過ぎてパサつく様です。

琵琶湖の湖鮎は固有種で成長してもそれ程
大きくならず小ぶりで焼くのにも最適にて
大きな囲炉裏鉢に串刺しされた湖鮎が並び
臨場感が溢れる演出には溜息が出る程です。

鮎の食べ比べは上に乗ってる湖鮎の方から
パリッと噛んで頭の方から一気に齧り付き
貪り尽くして食い散らかしつつ頭も小骨も
ムシャムシャ腑も身も全部一緒に食らって
甘味やほろ苦さと交流が進み絶妙な妙味を
作り出してくれる

一方で郡上八幡の立派な若鮎はサイズ感も
重量感もワンランク上と言う感じでその分
噛み応えも食べ応えも大きく唸って頭から
齧り付きバリバリと豪快な若鮎の破砕感が
欲を更に唆って来て若鮎の醍醐味に酔う

どちらが好みかとの大将からの問いに対し
やはりこの時期の鮎としてのウマミが漲る
塩焼きは郡上八幡の方が個人的には満喫し
迫力と力強い美味さが一歩優ってるかなと
感じました。

⑤焼物

○とり貝の炭火焼
◯金網上の玉鋼で焼く鳥貝
○酢橘

パンパンと上から鳥貝を振り下ろし
叩きつけるとグニュ〜ッと蠢き身が
引き締まって行く
更に玉鋼で鳥貝全身に満遍なく火が
入り身質がキュッと締まり旨味との
距離が縮まって甘味が膨らんで行く

玉鋼での焼き立ての鳥貝は瑞々しさと
芳醇な甘味が同居し鳥貝の持つ本来の
味わいを悉く曝け出して来てて玉鋼の
火のチカラが存分に効果発揮するもの

ジュワッと焼かれた鳥貝は悩ましい程
モフモフする部分から甘美なる食感と
ジューシィなまでの旨味が口内に満ち
噛む度にグニュ〜ッと伸びる肉質感と
味わいが共鳴しつつ広がって行きます。

鳥貝からの旨味エキスに口内が犯され
途轍もなく美味が広がる甘美な世界へ
舌を導いておりました。

⑥揚げ物

○鼈の竜田揚げ
○山椒塩

しのはら料理の特徴の一つに鼈を多角的に
季節に応じて引き算の調理方を変えて来て
そんな鼈料理を楽しませてくれる趣向での
ご用意に感心してしまいます。

今回はタレ焼きでもなく唐揚げでも無くて
お久しぶりの竜田揚げがご登場し頬っぺた
ニンマリ綻ぶ嬉しさが込み上げて参ります。

両手で熱々の鼈を持ちガブッと竜田揚げに
齧り付くとお醤油風味の下味がジワリ鼈の
肉塊やゼラチン質にしっかりと染められた
竜田揚げが口内で珍味をしっかり振り撒き
舌は鼈の勢いに押されながらも燥いでます。
その竜田揚げを全部舐め回して竜田揚げの
揚げ衣の少しプヨンとする脂質も美味しく
全ての部位までも全部食い千切り喰らって
貪り尽くして名残りは小骨のみとなるまで
しゃぶり尽くして咀嚼が中々止まらなくて
顎が疲れてしまう感じとなりました。

しのはら大将曰くタレ焼き以上に鼈らしい
肉塊の旨味を引き出すことの出来る料理が
この竜田揚げだと言われてました。

その鼈の竜田揚げを骨の髄まで貪り尽くし
小骨にへばり付いている鼈の肉片までもが
全て極上の美味しさを撒き散らし乍ら舌を
魅了しこの上なく愉悦するひと時を頂いて
至福の時間を過ごしました。

⑦フォアグラ最中

○フォアグラムース
○最中生地
○パッションフルーツ
○マンゴーゼリー

最中の生地は炭火で緩めに焼いてます。
生地が温められるのとパリッと食感が
伸びる効果がありフォアグラムースの
口溶け効果を膨らませております。

フォアグラの耽美な味覚を見事に纏い
豊かに踊る甘美な味わいがお口の中で
舌と戯れながらしっとりと撫でて来る
八寸の前に頂く絶品のお口直しに感嘆

⑧6月の八寸

今月の八寸は

氷室の神事に倣ったしつらえで榊を飾って
氷柱に注連縄(しめなわ)と紙垂(しで)
の飾りで邪気を洗い暑気払いを行い運気を
高める事を願っての装いとなってます。
因みに紙垂のカタチは雷の稲妻を表してて
雷が沢山落ちる年は豊作になると信じられ
農耕民族でもある日本人は豊作への願いを
込めまして神社に紙垂を飾るのが慣わしに
始まったと言われているそうです。

また梅雨の時期に合わせて紫陽花が綺麗に
咲き誇ってますので飾り付けに華やかさを
添えております。

[110年以上前のバカラのグラス]

○青梅を甘酸っぱく炊いたもの

お口直しとして八寸の〆に食べて下さい
とのお話です。
甘過ぎず酸味も穏やかに立っているもの
しのはら料理の八寸には起承転結が見事
完成されてますので〆の一品迄きちんと
ご用意されてるのが嬉しくなります。

[団扇の形のお皿]

○玉蜀黍の擂り流しタピオカ入り
○玉子を蒸し上げた玉子真丈
○姫オクラを土佐塗しにしたもの
○鱸の幽庵焼き
○蛸を柔らかく炊いたもの
○丸十の栂尾煮はレモンを効かせて
少し甘く炊いてます。
○万願寺唐辛子と半生ばちこ
○鴨ロースに黄韮を巻いたもの
○紹興酒に漬けた枝豆
○無花果の胡麻ダレ掛け

どれもこれも丁寧な仕上がりで美味しく
お酒が進んでしまうものばかりなのです。
全部ヤバイ美味さのものばかりにて舌を
サラリと慣らす玉蜀黍のスープは甘美な
舌触りで冷んやりと気分を爽快にします。
姫オクラの土佐和えが鰹節の酸味と共に
ネバネバ系の絡みがねっとり感で迫って
味わいの変化を付けて食べ続けている間
飽きの来させない変化球となって楽しい。
更に丸十が優しく甘味を寄せつつ枝豆が
コリッと豆粒の破砕感を広げて歯当たり
良好に清々しくこのお皿の品々の中での
甘味として無花果がジューシィなエキス
振り撒いて甘酸っぱく纏めておりました。

[三代目清水六兵衛の蓮華の小鉢]

○淡海(たんかい)地鶏の玉鋼焼きに
鼈出汁の餡掛け

温かい内に地鶏料理を先に頂いて下さい
とのお達しにより一番先に箸を付けます。
淡海地鶏と言う名前も初めて知りまして
滋賀県の地鶏で肉肉しい力強さを持った
肉感が漲り恐らくは運動量の多い地鶏で
野生味たっぷりな食べ応えに歯に迫力の
弾力感が響く鶏肉の身質と鼈出汁の旨味
たっぷりな餡掛けとのコラボが超美味で
舌を戸惑わせつつ癖の無い無垢な味覚で
味わいの深さを感じました。

[別のお小皿に]

○縞鯵とキャベツの酢の物のご用意で
土佐酢の煮凝り仕立てに纏めており
その下には黄身酢を敷いてます。

面白い組み合わせの煮凝りで黄身酢と
絡めて頂きますと酸味と甘味と煮凝り
からの旨味が三味一体となって見事に
味覚がコラボレーションして来ます。

甘酸っぱさ広がり縞鯵のフワッとする
食感が広がり乍ら煮凝りが蕩けて行く
三者三様の味わいが交差しながら順に
解けつつ味わいを広め舌に馴染みつつ
美味しさが極上の旨味となり訪れます。
こう言う一品との出会いにも嬉しさが
込み上げて舌を満足させてくれました。

⑨握り

○島根のどんちっち鯵の握り

真逆ね、
しのはらさんでとんちっちの握りを
頂けるとはチョット予想を超えます。
然もこのどんちっちの脂質の乗りが
素晴らしく全然しつこくない甘味に
咀嚼感が深まる度に募る鯵の味わい
しっぽりと舌に抱き付いて来て絶品!
この時期だけの提供となる模様です。

これ程のお料理点数を数えるコースは
ともすると舌が疲れて来るものですが
その様な感じを全く寄せ付けず楽しく
変幻自在な料理運びの巧みさには舌が
飽く事なく楽しませて頂き満足度高し。

⑩鮪の細巻き

手巻きの細巻きを手渡されて
其の儘パリンとお海苔を咀嚼
心地良く海苔の破砕感が先行
金田のお海苔は香りもパリッ
と心地良く響く食感も重なり
舎利を巻き込んで滅茶うまい。

舎利を敷き詰めた中にへ鮪の
中トロや赤身の中落ちからの
すき身と合わせてべったらな
胡瓜が中に射込まれて更には
白胡麻を散らしてからクルッ
と海苔巻きに仕上げています。
花穂紫蘇で飾り付けを施して
美観を整えて手渡しとします。

見た目も麗しい可愛さで佇み
ムシャムシャッと一口を噛み
噛んだ瞬間にパリッと海苔が
快適に破砕される食感広がり
噛んでいる海苔巻きの中から
べったらのコリコリっとした
清々しさと鮪すき身滑らかに
舌を撫でる甘い舌触りが快適。
咀嚼がナチュラルに進み乍ら
海苔味や鮪の旨味がお互いに
絡み合ってこの一品の味覚を
見事な完成度で纏めてました。

⑪鍋物

○オクラの擂り流し
○伊勢海老
○蛤
○オカヒジキ

オクラを流している色合いがとても綺麗
伊勢海老のお出汁が良く出て擂り流しに
甘味と力強さを写してる感じの仕上がり
伊勢海老はかなり前から捌いて丁度鮎を
食べている最中よりザクンのバリバリと
、包丁で殻を引き裂いて中身を捌いており
それからコトコトと煮立てつつお出汁を
取られていたのかと推察出来ます。

オクラの擂り流しはもう少しネバネバ感
含まれてネトッとするかと思いましたが
そうでもなく意外と青い爽やかな味わい
食感もサラサラに流れて行くもので意外
と言うのもオクラな鍋の中に6本のみで
それ程多い量では無くトロトロになる迄
炊く様にはしないのでオクラの青い味が
優しく出る様に施している様です。

其処に伊勢海老がドカンと鎮座して来て
その伊勢海老に合わせますのが大きな蛤

此方からは香り高い潮の風を持ち込んで
塩味が擂り流しから穏やかに浮き上がり
甘味をクリアに感じさせてくれます。
サラリとした食感と共にオクラの持ち味
活かして青みが快適に響く幸せの一品。

⑪お食事-1

○新生姜の炊き込みご飯
○飛騨牛のヒレ肉の炭火焼き
焼いても柔らか肉質のエレガントさに
驚く肉感と噛み心地に狼狽えちゃいます。
○鰆の松前漬け
○赤出汁:冬瓜
○水茄子:和芥子
○お醤油
○おろしポン酢

お膳には所狭しと言わんばかりにお供が
ひしめき合って並んでおります。
どいつから手を付けて良いやら迷います。
先ずは最初の一口としては矢張りご飯で
新生姜の風味香り高いご飯には新生姜の
味が米粒迄染み渡り生姜が細やかに絡み
舌を良い感じで悩ませてくれます。
生姜ご飯には揉み海苔をパラパラ散らし
海苔風味を添えて頂くと美味しさ膨らみ
一味違ったご飯を味わえて楽しいです。

其処に鰆がしっとりした松前漬けの味で
爽やかな味覚でご飯に寄り添って仲良く
味を繋いでとても美味しく頂けて咀嚼が
どんどん進んでしまいます。

そしてメイン飛び牛のヒレ肉が肉肉しく
肉感を力強く漲らせつつも歯を入れると
フワッと肉肌の中に抱き寄せられ自然に
沈む官能的な食感と肉汁溢れる旨味との
挟撃に出逢い舌がメロメロになります。

豪快な飛騨牛飛び牛の肉肉しい躍動感が
迫力の肉感と圧巻の旨味を口内に満たし
飛騨牛ヒレ肉の魅力を炭火の力がグッと
引き出して山葵醤油をお肉に浸してから
頂きますと綺麗なヒレ肉の甘味に対して
輪郭をクリアに浮かばせて来ます。
肉質の品格の良さも有り肉汁溢れながら
サラリと甘く旨味と調和して来る味覚に
舌が唸りっ放しとなってしまいますね。

フワンとお肉が柔らかく歯を招き入れて
肉肌の官能的な旨味が舌を蠱惑して来て
咀嚼が止まらなくなります。
肉肌の官能的な柔らかい味に舌が抱かれ
お肉を噛んでジュワ〜ッと零れる旨味に
没頭して舌が肉肌に溺れてしまいました。

そして舌が少し疲れ気味となった所では
此れも秀逸なご用意に嬉しくなりますが
水茄子の瑞々しさてま一息付いて舌休み
この間合いが嬉しくなり水茄子の効用に
感心仕切ってしまいました。

⑫お食事-2

○焼き鱧の柳川鍋
○お豆腐
○牛蒡

何時もはしのはら定食で締めて甘味に移り
お薄にてお仕舞いとなりますが久し振りに
しのはら定食以外に追加のご飯のご用意が
有るとの事にてお腹の具合が心細くなる。
最近では珍しいので新生姜ご飯を少な目に
して頂きましたがご飯のおかずも多いので
お腹の具合を調整しつつ頂く事とします。

二膳目にご登場したのは柳川鍋に焼き鱧を
投じたものを生姜ご飯に餡掛けの様に乗せ
柳川丼風のご飯に仕上げてます。
柳川の中には焼かれた鱧にプルンと揺れる
お豆腐からシャキッと繊維感が旺盛な牛蒡
そんな所でご飯を別格の美味しさで染めて
旨味を穏やかに整えておられました。
美味さが伸びるも何処かに心がホッとする
安堵感を忍ばせている一品に感謝の思いで
いっぱいになりました。

⑬甘味

○紫陽花の金団ゼリー寄せ
○抹茶

紫陽花を模した紫、青、桃色に染められた
金団を透明感溢れる寒天ゼリーの中に閉じ
清涼感が清々しく感じられる甘味に仕上げ
しっとりした甘さ伴いプヨンと揺れている
ゼリーが舌を滑らかに撫でて行く楽しさを
満喫致しました。

2023/08/03 更新

31回目

2023/05 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥50,000~¥59,999
    / 1人

名残の河豚料理から春の到来を告げる貝寄せ料理まで季節の移ろいを満喫

◆訪問日 2023.5.23(火)20時半〜23時

◆お料理 お任せ¥35,000税込
オプションall追加料金¥4,800
お酒含むお会計¥53,000税込

◆予約 7ヶ月前にお電話で予約

⓪香煎茶

定番の昆布茶で舌を湿らして頂き
お腹もほっこり暖めてもらいます。

ベースは昆布茶に紫蘇昆布が佇み
香りを楽しむ癒しの一口です。

紫蘇の香りと昆布の旨味が仄かに
通う温かいお茶の優しさが嬉しい。

①先付

○積丹の海胆
○白芋茎
○車海老
○加減酢の煮凝り

篠原大将の先付と八寸に纏わる蘊蓄の講話を
聴き耳を立ててお料理への想いを真摯に伺い
勉強とさせて頂いております。

5月は5日に端午の節句も営まれる月です。
因みに別名は菖蒲の節句とも言われます。
中国の陰陽五行の思想が日本にも伝播され
節句の時期に下がる人の運気が下がり身の
周りの邪気を払う意味合いから菖蒲の様な
香りの強い植物で身に貯まった邪気を払う
と言う風習が日本でも伝えられて来ました。

そう言った意味で皆様の邪気を祓い息災を
願う気持ちを込めての菖蒲を飾った先付の
一品をご用意されてます。

器は氷が敷き詰められ菖蒲が縦に刺さって
葉菖蒲を飾り兜の前立てに見立て蓬の葉で
刀の鍔に見立て屹立させております。
葉菖蒲は日本刀にも似ているため魔を切る
縁起ものの意味が有ります。また蓬の葉も
邪気を払うとされています。

その様な飾り付けを施した先付の器の上に
海胆と白芋茎に車海老を盛り付け加減酢の
煮凝りにて雅に纏めておられます。

加減酢の煮凝りはとても酸味が効いており
食欲増進に繋がり車海老のプリプリ感とも
相性が良く海胆珍味が伸びる中で白芋茎が
その繊維質をシャキッと伸ばしております。

食後に僅かに残る酸味が口内をすっきりと
させて気持ち良く余韻を残しておりました。

②お椀

○大きな加茂茄子の油煮
○瀬戸内のアコウ(雉羽太)
○茗荷
○牛蒡の短冊
○梅肉
○生姜搾り汁で風味を効かせて

高級魚である雉羽太特有の身のふんわり感に
弾力が加わり上品な脂質から脂汗が滲む身質
更に
茗荷の千切りが咀嚼感をシャキッと伸ばして
心地良く歯に響くアクセントも良い感じだ。

雉羽太を崩し生命力を感じる脂汗が地に写る
雉羽太の白身から吸い地へ写る逞しい旨味を
感じて地の変わりゆく表情が満足度を高める

お付き合いします椀づまは賀茂茄子
素揚げされた賀茂茄子から塩梅良く
茄子の繊維から甘味が地へ写されて
吸い地を啜る度に切れ味淡麗だった
地の表情が段々と丸くなって来ます。

揚げ茄子の翡翠色が全く穢れが無く
ピュアな色合いに見惚れてしまう
繊維質を傷めずに賀茂茄子を素揚げ
茄子特有のほろ苦さを感じながらも
茄子の瑞々しい妙味を味わえる施し

地味深さの中に佇む雉羽太と賀茂茄子
河豚の様に生命力旺盛に感じる雉羽太
賀茂茄子固有の持ち味存分に引き出し
地味を深掘りして行き旨味を高めてて
舌が昆布香る地に陶酔しておりました。

③焼物-1

○琵琶湖の湖鮎 炭火焼き
○蓼酢ペースト

琵琶湖固有種の湖鮎はサイズ感も小鮎
此の大きさの鮎が火も通りやすく味も
旨味旺盛に身質は膨よかで咀嚼が進む
その湖鮎を頭からガブリと齧り付いて
貪るのが迫力も感じる鮎らしい美味さ
口内に漂う湖鮎からの香りには思わず
うっとりして香魚と言われるのも納得
頭はカリッと破砕感が小気味良く流れ
腹は小骨感も無く膨よかさ感じる妙味
ワタまで甘味を漂わせてバランス良く
味覚の完成度の高さを誇る絶品湖鮎に
舌が感動しまくっておりました。

④焼物-2

○四万十川の若鮎炭火焼き
○蓼酢ペースト

次の一尾は頭と尻尾と中骨を抜いて頂きます。
腹側の真ん中あたりをポンポンと叩きながら
ス〜ッと抜いて腹の身だけを残します。
お腹の一番フカフカな美味が詰まってる部位
のみがお皿に饗されて見るからに美味そう。
湖鮎と違ってかなりサイズ感も大きなもので
成魚に近い若鮎と言う感じで身質はふっくら
ワタも無茶苦茶美味くて舌が驚いてます。
ワタは火が程よく中芯迄通ってる為ほんのり
甘苦くて蓼酢の酸味とも味覚の相性バッチリ
甘苦さと蓼酢を帯びた甘酸っぱさが調和して
鮎の美味さをグッと膨らまして来て美味しい。

湖鮎と四万十の若鮎の食べ比べは実に贅沢な
味比べとなりとことん楽しませて頂きました。

最初に頂いた方は中骨抜かずの咀嚼感伸びて
小骨感もほとんど感じられない程良く焼かれ
中まで良く火が通って骨感も身質も同調して
湖鮎の醍醐味を満喫出来ました。
またもう一方の四万十の若鮎は骨抜きにして
火を通さないと身が蒸発しパサついて仕舞い
美味しく無くなる様です。
そう言った所が非常に微妙な鮎の焼き物で
この時期色んなお店で鮎料理を頂きますが
威風堂々として王道の鮎の焼き物は矢張り
しのはらさんかなと痛感している次第です。

さっきまで生きていた鮎を炭火に通すから
こう言う新鮮さが保たれたままの焼き物に
なるんでしょうね
毎年恒例の鮎祭りを今年も美味しく頂けて
口福感でいっぱいのひと時を貰いました。

⑤揚げ物

○瀬戸内の虎河豚の竜田揚げ
○瀬戸内の檸檬
○胡椒塩

河豚の大きさを聞きましたら何と4kg超え
河豚のデカさは生まれたばかり赤ん坊並み
若しくはそれ以上と言うことですね。
そんな大きな虎河豚をカラッと揚げてます。

唐揚げの端の方を咀嚼してみます。
ザクッと揚げ衣を突き破り虎河豚の身肉に
迫りグイッと噛み込みますと河豚の身から
味わい深さが募るエネルギッシュな旨味が
歯に突き刺さりつつ舌に拡散して口内には
虎河豚の香りと美味さが充満します。

虎河豚の唐揚げは厳選された身欠が吟味され
上質な河豚を選定さらてるのかと思いますが
下処理に何らかの魔法をかけているのではと
思えるくらい肉感は逞しさとふわふわ質感が
同居する美味しさに下味の絶妙さが寄り添う

唐揚げを噛み進むと下味がとても味わい深く
染み込んでいて揚げたてが余計に美味しい。
下味は単純に生姜醤油漬けと言う訳ではなく
色んな下味を合わせじっくり漬け込んでいる
との事だそうです。
その虎河豚の唐揚げは揚げたてた後でも身の
芯まで下味が染みこんでおり旨味が深い味で
実に舌にダイナミックな肉感と味わい深さが
ジワジワと浸透して口内には美味が踊ります。
虎河豚のボテンシャルを最大限に引き出して
正に悶絶級の味覚に脱帽でした。

⑥珍味

○淡海地鶏
○うるい
○鼈の餡掛け
○わさび
○九条葱

山葵を溶いて温かい餡に沈めて辛味を
足しながら鼈で取ったお出汁の餡には
名残のうるいを含ませ地鶏を合わせて
妙味を作り出しております。

淡海地鶏は肉感がストレートに元気よく
コリコリ感伸びて歯の方にダイレクトに
伝わる音色が心地良く響いて来ます。

地鶏は篠原大将が一番推しの地元滋賀の
料理店で『じどりや穏座』と言う名店が
使われてる淡海地鶏と仰ってました。

肉感が豊かな割には意外とサッパリとした
お肉で鼈出汁の濃厚な地と合わせて旨味が
芳醇に漂う鼈の餡掛けが絶妙な美味さです。

うるいも時期的にお仕舞いで硬かなってて
少し扱い難い様ですが刻むと未だ柔らかく
きちんとうるいらしさが備わる青みが伸び
餡に溶け込んで微妙に繊維感を伸ばしつつ
淡海地鶏と絡み合う食感が膨らんでコクの
深さが感じられる美味を演じておりました。

⑦フォアグラムースと
マンゴーとパッションフルーツの最中

○フォアグラ
○最中生地
○マンゴー
○山﨑ウヰスキーゼリー

順番が何時もより早くて八寸の後ではなく
八寸の前の順番に持ってきましたね。
此処でお口直しもいいタイミングかと推察
お腹いっぱいになってから頂くよりも未だ
余裕がある時に頂ける最中の方がサクッと
嬉しいかも知れません。

最中の生地も炭をほんのり通して
パリッとさせて膨らませてます。
この辺きちんと一手間掛け生地の
持ち味を生かして食感も鮮やかに
そして
フォアグラの耽美な味覚を見事に
潤わせて生地とのコントラストを
形成してくれるのは舌が喜びます。
豊かに踊る甘美な味わいがお口の中で
昇華しておりました。
嬉しいおもてなしの一品復活万歳です。

⑧5月の八寸

本日のテーマは鬼瓦と葉菖蒲を使用して
5月の節句に因んだものとなります。
節句の時期に災いや邪気を入り口で祓う
と言う願いを込めて入り口に菖蒲を飾り
家の鬼門に向けて睨みを利かせて外から
災いが近づかないようにする習わしにも
そう言う節句の習わしに因んだ八寸仕様
としてます。

目の前には8枚の板をジグザグに組んだ
八橋の器を用意してます。
池に配置した八橋の周りにカキツバタや
菖蒲で飾り華やかに花を飾り付けです。
季節の風物詩を写した飾りとなります。

[ハッ橋の杉板の手前]

○穴子の蒸し寿司

粽では無くて
笹巻き寿司のご用意で中は穴子蒸し寿司
暑くなって物が腐りやすくなる時期には
相応しく笹は殺菌作用が強いので季節柄
丁度良いお料理と言えます。

[110年前のバカラの器]

○帆立貝
○ほうれん草
○もみ海苔を散らしたお浸し

お口サッパリと帆立の甘味とプルンと
柔らかく揺れる食感にほうれん草から
シャキッとする繊維感が伸びてきます。
浸し地に濡れた具材たちはしっぽりと
舌を包み込んで淡い味わい深さが舌に
染み込んで来て慰められる味わいです。

[黄色と白と緑の木賊の器]

○焼き茄子
○冬子椎茸
○三度豆の胡麻和え

夏の風物詩とも言える焼き茄子の塩梅は
翡翠色が全く穢れなきピュアな色合いを
見せて流石と思わせるプロの焼き具合に
目を見張ってしまいますね。
繊維質を傷めずに賀茂茄子を焼いており
焼き茄子特有のほろ苦さを感じながらも
咀嚼を進めると瑞々しさもジュワ〜ンと
伸びて来るし妙味が冴えますね。
其処に冬子椎茸の旨味がジワッと寄せて
三度豆がシャクシャクと繊維感を伸ばす。

実に個性の違った味覚達をトクサの様に
磨きを掛けて纏めている一品ですね。
やすりや砥石にもなる木賊は日本名砥草
とも表記される物で櫛を磨くヤスリ等に
使われたりします。
その様な色合いに模した湯呑みの器にて
盛り付けしてるのも楽しい趣向でした。

[竹筒のお猪口1]

○明石の蛸の湯引き
○梅肉醤油

蛸の仕込みと言うか下処理が秀逸で
丁寧な施し方で蛸を柔らかくした後
湯引きされてるのでしょう。
タコは噛むと芯がコリッとして少し
硬さを感じる食材ですが湯引きした
蛸は茹でタコみたいに芯から柔らか
シコシコ感が止まらず旨味膨らんで
咀嚼がちっとも止まりませんでした。

[竹筒のお猪口2]

○胡瓜と
○大徳寺麩に
○海月の酢の物

海月がコリコリ〜って唸って
胡瓜が瑞々しさを爽やかに伸ばし
大徳寺麩はフワッとする身を噛んで
ギュッと搾られてジュッと酸を放つ
大徳寺麩麩のふわふわ感と胡瓜から
繊維感が走り海月からコリッとする
硬さと反発力も楽しくて多様な味と
食感が目まぐるしく巡る一品でした。

[八橋の杉板上に]

○山独活を巻いた鰻の八幡巻き

本来は牛蒡と鰻が名産地の京都の
八幡村の郷土料理を模して独活で
鰻は焼き上がったばかりのもので
ご用意されてて力強さ漲る肉感と
独活の優しい甘味が噛み合い共演
上手く味わいが整った八幡巻きと
なってお酒も進んじゃいました。

○庄内麩を蒲焼きにして
クリームチーズを挟んだもの

しっとりする庄内麩の蒲焼の中に挟まれた
チーズがトロ〜リ自然に口溶けしてし乍ら
庄内麩の殆ど無味乾燥な味ともっちり感の
走ってる所にチーズから酸味が寄り添って
不思議な妙味が出来上がってる一品。
シンプルな組み合わせなのに妙に後を引く
味わいが残るのも楽しめて面白かったです。

○玉子を蒸し上げた玉子真丈

定番かつ秀逸なふわふわカステラ感が
胸打ち舌を喜ばせる甘美な舞いを見せ
舌をフッと落ち着かせる一品。
此れはしのほら八寸の締めに欠かざる
逸品で味も香りも食感も秀逸な必須の
アイテムです。

○合鴨の蒸しロースの中に黄韮のお浸しを
射込んだもの

しのはら八寸の定番メニューの鴨ロース
但し季節により組み合わせる素材は色々
今月は黄韮でした。
勿論メインの味覚は鴨肉のウマミであり
しっとりした肉感の優しさと繊維質との
肌理細やかな肉室が歯を招く美味さには
格別なものが滲み出て冷めてても妙味が
勢い良く駆け抜けて舌を蠱惑する美味さ
其処に黄韮がほんのりと苦味を添えてて
鴨ロースに深みを与えて絶妙な間合いで
味の膨らみを深掘りしてくれる。
つい、此奴もお酒を誘って来ちゃうのは
困りもんだと自覚を促しつつもクイッと
行ってしまうのに抗えないものです。

○松葉串を通したものが3本
鶉の卵黄の味噌漬け
島らっきょう
岩茸の山葵酢掛け

何の味も無いような無味乾燥と言った感じの
岩茸なのですが深山の岩壁にしか着生せずで
標高800メートル以上の高所の石英粗面岩や
珪岩など岸壁の垂直面に張り付く様に生えて
いるとのお話でこの大きさに育つ迄に20~30
余年かかるそうで収穫の量の少なさに加えて
収穫困難さにより入手がほぼ不可能らしくて
篠原大将曰く人生で何度も出会えるものでも
無いので一度は食べられても良いでしょう、
とのお話でご用意された様です。

松葉串でご用意された物の中では鶉の卵黄の
味噌漬けが完成度高く甘味も酸味も丁度良く
整ってて酒のアテにしたく日本酒をクィッと
煽って滅茶うんまいかったです。

[八寸のお外の別の小皿]

○伊勢海老をブランデーに漬け込んで
海胆のソースをかけたもの

此れは頗る品格の良さをほこる珍味で
伊勢海老の元気の良さを解す様な感じ
ブランデーの香りがして染み付いてて
伊勢海老を咀嚼するとキュンとしなり
パチンと肉感が飛び込み香りがパッと
散る感じで濃厚な甘味と香りと食感が
見事に交差して旨味を完成させた一品。

最近は八寸の直ぐ後に珍味や揚げ物等
小物の一品を出される事が多くなって
来ておりお口が結構忙しいのです。
大将曰く
八寸で召し上がって欲しい物が多過ぎ
作り過ぎて仕舞いお膳に乗り切らない
なので別皿の用意となっちゃう様です。

何時も感嘆させられるしのはら八寸です。
先付的な小物からメインの鴨ロース肉や
鰻に玉子真丈まで品揃えが行き届き乍ら
〆に甘いものや柑橘系のお口直しまでと
ちゃんと緩急を微妙に調節する流れにて
仕掛けて舌をとことん喜ばせてくれます。

なので食べる側も順番良く食べ進んでは
八寸の起承転結のストーリー性に沿って
美味や珍味やらを大変楽しく味わえると
言う事になり味覚の珍しい新発見も有り
素晴らしいひと時が通り過ぎて高揚感が
ずっと続いておりました。

⑨握り

○赤身 漬け:大将の握り 藤田の鮪

赤身特有の酸味が漬けの甘味をほんのり
浮かばせ乍ら鮪の特製を活かした塩梅に
仕上げてます。
漬けがお料理店らしく煮切りに追い鰹の
鮪節を足し込んだカタチで出汁の旨味を
上手く含ませた漬けを施されてます。
その分やや力強さの感じる煮切りの味が
赤身全身に浸されておりコク深さ感じる
赤身を演出されてます。
やや赤身勝ちの握りとなっている感触を
抱きますが赤身の鮪は鉄分旺盛な感じで
身質は滑らかにしなる様に舌を艶かしく
撫でて行き歯がスウ〜ッと抱き込まれて
赤身の中に吸い込まれて行きます。
咀嚼がふわっと赤身からたつ甘い匂ひと
香り自身が野性味を帯びているかの様な
肉肉しさも感じ取られ中々の美味を展開
お料理の合間に楽しくなる一品です。

○小鯛:お弟子さんの握り

その可愛くて整えられたフォルムを見つめ
ワクワクしながら口にやおら小鯛を運ぶと
その麗しの姿態からは想像を超える旨味が
お口へと飛び込んで参りました。
仄かにやや冷んやりとする舎利玉の食感が
綺麗に磨かれており清々しくも感じられて
舎利自体はほんのりと赤酢で締められてて
キュッと引き締まる小鯛の身質から香りが
舞って舌を淡白な旨味が纏いエアリー感の
爽やかな舎利との共演が光る握りでした。

⑩焼物

○舞鶴 鳥貝
○酢橘

サッと焼き場で大将が炭の熾火で
鳥貝を金網上で炙られております。
鳥貝はクネクネと畝る様に動いて
その悩ましいモフモフする触感と
噛む度にグニュ〜ッと伸びる肉質
更にジュウ〜ッと噴き出す独特の
鳥貝旨味エキスに口内が犯されて
途轍もなくジュ〜シイで甘美なる
お時間が訪れておりました。

⑪小鍋

○群馬の猪豚
○秋田の蓴菜
○福井のクレソン
○高山の豆餅
○白葱
○ちり酢

雄の猪と雌のバークシャー種の黒豚を
交配させて生まれた猪豚で非常に良い
旨味を出してくれます。
その猪豚に秋田の蓴菜や豆餅を合わせ
肉感と旨味にコク深さが出てて
豚肉の脂質の甘さと猪の野生味ある肉感
お出汁に其々の肉の旨みが脂汗となり
ぷかぷか浮き出し旨味を深掘りしつつも
スープを飲んでみると意外にもサラリと
しており口当たり弾むでゴクリと進む

其処に蓴菜がぷよぷよのヌル感放ち乍ら
飛び込んでくるものだから美味と珍味が
仲良く繋ぎあってとても妙味を発揮する

更には脂の甘さも猪豚肉の旨味も一通り
頂いて少し飽きたら今度はちり酢に浸し
味変を楽しめる2回も美味しい猪豚鍋の
配慮の行き届いたご用意に感謝なのです。

最後はスープを全部飲み干して舌も心も
大満足して終了となりました。

⑫お食事

[しのはら定食]

○白ご飯
○飛騨牛飛び牛のヒレ肉炭火焼き
○焼き鼈
○鯛の胡麻だれ和え
○泉州の水茄子 和芥子
○赤出汁
○おろし醤油
○醤油
○塩
○山葵

お膳に置き切れないくらいご飯のお供が
並べられます。
1番の目玉はやはり飛騨牛です。
此奴はやはり贅沢なお供として天下一品
豪快な飛騨牛飛び牛の肉肉しい躍動感が
迫力の肉感と圧巻の旨味を口内に満たし
飛騨牛ヒレ肉の魅力を炭火の力がグッと
引き出して山葵が綺麗に肉の甘味に対し
輪郭をクリアに浮かばせて来ます。
肉質の品格の良さも有り肉汁溢れ出るも
サラリと甘く旨味と調和して来る味わい

白ご飯がどんどん進んじゃいますね。

フワンとお肉が柔らかく歯を招き入れて
肉肌の官能的な旨味が舌を蠱惑して来て
咀嚼が止まらなくなります。
肉肌の官能的な柔らかい味に舌が抱かれ
お肉を噛んでジュワ〜ッと零れる旨味に
没頭して舌が耽溺の中に埋没してました。

更に焼き鼈と旨味漲る肉モノが続き舌が
大喜びして勇んで食い散らして白ご飯も
お代わり必須となり身も心も満たされる。

肉肉しい旨味を堪能してますと口内には
脂質成分が残りやや閉口して来ますので
水茄子を齧り和芥子の辛味仄かに滲んで
水茄子のジュワンと伸びる瑞々しさ伸び
水っぽい茄子特有の甘味が広がって美味
かつ水茄子は適度に冷感を帯び噛んだ時
ヒヤッとする食感がとても心地良く進む

[鯛茶漬け]

定食のお供のうち鯛に胡麻だれを
和えたものとホクホクの白ご飯を
合わせてお口に掻き込み胡麻味に
染められた鯛の切り身をしっぼり
味わい胡麻の甘味を感じながらも
鯛のお刺身のしなやかさが咀嚼を
どんどん進めてくれちゃう。

その後

2度目のお楽しみへの鯛茶漬けへと
お茶を注いで鯛の白身が温かくなり
ほんのりと身が白濁しかかって来て
お茶を注ぐのを止めて鯛が硬過ぎに
ならない頃合いを見てサラサラ〜と
お口に流します。
んん、いい塩梅にお口の中を綺麗な
旨味と胡麻ダレが穏やかに和められ
胡麻味の甘味と一緒に流れますよ。
いい気持ちだわ〜。
お口がスッキリとして爽やかになり
お腹もホッコリ落ち着いて満足満足。
とても良いお食事タイムでした。

誠に美味し過ぎるお供たちの合わせ技に
舌は完敗状態となり嬉しすぎるお食事の
ひと時を頂き心底満たされました。

⑬甘味

○捏の金団に蓬を練り込んだもの
○お抹茶

2023/07/11 更新

30回目

2023/03 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

名残の河豚料理から春の到来を告げる貝寄せ料理まで季節の移ろいを満喫

◆訪問日 2023.3.17(金)夕餉

◆お料理 お任せ¥35,000税込
オプションall追加料金¥4,800
お酒含むお会計¥50,000税込

◆予約 7ヶ月前にお電話で予約

◆滞在時間 20時半〜23時

⓪香煎茶

定番の昆布茶で舌を湿らして頂き
お腹もゆるりとほっこり暖めてもらいます。

①貝寄せの先付

貝殻の飾り付けが可愛い木桶の上に飾られ
春の到来を告げるかの様に鮮やかな色合い

木桶をパカッと開けますと中には栄螺の器
その器の中に貝寄せのお料理が佇んでます。
貝を沢山寄せ集めて酢の物であしらう料理

鳥貝

粒貝

等の貝のお仲間たちの下には和布を
敷いて酢の物で仕上げてあります。

鳥貝は未だ少し若い感じでシャリッと
食感伸びるも甘味が瑞々しく舌に寄せ
初々しい鳥貝さんと言う感じです。
鮑はやはり堂々のコリッと歯応え抜群
旨味もグッと豊満に迫って来て美味し。
そして粒貝をポリポリッと食感楽しみ
栄螺の器の奥の方に潜んでいた和布を
クイッとお箸で引き出し酢に浸された
和布のシャキッとした繊維感と酸味を
感じながら春の味覚を堪能致しました。

スタートから春への移ろいを感じさせる
相変わらず見事な演出に舌が喜んでます。

②お椀

続いてのお料理は椀盛となります。
2番目のお椀で暖かくお腹を慰めて
頂けるのはかなり嬉しくなりますね。
此処でほっこり染み染みと滋味深い
うま味を舌で浸ってうっとりと陶酔
至福のひと時が早くも訪れています。

椀種は大きな帆立貝の真薯
椀づまに木耳と焼きばちこ
口には木の芽の香りが纏う

お椀からは憂いを含んだ吸い地が誠に
穏やかな滋味深い味わいで舌に寄せる

帆立の甘味
昆布の滋味
ばちこの鹹味
木耳の食感
木の芽の香り

この時期のばちこが癖もなく
臭みも出ない綺麗な味を出す
ばちこでお椀に落として頂く
そうすると
ばちこ風味が吸い地に散って
焼いたばちこもふやけて来て
柔らかくなり珍味が地と共に
お付き合いしてお口に広がる

真薯は昆布香る吸い地との相性よく美味
繋ぎは少しだけ擂り身を含ませての真薯
帆立を上手く繋いでプリプリ感が素直に
伸びて来る帆立の肉感が咀嚼を進めます。
吸い地のうま味にたっぷり馴染んだ帆立
滋味深い甘味が何処までも口内に広がる
そして帆立がハラリと解けてる地を白濁
ほんのり帆立の甘味が吸い地に溶け込む
ふんわりと地の表情が変わり甘美に舞う
擂り身の柔らか味に帆立がプリッと跳ね
舌を心地良い食感と甘味感じるうま味で
ゆるりと癒してくれました。

③滋賀の合鴨玉鋼焼き

玉鋼で焼いた滋賀県の合鴨
銀座しのはら特製柚子胡椒
大根おろしを添えてご用意

鴨肉のロゼ色に染まった肉肌の色合いが
実に欲を唆って来ます。
鴨肉の身肉からジンワリ脂汗が滲み出し
赤身の表面がキラリと輝いて見えます。
艶々の肉肌の蠱惑には抗えず肉片を齧り
ガブッと歯で圧を加えると鴨肉がフッと
歯を誘い込みモチモチ感が旺盛に柔肌が
何とも艶かしい旨さで舌を興奮の坩堝に
招き寄せて来ております。
肉肌が自然に舌を抱きこんで来て肉感は
赤身らしく身質がキュンと引き締まって
繊維質がとても繊細な舌触りで訪ていて
舌を興奮させる味わいで満たしてました。

④柚子釜海鮮風

酢飯
鮟肝
白海老
白魚の唐揚げ
菜の花の餡を掛けてご用意されてます。

温められた柚子釜の底には酢飯が
ぎっしりと詰められてその上には
しっとり滑らかな珍味広げる鮟肝
シャリッと食感伸びて来る白海老
そして白魚をサクッと揚げて用意
仕上げに菜の花の銀餡をトロ〜リ
春の香りと共にまったりする味覚

良く掻き混ぜてグチョッとさせて
トロントロンになった酢飯に鮟肝
白海老迄もトロリとする粘質感を
酢飯と仲良く馴染みあって絶品の
柚子釜丼がふんわりと浮き上がる
更に柚子釜の皮が付いてる辺りを
剥がして一緒に食べると香ばしさ
グンとアップして美味炸裂します。

そして
柚子釜の蓋を途中で絞ると柚子の
酸味がポトリ垂れて柚子釜全体が
スカッと爽やかなアクセント味に
変わります。
この味変が中々乙な味わいとなり
キリリと海鮮柚子丼を引き締めて
印象的な美味で舌を喜ばせました。

⑤焼き鼈

しのはらさん定番の名品 焼き鼈
篠原大将が焼き場に炭を起こして
柵通しされた鼈の肉塊に炭の火を
ジワジワ通して転がしております。

鼈の肉塊が少し焼き上がると火から外し
継ぎ足しされたしのはら特製の鼈ダレに
どっぷりと浸して焼き鼈が何度も炭火で
丁寧にこんがり焼き上げられて行きます。
その工程を何度か繰り返しては火入れと
甘ダレ漬けを交互に重ねて味を足します。
そうしてこんがりと鼈のタレ焼きが完成
手前に黄瀬戸の焼き物に乗せて山椒塩の
ご用意で頂きます。

ガバッと喰らい付くと鼈の
野性味を帯びた肉がドカン
口腔内を荒ぶる旨味で蹂躙
正に血湧き肉躍るの旨味が
弾け飛び交うので有ります。
このダイナミックな味わい
官能の旨味が渦巻く旨さに
感動し舌は狼狽えてました。

⑥河豚の唐揚げ

鼈の次は河豚のご用意にて冬の名残を
存分に味わさせてくれるおもてなしに
歓喜しちゃいますね。

サイズ感が半端無い虎河豚の唐揚げ
骨付きのままでゴロンとお皿の上に
堂々と鎮座する唐揚げを手掴みして
勢い良くガブリと歯で齧り付きます。
下味も生姜醤油の風味が気品溢れる
味付けにて河豚の逞しい肉感が伴い
歯応え十分な美味が口内を占領する

やや厚目の衣で身厚さとサイズ感に
見合うダイナミックな唐揚げに仕上
衣を齧るとザクッと破砕感が迸って
これこそ河豚の唐揚げの醍醐味かと
感無量の躍動する肉食感と歯当たり
骨の髄まで全部しゃぶり尽くしたい
衝動がどんどん溢れて来て無我夢中
齧っては肉片を引き千切って河豚の
骨に歯が当たると露わとなった骨を
舐め尽くしたくなります。

数滴の酢橘を河豚の唐揚げに垂らし
力強く歯に反発する身肉の美味さに
爽快な酸味を纏わせて河豚の旨味と
同調してエネルギッシュな肉感をも
僅かに和やかな味わいに表情を変え
優しい味になる唐揚げを堪能します。

更に齧る度にフワッと薫る磯辺焼き
の様な舌を惑わせる下味の施し様に
感じ入ってしまいました。
大蒜醤油にお出汁も河豚に馴染ませ
唐揚げにしているとの事でした。
だから抜群の香りと迫力ある旨味に
奥ゆかしさもフッと浮いて来る味が
この河豚の唐揚げに纏っている物と
印象深く感じられました。

正に貪り尽くすと言う感じで小骨に
へばり付いてる肉片の残りカスまで
美味しく舐め舐めして卑しくも全部
綺麗に残さず食べ尽くして大満足の
境地に至り感動の味覚を頂きました。

⑦河豚の焼き白子

酢橘を絞って金田のお海苔を
乗せてパクッと厚い皮を破る
ピチュンと口内に白子が跳ね
トロ〜リ絶品珍味が散乱して
生まれる陶酔感に溺れちゃう
また、この白子の皮の厚みが
ペタンと舌に張り付いて来て
ツルンと滑りながらペロンと
なる感じが実に舌を官能させ
珍味を膨らませておりました。

⑧飛騨牛の炭火焼き

飛騨牛飛び牛のヒレ肉

おろし醤油
山葵

豪快な飛騨牛飛び牛の肉肉しい躍動感が
迫力の肉感と圧巻の旨味を口内に満たし
飛騨牛ヒレ肉の魅力を炭火の力がグッと
引き出して山葵が綺麗に肉の甘味に対し
輪郭をクリアに浮かばせて来ます。
肉質の品格の良さも有り肉汁溢れ出るも
サラリと甘く旨味と調和して来る味わい

フワンとお肉が柔らかく歯を招き入れて
肉肌の官能的な旨味が舌を蠱惑して来て
咀嚼が止まらなくなります。
肉肌の官能的な柔らかい味に舌が抱かれ
お肉を噛んでジュワ〜ッと零れる旨味に
没頭して舌が耽溺の中に埋没してました。

⑨鮪の太巻き

定番の太巻きにガリを添えて頂きます。
太巻きには赤身の漬けを山葵和えとし
中トロは煮切りを纏いすき身のお供に
べったらと胡麻を和えた物に仕立てて
胡瓜の細切りと一緒に巻物にしてます。

かなりの大きなサイズの太巻きですので
大きく口を開けてグイッと押し込みます。
目まぐるしく鮪の甘味やガリの酸味とが
交わりつつ赤身の芳しさが入り混じった
味わいとなり更にべったら漬けから少し
ねっとりする粘質感も伸びて来てくるし
それが良い感じで酢飯にも絡まってくる。
多種多彩な味覚の展覧会への参加となり
舌が大喜びでした。

⑩八寸

今月の八寸は3月3日の節句に因んで
お雛様仕様の八寸となります。

元来、上巳の節句は古代中国旧暦3月の
最初の巳の日である上巳(じょうし)の
日に行われていた事が始まりだそうです。
巳(へび)は脱皮して生まれ変わるので
穢れを祓い清める行事とされていた様で
この時期に桃の花が咲く時と重なるので
「桃の節句」とも呼ばれる様になります。
で、本当は桃の花を使って八寸を表現し
飾りたかったと大将曰く桜の開花早くて
散って仕舞いそうなので本日は吉野桜を
飾りに添えてます。
此処で篠原大将より
とは言ってもやはり桃の節句にに因んだ
八寸なので桃をどう表現するかと言うと
実は桃の節句の要素が入っている菱餅を
模った器で桃を愛でております、とお話。

菱餅に含まれてます3色には

ピンク〜桃の花を表してます。
白〜雪を表し清廉潔白を表現
緑〜新緑の息吹きを表します。

桃の節句の場合、桃の花が邪気を祓うと
言われており菱餅の器で八寸を用意して
桃を含めての表現とされてました。

さて、お料理の方に移りますと

[合わせ蛤の向付]
若狭ぐじの松笠揚げに甘酢餡掛け
九条葱


八寸の説明中でもお料理が整った方から
先に温かい内に召し上がって下さいとの
お話があり、八寸のお話を聞き乍ら箸を
若狭ぐじに入れて餡と一緒に摘みます。

松笠揚げを素の儘で食べると鱗がチクと
しますが餡掛けなので鱗も優しい感じで
トロンとする餡掛けの瀞みとやはり少し
先鋭な食感を残しつつも柔らかくなった
鱗が並んでる皮目との破砕感を楽しんで
ぐじの膨よかな肉体の旨味を満喫します。
そしてこの餡掛けぐじにシャキッとする
九条葱で気持ち良く歯応えが伸びて来る
其処にゴロリと粗めに刻まれた筍が絡み
筍の持ち味の香り高い甘味を添えて来る
こんな組んず解れつみたいな美味しさに
纏わった舌はもう喜ぶしか有りませんね。

[ぼんぼりの器] 車海老と筍の木の芽和え

此奴が素敵な味で春の香りと大海の味を
携えて木の芽の麗しい匂ひと一緒に舌を
訪ねて来てくれるのです。
筍と木の芽の相性の良さを改めて再認識
其処に車海老からプリプリッと舌を弄ぶ
心地良く元気に弾む食感が絡み合い旨し!

[引千切の器] 飯蛸とこごみ

ひな祭りの和菓子として使われる
小餅を杓子状に引き千切った事が
由来とされるひちぎり餅を模った
器の中に飯蛸が収められています。

プルンと揺れる吸盤と芯の繊維が
しっかり弾力して良く揉み解した
飯蛸からはほんのり甘さが口内で
飛び跳ねて来て無邪気に舌と遊ぶ

[扇型の器] 赤貝と菜の花の酢の物

赤貝が良いですね
かの時期の赤貝は旬を迎えて
春の食べ物としても相応しい
色合いに染まりぷよぷよです。
新鮮な赤貝の身の甘味と共に
菜の花が青みのある爽やかさ
酢に浸されて舌を甘酸っぱく
誘って来ておりました。

[赤帯の蛤の貝] 鯛子 卵真薯 蕗

蛤の殻の中には
お出汁が馴染んで粒々が可愛い食感の
鯛子が卵いっぱいに詰まって淡い味で
舌を取り込んできます。
その鯛の子に仲良く呼応するかの様に
卵真薯がしっぽりと舌を宥める甘味を
放ち其処に蕗が春らしい装いを纏う。

[小鉢]
紹興酒のタレ漬け込んだ牡丹海老
海胆
酢飯

紹興酒らしい酒気を帯びた甘味に
染められた牡丹海老がトロ〜ンと
酢飯を緩やかに纏めて口内を徘徊
其処に海胆珍味が妖艶な程に纏う
咀嚼が重なり車海老の瀞み広がり
海胆珍味が酢飯を鎮めて同時展開
鮮烈な美味さに昇華して舌を悶舌
食後感の満足度に興奮してました。

[小皿] 焼き河豚

福岡の河豚を朝締めして航空便で
届けて貰った河豚の炭火焼き一品
ジワッと焼き上がった河豚の身は
脂汗がほんのり浮いており表皮を
テカテカと輝かせて欲を唆ります。
一口噛めばグッと歯が逞しい肉に
食い込み肉感から激しく若々しい
河豚肉の旨味が放たれ逞しく唸る
この漲る肉肉しさが口内を自由に
飛び跳ねる様が強烈な印象を残す

⑪フォアグラ最中

フォアグラ
ピスタチオ
あんぽ柿
山﨑ウヰスキーゼリー

お久し振りの名物最中様
またお目に掛かれて光栄
最中の生地も炭をほんのり通して
パリッとさせて膨らませてます。

フォアグラの耽美な味覚を見事に潤い
豊かに踊る甘美な味わいがお口の中で
昇華しておりました。
嬉しいおもてなしの一品復活万歳です。

⑫小鍋




木の芽
葱ポン酢

鯛は葱ポン酢の上に落として貰って
葱ポン酢をただぷり絡めてから頂く
蛤は蛤出汁の地を纏わせ一緒に頂く

鯛から身質の優れた肉感伴い豊満に
曝け出された姿態を葱ポン酢の中に
ポチャンと飛び込ませる
お葱たっぷりと鯛の身に盛り付けて
ポン酢をジャブジャブと浸らせつつ
酸味で纏わせた所をシャクッと齧り
グイッと肉片に喰い込む
切れ味の良いフレッシュな食感走り
肉片がキュッと引き千切られ鯛から
甘酸っぱい肉片が旨味を弾き出して
葱のシャキッとエッジを感じられる
テクスチャーが歯を捉え伸びて来る
この齧り付いた瞬間の衝撃が脳天を
突き鯛の本質的な美味さを思い知る

咀嚼に釣れられて木の芽がフゥッと
香り立ち芹がシャキッと食感伸ばし
春の味で寄り添う美味さを作り出す
見事な味覚の組み合わせに舌が唸る

⑬お食事

津居山の松葉蟹と蟹コロッケご飯

菜の花
揉み海苔
香の物
赤出汁 湯葉

毛蟹だけのご飯でも美味しいかなと
思いつつ此処で蟹コロッケをご用意
大将曰く
蟹だけの炊き込みだとバザバサして
乾燥気味なご飯になり少し味気ない
唯ズワイ蟹をドカンと纏めて炊けば
美味しくなるかも知れませんが相当
蟹の量も欲しいしご飯との相性にも
一考を要するとの事にて
もう少し潤いのあるご飯にするには
衣を纏った蟹コロッケが丁度良くて
炊き込みご飯にする場合には油脂を
含ませた方が凄く旨味が浮き上がり
良い味に仕上がるのでこんな感じの
ご飯になったとの事でした。

確かに蟹の甘味にコロッケの揚げ衣
その脂質が蒸された米粒にも潤いを
与えていて蟹や蟹味噌と相乗効果が
上手くご飯との融合を果たしてます。
なので自然に米粒に潤いが出ており
スベスベなお米の肌合いが美しくも
輝いて食感が綺麗に滑らかな甘味で
歯に答えてくれてます。
そして蟹の甘味も味噌珍味も静かに
漂い海苔風味も心地良く加わりつつ
ご飯を後方支援し咀嚼を進めました。

湯葉の甘味を浮かせた赤出汁が実に
良い味を出していてお出汁のうま味
深く地に滲み出て赤出汁と蟹ご飯の
相性良く調和してご飯が進みました。
〆の馳走に相応しい蟹コロッケご飯
雅に舞いましたお雛様仕様の春料理
流石と思わせる篠原大将に拍手喝采

⑭甘味

漉餡を射込んで
しっとり食感と
優しい甘味纏う
プルンな葛饅頭

お薄

2023/04/26 更新

29回目

2023/01 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

お正月気分に浸り祝い膳を鴨河豚伊勢海老さんたちに囲まれて楽しく戯れ合うひと時を満喫

◆2023.1.14(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥35,000
キャビア購入とお酒含むお会計¥77,000

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

⓪香煎茶

定番の昆布茶で舌を湿らして頂き
お腹もゆるりとほっこり暖めてもらいます。

◉しのはらキャビア恵

食前のお口慣らしの香煎茶に加えて本日は
浜松Hal Caviar産のしのはらキャビア
塩味が大人しい仕上がりのキャビアにて
此の儘お酒のアテにもなりますね。
しのはらスパークリングにドンピシャでした。

①先付

○山利の白味噌仕立て
○七草に因んだ蓬餅
○なめこ
○牛蒡

例年人日の節句には春の七草を入れてお粥を
頂き1年の無病息災を祈るものですが其れに
因んで香りの高い蓬等も邪気を払うと言われ
皆様の健康息災を祈る気持ちも込めて蓬餅を
白味噌仕立てでご用意との事でございます。

単純に山利の白味噌だけでも美味しいもので
此れになめこと牛蒡で味覚を整えて来る所が
流石と思わせるあしらいになってます。
蓬餅をモチッと噛みビヨ〜ンと伸びる食感が
とても楽しく感じ一緒に白味噌を掻き混ぜて
飲むとこってり甘味の白味噌の中に忍ばせた
なめこがヌルリと舌に悩ましく食感を伸ばし
牛蒡の繊維感がシャキッと味を締めて来ます。
誠に奥床しくも味わい深い地の旨さを頂けて
新年に相応しい温かく心の篭ったおもてなし
味覚と食感が同期して見事な味わいに感動し
味わいが深く舌に刻まれた一品でした。

②三宝柑釜

○紅白の車海老
○芽甘草
○帆立貝
○紅白なます
○寿海苔
○加減酢の煮凝り

花言葉が「永遠の契」と言う意味があり
お正月に欠かせないウラジロの葉の上に
三宝柑釜を座らせております。
裏の白い部分が表面の葉で表裏無き一年を
過ごせます様にとの事でご用意されてます。
お正月に相応しい雰囲気の盛り付けを施し
眺めてるだけで気分が高揚してきます。

三宝柑の釜には
彩どり鮮やかなお正月らしい紅白が
美しい車海老と紅白なますが視覚を
お祝いらしさで楽しませてくれます。

三宝柑の中には目甘草や帆立たちが
盛り付けされ更に寿のカタチをした
黒い水前寺海苔を添えお正月らしく
福が訪れる様な趣きで仕上げてます。

車海老から箸を付けて先ずはプリプリの
元気の良い甘味をお口に含ませて帆立の
プルンと跳ねる様な肉感と帆立エキスの
甘味を存分に楽しんだ後で紅白なますの
甘酸っぱい味覚とコリっとする芽甘草の
甘味を存分に楽しんでお祝い気分に浸る
楽しいお正月の味わいを満喫致しました。

③お椀

○淡路 鯛
○京都 聖護院蕪
○金箔
○鶯菜
○松葉柚子

聖護院蕪は扇面の扇の形状に整えて
扇の末広がりに意味合いを持たせて
めでたい鯛を末広がりに広げていて
新春らしくお祝いの気持ちを込めて
趣を深めたお椀とされています。

吸い地の昆布が淡く舌を温かく迎えてくれる
鯛がハラリと解けつつ淡白な旨味を膨よかに
佇ませて舌をしっとりと慰めてくれてます。
とても優しく吸い地のうま味と鯛が調和する

鯛をしっかり嗜みつつ豊満な姿態を崩して
鯛を頂く醍醐味はまた格別な味わいです。

吸い地に佇む立派な聖護院蕪は地に浸され
そのうま味に染まる鯛の味わいと膨よかな
食感に舌が感銘を受けております。
浸し地の中でホロホロと身質が崩れ落ちて
膨よかな脂質が留まる淡い旨味が吸い地に
写って来て表情の変化に舌が驚いてます。
お椀に潜んだ素材の味覚のグラデーション
その美しい味わいが円舞し奥行きが広がる
舌を蠱惑の渦に巻き込む美味しさに楽しく
高揚感がいっぱいで満足感が広がるお椀と
なっておりました。

④お凌ぎ

○松葉蟹 津居山
○鮟肝 余市
○酢飯
○銀餡
○三つ葉

ガラスの器の中に津居山の松葉蟹の身と
余市の鮟肝が酢飯を程良い温感でご用意
その上から透明感溢れる銀餡掛けにして
優しく舌をオブラートして温和に宥める

松葉蟹の甘味たっぷりの解し身に鮟肝が
しっとりとした粘力を豊かに発揮してる
その鮟肝の身と蟹の身に酢飯を絡ませて
よく掻き混ぜ混ぜし鮟肝味と蟹の甘味が
酢飯にたっぷり美味しい要素を絡ませて
麗しの美味しさを振りまいており素敵な
蟹鮟肝リゾットが出来上がって居ました。

しのはら風の不思議味覚の蟹リゾットは
一口を食べるごとに珍味と妙味が膨らみ
舌を波乱の味わいの渦に惹き入れてます。
蟹リゾットを掘り進めると中からは蟹の
味噌がトロ〜ッと零れて来て味噌珍味に
蟹の甘味が和やかに温かい鮨飯と同調し
銀餡のネットリ感と馴染み合いながらも
鮟肝の珍味も混ざり合って混沌とします。
この味覚の渦巻きの中から沸々と美味が
湧き上がりその妙味珍味で舌をジワリと
悩まし続け恍惚に蹲っておりました。

⑤焼物

○青首鴨 岐阜
○青首鴨 福井
○柚子胡椒
○おろし

お皿上に重ねて盛り付けられた鴨肉は上に
福井の青首鴨が下には岐阜の青首鴨を乗せ
自家製柚子胡椒に大根おろしを添えており
好みに合わせて鴨肉の妙味を引き出します。

福井の鴨はお米を食べて育ち優しい肉質感
岐阜は野生味を浴びて猛々しさが募るもの
どちらも一つ噛むだけで肉汁がジュウッと
口の中で溢れて来て肉感が迸り旨味大いに
沸騰させる美味しさで舌を魅了致しました。

個人的な好みとしては福井の青首鴨の方が
肉質がややふっくらとして優しい逞しさが
入り乱れつつ味わいが膨らむもので嬉しい
岐阜の青首鴨は肉感がグイッと伸びており
柚子胡椒の刺激が完全にマッチングします。
日本刀で使われる希少な玉鋼で焼いた鴨肉
肉の芯迄火が通り青首鴨のポテンシャルを
最大に引き出す火入れの技に舌が感銘です。

⑥揚げ物

○河豚の唐揚げ

サイズ感が半端無い虎河豚の唐揚げ
骨付きのままでゴロンとお皿の上に
堂々と鎮座する唐揚げを手掴みして
勢い良くガブリと歯で齧り付きます。
下味も生姜醤油の風味が気品溢れる
味付けにて河豚の逞しい肉感が伴い
歯応え十分な美味が口内を占領する

やや厚目の衣で身厚さとサイズ感に
見合うダイナミックな唐揚げに仕上
衣を齧るとザクッと破砕感が迸って
これこそ河豚の唐揚げの醍醐味かと
感無量の躍動する肉食感と歯当たり
骨の髄まで全部しゃぶり尽くしたい
衝動がどんどん溢れて来て無我夢中
齧っては肉片を引き千切って河豚の
骨に歯が当たると露わとなった骨を
舐め尽くしたくなります。

数滴の酢橘を河豚の唐揚げに垂らし
力強く歯に反発する身肉の美味さに
爽快な酸味を纏わせて河豚の旨味と
同調してエネルギッシュな肉感をも
僅かに和やかな味わいに表情を変え
優しい味になる唐揚げを堪能します。

正に貪り尽くすと言う感じで小骨に
へばり付いてる肉片の残りカスまで
美味しく舐め舐めして卑しくも全部
綺麗に残さず食べ尽くして大満足の
境地に至り感動の味覚を頂きました。

⑦鮪の細巻き

香りもパリッとする食感も
素晴らしき金田のお海苔に
舎利を敷き詰めた中に鮪の
中トロや赤身のすき身等を
白胡麻散らしてからクルッ
と海苔巻きに仕上げてます。
花穂紫蘇で飾り付けを施し
美観を整えて手渡しします。

見た目も麗しい可愛さで佇み
ムシャムシャッと一口を噛み
噛んだ瞬間にパリッと海苔が
快適に破砕される食感を伴い
口内に磯風味を充満させ乍ら
鮪の甘味が同時進行の細巻き
噛んでいる海苔巻きの中から
べったらのコリコリっとした
清々しさと鮪すき身のプルッ
とする甘い舌触りが舌に届き
咀嚼がナチュラルに進み乍ら
海苔味や鮪の旨味がお互いに
絡み合ってこの一品の味覚を
見事な迄に作り上げてました。

⑧お正月仕様の八寸

店内の照明が落とされて
周りが薄暗くなり
その暗闇の中から大根灯籠の薄明かりが
雅に八寸を映し出してご登場です。
この風情豊かな演出にお客様全員が
ほぉ〜、うわぁ〜っと歓喜の声を上げてます。
お花が開き掛けの梅の蕾と
越前水仙の飾りが誠に雅な飾り付けです。
お正月らしく
羽子板の器と鶴の器と小鉢に分かれて
盛り付けです。

【福寿草の香合】

○鰤にいぶりがっこと大根おろし

鰤をサッと藁で炙ったものに
大根おろしといぶりがっこを
合わせて味と食感を整えてる

いぶりがっこ大根おろしが上手く
寒鰤の潔い美味さと和む感じにて
意外にもシャキッとするおろしが
寒鰤と相性良く食感が豊かに伸び
とても楽しい味を残してくれる。

嬉しくなる妙味を齎す合わせ技の
お料理を拵えてしまう正月料理に
舌が浮き浮きしてしまう嬉しさで
盛りあがっちゃいますね。
シャリッといぶりがっこが走り抜き
大根おろしがシュッと爽やかに舞う
其処に鉄分旺盛な寒鰤の甘味十分に
大根おろしの薬味たちが邪魔せずに
味覚を膨らませて来ているのが素敵
この寒鰤の旨味と妙味に暫く呆然と
してしまいました。

【宝珠の香合】

○雉と芹を使ったお浸し

元来、宮中の正月行事「晴れの膳」の
お祝いの酒として振舞われる式たりで
雉酒は不老長寿の効能が有るとの事で
皆様にも健康で長寿にとの願いを込め
雉を使ったお料理のご用意となります。

雉料理を頂くのは稀な事なのでとても
不思議な肉感に襲われる感じでフワッ
となりムニュッと弾んでほんのり少し
野生味を感じる甘味を忍ばせながらも
歯をしっかりと迎え入れてくれる様な
そんな味わいなのですがとても素直に
鶏肉の良さを味わえる一品と感じます。
其処に芹が清々しく絡み合い雉の肉と
上手く調和していたのが印象的でした。

【鶴のお皿】

鶴の絵柄が鮮やかに描かれた

○鰆山椒焼き
○たたき牛蒡
○干し数の子を戻したもの
○スモークサーモンの上に黄身酢

鰆という字は春の魚と書きますが
新春の寿ぎと言う意味合いを込め
鰆の焼き物をご用意されてました。

また、牛蒡は地中深くに根を張る事から
その土地に根差した活躍ができます様に
そんな願いが込められているのと同時に
叩き牛蒡は叩かれても叩かれても繊維が
硬い物なのでカタチを残すこ事が出来る
と言う意味合いを持つ為其れにあやかり
お祝いの一品として添えておられます。

そして此れも珍しい珍味が溢れるお味は
五日間ほど掛けて戻した干し数の子です。
齧ると食感豊かに伸びてジワッとうま味
珍味が口内にピュ〜ンと飛んで来ました。

また、鰆の山椒焼きが秀逸です。
鰆の脂質を上手く飛ばして身をしっとり
白身の旨味をギュッと凝縮させて保湿し
パサつかず水っぽく無くの絶妙な塩梅で
炭火を通してるのには舌が唸りましたね
こう言う焼き物料理にかけてはホントに
しのはらさんは見事に仕掛けて来ます。

【羽子板のお皿】

○海鼠と蕪のお浸し(竹のお猪口)
○けしの実を塗した慈姑の松風
○玉子真薯
○のし梅の結び
○煮蛸
○大王松の串に刺した黒豆 千社唐(チシャトウ)の味噌漬け 独活の梅煮
○蕪の甘酢漬け
○梅うど
○梅人参
○梅長芋と梅肉

羽子板にはお正月らしさ満載の旬の素材に
三本羽根が鮮やかな色合いで雅に飾り付け
この羽子板に潜む旬を思い浮かべるだけで
高揚感が止まらなくなりワクワクしますね、

さて、食材の方に目を移しますとのし梅は
素材の性質上ベトベトしてる食材ですので
一度巻いてしまうと中々解けない即ち一度
結んだご縁が解けずに続いて行きます様に
との願いを込めて結び型で盛り付けられて
おります。

煮蛸にはタコをもじって多幸と言う意味が
込められてます。
更に八本の足は末広がりを意味しますので
幸多き事が末広がりに展開します様にとの
意味合いを持たせた盛り付けとなってます。

そして大王松の松葉の方は蓬莱飾の仕様で
環流にて整えて飾られておりますけれども
正月の寿ぎが回り回って来年も再び無事に
帰って来れます様にとの願いを込めてます。

本日のお正月仕様の八寸の全てのお品には
皆様へのご健勝と寿ぎが来年も巡ります様
お願いの気持ちが詰まった心尽くしとなり
一つのお料理に対する篠原大将の心意気が
感じられました。

⑨鶉のつくね

お正月バージョンの八寸は品数を取っても
何時もより多い上に更にお祝い気分が満載
その器と素材で楽しさ嬉しさが倍増してて
気分も高揚してしまいました。

八寸の中の様な位置付けでもあり八寸からの
味覚の繋ぎに鶉を使ったつくねの治部煮です。
鴨の旨味と治部煮の甘味が上手く甘美な味覚
味わいの深さを整えており肉感の柔らか味に
寄り添う優しい甘さが舌に響いて歓喜する。

⑩フォアグラ最中

久しぶりの定番の一品が復活してました!
コレは嬉しい。
漸くフォアグラが日本へ解禁され早速です。

フォアグラの耽美な味覚を見事に潤い
豊かに踊る甘美な味わいがお口の中で
昇華しておりました。
嬉しいおもてなしの一品復活万歳です。

⑪小鍋

○伊勢海老
○蛤
○河豚
○春菊
○粟麩
○白葱
○ちり酢

昆布ベースのお出汁に伊勢海老に河豚から
うま味を膨らませたお出汁が深掘りされて
舌にジ〜ンと響いて来る旨さが堪りません。
そのお出汁に浸されて虎河豚の身も鉄皮も
見事に染められて舌を攻めて来ます。
虎河豚の白身はエネルギッシュな肉質感を
見せて噛むと白身がしっかりシコシコする。
その力強さが漲る河豚の身を咀嚼してると
まるで鶏肉のささみの様にしっぽりと絡み
身質の躍動感が逞しく感じられる肉質感を
走らせて河豚の旨味で口腔内を満たします。
ちり酢に河豚の白身を浸すと酸味が程よく
纏わりつきより一層虎河豚の味わいが深く
広がりました。

また、伊勢海老からダイナミックな肉感が
呼び覚まされプリプリッと口内で踊り続け
甘味を振り撒いて実に楽しい味わいを広げ
其処に粟麩が優しくプヨンと柔らかく弾力
舌を撫でて慰めて頂きました。
お出汁を存分に吸ってプックリ膨らんだ蛤
ちり酢をチョコンと浸して柑橘仄かに含む
酸味で纏うと蛤の持つ旨味と調和しており
蛤の膨らんだ身のプヨプヨ食感と味覚とが
重なり合い素敵な妙味に変身していました。

⑫お食事

○焼き鼈の細切れ
○琵琶湖の氷魚
○卵黄の醤油漬け
○飛騨牛ヒレ肉炭火焼き
○赤出汁:車麩
○香の物:白菜 昆布 人参 紫蘇

お茶椀に鼈肉と氷魚の炊き込みご飯を装った後
揉み海苔をご飯にパラパラと振ってご用意です。
ご飯の盛り付けの中央には卵黄が鎮座してます。
誠に黄身の美しさが映える一品となっています。
氷魚の純白さと黄身の鮮やかなる配色が美観を
見事に整えて食欲の衝動を駆り立てて蠱惑的な
装いに涎が垂れまくりとなります。
鼈肉の旨味と氷魚の新鮮で大海から写る塩味が
上手く調和し合うご飯の膨よかさは艶やかさが
素直に映る美味しさそのもので潮の風が戦いで
氷魚の塩味が優しくご飯にオブラートしてます。
卵黄を崩さない儘で氷魚と鼈ご飯だけを頂くと
氷魚のふにゃっとする柔らか食感と鼈の肉片の
コリッとする食感とが重なり合って白ご飯から
愉快な食感が膨らんで実に楽しい歯触りです。
その次には此処はやはり黄身を崩したい衝動が
芽生えて来ますから卵黄をプチンと潰してやる
すると卵黄の黄身がトロ〜ッと崩れだし濃厚な
甘味が氷魚ご飯たちに浸透し出して其奴を混ぜ
黄身の瀞みに浸されたご飯をお口に入れてやる
その瞬間、舌が陶酔感に酔いしれちゃいますね。
その間隙を縫う様に鼈肉の旨味がコリコリッと
ご飯粒の中から突き上げて来て激しくパンチし
鼈の肉感の勢いを伸ばして来乍ら氷魚のご飯と
交錯するもんだから抱腹絶倒する旨うまご飯に
変貌を遂げておりました。

⑬甘味

紅白の金団に百合根の黄身餡を合わせた甘味
お正月のお祝い気分を最後まで演出して頂き
楽しく和やかなひと時を過ごせました。

⑭お薄

■食前にお摘みで頂いたキャビアをお土産に購入

2023/02/11 更新

28回目

2022/11 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

旧暦十月(亥の月)の亥の日に厄災や火の気を祓う慣わしに因んだ「玄猪(げんちょ)包」が雅に飾られての今月のお料理のスタートでした。

◆2022.11.19(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥33,000
お酒消費税含むお会計¥44,100

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

①先付

○唐墨餅

平安の昔
宮中では旧暦十月(亥の月)の亥の日に
新穀でついたお餅の亥の子餅を畳紙にて
包んで下賜したと言う慣わしが有ったと
言われてます。
その包が「玄猪(げんちょ)包」です。

猪は火の神様のお使いで火事を除ける
力を持つと言われてるそうです。
冬が近づいて火の気が多くなる時節柄
お料理も良く火を使いますし昔の家は
火鉢を起こしていた季節でも有ります。
そんな理由から玄猪包でお餅を食べる
と言う慣わしで厄災除けが行なわれた
そんな事で
本日は亥の子餅(いのこもち)に因み
代わりに唐墨餅のご用意となります。

玄猪包みの中には自家製唐墨がセット
包みを紐解くと焼きたての唐墨が登場
その唐墨を
今し方焼いたばかりのお餅が配られて
サンドした唐墨餅を頂くと言う趣向で
とても熱々でプクッと膨らんだお餅と
とても穏やかな塩味漂う唐墨とが同居
熱々ホックホクの唐墨餅をフゥフゥし
指先ではアチチッと鳴り乍ら我慢して
珍味いっぱいの唐墨持ちを齧りついて
お餅がビヨ〜ンと伸びて来る愉快さを
面白可笑しい楽しさを満喫致しました。

②酢の物

○柿なます
○伊勢海老を細く和えたもの

酸味が柿なますと優しくご一緒して
其処に伊勢海老の元気に解された身
とても静かに酢の味覚が佇むお料理
舌をサッパリと清めて爽やかに喜ぶ

唐墨餅で熱くなった舌をさり気無く
冷感と酸味で宥める巧みな料理運び
こう言う所にしのはら料理の魅力が
潜んでいて多くの方を惹きつけます。

③お椀

○毛蟹と帆立の真薯
○白菜

とても上手に毛蟹真薯を繋いで纏めています。
帆立の擂り身で毛蟹を繋いでいるのでしょう

真薯に合わせて優しく白菜がお付き添い願い
吸い地の旨味に浸されながらシャリッとして
食感が嬉しいくらいに伸びて真薯を後方支援

毛蟹を徐に解しますとフワフワァンと
毛蟹が繊細に吸い地の中に散って行き
真薯に忍ばせた帆立がコリッと顔出し
優しい甘味を吸い地へと写しています。
これぞ正に大海の恵みを存分に活かす
お料理とぞっこん惚れ込ん仕舞います。
其れも殆ど擂り身などの繋ぎを微塵も
感じない毛蟹帆立の真薯にて齧ったら
無垢な旨味がプクンと弾け飛び身肉は
ほぼほぼ毛蟹と帆立の身がぎゅう詰め
と言った感じなのには舌が驚いちまう
そして真薯を解し乍ら食べ進んでると
毛蟹の身が糸屑が解れていくかの様に
お椀に溶け込んで行き地を白濁させて
昆布の香り芳しい旨味と繋がりながら
至福の味わいを演出しておりました。
あぁ、至高のひと時の訪れに感無量。

④お凌ぎ

○穴子の苞蒸し(つとむし)

良くスーパーとかで藁苞納豆とか
売っている時の藁苞(わらづと)に
挟まれて穴子の飯蒸しが添えられてます。

○餅米
○焼き穴子
○サツマイモ
○柴漬
○大葉を刻んだものを天に添えて

藁苞に挟まれた焼き穴子の飯蒸しの天には
大葉を細かく刻んだものを束ねてクルッと
可愛く飾り付け素敵な香りのアクセントに

食べ方は両手で藁苞の束を持ち上げ
藁苞のに挟まってる飯蒸しを丸ごと
逆さまにひっくり返してお皿の上に
ボトンと穴子ごと落としちゃいます。
右手のお箸で飯蒸しごと掬い上げて
お口にパクリと放り投げてやります。
すると
真っ先に焼き穴子がフワァ〜ンと解け
カステラみたいな舌触り食感が一気に
広がり穴子の旨味と餅米の甘味に時々
顔を覗かせるサツマイモさんがサクッ
上手に餅米と絡み合い甘味を振り撒く
穴子の身質がサラサラ流れる粉質感で
咀嚼してるかしないうちにホロホロに
細かく解けて行きお口の中で溶けます。
その粉質感が舌をナチュラルな感じで
包み込んで行き穴子が解けて行くのに
連れられてサツマイモの甘美な香りが
糯米の粘性豊かな甘味とマッチしつつ
口内を満足感で満たして行きました。

単品の一口の満足度高し最高峰の料理
この時期のしのはら料理の定番として
不動の地位を獲得している名作品です。

⑤焼物

○青首鴨胸肉の炭火焼き
○自家製柚子胡椒
○おろし

見る目も麗しく肉肉しさが漲る青首鴨の
ロゼ色に輝く胸肉にトクンと胸が高まり
欲望が沸々と湧き齧り付きたくなります。

堪らずにグサっと歯が鴨肉に挑み肉肌に
吸い寄せられる様に招かれて行きますと
グッと迫り来る青鴨肉の初々しい肉感に
捉えられ柔肌に抱き寄せられて行きます。

其の儘更にギュゥッと歯で食い込みます。
鴨肉からジュワジュワンと脂が滴り落ち
旨味がエネルギッシュな味わいを見せて
獰猛な肉質感をたっぷり広げて来ました。

胸肉のしなやかな肉質感は甘美な味わい
噛めば噛むほど愛おしくなる美味しさに
舌が吾を忘れてしまって呆然と致します。

真っ赤な炭火の遠赤外線で焼かれてる為
肉質が痛まず繊維が肌理細やかなままに
ソフトな歯触りで嬉しい食感が広がって
顔を鴨肉に近付けて炭の芳ばしい匂ひを
感じ乍ら鴨肉の旨さに頬っぺたがストン

咀嚼が重なりギュウ〜ッと噛み進めると
意外にも鴨肉は弾力感がポンと反発して
肉厚の膨よかさを感じつつ旨味が充満し
ドンドンコク深い美味しさが増して来る

その美味なる舞を楽しみ乍ら柚子胡椒が
ピリッと心地良い刺激を奏でて舌を少し
痺らせて鴨肉のジューシーな旨味と調和
咀嚼してる間にジュッ、ジュッと旨味が
噴き出て来るひと時に高揚感MAXでした。

⑥揚げ物

○栗の渋川煮の唐揚げ
○銀餡掛け

渋皮煮は新潟の五泉の栗を使われてます。

こう言うところがしのはらさんの凄さと
思います。さり気無く素材を見つけては
美味しいと分れば躊躇なく仕入れてます。
素直に良い素材を探究し発見しては試し
味を確かめてお客様へのお料理に饗する
食べる側も嬉しさが増し喜びが増えます。

元来渋皮煮は〆の甘味の所での提供でも
良いものかと思いますが其処をコースの
箸休め的な位置に置き換えてさり気無く
唐揚げの一品にしてしまってる所か素敵

栗自体は鬼皮を剥いた物を仕入れる様で
大振りの渋皮煮はエグミもアクも残らず
カタチも煮崩れしてないご立派なもので
きちんとカタチを整えたままで唐揚げに
されてます。
煮汁もしつこく無く程よく甘くて美味い
サクッと噛んで揚げた名残の脂質分から
渋皮煮の苦さも全然残ってなくて素直に
和栗のあの耽美な甘味がザクリと噛むと
後でジンワリと渋皮煮の唐揚げの中から
零れてきてます。
コリッとする食感と共に噛み心地も抜群
渋川煮の温かな栗の柔らかさに芯の強さ
そして咀嚼の最中にポロリと解ける身質
其れ等美味しい要素が全部一緒に同期を
取り口内で居心地良さそうに佇むのです。

渋皮煮の唐揚げにしっぽりと絡む餡から
エレガントな糖度の広がりを感じます。
素朴に栗の甘さを極限まで追求した逸品
限られたこの期間にしか出会えない料理
来年も是非お会いさせて頂きたい作品と
つくづく思う歓喜に震えるお料理でした。

⑦お造り

○余市の鮟肝煮付け:山葵
○戻り鰹の玉葱醤油の漬け:和芥子

此処で可愛い香合が登場し丸蓋を
開けてみると中に見るも鮮やかに
甘く煮付けた鮟肝に追い山葵して
山盛りの山葵でも鮟肝の甘味勝ち

鮟肝はしっとりと浮き上がる甘さ
煮汁にジワリと浸された味付けを
施していてその甘味にたじろいで
しまう程の美味しさです。
鮟肝欠片をお口の中に入れて舌に
ポトンと落として舌で転がします。
途端に広がる甘い脂質がしっとり
舌一面に満遍なく抜群に広がって
心ゆくまで味わう鮟肝の絶品味に
陶酔してしまう快楽を頂きました。
鮟肝のスベスベ円やか舌触り感が
舌を撫でて行き駆け抜けます。
しっとり絡む酒のアテとなる鮟肝
お酒をチビチビやるには最適です。

鮟肝に引き続き出されましたのは
玉葱醤油のボールの中でたっぷり
漬けを施された戻り鰹がテカッと
輝いており実に艶かしい色合いで
一枚を齧ってみると鉄分旺盛さを
感じる甘酸っぱさが舌に訪れます。
しっぽりと舌へ絡み付き密着する
漬けの甘味と鰹の酸味と香りとが
間合い良く調和して味わい深さが
どんどん進んで舌に浸透して行く
その妖艶となる味覚が舌を満たす

⑧お凌ぎ

○鮪とべったらの手巻き
○金田の板海苔
○花穂紫蘇

お海苔の上に舎利を敷き詰め
秋の中トロや赤身のすき身を
舎利に山盛りした所に白胡麻
クルッと海苔巻きにしてから
花穂紫蘇で飾り付けを施して
美観を整えて手渡しされます。

見た目も麗しい可愛さで佇む
鮪とべったらの手巻き海苔を
ムシャムシャッと一口を噛む
噛んだ瞬間にパリッと海苔が
元気よく快活に裂けて磯風味
口内に充満させながら快適な
食感が同時進行する海苔巻き
噛んでいる海苔巻きの中から
べったらのコリコリっとした
清々しさと鮪すき身のプルッ
とする甘い舌触りが舌に届く
咀嚼がナチュラルに進み乍ら
海苔味や鮪の旨味がお互いに
絡み合ってこの一品の味覚を
見事な程昇華させていました。

⑨焼物

○津居山の焼きズワイ蟹

お料理の途中でプレゼンして頂きました
立派なズワイ蟹の脚をを大将がザクンと
切り裂きバシャッと胴体から割いてます。

脚の部位を炭火で焼き上がったばかりを
小鉢にはほぐし身の蟹味噌和えの盛付け

茹炭火で焼いたばかりのものを頂きます。
目の前には焼きたての脚の部位の殻には
こんがりと黒くなった焦げ目が付いてて
熱々な蟹の殻の先を摘み関節を逆折りに
クイッと曲げてひしゃげると蟹の軟骨が
スルスルゥッと簡単に抜けて行き綺麗に
蟹の身だけが残って露わに剥がれます。
丸裸になった蟹の身を其の儘でパクリと
お口に放り込みますとホクホクな甘〜い
蟹味が抜群に伸びて来て嬉しくて悲鳴を
上げそうになっちまい此奴は美味し!と
叫びたくなります。
全く新鮮な蟹の甘美な香りと味覚を舌で
ダイレクトに味わえるのは感動ものです。

そしてたつっぷりの蟹味噌で合えられた
蟹のほぐし身が詰まっている小鉢に箸を
向けながら一口摘んで頂きますと此れも
珍味甘味合体して美味いウンマ〜イ炸裂
最初ジンワリと珍味が生温かさを持って
舌を撫でて行きその後に解し身の甘味が
しっぽりと舌に付き添い実に深みのある
蟹味噌のコク深い味わいに没頭致します。
もうお酒がどんどん進んでしまいました。

⑩揚げ物

○鼈の唐揚げ:粉山椒

しのはら料理の定番かつ著名な作品でも
有ります鼈シリーズ何弾目か覚えてない
焼き鼈有り
唐揚げ有り
竜田揚げと
タレ焼きも
と言う感じでシーズンの移り変わりの中
季節感に合わせて鼈肉を色んなカタチで
味わい深く楽しませてくれるさのはら鼈

本日は秋深まり寒気を感じる時節なので
唐揚げで元気を付けさせて頂きました。
ザクッ!と鼈肉にむしゃ振り付きますと
グニュ〜ッと鼈肉が唸り唐揚げの衣から
サクッとする食感が歯に当り気持ち良い
其の儘咀嚼を進めると鼈肉が力強く弾力
然も結構アチチ、となり少しフゥフゥし
齧り続けて肉塊を骨から引き千切っては
また齧り付き食べてるうちに鼈肉の虜と
なっちまい無我夢中で貪る羽目に陥って
仕舞うので有ります。
それ程までに何も考えずに唯只管ガブリ
齧り付きっ放し状態が続いて骨の髄まで
舐め回して肉片のカケラも無くなったと
分かると仕方無く諦めてフゥ〜、一息を
付いて食ったぁと満足気にニンマリする
この食い切るダイナミック感だけは鼈の
醍醐味であり此奴だけにしか味わえない
貴重な味覚であり脳裏に焼付く味でした。

⑪天麩羅

○白魚天麩羅
○銀杏素揚げ
○慈姑チップ
○茶蕎麦で作った松葉
○さつまいも天麩羅

今日の一品ものの品数の多さは凄い!
何処までこの一品物が続くんだろう
そう言えば今日は未だ八寸が出てない
少しはお腹の具合と相談を始めないと
やばい事になりそうだなと思い始める

そうは思っても舌が言うことを聞かず
目の前にいざ白魚が気持ち良さげにね
天麩羅の姿で私に美味そうに微笑むと
舌がソワソワしてしまう食いしん坊の
性なので有りましょうか

さて、そんなこんなを思い浮かべ乍ら
白魚にフワンと纏う揚げ衣の軽やかさ
このナイーブな食感が歯に最初に訪れ
サクンと囁きサラリと衣が裂けちゃう
衣の軽やかさにも参るが咀嚼感が伸び
中から白魚の海の香り混じりに底味が
ジンワリと浮き上がって来るのです。
この底味の美味さが答えられませんね。
もう、一個齧ったら次の1尾へそして
またもう1尾へと次々に食したくなり
歯も舌も止まらなくなります。
ん、此奴はヤバい揚げ物と思ってると
隣から銀杏がプチンと小気味良く弾く
更に慈姑チップがカリカリッと砕けて
心地良い食感が弾けて飛んで来るのが
とても美味い塩梅で語り掛けてきます。
そうこうして白魚の友達と戯れてると
甘美な味わいでお芋が穏やかに訪ねる

触感も温感も香りも入り乱れて口内は
混沌とした味覚が行き交うけど咀嚼を
進めてる内に何となく纏って来ており
美味が整って来る喜びに浸ってしまう。

⑫八寸

11月からでしょうか
美味妙味を施した季節の一品たちが
八寸の前に引きも切らず用意されて
折敷の周りはかなり賑やかな装いで
八寸自体は終盤のクライマックスに
配置するコース運びに変更された様。

お部屋の照明が薄く調節されて
お膳は中央に大根灯籠が仄かに
揺れる薄明かりで雅な八寸登場

11月の八寸は青竹を飾りに入れて
お茶の世界で言う茶正月の祝いの
雰囲気を愛でる設えでご用意です。
上段の方の器には紅葉柄の箱物が
色鮮やかに飾られ紅葉を楽しめる
おめでたい季節感に思いを馳せる
鶴の向付には彩り鮮やかな食材で
雅に飾られて舌を唆しております。

お茶の世界では茶正月の季節となり
おめでたい時節となる事もお手伝い
器の紅葉を愛でて頂こうとのお考え

紅葉柄の器の蓋を開けますと

○玉子豆腐に海胆とイクラに北寄貝を
加減酢の煮凝りを合わせたもの
○烏賊の塩辛
○赤蒟蒻に春菊となめこの白和え

何とも嬉しく酢の物から舌を元気づけ
この八寸の物語が雅な装いにて始まる。
イクラはそろそろお終いに近いようで
食べ納めともなりそうな気分もあって
しっかり舌で感じ取り乍ら海胆珍味を
添えて嗜みます。
酢の物の次にはやっぱり誘惑が楽しい
烏賊の塩辛を舌に着地させ酒のお供に
お付き合い頂願うのが宜しいかと。
そして紅葉気分に浸りつつ白和えにて
ソフトに舌を滑らかにさせる味わいで
締める流れに料理構成の巧みな運びを
感じます。

次の器
鶴の向付には

○皮剥の肝和えにちり酢を掛けて
○酢橘釜の中には
ほうれん草と菊のお浸しに酢橘風味
○蝦夷鮑を蒸したもの
○甘酢に漬けた菊蕪
○鰻の昆布巻き
○卵を蒸し上げた卵真薯

少し舌鳴らしが済んだ段階でのあしらい
中々ボリュームもあるし目移りしそうな
妙味珍味を盛りだくさん頂いて口が喜ぶ

この時期の皮剥は頗るウンマイので
肝和えはかなり珍味を振り撒く逸品
ヌルッと肝を舌で潰し皮剥の元気な
切り身と一緒にコリッとする食感を
噛み締めて堪能する

蝦夷鮑を柔らかく蒸して外側プルッ
内側シコシコして内外の食感落差を
楽しみつつ鮑の個性的な旨味も頂く

昆布と鰻を上手に合わせて味覚達を
上手に織り交ぜた昆布巻きからの鰻
一口齧っただけで昆布の濃厚旨味に
鰻のエネルギッシュな白身の妙味が
グサっと舌を突き抜けて元気を貰う
これがまた勢い良く口内に流れ込み
美味いのうんまぁいのが大行進する

最後に頂くのはしっぽり玉子真薯で
八寸の有終の美を飾ってお仕舞いに
名残惜しくはなりますが緩急に富む
美味珍味が此ほど溢れて来る料理に
感動が渦巻き高揚感が消えない儘に
大満足した舌を後に残して行きます。

⑫焼物〜鰤の山葵焼き

同じ幽庵焼きでも一捻りを加えて
幽庵地に山葵を纏わせて焼いてる。
醤油焼きを施した後で山葵を塗る
山葵塗りと言う手法で幽庵の地を
より一層クリアに旨味を伸ばして
鰤の膨よかな身質に地を艶やかに
纏わせ極上の一品に仕上げてます。

噛めば噛むほどジワジワと旨味が
押し寄せてきて舌を悩まし続ける
この美味なる鰤の佇まいに陶酔し
キュッと酌み交わすお酒に溺れた

⑬炊き合わせ〜鯛蕪

○紅葉鯛に蕪を合わせた鯛蕪
○菊菜
○原木えのき
○蕪
○お出汁の餡掛け

鯛のアラの旨味を蕪にじっくりと含ませ
鯛と共に蕪を美味しく食べる寒気を増す
今日この頃の時期にぴったりの料理です。
今回は小鍋仕立てにして素材の持ち味を
充分引き出した旨味豊富な汁をたっぷり
味わえる様にコトコト煮込まれてます。
その中を蕪がトロッと解けそうになる位
ジンワリと炊いて味を染み込ませてます。

真っ白な紅葉鯛の下に潜んでる蕪を齧る
直ぐにホロッと崩れてジュウッと旨味が
唸る美味しさは格別で舌が狼狽えている
鯛は肉感が豊満な姿態で歯を楽しませて
しっとり味わい深く食感豊かに美味しい

最後にゴクンと濃厚な出汁の餡を一気に
飲み干して舌は満足感でいっぱいとなる

⑭お食事

○上海蟹ご飯
○香の物
○雲子餡

一膳目は蟹味噌たっぷりに染まった
ホクホクのご飯を其の儘頂くお食事
上海蟹特有の蟹味噌たっぷり纏わせ
味噌の珍味が米粒を染めて噛む度に
上海蟹の醍醐味を満喫出来ます。
一噛み一つのmogmogがとても艶な
味の色合いで舌を魅了してくれます。
此の儘消えないでと言う思いが募る
喜びのご飯でした。

二膳目は

雲子餡掛けの上海蟹ご飯となります。
雲子の浮いてる上海蟹お出汁の餡を
ご飯に注いで良くかき混ぜ混ぜして
雲子が緩やかに解け粘りが出て来る
蟹ご飯と雲子餡が徐々に馴染み合い
雲子リゾットと化しトロ〜ッと瀞み
舌触りを艶かしさで覆い尽くす勢い
長閑にこっくりする甘味が絡み乍ら
スプーンで雲子リゾットを掬いつつ
ズルズル〜ッとお口に運んで唸った
とろろご飯みたいに粘り強さが表れ
雲子の甘味珍味に蟹味噌風味参戦し
舌を滅茶滅茶楽しませてくれました。

⑮百合根の葛焼き

百合根と黒糖を使った葛餅で
葛餅を練ったものを焼いて仕上げてます。
食べるとほっこり温かくモッチリ伸びて
食感と共に甘味が穏やかに佇むお餅です。

2023/01/07 更新

27回目

2022/09 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

重陽の節句に雅な着せ綿仕様のお料理が邪気を払い明日への希望と元気を抱かせる

◆2022.9.3(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥33,000
お酒消費税含むお会計¥39,000

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

⓪香煎茶

煎茶用の小椀で供される最初のお口慣らし
昆布茶に紫蘇昆布をほんのりと佇ませての
香りを楽しむ癒しの一口となり胃が洗われ
お腹もホッと慰められる温感で幸せ気分に

各々に配膳された折敷には利休箸が置かれ
箸置きは茶懐石の流れを汲んでご用意無し
折敷の片方に端先が掛けられるご用意です。

①先付

9月は
重陽の節句の季節です。
又は
菊の節句とも言われておりますが
それに因んで菊の形を模した器で
お料理をご用意されてます。

○新イクラとご飯

新イクラが大分大きく育ち出回って
卵の状態が良くなって来ているので
イクラに舎利を合わせた一品の用意

舎利は近江米の古米を使われてます。
粒感がはっきり感じられる舎利です。
そのクリアな食感に優しくプチンと
弾ける新イクラの甘味の装いに喜ぶ

新イクラが舎利に絡みパチンと囁く
甘美な新イクラのエキスが粒を破り
プチュンと弾けて口内に飛んで来る
その初々しい甘味が舎利に寄り添う
スプーンで新イクラと舎利を混ぜて
咀嚼して行くと卵黄の様な麗しくも
優しい甘味がジンワリ舌に迫り来て
甘く味覚が深まり卵かけご飯となる
その耽美な佇まいにうっとりでした。

②菊花椀

○白甘鯛炭火焼き
○菊花
○昆布のお出汁
○松茸のあられ 紋別
○柚子の短冊

松茸を小角状のあられにカットしたもの
お椀には菊花が絨毯の様に散りばめられ
お椀を真上から見ると菊の紋章の様です。
吸い地は利尻昆布が香ります。

お椀がまた昆布の香りと松茸の芳しさが
共に重なり合うので鼻腔がピクンと震え
その高貴な匂ひだけで高揚感が走り抜け
とても嬉しい気分になります。

その昆布ですが非常に希少な昆布を使用し
北海道は塚田の昆布にて一番美味しくなる
4年目のモノを使われておられるのですが
昆布には何も味付けしてなく昆布の自然の
塩味と旨味だけでお出汁を張られてます。
本物の味わいと言うか希少な昆布です。

白甘鯛には塩を当てて味を深掘りしてます。

炭火で膨よかな姿態にギュッと甘味が
凝縮された白甘鯛の身は淡白な甘味を
昆布の旨味香る吸い地に写しながらも
その身質は穏やかな佇まいで吸い地に
身を任せて昆布のうま味がジワ〜ッと
白甘鯛に馴染み舌に優しく着地します。

静かな着地を見せる白甘鯛はしっとりと
芳醇な潤いを漂わせて身質がシンナリと
落ち着き払って白身がハラリと椀の中に
崩れ落ちて柔らかくて艶やかな滑り感が
舌を妖艶なまでに撫でるも舌が唸ります。

③お凌ぎ

○鼈の煮凝り
○海胆
○地鶏
○長芋を炊いたもの
○カリフラワーと湯葉の擂り流し

地鶏や長芋はお箸で摘んで頂きます。
底に残ってるものは軽くスプーンで
煮凝りに擂り流しを合わせて海胆と
ご一緒に仲良く繋ぎ合わせての珍味
纏めて頂きます。

煮凝りからは鼈のエネルギッシュな
生命力を感じる味わいが深掘りされ
其処に優しい舌触りで湯葉の甘味を
纏わせたカリフラワーの擂り流しが
とても涼やかな癒しの舌触りを齎す

静かな趣でサラサラと流れる清涼感
其処に絡ませるは地鶏のお淑やかな
肉質と海胆の珍味が蕩けて舌を浸す

素材同士が見事に味覚のバランスを
整えて調和するまさに引き算の美学

④鮪の太巻き

もう、大間の鮪が届いてました。
定番の一品とは言え何時も乍ら
鮪の醍醐味を堪能させてくれる

赤身の漬けは山葵和えで
少し味覚をツンと背伸び
中トロは煮切りでトロ〜
すき身にお付き合いする
べったらと胡麻が重なり
胡瓜の千切りが瑞々しく
シャキッと食感伸ばして
穂紫蘇を添えて美観整え
味覚の万華鏡が完成する

その大盛り鮪の太巻きに
ガリを乗せて食べるのが
乙な味となり鮪の旨味も
グッと引き立てられます。

そして
いよいよ私のお口が鮪の
太巻きとがっぷり四つに
合い相撲となってしまい
歯と睨み合いのガブッと
四つに貪り食いついては
モングモグとお口の中に
詰め込めれるだけ詰めて
ムシャムシャと貪り食う
んん、鮪がプチュ〜ッと
お口の外にはみ出しそう

流石にこんだけデカいと
一筋縄では行かんとなり
指で最後の一押しをして
やっとお口の中に収まる

鮪やらガリやら胡瓜まで
お口の中に転がり込んで
コリッと爽やかに食感を
飛ばしつつ鮪の太巻きの
醍醐味を満喫させて頂き
口内を蹂躙し続けました。

⑤鮎の塩焼き

○琵琶湖の若鮎
○郡上八幡の長良川の若鮎
○蓼酢

大きな囲炉裏の鉢に鮎の串が11本
整然と突き刺さって並んでおります。
贅沢にも琵琶湖と郡上鮎のご用意で
小さい方が琵琶湖産で若鮎っぽくて
大きい方が郡上八幡の長良川の成魚
この2種を食べ比べ頂けるご用意で
鮎好きな方なら狂喜乱舞となります。

お膳に二尾の鮎が皿上に盛り付けて
颯爽と目の前に登場し唆られますね。
食前にしのはら大将よりお話を頂く

サイズが大きい方の郡上鮎について
やはり中骨もしっかり残ってます為
中骨に嫌味を感じられる方について
中骨を抜いてからご用意するとの事
お好みで申し出て下さい、とのお話
嬉しい気配りに感謝してしまいます。

琵琶湖鮎は湖に住むプランクトンを
食べて育ちますので川で育つ鮎とは
違いサイズは小さいままで育ちます。
成長しても郡上の様に大きくならず
川魚の鮎は綺麗な苔を食べますので
魚臭さの匂ひ等が身に付かず綺麗に
スクスクと育つので大きくなります。

琵琶湖鮎の方を頭からガブッと噛んで食べると
小骨感が殆ど感じずワタもほんのり甘い感じで
鮎のふっくらとした旨味がいっぱい広がります。
どちらかと言うと未だ幼い鮎に近い味わいにて
火が中までしっかりと通って旨味もほろ苦さも
身にギュッと詰まって備わっている味わいです。

郡上八幡の鮎の方は中骨を抜いてますので
一番美味しい部分だけを頂く事になります。
火が巧みにコントロールされてて鮎の身に
満遍なく火が通りふっくらとした仕上がり
皮がカリカリに焼かれると言う風ではなく
無垢な郡上鮎をクイッと噛んでやりますと
柔らかな噛み応えを感じ鮎の身とワタから
極上の旨味と苦味が入り混じながら仲良く
味覚同士が甘苦さを整えて舌を悶えさせる
素晴らしい郡上鮎の持ち味の調和が芽生え
ワタと共にふっくらと伸びる豊かな身質を
一体に感じることが出来で美味に震えます。
やや野性味を帯びた躍動感のある美味しさ
ワタの苦味が鮎全体に纏いながらも優雅な
旨味で舌を惑わし悩まし続けて参ります。
やはり長良川の鮎はサイズ感もかなり感じ
その大きい身質によるたっぷりのワタから
鮎らしい苦味が白身の旨味と共に手を繋ぎ
堪らなくなるほどの美味が舞いますね。

琵琶湖と長良川の鮎の塩焼き食べ比べは
この夏の時期だけのものの極上のご馳走

そして鮎料理に欠かせない蓼酢が小皿に
用意されてて蓼酢とのデュエットと言う
鮎のもう一つの楽しみ方を頂けます。

この蓼酢にも一工夫してありしのはら流で
お米を炊いて米粒を蓼と一緒に擂り潰して
酢と共に伸ばしペースト状に優しく仕立て
蓼の薬味として鮎に芳しい苦味を添えます。
そうする事で蓼酢が鮎にとても絡みやすく
琵琶湖鮎などは頭からドボンと浸してやり
食い付くと舌には米粒で和やかに馴染んだ
蓼酢に浸された若鮎をソフトな酸味苦味が
纏わりつつ鮎の醍醐味をグッと伸ばします。
何方の鮎も蓼酢の甘苦い酸味を纏った身は
自身の旨味苦味ともハーモナイズして来て
絶品なる妙味が口内に口福感を満たしつつ
極上鮎の味わいを堪能させて頂きました。

⑥衣かつぎと唐墨 新銀杏の素揚げ 振り塩

此処で少しお口が忙しかったので一休み
少し間を置いて舌を落ち着かせる感じの
一品にて秋に思いを馳せる新銀杏が良い

唐墨を上に塗した衣かつぎをご用意です。
衣かつぎの温感で上塗りされてる唐墨が
温められて温感纏う唐墨の穏やかな塩味
この唐墨の味わいがしっとり感を伴って
舌にほんのりとザラリ感を残しながらも
滑らかに撫でて行く快感と塩味の深さに
惑わせられて唐墨だけを残したい気分で
いっぱいになります。
温かい唐墨を堪能し衣かつぎがヌメッと
舌に忍び込んで来る甘味を放ち薄い皮が
コロンと抜けて行く快感を満喫しました。

次に控えしは素揚げした新銀杏を塩した物
秋味代表の甘味とほろ苦さが両立する強者
仄かに芳しい鹹味を朧げに感じる舌触りに
少しくコリッと新銀杏の緑の中に歯が沈む
その瞬間に広がる新銀杏の芳しさと塩味に
ほろ苦さが一体化した妙味に浸り切ります。
そして後を引く余韻に唆されてもう一個と
平らげてしまい跡形もなく消えてしまって
途端に気分も秋めいて寂しくなるのです。

⑦鼈唐揚げ

しのはら名物のご登場です。
待ってましたぁ、と叫びたくなる一品
鼈の唐揚げをしのはら特製甘辛ダレで
纏わせてカラッと仕上げられてます。
見るもダイナミックに威風堂々たる姿

ふてぶてしい程の逞しい肉塊が無言で
私の舌に大胆不敵に微笑み掛けてくる
一口目をガツンと齧り付き骨の髄まで
しゃぶりつくそうとするも鼈魂が漲り
歯応え十分に旨味迸る中からフ〜ッと
山椒がピリッと効いてて甘辛ダレとの
間合いが絶妙にマッチングし絡み合う
この鼈唐揚げに骨抜きにされてしまう
ひと時でした。

⑧八寸

9月の重陽の節句に着せ綿で肌を拭うと
健康長寿の効能が有ると言われており
お客様の健康と長寿への願いを込めて
着せ綿をあしらっている八寸となります。

店内の照明が落とされて薄暗くなり
大根灯籠の明かりがゆらゆらと揺れ
雅な風情を醸し出してお膳が手元へ
運ばれます。
菊の花に飾られた八寸のお膳上には

○ガラスの器に
胡瓜・海月・大徳寺麩・茗荷の酢の物
八寸を飾ります最初の一口に相応しく
お口をサッパリとリセットして頂いて
先程の鼈の唐揚げの名残を忘れさせて
頂けるシャキッとする食感とプルンと
艶かしく酸味を放つ大徳寺麩や海月が
絡み合ってお口の中を宥めていました。

○少し大きめの匙の器には

鰊茄子 お出汁に生姜を絡めて頂きます。
秋らしさが漂うお料理
一品としてでも秋味を代表できる作品を
八寸の中にさり気無く取り入れてしまう
鰊がお出汁に浸されてうま味甘味濃厚に
自然にホロホロと解れて行きとても美味
焼き茄子の特有な苦甘さにも出汁味良く
染み込んでる所に生姜がピリッと効いて
甘味の背筋をキュッと伸ばしていました。

○茄子が描かれたお猪口の中には

北寄貝を炙ったものに枝豆の刻んだもの
穏やかに濾した白瓜の餡で和えた味わい
北寄貝がプリッと元気よく口内で燥いで
北寄貝らしい甘さで舌を誘惑して来ます。
其処に白瓜餡が穏やかな瑞々しいうま味
味覚調和が進みしっぽり癒し系の美味さ

○蓋付きの器には

冬瓜の冷やし田楽に万願寺唐辛子を乗せて
冬瓜の優しく淡麗なる味わいに田楽味噌の
嫋やかなる旨味が後方支援し味をコク深く
そして万願寺唐辛子は
繊維質がシャキッと舌に臨み青ものしさを
振り撒いて冬瓜の優しさに添い寝致します。

○赤い模様の入った小鉢には

じゃがいもを短冊の様に細長く刻んで
ナムルの様な装いに仕立てキャビアを
パラパラと散らして黒いダイアモンド
キラッと輝きながら薫香が仄かに香る
キャビアの塩味が適度にじゃがいもに
輪郭を与え乍らツルッと口内を滑って
喉越し心地良い快感に惑わされました。

○六角の器には

柿の白和えです。
秋の果実を甘味も酸味も巧みに整えた一品

見事な迄に秋を感じますね〜
生柿に白和えで舌を甘えさせてくれ嬉しい
こう言う一品が中に潜ませてあるのは舌が
怠けずやる気を起こして味覚を楽しめます。

○琵琶の器の中には

黒鮑の唐揚げとその下にカダイフ絨毯
此れは一緒に食べ合わせ食感と味覚の
コントラストの美しさをナチュラルに
楽しんで頂く一品
衣の軽やかさ
黒鮑の旨味
カダイフのサクサク感
其れら全ての味覚要素がエレガントな
構成を展開して一品としての完成度を
昇華させておりました。

○竹筒のお猪口には

鱧の卵を小芋にいっぱい纏わせつつ
鱧卵とじに仕上げられております。
粒々感が口内でいっぱいに広がって
鱧卵がねっとりと糸引く感じで伸び
小芋の粘性を呼び起こし乍ら瀞みが
甘味に付き添い口内でトロリ溶ける
鱧の卵の食感と小芋の甘味を素敵に
調和させた一品

最近のしのはら八寸はお膳に乗せ切らず
別皿でもご用意が有り品数が増え過ぎて
一台のお膳で収まり切らなくなってます。

○焼き物として太刀魚の酒塩焼きに胡瓜酢

胡瓜を擂り下ろしたものに酢を合わせ
太刀魚の淡白な白身に酒塩焼きの鹹味
程良く馴染ませた旨味がジンワリ滲む
其処に優しい酸味が太刀魚を邪魔せず
そっと寄り添う繊細なアクセント漂う
ホロホロに解けて行く太刀魚に胡瓜の
酸味静かに纏い舌を爽やかに惑わせて
誠に酒塩焼きの技ものと言える上品な
味わいが太刀魚から放たれていました。

○煮蛤の天麩羅

此れはまぁ、何とも珍しい揚げ物
八寸のお膳の後に届いたのですが
冷めないうちにと思い先にお口へ
煮蛤を運びました。
とてもサク感が優しい衣で軽やか
衣のサクサク感が手伝って煮蛤が
余計に甘味を深く際立たせていて
口内に煮蛤の肉エキスがしっぽり
甘味を膨らませて絶妙な味わいの
天麩羅となっておりました。

○帆立の味噌幽庵焼き
○庄内麩にクリームチーズを挟んだもの

二品をお小皿に盛り付けてのご用意です。

帆立の味噌幽庵焼きは味噌を味醂に
良く馴染ませた旨味が帆立を染めて
帆立自身から放つ甘味と幽庵の地の
味わいがピタリと調和し麗しの味覚

庄内麩の方は生麩の状態でチーズを
挟んでいて乾燥させる前のお麩です。
チーズのトロリ感と生麩のフワ感が
見事な味覚のハーモニーを奏であい
意外な感じの舌触りと三味が生麩と
同期して味同士がお似合いだなぁと
もっと食べたいな衝動に駆られます。
此れは酒のアテにも丁度良い一品。

○無花果の胡麻味噌和え

無花果をじっくり丁寧に優しく焼いて
その上にはこれもほんのりと焦がした
胡麻味噌の焼いたものを添えてます。

焼いた胡麻味噌の塊をお箸でチョコンと
摘んで舌に置くと温感も手伝って胡麻の
甘味が優雅に花開く感じで口内に発散し
甘美な旨味が満開状態で無花果の果肉の
あんまぁ〜くてジューシィなエキス溢れ
其々の甘味が重なりつつ混じり合います。
その無花果のエレガントで優美な甘味が
胡麻味噌のねっとり甘味に寄り添われて
完全に三位一体化し極上の味わいを創造
この無花果の一品に溺れてしまいました。

本日の八寸ですが
此処までの品数で言うと全12品の八寸となり
ご用意は嘸かし大変な物だと感銘致しました。

⑨鱧松鍋

○車海老
○松茸 富良野
○鱧 淡路
○粟麩
○三つ葉
○柚子皮
○ヘベス
○ちり酢

此処で既にお腹は膨れ上がっており
具材たっぷり鱧しゃぶ出汁のお鍋が
優しく胃を労わる滋味深いうま味で
舌も一緒に慰めてくれます。

鱧出汁の穏やかな旨味が舌に染み入る
松茸の気高く香る匂ひが鼻腔を揺すり
ご用意のちり酢が鱧の淡白なうま味を
酸味豊かに染めて鱧の味覚を広げてる

ちり酢に飽きましたらヘベスを足して
味変を楽しむのも一興となります。

車海老がプリッと絡んだ鱧松のお鍋は
この時期にだけしか味わえ無い嬉しさ
松茸の土瓶蒸しに匹敵する感じの旨味
お出汁をズズ〜ッと啜ると松茸の香り
鱧のエネルギーが溢れる出汁のうま味
滋養いっぱいの美味が身体に染み入る

鱧の脂質の爽やかさに松茸のうま味の
品格と香りが立ち昇り鍋のお汁に写り
鱧松の味わい深さがジワジワッと舌に
伝わって来ます。
うま出汁をゴクリと飲み干してもう一杯
止まらなくなりそうな予感が芽生えます。
吸い地のうま味がどんどん変わって行き
地に鱧松が馴染んだ妙味が深掘りされて
最後の一滴までを残らず飲み干しました。

この鱧松鍋はしのはら料理の真骨頂と言え
しみじみと秋味の穏やかさと深さを佇ませ
鱧松鍋の美味しさを痛感させる味わい深い
一品でした。

⑩お食事

○松茸ご飯
○飛騨牛飛び牛ヒレ肉の炭火焼き:山葵 塩
○ヤマメのフライ:山椒
○香の物:水茄子 べったら 昆布
○赤出汁:車麩

炊き上がったホクホクの松茸ご飯は
鍋蓋を取った瞬間にフワフワァンと
気高く香るわ匂ひが散ってうっとり

琵琶湖のふるさと米を松茸の香り高く
お出汁でじっくり蒸されて松茸風味も
米粒にジワッと馴染む美味しさ膨らむ
その松茸ご飯にはチョット振り塩して
松茸の甘味旨味をキュッと引き上げる
塩加減が松茸炊き込みご飯の美味さを
vividに松茸風味をより一層深掘りし
松茸ご飯の味覚にクリアな輪郭を齎す
これ程塩味が効果を奏するものなのか
とても不思議にも思えるほどにグッと
美味しさが加速して来ております。

松茸ご飯のお供に添えられてますのは
飛騨牛の飛び牛のヒレ肉炭火焼きです。
お塩で若しくは山葵醤油にて頂きます。
赤身のロゼ色が肉肉しい美味さを欲し
堪らず一口咀嚼するとその柔らか味に
肉汁がジュッと滲み出て溢れる旨味に
舌が肉肌のエロさの虜になってしまう

更に揚げたばかりのヤマメのフライに
山椒が良く効いててカリカリ衣纏った
ヤマメの甘味がピシッと輪郭を伸ばす

脂っこいお肉とヤマメを食い千切って
少し舌がギトギトしてる所で水茄子の
瑞々しい繊維質が火照った舌を宥めて
このしのはら定食のバランスが秀でる
贅沢定食に脱帽しまくりでした。

⑪甘味

岡山の白小豆の水羊羹に黒蜜を掛けて
お薄

  • 香煎茶 ホッとお腹を落ち着かせてくれる温物

  • 新イクラが初々しい甘味を携えて舎利に寄り添う。咀嚼して行くと卵黄の様な甘美な味わいが深まり、まるで卵かけご飯

  • 雅なお椀の漆器

  • 重陽の節句をあしらって菊花椀 椀種は白甘鯛 菊花 昆布のお出汁 松茸の角切り 紋別の松茸

  • 菊を雅にあしらって華麗な飾りと共に愛でるお凌ぎ

  • お凌ぎは 鼈の煮凝り 海胆 地鶏 長芋 素材同士が見事に味覚のバランスを整えて調和するまさに引き算の美学

  • 鼈の煮凝りの奥深さが雅な踊りを見せる

  • 今年は大間が早い、もう大間の鮪が出て来てる

  • 鮪の太巻き 赤身の漬けは山葵和え 中トロは煮切りで すき身はべったらと胡麻で和えて 胡瓜の細切りに穂紫蘇を添えて一緒に巻物にしてます。

  • 大きな囲炉裏の鉢に鮎の串刺しが11本 突き刺さって並んでおります。 贅沢な事に二尾のご用意で 小さい方が琵琶湖産で 大きい方が郡上八幡長良川の鮎です。 この2種を食べ比べさせてくれるご用意

  • 鮎の塩焼き ○琵琶湖の若鮎 ○郡上八幡の長良川の若鮎 ○蓼酢ペースト

  • 長良川の鮎 成魚だけに頭と中骨を取って貰い胴体部分のみ頂くことにする。

  • 新銀杏と唐墨添えの衣被

  • 素揚げした新銀杏に付着してる塩味がお酒を欲す

  • 鼈の唐揚げ 此奴を食べずに帰れない

  • ふてぶてしい程の肉塊の逞しさが無言で私の舌に微笑み掛けてくる

  • 重陽の節句に因んで菊の八寸 菊の力強い香りが邪気を払い除ける

  • 大根灯籠が雅な明かり

  • 着せ綿でお身体を拭うと邪気が祓われます。

  • 胡瓜・クラゲ・大徳寺麩・茗荷の酢の物

  • 鰊茄子に生姜をお出しに絡めて頂く

  • 北寄貝に炙りを入れて枝豆の銀餡を施す

  • 冬瓜の冷やし田楽に万願寺唐辛子

  • じやがいもを短冊状にしてナムル仕立て+キャビア

  • 秋ですね〜、生柿に白和えで舌を甘えさせる

  • 琵琶の器の中には 黒鮑の唐揚げとカダイフ 此れは一緒に食べて食感も楽しむ

  • 竹筒のお猪口には 鱧の卵と小芋を合わせて 鱧卵とじにしてます。

  • 太刀魚の酒塩焼きに胡瓜酢

  • 帆立の味噌幽庵に庄内麩に クリームチーズを挟んだもの

  • 煮蛤の天麩羅 衣が軽やかで煮蛤の甘味を蒸し揚げて凝縮してる

  • 無花果のエレガントで優美な甘味が胡麻味噌と手を繋ぐ その甘味に耽溺してしまう

  • 鱧出汁のお鍋

  • ○車海老 ○松茸 ○鱧 ○三つ葉 ○柚子の皮 鱧出汁の穏やかな旨味が舌に染み入る 松茸の気高く香る匂ひが鼻腔を揺する

  • ちり酢が鱧の淡白な旨味を染めて美味が膨らむ

  • 松茸ご飯

  • 松茸ご飯のお供は飛騨飛び牛のヒレ肉炭火焼き、ヤマメのフライ、香の物、車麩入り赤出し 〆を飾るしのはら定食

  • 松茸ご飯にチョット振り塩して筍の甘味旨味をキュンと引き上げてた

  • 飛び牛のヒレ肉の柔らか味 赤身の旨味が溢れて舌が肉肌のエロさの虜に

  • ヤマメのフライに山椒が振られてて甘味がピシッと張り詰める

  • 水茄子の瑞々しい繊維質が火照った舌を宥めてくれる

  • 車麩が赤出汁にぷかぷか浮いてクニャッと畝る

  • お料理の〆は自家製の水羊羹とお薄

  • 白小豆の水羊羹に黒蜜

  • お薄

2022/10/25 更新

26回目

2022/07 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

氷鉢を包丁でザクッザクッとカットする臨場感溢れるお姿に感動しちゃった

◆2022.7.2(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥33,000
お酒消費税含むお会計¥43,000

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

⓪香煎茶

煎茶用の小椀で供される最初のお口慣らし
ベースは昆布茶に
紫蘇昆布がほんのりと佇んで
香りを楽しむ癒しの一口となります。
お腹もホッと慰められて幸せに
この始まりのお口慣らしが好きです。

銘々に配置された折敷には
利休箸が置かれてます。
箸置きは茶懐石の流れを汲んでご用意無し
折敷の片方に端先が掛けられる作法通りの
ご用意となります。

①先付

今月は七夕に因み
お客様のお願い事が叶うように
梶の葉と五色の糸が鶴瓶の木桶に飾られ
皆様の厄祓いを兼ねてのご用意です。
梶の葉を横に避けて木桶の蓋を開けますと
年代物のバカラの器には旬の具材たちが
涼やかなお姿で盛り付けられております。

○賀茂茄子
○雲丹
○車海老
○たたきオクラ
○薄口の冷たい銀餡

フレッシュな清涼感に包まれた先付
賀茂茄子が真っ先に目に入り
茄子の翡翠色が全く穢れることなく
美しくウンマそうな色合いで
舌を誘惑してくるのである。
何時もの様にお茄子を
油揚げしてから炊いてあり
仄かに香る茄子特有のほろ苦さと
ジューシィにクニュッと解けていく
茄子の繊維質の美味しさに埋もれて
しまいます。

其処に冷んやりと銀餡がまったりと
覆い被さり
塩水海胆が珍味を振り撒いて
味覚のコントラストを芽生えさせております。

更に車海老が参加してきて
プリッと反発を重ね乍ら
甘味を振り撒いて口内を満たしていきます。

たたきオクラのネバネバ感
車海老のプリプリ感
賀茂茄子のザクザク感
この素材たちに銀餡の瀞みが上手く
味覚を折りたたんで
スッキリ爽快感を走らせて
清涼感漂う逸品に仕立てられており
雅な味わいを巧みに導いて
一気に舌をしのはらワールドに惹き寄せて
おりました。
誠に涼やかなワールド観に浸されたひと時を
頂き猛暑の中
汗をスッと引かせてくれる心地良い風が
流れるおもてなしでした。

②お椀

○鮑
○鮑の肝の魚素麺
○冬瓜

魚素麺は鮑の肝と魚の擂り身で伸ばして
作られてて
とても味わい深い魚素麺となってます。
普通のツルツル〜ッと滑る素麺と言う
感じではなく
食感が太くてしっかり麺から
肝の旨味を感じて
太麺の歯応えを感じながら
ムシャムシャと食べて味わいたい素麺です。
故に一旦ズルズル〜ッと啜りますが
其の儘喉越しツルリと滑り切るのでは無く
お口の中で一旦途中下車して
魚素麺をmogmogして肝の珍味が滲む所を
味わって噛み砕きながら飲み込むと言う
ステップを経る素麺となります。
此れが美味しくて堪らない味わいでした。
更に昆布の旨み馴染む吸い地を絡めて
魚素麺を飲み込むと肝素麺の風味を豊かに支えて
昆布の旨みが魚素麺の滋味深さを深掘りする
味わいを満喫出来ます。

そしてメインの鮑のコリッとした豊かな食感が
鮑の醍醐味を吸い地の淡麗なうま味と
一緒に頂いて大満足のお椀から
口福のひと時を頂きました。

③お凌ぎ

○喉黒の幽庵焼き
○酢飯
○ガリ

特注の江戸切子の器の中には
喉黒の幽庵焼きがしっとり身質を浮かばせて
佇んでおります。
喉黒の下には酢飯が敷かれており
切り立ての酢飯がキュッと引き締まり
塩味酸味のフレッシュな酢飯に
幽庵の滋味深い旨味が喉黒の豊満な脂質と
折り重なり乍ら
喉黒の旨味を膨らませております。

喉黒は
幽庵の味の付け方が誠に優しく
喉黒の脂質の勢いを穏やかに受け止めつつ
喉黒の力強いエネルギッシュな旨味と
幽庵の滋味深さが見事に重なり合い
調和してます。
身質もしっとり甘くかつ脂質分が溢れて
ややジューシーな旨味を含んだ状態で
咀嚼していくうちに激うまの太鼓が
鳴り響いてました。

④鮪の太巻き

鮪を3種類ご用意して太巻きです。
赤身の部分は漬けにして山葵和えに
中トロは煮切りで仕上げて
すき身はべったらと胡麻で和えてます。
胡瓜の千切りに穂紫蘇を添えて
一緒に太巻きにしてます。
太巻きは端の方から鮪がはみ出してきて
太巻きを寝かすと
鮪がはみ出た部分が山の様に盛り上がっており
その盛り盛り鮪の太巻きに
ガリを乗せて食べるのが
乙な味となり鮪の甘味もグッと引き立ちます。

そして
いよいよ私のお口が鮪のハミ出た太巻きと
がっぷり四つ相撲と相成ります。
さぁ、歯と見合って見合って〜
ガブッと四つに組み合って
んん、鮪がプチュ〜ッとお口の外に
はみ出しそうになりますが
グッと堪えてお口いっぱいに広げて
人差し指で太巻きをグイッと押し込み
何とか一口で太巻きを一気に
頬張りました。
お口をフガフガし乍ら
太巻きで満杯になってる所を
少しずつmogmogして消化し始めます。
ガリも太巻きに乗せてご一緒に
お口の中に転がり込んで来て
コリッと爽やかに酸味を飛ばしつつ
鮪の旨味背後を固めております。
そして
一所懸命mogmogしてると
舎利が大きくお口の外へ零れそうになるも
何とか口内に収まり
すき身も中トロもべったらも
アクセントが優しい胡麻も全ての味わいが
お口の中で渦を巻いて極上のうまうまな
味わいが混沌として
口内を蹂躙し続けておりました。
食べ切った後の満足感は相当高く
暫く放心状態に包まれておりました。

⑤若鮎の塩焼き

○琵琶湖の若鮎
○郡上八幡の長良川の若鮎
○蓼酢

大きな囲炉裏の鉢に鮎の串刺しが11本
突き刺さって並んでおります。
贅沢な事に二尾のご用意で
小さい方が琵琶湖産で
大きい方が郡上八幡長良川の鮎です。
この2種を食べ比べさせてくれるご用意で
鮎好きな方なら狂喜乱舞してしまいそうです。

食べる前にしのはら大将よりお話が有り
中骨に嫌味を感じられる方は
中骨を抜きますので
申し出て下さい、との事でした。
嬉しい気配りに感謝ですね。

琵琶湖鮎は湖に住むプランクトンを食べて
育ちますので川で育つ鮎とは違い
サイズは小さいままで育ち
そんなに大きくは成りません。
逆に川魚の鮎は綺麗な苔を食べてるので
魚っぽさの匂ひ等が無くて美しく育つとの事

琵琶湖鮎は頭からガブッと噛んで食べると
小骨感が殆ど感じずワタもほんのり甘い感じで
鮎のふっくらとした旨味が
いっぱいに広がります。
どちらかと言うと未だ稚鮎に近い味わいで
火が中までしっかり通り旨味もほろ苦さも
纏っている味わいです。

逆に郡上八幡の鮎は
カリカリに焼かれてて皮目も頭もバリッと
噛んでやり噛み応えを感じ
少し小骨感が伸びて骨とワタとふっくら身質を
一体に感じることの出来る美味さです。
やや野性味を帯びた躍動感のある美味しさで
ワタの苦味が鮎全体に纏う美味しさで
舌を攻めて来ます。
やはり長良川の鮎はサイズ感もあり
大きさの分ワタもたっぷり身に詰まっており
鮎らしい苦味が白身の旨味と
マリアージュして美味が舞いますね。

この琵琶湖と長良川の鮎の食べ比べは
この時期だけのものにて
夏場になると何時もご用意頂いて
感謝の二文字しか思い浮かびません。

そして鮎料理に欠かせない蓼酢が
お小皿に用意されてて
蓼酢とのデュエットと言う
鮎のもう一つの楽しみ方を頂けます。

この蓼酢にも一工夫してあるのがしのはら流で
お米を炊いて米粒を蓼と一緒に擂り潰して
酢で溶かしてペースト状に優しい蓼酢に
仕上げていらっしゃいます。
蓼酢が鮎に絡みやすい様にもなりますし
舌にも酸味が米粒で和やかに宥められて
鮎をソフトな酸味で纏います。

長良川の鮎の方を少し齧った後
腹の部分を蓼酢に浸して一緒にパクッと頂き
蓼酢の甘苦い酸味を纏った鮎は
自身の旨味苦味とハーモナイズして
絶品な妙味を口内に走らせて来て
口福感いっぱいとなる
満足度の高い鮎の焼き物を
堪能させて頂きました。

⑥焼き鼈

本日の焼き鼈は甘ダレで味を整えて
粉山椒で風味をシャープに施してからの
ご用意となります。

しのはら特製甘ダレの醤油と味醂とお酒の
塩梅が抜群で山椒の刺激と調和する味付け
このコク深い甘さがダイナミックな鼈の
肉塊に纏わりついて鼈肉の旨味をガツンと
伸ばして来てます。

その焼き鼈を直に
手で取って食べると
此れがまた無茶苦茶美味しさを広げちゃう
多少手がべとつきますが
お箸なんてものでお品良く
食べてる場合じゃないと言う感じで
ガツガツ食らいつくぐらいが
鼈肉の醍醐味をガブリと味わえて
その野性味溢れる旨味を満喫出来ます。
もう、一心不乱に無邪気に
勢い良く食べ尽くします。
骨の髄までしゃぶり尽くして
残った肉片を全部舐め舐めして
綺麗に小骨のみが残りました。
この比類なき激痛うまうまの味わいは
脳天に突き抜けて行き
その衝撃波はドンと脳裏の奥まで浸透して
どんなお料理も叶わない美味さが
印象深く記憶に刻まれて行きました。

⑦八寸その一

今月の八寸を昨日から始められたとの事ですが
八寸用のお膳に品数が多過ぎて乗り切らずと
なってしまった為
本日より何と
八寸を二部構成としたとの事です。
本邦初公開しのはら八寸を
2回に分けてのご用意となります。

最初の一膳目には
3品が可愛く配膳されます。

○帆立とずんだ豆と白瓜の和え物
○万願寺青唐と雑魚
○無花果の白胡麻和え

最初はジャブですね。
何れもお口慣らし的な感じで
大人しく纏めてあり
淡白な甘味と旨味を散らしてる一品です。

帆立と甘味とずんだ豆のシャキッとした食感に
瓜のコリコリ感が混じり合わさる心地良い響き

万願寺唐辛子の甘味と雑魚が仲良く
しっぽりと柔らかみを含んだ甘味を寄せる

この時期の無花果を噛んで果実を潰すと
ジューシィな甘味がジュワンと浮き上がり
舌をうっとりさせて
白胡麻の甘味がまったり舌に絡みつきながら
甘美に美味しさが佇む

どれもこれも
本格的な八寸への素敵な序章です。

⑧八寸その2

しのはら八寸の醍醐味の一つに
その完成度の高さが有るかと常日頃感じてます。
八寸の中で小さなコース料理が完成しており
先付的な小物からメインの鴨ロース肉や
鰻まで品揃えが行き届き
〆に甘いものや柑橘系のお口直しの一品まで
ちゃんと緩急を極める流れに仕組まれてます。
なので食べる側も順番良く食べ進むと
八寸が起承転結のストーリーに沿って
頂くことが出来て
大変楽しく味わえると言う事になります。
素晴らしいの一言しか有りませんね。

さて、二膳目の八寸のデビューは
店内照明が落とされ薄暗くなり
八寸の中心に配置された大根燈籠が雅な灯りを
見せて鬼灯が美しく橙に輝いてます。

蓮の器に乗せてあります。
3つのガラスの器には其々
○フルーツトマトと蓴菜
○白玉と和布の酢の物
○山桃のワイン煮

竹筒のお猪口には
○鰻ざく

蓮のお皿には
○鬼灯に潜ませた胡麻白和え:三度豆と冬子椎茸
○鱸の山葵焼き
○穴子の山椒焼き
○蛸の小倉煮
○鴨ロースで巻いたザー菜:辛子味噌掛け
○玉子真薯
もう一つの竹筒のお猪口に
○桑名の蛤と三つ葉のお浸し

何れから頂こうかと迷いますが
舌を先ずスッキリしてからと思い
和布の酢の物で酸味豊かに口内を洗う感じで
染めてズルッと吸い込んで
白玉をモチッと噛んで楽しくお口をリセット

その後に此れも涼風靡く爽やかさを味わいたくて
フルーツトマトと蓴菜でヌルリと舐めて
プチュンと潰してトマトエキスの酸味を頂く

舌慣らしが準備万端整った所で
ガッツリ行きたくなり
穴子と鱸を頂きます。
穴子も鱸もしっとり身質を山葵や山椒の
其々の薬味が上手く白身の甘味をクリアに
膨らませて舌に寄り添って来ます。

更に鴨ロースの旨味が優しくザー菜と馴染んで
サッパリとした味わいでサラッと食べ易い
蛸の小倉煮も鰻ざくも夏の旬の味覚が繁盛する
楽しい味わいが満載の一品ばかりで
した疲れしない旨味の宝庫に悶舌しますね。

品数が多くて多様な味わいを
チョットずつ楽しめて
こんなに豪華な八寸は
日本中でもしのはらさんならではの
雅な品揃えではないかと感じ入ってしまいます。

この辺でお口直しが欲しくなり
取って置いた山桃のワイン煮で
大人の甘味を頂きます。
こう言う味変迄予めご用意してあるのは
嬉しいですよね。

そして最後のご説明にも有りました
桑名の蛤のプックリ潮風味漂う旨味と
三つ葉のお浸しのサッパリ味が調和する
妙味を頂いて〆とさせて頂き
大大満足の八寸に別れを告げて
何となく寂しくなる気持ちになりながらも
喜びの方が勝る一品たちに感謝なのです。

⑨鱧カツ

八寸の流れに沿って温物のご用意があり
鱧の揚げ物が届きます。
天草の鱧を揚げて鱧カツにして頂きます。

八寸を配膳してご説明が終わった段階で
大将が天草の鱧を俎板上でザクザクと
包丁を軽やかに捌いて骨切りを施し
鱧を一口サイズにカットしたものを
調理場で揚げたばかりのものを
手前にお届けです。

鱧がフカフカとフゥワフワで
ガリッと噛んでザクッと歯が食い込んだ時の
歯触りの快感が響いて気持ち良い〜
其の儘噛み進んでフワッと蒸された鱧肉に
着地する
鱧のフサフサする肉感が淡白な甘味を
口内に撒き散らす
フワァ〜ンと衣が散って
鱧肉のフワフワ食感と揚げ衣のザクザク食感が
交錯し美味しさが炎上しちゃうくらい
激うまなので有ります。
参りましたね。

⑩平貝のちり酢の磯辺焼きと唐墨

フォアグラが入って来なくなりましたので
定番のフォアグラ最中は当面中止
代わりに磯部焼きの変わり種が登場です。
ちり酢のピリ辛に浸された平貝と
板海苔の磯風味に加えて
唐墨の珍味と言う不思議な味覚の合わせ技に
舌が愉快な味わいに面白がって
燥いでおります。
唐墨の珍味が平貝の甘味と磯部焼きの
香ばしい醤油風味にピタッと寄り添い乍ら
珍味旨味を口内に広げて
とても楽しい味わいを作り出しておりました。
此れはとても愉快な味覚の仲間たちです。

⑪小鍋

○天草の鱧のしゃぶしゃぶ
○九条葱
○ちり酢

鱧を小鍋のお出汁の中に落としたものを
中鉢に装って九条葱を添えて
ご用意です。

最初に鱧の玉を中鉢に2個頂いてます。
鱧をちり酢に浸して頂くと
最初試しに何もつけずに
鱧の生き生きとした味わいが
滅茶躍動感溢れるものにて
この歯触りと舌触りの麗しい肉感に
チョット震えちゃいましたね。
食感と言い鱧の淡白な旨味が
鱧のお出汁に浸されていて
舌がその旨味に浸り切ってしまい
滋味深き味わいにポカ〜んとしてしまいます。

更にこの日は贅沢にも
お代わりが用意されてて
追い鱧を頂けちゃうと言う嬉し涙の物語で
御座います。
最後の追い鱧を頂いてますと
高揚感が増して興奮するお口の中で
より一層鱧しゃぶの美味しさを
膨らませており
舌は満足げに納得しておりました。

⑫氷鉢

○福井の丸岡在来の10割蕎麦
○へべす
○かえしの効いた蕎麦つゆ

丸岡らしい黒味のある鶯色のお蕎麦は
喉越しと言い麺の斬れ味と言い
素晴らしく
お蕎麦の表情が引き締まっていて
絶品の喉越し感がつるつる〜っと
走り抜けて行きます。

蕎麦のコシが締まったままツルツル感が
全く間伸びしないし
シコシコ食感が保持し続けるので
麺自体の美味しさが最後まで続いて
蕎麦の鮮度も落ちません。
喉越し爽やかな一品です。

更には
へべすの柑橘感が爽やかに伸びて
舌がキュンと頷く

蕎麦つゆと蕎麦が良く絡んで
氷鉢の冷感が蕎麦のコシを強くしていて
清涼感が突き抜ける
氷の器の楽しさが最大限活かされてる
へべす蕎麦に感銘致しました。
この一品は夏に涼風を佇ませる名作です。

⑬毛蟹の炊き込みご飯

○飛騨牛ヒレ肉の炭火焼き:山葵 醤油
○愛知のゴールドラッシュ
○毛蟹コロッケ
○枝豆
○香の物:水茄子 和芥子 胡瓜 昆布 べったら
○揉み海苔
○赤出汁:茗荷 お麩
○焙じ茶

土鍋のど真ん中に毛蟹が鎮座
毛蟹を囲むようにして蟹コロッケがゴロゴロ
してます。
其れ等全部を勢いよく杓文字で大将が
掻き混ぜ混ぜしてからお茶碗に
装って頂き手元に届きます。

一口目をパクッと頂く
ん、おぉ、蟹コロッケの風味と甘味を
ご飯が吸って馴染んでます。
然も
ご飯がお口に入った途端に
ゴールドラッシュの糖度の高さが
お米に馴染んでるのが感じ取られ
甘美な味覚が口内を駆け巡ります。
其処にフワンと揉み海苔の磯の香りが浮いて
とても香ばしい甘さが広がり舌を
癒してくれますね。

更に本日は
久し振りに飛騨牛のサイコロステーキが
ドンと控えており
炭火でこんがり焼かれた肉汁溢れる
飛騨牛はロゼ色に輝く肉肌が妖艶に
歯を深く招き入れ
肉感膨よかな柔肌が抱きついて来て
官能的な旨味が口内を訪れて
舌がメロメロになっちゃいました。

⑭甘味

能登の大納言の水羊羹

⑮お薄

2022/09/27 更新

25回目

2022/04 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

夜桜八寸を愛でながら春薫る味覚に現を抜かす口福紀行

◆2022.4.23(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥33,000
お酒消費税含むお会計¥40,300

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

⓪甘茶

4/8のお釈迦様の誕生日を祝うお飲み物の
甘茶からスタート

お釈迦様の誕生を祝う仏教行事
花まつり・灌仏会(かんぶつえ)
華やかな花御堂に安置された誕生仏に
甘茶をそそぐことで仏を供養し
子供達の健康を祈る行事に因んでのご用意。

穏やかな糖度に染まるお飲み物で
一口湿らしますとジワリと舌にも
甘味の優しさが染み入ります。

①先付

龍が踊る模様が描かれた中鉢に
氷が敷き詰められ
ガラスの杯を氷室に埋め込んでます。
桜の枝や石楠花が美しく器を着飾る中
金箔が雅に散らされて
盛り付けられてますのは

○車海老
○蛍烏賊
○鮑
○筍
○独活
○和布
○生姜酢の煮凝りでサッパリと纏められてます。

春の香り漂う春の味覚たちが
満開する桜吹雪の如く
雅に美しく舞う器となります。

車海老のプリンッと弾く食感から始まり
春の大海からの恵みを受け継ぐ富山の蛍烏賊
咀嚼するとプチュンと唸り甘味を可愛く
口内に振り巻いて楽しい
鮑がコリッと弾力しつつ
持ち味を発揮して旨味を放ち
大地の恵みを受けた筍の甘味が
煮凝りの酸味とハーモナイズする
春の味覚の展覧会が華麗に催され
舌を喜ばせておりました。

◉しのはらスパークリングワイン

②お椀

○鮎魚女の葛叩き
○賀茂茄子の油煮
○茗荷
○梅肉

お椀に張られた吸い地を静かに啜る
其処に佇むは鰹昆布から浮かぶ吸い地
吸い地は淡く素直に澄み切る美しさを讃える
飲むほどにしみじみとうま味が積もって行き
丸い余韻を残して舌を置いて行く

中央に鎮座する鮎魚女は
見事なまでの大きさで椀を支配している
優しい甘味を舌に落として
滑らかなヌメリと共に口中に
儚く消えていく
鮎魚女はハラリと素直に解けて行き
滋味深い旨味を椀の中に写し出しながら
次第に吸い地の味わいを深めていき心踊る
最後の一滴を飲み干すとクライマックスが訪れ
陶然と酔い痴れてしまうのである

その陶酔感の直ぐ側に横たわる賀茂茄子の
油煮から醸し出される茄子固有のほろ苦さと
瑞々しい賀茂茄子のエキスから生まれる
甘味とが調和する味覚の踊り子たちに
舌が翻弄されてるのが嬉しくて
仕方なくなるのである

◉日本酒 しのはら

③お造り

○鴨川の鯛
○ばちこ
○煎り酒
○山葵

110年前のバカラの器には煎り酒に
ほんのりと浸された鯛が眠る
その鯛の旨味を讃えるばちこが誘う鹹味

鯛自体は身がしっとりしてて脂も乗っており
噛み心地が頭抜けて心地良く弾む
咀嚼してると
グッと鯛の淡白な旨味が伸びて来てしまう

鯛自身の旨味が澱むことなく
その肉肌の穢れなき美しい肌触りに
舌が狂おしく悶えて仕舞う

鴨川の流れに鍛えられた鯛の筋肉が
しなやかに舌を撫でて
柔らかみと弾力感が優しく歯に反発する
食感の響きだけでとても艶かしい味わい

咀嚼を重ねると少しくプルンと揺れるか
揺れないかの弾ける身質から
淡く浮き上がる旨味の自然な味わいに
感嘆する
その旨味を煎り酒が後押しして
仄かなコク深さを誘って来た

鯛の旨味がフッと舌に着地してる最中に
ばちこが良い塩梅に鹹味を施して来る
鯛の淡い旨味とばちこの鹹味が
意外とサラリと馴染み合い
鯛の無垢な美味しさを
クリアに纏めておりました

④お凌ぎ

○鰻の手巻き寿司 愛知一色
○花山椒
○卵真薯
○酢飯

炭火で地焼きを施した鰻の蒲焼を
舎利に重ねられた玉子真薯の上に
ドンと乗せて
更に花山椒を山盛りに盛り付けし
板海苔がグルリと大きく一周する
食べる間際迄かなり熱々な温感が
ジンジン伝わってくるのと同時に
鰻の香りが鼻腔周りにフワァンと
漂う

欲深い舌がウズウズもがき出して
ダイナミックな迄に美味そうな姿
見てるだけで涎がタラ〜となるも
勢い良く勇気を出してガブリッと
喰らい付く
ブワァ〜ッと口腔内を蹂躙する鰻
フワァ〜ンッて穏やかに卵真薯が
甘味を振り舞きながら鰻を宥める
かと思うと花山椒がビシッと決る

これ程の旨味妙味が絡み合いつつ
味覚が口内を混沌としながら蹂躙
目紛しく甘味旨味苦味が交錯して
花山椒鰻巻きに悶舌してしまった。

⑤揚物

○鼈の竜田揚げ
○酢橘

本日はお醤油風味の下味をジワリ鼈の
肉塊やゼラチン質に迄しっかり味付けした鼈の
竜田揚げです。
篠原大将曰く、タレ焼き以上に鼈らしさが
感じられるお料理で
鼈肉の旨味を引き出すことの出来る一品が
この竜田揚げとのお話です。
ご本人も焼き鼈より此方の竜田揚げが
好みとか。

骨の髄までしゃぶり尽くして
小骨にへばり付いている鼈の肉片を
全部舐め回して竜田の上げ衣のぷよぷよッと
してる部位までも全部喰らい尽くして
残すは小骨のみとなるまで
しゃぶり尽くしました。
もう、この肉塊のダイナミックな旨味と
食感の虜になってしまいますね。
大将のお言葉通り
鼈と言う素材の持てる力を最大限の
旨味に昇華させてる竜田揚げでした。

ふゥ〜、驚きますね
この快楽的な後味と満足感。

◉写楽

⑥夜桜八寸

お部屋の照明が落とされてムーディな雰囲気に
代わります。
仄暗い中
大根灯籠が灯り

さてお楽しみの八寸の内容はと言いますと

○タラの芽 こごみ うるい 炒り胡麻ペースト
○ぬた和え
○白海老真薯のあられ揚げ
○鱵の黄身鮨 酢味噌
○筍の田楽に木の芽味噌
○子持ち昆布
○赤蒟蒻
○鴨ロースと黄韮
○生麩の蒲焼き
○桜鱒の木の芽焼き
○蛍烏賊 菜の花

これだけ手の込んだ作品たちを作るのに
日々の仕込みと周到な準備に
手間暇かけてるんだろうなぁと
この八寸だけを眺めに来るだけでも
しのはらさんに通う価値が有ると
つくづく思ってしまいます。
八寸の中で一つのコース料理が
完成されてるのにも驚きます。
お口直し的な木の芽の和え物から始まり
冷めないうちに頂きたい温物では
若狭ぐじのご用意
春の香りを届けて嬉しい蕗の薹の煮物から
冬の美味を思い起こさせてくれる名残の松葉蟹迄
細心の気配りです食感や季節感を大切に
香り高く旨味甘味を演出されてます。

八寸のお話の中に素材の逸話が
散りばめられており
まるで季節の風物詩を物語ってくれる
語り部の蘊蓄にも感服致します。

お話を聞きながらお食べくださいとの
お達しで箸を進めてますと

炙った鴨ロースには黄韮が射込まれており
鮑の旨味に花山葵をピリッと効かせてる
アクセントが小気味良く舌に響く

春爛漫な八寸を満喫して
進むお酒と共に口福感の極みを頂きました。

⑦鮪の太巻き

赤身の漬けは山葵和え
中トロは煮切りで
すき身はべったらと胡麻で和えて
胡瓜の細切りに穂紫蘇を添えて
一緒に巻物にしてます。
太巻きは端の方が鮪がはみ出してきて
太巻きを寝かすと
鮪がはみ出た部分が山の様に盛り上がっており
その盛り盛り鮪の太巻きに
ガリを乗せて食べるのが
乙な味となり鮪の甘味もグッと引き立ちます。

そして
いよいよ私のお口が鮪のハミ出た太巻きと
がっぷり四つ相撲と相成ります。
さぁ、歯と見合ってからガブッと
四つに組み合って
んん、鮪がプチュ〜ッとお口の外に
はみ出しちゃいますね。
流石にこんだけデカいと一口では
やっぱり無理かなぁと思い断念。
半分くらいお口の中に頬張って
残り半分は2回転目に繰り越しです。
ガリも太巻きに乗せてご一緒に
お口の中に転がり込んで来て
コリッと爽やかに酸味を飛ばしつつ
鮪の旨味背後を固めております。
一所懸命mogmogしてると
舎利が大きくお口の外へ零れそうです。
その上、すき身も中トロもべったらも
アクセントが優しい胡麻も全ての味わいが
お口の中で渦を巻いて極上のうまうまな
太巻きが口内を蹂躙し続けておりました。

⑧フォアグラマンゴー最中

定番中の定番、名物最中ですが
お弟子さんの笑顔と共に登場するお姿も
和みの和空間を創出する演出が
此れまた楽しみな場面です。
順番待ちみたいにお客様ほぼ全員
シャッターを構えてパチリとするご様子が
何とも微笑ましい限り。
お楽しみ場面を巧みに演出するしのはら劇場
楽しさがいっぱい詰まった演出に
喜びが止まりませんね。

◉黒龍 貴醸酒

⑨猪鍋

○猪 ロース
○花山椒
○蕗
○根三つ葉

猪鍋のお出汁が美味くて
しのはら特製のお味の整え方に感心して
しまいます。

一番出汁をベースにして
○濃口
○味淋
○蜂蜜

をお出汁に合わせたもので
ほんのりと穏やかに甘くてコク深さが
整うもの
其処にコトコトと猪肉の脂汗がプカリ浮かんで
猪肉の旨味が静かに佇んでいます。
そのお出汁をゴクリと飲んでみますと
んん、痺れるぅ、めっちゃいい味わいで
ジワジワと地味深い甘さが写ってるのと
猪肉の野性味も備わってコクの深さが
ジンワリ染み入って来るのが
舌に感じ取られて
ヤバァ〜い美味さに呆然としちゃいますね。

更に木の芽がたくさん盛られてるので
甘美な味わいの中にも
クリアな刺激がパッと散って
爽快感が駆け抜けます。

そして猪肉が臭みも嫌味も全くなくて
肉片を咀嚼すると
猪肉らしい躍動的な旨味を撒き散らして
口内をガツンと蹂躙します。
更にお出汁の絡みが猪肉の旨味を
ソフトに宥めてくれて
穏やかな味わいに感謝したくなりました。

⑩お食事

○筍 桜海老 帆立 木の芽の炊き込みご飯
○飛騨牛のヒレ肉炭火焼き
○香の物:胡瓜 水茄子 和芥子
○醤油

○煮麺
○蛤出汁
○卵とじ

筍の仄かに香る甘い香りと甘美な味覚が
お米に馴染む美味さ

桜海老が散りばめられて漂う甲殻風味が
彷徨いつつチクリと歯を刺激しつつ
クリアな食感を飛ばしての味わいの広がり

帆立の甘味にコリッと心地良く伸びる食感が
楽しく芽生えて海の恵みを仄かに感じる旨味

変幻自在な味覚の要素を巧みに操る
炊き込みご飯の多様な味わいに舌が感銘を
受けております。

其処に豪快な飛騨牛の肉肉しい躍動感を
伴うガッツリポーズの美味さが溢れて来る
ご飯のお供としては最強コンビな
ヒレ肉の力強い肉質が
フワンと柔らかく歯を招き入れる優しさを
投げ掛けて
肉肌の官能的な旨味の渦に巻き込まれて行く
その柔肌のエロい食感と肉汁が舌をトロンと
蕩けさせちゃう魅惑の味わいに沈没
もう、堪らんとなり
ご飯をガツガツするのと同時に
お肉を噛んでジュワ〜ッと零れる旨味を
堪能しまくりなのです。
飛騨牛に没頭して舌があたふたしちまい
興奮してると
タイミング良く煮麺が登場です。

煮麺のおつゆを啜ってみると
蛤からの旨味が飛び抜けて
磯の香りをお出汁に写してます。
滋味深きうま味がたっぷり馴染んだ地に
浸されてる煮麺です。

ツルツル〜ッと啜ると
卵とじも甘味を添えて絡み合いながら
喉越し豊かに滑り込んで来て
少し歯で細麺を噛み込むと
コシもしっかり感じられる麺で
食べ心地が快適に走り抜ける煮麺で
温和な温かみと一緒にほっこり致します。

こう言うホッとするお優しい一品をちゃんと
お仕舞いに用意して頂けるのは
有難いものです。

⑪甘味

桜の葉で巻いた葛饅頭

捏芋の金団と中には薄い豆の餡が
綺麗な山葵色で佇んでます。
豪快に大納言の皮毎濾した餡を射込んだ
お饅頭となってます。

⑭お薄

2022/07/29 更新

24回目

2022/03 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

篠原大将の人格がお料理に品格を齎しその歴史がお店の風格を作り上げる

◆2022.3.1(月)夕餉

◆お料理 お任せ¥33,000
お酒消費税含むお会計¥40,700

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

⓪香煎茶

定番の昆布茶で舌を湿らして頂き
お腹もゆるりとほっこり暖めてもらいます。

①先付

貝寄せの時期に因んで春を感じる貝尽くしの
先付です。
美しく彩られた貝が鮮やかに栄螺の器の中に
雅な佇まいを見せております。
一目惚れとはこの事なのでしょう。

栄螺の器の中には
北寄貝
赤貝
平貝
粒貝の4種の貝が美味しそうに此方を
見つめていらっしゃいます。

菜種
独活をあしらって盛り付けがとても可愛い。

全体に土佐酢の煮凝りを纏わせてる中に
カリフラワーと湯葉の擂り流しを忍ばせて
味と風味を整えておられます。

最初に菜種の酸味が浸透した繊維質で
爽やかな舌触りを頂く
栄螺の器を掘ると4つの貝が顔を出します。
北寄貝や赤貝の瑞々しい身質が
しなやかさを持って食感豊かに歯に反応する。
反面
粒貝のコリッとした食感は歯触り健やかに
爽快感を伸ばして来る
齧る度に貝の甘味がジュンと鳴り響く
春らしい食感と貝の香りが広がり
土佐酢の煮凝りが後を押して旨味をグンと
広げておりました。

◉しのはらスパークリングワイン

②お凌ぎ

白海老の蒸し鮨
餅米と酢飯を合わせた舎利の上に
白海老と馬糞海胆をあしらって餡掛けを
施されております。
此れが誠に雅な味覚をお創りでございます。

其の儘崩さずに食べても良いですし
グチャッとやって食べても美味しいです。

ご飯が良いんです。
餅米を使った飯蒸しでもなく
酢飯のみの蒸し鮨しでもなく
飯蒸しと酢飯のいいとこ取り
なのでしっくりする白海老が上手に
舎利に絡まってもっちり甘えん坊の餅米と
しっかりものの酢飯が後ろ盾となり
食感を生々しくかつ円やかなものとさせて
其処に白海老が銀餡の瀞みを伴って
味覚の表情も豊かに妙味を伸ばして来ました。
雅な盛り付けの白海老さんと舎利を掻き混ぜて
白海老がグチャッと潰されて舎利に
まったりと絡むのも美味しいし
銀餡が瀞みを付けて白魚をしっぽりと包み込み
旨味を和やかに舌に寄せて来るのも素敵な味わい
となり、絶妙な旨さを整えておりました。

何となく緩く温かくて舌を宥めてくれるお味で
満たされていく感じが
春めく味覚を高揚させる美味しさが
佇む一品でした。

③お造り

桜鯛
泥障烏賊
桜の葉

酢橘
醤油
煎り酒
山葵

桜鯛には
桜の葉をあしらって春の匂ひを漂わせてます。
酢橘をお醤油にちょっと絞って滴らせて
酢橘醤油で香り高く酸味を纏わせてから
山葵と一緒に桜鯛を浸して頂くのが宜しいかと

泥障烏賊には
透明な煎り酒に山葵を少し和えるような感じで
切り身に纏わせて酸味を馴染ませながら山葵の
刺激を泳がせてあげると泥障烏賊の
ネットリ感が膨らむ中で
泥障烏賊に施した肌理細やかな飾りも
お手伝いして甘味が口内に際立ちます。

何時も感じるのはお造りの鮮度の良さに
素材たちの旨味甘味をキュンと引き出す
お薬味の添え方がお上手で
素材のポテンシャルをグッと引き立てる
巧みの技がキラリ光ってて
舌を喜ばせて来れるのが嬉しくなります。

◉日本酒しのはら

④お椀

椀づまを大原木結びであしらえて
干し薇と
鹿児島の早筍と
京湯葉を
干瓢で束ねて纏めてます。
吸い口に木の芽を添えて
椀種には玄界灘の白甘鯛です。

何時も感じますのはお料理コースの流れを
常に俯瞰して其々の一品の位置を配置し
変幻自在に操り緩急を施す味覚の
グラデーションに感銘してしまいます。
故にこの長丁場のコース料理に飽きが
来たことは唯の一度も有りません。
コース料理の中でも華やぐのは
しのはらさん独特の八寸ですが
味覚の上で重鎮を担うのは
何と言ってもこの椀盛でしょう。

初めに吸い地を舌に湿らせば
ジ〜ンと響いて来る滋味深きうま味
干瓢で束ねた薇に湯葉の甘味が北叟笑む
早掘り筍をコリッと齧ればザクッと
噛み合う食感からジユッと滲み出る
耽美な甘味と春の香りを振り撒く
地が筍色の甘味にほんのりと染まり始める

更に
お椀にぷかぷかと浮かぶ純白の甘鯛から
滲み出る豊満な脂質の旨味が吸い地に写る
その脂質の旨味で昆布のうま味が
深掘りされて行く。
吸い地の表情が少し激しく揺れて
うま味のグラデーションが深まり
この多様に変化する滋の味わいに
ほとほと感銘を受けてしまいます。

白甘鯛はしっとりと膨よかさが佇み
ハラリと解ける純白の身質を
舌に収めようとする
すると
白身がホロリと椀の中で崩れ落ち
柔らかな滑り感が舌を纏い
淡いうま味が訪れ気品溢れる美味で
陶酔の中に陥ってしまいます。

◉爾今

⑤揚物

鼈の竜田揚げ
酢橘

何時もの特製タレを幾重にも纏わせた
焼き鼈ではなく
本日はお醤油風味の下味をジワリ鼈の
肉塊やゼラチン質にしっかりと寄せた鼈の
竜田揚げとなります。
篠原大将曰く、タレ焼き以上に鼈らしい
肉の旨味を引き出すことの出来るお料理が
この竜田揚げだそうです。
ご本人も焼き鼈より此方の竜田揚げが
好みらしいです。

骨の髄までしゃぶり尽くして
小骨にへばり付いている鼈の肉片を
全部舐め回して竜田の上げ衣のぷよぷよッと
してる部位までも全部喰らい尽くして
残すは小骨のみとなるまで
しゃぶり尽くしました。
もう、この肉塊のダイナミックな旨味と
食感の虜になってしまいますね。
大将のお言葉通り
鼈と言う素材の持てる力を最大限の
旨味に昇華させてる竜田揚げでした。

ふゥ〜、驚きますね
この快楽的な後味と満足感。

⑥鮪の太巻き

赤身の漬けは山葵和え
中トロは煮切りで
すき身はべったらと胡麻で和えて
胡瓜の細切りに穂紫蘇を添えて
一緒に巻物にしてます。
太巻きは端の方が鮪がはみ出してきて
太巻きを寝かすと
鮪がはみ出た部分が山の様に盛り上がっており
その盛り盛り鮪の太巻きに
ガリを乗せて食べるのが
乙な味となり鮪の甘味もグッと引き立ちます。

そして
いよいよ私のお口が鮪のハミ出た太巻きと
がっぷり四つ相撲と相成ります。
さぁ、歯と見合ってからガブッと
四つに組み合って
んん、鮪がプチュ〜ッとお口の外に
はみ出しちゃいますね。
流石にこんだけデカいと一口では
やっぱり無理かなぁと思い断念。
半分くらいお口の中に頬張って
残り半分は2回転目に繰り越しです。
ガリも太巻きに乗せてご一緒に
お口の中に転がり込んで来て
コリッと爽やかに酸味を飛ばしつつ
鮪の旨味背後を固めております。
一所懸命mogmogしてると
舎利が大きくお口の外へ零れそうです。
その上、すき身も中トロもべったらも
アクセントが優しい胡麻も全ての味わいが
お口の中で渦を巻いて極上のうまうまな
太巻きが口内を蹂躙し続けておりました。

⑦雛壇八寸

お雛様の菱餅を模った器に旬の素材を
散りばめて盛り付けされております。
お部屋のライトが薄暗くなり
大根灯籠の灯りが雅に揺れ動いてます。
何時も感動と喜びを与えてくれる
しのはら八寸です。

さてお楽しみの八寸の内容はと言いますと

○筍の木の芽合え
○柚子の皮を甘く炊いて茶巾に絞った編笠柚子
○甘鯛の若狭焼き
○タラの芽の辛子味噌漬け 松葉串
○蕗の薹の辛煮
○蓮根の酢漬け
○玉子真薯
○白魚の唐墨巻き
○飯蛸と黄身酢
○こごみ
○鮑と花山葵
○鴨ロースと黄韮
○松葉蟹を蟹酢で浸したもの

これだけ手の込んだ作品たちを作るのに
日々の仕込みと周到な準備に
手間暇かけてるんだろうなぁと
この八寸だけを眺めに来るだけでも
しのはらさんに通う価値が有ると
つくづく思ってしまいます。
八寸の中で一つのコース料理が
完成されてるのにも驚きます。
お口直し的な木の芽の和え物から始まり
冷めないうちに頂きたい温物では
若狭ぐじのご用意
春の香りを届けて嬉しい蕗の薹の煮物から
冬の美味を思い起こさせてくれる名残の松葉蟹迄
細心の気配りです食感や季節感を大切に
香り高く旨味甘味を演出されてます。

八寸のお話の中に素材の逸話が
散りばめられており
まるで季節の風物詩を物語ってくれる
語り部の蘊蓄にも感服致します。

お話を聞きながらお食べくださいとの
お達しで箸を進めてますと
興味深い若狭ぐじのお話が耳寄りでした。

本来の若狭焼きと言うものについて
お勉強になるお話で
鱗をパリパリにして鱗の食感を美味しく味わう
ものが若狭焼きと思ってましたが
そうではなく
鱗と身の間の脂質分を落とさずに
上手く焼くのが若狭焼きの本来の
在り方だそうです。
焼かれた若狭焼きは
ひっくり返して身だけを美味しく食べるのが
若狭焼きの味わい方で
鱗をカリカリにする事では無い様です。
でも、鱗も楽しみたい方は
鱗を再度焼き直しますので
お申し付け下さいね、との優しいお言葉まで
頂いてこう言う気配りが嬉しいですね。

温かい若狭ぐじを満喫した後は
唐墨の珍味に淡麗な身を誇る白魚さんを
頂いて味覚のコントラストを楽しみつつ
春の苦味代表は蕗の薹を辛煮でほろ苦さを
整える味わいの作り方で舌を納得させて
くれるもの
この辺りのお摘みに日本酒をチビチビやるのが
乙な感じでいい気分でお箸もお酒も進んで
しまいます。

玉子を蒸し上げた真薯は
八寸の定番でフワフワなカステラ風の
卵真薯
このフワフワ食感を満喫できる卵真薯は
どうしたらはこんだけふんわり仕上げれるのか
フワフワンする玉子
食感も清々しく甘味が穏やかな味わいが良い

炙った鴨ロースには黄韮が射込まれており
鮑の旨味に花山葵をピリッと効かせてる
アクセントが小気味良く舌に響く

季節の旬菜たちの〆にはぷるんと揺れる
金柑が可愛い甘味を振りまいて
舌を楽しませてくれちゃいます。
春爛漫な八寸を満喫して
進むお酒と共に口福感の極みを頂きました。

此処で河豚の白子のプレゼンテーション
大将が
2kgはあるかと思えるほどの白子を
プルプルしながら見せてくれます。
河豚自体は7kg超えだそうです。
物凄え大きさの白子
圧巻です。
このビッグサイズの白子を串に刺して
焼き場で串焼きにされます。

⑧フォアグラとあんぽ柿に
ウイスキーゼリーの最中
満寿泉 貴醸酒

定番中の定番、名物最中ですが
お弟子さんの笑顔と共に登場するお姿も
和みの和空間を創出する演出が
此れまた楽しみな場面です。
順番待ちみたいにお客様ほぼ全員
シャッターを構えてパチリとするご様子が
何とも微笑ましい限り。
お楽しみ場面を巧みに演出するしのはら劇場
楽しさがいっぱい詰まった演出に
喜びが止まりませんね。

⑨焼物

河豚の白子焼き
酢橘
お海苔

スプーンには最初に一口サイズにカットされた
焼き海苔を一枚乗せてから
酢橘を搾ってお箸で揺れるプルプルの
白子を掬ってお海苔の上に置いて
板海苔と一緒にパクッと頂きます。

お海苔の風味が白子にほんのりと芳しく写り
その香りとともに白子さんをお口の中に
トロンと落とす
プチンと薄皮が弾けて
中からあのうまうまの珍味が
トロ〜ンと蕩け出します。
あの舌を悩まして止まないトロトロの
珍味が口内に溢れ出して
白子塗れになる口内からは
陶酔感が充満して来ます。

この珍味な味覚が陶酔感を呼び込むほど
魅惑の味わいがお口を満たしてくれるのは
しのはら大将の優れたセンスの賜物
勿論焼き白子だけでも十分美味しいですが
でも、そこで満足せずにもう一つ
アクセントを加えて
味覚を膨らませてやる
そうすると俄然素材が生き生きとして来るもの
この板海苔一枚で磯風味と白子が仲良く
手を繋いで味わいを深掘りして行きます。
この珍味三昧の馳走に拍手喝采です。

◉神指蔵

⑩小鍋

九十九里の蛤
師崎のわかめ
九条葱
木の芽

蛤が大きくてお出汁が美味しい
吸い地が潮汁の様で春の汁物
師崎の和布がどっさりです。

今まで躍動感溢れる焼物で
舌をこき使ってややお疲れ気味のところを
お疲れ様ですと優しくお声掛けされてる様な
和布と蛤の汁が潮風味を
靡かせて舌を優しく労ってくれてます。
お汁を探索しますと
蛤がぷよぷよで身質の膨よかさを
満喫するもので
蛤のうま味を満喫しながら
和布がシャキッとして舌に絡みついて
温和な妙味を頂ける和みのひと時となって
ホッとする安堵感が芽生えてました。

⑪お食事

毛蟹コロッケの炊き込みご飯
揉み海苔を散らして

土鍋のど真ん中に毛蟹が鎮座
毛蟹を囲むようにして蟹コロッケがゴロゴロ
してます。
其れ等全部を勢いよく杓文字で
掻き混ぜ混ぜしてからお茶碗に
装って頂き手元に届きます。

一口目をパクッと頂く
ん、おぉ、蟹コロッケの風味と甘味を
ご飯が吸って馴染んでます。
然もチョコンと散らされたお海苔の風味が
心地良いアクセントです。

ご飯をmogmogしていると徐々に
蟹の甘味が舌に押し寄せて来て美味い!
こりゃ堪らんご飯になっちやいますね。
お代わり必須と言いたい所。
次の煮麺が眼前に控えてますので
お腹の具合と相談して控えました。

⑫煮麺

半田麺の煮麺
蛤出汁
卵とじ

蛤からの旨味が飛び抜けて磯の香りを
写してる滋味深きうま味がたっぷり馴染んでる
お出汁たっぷりに浸されてる煮麺です。

ツルツル〜ッと啜ると
卵とじも甘味を添えて絡み合いながら
喉越し豊かに滑り込んで来て
少し歯で細麺を噛み込むと
コシもしっかり感じられる麺で
食べ心地が快適に走り抜ける煮麺で
温和な温かみと一緒にほっこり致します。

こう言うホッとするお優しい一品をちゃんと
お仕舞いに用意して頂けるのは
有難いものです。

⑬甘味

雪間草を模ってる金団

捏芋の金団と中には薄い豆の餡が
綺麗な山葵色で佇んでます。

⑭お薄

2022/06/13 更新

23回目

2022/01 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

期間限定6日初日明けから20日迄でしかご用意の無い貴重なお正月バージョンを頂きました。

◆2022.1.8(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥33,000
お酒消費税含むお会計¥38,400

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

⓪香煎茶

定番の昆布茶で舌を湿らして頂き
お腹もゆるりとほっこり暖めてもらいます。

①先付

山利の白味噌仕立て
小芋
小豆
和芥子

お正月という事で白味噌の中には
お祝いの亀甲型に抜いた小芋と

皆様が本年も豆に日日を送れます様にとの
願いを込めて
小豆を二粒ほどあしらえてあります。

和芥子が白味噌の汁の中に忍ばせてあります。
この辛子が山利のこってりポタージュの白味噌に
ほんのりピリッと舌が敏感に反応する感じに
馴染んで来て誠に良い塩梅の辛味を
アクセントに加えております。
単純に山利の白味噌だけでも美味しいものですが
此れに和芥子で味覚を整えて来る所が流石と
思わせるあしらいです。
和芥子と一緒に白味噌を掻き混ぜて飲むと
こってり甘味の白味噌の中に忍ばせてある
辛味が底から浮かび上がってくる様で
誠に奥床しい味わいを頂くことが出来ました。
新年に相応しい温かい心の篭った
おもてなしです。

②三宝柑釜

柚子とダイダイの交配種の三宝柑の釜
ウラジロの葉
環柳の飾り付け

紅白の車海老
子持ち昆布
赤貝
紅白なます
独活
加減酢の煮凝り

釜の中にあしらわれてるお野菜は
目甘草と
お祝い海苔の水前寺海苔です。

花言葉が「永遠の契」の
お正月に欠かせないウラジロの葉を敷いて
三宝柑釜を座らせております。
裏の白い部分が表面の葉です。
裏表のない一年を過ごせます様にとの事で
ご用意されてます。
また、環柳は柳の枝をくるりと結んで
釜の前に飾り付けています。
古代中国では生命力のある柳を贈ることで
無事戻ってこられるようにと
旅の安全を祈ったもので
その風習が日本にも伝わり
お正月の寿ぎを回り回って再び
巡り回ります様にとの願いを込めての
飾り付けです。
何れもお正月に相応しい雰囲気を飾られて
気分も高揚してきます。

三宝柑の釜の中には
彩どり鮮やかなお正月らしい紅白が美しい車海老となますが視覚を楽しませてくれます。
更に赤貝のコリッとした食感が歯を楽しませ
子持ち昆布のプチプチ感が舌を悩ましてくれて
楽しいお正月の味覚を満喫させて頂きました。

③お雑煮

甘鯛
聖護院蕪
お餅
唐墨
金箔
鶯菜
柚子

正月気分を膨らませます椀盛です。
此れは楽しいお椀です。
吸い地の昆布が淡く舌を温かく迎えてくれる
甘鯛がハラリと解けて淡白な旨味を膨よかに
佇ませる
甘鯛を味わってから唐墨を少し齧り
塩味を舌に泳がせて甘鯛の味を補強する感じに
走らせる
唐墨の余韻で塩味の名残と共に吸い地を啜り
今度は吸い地のうま味と塩味を重ね合わせて
楽しむ
ほっこりお出汁のうま味を楽しんでから
お餅をグ〜ンと引き出しニュゥ〜ッと伸びて行く
お餅を食べる
お餅のお焦げの香りが吸い地に移り住んで
その香りとほろ苦さが堪らなく美味しく感じる
グニュ〜ッと噛み合って
吸い地に浸されたお餅の妙味を満喫して
最後に残ってる立派な聖護院蕪の浸し地に
染まる美味さ甘さに
そのホロホロと崩れ落ちる食感を
重ね合わせながら堪能します。
これ程の賑やかなお雑煮に舌が
喜び勇んでおります。
お椀にあしらわれた素材同士の
味覚のグラデーションが美しく円舞する
素晴らしさに参ります。
舌を蠱惑の渦に巻き込むお椀に
楽しい高揚感がいっぱいに広がり
満足感が昇りっ放しのお椀でした。

④お造り

冬の装いらしい印象的な味覚を整えてのご用意

鯨のルイベの上に生姜乗せ
昆布醤油の煮凝りと山葵

氷見の寒鰤
いぶりがっこと大根おろしを合わせたもの
ちり酢
醤油

何方の素材も真冬の大海からの贈り物
鯨は尾の身でしょうか
最初から冷凍のものを用意しても
美味しくないそうで
生の鯨の身をサッと冷やして
ルイベに仕上げるのが美味しさを
浮き立たせるコツだそうです。

シャリシャリ感が迸って
直ぐ様その冷凍感が
舌の温感でトロ〜ンと口溶けして行く
とてもクリーミィな円やかさで
舌を撫でて行きその瀞みで舌を陶酔の世界に
どんどん引き摺り込まれて行きます。

いぶりがっこ大根おろしが寒鰤と和んで
意外とシャキッとする食感と寒鰤の
艶かしさの相性が良すぎ
こんな妙味を齎す合わせ技のお料理を
拵えてしまうなんて
お正月とは言え嬉し過ぎの味わいですよ。
シャリッといぶりがっこが走り抜き
大根おろしがシュッと爽やかに振る舞う
其処に鉄分旺盛な寒鰤の甘味を
大根おろしの薬味たちが邪魔せずに
味覚を膨らませている。
素敵な味わいなのです。
この寒鰤の旨味と妙味に暫く呆然と
してしまいました。

⑤お凌ぎ

松葉蟹
鮟肝
酢飯
銀餡

此れは何リゾットなのか
しのはらオリジナルの不思議な味覚のリゾットとでも言いたくなる様な妙味が膨らんでおります。
器の上にはゆずり葉をあしらいました。
器の中には山陰の松葉蟹と余市の鮟肝に
鮨飯を程良い温感でご用意
その上から淡い銀餡を掛けてます。
銀餡と具材たちを掻き混ぜて行くと
粘性が豊かに芽生えて甘味旨味を増幅させます。
少し粘り気が出たところでスプーンで掬って
頂きます。
蟹味噌もたっぷり中に入ってて
蟹の甘味が和やかに温かい鮨飯と同調しながら
蟹味噌の珍味と銀餡のネットリ感に浸されつつ
鮟肝の珍味も混ざり合うと言う混沌とする味覚
この味覚の渦巻きの中から沸々と湧き上がる
妙味珍味に舌がジンワリと悩まされ続けて
おりました。
此れはほっこりと舌を慰めてくれつつも
味覚の妙に惹き込まれてしまう作品でした。

⑥焼物

伊勢海老
海老味噌
蕪の銀餡
菜の花
振り柚

炭火で焼いた伊勢海老に蕪の甘味を施した
淡い銀餡を纏わせてます。
殻から海老の白身がプックリとはみ出してます。
殻の中にも白身がギュッと詰まってます。
その奥には海老味噌がジッと潜んでおり
スプーンとお箸で穿り出して
プリプリ感が元気一杯の伊勢海老を
お口にパクンと放り込みます。
んん、咀嚼した時の躍動的な弾力感が
お口いっぱいに広がり甘美な味わいを
充満させてくる
こんな気持ちの良いプリプリ感は
早々出逢えるものではないと感じつつ
然も甘味がお上品で透き通る様な甘さ
余程の鮮度なのでしょうね。
無垢な甘味の味わい深い事
ヤバヤバの焼物ですね。
その焼いた身からほんのりと殻が焦げた
甲殻風味がほろ苦さを伴って香る気高さにも
うっとりしちゃう
更に奥の方をホジホジして海老味噌が出て来ると
銀餡に珍味を写して旨味のインパクトが
大幅に拡大します。
無我夢中で海老の奥底の方までほじくり続けたくなります。
出口の無い旨味が絶え間なく訪れて
何時迄もホジホジしていたい衝動に
駆られておりました。
此奴は新年のお祝い事に相応しい伊勢海老料理に
舌が大満足して喜んでおりました。

⑦鮪の太巻き

定番の太巻きとガリ添え
赤身の漬けを山葵和え
中トロは煮切りで
すき身はべったらと胡麻で和えて
胡瓜の細切りと一緒に巻物にしてます。
ガリの小角を太巻きの上に乗せて頂きます。
目まぐるしく鮪の甘味やガリの酸味に加え
赤身の芳しさが入り混じった味わいと共に
べったら漬けの少しねっとり感も
良い感じで酢飯にも絡まってくるし
多種多彩な味覚の展覧会に参加して
舌が大喜びでした。

⑧お正月仕様の八寸

店内の照明が落とされて
周りが薄暗くなり
その暗闇の中から大根灯籠の薄明かりが
雅に八寸を映し出してご登場です。
この風情豊かな演出にお客様全員が
ほぉ〜、うわぁ〜っと歓喜の声を上げてます。
お花が開き掛けの梅の蕾と
越前水仙の飾りが誠に雅な飾り付けです。
お正月らしく
羽子板の器と鶴の器と小鉢に分かれて
盛り付けです。

◆鶴
酢橘釜の中には
海鼠の茶振りと霙おろし
卵を蒸し上げた玉子真薯
鰻の昆布巻き
のし梅
琵琶湖の本諸子を南蛮漬けにして
千枚漬けで巻いたもので
にんぴん漬けにされてます。
大王松の松葉で蓬莱飾で刺しているのは
黒豆と独活の梅煮と
おせち料理に良く使われる
千社唐(チシャトウ)の味噌漬け

◆羽子板
白い香合の中には
鴨雁のつくねの治部煮に春菊
金柑の茶巾
たたき牛蒡
慈姑の松風
蛸の柔らか煮
蓮根の酢漬け
梅人参
梅長芋

◆福寿草の香合
雉と芹のお浸し

元来、宮中の正月行事「晴れの膳」の
お祝いの酒として
振舞われるしきたりがある雉酒は
不老長寿の効能が有るとの事で
皆様にも健康で長寿にとの願いを込めての
雉を使ったお料理をご用意との事です。

お正月バージョンの八寸は品数が
何時もより多い上に
お祝い気分満載の器と素材にて
楽しさ嬉しさが倍増して気分も高揚して
しまいます。

雉肉のお浸しを頂けるとは予想外で
お祝いに相応しい雉からいただきます。
サッパリ味でサラリとした旨味の雉肉です。
梅の赤さを上手くあしらえて
梅人参の赤と長芋に梅肉を添えた白さで
紅白の人参で飾っております。

鴨肉を使ったつくねの治部煮も
鴨の旨味と治部煮の甘味とが
上手く味覚を整えており
肉感の柔らか味に寄り添う優しい甘さが
舌に響きますね。

海鼠の茶振りもコリコリッと食感豊かに
霙のおろしがサッパリと海鼠を纏って
爽やかな美味さですし
お隣のたたき牛蒡が心地良いアクセントで
歯応え感が気持ちのいいお口直し

かと思えは鰻の昆布巻きがしっくり鰻を昆布の
ウマミで包み込んで妙味を広げてます。
舌が少し疲れたら箸休めに金柑の茶巾で
柑橘系の甘味を円やかに感じながら
舌をリセットするのも楽しくなります。

そしてお仕舞いまで残しておいた本諸子の
南蛮漬けをクルッと巻いたにんぴん漬けが
甘酸っぱく本諸子を纏い小降りながらも
しっかり諸子の旨味が味わえる満足度の高い
一品となり
正月八寸の〆に玉子真薯をフワッと頂いて
清々しい締め括りを迎えました。

⑨フォアグラ最中

定番の一品

今月はあんぽ柿に山﨑のウヰスキーゼリー掛け
ペアリングで満寿泉の貴醸酒をご用意
オーク樽で熟成されたレアな一品で
フォアグラの耽美な味覚を見事に潤い豊かな
ものにお口の中で昇華させておりました。
此れは嬉しいおもてなし。
お正月だけなのかな
来月もペアリングしてほしいな。

⑩焼き白子 お海苔 酢橘

冬にお訪ねして嬉しい一品との出会い。
一年振りで御座いますね、白子様。
しのはらさんの虎河豚の白子はでかいので
食べた満足感のレベルが大きい。
たっぷりと膨よかにプルンプルンに
揺れまくりの白子さんをスプーンに乗せて
酢橘の搾り汁を滴らせてから
船橋の丸友の焼き海苔を乗せて
お海苔の香ばしい佇まいと
ご一緒に頂きます。
この丸友の板海苔の添え物がまた奥ゆかしくて
良い磯風味を齎し
白子をグンとグレードアップする味覚へと
昇らせて行きます。
更に酸味が麗しい酢橘をポトリと滴らせると
白子の甘美な歌声と共に奏でる甘酸っぱさが
舌を歓喜に震わせます。
本日の白眉で御座いました。

⑪てっちり

虎河豚の身
白菜
白子の擂り流し
ポン酢

昆布ベースのお出汁に河豚の身が
うま味を増幅させてます。
お出汁がめちゃうんまい
お出汁にぷかぷかと浮かんでる白い斑点状の
アクのような粒々は白子の擂り流しを
お出汁に溶いたもの
虎河豚の白身はエネルギッシュな肉質感を
見せて噛むと白身がしっかりシコシコする。
咀嚼をしていると
まるで鶏肉のささみの様にしっぽりと
身質の躍動感がしっかり感じられる肉感を
走らせて河豚の旨味が口内を満たしてくれる
ポン酢に河豚の白身を浸すと酸味が程よく
纏わりついてしっぽりと河豚の味わいが
広がりました。

⑫手打ちうどん

しのはら自家製手打ちのおうどん
麺は讃岐のおうどんを手打ちで仕立ててます。
打ち立て茹で立てを頂くことが出来ます。
お出汁は今ほど頂きましたてっちりの
お出汁でウマミたっぷりな中に浸されており
コシが強く噛み心地抜群のおうどん。
喉越しがツルツル〜ッと食感も滑らかに
走り抜けて行き
太麺の豪快さを満喫できるものでした。

⑬お食事

焼き鼈の細切れ
琵琶湖の氷魚
卵黄の醤油漬け
香の物

お茶椀に鼈氷魚の炊き込みご飯を装った後
揉み海苔をご飯にパラパラと振ってご用意です。
ご飯の盛り付けの中央には卵黄が鎮座し
誠に黄身の美しさが映えるお品となってます。
氷魚の白さの黄身の艶やかな配色が
蠱惑的な装いで鮮やかな美観に目が釘付けです。
味覚も艶やかそのもので
氷魚の塩味が優しくご飯にオブラートする
卵黄を崩さず氷魚鼈ご飯だけを頂くと
氷魚の塩味と鼈の肉片のコリッとする食感とが
同期してご飯の妙味が膨らむ。
次に
卵黄をプチンと潰してやると
黄身の濃厚な甘味が
トロントロンにご飯に溶け込んで
舌が陶酔感に酔いしれちゃいますね。
その間隙を縫う様に鼈の旨味がコリコリッと
ご飯粒の中から突き上げて来てパンチ力の
勢いを伸ばして来るもんだから
旨味三昧ご飯に抱腹絶倒です。

⑭甘味

紅白の金団に百合根の黄身餡
お正月のお祝い気分を最後まで演出して
楽しく和やかなひと時を頂きました。

⑮お薄

2022/01/13 更新

22回目

2021/12 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

冬のしのはら料理は崇高に完成された感動ドラマの如く胸を打ち琴線に心地良く響き喜びで満たされていた


◆2021.12.17(金)夕餉

◆お料理 お任せ¥33,000
お酒消費税含むお会計¥43,000

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

⓪香煎茶

①先付

12月の先付けは師走のお話より
篠原大将の飾り気なく朴訥に語られる
季節の風物詩に耳を傾けながら
先付に日本の情緒を感じながら
頂くのが非常に楽しみの一つ
日本の古式由来の語り部は
分かりやすく季節を讃えて
お料理に敬意を抱いて
美味しいばかりでなく
歴史の重みを感じて頂きたい一品との
思いが伝わってきます。

毎年12月に開催されます仏名会では
お坊さんが走り回るほど忙しく
その様子から師が走り回る季節と言う事で
師走と言うのだそうです。
現在でも東大寺のニ月堂にて開催されており
その二月堂のお堂の前に飾られてます山茶花を
釣瓶の木桶にあしらって冬の訪れを
表現されてます。
そして木桶周りには敷松葉です。
初冬に霜で苔が痛むのを防ぐ為の冬の装いで
枯れた松葉を敷物にして雅に整えております。
侘びに通じる風情が感じられます。
毎回しのはら料理は
季節の風物詩を語る大将のお言葉より
始まりますが
季節の趣が感じられて嬉しい語り部です。

さて、お料理です。

ガラスの器の中には
上から順に
鳥取より松葉蟹の身
カリフラワーと湯葉の擂り流し
玉子豆腐
天より注いでますのが定番の酸味で
加減酢の煮凝りをあしらい
爽やかに味を整えて蟹さんを
泳がせてます。

何時もスタートからワクワクする味覚が
振る舞われて
お口に広がる酸味や甘味が
スッと舌に入り込んでくるんですよね。
この酸味豊かな衣で素材たちを纏わせて
味覚が走り抜ける感覚は
これから始まる怒涛の料理への
雅なエントランスであり
舌への慣らし運転の意味合いを含んでます。
この先付けで
一気にお酒のスイッチが入るんですよね〜。
で、舌が覚醒して準備万端整った所で
温かいお椀に移る流れは
何時も乍らワクワクが
止まらなくなる一瞬でもあります。

②お椀

虎河豚の身
聖護院蕪
吸い口には白髪葱

虎河豚の骨で取ったお出汁で潮汁のご用意です。
椀種には河豚の身をサッと炙られてます。
椀づまの聖護院蕪が穏やかぁでホッと追いつく
甘味を佇ませてます。
あしらいも真っ白に
お椀を真上から覗きますと澄み切った潮汁に
浮かぶ白雲の様に純白が佇み
お椀の漆黒との配色が美しい
漆の見返しの蒔絵にへ寒椿が鮮やかに華麗な
姿で眼を和ませてくれてます。
此処でも
雅な情景を映す大将のセンスが光ります。

何時も感じますのはお料理コースの流れを
常に俯瞰して其々の一品の位置を配置し
変幻自在に操り緩急を施す味覚の
グラデーションに感銘してしまいます。
故にこの長丁場のコース料理に飽きが
来たことは唯の一度も有りません。

さて、お椀です。
清く澄んだ吸い地
心温まる温感
うま味が芳醇な味わいで舌に染み入ります。
然もこのお椀
ただ穏やかに佇むだけではないんです。
炙られた河豚の身は小振り乍らも
無駄な脂質が飛ばされて
旨味ギュッと詰まった状態のまま
吸い地に浮かばせて吸い地に颯爽と
河豚のエネルギーが注がれ
力強いうま味が移されていきます。
その味わいの変化が富む吸い地となり
表情が淡味からまさに旨味へと変わるのです。
そして河豚の塊をお口に運ぶと
河豚のふっくらとした身質が優しさを
伴いつつも
やはり河豚の力強さを感じる筋肉質の
プリプリ感が走るふっくら身質に
感嘆致しますね。
パンチ力と穏やかなうま味の均衡が
整然と成立してしまうのは
しのはら料理ならではと感じました。

③お造り

雪に見立てた白菜の芯を小角切りした物
虎河豚
鮟肝
葱ポン酢

池に薄氷が張り出す時期になり
そんなイメージを思い浮かべながらの
白い薄氷模様の器でのご用意です。
季節的には名残の秋を感じるところで
紅葉を器に散らして表現
器がとても雅に輝いてます。

その薄氷模様の皿上には
鮟肝とてっさが二段二層で
鮟肝がてっさにサンドされてます。
その鮟肝をてっさでクルッと包み込み
てっさと鮟肝を葱ポン酢で浸しつつ
パクッと頂いちゃいます。

んん、ムグゥ〜、唸るわぁ
喉が鳴るしぃ
うっとりするほどウんメェ
至福の味覚がお口の中で蕩けていきます。
一方歯応えもしっかりシコシコ感も
口内で同時進行して伸びます。
てっさの潔い無垢な旨味が
グイッと走り抜けたのと同時に
鮟肝の珍味が蕩けて広がり
舌が七転八倒し出します。
コリャ美味だわ
良くもこんな合わせ技のお造りを
見出してくれました。
てっさ一枚に対しての鮟肝のサイズ感や厚みも
バッチリ味わいを満喫できる物だし
てっさの強さにピタリと寄り添って
負けない鮟肝の珍味度が匹敵して
極目付けの珍味を作り出してます。
豪華な味覚と小気味良い旨味が
折り重なり白菜の芯がシャキーンと
爽快感を伸ばして走り抜けていきました。

④お凌ぎ

柚子釜
酢飯
白子ムース
銀餡
ポン酢

先付から順に
冷製→温かい椀盛→冷たいお造り→温かいゆず釜と交互に温感冷感を交錯させての構成は
舌を上手に弄んで温感の落差が美味しい感度を
高めて居ます。
良く設計されてるなぁと感心してしまうのです。
こう言うのは自然体で流れるから生きてくる
大将のセンスが光りますね。

ゆず釜で焼いた酢飯と白子に銀餡を掛けました。
仕上げのアクセントにポン酢を一筋だけ
滴らせてます。

柚子釜の釜蓋を取ったら途端に香る柚香が
トォっても芳しく欲を誘って来ますね〜。
たまらんですゥ

先ずは餡を少し舐め舐めして
てっさで冷えた舌をほっこりさせます。
舌の温感が蘇りますね。
いい感じです。
此処は丁寧に白子を崩さずに食べようか
リゾット風にグチャグチャに掻き混ぜようか
迷います。
お勧めは混ぜて食べてくださいとのお達しです。

掻き混ぜたら舎利に白子がとても良く馴染んで
白子リゾットとなり
リゾットの銀餡掛けの様な感じになりました。
ポン酢がキュンと酸味を忍ばせて来るし
白子の珍味が舎利との間合いを繋いで
こってりと甘い妙味を浮き立たせて来ます。
その白子リゾットにトロトロ〜ッと銀餡が
蕩け感満載でリゾットと溶け合い
甘味も珍味もグルグル回ってグチャグチャに
なって味覚の万華鏡となってました。
身も心もあったまり満足度の高い一品。

⑤揚物

栗の渋川煮の唐揚げ

こう言うところがしのはらさんの凄さと
思います。
普通に渋皮煮を甘味でお出ししても良いものを
さり気無く唐揚げにしてお口直し的な
一品にしてしまってます。
其れも半端じゃないです。
鬼皮を剥いた物を仕入れるそうですが
大粒の渋皮煮ほ
エグミもアクも残っておらず
カタチも煮崩れしてない
きちんとカタチを整えたままで唐揚げに
なってます。
煮汁もしつこく無く程よく甘くて美味しい
サクッと噛んで揚げた名残の脂質分が
渋皮煮に残っておらず
和栗のあの耽美な甘味が
サクッと噛んだ後からジンワリ
和栗の身の中から零れてきます。
噛み心地も抜群の出来栄えで
栗の柔らかさと
芯の強さが少し残って
ポロリと解ける身質が
口内で居心地良さそうに佇むのです。
この渋皮煮の唐揚げの甘味の気高さは
糖度がエレガントに広がる品の良さから
来ているのでしょう。
限られた期間しか出会えない逸品かと
推察しますが
来年もまたお会い出来ると嬉しくなる逸品です。

⑥焼物

尾長鴨の炭火焼き
山椒塩

岐阜と滋賀の県境で獲れた尾長鴨を炭火焼きで
ご用意です。

目の前の焼き場で炭火に炙られてる抱き身から
脂が滴り落ちてパチパチとなる音と
炎が立つ様子が臨場感溢れて楽しく
つい、眼を細めてしまいますね。

鴨は胸肉で身厚で肉の幅も高さも奥行きも
一個のサイズ感がガッツリ広がる食べ応え
十分に満喫出来る奴です。
その肉塊が3個もご用意されてます。
うち一個に齧り付くぞ〜。
ガブリッ
歯が鴨の肉布団の中にグニュゥッと
抱き寄せられます。
グッと迫り来る鴨肉の初々しい肉感が迸り
其の儘ギュゥッと歯で食い込むと
胸肉からはジュワジュワンと肉汁が滲み出し
旨味がエネルギッシュな味わいを見せて
獰猛な肉質感をたっぷり広げて参りました。
胸肉のしなやかな肉質感が甘美に佇むのです。

噛めば噛むほど野性味を曝け出す肉汁
なんだけれども
何処か気品を感じる優雅で
愛おしくなる感じの鴨の旨味に舌が
翻弄され続けておりました。

⑦強肴

鼈の唐揚げ
山椒

揚げたての鼈は熱々に揚げ衣を纏わせて
指で挟んで食らいつくのが
この唐揚げの醍醐味でもあります。
ガッツリ喰らいついて仕舞えば
唐揚げの衣から走り出すサクサク感が
快感を舌に呼び込んでくるわ
そのまま突き進んで
グッと噛み込むと
ジュワッと肉肉しい鼈エキスが
地肉湧き踊る様に口内に飛び散り
鼈の旨味を撒き散らすわで
堪らない食感と肉汁の躍動的な旨味が
口内を満たして行きます。

唐揚げは下味は施さず
揚げてから特製の甘だれを施しており
その濃厚な甘だれが鼈の唐揚げを
更に旨味の濃度をグイッと引き上げて
美味しさを極上のものに仕上げてます。

逆に竜田揚げは4〜5時間かけて
じっくりと下味を漬けてから
揚げる様です。

しのはら鼈は年間を通して楽しめますが
季節により焼き鼈〜唐揚げ〜竜田揚げと
表情を変えてのご用意には
敬服してしまいます。
さて、
その豪快な肉肉しさは
何処までも旨味の勢いを失わず
骨の髄までしゃぶり尽くしても
まだ旨味が後を引き
舌はずっと舐め続けていたい衝動に
駆られておりました。

⑧追肴

鮪の太巻き
ガリ

赤身の漬けは山葵和え
中トロは煮切りで
すき身はべったらと胡麻で和えて
胡瓜の細切りと一緒に巻物にしてます。
太巻きは端の方が鮪がはみ出してきて
太巻きを寝かすと
鮪がはみ出た部分が山の様に盛り上がっており
その盛り盛り鮪の太巻きに
ガリを乗せて食べるのが
乙な味となり鮪もグッと引き立ちます。

そしていよいよ太巻きと
がっぷり四つ相撲と相成ります。
さぁ、歯と見合ってからガブリッと
貪り始めました。
んん、鮪がプチュ〜ッとはみ出します。
ガリも転がり込んで来ました。
舎利が大きくお口の外へ零れちゃいます。
お、これは太巻きの寄り切りか
お口が負けそうです。
んん、残念、太巻きを一口で
寄り切ろうと思いましたが敵わず。
然しすき身も中トロもべったらも
アクセントが優しい胡麻も全ての味わいが
お口の中で渦を巻いて極上のうまうま相撲を
寄り合っていました。

⑨八寸

店内照明が薄明かりとなり
大根燈籠の蝋燭の灯火に揺れながら
雪囲いを施した八寸

八寸の周りには季節を彩どる
名残の菊花
藁の雪囲い
銀杏や紅葉が散りばめられて
晩秋から初冬の里山風景がイメージされます。

雪囲いの下には
胡麻豆腐と海胆に割醤油

屋根付きの器には
車海老と半生唐墨と大根と人参のなます

大きな扇型の器には
本諸子の焼物と木の芽酢
茶ぶり海鼠に霙酢をかけたもの
青鬼大根の味噌漬け
数の子のフライに酢橘
バターで焼いた玉子真薯に
海老芋のサワークリームを乗せて
天にキャビアの藁燻製
スコティッシュサーモン
百合根と卵黄で作った黄身寿司
北寄貝西京焼

何時もながら鮮やかに煌めく雅な
しのはら冬料理の醍醐味が舞う八寸です。

八寸の中で最初に温かい物を冷めないうちにとの
大将のお達し頂く温物の本諸子が
塩が淡く効いてて頭から飛びついてしまいます。
とても軽やかにサクサク感が飛び込んで来て
その後に諸子の小さな魚体からの甘味が
フッと舌に入り込んで来るのには
チョット驚くも
咀嚼したその瞬間に美味さが弾けて嬉しい一品。

諸子の温感とサクッと齧る食感を楽しんだ後は
ここは、少ししっくりと珍味が欲しくなり
玉子豆腐の甘いもんと海胆の珍味を
掛け合わせつつ味わい割醤油を
クイッと一飲みして爽快感を味わいます。

茶ぶりの海鼠がコリコリッと歯当たり良好で
食感をたのしませてくれる
少しザクンと行きたくなり
数の子のフライに手を出して衣をザクッと
噛み切って中の数の子の卵のプチプチ食感に
舌を伸ばして楽しいひと時を頂きます。
揚げ物の次は
本日の八寸の中でもメインイベント的な感じが
伺える海老芋のサワークリームとスモーキーな
芳しさを纏ったキャビアを頂き
薫香漂う海老芋のクリーミーな甘味の
不思議な味覚を経験させて頂きます。
そしてバター風味香る玉子真薯が
台湾カステラの様にぷるんと揺れて
フワンと浮き上がる食感を撒き散らして
真薯は穏やかに素直な卵の甘味を
バターのコクを添えて口内に放ちました。
此れは結構興奮を覚える味覚の
バリエーションです。
これ程の多様多種な味覚を
冬の里山をイメージするテーマ感の元に
味も食感も香りも温感も纏まりのあるお料理に
整えて行く大将のセンスに心より拍手を
贈らせて頂きたいと思います。

⑩お口直し

フォアグラと安保柿と
ウイスキーゼリーの最中

定番中の定番
最中とフォアグラを
此処まで漸く辿り着くと
やっと折り返し地点が通り過ぎたかなと
思います。
油断してますと
此処からかなりボリューミィなお料理が
出て来て腹パンとなり
ご飯を残してしまったりする事が多いので
要注意で
気を引き締めて後半戦に臨みます。

⑪ 讃岐酢橘うどん

此処でお口直し的なサッパリさせてくれる
冷麺の酢橘饂飩のご用意です。
酢橘は何と種無しで浮かばせており
この辺の芸の肌理細やかさも
お料理のレベルの高さを感じますね。
酢橘の酸味が冷たい鰹節や鯖節から取った
お出汁のうま味が味わい深く
先ずお出汁を嗜んでお口を冷んやりと癒します。
そして
酢橘を一枚食べてジワッと酸味が
ストレートに染み渡る中
冷たいお饂飩をズルズルズル〜ッと啜ります。
お口の中をツルツルツル〜ッと喉越しも
滑らかにお出汁を絡ませながら
滑って行きます。
その走り抜けて行く時の食感、お出汁のうま味
鰹の香り、お饂飩のコシの強さが
全て巧みに絡み合いながら
妙味を遺憾なく発揮して
喉越し爽快な喜びを頂きました。

⑫霙れ鍋


紅葉鯛

車麩
下仁田葱

葱ポン酢
柚香
霙でしっぽりと鍋の具材を纏わせてます。

碗蓋を取った途端に振り柚子の芳しさが
鼻腔を突いてフワァンとなり
うっとりとして沈黙が流れます。
温かい霙が降る積もった芹のシャキシャキ感が
鮮度良い穏やかな甘味伴う味わいを齎し
霙のサラサラ感が舌を和めてくれます。
何ともこっくりと来る感じが素敵に展開します。

お碗の奥に箸を進めると
蛤がぷっくりと豊かに大会の恵みを受けたうま味
溢れて舌を震わせます。
また、
冬を越すために滋養たっぷり蓄えた紅葉鯛の
身質からは
旨味十分に膨よかで豊満で重厚な白身が
その柔肌を曝け出して見事な魚っぷりなのです。
咀嚼するとホロホロと解けて旨味十分に
舌をしっとりとして味わいで満たしてくれます。
蛤も紅葉鯛も其の儘霙鍋のお出汁に浸し地に
染められた儘でも妙味が伸びて来て美味ッ!
となりますが
此処で落ち着きを取り戻し
折角ご用意頂いた
葱ポン酢にたっぷりと白身を横たわらせて
酸を効かせてみると
此れがまた味変してパッと表情が明るくなり
キレの良い酸味が鯛の身質をキュッと
〆る感じとなり珍味度が増しましたね。
此れは楽しい味覚を頂きました。
最後は霙混じりのお出汁をズルル〜ッと啜って
飲み干して舌がこっくりする口福感で
満たされました。
このお鍋を食べている最中
沈黙が続き
シーンとする佇まいはしのはら料理への
賞賛以外何者でも無いと思いました。

⑬お食事

上海蟹の炊き込みご飯
飛騨牛シャトーブリアンの炭火焼き 山葵
鱶鰭の餡
雲子
香の物

冬料理の風物詩ですね
上海蟹ご飯鱶鰭餡掛け雲子入りなのです。
最初に蟹味噌をたっぷり塗して
上海蟹味噌の甘味珍味が米粒を染めている
上海蟹ご飯を一口。
う〜んまぁ、此奴はヤバい!
舌がじっとしておれませんよ。
蟹ご飯を舌で口腔内を錯乱させんと欲す
欲すれば更に欲深き蟹味噌の旨味が膨れ上がり
極上の美味が突き抜けて行きます。

その蟹ご飯の美味さを嘲笑うかの様に
シャトーブリアン様が肉汁を滴らせて
外目少しカリッと食感豊かに歯触りが
快適な味わいを見せて
噛み切ろうとすると
その赤身はフワッと沈み歯をソフトに
迎え入れて
赤身のしっとり佇む肉質の柔らかさが
訪れて舌を悶えさせます。
蟹ご飯を素直に満喫した後半は
鱶鰭の濃厚なねっとり感が膨らむ餡掛けを
纏った蟹ご飯をズルル〜ッと掻き込んで
鱶鰭の妙味を堪能しつつ
ポツンと頭が白く浮かび上がって来る雲子の
薄皮をプチュンと潰しながら
トロ〜ンと流れ出すその甘味を鱶鰭の餡の中に
溶け込ませて行きます。
更に蟹ご飯とグチャグチャに掻き混ぜて
鱶鰭餡掛け上海蟹ご飯の雲子リゾットと
化けさせて
鱶鰭のコク
蟹味噌の珍味
雲子の甘味
トロンとするリゾットの艶かしい食感
これら全てが万華鏡の様に彩り豊かに
味覚のグラデーションが極限に達します。
舌殺しのお料理とは斯様な完成度の高さを誇り
美味しいの限界を超えて行く一品の事を
言うのでしょうね。
もう、食べ切った後の余韻と満足感で
身も心も満たされました。

⑭甘味

卵の葛焼き
お薄

黄身餡を作ってから葛で溶いたものを
焼き上げました。
フワッとしてプヨンと舌を遊ばせて
くれちゃいますね。
葛粉を上手く塗して周り同士が
くっつくのを防いでますね。

2022/01/18 更新

21回目

2021/09 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

季節感溢れる秋の舞に舌が喜びを隠し切れず美酒美味に酔い知れる至福のひと時

◆2021.9.25(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥33,000
お酒消費税含むお会計¥40,500

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

◆営業

現在お昼1回転と夜2回転
計3回転で営業されてます。
お昼は火木土曜のみです。

⓪香煎茶

①先付

9月の重陽の節句に因み着せ綿で肌を拭うと
健康長寿の効能が有ると言われており
お客様の健康と長寿への願いを込めて
着せ綿をあしらっている先付となります。
釣瓶の中には氷室の様に氷を敷き詰めて
ガラスの器に盛られての
清涼感溢れる一品は

北寄貝
車海老
海胆
カリフラワーと湯葉のムース状の擂り流し
上から加減酢の煮凝りを掛けて
仕上げられております。

天辺を頂く北寄貝に目が行きます。
この北寄貝の鮮度の高さ
綺麗な紅色のお肌にワクワクしちゃう
よほど丁寧な仕込みなんでしょうね
瑞々しくもグニュ〜ッと弾力感が優しい食感と
mogmogすると北寄貝の甘味がジュ〜ッと
自然な勢いで滲んで舌を労わる様に甘味が
纏います。
此奴は美味い!
グニュッと楽しませて来れた後には
プリンプリッと飛び跳ねる車海老が
元気でたのしい
加減酢がジワァッと酸味を舌に投げかけて来る
で、締めには大海の珍味、海胆様が
冷んやりと舌の上に佇み
人肌の温度でナチュラルに蕩ける
その蕩ける珍味が舌一面に広がる美味さの
高貴な事
んん、堪りませんね。
もうスタートの一品から
しのはらワールドに埋もれてしまいました。

②菊花椀

ぐじ
菊花
和栗
柚子短冊

昆布香る滋味深さが愛おしくなるお椀
椀種はダイナミックにぐじを炭火で焼いて
皮目をこんがりと狐色に染めて
ぐじの膨よかさをたっぷりと表現する
その身は嫋やかな旨味を佇ませ
齧るとハラリと解けてぐじの天来の脂質を
吸い地が弄ん出る様にぐじの旨味をお椀に
写し出していた。
菊花椀に相応しく菊の花弁が絨毯状に
敷き詰められて
秋の風情を雅に佇ませている椀盛

和栗を椀づま代わりとされてるのでしょう
和栗がコリッと齧るも素直に和栗の甘味と
爽快感溢れるコリッと砕け散る様子が
心地良く歯に響いて秋味を満喫するお椀です。

◉しのはら

③鱧 油通し 沼島

淡路の鱧を油通しで
湯引きと異なり鱧の淡白な味わいを
ダイナミックに伸ばして
チリ酢が宥める仕掛けです。
このお料理はしのはらさんらしい一品にて
鱧のポテンシャルをある意味開花させて
鱧料理のジャンル自体の幅を広げてみた様に
感じられました。
鱧の食感はプリプリで落としとは相当異なる
食感です。
全くなよなよせずに海老みたいな躍動的な
食感を纏ってます。
更には鱧の旨味に淡白さが消えて膨よかさが
芽生えて来てます。
油通しでこんなに味覚が変化して来るとは
驚きの一品でチリ酢の酸味がピタッ嵌りました。

④鮑の蒸し鮨

しっとり鮑の身質の旨味としなやかさに
舌が溺れてしまいたいという思いが強く残る
鮑の美味さが絶妙です。
ん、堪らんなこれは。
日本酒がつい、進んじまうのです。
その絶品鮑の下に潜ませてあるのが
肝で和えたコク深い蒸し鮨です。
其処に
穏やかな銀餡を掛けて
もってのほか菊がアクセントに添えられてます。
餡の落ち着いた佇まいと
肝のコク深さが馴染みあって
品の良い肝の味わいが酢飯に滲む良いお味へと
昇華しておりました。
鮑の肝の旨味を存分に生かした一品に
舌が感動して悶えております。
切れ味の澄んだNOTOをお迎えして
お酒と鮑と肝のマリアージュを楽しませて
頂きました。

◉NOTO

⑤子持ち鮎の唐揚げ

郡上八幡の子持ち鮎をガッツリ唐揚げ
ダイナミックかつ激流を這い上がって来た
野性味を感じる子持ち鮎
卵ぎっしり煮詰まって腹がパンパンに
膨れ上がってる鮎で
こんだけ卵で腹が塞がってると
食べ応え感が半端なく口内で炸裂
ガブッと噛んでサクッと
鮎が皮目を返して来て
其の儘グサッと噛んで腹を引き千切ると
ボロボロ〜ッと玉子が口内に散乱する。
その玉子が散乱していく時の快感が
忘れられなくなりますね。
子持ちの鮎料理はこういう風に
ポテンシャルを引き出すものだと言う
お手本のお料理みたいなものです。

もう、ガムシャラに齧り付き
尾鰭も腹鰭も背鰭も塩が馴染んでて
カリカリと貪り尽くし
腹にいっぱい詰まった玉子も歯で引っ掻き回し
ボロボロに腹から掻きむしる様に食い尽くし
尾鰭に食らいついた後に尻尾をボリボリ破砕して
食べ尽くす
跡形残さず綺麗に全部を抵抗感なく貪り尽くせる美形と唐揚げの衣の中でピチピチに蒸された
玉子と白身とハラワタとの一体感が走る美味さは
抱腹絶倒ものです。
此奴はたまげた美味さにて
衝撃的にダイナミックな鮎に満面の笑みで
お応え致しました。

⑥八寸

重陽の節句に因んで菊の花とリンドウの飾り付け
小鉢も菊の模様を散りばめて雅な盛り付けです。
菊模様の手毬の陶器には
柿なます

緑色の菊の葉皿には
エリンギの唐揚げ
銀杏の素揚げ
丸十の栂尾煮
煮蛸

黄色い菊模様の葉皿には
戻り鰹の漬け浅葱添え
秋鯖の辛子黄味酢添え

揚げ物を2種類お盆の上に
生のばちこ天麩羅
玉蜀黍の掻き揚げ
紫頭巾は丹波の黒豆の紹興酒漬け

円筒状の器には
菊菜となめこの白和え
胡桃のローストを塗して

水鳥を模した蓮華の器には
昆布で締めた伊勢海老
長芋を煎じたもの
もってのほか菊
岩茸
酢橘の割醤油で仕上げてます。

何時も乍らホトホト感心してしまう八寸
手間暇掛けて丁寧に飾り付けを施し
誠に雅な美観にも感心してしまいます。

この季節に相応しいお花に
旬の素材を散りばめ乍ら
重陽の節句を象徴する菊の飾り付けに
食用菊も添えての八寸に
ホトホト感無量の境地に至ります。
この姿を愛でるだけでも貴重なひと時と
感じます。

そして一品一品が見事にお酒のアテとなっており
塩味をほんのりと味わえて美味しい銀杏から
舌をしっぽりと労る白和えが優しくて
滋養を頂ける伊勢海老や秋鯖のピリッと辛味を
効かした後に甘酸っぱく攻めて来る鰹にも
舌が唸り続けます。
玉蜀黍の天麩羅をプチンと潰すと
ジューシィに糖度豊かな甘味が口内に迸り
お口を甘くしてかと思うと
今度はばちこの揚げ物で塩っけを漂わせる
緩急を付けた多様な味覚の踊り子たちに
迷い惑わされてこれらの味わいに溺れてしまう
至福のひと時でありました。

◉伯楽星

⑦太巻きとガリ

赤身の漬けを山葵和え
中トロは煮切りで
すき身はべったらと胡麻で和えて
胡瓜の細切りと一緒に巻物にしました。
太巻きにガリを乗せて全部ご一緒にパクッと
頂くのがこの太巻きの醍醐味でもあります。
目まぐるしく鮪の甘味や酸味に加え
赤身の芳しさが入り混じった味わいと共に
べったら漬けの少しねっとり感も
良い感じで酢飯にも絡まってくるし
多様多彩な味覚の展覧会的な巻鮨に
現を抜かしてしまいました。

⑧お口直し

フォアグラムースと
マンゴーと
パッションフルーツと
シャインマスカットの最中

定番中の定番
フォアグラ最中発祥地はしのはらさんとか
言われてますが
笑顔でニコッとして手渡すカタチを
定型化したのはしのはらさんかも知れないと
数年前を思い起こしてみました。
何にせよこのスタイルのお口直し
楽しさと美味しいが最中に詰まってるところが
面白いですよね。
此の儘ズ〜っと続いて欲しい一品。

◉神指蔵

⑨焼き鼈


粉山椒
青万願寺唐辛子

しのはら特製甘だれを浸しては
炭火で焼いて
少し焼き上がるとまたタレに浸してを
繰り返しながら
じっくり焼いてます。

手で取って食べてください
お絞りをお取り替えいたします、との
大将からのお言葉。
お達しの通りに
ガシッと手掴みしてガブッと噛んで
無邪気な勢いで貪り尽くします。

更に追いだれを所望して
たれのコクをたっぷりと感じながら
貪るのであります。
骨の髄までしゃぶり尽くすとはこの事。
肉片を全部舐め舐めして綺麗に
小骨のみが残りました。
甘だれもコクの深い味で鼈にドンピシャに
寄り添って来る。
この旨さは比類無きものですね。

⑩無花果の胡麻味噌焼き

ジワッと蒸した無花果に
焼いた胡麻味噌をしっぽりと被せて
無花果のジューシィな甘味を堪能する一品
しのはら大将の得意料理にてスペシャリテ
こんだけ純粋に無花果の甘味を温かく穏やかに
余す所なく持てる本来の甘味を遺憾なく発揮して
繊維質を破壊せずにただ只管蒸しただけのお料理
無花果の素材感が全ての味覚を支配して
更に蒸した名残汁をギュッと煮詰めて
胡麻味噌を伸ばしてます。
胡麻味噌の中にも無花果のエキスが入ってるので
甘味同士が綺麗な共鳴を奏でるのだと思いました。

◉山形 正宗

⑪鍋物

淡路の鱧
岩手の久慈の松茸
お出汁は銀杏の擂り流し
梅肉

所謂鱧松の土瓶蒸しの変わり種とでも言えば良いのでしょうか
こう言う風にしのはら料理は季節感を大切にしながら旬の食材とどの様に向き合うかに
最適解は何なのかを見出して観客の舌を
喜ばす努力を惜しまない所が好感を持てます。
秋の料理としては定番の鱧松の装いに
銀杏の擂り流しをお出汁代わりにご用意です。
この擂り流しの何とサラサラな
味わいでコク深さを寄せて来るお出汁
なのでしょう
その銀杏の風味を寄せた擂り流しに
鱧松の旨味がジワァッと写し出され
擂り流しの表情がうま味がまどろむ
ほっこりとして舌を慰めるかの様な
和やかな味わいに変わって行きます。

この鱧松のお鍋は土瓶蒸しでもなければ
単純な鍋物でもなく
まさにしのはら料理の真骨頂とも言える
鱧松の進化系を創り出しているお料理と
感じました。
しみじみと秋味の穏やかさを佇ませてる中に
鱧松の旨味を共演させた味わい深い一品。

⑫牛タンの炭火焼き

牛タン
チリ酢
南蛮味噌
山葵

牛タンは炭火焼きの分厚いのが4枚も重ねて
お皿の上に盛り付けされてます。
コレが結構ガツンと来る旨味を主張して来た。

じっくりと炭火で焼かれた牛タンは
外回りが真っ黒に焦げて中は涎が落ちそうな
綺麗なロゼ色に輝いております。
一切れお箸で挟んで見ますと
見紛うほどの厚みのある肉片に興奮
炭火でじっくり火を入れた牛タンは
脂が適度に飛ばされて
肉の旨味がしっぽりと凝縮されており
そのスライスされたロゼ色のタンは
咀嚼するとプリンと揺れちゃうくらいに
とても柔らかくてタンの旨味を発散する
その牛タン様一切れに南蛮味噌を付けて
齧ってみます。
優しい肉感が纏い
タンの旨味がジュッと浮かび上がり
南蛮味噌の甘味がタンのしなる肉質に
甘える様に甘美な味覚を膨らませていました。
此れは何切れも食べたくなってしまいますね。

⑬氷鉢

福井 丸岡在来種の10割
鶉の卵黄をお月見に見立てて
長芋とオクラのたたきを浮かばせたものの
真ん中に盛られてます。
カエシの効いた蕎麦つゆ

写す姿は夜空に浮かぶお月見様を見立ててます。
丸岡らしい鶯色のお蕎麦は
喉越しと言い麺の斬れ味と言い
お蕎麦の表情がキュッと引き締まっていて
ツルツル〜ッと軽快に喉元を滑って行きます。
氷の器の効能が発揮されてますね。
蕎麦のコシが締まったままツルツル感が
全く間伸びしないし
シコシコ食感が保持し続けるので
麺自体の美味しさが最後まで続いて
蕎麦の鮮度も落ちません。
喉越し爽やかな一品です。

⑭お食事

松茸ご飯
飛騨牛時雨煮
新イクラの卵黄醤油漬け
泉州水茄子 振り塩を施して

岩手の久慈の松茸をわんさか絨毯敷き詰めてます
炊き上げる前からドサドサッと
松茸を土鍋に盛り込んでの炊き込みご飯

炊き上がったホクホクの松茸ご飯は
鍋蓋を取った瞬間にフワフワァンと
気高く香るわ匂ひが散るわでうっとり

その松茸ご飯に
振り塩パラパラとされてからお手元に届きます。
松茸薫る口福ご飯を噛み締めます。
お隣には旨味たっぷりと含んだ時雨煮
時雨煮の甘味が何とも穏やかな味にて
此奴をご飯と一緒に食べますと
松茸ご飯のお供にピタッと照準を合わせて来る
妙味に舌が震えちゃいます。

更に2杯目を白ご飯でお代わりして
イクラの醤油漬けご飯にすると
プチンと弾けるイクラから塩味の効いた
卵の粒感漂う可愛い甘味が飛んでくるし
珍味と甘味が行き交い
其々が味覚の持ち味を出し切って
何方も個性豊かに味わいを深め合っている
そんな美味しさがいっぱいに詰まった
しのはら特製秋味定食となっておりました。
此れは堪りませんね〜。

⑮甘味

栗きんとん
お薄

2021/12/19 更新

20回目

2021/07 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

彩り鮮やかに鬼灯が初夏の元気を讃えて紫陽花が爽やかに涼風を靡かせるしのはら料理を満喫致しました

◆2021.7.3(土)夕餉

◆お料理 お任せ¥33,000
お酒消費税含むお会計¥42,000

◆予約
7ヶ月前にお電話で予約

⓪香煎茶

煎茶用の小椀で供される最初のお口慣らし
ベースは昆布茶に
紫蘇昆布がほんのりと佇んで
香りを楽しむ癒しの一口となります。
お腹もホッと慰められて幸せに
この始まりのお口慣らしが好きです。

銘々に配置された折敷には
利休箸が置かれてます。
箸置きは茶懐石の流れを汲んでご用意無し
折敷の片方に端先が掛けられる作法通りの
ご用意となります。

①先付

120年もののバカラの器に
七夕に因み五色の糸と梶の葉が和紙のお返しに
添えられてあしらって有ります。

遡る事平安時代の頃より
七夕の時に和歌に願いを込めて書くのは
短冊では無く
梶の葉の裏側に朱色の筆で書いていたとの事。
しのはらさんの先付には
関連付けてのお料理に風情を感じます。
先付の飾りについてのお話は
毎月四季折々に触れる古式ゆかりの習わしを
ご紹介頂ける楽しい日本史の授業となり
日本料理の伝統をお教え頂く貴重なお時間となり
何時もワクワクしながら大将のご説明に聞き入ってしまいます。

今月は七夕に因み
お客様のお願い事が叶うように
梶の葉と五色の糸が
バカラの器に雅に飾り付けられております。

雲丹
蓴菜
胡瓜
つぶ貝
胡麻豆腐
お出汁のジュレ

蓴菜のヌルヌル感
胡麻豆腐のモチモチ感
つぶ貝のコリコリ感
この素材たちにジュレの酸味を纏わせての
スッキリ爽快感
雅に舌をしのはらワールドに惹き寄せる一品
いつもながら古式伝統のお話を聞きながら
心静まる和空間に我が身と舌を置いて
少し凛とした空気感が流れながら
雅な味覚に舌を打ちつつ
その鮮やかな妙味の構成に
うっとりしてしまうのは
私だけでは無いかと推察致します。

②生姜を使った丸仕立てのお椀

椀種は赤甘鯛
椀づまは賀茂茄子
吸い口に白髪葱

お腹を元気に癒して温めてもらおう
と言う趣旨から
生姜を使った丸仕立てのお椀です。
生姜の爽やかな香り付けが吸い地に写り
鼈のうま味が良く引き出されてる椀盛

丸仕立てのうま味に生姜風味が整えられて
コク深いうま味が爽やかに舌に響いて来ます。

賀茂茄子の香り感じさせるエキスが吸い地に流れ
焼き茄子のほろ苦さを感じさせる妙味が
地に浸って吸い地のうま味を吸っており
其れがまた味わい深くジ〜ンと
舌を悩まして来ますね。

そして夏の甘鯛は
淡白な甘味が丸仕立ての吸い地に浸りながら
鼈の滋養を取り込んでる様に感じます。
お椀にぷかぷかと浮かぶ純白の甘鯛からは
滲み出る旨味が吸い地に写って
昆布のうま味を深掘りしてます。
甘鯛はしっとりと膨よかさが滲む味わうに足る
白身がホロリと椀の中で崩れ落ち
その傍らを箸先で弄りながらお口に含みます。
すると、柔らかく滑り感が舌を襲い
お丸の淡いうま味が甘鯛を穏やかに纏い
白身に気品溢れる美味を演じさせていました。

◉みむろ杉

③お造り

三重のマゴチ
伊勢海老の洗い
境港の黒鮪 中トロ
花付き胡瓜

ネギポン酢
土佐醤油
山葵
昆布醤油の煮凝り
酢橘

マゴチがこんなに楽しいとは思わず
新鮮な食感を味わえました。
透明感のある白身ほ淡白な味わい
ネチッと柔らかく昆布醤油の煮凝りとの
相性が良かった。

流石の伊勢海老様です。
ポン酢でも山葵醤油でも
バッチリその鮮烈な旨味が薬味を凌いでますが
伊勢海老の美味しさをそっと
優しく持ち上げてます。
伊勢海老を咀嚼してると鮮烈なプリプリ感が
先走ったかと思うと
ネチっと歯に抱きついてきて
舌にも其の儘反発して来るし
vividな食感と
甘ったる〜く蕩ける感じが口内に溢れる
伊勢海老の美味しさは衝撃的なほどに
食べ応えのある旨味で
余韻をくっきりと残して行きました。

そして〆に頂くのは何時もの中トロ
鮪の質感が1年間ブレなく安定して頂けるのは
仲買との信頼関係が
確立しているからなのでしょう。
しのはらさんの鮪は有名鮨店に負けず劣らずの
脂質がサラリと乗って爽やかに舌を撫でる赤身
その身質のしっとり感は落ち着いており
堂々と鮪らしさを振る舞う逸品にて
此奴は昆布醤油の煮凝りのうま味を合わせて
頂くのが最高の味覚の演出かと
何時も思ってしまいます。

④鯛とキャビアの飯蒸し

蓮の葉が大きく広がります。
中には
蓮の実
キャビアを藁で燻したもの

餅米

蓮の葉に鎮座する一品をジッ〜と眺めていた
しのはら料理の嬉しくなる一面を垣間見つつ
お料理の美学とも言えるカタチが視覚に入る
その季節季節に旬の素材を整えてカタチ作る
この工芸的な美観を備えた料理構成こそ故の
しのはら料理の醍醐味が心地良く響くと思う
視覚野にビビッと鮮烈な絵図が眼球に差込み
その美しさに
うっとりしたり
ホッとしたり
鮮やかさに目を奪われたりして
その一点から美味たちのイメージが脳内に
伝達して口が感じる前にシナプスが美味を
捉えて素材の味覚を知らしめることとなる
故に想起していた以上の美味しさを
時として感じ食する欲望を掻き乱す事と
なるのでしょうね。

餅米のモチモチする食感が甘味に寄り添う
薫香漂うキャビアから仄かに染み入る塩味
mogmogする中でフワッと浮き上がる鯛の
淡白な甘味が静かに餅米と同居して佇んで
初夏を涼しげな美味たちが走り抜けて行く

◉日高見

⑤焼物


蓼酢

来ましたぁ
本日のメインイベントとも言えます
鮎の食べ比べがご登場です。

演出効果も抜群に感動ものでした。
インスタ映えの言葉がピッタリ当てはまる様な
光景が眼前に広がります。
琵琶湖の成魚は囲炉裏に炭火を立てられて
串刺しの姿で周囲に鮎を配置
囲炉裏焼きの熾火がパチパチと鳴ってのご登場
此れは楽しい!
琵琶湖育ちと長良川の川育ちの
両方の鮎をムシャムシャと食べ比べして見ますと
何方が美味しいと言う訳でも無く
囲炉裏焼きの印象が強かった所為か
琵琶湖の鮎の方が美味しかったかなと
感じてました。

琵琶湖の鮎は湖に住むプランクトンを食べて
育ちますが川で育つ鮎と違い
サイズは小さいまま
逆に川魚の鮎は綺麗な苔を食べてるので
魚っぽさの匂ひ等が無くて美しく育つとの事

琵琶湖鮎は頭からガブッと噛んで食べると
小骨感が殆ど感じずワタもほんのり甘い感じで
鮎のふっくらとした旨味が
いっぱいに広がります。

逆に郡上八幡の鮎は
カリカリに焼かれて
少し小骨感を感じるもバリバリと齧り付いて
やや野性味を帯びた躍動感のある美味しさで
ワタの苦味が鮎全体に纏う美味しさで
舌を攻めて来ます。

この食べ比べの醍醐味はこの時期だけのもので
夏場に何時も食べ比べさせて頂き
感謝の二文字しか思い浮かびません。

そして鮎料理に欠かせない蓼酢
この蓼酢にも一工夫してあるのがしのはら流
お米を炊いて米粒を蓼と一緒に擂り潰して
酢で溶かしてペースト状に優しい蓼酢に
仕上げていらっしゃいます。
蓼酢が鮎に絡みやすい様にもなりますし
舌にも酸味が米粒で和やかに宥められて
鮎をソフトな酸味で纏います。
この鮎比べにて
味わいの違いを楽しむ鮎料理を
堪能させて頂き口福感いっぱいで
満足度の高い一品を頂きました。

◉一白水星

⑥八寸

お盆の時期が近づいて来ましたので
鬼灯尽くしに紫陽花を添えての
フラワーアレンジメントです。
鬼灯の中には何が隠されてるのかも
興味をそそって来ます。

合鴨の蒸しロース
玉蜀黍の掻き揚げ
焼き茄子を生ハムで巻いた物
胡瓜に大徳寺麩
クラゲの酢の物
車海老の酒盗焼き
無花果の胡麻ダレ掛け
山桃

あと2種類ほど残して説明を締めて
後は食べてみてからのお楽しみとのお言葉
流石に大将も7月メニューは
本日で未だ2日目との事にて
鬼灯に隠されてるもの全ては難しい様です。
ただ此れがまた愉快なハプニングで
お客様との会話が弾んでしまうやりとりも
発生して楽しいひと時となるんですよね。
こう言うのが良いですよね〜。
少しお時間たって思い出しました、
との事で残り2品は

蛸の炊いた物
トコブシ

と判明いたしました。

しっとりと蒸し上げた鴨ロースの肉質は
舌にしっぽりと抱きついて来て
その食感と甘美な旨さに舌が
惚れ惚れしちゃいますね。
この鴨ロースは
しのはら八寸の定番になってますね。
その後に玉蜀黍の粒がプチンと鳴って
歯に挟まり潰れる中からジュワンと甘いエキスが
零れ落ちる
玉蜀黍の糖度豊かな甘味が広がる
何が隠されてるか分からないので
鬼灯を開けた順に食べるしか無いですが
其れが中々愉快です。
先に温かいものからと思っても
中々当たらず
車海老の酒盗焼きを何とか探り出して
酒盗の香りと塩味が程よくプリプリの
車海老をコク深い旨さに仕上げてました。
この辺で一休みしようかと
無花果を探すが見つからんぞ
逆に蛸とトコブシに当たる
此奴をシコシコ、コリコリと噛んで
海の幸を堪能
蛸がヤバいくらいにホンワカ柔らかい
歯にクネクネする感じで蛸の甘味が飛んできた。
やっと無花果発見!
ん〜、胡麻の甘味がよく馴染んだゴマだれと
無花果のジューシィな甘味のデュエットは
此れだけでご馳走ですね。
お酒も進み酒のアテもたんまり食べた後の
無花果をサッパリとジューシィに
舌をリセットして
いざ、後半戦へ臨みます。

◉勝駒

⑦鮪のすき身とべったら巻き

今月は太巻きでは無くて
鮪とべったらの海苔巻きを手巻きで

夏鮪になりますと確かに脂質感も
サラサラと優しくなりますから
べったらとの相性がいい気がします。
お海苔の風味を味わいながら
ムシャムシャと齧って楽しくなる一品に
舌もご満足の様でした。

⑧フォアグラ最中

今月の最中は
フォアグラムース
パッションフルーツ
アメリカンチェリーの組み合わせです。

何時もながら月変わりのシリーズ最中
毎月の楽しいお口直しを
楽しませて頂きました。

パリパリの最中生地を割く食感が
弾む心地良さと
フォアグラムースの耽美な甘味に加えて
今月は果実味溢れる甘さとチェリーの
酸味がアクセントとなる組み合わせが
多面的な甘味を作り出して愉快な味覚
この一品で後半戦への舌準備が整います。

⑨炊き合わせ

吉野葛の煮物椀

冬瓜
万願寺青唐辛子

⑩焼き鼈 粉山椒

手で取って食べると美味しいんですよ
食べた後は
お絞りをお取り替えいたします
とのお声掛けに従い
ガシッと鼈を手掴みしてガブッと噛んで
無邪気にも勢い良く食べ尽くします。
骨の髄までしゃぶり尽くしました。
残った肉片を全部舐め舐めして
綺麗に小骨のみが残りました。
甘だれもコクの深い甘い味で鼈にドンピシャ
寄り添って来ます。
この旨さは比類無きものと感じます。

⑪鍋物


糸海蘊
オクラ
おかひじき
葛餡
ちり酢

お出汁の鍋の中にドサっと
おかひじきを投入してます。
サッと炊いたおかひじきを引き上げて
お椀に小分けされて他の具材と合流します。

鮑の絶妙なコリコリ感が歯に心地良く響きます。
おかひじきがサラリとして繊維感を口内に広げて
ちり酢の酸味が鮑の甘味を
クリアにして甘酸っぱさを散らします。
其処にオクラをチョコンと齧ると
粘り気のある繊維がビヨンと伸びて来て
ネバネバ食感が嬉しくなります。
その粘り気と吉野葛の餡の瀞みが合流
此れまた楽しいうま味がゆるりと舌を纏って
妙味を膨らませてくれるのです。
んん、ホッと安堵感が広がり
穏やかに舌を労ってくれるいい鍋物だわ〜。

◉田酒

⑫牛タン炭火焼き

牛タン
南蛮味噌
お醤油
山葵

かなりの長時間にわたり
焼き場で牛タンの肉塊に火を入れてました。
何牛?と聞きたくなりますが
牛タンには銘柄は付いて無いのが通常との事
じっくりと炭火で焼かれた牛タンは
外回りが真っ黒に焦げて中は涎が落ちそうな
綺麗なロゼ色に輝いております。
一切れお箸で挟んで見ますと
えっ?牛タンってこんなに分厚かったっけと
見紛うほどの厚みのある肉片に興奮
この身厚な牛タンを齧り付ける幸せ
炭火でじっくり火を入れた牛タンは
脂が適度に飛ばされて
肉の旨味がしっぽりと凝縮されており
そのスライスされたロゼ色のタンは
咀嚼するとプリンと揺れちゃうくらいに
とても柔らかくてタンの旨味を発散する
その牛タン様一切れに南蛮味噌を付けて
齧ってみます。
優しい肉感が纏い
タンの旨味がジュッと浮かび上がり
南蛮味噌の甘味がタンのしなる肉質に
甘えさす様に甘美な味覚を膨らませていた。
此れは何切れも食べたくなってしまいますね。
牛タンのダイナミズムを頂きした。

⑬冷たい酢橘蕎麦

福井の在来種である丸岡の蕎麦粉を
ご使用の十割です。
丸岡らしい黒味のある鶯色のお蕎麦は
喉越しと言い麺の斬れ味と言い
素晴らしく
お蕎麦の表情が引き締まっていて
絶品の喉越し感がつるつる〜っと
走り抜けて行きます。
氷の器の効能が発揮されてますね。
蕎麦のコシが締まったままツルツル感が
全く間伸びしないし
シコシコ食感が保持し続けるので
麺自体の美味しさも全く劣化しません。

そして蕎麦つゆも鰹出汁のコクの効いたまま
氷が溶けて薄くなるのかなと思いましたら
そんな事は無くて
食べてる間にそんなに溶けていく事は
無い見たいです。
氷の器の楽しさが最大限活かされてる酢橘蕎麦に
感銘致しました。
この一品は夏に涼風を佇ませる名作です。

◉飛露喜

⑭お食事

本日のお食事はお供が沢山お付き合い頂く
賑やかで豪華なしのはら定食
小鉢も華やかに咲き誇って
とっても楽しい雰囲気に囲まれてます。

白ご飯
鰻の柳川鍋
水茄子
牛の時雨煮
シラスとお海苔

鍋肌は相当熱そうなので
手が触れない様にお気を付けてとの
ご注意があり
鰻の柳川を少しお箸で摘んで
ご飯の上に乗せます。
同じ様に牛時雨とシラスにお海苔も
白ご飯に全部乗せしてご馳走が完成

全部乗せご飯の用意万端整った所で
一気にご飯を掻き込みます。
ウ〜ンめぇ、
もう天国天国、美味しい衝撃が脳内を
ドキューンと突き抜けて激うまうまが
脳味噌を連打しております。
鰻のふっくらと焼かれた絶品の美味さと
柳川の慈の味わい
牛時雨の甘味も
白子の塩味も白ご飯を
程良く引き立てて居る
彼方此方から清くも無く
正しくも無く
兎に角
色んなのが渾然一体となる美味しい味覚が
飛んでくるんです。
もう、この目まぐるしく幾重にも重なり合う
妙味に翻弄されっぱなしなのが
断然嬉しくなり舌は無邪気に喜んで
その美味の渦の中に飛び込んで行きました。

⑮甘味

能登大納言の水羊羹
お薄

2021/10/05 更新

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