miti4134さんが投稿した新ばし 星野(東京/御成門)の口コミ詳細

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新ばし 星野御成門、汐留、新橋/日本料理

26

  • 夜の点数:5.0

    • ¥60,000~¥79,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 4.9
      • |酒・ドリンク 5.0
26回目

2025/11 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.9
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

秋の名残を漂わせながら旬の冬料理を研ぎ澄ましてあしらう至高の日本料理。

■訪問日 2025.11.21(金)20時半〜23時

■お料理 お任せ¥55,000税込
お酒含むお会計¥79,800税込

1.先付

◉胡麻豆腐の白味噌仕立て
◉和芥子

新橋駅よりテクテクと寒空に身を晒して
心身ともに冷えてる所を暖かく山利様が
白味噌でお出迎えは素直に嬉しさが募り
心温まるほっこりの一品に舌も喜びます。

白味噌だけで溶いた汁の瀞みが舌を慰め
この甘美でまったりとする白味噌の味は
つくづく心身ともに癒してくれるもの。

この寒空の中で温かみのある先付は嬉しい
おもてなしです。
星野さんの自家製の胡麻豆腐は煎りたての
胡麻をたっぷりと練り込んでありますので
お豆腐生地を含んだ瞬間に漂う香ばしさが
途端に口内に拡散して先ずうっとりします。
それからやや興奮気味の舌で山利の白味噌
まったりと味わいそして胡麻豆腐の甘味も
プヨンと揺れる様が嬉しい食感と共に舐め
多様な嬉しさが味わいを深めてくれる味の
白味噌や胡麻豆腐に感嘆しまくってしまい
先付から喜びの一品で満たされました。

2.お凌ぎ

◉海鼠腸の飯蒸し

最高の飯蒸しです。
蒸し加減と言い餅米の粒感も温感も
パーフェクトなのです。
その餅米に海鼠腸珍味がジワァッと
味覚の蓋を被せてくるのは酒が進む。
手始めに海鼠腸だけを咀嚼しちゃう。
海鼠腸珍味が舌を誘惑して堪らない。
次に海鼠腸とご一緒に飯蒸しを頂く。
飯蒸しがしっくりしてモチッとする
米粒がいい塩梅で歯に絡んで来ます。

やはり何と言いましても海鼠腸との
珍味の相性が餅米をこよなく美味に
押し上げて舌を魅了して来ますね。
このトロ〜ンと舌を撫でて来る珍味
この美味しさには抗う事は能わずと
痛感して完敗に喫する事と相成り候。
食べ切った後の不思議な余韻もまた
とても良い感じで後を引いて来てて
その余韻だけでもう一杯とお猪口が
進んじゃいました。

お腹を仄かに満たして空きっ腹を
落ち着かせてくれる珍味の一品に
感謝で胸がいっぱいになりました。

◉飛切りを御燗で

3.根芋の吉野煮

◉根芋
◉炒子出汁
◉吉野葛
◉生姜

定番中の定番料理となります。
京味系のDNAを受け継ぐ代表作とも言える一品
素材同士の合わせ技が見事に開花している作品。
根芋のアクを丁寧に抜いた後で
煮干しのお出汁をコトコト含め
吉野葛と共にゆるりと直炊きし
小鉢いっぱいの根芋の天に生姜

この何とも慎ましやかな根芋を滋味深く
味わう幸せに出会える喜びを舌で直感し
生姜が香り高く根芋のトロリとする瞬間
ピリッとピュアな刺激を走らせて嬉しい。

この穏やかな蕩ける食感が及ぶ根芋から
温感伴う和みの繊維質が舌を労り慰める。
ツンと来る生姜風味の刺激的な囁きに
舌がうっとりして頷き乍らほっこりと
漂う味覚に癒され舌が和むのは嬉しい。

里芋の茎みたいな味気ない食材まで調理して
斯様な美味しい料理にて仕上げてしまう所が
京味料理の真骨頂なのかなと感じる一品です。
その京味の系譜を引き継ぎつつ星野流に整え
更にそのお料理を昇華させて行く星野料理の
極め方に感嘆してしまう。

此の吉野煮のお料理はお出汁との向き合い方で
どう言う色に根芋が染まるのか味の出し方には
多様な趣きの繊維質を味わえる一品となります。

吉野煮の葛の餡掛け自体がとても優しく舌との
触れ合いを引き出していてまったりと安堵する
味を堪能させてくれます。
根芋は舌の琴線に染み入る優しい味覚が訪れて
妙味を作り出しているものと感じます。
最後の一本を食べ切った後に残る余韻にもまた
ほっこり喜びが続くお料理である事が楽しい。

4.蟹料理

◉香箱蟹 津居山 雌
◉津居山蟹の鋏と脚 雄
◉津居山蟹の解し身に蟹ミソ乗せ

津居山の蟹の雄雌両方を取り揃えて
見事な豪華な装いで繋ぐヒトサラの
美味を蟹料理で頂きます。
津居山にて浜茹でされた蟹様を直送
店内で再度温め直して浜茹で状態と
変わらない味と食感に復元させてて
実に細やかな配慮を見せてくれます。

先ずは雌の香箱蟹に箸を付けてみます。
此方の香箱蟹は何と1.5杯分もの身を
ご用意して美観を整え華麗なる味覚の
舞を見せて頂きます。

香箱蟹をサーブする直前に蟹酢をかけて味を
整えて香箱蟹のポテンシャルを高めてます。
故に香箱も脚も鋏も更には蟹味噌迄もが鮮度
抜群に活性化されたうま味と言うか甘味等が
蟹の身肉から生き生きとしてシャリッと響く
食感の潔さが歯にビンビン伝わって来ます。

香箱蟹は勿論外子やゴロゴロ散らばる内子に
たっぷりの蟹味噌がまったり掛けられ味噌の
珍味に纏われた内子の甘味が冴まくるもので
外子と内子の真下に佇む解し身が肌理細かく
ぎっしり詰まってて食べ応え感旺盛に甘味を
口内に撒き散らしております。

一方で外子が山の様に積まれ何処を穿っても
繊細にプチプチ感が弾き飛んで小気味の良い
食感が響き渡ります。
その充満するプチプチ感と沢山の外子たちが
お口の中を駆け巡る快感にクラクラッとなり
目眩を起こしてしまいそうになります。

更には

浜茹でされた津居山の蟹から新鮮な香りと
蟹自身に染み渡る滋味がシンシンと注がれ
その旨味を味わう度に抱腹絶倒致します。

鋏も脚も身がギュッと詰まっており箸先で
突くとスルスル〜ッと殻から抜き取る事が
簡単に出来てしまいます。
殻から剥いた茹で蟹の身から甘味が鮮烈に
広がりめちゃくちゃ美味しいのである。
蟹の身が舌に着地する度に甘美に踊る味に
舌が抱かれその蠱惑的な抱擁感にときめき
ワクワクしてしまいます。

そして蟹三昧の締め括りは味噌たっぷりに
注がれた解し身とのコラボ作品で蟹味噌と
解し身を優しく和えながら頂きその甘味と
味噌珍味に舌がうっとりし乍らも戯れ合う
味覚の心地良さを満喫させて頂きました。

◉甲羅酒

香箱蟹を頂いた殻で日日を注いで頂いて
甲殻風味がフッと鼻腔を掠める甲羅酒を
楽しませて頂きました。

5.蒸し物

◉炭火焼き雲子入り茶碗蒸し

優しく蒸した茶碗蒸しの玉地には
振り柚子で柚香を添えております。

素晴らしい無洗雲子なのです。
その一口舐めた途端に舌にビビッドな
瀞みと共に途轍も無く円やかな珍味が
口内に満ちトロ〜リ身溶けする雲子の
悩ましさに舌が溺れてしまいます。

白子の熟れた口溶け感が常に留まって
玉地のうま味に包まれながら戯れます。
これがとても通常の鱈の白子なのかと
想像を超える艶やかな蕩け感が舞って
こんな美味な雲子が世の中に有ったと
改めて感嘆する事仕切りなのでした。

相当な上物上質な雲子にてその粒子の

きめ細やかな事
クリーミィな事
甘美なる味わい

喩え難しと痛感する味覚でず〜ッと
舐め続けていたい思いに駆られます。
玉蒸しと一緒に頂きつつ雲子からの
温和な温もりが歯も舌も包み込んで
陶酔感を呼んで来ます。
そしてこの玉蒸しの温感と飛切りの
燗酒の温度とがピタリ寄り添うので
うぅ〜旨すぎる仕掛けに降参でした。

6.揚げ物

◉富田林の海老芋の唐揚げ

粉質感の詰まり方が富田林産は違うと
つくづく思うので有ります。
調理は甘く炊いてから揚げられる様で
海老芋の甘味が伸び身のしっとり感が
大変募る美味さが美しく広がる海老芋
となります。
斯様な海老芋に出会える幸せはまさに
至福の味覚と思えるので有ります。

見るからに美しく可憐さを感じる海老芋
海老芋と言う素材の無ポテンシャルから
全てのチャームを極限にまで膨らませて
見事なまでに海老芋の粉質感を穏やかに
炊き上げつつ芯の力強さは失わず歯心地
抜群にしっとりと絡み付く耽美な味わい
噛む度に葛粉の細やかな粒子が飛び交い
海老芋の甘味に花を添える香ばしさとの
触れ合いにうっとりしてしまいます。

ど真ん中だけをくり抜いてる海老芋の唐揚げ
きめの細やかさが裏漉ししたような粉質感が
口内に幸せな味覚を留めております。
信じ難き海老芋からしっとり感がサラサラで
クリーミィなくらいに舌に絡み付いて来ます。
その品格が行き交う甘味の美しさにうっとり。
お箸でサクリ海老芋の身を摘みますと素直に
柔らかく自然に抵抗感無く割れて来るのです。
とぉっても細やかなお芋の質感に舌が喜んで
咀嚼の度に口福が訪れる実感を頂きます。

もうね、ここまでくると芸術品なのです。
素材の持てる本領を発揮させ引き出す力
味わいをとことん追求し研ぎ澄ます技術
それらが複合的に絡み合いつつ育まれる
味わいの深さが舌に沁み入る時の陶酔を
導いてくれるのです。

海老芋を撫でてるとジワジワ滲んでくる
咀嚼してるとフワフワと浮き上がる味覚
撫でていると揺ら揺らして舌が迷い込む

星野大将の手により味覚が研ぎ澄まされ
味わいがどんどん深まって行く口福感を
舌で実感する事が出来ました。

7.お造り

◉明石の鯛

お皿の上には
鯛の身の表裏を頂ける口福の味に舌が喜んでる
山葵醤油でも
山葵を切り身でクルクル巻いても
その膨よかな肉感がお口の中で身悶える
しなやかに身が反発して噛み応え感が
気持ちよく歯に響いて来る
淡白な甘味が山葵に刺激され旨味に激変する

明石の大海で激流の中を生き延びながら
その身を捩らせ乍ら必死に泳ぎ身を鍛え
身をキュッと厳しく凛々しく鍛錬されて
故に引き締まった身質が完成されながら
その身を咀嚼した途端にしなやかな身が
捩れる様に歯応えを心地良く募らせる。
肉感が迸り身を踊らせて舌が唸りますね。

更に咀嚼して行きジワリその身は
淡白な旨味と共に身質がトロンと
艶やかに解けて行きモチッとした
食感を潤わせて肉肌が妖艶に舌を
抱き込んで仕舞います。
この明石の鯛の身肉のしなやかさ
淡く佇む麗しく透明感溢れる旨み
鯛の秀逸さを物語るに十分なもの
流石は明石の鯛と思わせるものと
感嘆させて頂きました。

8.珍味

◉自家製唐墨

お酒のアテに優しい気遣いを頂く
ボラがとても綺麗に洗われてます。
故に干し加減が秀でており上質な
仕上がりに見惚れてしまいます。
しっとりと舌に絡む様子の珍味度
舌に蕩けて来る艶かしさは格別で
堪らない酒のアテで有ります。
お酒をクイッと煽っちまいました。

9.丸鍋

◉服部中村養鼈場の特丸の鼈
◉長葱
◉新橋 新正堂でついてもらったお餅

鼈の鍋物に顔を近付けた途端に香るわぁ〜。
丸鍋のお出汁から湯気から鼈で寄せた鍋の
香ばしい限りの匂ひがゆらゆら鼻腔周りを
漂い丸鍋を嗅いだだけでうっとり来ちゃう。
実に品の良い鼈のお出汁の芳しさが纏って
もう、食欲が俄然募っちゃいますね。

そしてやや興奮気味にお出汁を先ずは一口
舌に当てた瞬間に漲るお出汁の絶品うま味!
こりゃ凄いわ、こんなに滑らかで穏やかで
かつ、迫力も伴う出汁の味わいが有るかと
一瞬息を呑む感じとなるくらいに美味し!

鼈がお醤油を吸い込み焦げて来てる感じの
匂ひがとても空腹感を呼び起こすのである。
今迄の品数でかなりお腹も膨らんでる筈と
思ってましたがこの香味と旨み故か食欲が
結構旺盛に復活しちまう不思議感覚を覚え
グツグツ煮立つ鼈のお鍋をガッツリ喰らう。

目の前の光景では
丸鍋がグツグツと唸り続け
丸鍋がブクブクと騒ぎ立て
煮え滾った鼈肉がブルッと
震えていながら食欲が募る。
一口鼈の身に喰らいつくと
美味い!驚きの深い味わい
コラーゲンもドロ〜ッとね
蕩ける感じで舌に迫り来る
身肉を喰らいつくした後に
たっぷりと骨もしゃぶって
最後は小骨だけが残ります。
お出汁で一息付きほっこり
鼈のうま味が身に染み渡る

身体の奥まで浸透してくる滋味深さから
淡〜く素材を馴染ませてはいるけれども
其処が決して単に薄味とかではないので
味覚としての奥行きの深さを実に痛感し
その緩急を自在に操って創作される美味
また材の持つ潜在能力を引き出す火入れ
どのレベルの切り口との出会いも真摯に
全身全霊で味わいたくなる美味さに感銘!
でした。

10.焼き物

◉真魚鰹塩焼き
◉はじかみ生姜
◉酢橘
◉セロリを焼いてから土佐酢でつけたもの

焼き立てホクホクの真魚鰹をお口に含む
真魚鰹自身から膨よかさが豊潤に揺蕩う
膨よかな身肉に寄り添う塩気含む皮目は
舐めても齧っても美味し過ぎにて塩味の
底無しと思える様な深い味わいが白身と
一緒にジワァンと浮き上がって堪らない。
ず〜っと舐め続けていたいの咀嚼も然り
重ね続けたいので咀嚼の度に欲が渦巻く。
更にフワッと白身が舌に着地してホロリ
解けつつ余韻を残して行くと酒を欲して
塩味素晴らしくジンワリと漂い妙味炸裂。

この真魚鰹の白身の美しさに見惚れます。
褒めてやりたい程に静かに佇んでいます。
背表紙と言うのか皮目の焦げ目の塩梅が
カリカリでは無くて薄皮一枚をこんがり
焼かれて細やかな飾りが川の流れの様な
紋様にて美観を丁寧に整えております。
お料理の一品たちとの出会いに於いては
first impressionが大切な役割を
果たしていると思ってて最初に目に入る
お料理の光景次第で食欲が湧いたりする。
その点星野料理は一時も妥協など許さず
きちんと丁寧に素材のカタチを整えつつ
本来の持ち味を展開されている所が凄い。
さて、真魚鰹の白身はふっくらと焼けて
塩味もとても淡く舌に忍び寄る美味しさ
ホッカホカの白身は炭の火が入る直前に
振り塩を掛けて真魚鰹の姿態の全身へと
塩気を帯びさせてどの部位を咀嚼しても
底味がジンワリと浮き上がって来ます。
この淡く澄んだ味覚が堪らなく真魚鰹の
本質を曝け出しており実に舌を喜ばして
感銘を受けます。

炭火の香りさえ微塵も付けずに焼かれて
分厚い真魚鰹の芯まで火が通っています。
全くゼラチン質が残らず身質の膨よかな
味わいを頂く事が出来ます。
真魚鰹の醍醐味を悉く満喫できる逸品!

11.炊き合わせ替わり

◉ぐじの蕪蒸し
◉銀杏
◉近江蕪
◉山葵餡

蕪蒸し自体を穏やかに纏う近江蕪の山葵餡が
辛味も甘味もうま味も調和が取れている上に
芳しさが募り空腹でないのに欲が沸々と湧く
卵白とかは使わないのに綺麗に餡を整えられ
流石は星野大将、技を見せてくれる蕪蒸しに
一目惚れしてしまいますね。

近江蕪を素直に擂り下ろし温めたぐじの上に
包み込む様に纏わせて更に葛の銀餡を施して
ぐじと一緒に蒸されてます。

国産の葛粉で溶いた銀餡は実に穏やかな瀞み
近江蕪の擂り流しにぐじを潜ませておられて
蕪の擂り流しを深く掘ると奥の方から銀杏が
ヒョッコリ顔を出して来るのも楽しい仕掛け。
銀杏の香味を嬉しく咀嚼しながら山葵餡とも
絡めつつ頂きますと実に深みのある味わいに
舌が燥いで仕舞いますね。

近江蕪自体はお出汁で炊いてる為か恰も霙の
餡の様な優しくサラサラとした舌触りは正に
絶品の擂り流しとなっており甘味とうま味が
互いに寄り添いながらぐじの美味しさを更に
膨らませておりました。
ぐじを咀嚼するとコクッと放たれる旨みから
コクを感じる味わいが口内に満ちて堪らない。

銀餡のトロ〜ッとして温度感のある和やかな
甘味を携えて蕪蒸しとが何処までも穏やかに
揺ら揺らと揺蕩う美味しさは感銘の味覚です。
その揺れる味わいが堪らない蕪に纏われつつ
ぐじがこっくりとした旨味を味わえる秀逸な
作品は此処でしか味わえない逸品と感じます。

12.お食事

❶ご飯

⚫︎山形県合鴨農法のコシヒカリを
土鍋で炊いた白ご飯
⚫︎牛の時雨煮
⚫︎縮緬雑魚
⚫︎香の物
⚫︎赤出汁

此方の定番星野定食のご飯とお供が
目の前に揃いますと一目見ただけで
とてもほっこりとして舌は落ち着き
癒される白ご飯たちに幸せを素直に
感じてしまいます。

ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
具材全部を乗せて頂くのが美味しくて毎回
この全部乗せパターンのご飯を頂きます。

艶々コシヒカリの白ご飯と雑魚と時雨煮を
お口一杯に頬張って雑魚からの塩味と絡み
白米の甘さが引き立つ美味を貪るのである。
この定番の牛の時雨煮の濃厚な甘さ加減と
艶々の白ご飯とのコラボが滅茶美味し!

そして
山椒がピリリと絡む雑魚ご飯を頬張り
刺激的なご飯を頂く喜びとの出会いに
感謝しながら雑魚ご飯を堪能する。

雑魚の塩味をピリッと感じつつも時雨煮の
甘美な牛肉の濃厚な味わいと合わせながら
その芳醇なるご飯たちをmogmogし極上の
味わいを楽しみます。

この少し辛くて鹹味が喉に渇きを覚える
耽美な甘さが煮詰まった時雨煮とご飯の
掛け合わせはホント絶妙な美味しさ感じ
星野さんの土鍋白ご飯の極上の美味さが
舌を離さず陶酔感さえ口内から漂います。
何時もこの牛時雨煮ご飯の美味しさには
舌が麻痺する美味しさで飽きないご飯で
お腹が許せば何杯もお代わりしたくなる
絶品ご飯なのです。

❷卵かけご飯
・宇治の卵
・おかか

此方も定番となりますがお腹がいっぱいで
お見送りとさせて頂きました。

❸〆のお焦げ

お焦げも焼き立てのものをご用意です。
お焦げの為に再度土鍋に火を入れ直し
土鍋の底に張り付いてる白ご飯残りに
再度、ガッと火を入れ直して炊き上げ
カリカリのお焦げを仕上げられてます。

チンチンに熱く焦げた白米の上に直接
お醤油をサラサラ〜ッと少量滴らせて
ジュワゥンと音鳴りさせ乍ら蓋を閉め
お焦げに醤油風味を纏わせて香ばしく
仕上げておられます。

そのお焦げの一枚をガリッと噛むと歯が
バリバリィンとお焦げを砕いて散ります。
その瞬間には響く心地良い破砕感と共に
お焦げを破砕して砕け散る歯当たり感が
滅茶苦茶潔い快感を呼び込み醤油味との
相性もバッチリの妙味が堪らなく美味し!
此処迄ご飯を満喫堪能させて頂けるなら
高揚感もマックス満足度も最高潮に達し
口福感で満たされました。

13.甘味

◉善哉

やっぱり寒くなりますと蕨餅より
此方の善哉が恋しくなります。
一年振りの善哉に舌が喜び勇んで
ご挨拶です。
新生堂のお餅もモッチモチに伸び
甘く香って善哉に良く馴染んでて
大変な美味を授かりました。

■本日のお料理の構成、流れ、組み立て方
素材とのバランスや持ち味の引き出し方迄
全てに星野大将の技術とセンスがいっぱい
重なり散りばめられており何処迄も素材の
持ち味を研ぎ澄まして舌を唸らせる料理に
感銘を受けると同時に此処迄完成度の高い
お料理を昇華させられるものなのかと言う
領域に触れる機会を頂けて感謝感激の体験。
誠にありがとうございました。

2025/12/10 更新

25回目

2025/10 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.9
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥80,000~¥99,999
    / 1人

京味の伝統を継承しつつ星野大将の織りなす秋味で至福の味覚を嗜む

■2025.10.11(土)20時半〜23時00分

■お料理 お任せ ¥55,000税込
お酒時雨煮お土産代含む会計¥税込

■ご予約 年間予約にて

1.先付
〜今月は重陽の節句に因んで菊花のお椀から〜

◉愛知の伝助穴子
◉菊花の小吸い物 秋田県産の食用菊
◉一番出汁で染めて柚香と共に

愛知の伝助穴子を塩を少し強めに焼き上げ
利尻昆布のお出汁をシンプルに張った小椀

伝助穴子は塩を少し強めに当てて塩焼き
菊花が秋の夜長に相応しい美観の吸い物
そもそも秋田県の菊花は10月頃のものが
甘みと食感と共に色合いが鮮やかで美味

お吸い物に浮かばせた焼き穴子の塩分が
地にほんのりと写されてうま味に輪郭を
与えている。

椀には鮮やかな菊花が散らされ雅な佇まい
目にも鮮やかな黄色い花弁は苦みも少なく
独特な芳醇さと甘味で地を染めてます。
昆布出汁から引き出す地のうま味が無限と
思われる様な淡麗なる味わいで伝助穴子を
穏やかに後方支援している。
地が凛とする鮮やかな淡味を見せると共に
焼き穴子からは寄せるキリッとした塩味が
地の中で揺蕩う
その焼き穴子を咀嚼すれば何処迄も穴子の
膨よかさと地の中に有ってもパリッとする
皮目が活き活きしているのには驚嘆する。
地のうま味に染まりゆっくりと解ける穴子
咀嚼してる時も芯が通り身質はしっかりと
咀嚼感を頂けて元気な身肉が歯を捉える。
お出汁に浸ってもちっともふやけてしまう
様な事はなく身をギュッと塩して焼いてる
からなのか、歯応え十分な穴子の身肉から
旨みが弾けるのである。
地の穏やかさと椀種とも言える穴子の身の
裸がとても元気良く曝け出された美味さは
堪らなく舌を陶酔させる世界へ誘います。

穴子も菊花もお出汁も全てが巧みに纏まり
奏でる美味に舌が酔い知れ圧倒的な満足を
頂ける秋味のひと時を満喫致しました。

■飛切りを温燗で

2.お凌ぎ

◉海鼠腸の飯蒸し

餅米はお出汁で蒸し上げておりモチッと
甘味が麗しく寄せて来る絶妙な蒸し加減。
何故に斯様な繊細な蒸し方が可能なのか
ホント星野さんの一品は何を語ろうとも
語り尽くせなくなる程の絶妙な塩梅にて
調理を施されていて感嘆してしまう。

こんな絶品ご飯の馳走が頂けるとは
嬉しい限りで頬っぺたは落ちまくり
かつ
海鼠腸を一口含んで仕舞えば珍味が
口内で舞い散って興奮度が上昇する。
更に心地良い塩気が舌を刺激してる。
堪らず飛切りの温燗をクイッと煽り
お酒に溺れてしまいたくなります。

海鼠腸からは程良く潮風が淡く寄せ
さり気なく珍味が餅米を引き立てる
その餅米と海鼠腸珍味の塩梅が良く
口内で互いの甘味と珍味が交差して
絶品飯蒸しを完成させておりました。

そして

餅米の上からは海鼠腸がジンワリと
餅米に馴染み親しみつつ珍味が覗く。
一口の飯蒸しを含むと海鼠腸珍味が
ジワッと舌に忍び寄り餅米がそれを
自然に受け止め海鼠腸の香り珍味に
旨味全ての味覚要素を含んだ個性を
餅米がしっかりと受け止めています。
そして餅米だけでも旨味と甘味とが
交差して主張して来る美味しさとが
曝け出されて絶品の一品に仕上がる

海鼠腸自身のうま味を上手に餅米の
中に閉じ込め海鼠腸とご飯を仲良く
バランス良く纏め上げておられます。

んん、噛めば噛む程に餅米の甘味も
海鼠腸の珍味も舌をを唸らせており
限りなくこの幸せタイムが続けばと
思ってしまいました。

3.酢の物

◉柿なます胡麻酢和え

・柿
・お大根
・胡瓜

等を胡麻酢で和えたものとなります。

海鼠腸珍味で舌を刺激して未だその
鮮烈な余韻が残ってる間に丁度良く
胡麻の甘味が舌を少し休めて下さい
と言わんばかりに秋の味を偲ばせて
柿なますがしっとり舌を癒します。

お柿の果実味にお大根の瑞々しさに
胡瓜のシャキッとする繊維感に加え
胡麻酢の甘酢っぱさが満遍なく舌を
甘えさせて嬉しくも少しくトロッと
した甘味を被せて来るのである。

嬉しくなる秋味が口内を彷徨いつつ
小鉢の中では胡麻酢纏う柿なますを
チョンと舌舐めずりして甘〜く舌を
撫でて行き胡麻酢和えの上品な味を
咀嚼の度になますをシャリッと嗜み
舌が柿なますと戯れておりました。

4.焼き物

◉鼈山椒焼き
・原了郭 粉山椒

服部中村養鼈場の鼈を醤油垂れ焼きにて
絶妙の味付けと焼き加減で頂く至福の鼈

此れは堪らなく欲望が渦巻く一品
炭火でこんがりと焼きあがってる
お皿の上にドン!と鎮座する鼈に
目が釘付けとなり粉山椒の気高い
香味にも誘われ齧り付きたくなる
衝動に駆られちまいますね。

中村鼈の養殖は人工冬眠させているので
脂質の癖も嫌味等も全く感じない無垢な
脂質分となり脂身が真っ黄色で全くの所
混じりっ気の無い甘い脂質の味わいにて
グニュっと噛むとダイナミズムを感じる
肉感と上品で圧巻の旨みが交差し味覚の
移ろいに没頭してしまうものなのです。

確かに鼈自体のモノも良質と直感するが
星野大将の炭の火入れの施し方も秀逸で
抜群に鼈の旨みを引き出すやり方で鼈の
の余計な脂質を適度に飛ばし脱水させて
肉の旨みをギュッと詰めて来てるのです。

故に焼き鼈を噛んだ時にはふっくらする
肉感とジュワッと噴き出して来る脂質の
極上の鼈肉の旨みとが同時に舌を襲って
滅茶苦茶な美味妙味珍味が幾重も重なり
激動の美味しさが怒涛の如く口内に溢れ
歯を一所懸命咀嚼に向かわせつつも舌は
鼈肉の美味さに無我夢中となり貪り尽す。

ガブッと噛めば噛む程に香ばしく肉感が
口内を駆け巡り歯と舌の全能力を持って
その醍醐味を直感しつつ鼈肉の逞しさに
溺れ切ってしまいます。
染み込んだ星野特製鼈だれの甘さ加減が
見事に鼈を甘やかしつつ肉の珍味妙味を
増幅して舌を悩まし続けているのである。
更には
粉山椒のピリッとする刺激が効き鼈肉の
逞しさ募る肉感と絶品妙味が行き交って
舌が陶酔感に酔って仕舞います。

咀嚼を続けていると忽ちその鼈の肉肌が
プルンと容赦無く揺れて弾力が歯を襲う。
その食感の妖艶なる肉感が堪らなくなり
どんどん咀嚼を進めて貪って食い尽くし
残った骨までもしゃぶり付きたくなるが
卑しいとは思わず舐め尽くして仕舞う。

もう、舌が肉感的な脂質で溺れて
その快感で目が回るほどに美味い!
骨迄しゃぶり尽くして少しふっと
お口を休ませると高揚感が離れて
食い尽くした充足感でいっぱいで
大満足の余韻が訪れておりました。

■天領 純米大吟醸 一合瓶

5.合肴

◉毛蟹の茶碗蒸し
◉蟹味噌
◉生姜
●銀餡

何ともお上品な地味が通う玉地を頂いて
一口をプルプルンと揺れている玉蒸しを
お口に含みますと何とも穏やかな甘味が
玉地から舌へと伝わり憂いを帯びた様な
食感との共演にとても感銘の味覚を頂く。

玉地の天には毛蟹の身と生姜が添えられ
美観も麗しく美しい黄金色で佇んでます。

先ずは玉地だけをそっと掴んで木のお匙で
お口に運んでみます。
ん〜鰹の滋味が何とも美しく揺蕩ううま味
とても優しく淡く綺麗に整えてある玉地の
香りと地味深さに舌が痺れてしまいますね。
どの様な一品にても妥協を許さずに素材の
本来の持ち味を最大限引き出されていると
舌が痛感する美味しさにつくづく感銘です。

此方の茶碗蒸しも然り

茶碗の中を探すと毛蟹のほぐし身を発見し
身がいっぱいに玉蒸しの中に詰まっており
どっちが主役?と勘繰りたくなる様な仕掛。
更には毛蟹の塊の中には蟹味噌もたっぷり。
蟹の身の甘味と蟹味噌の珍味が口内を舞う
舌がその目眩く味わいに翻弄され戸惑う。

天辺に乗ってる毛蟹の塊肉を玉地と一緒に
お口にパクリと頂き毛蟹の甘味と地味との
交流を心ゆく迄楽しませて頂く。
この時玉地はこよなく優しい滋味を広げて
ほっこりする親しみ深さを持ってうま味を
膨らませて来る実に嬉しい味わいが口内を
占めてくれるので有る。
故に毛蟹の解し身がとても美味しく地味に
支えられて味わい深く揺蕩うのである。

その後玉蒸しをお匙でひっくり返しながら
解し身と合わせてお口に頬張るくらい匙に
山盛りしてパクッと頂きトプトプと舌鼓に
満足して少し気分はうっとり気味となる。

そして此処でもこの地味深い味わいにお酒
冷んやり淡麗で切れ味の良い天領大吟醸が
勝手に進んでしまうんです。
この茶碗蒸しの地味深さに釣られて仕舞い
ついお猪口に手が伸びてしまいました。

その蒸し加減の旨いのも天下一品です。
玉地のうま味が滋味深くて毛蟹の甘味を
生き生きとさせて来るしジワジワ〜ッと
舌に玉蒸しの甘味とが交互に追いかけて
来るわで舌は大忙しとなっちまいます。
玉地と毛蟹のバランスの完成度に脱帽し
穏やかなる地味が何処迄も続いて全部を
頂いた後に残る余韻の素晴らしさが大変
印象的でした。

6.お口直し

◉冷製無花果田楽

2時間半ほどじっくり蒸した無花果に
山利の白味噌で田楽を頭より慕わせる
そんなあしらい方にて無花果の甘美な
味覚を無限大に引き出している一品と
なっております。

無花果の甘味も
白味噌の甘味も
無花果の冷感も

ジュウッとする瑞々しい食感と
お口の中に溢れる耽美な味覚が
何処迄も口内に広がり続けます。
全部の甘さが融合して舌を陶酔
美味極まる世界にいざないます。

冷んやり無花果に白味噌の甘味が重なる
無花果と田楽と言う素朴な素材同士との
紡ぎ合いは相性がパーフェクトな甘味。
無花果が別格の味わいの果実に変化して
無花果のジュクジュクした甘味はトロリ
舌に溶け込んで来ると共に耽美な香りの
白味噌田楽がこれまた秀逸な仕上がりで
見事に素材の味覚同士が同調して来ます。

白味噌はベースに山利のものを湯煎して
煮切ったお酒で味噌を伸ばしてトロ〜リ
円やかな仕上がりとされてます。
白味噌田楽は伸ばしてやりますと甘味が
大変円やかな感じとなり無花果との相性
抜群にマッチするものとなります。

卵黄と煮切り酒と砂糖で合わせてます故
白味噌の粘性が程良く絡むまったり感が
舌を滑らかかつ円やかに這う様に仕上げ
味わいがフワッと浮き上がり無花果との
ジューシィな果実味が舌を当惑させます。
無花果名作と切に感じさせる逸品でした。

7.揚げ物

◉岡山 松茸フライ パン粉揚げ
◉イカリソース 酢橘
◉新銀杏の素揚げ 振り塩
◉マルドンのお塩を叩いたもの

岡山より今朝届いたばかりのかなり
ビッグなサイズ感の松茸を山盛りの
プレゼンテーションが嬉しい。
コロも極太模様でパカっと包丁入り
サクッと裂けた中身は真っ白で傷の
一つも無く誠に無垢な美しさを誇る
逸品の松茸様に見惚れてしまいます。

揚げたての松茸フライは一本ドテッと
皿上に置くのではなくちゃんと一口の
サイズ感で蕾の胞子が口内に香り高く
飛ぶ様に味わいを楽しむのに丁度良い
手頃な大きさでカットしたもので用意。
然もコロの部分も一番美味しい上部の
所から蕾までを大き目のカットサイズ。

食べ易いサイズもパン粉のサクサクの
破砕感も咀嚼する度に感じる興奮との
接触に嬉しい美味しいが込み上げる。

こう言うあしらいの肌理細やかな所が
やはり舌に接した時に美味が最高潮に
達する様に仕掛けられており嬉しさが
どんどん膨らんで来ます。
お隣様には松茸フライにピッタリと
味も風味も寄り添うイカリソースが
これまた今かとお待ちかねです。

フライは蕾の開いた方の松茸部位を
カラッと揚げていて衣を飛び越えて
芳ばしく薫る松茸フライに仕上がり
サクッと噛むとパァンと胞子が散り
口内に舞い上がる松茸胞子が香味を
拡散して其の儘舞い散り鼻に抜けて
その香ばしさにうっとり陶酔します。

更に秀逸な味覚を提供するのが隣の
小皿に用意されたイカリソースです。
実に松茸フライとの相性の良さでは
このソースが一番かと思います。
松茸フライが持つ全ての美味しさを
何処迄も限りなく付き添いフライの
特性を余す所無く引き出して美味を
一緒に高めて完成させているソース
これ程迄に松茸フライにお似合いの
ソースは恐らく無いのでは無いかと
痛感する強力な助っ人でも有ります。
そのイカリソースには松茸フライの
先端をチョコンと浸し濃厚な刺激を
フライに纏わせて齧り付きます。
ザクッと噛んでジュワッと噴き出る
イカリソースの甘辛の刺激と松茸の
香味が味覚のテンポを同調させ乍ら
絶品なる妙味を披露して行きます。

また歯触り食感も頗る気持ち良くて
ザクザクッと響くパン粉の食感から
松茸の軸をギュッと噛み込んでから
ジュワッと舌を唸らせる松茸特有の
うま味が弾け出されて貴重な妙味を
満喫させて頂き興奮を覚えます。

特にお口から松茸の香りがフワァ〜ンと
抜けて行来ながらコロからジューシィな
うま味エキスが零れて口内に拡散する為
その香味と松茸のうま味が同時に進行し
堪らない喜びが訪れ幸せ一色となります。

衣の中に松茸の香りが止めどもなく溢れ
齧った後の松茸の繊維質からジュワンと
瑞々しさを伴った松茸の個性的な旨味が
歯に舌にどんどん染み込んでくるのです。
其れ等がグルグルお口の中で衣と一緒に
踊りまくるのです。
舌がアッと言う間に感動の味わいに興奮
食べ終わっても暫くは強烈な余韻に浸り
残香を惜しみつつ儚く消える鼈の旨みを
思い起こしておりました。

8.お造り

◉明石 真鯛
◉伊勢海老 静岡
◉紅蓼
◉山葵
◉海老の髭の松葉
◉花穂紫蘇
◉酢橘
◉マルドンのお塩を叩いたもの
◉土佐醤油

明石の真鯛はキュッと身が引き締まり
時期的に相当に身質の良いものが登場。
真鯛の切り身一枚を口に含めば身質の
しなやかさが歯を招いて脂も乗ってて
膨よかな身質が更に豊満な旨みを広げ
何処迄も舌をうっとりさせる美味との
出逢いに嬉しくなります。

麗しく輝く透明感を誇る鯛の身からは
舌触りがサラサラと流れしっぽり舌を
包んで来てその身質には憂いを含んだ
癒しを感じるものが芽生えます。

次に鯛の切り身に雪塩の如く細やかに
マルドンのお塩の粒子を叩いたものを
少しだけ振り塩して塩味を纏わせ頂く。

マルドンの塩は美味し過ぎるくらいの
ウマミが感じられるものにて舌触りも
めちゃくちゃ軽くて美味なる鯛の身を
更に味わい深くして旨みに確り輪郭を
カタチ作りながら舌を蠱惑して来ます。

真鯛の淡いうま味をグッと引き立てて
噛めば噛むほど塩味と鯛が調和する。
こんな調味料までお料理の一つとして
仕込んでいて材料の働きを高めてから
ご用意されている事にも驚きますね。

そして鯛の後に伊勢海老のプリップリ
の透明で妖艶なる姿の身肉を口に含む。

身を咀嚼すればお口の中でプヨンと揺れ
色っぽい食感の肉肌が舌を艶やかに迎え
甘美な味わいで興奮を満たしてくれます。
噛む程に身がねっとりと舌に絡んで来て
伊勢海老の旨味の虜になってしまいます。
山葵だけの相性が良くて抜群なる身質の
豊かさに感動が止まらないのであります。

伊勢海老の嫋やかなる肉質
鯛の生命力漲る逞しい旨味
ガップリお造りの四相撲に
舌が唸りっ放しとなり続け
高揚感が最高潮に達しつつ
舌は大満足しておりました。

■鄙願

9.椀代わりの小鍋

此処で松茸様のプレゼンテーションです。
でかいのが来た〜。
これは流石に凄くビッグなプレゼント!
一眼見て吃驚仰天で眼が釘付けとなる。
巨大とも言える大きな傘が開いており
コロも極太で凄く長〜い距離で伸びて
少しグニュ〜ぅっと捩れ気味に湾曲し
そのサイズ感に圧倒されちまいますね。
その巨大松茸様の極上味覚を昇華させ
味わいを多様に展開される仕掛けには
つくづく星野料理のおもてなし感度の
レベルの高さに触れて喜びが膨らんで
頬っぺたはニンマリし続けて口福感を
満喫させて頂きました。

松茸と言う素材の本能を発揮させるに
最適化されたお料理はこうなのですと
証明されてる様なあしらい方に感動し
これまた星野料理の繊細なご用意には
つくづく感心してしまいました。

松茸様のあしらいは2通りの仕立て方
一つ目は松茸のお出汁を真摯に味わう
二つ目は小鍋仕立てにての鱧松を頂く
特に小鍋仕立ての方は
徐々に味覚テンションを上昇させ乍ら
舌との距離感をゆるりと縮めて行く物
松茸味覚を屈託も無く存分かつ多彩に
味わえる様仕掛けられてる所も嬉しく
なりますね。

❶松茸のお出汁

一品目は松茸で取ったお出汁を頂いて
ジワリ松茸の香味とうま味が行き交い
その芳しい匂ひに唆されて嗜む味覚の
地味深さに舌が震えて仕舞います。
何処迄も美しくも研ぎ澄まされている
松茸の風味が全く雑味の無いうま味で
舌に染み染み寄せて来ております。
この深みのあるうま味がジワジワ〜ッ
啜れば啜るほどに淡く松茸のうま味が
口内に広がり其の儘舌が陶酔感に浸り
我を忘れてしまいそうになります。

松茸以外の材料は皆無にて松茸のみで
引いたお出汁にて松茸本来の持ち味を
こよなく堪能する地味深さが潜んでて
正に五臓六腑に染み渡り松茸の地味と
香味が溢れかえり魅惑のお出汁でした。

斯様に淡くも奥行きが広がり美味極まる
お出汁が舞い上がる地味を味わえるとは
口福感の渦巻く世界に飛び込んだ感覚が
渦を巻いており感動の味を満喫でした。

❷鱧と松茸の小鍋

本日はお椀のご用意が無くその代わりに
此方の小鍋仕立てにて松茸の一品の用意
酢橘と塩を一振りして味を整えておいて
松茸の味覚を良く引き出した一品となり
舌を喜ばせております。

まるでお椀の椀種の様に鱧の葛打ちに
先程の巨大な松茸の傘と軸が添えられ
松茸の味覚要素が全て展開されており
松茸のお出汁のうま味も香味も純白の
軸の繊維もキュッと詰まってて齧れば
圧倒される歯応え感に歓喜が広がる。

鱧は葛打ちを施して松茸の旨みを合わせた
小鍋仕立てとなっており鱧松仕立て秋味を
最高潮に昇華させ美味のクライマックスを
迎えさせて頂きました。

取り皿の方にお鍋から鱧と松茸を少しずつ
取り分けながら香りの漂いを堪能しつつも
香味と旨みが重なり合う秋の美しい味覚を
堪能させて頂きます。

少しの松茸を頂いてから鱧松のお出汁に
酢橘をポトリ落として仄かに酸味を加え
頂きますとパッと明るくなった様な味変

酢橘が絶妙な迄に鱧松のうま味にピタッと
照準が合い美味極まる味わいに昇華します。
鱧鍋の方はたっぷりと地味に浸され染まり
鱧の旨味に力強さがついて来ております。

噛んでも舐めても美味しい鱧松茸の小鍋に
秋味の風味を満喫させて頂ける一品に感銘。

咀嚼する度に歯応え感がとてもvividに
反応して来る鱧と松茸に写されたうま味と
香りの交差が極上の美味を作り出し至福の
味わいとなり舌を歓喜の渦で満たして頂き
それこそ満足感が膨らむ口福を頂きました。

10.焼き物

◉真魚鰹の幽庵焼き
◉セロリ焼いてから土佐酢につけたもの

お酒と醤油と味淋の塩梅が絶妙な幽庵地に
お時間をかけてゆるりと地に馴染ませつつ
炭でこんがり皮目は飾りを入れて地が中に
染み込む様に仕掛けてて幽庵地の持ち味が
浸透している巧みな味わいを創出している。
火入れによる脱水効果も手伝って真魚鰹の
持つ本来の膨よかさが鰻登りに昇華される。

真魚鰹は焼き上がった瞬間に幽庵地をタレ
焼きする様な感じで纏わせて真魚鰹に地を
馴染ませて美味を絶妙な迄に整えています。

炭火で皮目はこんがりと焼かれて狐色に
悩ましく染まってストレートに入ってる
皮目の飾り模様から幽庵地が白身にまで
満遍なく染み渡っている様子が目に付く
とても上手に幽庵地を纏わせているのに
驚いちゃう繊細な地の施し様なのです。

とても香り高き幽庵地の華やかさと甘味に
惚れ惚れしちゃうほどジワッと滲み出てる。
皮目も柔らかい感じで幽庵地が沁みており
噛むと実に良い塩梅で地の妙味が舌一面に
染み渡り痺れるほどの美味しさが訪れます。

幽庵地が濃厚な迄に真魚鰹を巧みに操り
白身の旨味をグッと引き上げております。

此処迄の満足度の高き秋のお料理を頂き
真魚鰹の一品を食べながら感じたことは

お料理全体の緩急や甘辛の運び方
お料理構成にて温感冷感の運び方
素材の持ち味の一品一品の完成度

さり気無く地味深さを突き詰めて
味覚を真摯に追求しての味わいは
美味しい要素が巧みにマッチして
舌を刺激し続けクライマックスに
向けて纏って行く所が素晴らしく
良く設計されてるとも感じますし
仕込みも実に丁寧に雑味を削いで
出来栄えには非の打ち所が無いと
言っても過言ではないでしょう。
故にこそ舌が感銘止まずの絶品な
味覚から歓喜が芽生えて来ますね。

11.煮物

◉小蕪吹き寄せ
◉松茸の軸と傘の小角
◉伊勢海老の身の小角
◉伊勢海老の味噌の餡

こう言う気の利いた一品と言いますか
何気なく焚き合わせの様な趣で煮物を
穏やかな味わいに仕立て上げると言う
点に関しては星野さんの右に出る物は
恐らくお料理として過去出会った事が
無いと言えるのではと思います。

小蕪自体の炊き加減から吹き寄せ素材の
持ち味を綺麗に細やかに繊細な作り方と
味の染め方に全体の纏め方まで完成品の
見本とも言える仕上げ方に感嘆しちまう。

お酒とお出汁で伊勢海老の味噌の
甘味に珍味度を深掘りさせており
実に舌を幸せにする美味を募らせ
その海老味噌の旨みで松茸香味を
更に昇華させつつ伊勢海老小角に
刻んだ物たちを纏わせ乍ら小蕪を
穏やかに炊いててその甘味の側に
寄り添う様に味噌の珍味を慕わせ
とても小気味の良い味わいへ導き
舌をじっくり納得させる美味へと
誘う一品に完成させておりました。

お口に含んで居ながらこんなにも
ほっこり口福感で満たされるとは
嬉しい限りですね。

12.お口直し

◉ぐじの栗蒸し 利平栗
◉山葵

故西大将の伝統の秋味の名作となります。
西大将の書籍によりますと
原作の料理はお父様の故音松氏とのこと。
昔はその辺に落ちていた栗を焚き火で
焼いて皮が剥がれてきところをたべるのが
美味しかったとのこと。
栗は茹でて裏漉ししたものをぐじに乗せて
蒸すだけなのですが其処に山葵餡をかけて
若狭ぐじの塩加減と栗の甘さのバランスが
甘味を深掘りさせると妙味が芽生えて来る。
故西大将曰く
亡き父が考えた料理の中でも美味しいもの
の一つとなって継承されている名作との事。

これ程の美味を奏でる麗しい秋味の
名作を復活して頂けるとは幸せです。

秋味は松茸ばかりじゃ無いと言い放ち
ほっこりと葛餡が舌を癒してくれつつ
秋味の甘いのも美味しいよと主張して
お口に幸せを運んでくれる一品でした。

利平栗を裏漉しした栗パウダーを
ぐじに纏わせてから温かい葛餡を
上から纏わせて天に山葵を添えて
秋味の一品を仕上げられてます。

葛餡にサラサラの栗パウダーの塊が
瀞みを帯びて餡に馴染みつつ和栗の
甘味が溶け合って甘美な味覚を舌に
トロ〜リ穏やかに届けてくれます。

その栗のパウダーが餡と入り混じって
此れも絶妙な塩梅にてぐじの膨よかな
白身をゆるりと追いかけて来るのです。
そして
その耽美な和栗の甘味に包まれての
ぐじが豊満な姿態を曝け出して来て
栗の餡に抱かれてぐじの旨味と調和
蓮華でぐじを少し弄るとハラリ解け
解けたぐじの身が栗の餡に馴染んで
和栗の甘味とぐじの白身が同調する
その甘味が忍ぶ妙味が堪らなくなり
その儘何時迄も口内に美味を留めて
置いて欲しい欲望に駆られて仕舞う

ぐじの栗蒸しの醍醐味を堪能させて
頂きお口の中は口福感でいっぱいに
させて頂きました。

13.お食事

❶松茸ご飯

一膳目に炊き立ての松茸ご飯です。
土鍋の蓋を開けて蒸気がフワァッと
飛んだ瞬間にカウンター越し迄凄く
松茸の芳しさが漂って来てお茶碗が
待ち遠しくなっちゃ居ます。
松茸ご飯は生の松茸を刻んだものを
シンプルに土鍋で炊き上がる蒸気で
蒸しただけのもので松茸の新鮮さが
全く損なわれずピンピンの軸や傘が
香りをvividに纏い米粒まで写り
咀嚼するとジワッとうま味と香味が
口内で程良く拡散して舞い散ります。
その味わっている瞬間が滅茶苦茶に
美味しさを募らせてこれぞ本格的な
秋味の証明だと感動致しました。

❷星野定食

白米様はこの秋の新米です。

●山形県合鴨農法のコシヒカリを
土鍋で炊いた白ご飯
●前沢牛の時雨煮
●山椒雑魚
●香の物
●赤出汁

ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
全部乗せして一目散にお口に掻き込むのが
美味しくて堪らずガッツいて仕舞う食べ方。
此れをやり始めてからは常にご飯のお供は
全部乗せで頂く事にしております。
勿論時雨煮をきちんと分けて食べるの事も
実に美味しさ倍増のご飯なのですが、私は
此方の雑魚も香の物も全部ガッチャンコの
混ぜ混ぜご飯が堪らなく美味しさを感じて
此奴と一緒にお口を満たす事にして居ます。

お口の中でグルグル時雨煮や雑魚や漬物が
目まぐるしく駆け回る美味しさは言葉には
出せませんがめっちゃうんメェ〜ッと叫び
たくなりますよ。
ホクホク艶々の白ご飯と雑魚をお口一杯に
頬張って実山椒の刺激もピリッと感じつつ
絶品時雨煮の甘美な味覚に染まる白ご飯を
その芳醇なる時雨煮の甘味と一緒に咀嚼し
極上ご飯の乳化を満喫致します。
少し鹹味も滲み甘味が濃厚な牛時雨からは
喉に渇きを覚える感じの甘さ加減が絶妙で
ホクホクの新米ご飯との相性が抜群の中で
時雨煮をご飯と同期してガッツリ頂くのが
やはり一番美味しいと感じます。

耽美なる甘味濃度がギュッと詰まっている
牛の時雨煮はお口中に麻薬の様に忍び込み
舌を惑わして翻弄し続けます。
何時もこの牛の時雨煮ご飯の美味しさには
舌が翻弄されてしまいます。

故に時雨煮の支度が余ってる場合は何時も
手土産として少しを頂いて持ち帰ります。

❸塩昆布茶漬け

礼文島利尻昆布の出し茶漬けのご登場です。
コレは初めてかも。
サラリ昆布の濃厚な旨味と塩気が茶漬けと
仲睦まじく馴染み合う妙味が中々良いもの。
濃厚な時雨煮ご飯を食べた後ですから喉が
少し乾いて疲れてる感じが残っている所に
昆布茶漬けの潤いがとても良い感じとなり
ホッとするのです。
この辺のお料理の運び方も良く練られてる
感じがして嬉しくなりますね。

勿論お腹に余裕がある方はお茶漬けの前に
星野ご飯の定番である宇治の卵かけご飯に
鰹節の振り掛けと一緒に頂く事も可能です。
私は流石に今回は腹パンの為パスでした。

❹お焦げ

お焦げもきちんと火を入れ直して準備
土鍋に残ってる白ご飯をボールに移し
土鍋の底に張り付いてる白米たちのみ
再度、ガッと火を入れ直して炊き上げ
カリカリのお焦げを仕上げられてます。
チンチンに熱く焦げた白米の上に直接
お醤油をサラサラ〜ッと少量滴らせて
ジュワゥンと音鳴りさせ乍ら蓋を閉め
お焦げに醤油風味を纏わせて香ばしく
仕上げておられます。

その炊き上がったばかりのお焦げ達を
杓文字でガリガリッと剥がして中皿の
上に取り分けしてくれます。
そのお皿が手元に届きまして香ばしさと
共にお焦げの一枚をガリッと噛むと歯が
バリバリィンとお焦げが砕き散る快感と
共に口内に飛散する妙味を満喫します。

お焦げを破砕して砕け散る歯当たり感が
滅茶苦茶潔い快感を呼び込み醤油味との
相性もバッチリの妙味が堪らなく快感!
此処迄ご飯を満喫出来れば満足度も最高。

最後の最後まで楽しませてくれる仕掛けと
引き出しの多様性には驚嘆して仕舞います。
誠に嬉しい口福感が余韻として留まり身も
心も満たされたひと時を頂きました。

14.甘味

◉蕨餅

定番きな粉たっぷりの蕨餅です。
蕨餅もきな粉も一粒残さず全部
頂いてから玉露で落ち着きます。

15.お土産

牛の時雨煮をタッパーウェアに詰めて貰い
翌日の朝餉用のご飯にて星野料理の一旦を
楽しめる嬉しいお土産をGETしてお終い。

2025/10/23 更新

24回目

2025/03 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

一品一品の調理に妥協を許さずピュアに素材のポテンシャルを極限までに引き出しつつ味覚の完成度を崇高に高めたお料理。


■訪問日 2025.3.31(月)20時半〜22時30分

■お料理:お任せ ¥50,000税込
お酒とお土産の時雨煮含む会計¥78,800税込

■ご予約 年間予約

1.先付

◉蕗の薹の小吸い物
◉新潟の天然物の蕗の薹
◉昆布と鰹の一番出汁

蕗の薹は新潟の未だ雪解けしてない所の
雪の下で育まれ甘味を膨らませた蕗の薹
故に春の香りと甘味が吸い地へと巧みに
写って鰹の香ばしさと共に見事な調和を
見せてくれます。

淡く澄んだ昆布と鰹のうま味が淡麗に佇む
地の優しさから蕗の薹が春の顔を見せつけ
一粒を齧るとほろ苦さが優雅に口内を舞う

吸い地を一口舐めてみますと昆布の淡麗で
やや切れ味の良い地を感じますが蕗の薹が
地味に馴染みだすと蕗の薹から甘味が写り
昆布を円やかな丸い味わいに変えています。
何とも穏やかな昆布のうま味と蕗の薹とが
合い仲睦まじく地味深い味わいにほっこり。

琴線に響く様な穏やかなうま味がジンワリと
舌に染み込んで来るのです。
この見事に澄み切った美味しさに堪らなくて
如何したらこれ程までに昇華するのだろうと
このチャームな吸い地にうっとりなのです。

小吸い物はスッと切れるような爽快感と共に
まろやかな丸い味わいも一緒に楽しめて実に
気の利いた一品目から始めてくれるご配慮に
感謝の念が募ります。
 
吸い地の味わいと春の香りを楽しむ小吸い物
気品を感じつつも身体を温めて頂きました。

●飛切り 燗酒

2.お凌ぎ

◉鰻の蒸し寿司
◉錦糸卵
◉木の芽

養殖の鰻を焼き方で味を引き出す
江戸焼き風にフワッと柔らか〜く
身質を整えながら酢飯とご一緒に
ふっくらとさせてる鰻の芳しさが
優雅に寄せて美味しさを膨らませ
極自然なカタチで鰻の旨味が舌に
ストレートに伝わり素直に唸る味!

酢飯の白米は食事の際のコシヒカリに
同じものを炊いて酢飯切り立ての上に
焼き上がったばかりの鰻を乗せてます。
更に美観も美しく錦糸卵を敷き詰めて
蓋を開けた瞬間に目を奪われて食欲が
アップしてしまいますね。

この小さな可愛い陶器の中に味覚の精が
宿っているのではと思える程に極自然な
カタチで焼き立ての鰻の旨味が舌に届く。
仄かに温か味のある酢飯と鰻のお友達と
一緒に肌理細やかに優しい錦糸卵たちが
味覚を紡ぎ合い素材の持ち味を引き出し
蒸し鮨の味覚を更に昇華させております。

錦糸卵と焼き立て鰻に艶々ご飯を箸先で
チョンと摘んで咀嚼致しますと一口目は
フンワリと錦糸卵が酢飯に巧緻な絡みを
見せて優しく感じる酢飯の酸味と錦糸の
甘味がハーモニーを奏で始めます。
その後、鰻のしっとりと蒸された肉感が
漂いつつダイナミックに踊る鰻の旨味が
酢飯の後を意外な勢いで追いかけて来て
結構衝撃的な美味しさで舌を唸らせます。
この味覚の段差攻撃に舌が翻弄され乍ら
素材同士の甘味旨味が巧みに積み上がり
極上の蒸し寿司が完成されております。
酢飯と鰻を穏やかに蒸し上げ同期させて
蒸し寿司の全体感を温和に仕上げており
美味しさをグッと引き上げてる名品です。
食べた後の鰻の甘ダレがフワッと酢飯を
染め此れが格別な味わいで鰻ダレだけと
酢飯だけでも滅茶美味し!

そして最後の一粒までを食べ切った後に
気高さを感じる余韻を口内に残して行き
舌がうっとりとさせて後を引く味わいに
酔わせて頂きました。

3.焼物

◉京都大原の白子筍
◉刻み大葉
◉醤油

大原産白子筍はサイズは未だ小振りです。
真っ黒焦げに皮毎焼けて漆黒の色合いが
迫力を持って眼前に迫ります。

大原の筍は電熱の焼き台の上で直焼きし
約2時間ほど掛けて焼き続けられてます。
筍の中身もじっくりと蒸される故の結果
ホックホクの蒸し焼きとなっております。

星野大将は
真っ黒焦げの皮を一枚一枚と削ぎ落として
中の本体が湯気立ちして熱々のホカホカで
ど真ん中の白子筍の胴体をザクンと輪切り
忽ち周囲にフワァンと香ばしい筍の匂ひが
漂って食欲を唆りますね〜。

カットされた部位はど真ん中と穂先の部を
織り交ぜてご用意、まさに春のご馳走です。
見てるだけで嬉しくて欲望が高まります。

そのホクホクの白子筍に少しのお醤油と
刻み大葉で味と香りを整えてお皿に用意。
一口齧りますと滅茶筍の繊維が柔らかく
歯で少し齧っただけでサクンと千切れる。
筍の芯まで満遍なく火が入ってる為かと
推察致しますがどの箇所を齧りついても
歯応えが爽快にサクッと筍が小気味良く
裂けて筍の香味と甘味が口内にブワッと
忽ちのうちに膨らんでしまいます。
そして
ほんのりと少しお醤油を纏わせた白子筍は
極上の気品溢れる甘味で舌に訴え掛けてて
味わいは筆舌し難い物で堪らなくねります。
無垢な甘さにクリーミィにさえ感じる儘に
齧ればエグ味やアクは皆無で全く雑味等の
無い無垢な甘い味わいに舌が踊らされます。

ザクンと噛み切った時に溢れる筍の
歯が肌理細やかな繊維質で挟まれる
心地良い食感と甘い香味がパァッと
広がりジュゥッと筍の甘いエキスが
迸って口内に飛んで来て弾けて行き
筍が破砕されて行く快感はホントに
崇高かつ至高の味わいにてこの筍に
出逢えて良かったなぁと心底感動し
嬉しくなりました。

●天領 純米大吟醸

4.小付

◉紀州の碓井豆の温かいお浸し

春めくこの時期において碓井豆の甘味が
美味しくなる貴重な一品となります。
碓井豆を穏やかな温感が広がり甘く炊いて
お出汁で染めて和やかに味覚を整えてます。
最高品質が浮き上がる春の甘味との出会い
舌が歓喜してしまう碓井豆のお浸しです。

小鉢に可愛く碓井豆が甘く炊かれてぎっしり
詰められております。
見るからに小皺一つ無き無垢な碓井豆の美観
改めて見つめ直して目が釘付けされて仕舞う。

ご用意の碓井豆のお浸しは筍の嫌味を綺麗に
洗い流してくれます。
碓井豆は薄皮もとても柔らかく仕上がって
色合いは真っ青で鮮度も綺麗に保たれてて
甘味が穏やかに炊かれており調理の技術の
高さを物語っております。

目の前の碓井豆は皺も一本も無くお豆の甘味が
こよなく自然に出ている所にも感銘を受けます。
お豆自身の絶妙な硬さで柔らか過ぎず硬過ぎず
歯と触れ合う時の食感は堪りません。

最初の一粒で既に完璧に言葉を失う。
温かく甘く炊かれた碓井豆は活き活きとして
お豆自身の粉質感が何処迄も優しく解けてる。
見溶けするよりもサラサラと解けて舌に着地。
浸し地は厳かに佇み美しく静かに碓井豆との
馴染み合いを育みお豆の莢からたった今弾け
剥き出てきたばかりの青々しさを携えている。
豆は清々しく新鮮な香りが口内に立ち込めて
解れる瞬間に瑞々しい甘みが優しく舌を包む。

そしてその碓井豆をほっくりと齧ってみると
豆の実がふっくらとする食感が整然と並んで
お豆の薄皮がとても丸い質感の柔らかさ保ち
然も齧ると意外にもプチッと元気な歯応えと
一見両立し難い内外の食感が歯に伝わります。
良くこんなに穏やかで元気で柔らか味のある
食感を作り上げている物だと舌が驚いちまい
感動を超えて来ます。

碓井豆の甘味としっとり来る自然な繊維感を
さり気無く引き出してる秀逸なおもてなしに
感謝感激となります。
星野大将の本領発揮と言える名作です。

此処で甘味の演出と言う事に関して星野さんの
お料理に対するレベルの高さに気がつくのです。

そもそもの話で甘みは共すると素材との調和が
とても難しく甘さの度合いを素材と合わせては
中々制御し難いもので兎角甘さだけが舌に残り
素材自身の持ち味を消してしまう事もあります。
星野大将はここですと碓井豆の持ち味を巧みに
引き出しつつお豆としての味を整えて星野流の
滋味深さに繋げている所に非凡な技術の凄さを
感じてしまいますね。

そう言った意味合いでこの碓井豆の温物は恐らく
大変な試行錯誤と手間暇を掛けて完成度を上げて
滋味深い甘味を昇華させて来たお料理かと驚きに
満ちた名品と痛感する次第です。

5.酢の物

◉春食材の酢味噌和え

・スチーム蛍烏賊
・車海老
・うるい
・九条葱
・菜の花
・辛子酢味噌

蛍烏賊はSteamされた物を送って頂き
鮮度を活かしたお料理にてご利用です。

流石と唸った味覚の瞬間が舌に訪れてる。
斯様に味わい深く澄み切る酢味噌和えの
鮮烈な味わいに高揚感が芽生えて居ます。

酢味噌を素材と良く掻き混ぜて食べて下さい
とのお達しに従い箸先でグルグルと春食材と
酢味噌を満遍なく掻き混ぜながら仕上げます。
酸味をたっぷり絡めて頂く九条葱のシャクと
歯触り小気味良く感じると同時に車海老から
プリッと豊かな潔く弾力する甘味に酢味噌の
酸味が舌を適度に刺激して春薫る味覚の甘い
魅力と調和して美味しさが膨らみます。

少し間を置かせてシャキッと繊維感が伸びる
うるいや菜の花が歯を喜ばしてくれて其処に
蛍烏賊がプルンと歯触り良い肉感を揺らして
甘ったるい味覚を振り撒いて一緒に酢味噌が
涼やかな酸味を走らせて舌をスキッとさせる。
この蛍烏賊と酢味噌とが交差する美味しさは
格別なものを感じました。

而も
蛍烏賊は目玉や軟骨・嘴など嫌味ある箇所を
全て綺麗に取り除いて有る為か
咀嚼感がとても優しい仕上がりで気持ち良く
プルンと跳ねて甘味が透き通る美味しさにて
其処に重なる酢味噌がとても良く馴染みます。

実に鮮度の良い蛍烏賊の甘味とぷよぷよ感の
鮮烈さは透明感が伸びる美味しさでした。

この爽やか系の多様な春の香り満ちる味覚を
存分に楽しませてくれる乍らお口をサッパリ
直して頂ける一品に感動を頂きました。

6.根芋の吉野煮

◉根芋
◉葛餡
◉生姜
◉炒子だし

この時期だけの一品料理がホックリと小鉢に
未だ芋茎は出てい無い時期の季節ものの根芋
柏市の数軒の農家さんでしか生産されてない
根芋をご利用して吉野煮を直炊きされてます。

里芋の茎みたいな味気ない食材まで調理して
斯様な美味しい料理にて仕上げてしまう所が
京味料理の真骨頂なのかなと感じる一品です。
その京味の系譜を引き継ぎつつ星野流に整え
更にお料理を昇華させて行く星野料理。

特に吉野煮は京味料理の代表作とも言える一品
ですが、郡司さんも井上さんも南さんも更には
最近独立された金森さんも吉野煮を扱いますが
皆様其々やはり個性的な吉野煮の味の整え方で
ご用意が有り味わいの滋味深さには感嘆します。

此の吉野煮のお料理はお出汁との向き合い方で
どう言う色に根芋が染まるのか味の出し方には
多様な趣きの繊維質を味わえる一品となります。

吉野煮の葛の餡掛け自体がとても優しく舌との
触れ合いを引き出していてまったりと安堵する
味を堪能させてくれます。
根芋は舌の琴線に染み入る優しい味覚が訪れて
妙味を作り出してると感じます。
最後の一本を食べ切った後に残る余韻にもまた
ほっこり喜びが続くお料理と感じます。

7.唐墨餅

お酒をいつの間にか欲してしまう珍味。
特に唐墨餅の中に収められている唐墨の
仕上げられた状態の素材感がとても良い。
唐墨自身の純度と言うか鮮度か不明だが
恐らく鰡の卵巣自体の状態が良く保たれ
綺麗で新しい鰡を干したものだからかと
推察して仕舞います。
一見して唐墨自身に血管等の混じり気が
微塵も無くて唐墨の微細な粒子が美しく
鮮やかなオレンジ色に輝いており邪魔な
血の気や嫌味等完璧なまでに磨き上げて
鰡の卵巣の血抜きが完璧な程の仕上がり。
こんな所にも星野さんらしさが出てると
強く感じて仕舞いました。
此奴は一気に片付けてしまうのが惜しい
と感じてお餅の部分だけ先に食べ切って
残りの唐墨と酒をチビチビとやりたくて
お時間が経過しても取り置きしてお酒の
お供でのお付き合いをして頂きました。

●伯楽星

8.揚げ物

◉ぐじの松笠揚げ
◉タラの芽の天麩羅
◉酢橘

春の走りを雅に表現しつつほろ苦さと共に
膨よかな旨み旺盛に讃えるぐじの揚げ物に
目がほくそ笑み頬っぺたがムフフと喜びを
隠し来れずに居る自分の気持ちを抑え乍ら
箸先を徐にタラの芽に向かわせます。

タラの芽は予め塩してるのでそのままで頂き
ぐじはカリッとした揚げ衣に酢橘を滴らせて
ぐじの旨みに酸味を少し忍ばせて頂きます。

星野さんの揚げ物は全く雑味の無い素材に
ピタッと照準を合わせた透明感に優れる衣
お使いになる天ぷら粉も極普通の小麦粉で
卵を含まない分色白の衣でサクサクとなる
粉質感は肌理の細やかさが極まりサラサラ
こんなに天ぷら粉の粒子がメチャメチャと
言えるほど細かいのにも驚嘆するのです。
サクッサクッと歯に絡んで心地良く食感が
伸びるタラの芽の天ぷらに舌が喜んでます。

また、この時期はぐじが美味しくなる季節
なので4月に星野さんの席を運にも恵まれ
頂けた時はぐじの天麩羅がとても楽しみに
なるので有ります。

そしてぐじの天ぷらは鱗を間引いて用意。
鱗を間合い良く間引いてる故に
鱗が元気に屹立し鱗の破砕感が
綺麗にパリパリッと走って行く。

衣は極微量に付着させてるだけ
脂質は何処までも軽くフワッと
浮かせる感じの揚げ衣はぐじと
相性もピッタリ合い衣と一体化
鱗のパリパリ感と身の膨らみが
旺盛な身質の肉感とが交差して
見事な食感の調和を見せます。

薄く纏った揚げ衣の中に閉じ込められ
ぐじの旨味がフワンと囁きかけて来て
春の匂ひを放ちながらその身はハラリ
解けて舌に抱き付いて来ます。
ぐじは揚げ衣の中でしっかり蒸されて
膨よかな旨味が口内に広がり咀嚼時の
快感が妖艶なまでに舌を惑わせます。

星野天ぷらで何時も感じる事は
揚げ衣の粒子の繊細さに感銘を
受けて仕舞います。
粉質感がとても舌に優しく舞う
衣なのと小麦粉の細やかさにも
驚きますしサラサラ食感も素敵。
素材の美味しさを引き出しつつ
天麩羅の素材の持ち味を極める
完成度の高い一品に感銘でした。

●而今

9.お造り

◉明石の鯛
◉山葵
◉マルドンのお塩
◉酢橘

ピチピチの鯛には山葵と塩
もう一枚はお醤油を一滴で

お塩の粒子がとても細かく
擂り鉢で叩いたマルドン塩
塩の粒子が鯛の身肉の中に
瞬く間に溶け切り身全体が
しっぽりと舌に抱きつくも
塩味がジンワリ舌を惑わす

明石の鯛のお造りは流石と感じるほど
明石の激流に鍛えられてるだけあって
身質がしなやかに舌を撫でる鮮烈なる
舌触りに感動で狼狽えて仕舞いますね。

優しい弾力感が有りフワンと反発して
歯に直接に伝わる時の快感が堪らなく
食感の逞しさに感動してしまいます。
そして噛んだ時に淡白な肉質から滲む
旨みは山葵が負けてしまう程のもので
鯛の無垢な美味しさに舌が惚れ込んで
しまいました。
こんなに鯛の身を研ぎ澄まして淡麗な
旨みを引き出している匠の技に感銘。

10.お椀

◉鮎魚女の葛たたき
◉白子筍の穂先
◉蕨
◉梅肉
◉木の芽

吸い地を頂く前に鼻腔に漂う昆布の
馥郁たる香りにやられてしまいます。
そして唇と吸い地が触れ合いますと
何と言う憂いを含んだ吸い地なのか
感銘を超える味わいに陶酔致します。

その吸い地からは昆布の香りが浮き
フワッと広がり鼻に優しく突き抜け
引かれたお出汁は雑味なくクリアな
うま味に心を奪われて仕舞います。
舌が力強く惹き寄せられるもので
心底沁み入る優しく繊細な味わいに
感嘆以外の何ものも有りません。

お椀に張られた吸い地を啜りますと
淡く素直な澄んだ味わいがジワッと
口内に浸透して来て実に美味しい。
飲む程にしみじみとうま味が重なり
淡く丸い余韻を残していくのです。

椀種の鮎魚女は見事な迄の大きさで
優しい甘味を舌に落として来ており
その美肌は滑らかなヌメリ味と共に
口内では儚くも消えて仕舞いますが
その滋味深い味が椀の中に溶け出し
次第に吸い地の味わいを深めていき
心踊る味覚で悦びが満ちて行きます。
圧倒される美しさ淡麗さを印象的に
残す地の最後の一滴を飲み干しつつ
クライマックスが舌に訪れ図らずと
恍惚感に震えて仕舞いました。

●磯自慢

11.焼物

◉北海道桜鱒の桜寿(おうじゅ)の漬け焼き
◉刻み大葉
◉はじかみ生姜

北海道の桜寿ブランドの桜鱒のご用意で
塩焼きではなく漬けでの焼物となります。

二段重ねにて桜寿の漬け焼きを盛り付け
上側に乗っているが腹側の桜寿の身です。
下側の方の身が背側のものになってます。
腹と背の両方の桜鱒をご用意されてます。
この辺はお鮨の鮪感覚で言うと背トロと
中トロを頂いてる気分になり幸せを感じ
チョットお得な気分に浸りますね。

桜寿の漬け焼きは齧ってみると恰も鮭の
ハラスの身をジワリと火入れした感じの
仕上がり具合で身質の膨よかさから身が
しっとりと舌に絡みついて来て腹の方も
背の方もどちらも美味しくて堪らない。
ピッタリと身にへばりついている桜寿の
皮が兎に角凄く甘くて美味しで絶品です。

皮はパリッとしっかり火を入れて仕上げ
身の方は炭火の余熱でゆっくり火入れし
身肉の繊維を壊さずの優しい火入れとし
身のしっとり感を穏やかに演出している

皮目の裏側に張り付いてる脂質が甘く
パリッと焼かれてる為皮と身質食感の
落差も余計美味しさを膨らませてます。

炭の強火で表面だけ入れて後は余熱で
火を入れると言う焼き加減だと皮目も
身も上手くコントラストが演出出来て
とても美味しく桜寿が仕上がるとの事。

咀嚼してこのお魚の持ち味の引き出し方
味の引き立て方にも星野さんの非凡さを
感じる仕上がりに唸りました。

12.煮物

◉合馬の白子筍の直炊き
◉木の芽

単品の筍のお料理として此処迄素材の
味覚レベルを純粋に昇華させている点
更に筍の魅力をとことん迄極め品格を
感じる味と香りを引き出している事に
驚きを禁じ得ない。

筍は生炊きせずに直炊きされてます。
なので一番出しに筍の出汁が写って
筍の旨み甘味が浸し地にも出てます。

筍に箸をつける前に一口だけ地を飲み
その後で浸し地に筍を絡ませてお口へ。
お出汁からの滋味を筍に馴染ませつつ
筍自身の甘味がお出汁にも写り一緒に
お皿に盛り付けの浸し地が美味しいを
穏やかにお手伝いしてて実に味が舌に
染み染みと感じられ触れ合う度に感動。
更にその筍の上に木の芽が散らされて
ほんのりと刺激性が佇む香りが鼻腔を
擽って来て美味しさを膨らませてます。

筍は食べ応え感のダイナミズムが横たわり
透き通るような白子筍のザクザク感を満喫
此れは凄いわ、直炊きの威力がモロ出てる
これ程の小気味良い食感が筍のどの箇所を
齧っても満遍なく柔らかみを持ちながらも
歯応えの有る破砕感が訪れて筍のエキスを
甘く放ち気品溢れる穏やかな糖度が散乱し
甘味が芳醇なる味わいに満たされる思いで
いっぱいとなります。
ザクッと思い切り噛んでシャキッとし
フレッシュな噛み応え呼び込む快感が
あらゆる瞬間に交差し白子筍の絶品の
醍醐味を満喫させて頂きました。

筍自体のポテンシャルも相当に素晴らしく
その上に星野流の筍の磨き方なて滋味深く
甘味を深掘りしていらっしゃる故ホントに
屈託の無い無垢な筍の味わいを堪能させて
頂きました。

この何とも言えない大地からの恵みを感じる
ナチュラルな甘味と香りを引き出す技術には
感心して舌がメロメロに参ってしまいます。
誠に突き抜ける白子筍の美味しさには感動を
頂きました。

13.煮物

◉ぐじの桜蒸し

ぐじを道明寺粉で包んで餅米特性を活かし
桜の葉を巻いて蒸し揚げ山葵餡を纏わせて
すこし醤油を効かしてぐじを仕上げてます。

桜の葉は塩漬けされたもので巻いてるので
桜餅風の桜の葉から塩気が道明寺の甘味と
交わり同時に噴出する甘塩っぱさが何とも
舌を痺れさせて美味!

其処に山葵餡がまったりと穏やかに絡んで
実に奥ゆかしく甘味と旨みが募りパフッと
齧るとムニュッと道明寺が潰れたすぐ後に
ぐじの嫋やかなる白身が歯に曝け出されて
其の儘グッと噛むとハラリと解けながらも
ぐじの膨よかな旨みが絶え間なく舌に着地。

春の香り漂わせると共に道明寺のしっぽり
歯を包み込む優しさ纏うぐじの山葵餡掛け
香味と甘味と辛味が絡み合いつつ類い稀な
味わい深さが春を迎えておりました。

14.お食事

⚫︎山形県合鴨農法のコシヒカリを
土鍋で炊いた白ご飯
⚫︎卵かけご飯
⚫︎牛の時雨煮
⚫︎縮緬雑魚
⚫︎香の物
⚫︎赤出汁

[一膳目]

ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
全部のお供を乗せてから頂くのが好みです。
艶々コシヒカリの白ご飯と雑魚と時雨煮を
お口一杯に頬張って雑魚からの塩味と絡み
白米の甘さが引き立つ美味を貪る。
また
雑魚の塩味をピリッと感じつつも時雨煮の
甘美な牛肉の濃厚な味わいと合わせながら
その芳醇なるご飯たちをmogmogし極上の
味わいを楽しみます。

この少し辛くて鹹味が喉に渇きを覚える
耽美な甘さが煮詰まった時雨煮とご飯の
掛け合わせはホント絶妙な美味しさ感じ
星野さんの土鍋白ご飯の極上の美味さが
舌を離さず陶酔感さえ口内から漂います。
何時もこの牛時雨煮ご飯の美味しさには
舌が麻痺する美味しさで飽きないご飯で
お腹が許せば何杯もお代わりしたくなる
絶品ご飯なのです。

[二膳目]

二膳目は卵かけご飯と鰹節です。
卵は宇治の卵で卵黄のみを白ご飯の上に
ポチャリと乗せつつ周りにはたっぷりの
鰹節がフワッと乗せられております。
最近は時雨煮ご飯〜卵かけご飯が定番の
星野定食です。

お醤油を少し滴らせて卵黄をご飯に掻き混ぜ
ジュルジュル〜ッと頂いてお腹を満たします。
時雨煮ご飯から卵かけご飯時への流れも好み

鰹節の酸味がご飯の熱々な温感に溶かされて
お口に卵黄の甘ったるい瀞みと一緒に含むと
鰹節酸味と同期した口溶け感がパッと広がり
至福の卵かけご飯タイムとなり満足度の高い
〆ご飯のお食事となりました。

[三膳目]

三膳目はご飯と言うよりもお焦げです。
お焦げがまた実に美味しいのです。

炊き立てのご飯の残りを別の器に移し
土鍋の鍋底に張り付いてる白米たちを
再度強火で炊くこと約1〜2分です。
カリカリに炊き上がったお焦げに対し
お醤油をジュゥッと数滴を垂らしつつ
焦げた白米を滴らせて仕上げられます。

お杓文字で鍋底からお焦げを剥がして
お小皿に盛り付けて狐色に変色してる
お焦げが到着です。

お醤油の風味にお焦げのガリガリ感と言い
硬さ加減に破砕する時の歯切れの良さ等も
バランス良く整う見事なお焦げに感心です。

早速パリパリッと噛みちぎり醤油風味漂い
潔くて破砕感が伴う焼きおにぎり感覚風の
お焦げにパクつきます。

こんなにお焦げまで美味しいのは星野さん
だけかとつくづく感じてしまうのでした。

15.甘味

◉蕨餅
◉煎茶

黄粉が美味しい星野さんの蕨餅は
お土産に持って帰りたいほどです。
京都の本蕨粉がかなり高騰してて
最近では日本料理店で出されてる
蕨餅を頂く事は珍しくなってます。

本蕨粉で練り立ての蕨餅
粉質感が美しく舞う黄粉
舌が現を抜かしてしまいますよね。

⓯お土産

◉牛の時雨煮

牛の時雨煮をお持たせ頂きました。

冷蔵庫に保管しておいて
外食の無い日にお家ご飯

甘辛加減が忘れられなくなるほどの
美味ご飯となり舌が渇望に喘ぎます。

白米様と仲良く握手してくれる美味しさ
お茶漬けにしてサラサラと掻き込んでも
絶品な美味しさを家庭で味わえて嬉しい。
星野料理の片鱗を自宅で頂ける口福ご飯

星野さんの面影を自宅でも楽しむのが
密やかなお楽しみとなります。

2025/04/10 更新

23回目

2025/02 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.9
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

一寸丹心の構えにて素材と会話し明鏡止水なる心構えにて臨む逸品達のおもてなしが育む至高のお料理


■訪問日 2025.2.5(水)20時半〜22時30分

■お任せ ¥50,000
お酒とお土産の時雨煮含む会計¥73,200

■ご予約 年間予約

【2月のお献立】

先月一杯迄は正月メニューとの事でした。
今月はそのお祝い気分の名残を感じつつ
本格的な冬料理へと舵を斬られて珍味が
満載のお料理で特に豊後水道の虎河豚は
全ての部位をお料理に饗して河豚三昧を
満喫させて頂く贅沢な献立となりました。
冬のご馳走がわんさか登場で清楚ながら
雅な華やかさ香るお料理が記憶に留まる。

1.先付

○粕汁
・大根
・人参
・京揚げ

星野さんの粕汁はこれまた別格の味わい。
春の走りを感じさせてくれる名品ですね。

飛切りの酒粕を使ってその酒粕をお出汁で
溶いて作る酒粕スープの様なニュアンスの
一品となります。

なのでお酒の甘味と香りがまた凄く良くて
フワァンと香る芳しさは居心地良く粕汁の
中に舌を其の儘暫く留めたくなりつつ甘く
舌を解してくれると共に外気で冷えた身も
心もほっこりと暖めてくれて嬉しい感じの
スタートなります。

ジワッと舌に寄せて来る酒粕の香味との
甘味とが気品に溢れて同居し一口啜ると
つい、舌とのうっとりする触れ合いには
とことんお付き合いしたくなる美味しさ。

その粕汁を啜っているとまったり食感と
酒粕の芳しさと汁自体の甘味が交差して
ぞっこんに惚れ込んでしまういい味わい。

粕汁の中には大根人参の短冊と京揚げが
散らされて酒粕と一緒に頂くと風味良く
お酒っぽい味付けが馴染んでいて咀嚼が
自然に進んでとても美味しなのです。

更にお燗の飛切りを合わせますと飛切り
同士が共鳴し合う感じとなり粕汁飲んで
また更に飛切りを交互に飲み合うと言う
口福感に包まれた酒肴に舌がやや興奮し
粕汁の有り難味を心より満喫致しました。

◉飛切り 御燗で

2.前菜

○唐墨餅
○蕗の薹の揚げ浸し
○海鼠とこのわた

唐墨餅は焼き餅の中にしっとりとした
唐墨が射込まれているタイプでお餅の
こんがりと炭火で焼き上がったお餅の
表面のパリパリ感に釣られて唐墨との
珍味が同調し始めて一緒に口内で蕩け
お餅の甘味と唐墨の珍味塩味が交わる

お餅をついたもので唐墨を巻いてます。
唐墨と一緒になったお餅をほんのりと
お醤油を纏わせ炭火焼きでこんがりと
焼いてますので唐墨餅を一口齧ったら
途端に醤油風味が香ばしく立ち込めて
食欲が湧いて来ちゃいます。

噛むとパリッと唸る破砕感の心地良さ
更にグッと齧ってお餅と唐墨を一緒に
引き千切ると噛んだ時の振動がとても
快い響きを伴いつつ歯を喜ばして来る

唐墨餅の中の唐墨は相当に分厚く餅と
比べると7:3くらいの比率で唐墨勝ち

更に咀嚼を続けてると唐墨がジワッと
身溶けして来てその珍味だけで燗酒を
スッと煽って仕舞い唐墨とお燗だけの
マリアージュで素敵な快感が芽生える

新物の唐墨は凄く鮮度は抜群のもので
しっとりお餅と馴染み合い乍ら絡んで
此奴はかなりヤバくてお餅を齧りつつ
中の分厚い唐墨を少し残しておいて
チビチビとお燗を嗜みさせて頂く事に
させて頂きました。

唐墨を頂くと珍味の印象が根深く後を
引いて来る故次の珍味も欲して仕舞い
海鼠腸の誘惑に導かれ抗えずなのです。
コリッとする絶品赤海鼠に海鼠腸とは
恰も共和えの様な珍味の配置には舌が
唸りっぱなしとなって仕舞うのである。
海鼠腸自体が新物なのでとても綺麗に
海鼠腸珍味が口内にら舞い降りて来て
この珍味にもお燗がピタッとお似合い
いやいや実に酒のアテとしては幸せな
ひと時を頂きました。

此処で少し味変をお伺いしたくなって
蕗の薹へ手を出し前菜の〆に頂きます。
蕗の薹は揚げ浸しにしてからお出汁で
炊いてます。
蕗の薹を頂いてみると咀嚼した途端にも
ジュゥッと蕗の薹からお出汁が滲み出て
同時に蕗の薹の持つほろ苦さがジワッと
染み出して舌に快く着地する。
しっぽりと春の走りを感じさせてくれて
蕗の薹の揚げ浸しから仄かなほろ苦さが
フワァンと浮き上がって来る実に上品で
蕗の薹の個性を堪能させてくれる名品で
噛み締める度に蕗の薹から苦味エキスが
ジワァッと滲み出して妙味が舌を訪れて
この世が春めく様なニュアンスの香味に
うっとりしてしまうのです。

実にバランス良く纏められた前菜に舌は
小躍りし続けて口福をいっぱい頂く酒の
アテに付き合わせて頂いて存分に酒肴を
楽しみました。

3.お凌ぎ

○根芋の吉野煮

冬の星野料理名作シリーズより定番中の定番
根芋の吉野煮となります。
此れが登場しないと舌が寂しくなって仕舞う
此れだけは何時来ても出会いたいと思う逸品

何時もの通りに根芋と吉野葛の相性に加えて
生姜からのツ〜ンとする刺激がお口の中にて
小躍りし吉野葛の淡い甘味と根芋の繊維感を
くっきりと際立たせて来ます。

一口頂くとトロリと吉野葛が舌を撫でて行き

ねっとり感
ほっこり感
まったり感
諸々の食感が安堵と共に舌にすり寄って来ます。

シンプル素材の根芋を素直に吉野葛と一緒に
穏やかに直炊きされており生姜と炒子出汁の
旨みが穏やかに募る名品

甘味と言い
瀞みと言い
辛味と言い
旨味と言い

味覚のハーモニーが完全に同調律を一致させて
この完成度の高さに舌が唸るばかりです。

そしてご一緒頂く飛切りの燗酒が吉野煮と誠に
似合いの味わいとなり穏やかな愉悦が舞い降り
喜びが膨らんでおりました。

4.珍味

○虎河豚の焼き白子
○酢橘
○浜防風

豊後水道の愛媛側の八幡浜で獲れた虎河豚
天然のもので3kg超えの大きい奴です。

ぷっくりふくらんでる焼き白子さんが鎮座
突くとお皿の上でプルプルンと揺れる様な
感じで厳かに佇んでおります。
箸先でプチュンと白子の皮を突き破りたい
衝動に駆られております。
その誘惑には中々抗えずとなり
純白の焼き白子の端っこの方を先ず箸先で
厚みのある皮をプチュンと突いてみますと
皮の厚みに手応え有りと感じて其の儘皮を
破ってトロ〜ンと流れる中身を軽く掬って
少しの白子を舐めてみようかと思い立って
皮が分厚い事に気が付いて意外にも白子の
薄皮が抵抗感が張り箸先に力を入れないと
上手く剥がれずでチョット手こずるのです。

此れは逆に考えると炭火が白子の皮に良く
火が入り薄皮を厚目に仕上げてる故に皮が
分厚くなってると言う事で皮を咀嚼すると
心地良い肉厚感が伴う歯応えが健やかなる
食感を呼び中の白子の瀞みと快適な共演と
なっており白子珍味と瀞みから快楽を呼び
幾度も白子をプチュンと破り味わう悦びを
満喫させて頂きました。

天然物の白子はクリーミィなる口溶け感と
珍味が抜群に募り然もトロ〜ンとする身は
旨みに重厚感が確りと感じられる濃厚さで
トロ〜ッと蕩けてくる白子の味わい深さに
この上無い愉悦を感じて口福に包まれ乍ら
喜びいっぱいの味わいを頂きました。

更には塩味の施し方と言い
焼き加減の皮の厚さと言い
白子の醍醐味全てが集まり
白子の魅力をとことんまで
追求されている一品でした。

その白子を引き続き崩してパクッとお口に
放り込んでみると今度はペロンと舌に張り
付いて白子のトロトロの白身が熱々のまま
奥ゆかしい珍味を口内に投げて来るのです。
甘美なる珍味と皮の食感に振り塩の塩味が
口内で交差し舌を悩まして来て滅茶苦茶に
美味しさと陶酔感がどんどん芽生えて来る。
此れは飛んでも無くヤバい酒のアテとなり
お酒がグイグイ入ってしまいました。

兎に角、目の前の焼き白子様は
このサイズ感とお口に含んだ時の熱々感と
お口の中でブチンと皮が裂けてトロトロ〜
と蕩けて白子が溢れて来る快感に舌が震え
夢見心地となって仕舞うのですよ。
もう、ぷよぷよの白身が激うまうまに蕩け
その官能的な珍味に舌がメロメロとなって
遂には恍惚状態となってしまう程頬っぺた
落ちまくり状態で叫びたくなる程の美味に
感謝して拍手喝采となるのでした。

5.お造り

○鉄刺
○鉄皮
○鮟肝

・河豚葱
・おろし
・ポン酢
・酢橘
・塩

活きの良いピンピンに元気な鉄刺と鉄皮たちに
お供する薬味の中でも鮟肝の見事な珍味振りに
舌が驚いちまって全くこの鮟肝だけでグイッと
飲みたくなって仕舞うほどの逸品となります。
鮟肝は余市から鮮度優れたものを選んでますが
丁寧に血管とかを取り除き少々の酒とお醤油に
漬け込んでやんわりと鮟肝を蒸した後で暫くを
干して寝かせて仕上げておられます。
とても綺麗な甘味と珍味が完璧に同期し鮟肝の
持ち味を研ぎ澄まされて全く雑味の無い珍味が
同居する甘美な旨みを発揮するお薬味なのです。
なので絶品鮟肝はその儘酒の摘みとしても秀逸。

鉄刺も素晴らしく元気な弾力でコリコリ感募り
その鉄刺に鮟肝添えて河豚葱も巻いてパクッと
行くと口内では滅茶苦茶に逞しい肉感と淡白な
旨みが行き交う珍味に一目惚れしてしまいつつ
鉄刺の身がプリプリ感の肉欲で乱れるエロさを
感じる艶めかしい弾力感に舌も歯も悩まされる。

更には鉄皮のボリューム感のあるご用意に感動。
身皮も鮫皮もとうとうみも皿上に満載に盛られ
どの一本も無駄にしたく無いほど噛み心地から
得られる快感が口内を駆け抜けて喜びが訪れる。

またポン酢も清々しい酸味を鮮烈に運んで来て
オーガニックの橙の果汁100%のみで酢とかを
入れずに作ってるのでとてもフレッシュ感等が
鉄刺を纏って身肉の逞しさにピタリと寄り添う。

そしてお薬味の中で未だ試してないものが有り
其れはお塩と酢橘が手付かずの儘だと気が付き
早速残りの鉄刺に塩をパラリと一摘みだけ振り
その上から酢橘を一滴だけ搾って酸味を落とし
酢橘塩に鉄刺を馴染ませてからお口へパクリと
放り込んでみます。
んん、塩味との相性が凄く良くて淡い旨みには
ジンワリと忍び寄って来る感じの酸味と塩味の
共演が鉄刺の味わいをキュッと深掘りしちゃう。
もうね、舌が小躍りしちゃうくらい美味しい〜!
舐めると途端にジュワンと口溶けする塩なので
流石は当り鉢で肌理細やかに叩いただけの事は
有ると思えるお塩なのです。
お塩一つでも無駄にせずきちんと手を加えてて
塩味を何処までも大切に慈しんでいらっしゃる
その直向きな姿勢に感嘆を覚えます。

6.揚げ物

○河豚の唐揚げ

河豚の唐揚げがゴロリと2つも皿上に
骨付きの姿態で寝そべっております。
その堂々たる勇姿に舌も心惹かれる魅惑の
迫力満ちる外観に欲望がどんどん募ります。

その唐揚げを見つめて感心するのは
サイズ感が半端無い虎河豚の唐揚げ
骨付きのままでゴロンとお皿の上に
堂々と鎮座する唐揚げを手掴みして
勢い良くガブリと歯で齧り付きます。

下味も生姜醤油の風味が気品溢れる
味付けにて河豚の逞しい肉感が漲り
歯応え十分な旨みが口内で暴れます。

揚げ物は常に油の温度管理と衣の状態との
鬩ぎ合いの様相を呈する事になる訳ですが
温度感が大切とは言うものの温度計とかは
使わずに其処はお料理人の経験値で揚げて
油の温度管理を為さっている様です。

揚がったばかりの河豚の唐揚げのうちの
熱々の一つを手掴みして骨付き唐揚げを
ガブリ齧るとダイナミックな肉感が訪れ
先行する衣の美味さに狼狽えてしまう。
衣が分厚く迫力のある噛み答えに下味が
とても美味しくて堪らなくなります。

衣の皮に下味をつけて有り皮の美味しさが
引き立つ一品へと仕上がってるからこその
妙味に舌が驚嘆してしまいます。
一方、身の方は身欠の綺麗で淡白な状態で
火を入れてる為に味わいは薄い揚げ方にて
仕上がってます。
故に揚げ衣との一体感を楽しみ皮と身を一緒に
ガブリと噛み切って食べるのが美味しい食べ方
との大将からのお言葉を頂きその通りガブッと
齧り付いて夢中となって仕舞いました。

然も粒子のきめ細かい葛粉で揚げておられて
こんなに迫力漲る衣を作り上げてしまうとは
唐揚げの常識を覆す感じの旨み濃厚な衣には
ほとほと舌が感嘆しております。

衣は齧る度にザクッと破砕感が迸り
これこそ河豚の唐揚げの醍醐味かと
感無量で躍動する肉肉しい食感との
狭間で飛び交うジューシィなエキス。
骨の髄まで全部しゃぶり尽くしたい
衝動がどんどん溢れて来て無我夢中
となりますね。
正に貪り尽くすと言う感じで小骨に
へばり付いてる肉片の残りカスまで
美味しく舐め舐めして卑しくも全部
綺麗に残さず食べ尽くして大満足の
境地に至り感動の味覚を頂きました。

7.お椀

○焼きぐじ
○鴬菜
○松葉柚子
○礼文島の昆布出汁

お椀に張りますのは何処までも淡い地味
利尻礼文島の香深の昆布を使われてます。
その一番出汁で引いており香深昆布から
うま味も香味たもに優れて穏やかに佇む。

吸い地が綺麗に研ぎ澄まされており
シャープさを感じる美しさを放って
昆布が誠に淡麗で枯淡の趣を感じる
うま味が舌に寄せて来ます。

どこまでも淡く深い所から忍び寄り
昆布の淡味が澄み切って佇む吸い地
雑味が除かれ繊細でキレのある味覚
吸い地だけでもご馳走となりますね。

此方の椀盛も実に上手な構成で河豚の
唐揚げの後に少し舌を宥める感じにて
焼きぐじを椀種としてご用意を頂いて
唐揚げの力強さから一気に薄いものへ
変わると言う感じでは無くて力強さを
仄かに残す様なニュアンスの焼き物の
ご用意でお料理の味わいをスムーズに
運ぶ様に舌を感動と喜びが絶やさずに
美味を繋げて行く構成力の作り方とか
配慮に感心しちゃうのであります。

また、
ぐじの焼き加減の見事な火入れにため息が出ちゃう。
其の儘椀種でなく焼き物として一品でも食べたいと
思える仕上がり具合と完成度に唸ってしまう代物で
咀嚼時の膨よかな旨みの広がりには感銘を覚えます。

ぐじを一口食べようとして箸先を付けるとハラリと
身が解けつつ焼いた香りが椀盛から漏れて来る所が
又いい感じで味わいに広がりを見せ舌を喜ばせます。
昆布の香りが先行する様な美味さが近付いて来てて
其処に同時に展開する焼きぐじの皮目のお焦げ感が
とても香ばしく漂って来て欲望を掻き乱してきます。

兎に角焼きぐじの秀逸さに驚くと共に
良〜く舌に神経集中して味わってると
ぐじの焼く箇所や部位の立て方から
皮目を焦がす箇所と焦がさない箇所
脂を落とす部位に落とす脂質の分量
落とさない部位に閉じ込める分量と
それらを緻密に計算し乍ら焼いてる
そしてぐじの白身を解した時の身の
柔らかなる身質に同期する膨よかさ
其れ等の全てが巧みに合流して放つ
美味妙味に感銘を受けるのである。
そして
稀有なぐじの身肉が持つ繊維質から
零れるぐじの淡い旨みには舌も歯も
互いに触れ合う時に弾力する食感の
躍動感が伴う美味しい活力の全てが
重なり合い調和して来ておりました。

◉鄙願
新潟の銘酒で清らかにお口を洗わさせて
頂きました。

8.焼き物

○能登の寒鰤の照り焼き
○酢橘
○おろし
○お醤油

お皿の上には焼きた立ての鰤と酢橘とおろしが
綺麗に三等分に分離配置されて重ねる事は無く
個別に三つの素材が落ち着き払って座ってます。
この配置は理由が有り先ず食べ方のご指導から
始まります。

お皿の上の脂汗がキラリと光っている寒鰤を
眺めてしまいますと直ぐにその鰤をパクッと
食べたくなりますがその誘惑を少し辛抱して
食べる手順のご説明となります。

狙いはお客様の手前で鰤大根をご自分で完成
させると言う遊び心の有る料理感覚を楽しむ
みたいな気分で味わいを満たしてくれるもの。

斯様な趣向はかなり好みで星野大将がご用意の
至高の素材を一つ手前で未完成状態の一皿にて
ご用意されて最後の一手を自分達で完成させる
そんな楽しい料理趣向を体験させてくれるのは
大変有り難い一品となりますし自らの手により
星野料理の一端を担うなんて光栄至極の感じで
とても喜んでしまいます。

さて、ご指導は先ず寒鰤の上に大根おろしを
乗せてその上から酢橘の搾り汁を数滴落とし
最後にお醤油をポタリと滴らせて鰤大根完成。
盛り付けたおろしとご一緒にお口にパクッと
行っちゃって下さい、とのお達しとなります。
なのでお言葉に従いおろしを添えて酢橘及び
醤油で味を整えるカタチにてパクッと行くと

んん〜、お口の中で一気に妖艶かつ
清々しい味とタレの甘味とおろしの
爽やかな妙味が目まぐるしく交差し
とても鮮やかに味覚が活き活きとし
舌を歓喜に導いてくれております。

所謂ブリ大根仕様のタレ焼きとなる
ヒトサラにて寒鰤の旨みも去り乍ら
お椀でほっこり舌を癒してくれた後
意外性が伴うガツンと豊満な旨みの
味わいが膨れて来る感じと相対する
おろしのサッパリ感とのギャップに
打ちのめされちゃいますね。

照り焼きの仕上がり具合の崇高な事!
能登の寒鰤は血合いも織り交ぜながら
甘ダレを馴染ませて備長炭で焼きあげ
じっくりと星野特製のタレが寒鰤との
相性が抜群でジワッと染み入る旨みと
甘味の交流が誠に馴染み合うものにて
鰤大根を極上の美味に昇華させてます。

寒鰤は契約先の地元漁師さんより直送し
その漁師さんの方は昨年よりお付き合い。
何でも金沢のすし処めくみさんの大将が
お魚を任せている漁師さんで魚の処理が
大変優れていて鮮度が大切に保たれる様
処理をされると言う事で紹介して頂いて
今年より手に入れているとの事でした。

やはりお魚の処理を聞いてみますと
釣った直後に船上での血抜きを施してる為
魚臭さとかエグ味の匂ひとかが全く無くて
鮮度抜群に無垢な状態の旨みが劣化しない
お魚の旨み自体にも濁りとか穢れ等が無く
真に魚の本来所有している持ち味を無垢な
儘の状態でお店に届くと言う事らしいです。

よって大将曰く
この寒鰤も血合い臭さが全く無いものにて
素晴らしい身質が活き活きしているとの事。
特に今年は鰤が豊作で当たり年なので
一度お料理に使ってみたかったとの事。

もうね、一切れ目を食べた瞬間に鰤の
鮮烈な身質の純粋さに驚いちゃうデス。
更にその鮮度抜群の寒鰤に施されてる
照り焼きの色合いが仄かに身質全体を
ムラなく染めて美しい肉肌を保つので
実に眺めていると食欲を唆るものです。

2切れ目です。
端っこの方の一片を箸先で少し崩すと
ハラリと解けて中の純白な白身が見事
其れをキュッと歯で踏み込んでみると
特製の甘だれがジユッと唸り口内では
寒鰤の身質と甘ダレと化学反応が起き
旨味極まりコクもグッと溢れ美味しさ
颯爽と駆け抜けて行く。
その鮮烈な味わいは全く臭み嫌味等が
一才感じられずピュアな寒鰤の味わい
驚くべき妙味が舌を突き抜け甘味との
共鳴が鳴り響いて止まないのです。
旨味も甘味も際立つ逸品だなぁと感心。

また、星野流の火入れも独特でその寒鰤も
火から間を置いたり外したりし乍ら丁寧に
焼か上げてますので焦げ目などは皆無です。
寒鰤の身の皮目に近辺の血合いとか何かも
生き生きとして身の香ばしさも芳醇に漂う。

この寒鰤を齧っていると鰤の身質の
フレッシュな旨みが舌にジンジンと
訪れて来る美味しさだけは無限大に
広がる美味となってたまりませんね。

寒鰤らしからぬしっとりとした身質に甘美な
美味さが全身に染み渡り脂質も軽妙に飛ばし
程良い焼き加減の身を咀嚼して初めて感じる
旨味溢れる肉感と脂質と香りの三拍子揃った
美味がずっと舌を揺さぶりとても軽妙で鰤の
少し重たく感じる肉質の嫌味等が全く皆無な
美味しさを堪能した大満足の寒鰤でした。

9.焚き合わせ

○丸大根
○京菊菜
○明石の鯛の中骨で取ったお出汁
○黒七味

お大根の甘味が良く引き出されていて
どの部分を齧ってもサクッと柔らかく
ジュワ〜ンと甘い汁が溢れ出て来てて
その穏やかな甘味に舌が甘えちゃう程
実に麗しき味わいなのである。
斯様にお大根を甘美な装いで調理され
ご用意出来ちゃうとは凄い事だと感銘。

その丸大根がホロリと解けて滲み出す甘味
散らされた黒七味の刺激がピリッと甘味の
輪郭をクリアに際立たせ共に大根の甘味を
キュッと引き締めちゃう巧妙なアクセント

出汁の地味深さ溢れる浸し地から京菊菜が
意外にもシャキッとしなやかに繊維が踊り
歯触りが心地よく響いて瑞々しい食感との
共鳴に憂いを覚えて心ゆく迄この淡い味の
嬉しさが膨らんでいる。

ホロホロに柔らかいのに崩れずカタチが
きちんと整ってる丸大根のお姿にも感動。
お口の中に入れると解けて崩れる大根が
淡い滋味を舌に寄せつつ出汁のうま味を
口内に満たしている。
こう言う味わいは舌の琴線に触れて来て
ジ〜ンと来ちゃいホッと一息して安堵が
ゆるりと広がって行くのです。

お大根の調理についてお話を伺って見ました。
仕込みがとても大変そうで大根に対してさえ
真剣そのものの取り扱いに驚いてしまいます。
お大根の筋を全部避けてカットされてる様で
その繊維の筋にエグ味や苦味が集まってる為
態々其処の部分を見分けながら丁寧にカット
大根から嫌味な部分を全て削除してお出汁に
じっくりとコトコトと馴染ませると良い味が
滲み出る様になりお大根の持ち味の甘い味が
全体から浮き上がり何処を齧っていても甘く
美味しい味が極自然に零れ出る様になるとの
事でした。
此れも年々追求してる内にそう言うカタチに
進化したと言う事で毎年素材を深堀りしてる
星野大将だから言える言葉と痛感致しました。

また、
この焚き合わせに使うお出汁も鯛の骨が無いと
拵えれないので今月は鯛茶漬けのご用意が有り
鯛の骨を取っておくことが出来たと言うことで
大根もご用意する事ができたと言う事の様です。
成る程、お料理のメニュー構成により素材との
交流も色々変わるのだなと改めて感心する次第。

更にお話を伺うと
もう少しだけ深めて炊くと大根から恰もおでんの
様な香ばしさが滲み出て来るので其れも美味しい
との事でした。
本日のは其処までは深くないので優しく甘味だけ
引き出したものに仕上がってますとの事でした。
やはり此方の大根の焚き合わせも2月いっぱいが
限界との事で3月ですと大根が無くなって来る為
2月で終了となるそうです。

今月は河豚尽くしに大根に鯛茶漬けと言う構成は
年間通してもかなりレアな星野料理となり喜びも
倍増となって2月の珍しい時期に訪問できたのは
チョット嬉しい気分に浸り切って仕舞いました。

10.お食事

[一膳目]

○山形県合鴨農法のコシヒカリを土鍋で炊いた白ご飯
○松阪牛の時雨煮
○山椒雑魚
○香の物
○赤出汁

ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
全部乗せして満足度の高き一膳目を頂く。

ホクホク艶々の白米と山椒雑魚をお口一杯
頬張り雑魚のボソボソ食感の楽しさを感じ
山椒のピリッとする刺激を同時に頂き乍ら
絶品の牛の時雨煮の甘美な味わいに包まれ
ふわふわご飯をお口の中に放り込んでから
その芳醇なる時雨煮の甘味をご飯と一緒に
mogmogして極上の白ご飯を頂く口福感の
広がりが舌に訪れ大満足となります。

この少し辛くて喉に渇きを覚える味わいに
耽美な甘さが煮詰まった松阪牛の時雨煮は
一度咀嚼し始めると麻薬の様に忍び込んで
舌を離しません。
何時もこの時雨煮の美味さには感銘を覚え
幾度も食べたくなるので在庫に余裕有れば
お土産に頂いて帰る事にしております。

[二膳目]

○白ご飯
○鯛の切り身
○擂り立ての胡麻だれ
○鯛の骨で取ったお出汁
○揉み海苔

本日は一年に一度しかチャンスが巡って来ない
鯛茶漬けを頂けるとあって期待に胸が膨らんで
ワクワクしながらご飯の用意を待ちます。

お膳の上にはシンプルに白ご飯を盛り付けた
お茶碗と鯛の切り身に綺麗なオレンジ気味か
鮟肝の色に似ている配色が鮮やかな胡麻だれ
其れ等がセットされて手前に運ばれます。

大将曰く
先ずはお茶漬けにする前に鯛の切り身と胡麻だれで
鯛飯を召し上がって見てください、とのお達し。
お言葉に従い其の通りに胡麻だれたっぷりの鯛飯を
お口に頂こうと思いましたが其の前に胡麻だれ様が
とても香り高き匂ひを放ち誘惑して来るものだから
胡麻だれと白米様だけで一口を頂いてみようと言う
気になり胡麻だれご飯だけを頂いてみました。

そうすると何と刺激的な味わいがプワァッと拡散
この胡麻だれだけの白ご飯だけでも軽〜く一膳は
行けてしまいますね。
胡麻だれ塗れのご飯を咀嚼しますと胡麻だれから
旨みと甘辛加減の絶妙なバランス感覚に富む味が
舌を直撃してホックホクのご飯との相性は抜群で
白米の甘味と胡麻だれの刺激が見事に合体します。
更に胡麻だれの胡麻風味が香ばしい匂ひで鼻腔の
周りを虚にさせちゃうほどの魅惑的な佇まいには
胡麻だれご飯を食べている間中はうっとりでした。

そして更にその胡麻だれをたっぷりと掛けた鯛の
切り身をご一緒させていよいよメインの鯛飯へと
進んで参ります。
鯛の切り身を二切れ白ご飯の上に胡麻だれと共に
乗せまして、少し胡麻だれを混ぜ混ぜしながらも
鯛の切り身と白ご飯をご一緒頂いてお口の中へと
投入して参ります。

んん、これも唸るわぁ〜、鯛の切り身の弾力度?
と言うのか反発力と言うのか身質のしなやかさと
共に訪れる滑らかな肉肌からの舌触り感覚と歯に
反発して来る弾力の噛み応えが快感を呼び

また、これで鯛の切り身が無くなっちゃう、との
心配はご無用で鯛茶漬け用には別途で新鮮な鯛の
切り身を別皿にご用意されます。

つまりは鮮烈な鯛の切り身と胡麻だれとのコラボ飯を
先に頂いてその後鯛茶漬けを振る舞うと言う二段構え。
鯛ご飯の醍醐味を存分に味わって貰おうという趣旨に
とても舌が賛同して嬉しい悲鳴をあげてしまいます。

さて、いよいよお待ちかねの鯛茶漬けが届いて
胡麻だれたっぷりに浸した鯛を乗せた白ご飯の
上からお出汁をサラサラ〜ッと注いで頂きます。
みるみるうちに鯛が白濁して鯛の切り身が少し
温められてホクッと切り身に火が入りほんのり
ピンク色の肉肌となり艶かしさが漂います。

また、胡麻だれも濃厚な甘辛から少しサッパリ
とした濃度が和やかな胡麻だれ味へと薄まって
茶漬けらしさが募る美味しさでザクザク〜ッと
鯛茶漬けを掻き込むと、んん〜此れはヤバイぞ
となる妙味が軽快に走り抜けていく鯛茶漬けで
大満足のお食事に舌が喜びまくっておりました。

11.甘味

○善哉(北海道の大納言)
○白餅
○煎茶

最後のお料理は甘味の善哉で〆となります。
本日頂きましたお料理全てに共通する事ですが
全ての素材の味わいが雑味無く研ぎ澄まされて
引き出されておりその完成度の高さに驚嘆する。

12.お土産

牛の時雨煮をお持たせ頂きました。
此れをおうちご飯で食べてみると
時雨煮の味が濃厚に米粒に染み渡り
甘辛加減が忘れられなくなるほどの
美味ご飯となり舌が渇望に喘ぎます。

白米様と仲良く握手してくれる美味しさ
お茶漬けにしてサラサラと掻き込んでも
絶品な美味しさを家庭で味わえて嬉しい。
星野料理の片鱗を自宅で頂ける口福ご飯
抱腹絶倒して仕舞うので有ります。

2025/02/21 更新

22回目

2024/10 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

緩急も自在に秋味を操る至高のお料理

■2024.10.5(土)20時半〜23時00分

■お料理 お任せ ¥55,000税込
お酒時雨煮お土産代含む会計¥69,200税込

■ご予約 年間予約にて

1.先付

◉愛知の伝助穴子
◉阿房宮の菊花椀
◉引き立ての出汁

今月は重陽の節句に因んで菊花のお椀から

愛知の伝助穴子を塩を少し強めに焼き上げ
利尻昆布のお出汁をシンプルに張った小椀

椀には鮮やかな菊花が散らされ雅な佇まい
目にも鮮やかな黄色い花弁は苦みも少なく
独特な芳醇さと甘味で地を染めてます。
昆布出汁から引き出す地のうま味が無限と
思われる様な淡麗なる味わいで伝助穴子を
穏やかに支える
地が凛とする鮮やかな淡味を見せると共に
焼き穴子からは寄せるキリッとした塩味が
地の中で揺蕩う
その焼き穴子を咀嚼すれば何処迄も穴子の
膨よかさと地の中に有ってもパリッとする
皮目が活き活きしているのには驚嘆する。
地のうま味に染まりゆっくりと解ける穴子
咀嚼してる時も芯が通り身質はしっかりと
咀嚼感を頂けて元気な身肉が歯を捉える。
お出汁に浸ってもちっともふやけてしまう
様な事はなく身をギュッと塩して焼いてる
からなのか、歯応え十分な穴子の身肉から
旨みが弾けるのである。
地の穏やかさと椀種とも言える穴子の身の
裸がとても元気良く曝け出された美味さは
堪らなく舌を陶酔させる世界へ誘います。

穴子も菊花もお出汁も全てが纏まりながら
奏でる美味を堪能して圧倒的な満足を頂く
ひと時を楽しみました。

2.お凌ぎ

◉海鼠腸の飯蒸し

こんな絶品ご飯の馳走が頂けるとは
嬉しい限りで頬っぺたは落ちまくり
かつ
海鼠腸の珍味度が口内で上昇する中
更に心地良い塩気が舌を刺激してる。
堪らず天領の一合瓶をクイッと煽り
酒に溺れてしまいたくなります。

海鼠腸からは程良く潮風が淡く寄せ
さり気なく珍味が餅米を引き立てる
その白米と海鼠腸珍味の塩梅が良く
口内で互いの甘味と珍味が交差して
絶品飯蒸しを完成させておりました。

そして

餅米の上からは海鼠腸がジンワリと
餅米に馴染み親しみつつ珍味が覗く。
一口の飯蒸しを含むと海鼠腸珍味が
ジワッと舌に忍び寄り餅米がそれを
自然に受け止め海鼠腸の香り珍味に
旨味全ての味覚要素を含んだ個性を
餅米がしっかりと受け止めています。
そして餅米だけでも旨味と甘味とが
交差して主張して来る美味しさとが
曝け出されて絶品の一品に仕上がる

海鼠腸自身のうま味を上手に餅米の
中に閉じ込み海鼠腸とご飯を仲良く
バランスも良い味を引き出してます。

んん、噛めば噛む程に餅米の甘味も
海鼠腸の珍味も舌をを唸らせており
限りなくこの幸せタイムが続けばと
思ってしまいました。

□伯楽星

3.酢の物

◉柿なます胡麻和え

海鼠腸珍味で舌を刺激して未だその
鮮烈な余韻が残ってる間に丁度良く
胡麻の甘味が舌を少し休めて下さい
と言わんばかりに秋の味を忍ばせる
柿なますがしっぽりと嬉しい味わい。

小鉢の中の胡麻和えを箸先で摘んで
チョンと舌舐めずりして甘〜く香る
胡麻和えは上品な味わいで舌を誘う

咀嚼して柿なますをシャリッとして
舌を小躍りさせて燥いでおりました。

4.焼き物

◉鼈山椒焼き

服部中村養鼈場の鼈を醤油垂れ焼きにて
絶妙の味付けと焼き加減で頂く至福の鼈

此れは堪らなく欲望が渦巻く一品
炭火でこんがりと焼きあがってる
お皿の上にドン!と鎮座された鼈
目が釘付けとなり山椒の香り舞い
齧り付きたくなる誘惑に駆られる

中村鼈の養殖は人工冬眠させているので
脂質の癖も嫌味等も全く感じない無垢な
油性分となり脂身が真っ黄色の全くの所
混じりっ気の無い甘い脂質の味わいにて
グニュっと噛むとダイナミズムと上品な
旨みが交錯する味わいに舌が興奮してる。

やっぱりモノも良いですが炭の火入れも
抜群に鼈の旨みを引き出すやり方で鼈の
の余計な脂分を適度に飛ばし脱水させて
肉の旨みをギュッと詰めてる感じがする。
故に焼き鼈を噛んだ時のふっくら食感と
ジュワッと噴き出す脂質からの旨みとが
同時に舌を訪ねて来てメッチャ美味し!
激動の美味しいが怒涛の如く口内に流れ
歯がガツガツと一所懸命に動いて貪る。
そんな勢いで食べ尽くそうとしている。

ガッツリ手掴みしてガブリと行く
んん〜、何と香ばしい肉感なのだ
テカテカ鼈だれの甘さ加減も良い
炭の香りと山椒の香りが交差する
鼻からスカ〜ッと匂ひが抜けます。
山椒が効いて鼈の肉肉しい旨味を
ピリ〜ッと引き締めて来ますね〜
この鼈ダレが程良い甘味で幾重も
塗られてて咀嚼してると肉肌から
濃度薄まらずジワッと浮き上がる
其れが鼈の逞しい躍動的な肉質の
旨味と見事な程馴染んで舌が唸る。
更にプルップルのゼラチン質から
脂質がトロリと口内に蕩けて来て
艶かしく舌を撫でるともうダメだ
ウゥ〜んまぁいとなり陶酔の中へ
迷い込んでしまいます。
かつ、
猛々しい肉質感がお口の中に充満
鼈のお肉自身が傍若無人に暴れて
肉の旨味が迸ります。
もう、舌が肉感的な脂質で溺れて
その快感で目が回るほどに美味い!
骨迄しゃぶり尽くして少しふっと
お口を休ませると高揚感が離れて
食い尽くした充足感でいっぱいで
大満足の余韻が訪れておりました。

5.合肴

◉毛蟹の茶碗蒸し
◉生姜

何ともお上品な地味が通う玉地を頂いて
一口をお匙でプルプルンと揺れる玉蒸し
玉地の天には毛蟹の身と生姜が添えられ
美観も静かな美しい黄金色で佇んでます。

先ずは玉地だけをそっと掴んで木のお匙で
お口に運んでみます。
ん〜鰹の滋味が何とも美しく揺蕩ううま味
とても優しく淡く綺麗に整えてある玉地の
香りと地味深さに舌が痺れてしまいますね。

茶碗の中を探すと毛蟹のほぐし身を見っけ
身がいっぱいに玉蒸しの中に詰まっており
どっちが主役?と勘繰りたくなる様な仕掛
天辺に乗ってる毛蟹の塊肉を玉地と一緒に
お口にパクリと頂き毛蟹の甘味と地味との
交流を心ゆく迄楽しませて頂く。
その後玉蒸しをお匙でひっくり返しながら
解し身と合わせてお口に頬張るくらい匙に
山盛りしてパクッと頂きトプトプと舌鼓に
満足して少し気分はうっとり。
そして此処でもこの地味深い味わいにお酒
冷んやりと冷淡な切れ味の良い日本酒がね
勝手に進んでしまうんです。
この茶碗蒸しの地味深さに釣られて仕舞い
ついお猪口に手が伸びてしまいますね。

その蒸し加減の旨いのも天下一品です。
玉地のうま味が滋味深くて毛蟹の甘味を
生き生きとさせて来るしジワジワ〜ッと
舌に玉蒸しの甘味とが交互に攻め込むし
玉地と毛蟹のバランスの良さに負けます。
穏やかなる地味が何処迄も続いて全部を
頂いた後に引く余韻の素晴らしさが大変
印象に残るモノでした。

6.箸休め

◉冷製無花果田楽

2時間半ほどじっくり蒸した無花果に
山利の白味噌で田楽を頭より慕わせる
そんなあしらい方にて無花果の甘美な
味覚を無限大に引き出している一品。

無花果の甘味も
白味噌の甘味も
無花果の冷感も
ジュウッとする瑞々しい食感と
お口の中に溢れる耽美な味覚が
無限大に口内に広がり続けます。
全部の甘さが融合して舌を陶酔
美味極まる世界にいざないます。

冷んやり無花果に白味噌の甘味が重なる
無花果と田楽と言う素朴な素材同士との
紡ぎ合いは相性がパーフェクトな甘味。
無花果が別格の味わいの果実に変化して
無花果のジュクジュクした甘味はトロリ
舌に溶け込んで来ると共に耽美な香りの
白味噌田楽がこれまた秀逸な仕上がりで
見事に素材の味覚同士が同調して来ます。

白味噌はベースに山利のものを使われて
卵黄と煮切り酒と砂糖で合わせたものに
仕立てて粘性が程良く絡むまったり感が
舌を滑らかかつ円やかに這う様に仕上げ
味わいがフワッと浮き上がり無花果との
ジューシィな果実味が舌を当惑させます。
無花果の名作と切に感じる逸品でした。

7.揚げ物

◉岩手 松茸フライ パン粉
◉イカリソース 酢橘
◉祖父江 新銀杏素揚げ

揚げたての松茸フライを一本ドテッと
皿上に置くのではなくちゃんと一口の
サイズ感で傘の胞子が口内に香り高く
飛ぶ様に味わいを楽しむのに丁度良い
手頃な大きさでカットしたもので用意

こう言うあしらいの肌理細かい所が
やはり嬉しくなるものですね。
お隣様には松茸フライにピッタリと
味も風味も寄り添うイカリソースが
これまた今かとお待ちかねです。

そして松茸フライの濃厚な芳しさと
芳醇な風味を頂きながらお口直しと
なる新銀杏の素揚げも良い感じにて
松茸フライを繋いでくれます。
ほんのチョコっとした味変の仕草が
フライ料理の油っぽさを少し宥めて
飽きが来ない様に味覚をおもてなし
流石と感じる一品の感性に感嘆です。

フライは傘の開いた方の松茸部位を
カラッと揚げていて衣を飛び越えて
芳ばしく薫る松茸フライに仕上がり
サクッと噛むとパァンと胞子が散り
口内に舞い上がる松茸胞子が香味を
拡散して其の儘舞い散り鼻に抜けて
その香ばしさにうっとり陶酔します。

更に秀逸な味覚を提供するのが隣の
小皿に用意されたイカリソースです。
実に松茸フライとの相性の良さでは
このソースが一番かと思います。
松茸フライが持つ全ての美味しさを
何処迄も限りなく付き添いフライの
特性を余す所無く引き出して美味を
一緒に高めて完成させているソース
これ程迄に松茸フライにお似合いの
ソースは恐らく無いのでは無いかと
痛感する強力な助っ人でも有ります。
そのイカリソースには松茸フライの
先端をチョコンと浸し濃厚な刺激を
フライに纏わせて齧り付きます。
ザクッと噛んでジュワッと噴き出る
イカリソースの甘辛の刺激と松茸の
香味が味覚のテンポを同調させ乍ら
絶品なる妙味を披露して行きます。

また歯触り食感も頗る気持ち良くて
ザクザクッと響くパン粉の食感から
松茸の軸をギュッと噛み込んでから
ジュワッと舌を唸らせる松茸特有の
うま味が弾け出されて貴重な妙味を
満喫させて頂き興奮を覚えます。

特にお口から松茸の香りがフワァ〜ンと
抜けて行く時の快感が堪らなくなります。
衣の中に松茸の香りが止めどもなく溢れ
齧った後の松茸の繊維質からジュワンと
瑞々しさを伴った松茸の個性的な旨味が
歯に舌にどんどん染み込んでくるのです。
其れ等がグルグルお口の中で衣と一緒に
踊りまくるのです。
舌がアッと言う間に感動の味わいに興奮
食べ終わっても暫くは強烈な余韻に浸り
残香を惜しむ様に余韻に浸ってました。

8.お造り

◉明石 紅葉鯛
◉伊勢海老
◉紅蓼
◉山葵
◉海老の髭の松葉
◉花穂紫蘇
◉酢橘
◉マルドンのお塩を叩いたもの
◉土佐醤油

この時期、真鯛が紅葉の色合いを帯び
美しく秋の色紋様に衣を纏い欲を唆る
そのお姿に恥じぬ紅葉鯛の名を冠する
身はキュッと引き締まり脂が乗り切り
しなやかな身質が豊満に讃えている。
にも関わらずその身を咀嚼してみると
舌触りサラサラとしてしっぽりと舌に
スッキリと絡んで来て労りの身質には
癒しを感じるものが芽生えます。
この白身に
土佐醤油に酢橘を絞って酢橘醤油とし
其れに山葵を少し溶かし紅葉鯛を浸し
ほんのりと甘辛い刺激を添えて頂くと
紅葉鯛が旨味を露わに曝け出して来て
極上に美味しな事美この上無しである。

次に別の切り身に粒子の細やかな塩を
チョンと漬けて頂いてみる。
マルドンの塩は美味し過ぎるくらいの
ウマミが感じられるものにて舌触りも
めちゃくちゃ軽くて美味なる味わいが
紅葉鯛の淡いうま味をグッと引き立て
噛めば噛むほど塩味と調和して旨うま。

マルドンのお塩はすり鉢で当て叩いて
粒子状に細かくした後に炒って仕上げ
塩分のウマミが繊細に浮き上がる様に
施しているとの事でした。
こんな調味料までお料理の一つとして
仕込んでいて素材の働きを高めてから
ご用意されているとは凄い。

更に伊勢海老の身質を咀嚼すると
身がねっとりと舌に絡んで妖艶な
旨味の虜になってしまいますね。
山葵だけとの相性が良くて抜群に
伊勢海老を引き立てて来ますよ。
此れは素晴らしい味わいに沈黙

伊勢海老の嫋やかなる旨味
鯛の生命力漲る逞しい旨味
ガップリお造りの四相撲に
舌が唸りっ放しとなる味に
翻弄され続けておりました。

9.小鍋仕立て(椀代わり)

松茸様の味わいを3通りのご用意にて
頂ける貴重な小鍋仕立てに舌が大喜び

しかも小鍋の〆は鱧松の名コンビと言う
クライマックスに向けて味わいを深めて
徐々にテンションが上がる様な仕掛けで
舌をたっぷりと松茸に染めてくれます。
この深淵なる配慮に感嘆しちまいます。

❶松茸のお出汁

一品目は松茸で取ったお出汁を頂いて
ジワリ松茸の香味とうま味が行き交い
その芳しい匂ひに唆されて嗜む味覚の
地味深さに舌が震えて仕舞います。
何処迄も美しくも研ぎ澄まされている
松茸の風味が全く雑味の無いうま味で
舌に染み染み寄せて来ております。
この深みのあるうま味がジワジワ〜ッ
啜れば啜るほどに淡く松茸のうま味が
口内に広がり其の儘舌が陶酔感に浸り
我を忘れてしまいそうになります。

斯様に淡くも奥行きが広がり美味極まる
お出汁が舞い上がる地味を味わえるとは
遥かに想像を超えてきました。

❷松茸の軸 酢橘

2品目は松茸の太めの軸の部位を出汁と
ご一緒に染めてジワッと松茸のうま味と
香りがお出汁に写りかつ出汁が軸の方に
染み入って松茸自身のお出汁で軸の方に
磨きを掛けて松茸の風味を深掘りしてる
そんな感じに仕立てて松茸の軸を上手く
あしらっており実に風味の良い味わいを
頂きます。

本日はお椀のご用意が無くその代わりに
此方の小鍋仕立てにて松茸の一品の用意
酢橘と塩を一振りして味を整えておいて
松茸の味覚を良く引き出した一品となり
舌を喜ばせておりました。

❸鱧と松茸の小鍋

鱧は葛打ちを施して松茸と地味と合わせた
小鍋仕立てとなり鱧松の秋味を最高潮まで
昇華させてクライマックスを迎えています。

鱧の葛打ちに松茸も大きなのが鍋に入って
鱧の骨で取った出汁と松茸エキスが小鍋に
流れ込んでます。

取り皿の方にお鍋から鱧と松茸を少しずつ
取り分けながら香りの漂いを堪能して鼻も
お口も喜びで満たしてくれています。
少し松茸を食べて酢橘を鱧松の汁に滴らせ
仄かに酸味を加えて頂きます。
酢橘が絶妙な迄に鱧松のうま味にピタッと
照準が合い美味が極まる味わいに歓喜する。
鱧鍋の方はたっぷりと地味に浸され染まり
鱧の旨味に勢いがついて来ております。

噛んでも舐めても美味しい鱧松茸の小鍋に
秋味の風味を満喫させてくれる一品に感銘。

咀嚼する度に歯応え感がとてもvividに
反応して来る鱧と松茸に写されたうま味と
香りの交差が創り出す極上の美味は至福の
味わいとなって舌を喜びで満たしてました。

10.焼き物

◉真魚鰹の幽庵焼き

お酒と醤油と味淋の塩梅が絶妙な幽庵地に
お時間をかけてゆるりと浸し地に馴染ませ
炭でこんがり皮目は飾りを入れて地が中に
染み込む様に仕掛けて幽庵のうま味を浸透
火入れによる脱水効果も手伝って真魚鰹の
持つ本来の膨よかさが鰻登りに駆け上がる

真魚鰹は焼き上がった瞬間に幽庵地をタレ
焼きする様な感じで纏わせて真魚鰹に地を
馴染ませて味を絶妙に整えています。

炭火で皮目はこんがりと焼かれて狐色に
悩ましく染まってストレートに入ってる
皮目の飾り模様から幽庵地が白身にまで
満遍なく染み渡っている様子が目に付く
とても上手に幽庵地を纏わせているのに
驚いちゃう繊細な地の施し様なのです。

とても香り高き幽庵地の華やかさと甘味に
惚れ惚れしちゃうほどジワッと滲み出てる。
皮目も柔らかい感じで幽庵地が沁みており
噛むと実に良い塩梅で地の妙味が舌一面に
染み渡り痺れるほどの美味しさが訪れます。

幽庵地が濃厚な迄に真魚鰹を巧みに操り
白身の旨味をグッと引き上げております。

此処迄の満足度の高き秋のお料理を頂き
真魚鰹の一品を食べながら感じたことは

緩急の構成
甘辛の構成
温感冷感の流れ
一品一品の完成度
さり気無く地味深さを突き詰めて
味覚を真摯に追求しての味わいは
美味しい要素が巧みにマッチして
舌を刺激し続けクライマックスに
向けて纏って行く所が素晴らしい。
良く設計されてるとも感じますし
仕込みも実に丁寧に雑味を払って
出来栄えには非の打ち所が無いと
言っても過言ではないでしょう。

□日日

11.煮物

●小蕪吹き寄せ
●松茸の軸と傘
●伊勢海老の味噌

お酒とお出汁で伊勢海老の味噌の
甘味珍味度を深掘りさせてて実に
舌を幸せにする美味さに昇華させ
その味噌味で松茸や海老の小角に
刻んだ物たちを纏わせ乍ら小蕪を
穏やかに炊いててその甘味の側に
寄り添う様に味噌の珍味を慕わせ
とても小気味の良い味わいにして
舌をじっくり納得させる美味へと
誘う一品に完成させておりました。

□而今

12.お口直し

◉ぐじの栗蒸し 利平栗
◉山葵

故西大将の伝統の秋味の名作です。

これ程の美味を奏でる麗しい秋味の
名作を復活して頂けるとは幸せです。

秋味は松茸ばかりじゃ無いと言い放ち
ほっこりと葛餡が舌を癒してくれつつ
秋味の甘いのも美味しいよと主張して
お口に幸せを運んでくれる一品です。

利平栗を裏漉しした栗パウダーを
ぐじに纏わせてから温かい葛餡を
上から纏わせて天に山葵を添えて
秋味の一品を仕上げられてます。

葛餡にサラサラの栗パウダーの塊が
瀞みを帯びて餡に馴染みつつ和栗の
甘味が溶け合って甘美な味覚を舌に
トロ〜リ穏やかに届けてくれます。

その栗のパウダーが餡と入り混じって
此れも絶妙な塩梅にてぐじの膨よかな
白身をゆるりと追いかけて来るのです。
そして
その耽美な和栗の甘味に包まれての
ぐじが豊満な姿態を曝け出して来て
栗の餡に抱かれてぐじの旨味と調和
蓮華でぐじを少し弄るとハラリ解け
解けたぐじの身が栗の餡に馴染んで
和栗の甘味とぐじの白身が同調する
その甘味が忍ぶ妙味が堪らなくなり
その儘何時迄も口内に美味を留めて
置いて欲しい欲望に駆られて仕舞う

ぐじの栗蒸しの醍醐味を堪能させて
頂きお口の中は口福感でいっぱいに
なりました。

13.お食事

❶星野定食

●山形県合鴨農法のコシヒカリを
土鍋で炊いた白ご飯
●牛の時雨煮
●山椒雑魚
●香の物
●赤出汁

ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
全部乗せして一目散にお口に掻き込むのが
美味しくて堪らない食べ方なのです。
お口の中でグルグル時雨煮や雑魚や漬物が
目まぐるしく駆け回る美味しさは言葉には
出せませんがめっちゃうんメェ〜ッと叫び
たくなりますよ。
ホクホク艶々の白ご飯と雑魚をお口一杯に
頬張って実山椒の刺激もピリッと感じつつ
絶品時雨煮の甘美な味覚に染まる白ご飯を
その芳醇なる時雨煮の甘味と一緒に咀嚼し
極上ご飯の乳化を満喫致します。
少し鹹味も滲み甘味が濃厚な牛時雨からは
喉に渇きを覚える感じの甘さ加減が絶妙で
星野ご飯との相性が良過ぎ時雨煮をご飯に
ぶっ掛けて頂くのが一番美味しいのです。
耽美なる甘味濃度がギュッと詰まっている
牛の時雨煮はお口中に麻薬の様に忍び込み
舌を惑わして翻弄し続けます。
何時もこの牛の時雨煮ご飯の美味しさには
舌が翻弄されてしまいます。

❷卵かけご飯

◉宇治の卵黄
◉鰹節

星野さんの定番でもある卵かけご飯は
シンプルに卵黄に鰹節の振り掛けです。

お醤油を少し滴らせて卵黄をご飯に掻き混ぜ
ジュルジュル〜ッと頂いてお腹を満たします。
時雨煮ご飯から卵かけご飯時への流れも好み

鰹節の酸味がご飯の熱々な温感に溶かされて
お口に卵黄の甘ったるい瀞みと一緒に含むと
鰹節酸味と同期した口溶け感がパッと広がり
至福の卵かけご飯タイムとなり満足度の高い
卵かけご飯となりました。

❸お焦げ

お焦げをガリガリッと土鍋の底から掬い
親方の杓文字から小皿に分けて頂きます。
カリッと噛んでバリバリィンと歯で割り
お焦げを破砕して砕け散る歯当たり感が
滅茶苦茶潔い快感を呼び込み醤油味との
相性もバッチリの妙味を満喫致しました。
次に残りのお焦げを茶漬けの中に沈めて
ジワッとお焦げが身溶けして解けて行き
柔らかくなって焙じ茶に染まるお焦げを
しんなりと頂くのも一興なのです。

最後の最後まで楽しませてくれる仕掛けと
引き出しの多様性には驚嘆して仕舞います。
誠に嬉しい満足感が余韻として留まり身も
心も満たされたひと時を頂きました。

14.甘味

●蕨餅

15.お土産

牛の時雨煮をタッパーウェアに詰めて貰い
翌日の朝餉用のご飯にて星野料理の一旦を
楽しめる嬉しいお土産をGETしてから終了。

2024/10/30 更新

21回目

2024/06 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

夏の走りを満喫させてくれる旬の素材を惜しげも無く馳走頂く至福のひと時


■2024.6.27(木)20時半〜23時00分

■お料理 お任せ ¥45,000
お酒と時雨煮代含むお会計¥63,000

■ご予約 年間予約にて

1.先付

●兵庫三田の新芽の蓴菜
●蝦夷鮑 三陸
●飾り胡瓜
●土佐酢と酢橘果汁とお醤油
●山葵

星野さんの蓴菜は何でこんなに清々しく
ヌル感が口内で育まれるのだろうと毎年
この時期に来ると考えさせられてしまう。
新芽と言う事もあるでしょうし三田でも
かなり秘境の地に育つ蓴菜にてのご用意
産地の特性を見極めての仕込みと推察し
蓴菜の中でも秀逸な逸品のみを見極めて
仕入れを行う素材力が有ると言えます。
素材には妥協を決して許さず拘りの追求
だからこそ素材の訴求力に加え星野流の
調理で磨きが掛かった時の味覚が鮮烈に
生き生きとして美味しかなるのでしょう。

蓴菜は酸味が適度に施された出汁に浸り
ヌル感がプルンと揺れて新芽付きの奴を
蓮華で掬って口に含みますと蓴菜が舌と
トロンと滑らかに戯れあって楽しくなる
そして
食感のコントラストが抜群に響きつつも
蓴菜珍味を健やかに伸ばして来ています。
三田の蓴菜は農家の方が新芽付きだけを
採取して厳選されているとの事。
だからでしょうか。
蓴菜のヌル感は膨らんで飛び抜けており
新芽の力強い繊維感も伸び歯応え十分の
ものに感じて咀嚼感が堪んなく美味しい。

更に
蓴菜に合わせ三陸の鮑が瑞々しく食感を
伸ばして来る対照的な歯触りが実に旨し!
鮑からコリコリ感が歯にvividに響き
蓴菜のヌル感とのコントラストが伸びて
其処に土佐酢と酢橘の酸味がシャープに
同調して来て舌と歯へ口福感いっぱいに
着地して来るのです。

蝦夷鮑はコリコリする食感にミネラル感
ある香りと味わいが清涼感を増幅させて
蒸し暑い初夏の時期にぴったりの一品に。
季節感溢れるお料理に顔が綻びますね。

蓴菜と鮑の持ち味を存分に活かし切って
多様な食感のハーモニーが創造して行く
妙味が溢れつつ舌を何時迄も喜びの渦へ
導いておりました。

◉飛切り 常温で

2.鰻の飯蒸し

●博多湾の海鰻
●お出汁で蒸し上げた餅米
●木の芽

海鰻は炭火の地焼き風に焼かれて
その火加減から鰻の身質への火の
入り方を調整してふっくら仕上げ

鰻は地焼きされて皮への火入れは
決してパリパリにするのでは無く
ふっくらとした身質感を作り出し
この海鰻の分厚い身の膨よかさを
良く引き出しておられます。
皮も決して関西風のパリッとする
ものでは無くふっくら気味にして
噛み心地もとてもフワッとしてる。
火の加減だけで身質を豊に表現し
決して蒸したりはしないで火入れ。
海鰻は地焼きするにしても炭火で
パリッパリにしない方が美味しく
海鰻が豊富に含んだゼラチン質が
生きる火の入れ方で焼きを調整し
皮はほんの少しだけパリッとさせ
皮を焼いているのだけれど完全に
焼き切らない様に火を入れる様に
優しい身質感を作り出しています。

天然物なので個体差が発生します。
その辺が経験と共に段々と理解が
進み鰻への火の入れ方を勉強して
焼き加減で身のふっくら感を整え
地焼きでも柔らかめの仕上げとし
個体に合わせる様にしているとの
事でした。
毎回毎回焼くたびに違うので正解が
無い火入れなのだそうです。

鰻は2枚重ねで贅沢な振る舞いの飯蒸し
此処は一枚目の海鰻をしっかり味わって
鰻様のみを単独でお口に投入しパフッと
噛みつきムフフとニンマリして頬っぺた
落ちまくって素直に喜びに浸ります。

しっかり地焼きされた海鰻は皮目も繊細に
パリッとして咀嚼時の破砕感が爽快に響き
皮目も身質もしっかり肉付いており極太な
旨味が漲り生命力が溢れる美味さを如実に
感じる海鰻で咀嚼が自然に進み激うまです。
これぞ鰻の醍醐味だと言う迫力を感じます。

そして2枚目は餅米とご一緒させて頂いて
餅米がしっぽり歯を包みモッチリ食感伸び
膨よかな身質の旨味を最大限に引き出して
完成度が美しく贅沢感が溢れる飯蒸しです。

皮目と密着してる身質をホクホクに仕上げ
そのエネルギッシュな身が自ら捩れるほど
鰻の持ち味が零れて来る美味さを満喫する。

絶妙な火入れのバランスが生み出す旨さは
海鰻らしい野生的な肉感が豊満に漲るもの
海鰻をこれ程昇華させてしまう星野さんの
火入れのチカラに舌が痺れちゃいました。

[鰻への慈愛溢れる火入れ]

海鰻の蒲焼に使う星野流特性の鰻ダレは
味醂とお酒と濃口を1:1:1の比率にて
色々試行錯誤しながらその日入荷の鰻が
最高の出来栄えになるように調和させて
海鰻の身質の豊かさを自然に発揮させる
甘味の緩急を整えて鰻の皮目に腹側にも
丹念に刷毛を入れて念入りに馴染ませて
山椒の香りを付けながら繰り返し炭火を
入れると言う作業を繰り返す火入れの妙

故に咀嚼した時に少しだけパリッとする
心地良い破砕感が歯に届きますが全体は
身がふっくらとしてフワッとしながらも
身肉の力強さを感じる弾力感がいっぱい
漲る海鰻の蒲焼なのです。

とても心地良くスムーズに響きながらも
コク深い甘味が同時に舌に上乗りしてて
この蒲焼の海鰻を極上の味わいで迎える
事が出来るものだと感激致しました。

[味覚のグラデーションに戸惑う]

海鰻の身はホクホク感が極まる鰻本来の
味わいを見せて来ています。

鰻ダレの甘味と山椒のツンと散る刺激と
モチッとする餅米が絡みつつ調和し合う
海鰻の膨よかさが餅米と一体感を醸成し
味覚のグラデーションが進んで行きます。
この海鰻のポテンシャルを限界領域まで
出し切って仕舞う火入れの見事さに圧倒
海鰻を調理する匠の技に感服致しました。

3.お凌ぎ

●ほうれん草の軸と山梨の岩茸の胡麻和え

胡麻が秀逸で煎りたての胡麻を擂り鉢で
当てると芳しい油がパチンと弾ける様に
胡麻ダレに仕上げて行きますとこう言う
香ばしさと滑らかさが調和する胡麻ダレ
に仕上がる様です。

ほうれん草の軸は瑞々しくシャキッとして
絶妙な食感で青い香りに混じり胡麻からも
フワンと微風の様に香りが届いて香り三昧
その甘味達を纏ったほうれん草は季節感を
感じるほうれん草で青みがかった美味さが
際立つ一品となっておりました。
そして、岩茸と胡麻の相性も抜群に馴染み
既に胡麻茸と言っても過言ではないほどの
馴染み具合で舌を喜ばしておりました。

4.芋茎の吉野煮

京味系のお店では伝統の名作の一つ
芋茎を炒子出汁の吉野葛で直炊きに
味わい深く食感も整えている一品。

炒子が優しいお出汁のうま味を整え
葛餡に纏われた芋茎の繊維を和める
この葛で溶いた炒子出汁の餡を飲み
何故かホッと心が安堵するのです。

芋茎のザクッとする咀嚼感が響いて
歯を気持ち良く迎え入れてくれ乍ら
舌が葛餡のトロ〜リ感に満たされる。
芋茎と言う無機質な味を葛の粘性と
炒子出汁のうま味で装いつつ生姜の
アクセントだけで爽やかな味に整え
舌を納得させてくれております。

何の変哲も無い根菜を一本一本丁寧に
仕込みつつジンワリと穏やかに出汁を
馴染ませて瀞みと共に嗜む伝統の一品
こう言う作品を名作と言うのだと痛感。
芋茎との出逢いが待ち遠しくなる料理。

5.蒸し物

●三陸 蒸し鮑 500g越え
●肝ソース

鮑は殻付きのまま蒸したものでご用意
ホクホクに湯気立ちしているご立派な
鮑を星野大将が丁寧に一枚ずつカット
お皿に2枚重ねて盛り付けられます。
その上からコッテリとして正に珍味が
零れていると言った感じの綺麗な肝の
おソースをタラ〜ッと滴らせて完成。

一つその鮑スライスをコリッと噛んで
途端につくづく気品に溢れる蒸し鮑と
出逢えて幸せ者だと舌が直感してます。

その蒸し鮑の切り身は肝ソースを纏い
うま味と珍味をたっぷり吸い付くして
自身の肝ソースに磨かれて美形を整え
切り身一枚を齧ってるだけで口福感が
訪れて来て興奮している自分の舌へと
戸惑いを隠しきれずなのです。
鮑を齧っていると
プリップリのコリコリ感で満たされて
歯に舌にも絶品なる旨味が突き刺さり
その美しさは肉感が張って鮑の旨味と
共に芳醇な香味を旺盛に飛ばして来て
舌を全く無視してるかの如くに勝手に
美味を振り撒いて散って行って仕舞う。

肝ソースがまた絶品なので有る。
もう、全て素材の持てるチカラを磨いて
研ぎ澄まされた味覚を如何なく発揮させ
舌を驚異に満ちた味わいで纏わせて来る
驚きと興奮に狂いたくなるほどの美味に
呆れて仕舞いますね。

鮑は殻ごと辛口のお酒と昆布と少しの
お水だけで蒸しててその際に滲み出た
エキスだけで肝を伸ばされてます。

なので鮑の肝を鮑のエキスで磨いていて
全く雑味の無い無垢で清らかなる珍味は
濃厚な山葵色に輝き乍ら見ているだけで
その美形な色合いに惚れ惚れして仕舞い
より一層鮑への想いが募ります。

その肝ソースと共に蒸し鮑を頂きますと
肝ソースの美しい珍味と共にコク深さが
濃厚に相乗して鮑を讃えるかの様に纏い
齧る度に堪らない旨味がジワッジワッと
何重にも重なり舌に訪れて来ます。
肝ソースがトロ〜ンと鮑をコーティング
味も香りも食感も一体となった一品から
何処までも華麗で美しい珍味と旨味との
グラデーションが輝いておりました。
この蒸し鮑を頂いている最中全くもって
言葉を失って仕舞いました。

更にサプライズの用意が有り用意周到な
星野大将の心意気に感謝したくなる。
鮑を食べ切って残るのは肝ソースのみ。
何と此処で鮑は終りかと思ってましたが
この肝ソースが未だ残ってますので良く
パンが欲しいとか言われるとの事なので
名残の肝ソースのお掃除用にと小さ目の
鮑の切り身をチョコンと用意頂いており
それを小皿に置いて下さりこの鮑で残る
肝ソースを掬って下さいとのお言葉です。
感謝感激して絶品キモソースを最後まで
食べ切る事が出来て大満足でした。

6.箸休め

●利尻の馬糞海胆と雉羽太のお出汁ゼリー

鮑の後に海胆の一品を持ってくるところが
月並みではなくて大海の中で同じ餌を食べ
育っているので味覚の繋がりが秀でており
お料理の味わいとしての連続性が自然な為
鮑〜海胆への連携プレーに舌が歓喜してた。
味覚の奥深い所で旨味や珍味が繋がるのが
とても奥深い感じの味覚の絆を直感します。

お料理は
雉羽太の出汁のゼリーが海胆を冷んやりと
纏い海胆の甘味珍味を巧みに引き出すもの。
見事な味覚のコラボレーションを演じつつ
雉羽太の中骨から取った一番出汁ゼリーに
纏われた蝦夷馬糞海胆が爽やかに清涼感を
伴い舌の人肌温感でジュワ〜ンと蕩ける。

雉羽太の出汁の旨味の濃度の深さに加えて
雑味が無くて透明感が綺麗に伸びる海胆の
味わいに舌がうっとりとして陶酔しちゃう。

そして馬糞海胆は香りと味覚がしっかり
してお出汁のうま味がその風味を優しく
包み込んで馬糞海胆らしい珍味度を増幅
広がりを持って滋味深さがジワァ〜ッと
舌に染み込んで来るのです。

ゼリーの旨味と馬糞海胆の珍味が見事に
活性化してハーモナイズする美味しさで
舌を弄び初夏に相応しい涼風を靡かせて
味覚を楽しませて頂きました。

7.揚げ物

●虎魚の葛粉揚げ
●えんがわの葛粉揚げ
●万願寺唐辛子の素揚げ
●お出汁が効いた天汁
●一味

虎魚は葛粉が粒子も肌理細やかに塗され
揚げ立て状態はフワッフワな感じの一品
見るからに肌理の細やかさが見て取れる
葛粉揚げにてかなり粒子が繊細なもので
揚げておられます。
この辺は天麩羅の専門店でも余り使用は
しないかと推察されます。

付け合わせの万願寺唐辛子は素揚げにて
万願寺の持ち味を傷めずのご用意です。

粉の粒子感やフワサクの食感異なる2品
咀嚼のコントラストがくっきり浮かんで
歯を楽しませてくれる揚げ物の食べ比べ
此れは嬉しくなる揚げ物のご用意に感謝

虎魚へ顔を近づけると食欲唆る油が薫り
その誘惑に負けて虎魚の一片を一口だけ
齧ってみました。

身の部分だけをサラリと揚げて白身が
丸っ切り無垢な身質で一切の雑味無く
仕上がっており極旨の味わいに感激。
サラリと衣の粒子も揚げられた虎魚は
火が満遍なく白身の中まで届いており
咀嚼してますとホクホク感が舌に響き
天汁に浸った衣は濡れ加減もしなやか
ゾクっと来るくらい食感が伸びてます。

そして感動する間もなく
虎魚を敢えて天汁にどぼん!と浸しつつ
虎魚の綺麗で雑味等も屈託も無い美しい
旨味が天汁の滋味深さでグーッと昇華し
極上の美味が舌に訪れております。
いい意味で気取らず頂ける揚げ物ですが
一口一口が実に最高峰の揚げ物の美味さ!

また、万願寺唐辛子は甘味と青い香りが
グッと主張しお互いのバランス感も絶妙
なのがとても微笑ましく感じられました。

そして白眉だったのがドボンした天汁です。
天汁と言うよりお出汁に近い浸し地の様な
ニュアンスに仕上がっているのおつゆにて
お出汁に味醂と薄口を合わせて鰹節を少し
落としているだけとのお話しでした。
その調味の配分比率や温める温度等により
絶妙なうま味が佇むお出汁になるのかとも
推察致しますがお素麺のお汁に近い感じの
天汁に仕上げてるとの事でした。
天麩羅を生き生きとさせて活性化する様な
そしてその出汁の味で素材を優しく繊細に
コーティングして染み染み舌に響いてきて
天麩羅をより一層絶品の味わいに昇華して
美味しいを最高潮に昇らせて行きました。
その天汁が実に愛おしくなり最後は一滴も
残さず飲み干して仕舞いました。

天汁の旨味と繊細な葛粉の食感の間で
広がる虎魚の妙味は飛んでもなく美味。
凄い凄いレベチの美味さで咀嚼を促し
揚げ物レベルの美味さが突き抜けます。
ホント、舌殺しの葛粉揚げの揚げ物で
虎魚の味わい方の常識を覆してしまい
天つゆと衣の関係すらも次元を超えた
一品でした。

8.お造り

●アコウ(雉羽太)
●浜防風
●酢橘
●マルドンのお塩
●お醤油
●山葵

本日のアコウはそれ程は脂が乗らず
意外とサッパリな身質なので酢橘が
合う感じです。

大将からは塩酢橘がお勧めとの事

マルドンの塩も美味し過ぎるくらいの
ウマミが感じられるものにて舌触りも
めちゃくちゃ軽くて美味!
何でもお塩はすり鉢で当てて粒子状に
細かくしてから炒って仕上げてるとの
事でした。
こんな調味料までお料理を施していて
素材への働きを完璧にご用意してます。

そしてアコウです。
夏の河豚と言われる元気なお魚です。
夏場は鯛が良くないので代わりにと
アコウが美味しくなる季節との事で
この時期にアコウを珍重される模様

身は程よく締まりブリッとした弾力
食感と共に優しく力強い旨味を発揮
咀嚼を止めたく無い程の淡い甘味が
グッと舌の心を鷲掴みしちゃいます。
其処に
円やかなマルドン塩が優しく纏って
お塩の野性味がほんのり露わに出て
その鹹味が活き活きとしてアコウの
生身に響いて淡味をピンと際立たせ
アコウの膨よかな身をキュンとして
締めてくれます。
お塩の効果が抜群に伸びてアコウの
旨味をジワリと曝け出して舌が喜び
堪らなく咀嚼が楽しくなります。
このマルドンのお塩効果にかなりの
感動を覚えました。

更に
このお塩を酢橘の酸味で溶かし酢橘塩として
アコウにポトンと滴らせると底味と酸味とが
アコウの身の奥から浮かび上がって来る様で
身質の淡白さに輪郭を与えてしっとりとして
しなやかな白身の旨味を誘い出しております。

また、
お醤油も御殿場の天然醸造もので甘味が
丸くてソフトな味覚を佇ませた醤油です。
お醤油と山葵の甘辛加減も良くアコウに
馴染ませてやると旨味が健やかに膨らみ
味覚が単に美味さを深めるだけで無くて
アコウの身を丸い味覚に伸ばし涼しげに
舌に囁いて来ておりました。

どれもこれも秀逸!
お造りに限らずでどの一品も共通にて
舌が全然飽きず仕舞いで味覚の緩急や
変幻自在に素材の味を引き出すチカラ
その秀でた作り手の妙技と匠の技には
ため息が出て絶句しっ放しなのです。

9.お椀

●淡路の牡丹鱧
●三田の蓴菜
●梅肉
●酢橘の皮

綺麗な姿でお椀に浮かぶ牡丹鱧は
牡丹の花が咲き誇ってる様に見え
その佇まい自体が芸術品に見える。

淡路の鱧は今年は6月の頭より使い始めて
今くらいになりますと大分良くなってきて
食べ応えも油も乗って鱧の旬が整えられて
来ていますとの大将よりのお言葉。
そんな頃合いのいい時期に来る事が出来て
嬉しくなります。

先ずは気高く芳しい吸い地を頂きます。
昨年より昆布を礼文島香深のもので引いて
地味深いうま味がより深遠さを増してると
感じられます。

吸い地が綺麗に研ぎ澄まされており
シャープさを感じる美しさを放って
昆布が誠に淡麗で枯淡の趣を感じる
うま味が舌に寄せて来ます。

どこまでも淡く深い所から忍び寄り
昆布の淡味が澄み切って佇む吸い地
雑味が除かれ繊細でキレのある味覚
それだけでも馳走となりますね。

やや火入れを施した蓴菜が山葵色に
衣替えして素敵な色合いを見せます。
プヨンと弾んだ温かい蓴菜の食感を
嗜みつつ敢えて芽が無いものだけを
選定しお椀に穏やかに蓴菜を散らす。

吸い地も椀種も邪魔しないで単純に
蓴菜のヌル感と弾力感が柔らかくて
地に寄り添わせる感じで椀に置いた
蓴菜の佇ませ方にも感嘆致します。

そのお椀と真摯に向き合う牡丹鱧の
ヌルリとした食感に舌が着地しつつ
鱧がハラリ解けていく淡白な旨味を
しっかり味わう至福のひと時を頂く

鱧の身は口の中で優しく崩れて行き
クリアな旨味を誇りフワッと舌にも
寄り添い至高の美味しさを満喫して
口福感を堪能させて頂きました。

10.焼物

●ぐじの若狭焼き
●矢生姜
●酢橘

本日は昨日の大雨により鮎が釣れずで
漁師さんから届く予定の馬瀬川の鮎が
届か無かった為
本日は残念乍ら鮎のご用意が無いとの
事にてぐじを頂きました。

星野流うろこ焼きは皮目の鱗を立たせず
寝かせた状態で焼く若狭焼きの仕立て方

若狭焼きの立ち居振る舞いが大変美しく
鱗は綺麗に整然と皮目を覆い尽くしつつ
鱗がきちんと寝てるので見た目も美しく
皮目にバリッと齧り付きたくなる衝動に
駆られます。

直ぐにまずは一口分を箸先で突いて皮を
齧ってみます。
食感が鋭く歯にカリッと当たり鱗部分に
嬉しくなる程の美味を感じます。
皮目のパリパリ感が堪んなく清々しくて
其の儘深く歯を進めるとぐじの身に当り
その身質はホクホクで塩味がほんのりと
浮かび上がりジンワリと淡く底味が寄せ
舌を喜びで満たします。

皮目のパリパリ感と身のホクホク感との
コントラストがあざやかな食感を呼んで
この堪らなく麗しい食感を何度でも重ね
味わいたくなる。
皮目をザクッと噛む度に歯に跳ね返って
パリッとした鱗の粒子が混ざる皮目との
距離感と快感をいっぱいに感じます。
皮目を通り過ぎて純白の身質に歯が届き
深く歯を其の儘ストレートに入れますと
ハラリと解け崩れて行く白身が実に美し!
その崩れた身質から淡く寄せて来る底味
ジーンと舌一面に染み渡ってゆっくりと
広がって行きながらぐじの旨味がパッと
口内中に満ち満ちてその極上の味わいに
酔い知れつつ満足と興奮とが渦巻いてる
ひと時に溺れて仕舞いました。

11.焚き合わせ

●賀茂茄子の揚げ浸し
●生姜
●木の芽

お茄子は素揚げして炊いてるだけの様です。
油抜きしてから普通のお出汁で炊いてます。
更にもう一回地を大目に張って炊き直して
お茄子を地と馴染ませて齧った際に茄子が
地味を多く出してくれる様にとの意図です。
其処に揚げ浸しとしての美味しさが膨らみ
舌を喜びで溢れさせてくれます。
因みに地が薄いと油が強すぎて仕舞い油を
食べてる感じになっちゃうので地を多目に
浸して炊くのがポイントだそうです。
そして見事な程美しい翡翠色を保てるのは
茄子に火が入った段階で直ぐに引き上げて
炊き始めるからとの事で良く茄子が茶色に
燻んで仕舞うのは揚げ過ぎな為だそうです。

然もお茄子自体は冷蔵保存してないものを
八百屋さんから取り寄せし常温保存の物で
お料理に用意してます。
何でも冷蔵して茄子は傷んじゃうそうです。
元々水分の多いお野菜なので冷蔵にすると
冷え切って仕舞い素揚げしてもいい状態に
ならない様です。

賀茂茄子に咀嚼を重ねますとジューシィな
くらいに地味が味わい深くフワットロ感が
募って来てとても奥行きのある味わいです。

揚げ浸しの地味深さ漂わせる賀茂茄子は
程よく繊維感を残してジューシィに地を
膨らませて佇みお茄子をジンワリ噛むと
綺麗なうま味含む味わいと出汁の滋味が
ジュワァンと滲み出ます。
甘味穏やかで舌に染み入る美味さに驚く。

綺麗に皮を剥いていますので茄子の身が
全く痛んでいなくて繊維感の嫋やかさが
如実に感じ取れます。
更に咀嚼を重ねてますと
賀茂茄子本来の持ち味の甘さをグイッと
引き出し繊維質がフワトロの柔らかさで
スゥ〜ッとお箸が取り込まれていく快感
その翡翠色が美しく輝いて咀嚼がとても
楽しげに歯当たり気持ち良く進みます。

茄子の揚げ浸しとしての完成品の高さに
感嘆すると共に茄子の甘味を引き出して
生姜の刺激的アクセントをも活かし切り
全ての味わいの要素を完璧な迄に纏めて
素材の持てるチカラを余す事なく全開し
美味を奏でる一品に感動致しました。

12.酢の物

●焼き鱧 淡路
●冷たい胡瓜

鱧の醤油焼きかなと思いましたら何と
纏わせているタレはお凌ぎの時の鰻の
タレと一緒との事で鰻ダレ焼きでした!
そりや美味しい焼き鱧になるわと直感。

焼き加減も抜群でまるで鰻の地焼きの様
齧るとパリッと破砕感も素晴らしく伸び
心地良い食感が口内に響き渡る。

所謂鱧キューとなりますでしょうか。
鱧胡瓜の酢の物のご用意となります。

早くも走りの鱧のご用意は実に嬉しい。
初夏に相応しい素材を頂けるのは矢っ張り
お口が喜んじゃって少しワクワクします。

此方の淡路産の焼き鱧は態々尻尾の部位を
使って炭火焼きにして仕上げる様です。
その方が鱧の身が薄いのでカリッと焼けて
それと焼き鱧に対して胡瓜を添えてますが
酢加減の馴染ませ方が大事で程良い酸味が
焼き鱧の旨味をキュッと引き締める感じで
其の一体感が鱧キュウの醍醐味となります。

パリッと焼き上げた鱧の炭火焼きは熱々で
咀嚼してみると心地良くカリフワの食感と
種を抜いた胡瓜の冷たさが瑞々しさを募り
シャキッとした食感コントラストが完成し
絶品鱧胡瓜の食感味覚のコンビネーション!

胡瓜お浸しの酢の加減
胡瓜のシャリシャリ感
焼き鱧の潔い歯触りと
反発する肉感の爽快さ

胡瓜のさっぱり感に鱧の淡白な味は
実に初夏らしい一皿からの食後感に
スッキリと纏まりとても爽快に走り
余韻を残して行きお食事前の素敵な
アプローチを完成させておりました。

13.お食事

[一膳目]

●山形県合鴨農法のコシヒカリを
土鍋で炊いた白ご飯
●牛の時雨煮
●山椒雑魚
●香の物
●赤出汁

ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
全部乗せして一目散にお口に掻き込むのが
美味しくて堪らない食べ方なのです。
お口の中でグルグル時雨煮や雑魚や漬物が
目まぐるしく駆け回る美味しさは言葉には
出せませんがめっちゃうんメェ〜ッと叫び
たくなりますよ。
ホクホク艶々の白ご飯と雑魚をお口一杯に
頬張って実山椒の刺激もピリッと感じつつ
絶品時雨煮の甘美な味覚に染まる白ご飯を
その芳醇なる時雨煮の甘味と一緒に咀嚼し
極上ご飯の乳化を満喫致します。
少し鹹味も滲み甘味が濃厚な牛時雨からは
喉に渇きを覚える感じの甘さ加減が絶妙で
星野ご飯との相性が良過ぎ時雨煮をご飯に
ぶっ掛けて頂くのが一番美味しいのです。
耽美なる甘味濃度がギュッと詰まっている
牛の時雨煮はお口中に麻薬の様に忍び込み
舌を惑わして翻弄し続けます。
何時もこの牛の時雨煮ご飯の美味しさには
舌が麻痺してしまいます。

[二膳目]卵かけご飯

◉宇治の卵
◉鰹節

星野さんの定番でもある卵かけご飯は
シンプルに卵黄に鰹節の振り掛けです。

お醤油を少し滴らせて卵黄をご飯に掻き混ぜ
ジュルジュル〜ッと頂いてお腹を満たします。
時雨煮ご飯から卵かけご飯時への流れも好み

鰹節の酸味がご飯の熱々な温感に溶かされて
お口に卵黄の甘ったるい瀞みと一緒に含むと
鰹節酸味と同期した口溶け感がパッと広がり
至福の卵かけご飯タイムとなり満足度の高い
卵かけご飯となりました。

[三膳目]鰯茶漬け お焦げ付き

本日の三膳目は鰯の焙じ茶の茶漬けです。
鰯がしょっぱいのでお茶の渋味に負けず
バランスがいいんですよね。
また、お茶の中に浸されて塩味も和んで
穏やかになり丁度鰯が解れていく加減に
合わせてお茶もご飯に馴染んで来ており
茶漬けを鰯を齧りながら掬うとより一層
美味しくなる

これはやばいぞ、と舌が直感しています。
ザクザク行けるし舌がゾクゾクしちゃう。
そして更に茶漬けの上に素敵な置き物が
ご用意されておりお茶漬けを更に楽しく
快適にさせて頂くお心遣いに感謝。
其れは締めご飯として最後にご用意する
お焦げをポチャリ茶漬けに乗せてます。
これは嬉しいサービス。

土鍋の底にへばりついてる米粒に醤油を
ポタポタポタ〜ッと滴らせてジュワッと
お醤油が蒸発すると同時に醤油が瞬間に
焦げる香ばしい匂ひがプワァッと広がる

ガリガリ〜ッと星野大将が杓文字で底を
探りお焦げを剥がしてお煎餅状になった
お焦げを茶漬けの碗に取り分けされての
鰯茶漬けの完成とされてます。

なので鰯の茶漬けとお焦げの茶漬けとの
合体作品となっており箸先の手加減にて
両刀使いみたいな感じとなり一つの碗で
二つの焙じ茶漬けが楽しめると言う贅沢
極まる締めご飯を頂けて舌が大喜びです。
最初にお焦げを其の儘頂くと
カリッと噛んでバリバリィンと歯で割り
お焦げを破砕して砕け散る歯当たり感が
滅茶苦茶潔い快感を呼び込み醤油味との
相性もバッチリ美味しさを満喫しました。
次に残りのお焦げを茶漬けの中に沈めて
ジワッとお焦げが身溶けして解けて行き
柔らかくなって焙じ茶に染まるお焦げを
しんなりと頂くのも一興なのです。

最後の最後まで楽しませてくれる仕掛けと
引き出しの多様性には驚嘆して仕舞います。
誠に嬉しい満足感が余韻として留まり身も
心も満たされたひと時を頂きました。

14.甘味

●本葛粉の葛切り
●黒蜜
●煎茶

夏場限定の爽やかな甘味との嬉しい出会い
星野料理の変幻自在な美味を締め括るのに
相応しい切り立ての葛切りとなります。

葛切りは出来立てなのですぐ溶けてしまう
故に出来た順に食べて下さいとのお達し。

薄く伸ばされてモチッとして長さも程良い
ツルツル〜ッと喉越し爽快に滑る葛切りは
ホント飲める葛切りで涼風も清らかに戦ぎ
口内をツルツル〜ッと駆け抜けます。

滑らかツルツル感が尋常じゃなく
喉越しの軽快さに吃驚する葛切り
葛切りが純白無垢な味だからこそ
黒蜜の濃厚な甘さが際立ちます。

シルクのように滑らかな口当たり
葛切りのコシのある食感が何とも
心地良く舌を捉え黒蜜を纏いつつ
後味爽やかな食後感を作り上げる

キンキンに冷たい甘味が喉も舌も
潤して〆に相応しい清涼感を残し
最高度の満足を抱ける甘味でした。

何とも言えずしっぽりとする淡麗な甘さが
舌に寄せて来て堪らなく美しい葛切りです。

⑮お土産

牛の時雨煮をパックに詰めて頂いて
翌日の朝餉のご飯で星野料理の一旦を
堪能させて頂きました。

2024/11/03 更新

20回目

2024/04 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.9
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

春素材代表の白子筍を贅沢な事に塚原と藤枝の食べ比べを頂く至福の口福紀行

2024/10/05 更新

19回目

2024/01 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク5.0

潔い清廉さと洗練された素材を研ぎ澄ました味覚が佇む至高のお料理


■2024.1.23(火)20時半〜23時

■予約 年間予約

■新春の星野料理
お酒牛時雨のお土産含むお会計¥62,300

■今月一杯迄は正月メニューとの事にて
お祝い気分に浸れる冬の味覚いっぱいに
詰まって少し名残の正月気分も楽しめる
冬のご馳走がわんさか登場で清楚ながら
雅な華やかさ香るお料理が記憶に留まる。

1.白味噌のお雑煮

□京都山利商店の京白味噌
□お雑煮大根→小さくて丸いお大根
□輪切の金時人参
□富田林の海老芋
□いつものお米農家さんから頂いた丸餅
□お餅の上に糸がき

お餅がとてもあんまァくてトロ〜ンとし
箸先で少し摘むとビヨ〜んと伸びて来て
お口の中ではモチモチ感が膨らんで来る。

クチャクチャと噛んだり舐めたりの度に
お餅は歯に吸い付いたり舌をもっちりと
包んだりしてとっても気持ち良い食感が
伸び縮みしちゃいます。
そのスンバラしぃねっとりとする丸餅が
柔らかく解け乍ら山利からトロンとする
白味噌が絡んで来て舌と遊びます。

品が良くてまったりした甘さが届きます。
とてもコク深い旨味を感じる白味噌にて
円やかかつ滑らかな舌触りに感動を頂く。

優しい甘味が広がりまるでポタージュの
如き滑らかな甘味が舌を訪れてお餅をも
包み込んでお口の中でトロ〜リ身溶けて
堪らない食感と味覚に感銘致します。

更に白味噌汁の奥深い所から海老芋が
顔を覗かせて来て甘味を放ちます。
この時期の富田林は最高ですね。
然も星野さんはど真ん中をくり抜いて
お雑煮へ仲間入りさせてくれてるので
飛んでも無くしっとりと口内を満たし
舌を喜ばしてくれる海老芋さんです。
お芋の繊維質が微塵も感じ無い無垢な
舌触りはヌメっと悩ましく伸びて来て
ピュアな甘味が際立ちます。
斯様なお雑煮なら年中お正月を迎えて
見たくなりますね。

2.おせち前菜

□菜の花昆布締め
□寄せ数の子
□黒豆
□唐墨
□たたき牛蒡胡麻和え

祝い鶴のお皿に綺麗に盛り付け頂き雅な装い
新年のお節気分に浸り乍ら至福の酒肴に舌鼓

お正月の珠玉が雅に散りばめられた前菜には
目がほくそ笑んで仕舞います。
飛切りの燗酒で前菜をアテにチビチビやるも
舌も喜んじゃって正月気分の高揚感も膨らみ
グビッと呑んで酔いに舌を委ねるも良い感じ
ほろ酔い気分がどんどん進んで仕舞います。

前菜はどの一品も秀逸で星野さんらしい
素材を何処迄も大切に慈愛溢れる味付け
味覚を真摯に整えていらっしゃり舌には
優しくそれでいて深い味わいが満ちます。

先ずは菜の花の昆布締めからお口に含む
菜の花はサラッと湯掻いて昆布で締めて
お出汁に浸してます。
繊維質の芯が残りシャキシャキした食感と
しっとりしなやかな菊菜の食感が同居する

少し咀嚼を重ねていると
菜の花の繊維感の綺麗な歯触りに導かれ
ジワッと佇む昆布締めからのうま味との
ハーモナイズする味わいは大変瑞々しく
咀嚼が進むにつれてうま味が膨らみます。
昆布締めのうま味を帯びた菜の花の間から
滲み出て来る奥行きを感じる味わいに舌が
喜んでおりました。

次に珍しく目が釘付けとなり舌が誘われ
寄せ数の子に手を掛けました。
この一品は音松氏の時代の昔乍らの作品
塩数の子をバラしてお酒で少し塩抜きし
卵と一緒に炒り卵の状態に仕掛けてから
それをお出汁で固めたものとなります。
良く数の子を切り揃えてるとヘタが残る
その残った奴を再構築してお料理として
蘇らせると言う昔のお料理人ならではの
無駄を出さないと言う考えの一品です。
これがまためちゃ粒感と言い甘味と言い
絶妙な味わいにて酒の摘みに持ってこい
なのです。
寄せ数の子を齧りつつ舌で転がしてみる
ジンワリと忍び寄る塩味がちっとも辛く
無くてまぁるい塩気なのにチョット驚く
其の儘咀嚼してると柔らかく揺れる食感
加えて数の子のプチッと弾ける可愛いさ
更に玉子の甘味もほんのりと浮き上がり
正にお酒と一緒に味わいたくなる逸品と
感じました。

また、
8時間コトコト煮詰めた黒豆の艶やかな事
半端ないツルンツルンの円やかな丸い甘み
黒豆の質感が芳醇にに伝わって来ます。
甘味もお淑やかな大人の黒豆を満喫です。

次に
黒胡麻で和えた牛蒡が滅茶苦茶ウンマかった。
擂りたての胡麻じゃないと此れだけの甘味が
出ないものだそうで何でも大阪アダチ食品の
胡麻を使ってるから可能な芸当の様です。

職人が手洗いで胡麻の表皮を取り除いており
そうすることで旨味や香りが落ちること無く
風味の高い胡麻を作り上げているとのこと。

そして前菜の〆は半生の唐墨に箸が向かい
お口に一片を齧ってみますと
唐墨の純度が高く鮮度のキレの良さと言い
血管の混じり気が微塵も無い唐墨に感銘。
唐墨の粒子が鮮やかに映える橙色が輝いて
血の気を完璧な迄に消滅させておりボラの
卵の血抜きの状態を完全に綺麗に磨いてて
これ程濃厚なもので雑味の無い唐墨も凄い。
此奴は一気に片付けてしまう勇気も失せて
小皿を別途ご用意頂き取り置きさせて貰い
チビチビとお酒にお付き合い頂きました。

辛いもん
甘いもん
旨いもん

彩り鮮やかな祝いの前菜たちに拍手喝采で
どれもこれもが丹精込めた丁寧なお仕事に
心に染み入るお味でお酒とも相性良過ぎて
自然に酒が進んでしまいました。

3.河豚の焼き白子

□河豚の白子
□酢橘
□浜防風

ぷっくりふくらんでる焼き白子さんが二つ
お皿の上でプルプルンと揺れる様な感じで
厳かに佇んでおります。

その端っこの方をお箸でプチュンと薄皮を
割ってトロ〜ンと流れる奴を軽く摘み乍ら
すこしだけ舐めてみようかと思いましたら
皮が分厚い事に気が付いて意外にも白子の
薄皮が抵抗感が張り箸先に力を入れないと
ひん剥け無いのにチョット手こずるのです。
此れは逆に考えると炭火が白子の皮に良く
火が入り薄皮を厚目に仕上げてる故に皮が
分厚くなってると言う事で皮を咀嚼すると
心地良い肉厚感が伴う歯応えが健やかなる
食感を呼び中の白子の瀞みと素敵な共演と
なってるので有ります。
その白子をもう少し崩してパクッとお口に
放り込んでみると今度はペロンと舌に張り
付いて白子のトロトロの白身が熱々のまま
奥ゆかしい珍味を口内に投げて来るのです。
甘美なる珍味と皮の食感に振り塩の塩味が
口内で交差し舌を悩まして来て滅茶苦茶に
美味しく陶酔感が芽生えて来ます。
此れは飛んでも無くヤバくてお酒がつい、
グイグイ入ってしまいました。

このサイズ感とお口に含んだ時の熱々感と
お口の中でブチンと皮が裂けてトロトロ〜
と蕩けて白子が溢れて来る快感に舌が震え
夢見心地となって仕舞いますね。
もう、ぷよぷよの白身が激うまうまに蕩け
その官能的な珍味に舌がメロメロとなって
遂には恍惚状態となってしまう程頬っぺた
落ちまくりの状態で叫びたくなりました。

熱々の白子さんがゆっくりと口の中で溶け
その珍味が揺れ乍ら消えていく時の快感は
ホントに堪らなく愛おしく感じられました。

4.茹で蟹

浜坂のかに吉さんから送られて来る希少な
浜茹での蟹なのです。
浜茹でのものは煮汁がしっかり蟹の身へと
染み込んで旨味が膨らみ味わい深い仕上げ
その浜茹でされたものを直送頂いて更には
星野大将の店内でお料理の直前に塩茹でし
浜茹での状態のものに戻してやる事で蟹の
旨味が浜茹での蟹と同等に蘇る様に仕掛け
茹で蟹の最高峰の味覚を実現させている。
その凄い芸当をさり気無くこなして仕舞い
極普通にご用意してるところが星野大将の
並外れたものなのでしょう。

ただ只管松葉蟹と真摯に向き合い浜茹での
蟹の素朴な味を極限まで引き出しています。
お水の温度感覚だけで施される蟹の料理は
正に引き算の美学なのではと言えるのかと
感じ入って仕舞います。

脚の真ん中には一本の綺麗な飾りが入って
蟹の身がいっぱい詰まった脚から箸先にて
スルスルスゥ〜っと殻から身が抜けていく。

純白のほぐし身を一気に贅沢に其のままで
蟹酢には目もくれずにお口に放り込まます。

途端に松葉蟹の甘味が素直に浮上して来ます。
全く無垢な旨味と蟹の純粋さを引き出してて
無茶苦茶に甘くその甘味も品格が伴う甘さで
憂いをも含んでると感じる美味となります。

その甘味はとてもピュアな甘さで舌が歓喜し
感動を覚えて仕舞います。
ホントに茹で蟹の美しい味覚を引き出してる
星野流の蟹料理に脱帽致しました。

5.蟹味噌和え

□蟹味噌
□蟹の解し身
□酢を少し纏わせて

浜茹での蟹の解し身に生のままの蟹味噌を
乗せて純真無垢で透明な蟹味噌珍味からの
甘味が活き活きとする味わいを整えていた。

濃緑色の味噌がとても綺麗に雅に佇みつつ
其処に存在感を示している。
其の有り様にうっとりと惹かれて仕舞って
舌が踊ります。
そして蟹味噌が蕩ける時に酸味が淡く纏い
甘酸っぱさが蟹味噌和えの身より浮き出て
ジンワリ舌に響いて来る。

その蟹味噌だけをそっとお箸で摘んでから
少しだけ舌の上にチョンと置いてやった。
舌をゆるりと動かし蟹味噌を舐めていると
フワッと蟹味噌が浮き上がり身溶けし始め
蟹味噌固有の珍味入り混じる甘味が拡散し
その珍味がジワジワと甘酸っぱく変化して
ほんのりと爽やかな味に変わるのである。
蟹味噌の珍味が舌を通り抜けて行く快感に
うっとりとしてしまいました。

蟹の解し身も蟹味噌もとても嬉しい珍味と
円やかね舌触りが伴う優しく甘い味わいが
広がり舌がクスッと微笑んでしまいました。

6.根芋の吉野煮

冬の星野料理名作シリーズより定番中の定番
根芋の吉野煮となります。
此れが登場しないと舌が寂しくなって仕舞う
此れだけは何時来ても出会いたいと思う逸品

何時もの通りに根芋と吉野葛の相性に加えて
生姜からのツ〜ンとする刺激がお口の中にて
小躍りし吉野葛の淡い甘味と根芋の繊維感を
くっきりと際立たせて来ます。

一口頂くとトロリと吉野葛が舌を撫でて行く
そして
ねっとり感
ほっこり感
まったり感
諸々の食感が安堵と共にすり寄って来ます。

シンプル素材の根芋を素直に吉野葛と一緒に
穏やかに直炊きされており

甘味と言い
瀞みと言い
辛味と言い

味覚のハーモニーが完全に同調律を一致させて
この完成度の高さに舌が唸るばかりです。

そしてご一緒頂く飛切りの燗酒が吉野煮と誠に
似合いの味わいとなり穏やかな愉悦が舞い降り
喜びが膨らんでました。

7.揚げ物

□ぐじの松笠揚げ
□酢橘

ぐじの身の方には小麦粉とお水のものを
塗してますが鱗には何もつけずに素揚げ
の様なカタチで仕上げておられます。
故に鱗はパリッとして身はしっとり感が
旺盛に感じられるのでしょう。

目の前のぐじの松笠揚げを齧ってみますと
綺麗に立ち並んだ鱗がサクッ‥フワッ‥‥
鱗と歯が衝突し合い破砕感が健やかに漲る
鱗を適度に間引いてる故の程良い間合いに
破砕感がとても爽快に歯を招いてくれます。

見事な松笠揚げには屹立した鱗から
歯触りが快適にカリッと歯に当たり
ぐじに施された薄衣がサクッと歯を
跳ねて破砕感を清々しく呼び込んで
来ます。
この食感が真っ先に快感を呼び込み
楽しみ過ぎて癖になりそうです。

薄くてパウダー状の様な揚げ衣に
閉じ込められたぐじの白身からは
しっとりとした身質の膨よかさを
感じつつ旨味がフワンと囁きかけ
気品を感じる匂ひを漂わせてます。

咀嚼がぐじの身をホロホロと解き
しっぽり舌に抱き付いて来ます。
豊満な厚みを誇る膨よかな旨味が
咀嚼時の快感の妖艶さを伴いつつ
舌を魅惑の世界へと導いてました。

8.お造里

京味さんから譲り受けた清水焼の器に
盛り付けも美しい明石の鯛のお造り

□明石の鯛
□より人参
□より大根
□山葵
□芽甘草
□塩
□酢橘
□醤油

星野さんの定番の鯛のお造里
鯛を2つに織り重ねて2枚の
切り身を清水の器に寝かせる
芽甘草がしなだれる様に佇み
紅白のより人参と大根飾りが
祝い膳らしさを伴う雅な風景

この時期の明石は流れがかなり強い
故に鯛の身質をキュッと引き締めて
しなやかさが際立ち歯を撥ねつける
肉感がピチピチvividに生々しく
感じられる身質を咀嚼してクリアに
弾む鯛の身の活力の元気を感じつつ
その食感の全てが鯛の淡白な旨味に
繋がって行き乍ら味わいが深まる。

そして
この白身が分厚く旨味が出て来てる所を
逃さずに山葵の刺激と細かく当たり鉢で
叩かれたお塩の粒子を包み込む様にして
白身でくるくると巻いてから頂きます。
んん〜、此れは流石にお上品な鯛ですね。
山葵塩との相性が抜群に良くグッと舌に
迫り来るものがあり塩気と辛味の刺激が
鯛の甘味をくっきりと浮かばせて来ます。
このまま暫く
何度も咀嚼を重ねて行きたい気分となり
明石の鯛の鮮度の良さに舌が喜んじまい
日日をクイッと煽ってしまいました。

◉日日

9.薄氷椀

□淀大根
□半生の車海老
□鶯菜
□柚子

えっ?吸い地が変わりました?
前回より香りもうま味も丸くて深みを
増したような感じで淡味のキレがより
極まってる様に舌が捉えました。

聞きますと
礼文島の香深の昆布に変えたそうで
その一番出汁で引いており昆布から
うま味も香りも優れて穏やかに佇む。
その地に厳かに浸された薄氷仕立て

淀大根を薄氷に見立てて仕立ててます。
お椀に浮かんでる姿が透き通ってます。

淀大根は桂剝きにした上で丸くしてから
少し火を入れてやり柔らかくなった所で
お大根を薄く輪切りにされて浮かばせて
薄氷作りとされてます。
斯様に薄くスライスしてるにも関わらず
きちんと繊維感が残っており本当に凄い

椀種の方に箸が向いて

真薯なのかなぁとまさに薄氷を踏む思いで
覗いてみると
真薯ではなく生の車海老をサッと湯掻いて
半生状態に仕上がりプリンと身が揺れてる
更にその椀種は
半生の車海老にお椀の湯温で火が入り
徐に半生から自然に茹で上がって行く
車海老の顔色がほんのりと赤く染まり
身質がプヨプヨからプリプリに締まる
流石なのです、この仕掛けの細やかさ
お椀なのにこう言う素敵な趣向を頂き
だからこそ生まれて来る極上車海老の
旨味と吸い地のうま味との淡麗な調和

どんな素材一つをとっても突き詰めて
素材の才能を極めて生かす様に仕立て
材の持ち味を活かし切っている。

そして柚香にうっとりしつつも其れ等
全ての味覚エレメント達がお椀全体を
盛り立てて至福に感じる美味を育んで
啜っても咀嚼しても味わいが透き通り
何と言うバランスの良さ
味覚の雑味が皆無で純粋で無垢な淡味
綺麗に素材の持ち味を引き出すお料理

この出逢いに感謝。

10.焼物

□能登の寒鰤の照り焼き
□大根おろし
□薑(はじかみ)生姜

所謂ぶり大根仕様のタレ焼きの一品
お椀でほっこり舌を癒してくれた後
意外性が伴うガツンと味覚が膨れて
旬の味わいに感動を頂いてしまう。

能登の寒鰤で血合いも織り交ぜながら
甘ダレを馴染ませて備長炭で焼きあげ

寒鰤は契約先の地元漁師さんより直送
その漁師さんの方は昨年になりますが

何でも金沢のすし処めくみさんの大将が
お魚を任せている漁師さんで魚の処理が
大変優れていて鮮度が大切に保たれる様
処理をされると言う事で紹介して頂いて
今年より手に入れているとの事でした。

この鰤も血合い臭さが全く無いもので
大きさも特大サイズとの事。
特に今年は鰤が豊作で当たり年なので
一度お料理に使ってみたかったとの事。

照り焼きの色合いが身質全体を狐色に
ムラなく染めて食欲を唆るもの
端っこの方の一片を箸先で少し崩すと
ハラリと解けて中の純白な白身が見事
其れをキュッと歯で踏み込んでみると
特製の甘だれがジユッと唸り口内では
寒鰤の身質と甘ダレと化学反応が起き
旨味極まりコクもグッと溢れ美味しさ
颯爽と駆け抜けて行く。
その鮮烈な味わいは全く臭み嫌味等が
一才感じられずピュアな寒鰤の味わい
驚くべき妙味が舌を突き抜け甘味との
共鳴が鳴り響いて止まないのです。
旨味が際立つ代物です。

また、星野流の火入れも独特でその寒鰤も
焼き串で回しながら焼くので焦げ目が全く
着かずに仕上がり皮目近辺の血合いとかも
生き生きとして身の香ばしさも芳醇に漂う。

寒鰤らしからぬしっとりとした身質に甘美な
美味さが全身に染み渡り脂質も軽妙に飛ばし
程良い焼き加減の身を咀嚼して初めて感じる
旨味溢れる肉感と脂質と香りの三拍子揃った
美味がずっと舌を揺さぶりとても軽妙で鰤の
少し重たく感じる肉質の嫌味等が全く皆無な
美味しさを堪能して大満足の寒鰤でした。

11.焚き合わせ

□丸大根
□京菊菜
□白甘鯛の中骨で取ったお出汁
□黒七味

丸大根をコトコトと弱火で炊き続け
その大根から滲み出るエキスのみで
浸し満ちる甘味で丸大根の持ち味を
更に磨いて甘美な味わいを高めてる。
綺麗で無駄が無く一切の雑味を排除
大根の端っこから先っぽ迄ぜ〜ん部
澄み渡ってて淡麗な甘さの完成度は
筆舌し難い味わいに舌が驚愕します。

その丸大根がホロリと解けて滲み出す甘味
散らされた黒七味の刺激がピリッと甘味の
輪郭をクリアに際立たせ共に大根の甘味を
キュッと引き締めちゃう巧妙なアクセント

出汁の地味深さ溢れる浸し地から京菊菜が
意外にもシャキッとしなやかに繊維が踊り
歯触りが心地よく響いて瑞々しい食感との
共鳴に憂いを覚えて心ゆく迄この淡い味の
嬉しさが膨らんでいる。

ホロホロに柔らかいのに崩れずカタチが
きちんと整ってる丸大根のお姿にも感動。
お口の中に入れると解けて崩れる大根が
淡い滋味を舌に寄せつつ出汁のうま味を
口内に満たしている。
こう言う味わいは舌の琴線に触れて来て
ジ〜ンと来ちゃいホッと一息して安堵が
ゆるりと広がって行くのです。
食後の余韻が愛おしくて堪らんですね。

12.口直し

□百合根饅頭(鴨入り)
□山葵
□葱
□銀餡

百合根の中に合鴨のミンチ肉を甘辛に
炊いたものを射込んで煮付けお饅頭に
したものを一回揚げて掻き揚げにして
蒸して
百合根饅頭に葛の餡を合わせて餡掛け
百合根の鴨肉仕立てを施したお饅頭に
仕上げています。

百合根の優しい甘さと葛餡掛けの穏やかな
味わいとの相性がとてもマッチする。

食べ方としてはお饅頭を崩さず百合根に
鴨を合わせた味わいと
百合根饅頭を崩して鴨と百合根が混沌と
した味わいの両方を楽しんで貰いたいと
星野大将のお言葉を頂く。

百合根饅頭の中の鴨肉を崩さず其の儘
いっぱいに詰まった状態のものを一つ
箸先で摘んでお口に放り込む。
饅頭周りのおかき掻き揚げのゴロリと
して歯にザクッと引っ掛かる食感との
交流が健やかに伸びて百合根の甘味と
鴨肉の旨味が違いを邪魔せず広がって
舌と喜びを分かち合っている。

次に

トロ〜ンとした葛の餡の中に浮かぶ饅頭
やおらお箸で突いて崩してやる
中から鴨肉のそぼろがホロホロと溢れて来る
一口摘んで鴨肉を咀嚼
鴨肉はダイナミックな旨味を発揮し
お口の中で暴れて意外にも
大人しくない肉肉しい鴨肉の野性味を
感じる美味さに踊らされました。

蓮華で崩して上手く餡を馴染ませ乍ら
百合根饅頭を頂いてみるとより一層に
葛餡の温かい瀞みに包まれた百合根の
甘味と鴨ミンチの旨味とが素直に調和
舌を包み込み穏やかで美しい味わいが
訪れる。
百合根饅頭を崩した時に山葵も一緒に
溶け合って餡の中で程良く辛味が絡み
刺激的な葛餡となり百合根饅頭からの
甘味にキレの有る輪郭を添えてました。

お饅頭を崩す事で味覚に微妙な味わいの
変化が発生して多様な甘味旨味辛味等が
渾沌とする中に味覚のグラデーションが
進み絶妙な味わいに昇華しておりました。

13.お食事

□山形県合鴨農法のコシヒカリを
土鍋で炊いた白ご飯
□松阪牛の時雨煮
□山椒雑魚
□香の物
□赤出汁
□卵黄(宇治の生卵)
□おかか

一膳目は
ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
全部乗せして満足度の高き一膳目を頂く。

ホクホク艶々の白米と山椒雑魚をお口一杯
頬張り雑魚のボソボソ食感の楽しさを感じ
山椒のピリッとする刺激を同時に頂き乍ら
絶品の牛の時雨煮の甘美な味わいに包まれ
ふわふわご飯をお口の中に放り込んでから
その芳醇なる時雨煮の甘味をご飯と一緒に
mogmogして極上の白ご飯を頂く口福感に
大満足となります。

この少し辛くて喉に渇きを覚える味わいに
耽美な甘さが煮詰まった松阪牛の時雨煮は
一度咀嚼し始めると麻薬の様に忍び込んで
舌を離しません。
何時もこの時雨煮の美味さには舌が麻痺し
陶酔して仕舞う美味しさです。

二膳目は白ご飯に卵黄掛け+おかか乗せです。

シンプルに宇治の卵黄乗せにおかかを散らす
卵掛けご飯となります。
お醤油を少し滴らせて卵をご飯に掻き混ぜ
ジュルジュル〜ッと頂きお腹を満たします。
卵黄の濃厚な甘味とおかかの芳しい酸味と
調和する美味しさは格別な美味を完成して
至福のご飯タイムとなりました。

最後にカリカリに焼かれたお焦げを頂いて
香りも噛み心地も抜群の食感と共に締めて
大満足のご飯タイムが終了となります。

14.甘味

□善哉(北海道の大納言)
□煎茶

先付の白味噌のお餅から始まり
善哉のお餅で締めると言う粋な
計らいでお正月気分がいっぱい
詰まったお料理運びでした。

15.お土産

牛の時雨煮をお持たせ頂きました。
此れをおうちご飯で食べてみると
時雨煮の味が濃厚に米粒に染み渡り
甘辛加減が忘れられなくなるほどの
美味ご飯となり舌が渇望に喘ぎます。

白米様と仲良く握手してくれる美味しさ
お茶漬けにしてサラサラと掻き込んでも
絶品な美味しさを家庭で味わえて嬉しい。
星野料理の片鱗を自宅で頂ける口福ご飯
抱腹絶倒して仕舞うので有ります。

2024/06/17 更新

18回目

2023/12 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

素材を何処までも研ぎ澄まし極限までポテンシャルを引き出す正に至高のお料理

■訪問日:2023.12.14 20時半〜23時

■お料理 お任せ¥50,000
お酒含むお会計¥61,800

①先付

□胡麻豆腐の白味噌仕立て
■和芥子

身も心もほっこりとする温かみは
星野大将のお気遣いがお料理へと
写されているかの如し

山利の白味噌の穏やかさとまったりする食感が
地味深く舌に着地し胡麻豆腐が何処迄も美しく
優美な味わいを留めて白味噌とのコラボ味覚に
感動する作品

寒空の中で星野さん迄徒歩で身を晒して来た故
身体も少し冷え気味な所にホッと温かさが漂う
感じの白味噌仕立ては有り難く感じます。
この白味噌と胡麻豆腐の合わせ技には舌が納得
完璧すぎるほどのこっくり感が満喫できる一品

白味噌だけで溶いた汁の瀞みと言い甘味と言い
冬場には持って来いのこっくりと至福を頂ける
お料理かと感心してしまいます。
白味噌は舌にサラサラと流れて舌を優しく撫で
穏やかな甘味と温感で落ち着く円やかな舌触り
実に和みのときが訪れて参ります。
その和みの中でプヨンと緩く丸く浮かび上がる
胡麻豆腐が可愛くて仕方がない。
全く雑味の無い無垢な甘さあふれる胡麻豆腐の
舌触りと地味深さと共鳴するmildな白味噌の
ポタージュが何処までも優しく愛おしい味わい
筆舌し難し味覚に我を忘れてしまいますね。

②お凌ぎ

□海鼠腸の飯蒸し

海鼠腸独特の珍味度旺盛な味わいと
塩味が餅米との相性を良く物語って
味覚のバランスが絶妙に整う一品で
海鼠腸珍味が塩味も含めお酒を誘う

此処は飛切りをお燗で欲して仕舞い
海鼠腸の飯蒸しとペアリングで嗜む

海鼠腸が餅米に巧みに絡んで飯蒸しとしての
甘味を加速させて口内に取り込んだ瞬間から
海鼠腸珍味と餅米の甘味が手を繋いで新たに
珍味と甘味が重なり合い珍味度が膨らみます。
また、
飯蒸しに絡む海鼠腸珍味を一口頂いた後での
飛切りのお燗をキュッと煽って口内に程良く
温感が浸透して胃袋もカッとなるのと同時に
切れ味良く端正な甘味のお酒が爽快なことに
珍味の余韻と合流して快感が突き抜けました。

◉飛切りをお燗で

パクッと頂いた海鼠腸の飯蒸しが
珍味豊かに舌を刺激して飛切りと
相性良く喉を潤おし乍ら身も心も
ほっこりと暖めてくれました。

③前菜3品

□慈姑チップス
□ばちこ
□唐墨

今冬は唐墨不足に泣かされてるお料理店も
多いはずなのにちゃんと珍味仲間が勢揃い
チビチビやって下さい、と優しいお言葉に
はい、畏まりました!と心の中で叫びつつ
酒肴をゆっくり嗜みます。

中でも慈姑チップスがこれ程お酒に合うとは
思っても見なくて想像以上に慈姑チップスが
塩味を寄せて来てお酒を唆ってしまいますね。
然もパリッとする破砕感も素敵な響きで良い
音色で口内に響き歯が楽しく慈姑と戯れ乍ら
チップスを齧ると止まらなくなる程でした。

酒がつい進んでしまう珍味軍団の中でも
やはり
炭火で少し炙って火入れされたばちこが
齧ると絶対珍味を仄めかしつつも其処に
熟成感伴う希少な唐墨が更に拍車を掛け
唐墨もばちこもお酒を進めてしまいます。
それにしましても
この唐墨の仕上りの素材感がとても良い
唐墨純度と言いますか鮮度と言うのかは
悩む所ですが唐墨に血管等の混じり気が
微塵も無くて唐墨の微細な粒子が鮮やか
血の気や嫌味等完璧なまでに消滅させて
ボラの卵の血抜きが完璧な唐墨の仕上げ
こんな所にも星野さんらしさが出てると
強く感じて仕舞いました。
此奴は一気に片付けてしまうのが惜しい
と感じてチビチビやってお料理が進んで
お時間が経過しても取り置きしてお酒の
お供にお付き合いをして頂きました。

◉天領 1号瓶で

④珍味

□焼き雲子
□酢橘

雲子自体も素材としての鮮度の良い
特急品とも言えますものを用意して
更に
塩水で浸して雲子のアクとか嫌味を
完全に抜き取ってから炭火でジワリ
火を入れられてます。
なのでとっても純真無垢なる雲子の
焼物が仕上がっていて味覚も食感も
最高なものを頂いてます。

感じた事は

これ程まで無垢な状態で雲子を熱々に
焼き上げる事ができるものかと感嘆。
普通は焼くとダマとかが少しは発生し
素材が完全に溶解せずに瀞みに対して
阻害感が芽生えて仕舞ったりするのに
星野さんのは全くトロトロクリーミィ
一寸の隙間も許さないと言った感じの
円やかさで舌をうっとりさせてくれて
故に
その滑らか食感と同時に珍味が円滑に
舌一面に瞬く間に広がって味蕾が開き
珍味が浸透して陶酔感を招いてました。

なので雲子を熱々のままパクッと頂き
お口に投入した途端インパクトが走り
プチン!と薄皮が弾けて中から白子が
トロ〜ンと飛び出し舌に着地した瞬間
vividな珍味と途轍も無く円やかなる
トロ〜リ感が込み上げて来て感動する
味わいに陶酔して仕舞うのです。
純白雲子の口溶け感が無邪気な甘味と
同時に舌に訪れて来るのですがとても
普通の雲子とは思えない程で斯様な程
美味なる珍味が鳴り響く雲子と出会え
実に口福感を頂き感謝感激でした。

⑤お凌ぎ

□根芋の吉野煮
□生姜

定番の一品で根芋の吉野煮
此れは外せない一品ですね。

いつも通り根芋と炒り子出汁の吉野葛からの
相性と生姜の刺激がお口の中で舞い踊る妙味
この瀞み食感と葛の餡のコラボ味覚の誘惑に
舌はなかなか勝てそうに有りません。
そしてご一緒頂く天領の吟醸が此れまた良く
この吉野煮と誠にピタッと寄り添うのです。

星野さんの吉野煮は根芋が短冊状に
カットされてて根芋を炊き込んでの
柔らか味が舌にダイレクトに伝わる

一口頂くとトロリと葛が舌を撫でて来ますし
ねっとり感
ほっこり感
シャクっとする繊維感
そして何となく漂いほっこりする安堵感が
寄せて来て舌を温かく和めてくれます。
舌がまったりと休んでる癒やしのひと時に
静寂を破る様に生姜のピリリッとする刺激
これが又嬉しい感じで突き抜けて行きます。
この爽快感伴う生姜の走る吉野煮の妙味が
途轍もなく根芋の美味しさを膨らませる。

シンプルな素材の根芋を吉野葛と一緒に
炊いただけなのに
甘味と言い
瀞みと言い
辛味と言い
味覚のハーモニーが完全に同調律を一致させて
この妙味の完成度の高さに舌が惚れちゃいます。
今では柏市だけでしか生産されて無い里芋の芽
こんな素朴な素材をここまでの一品料理として
昇華させて仕舞う調理の技に拍手ですね。

⑥蟹料理

此処から蟹三昧シリーズの登場となります。

□津居山の香箱蟹
□津居山の松葉蟹 雄の脚と鋏
□津居山の松葉蟹と蟹味噌

津居山の山本永二商店の浜茹でのものを
仕入れられておられます。

津居山港から届いた浜茹での蟹を星野さんで
お料理直前で蒸し直す事で蟹のvividな味を
復元しています。
香箱蟹をサーブする直前に蟹酢をかけて味を
整えて香箱蟹のポテンシャルを高めてます。
故に香箱も脚も鋏も更には蟹味噌迄もが鮮度
抜群に活性化されたうま味と言うか甘味等が
蟹の身肉から生き生きとしてシャリッと響く
食感の潔さが歯にビンビン伝わって来ます。

香箱蟹は勿論外子やゴロゴロ散らばる内子に
たっぷりの蟹味噌がまったり掛けられ味噌の
珍味に纏われた内子の甘味が冴まくるもので
外子と内子の真下に佇む解し身が肌理細かく
ぎっしり詰まってて食べ応え感旺盛に甘味を
口内に撒き散らしております。

一方で外子が山の様に積まれ何処を穿っても
繊細にプチプチ感が弾き飛んで小気味の良い
食感が響き渡ります。
而して
その充満するプチプチ感と沢山の外子たちが
お口の中を駆け巡る快感にクラクラッとなり
目眩を起こしてしまいそうになります。

香箱蟹を食べ終わるか終わらないうちに次の
茹で蟹が登場です。

鋏も脚も身がギュッと詰まっており箸先で
突くとスルスル〜ッと殻から抜き取る事が
簡単に出来てしまいます。
殻から剥いた茹で蟹の身から甘味が鮮烈に
広がりめちゃくちゃ美味!
その身が舌に着地する度に甘美に踊る味に
舌が抱かれてその蠱惑的な抱擁にワクワク
ときめいてしまう。

浜茹でされている松葉蟹から新鮮な香りと
蟹自身に染み渡る滋味がシンシンと注がれ
その旨味を味わうのに抱腹絶倒致します。

そして蟹三昧の締め括りは味噌たっぷりに
注がれた解し身とのコラボ作品で蟹味噌と
解し身を優しく和えながら頂きその甘味と
味噌珍味に舌がうっとりして一生懸命にも
戯れ合う心地良さを満喫させて頂きました。

蟹味噌たっぷり注がれた解し身との和え物に
悶絶して蟹三昧を〆る

◉日日 autumnバージョン
◉新政No.6 新ばし星野限定バージョン

⑦揚げ物

□富田林の海老芋の唐揚げ

海老芋は砂糖を少し整えつつ甘く炊いて
揚げておられます。
但し甘さは素材と向き合わせる加減が難しく
ご自身でも甘味の施し方は慎重に行うとの事
やはり痛感するのは星野さんの甘味の作り方

共すると甘味は素材との調和が難しくなって
少しでも強いと甘さだけが舌に残ってしまい
素材の持ち味を消してしまう事も発生します。
其処を巧みに素材の持ち味を引き出しながら
味を整えて星野流の滋味深さに繋げている所
其処に非凡な技術の凄さと言うのか日常敵に
素材と向き合っている姿を感じます。

ど真ん中だけをくり抜いてる海老芋の唐揚げ
肌理細やかさが裏漉ししたような粉質感にて
信じ難いほど海老芋の粘質感がサ〜ラサラで
クリーミィなくらいに舌に絡み付いて来ます。
その粘性の品格が行き交う甘味のお淑やかさ
一度甘く炊いてから揚げているとの事ですが
お箸でサクッと海老芋の身を突くとスポッと
素直に割れて来て其の儘熱々の所をお口へと
運びますととぉっても細やかなお芋の質感が
舌に着地ししっとり感が滲み出るのと同時に
舌をしっぽり抱き寄せて来ちゃうんです。
いやいや、この優雅な粘性は何処から来るの?
富田林だからと言う訳でも無さそう、今月は
其所其處の和食店なら富田林の海老芋を用意
でも富田林の海老芋の扱いは星野さんの物が
やっぱり最高に美味しいのです。不思議だ。

手間暇掛けての仕込みと技に裏打ちされた
絶品の海老芋を満喫させて頂きました。

⑧お造里

□明石の鯛 昆布締め
□割醤油:お出汁で割ったお醤油

やはり明石の鯛はお造りの王様ですね。
その身質からの鮮やかな美味さが突出し
鯛の身を噛めば噛むほどに淡白な甘味が
舌に零れ落ちて来て舌を悩ませています。
とても力強さ漲り弾けるような歯応えを
感じます。
その食感と美味さに絶句してしまいます。
割醤油をその身にたっぷり浸してやると
淡白さが余計に浮き上がって来て感激が
口内いっぱいに満ちて来ます。

昆布の香りと旨味がくっきり写っていて
トロッと艶かしく蕩ける肉感が悩ましい
その膨よかな肉感がお口の中で身悶える
しなやかに身肉が反発して噛み応え感が
気持ちよく歯に響いて来ます。
拍手喝采したくなる程の潔さと旨味とが
調和する至高の作品。

⑨お椀

□白河
□独活
□松葉柚子

今年から利尻の最上級の昆布に変えてる
確かに地の味わいの奥行きも滋味深さも
水出しで引かれた淡麗なる地の味わいの
美しさは天下一品ですね
キリッと洗練された味わいに感銘します。

白河は鱗をすき引きして身綺麗にして
利尻昆布の出汁で蒸されてます。
何処までも素材に対して忠実に本領を
発揮させてあげようと言う繊細な施し
感動致します。

これ程研ぎ澄まされた全く雑味感の無い
白河は初めてかもです。
星野さんだとここまで素材を神聖な所へ
昇華させることが出来る事の証明と痛感

昆布のうま味の出し方の塩梅に惚れちゃう
大将曰く昆布は出し切っても良く無い様で
良い所を巧く出すのが一番美味しく雑味を
消す様でその境界線を水出してる中でどう
推測ってるのか素人風情には分かりません
此こそプロの技ものなのでしょうね。
兎に角淡麗そのものの昆布の淡いうま味には
舌が感動しまくりで滋味深さが極まる吸い地
この味覚に出会えただけでも幸せを感じます。

⑨焼物

□新潟の真鴨のタレ焼き
□やきねぎ

真鴨は胸肉と腿肉のご用意が有り贅沢にも
真鴨の部位違いのを食べ比べさせて頂ける。
奥の一切れが腿肉で手前4切れが胸肉です。

真鴨から肉感と旨味のポテンシャルを
最大限に発揮させる火入れ加減に脱帽。

普通は鴨肉の焼き物と言うのはスライスして
焼かれる事が多いかと思いますが今回斯様に
極太ゴロッとしてる肉の塊で焼くと言うのは
難しくて火が通り難くなり勝ちな所を敢えて
肉肉しさを楽しんで頂きたいと言うお考えの
星野大将の心意気とチャレンジ精神に拍手。

焼き方はと言うと
真鴨の肉塊を鉄板に乗せカセットコンロにて
火をジンワリ入れる様です。
所謂焼肉スタイルで巧みに火入れして仕上げ
鴨肉の脂質を無駄なく削ぎ落とし肉肉しさを
研いで旨味を凝縮させて鴨の持ち味を活性化
そんな所にも星野流の素材への取り組み方の
片鱗を垣間見せて頂いた様な気がします。

お皿の上に堂々鎮座する鴨の腿肉胸肉から
鴨の香りがフワァ〜ンと鼻腔をついて来て
鴨ってこんなにも芳しさが漂うものだとは
知らず仕舞いだったと認識が改められます。

腿肉の方は咀嚼するとフワッと柔らかく
モチモチッと弾力して艶かしさがエロく
食感と噛み心地が抜群に伸びる。
ソフトに歯を包み込んで慈愛すら感じる
肉肌から滲み出る脂質のエキスは濃厚で
旨味十分に零れては口内に美味が充満し
その美味しさに唸って仕舞いました。
そして
腿肉を噛んだ時のジュワ〜ッと溢れる旨味
エキスの見事な味覚に舌が歓喜に震えます。

その鴨肉を一度齧れば

肉感は齧った時は逞しさを感じるが
お肉自身からの旨味は優雅に踊って
実に美しい味わいで鴨肉とは思えず
頬っぺたがストンと落ちまくりです。

胸肉の方が肉感が豊かで肉の繊維質が
グッと迫って押し寄せる感じもします。
此方の方が旨味が濃厚に感じました。

咀嚼が進んでも肉肉しさが失せず元気です。
脂がそれ程強くなく逆に赤身っぽい旨味が
漲っている美味しさで逞しい肉感の中には
サラリ脂質が溶け込んで柔らか味と旨味が
調和している感じが良い味わいを引き出し
咀嚼が楽しくなっていました。

真鴨のロース肉を炭で焼きを入れてから
特製お醤油ダレに浸して味を馴染ませて
其の儘鴨肉を少し休ませ落ち着かせ乍ら
無駄な脂質分を抜きつつ焼き上げてます。

合わせるソースには
鴨肉の骨を焼いてタレを作り
黒大蒜と合わせたペースト状のタレの
ご用意です。
このタレが旨味溢れるコクを放って来て
仕上げの炭火の時にタレを纏わせて焼いてます。
更に焼き上がった鴨肉にたっぷりと濃厚なタレを
添えてお皿に盛り付けられます。

付け合わせは
長葱を炭火でジワッとタレ焼きにされてます。

先ず香りが良い!
この真鴨ロースのタレ焼きの何と芳しい事
鴨肉臭さが微塵のカケラも感じられずにて
激うま肉の旨味エキスだけ纏っている様な
美味しさを口内で舞わせています。
一口咀嚼した途端に鴨肉は肉感が躍動的に踊り
特性ダレとの相性が良く鴨肉の旨味を存分に
引き出す良いお仕事振りで御座いました。

其処に炭の香りが漂い
鴨肉の甘美な味わいにほんのりと
炭火のほろ苦さで染めて来ます。
この奥ゆかしいほどの美味さに参りましたね。
鴨肉自体が旨味の濃度が増す焼き加減に
特製ダレが加わることにより
旨味と鹹味がバランス良く濃厚な味わいを
見せておりました。

⑩お口直し

□京菊菜のお浸し

珍味が続きましたのでサッパリとお口直しに
との星野さんらしいお気遣い

お出汁の浸し地に此れも美観に優れる菊花と
京菊菜の組み合わせが鮮やかです。
見た目がとても綺麗に整えられていて素敵で
崩して食べてしまうのが勿体なく感じますね。

一口浸し地に染みた京菊菜を頂きますと
丸くて味わい深くてシャクシャクしてて
口当たりがとても心地良い感じで響いて
それでいて咀嚼し続けていると緩やかに
ジワリと地味深さが滲み出て来るのです。
地のうま味と菊菜の苦味の息がピッタリ
合う味覚を作り出していました。
サッパリとお口をリセットする間合いも
菊菜の適量も程良くて舌の疲れが癒され
生き返った気が致しました。

⑪焚き合わせ

□蛤の蕪蒸し
□銀杏
□百合根

近江蕪を擂り下ろして蛤に乗せて
葛の銀餡を施してます。

餡の底の方に蛤のエキスが留まってるので
混ぜると言うよりは掘り起こす様にして
掬いながら餡を頂くと
上手く溶け込んで美味しさが募ります。

これも又蛤の鮮度が良すぎる位の元気な
プリプリ感漲る肉感が堪らなく伸びてて
かつ全く雑味の無い蛤の身の甘味が舌に
着地した瞬間に訪れるツルツルンと滑る
艶々な肌触りにうっとりしっ放しとなり
その身綺麗な蛤の肉肌に惚れ惚れしつつ
咀嚼した時の麗しい味わいに感銘します。
更には
国産の葛粉で溶いた銀餡に
近江蕪を擂り流しにした上
蛤の身肉をその中に潜ませ
蕪をほじくると奥の方から
百合根や銀杏がヒョッコリ
顔を出してくれる楽しさが
満載の焚き合わせの一品。

然も蕪蒸しの中の蛤とは繋げてなくて
其の儘同居させてるので繋ぎが無い分
蕪蒸しが銀餡に溶け込んで霙風の餡に
穏やかな変貌を見せてくれるのです。

近江蕪自身は出汁で直炊きしてるのか
優しいうま味が蕪にジンワリ染み込み
蛤からの旨味と塩味も餡に写されつつ
而して丸いコクを感じる味わいで着地。

銀餡からの瀞みと温度感のある和やかさ
甘味を携えて蕪蒸しが何処迄も穏やかに
揺ら揺らと甘味が揺蕩う佇まいの美しさ
そこに戯れる蛤と絡みながら蕪の霙餡の
舞台で踊る銀杏や百合根等の甘い舞には
舌が気持ち良く身を任せて味覚を堪能し
満足気に喜んでおりました。

⑫お食事

□山形県合鴨農法のコシヒカリを
土鍋で炊いた白ご飯(6号炊き)

□松阪牛の時雨煮
□山椒雑魚
□香の物
□赤出汁
□卵黄(宇治の生卵)
□おかか

一膳目は
ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
全部乗せして一膳目を頂くのが好みです。

ホクホク艶々の白米と山椒雑魚をお口一杯
頬張り雑魚のボソボソ食感の楽しさを感じ
山椒のピリッとする刺激を同時に頂き乍ら
絶品の牛の時雨煮の甘美な味わいに包まれ
ふわふわご飯をお口の中に放り込んでから
その芳醇なる時雨煮の甘味をご飯と一緒に
mogmogして極上の白ご飯を頂く口福感に
大満足となります。

この少し辛くて喉に渇きを覚える味わいに
耽美な甘さが煮詰まった松阪牛の時雨煮は
一度咀嚼し始めると麻薬の様に忍び込んで
舌を離しません。
何時もこの時雨煮の美味さには舌が麻痺し
陶酔して仕舞う美味しさです。

二膳目は白ご飯に卵黄掛けです。

シンプルに卵黄を頂きおかかを振り撒いた
卵掛けご飯となります。
お醤油を少し滴らせて卵をご飯に掻き混ぜ
ジュルジュル〜ッと頂きお腹を満たします。
卵黄の濃厚な甘味とおかかの塩味とが調和
至福のご飯タイムとなります。

最後にカリカリに焼かれたお焦げを頂きて
香りも噛み心地も抜群の食感と共に締めて
大満足のご飯タイムが終了となります。

⑬甘味

□お善哉
□お餅

本日のお料理の構成、流れ、組み立て方
素材の持ち味を引き出し切る究極の旨さ
加えて星野氏の技術とセンスが見事にも
一品一品に写されて完成度の高き至高の
日本料理を作り上げてます。
末永くお付き合いしたい名店です。

2024/04/12 更新

17回目

2023/09 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

素材を慈しみ何処までも穏やかに地味深く味を整えて琴線に響きわたるお料理

■2023.9.19(火)20時半〜22時45分

■お料理 お任せ¥45,000
お酒等含むお会計¥53,000

■ご予約 該当年度の受付日にお電話にて年間予約

①先付

□焼き茄子の白味噌仕立て
□茗荷
□和芥子

白味噌の中央に和芥子が静かに鎮座
中に溶きながら甘味と辛味を合わせ
慎ましい心に染み入る甘美な佇まい

久世茄子を串刺しにして炭火の上で
クルクル焼き鳥みたいに回しながら
優しく火を入れて繊細な久世茄子の
繊維を傷めない状態を保ちながらも
炭火の強さを感じさせない咀嚼感が
優れる無垢で鮮烈な甘苦い焼き茄子

京都山利の白味噌を絶妙な間合いと
配分で溶いて作り出される白味噌の
仕立てはまるでポタージュの様相を
呈しながら舌にまったりと親しみを
持って付き添う感じで誠に滋味深く
純真無垢で清楚な白味噌から甘味が
舌を染めて参ります。

その白味噌を飲み無垢な甘味が絡み
茄子の翡翠色から輝く焼き茄子との
味覚のコラボにうっとり現を抜かす

久世茄子を噛んだ瞬間とほぼ同時に
仄かに薫る焼き茄子特有のほろ苦さ
然も皮目のお焦げの芳しさだけ写り
翡翠色の繊維はちっとも傷んで無い
信じ難い魔法の様な焼き茄子の塩梅
茄子のカタチと肉質感を保ち美観と
美形の整え方は正に芸術品かと思う。

フワッと揺れる茄子へ咀嚼を進めて
お茄子の芯までフワンとする食感に
魅了されて仕舞う。
焼き茄子の炭の名残り香が茄子味と
調和しつつ舌を瑞々しさで覆尽くす

んん、白味噌と焼き茄子名コンビを
ここ迄昇華させる調理の技術に驚く

そして白味噌のまったりする甘美な
味わいがコク深く舌を染めて惑わせ
陶酔する味覚の世界に誘い込みます。
秋味を静かに嗜み言葉を失う逸品。

②お凌ぎ

□博多湾海鰻の飯蒸し
□お出汁で蒸し上げた餅米
□木の芽

お料理は博多湾の天然の海鰻に
お出汁で染めてる餅米に寄せて
木の芽をアクセントに添えての
ご用意となります。

一口その鰻の飯蒸しをお口へと
含みますと川鰻とはまるで違い
溌剌とした海鰻の身肉が弾けて
味の奥行きの深さ広さの違いを
舌が直感的に拾って悶えます。

海鰻は川ウナギより遥かに無垢な味わいが
深掘りされてる美味さで咀嚼した時の肉感
身厚な肉質から迸る逞しく育まれた繊維感
そして
柔らかい身肉から生まれる膨よかな肌合い
地焼きされてパリパリの皮目が同居しつつ
その破砕感と芳醇な肉感のコントラストが
育む鮮やかな食感に支えられて海鰻の味が
どんどん咀嚼を進めて美味を深めて行く。

更に咀嚼を進めれば

海鰻の持つ固有の身質から
浮き上がる豊かな膨よかさ
パリンと弾ける皮の焦げ目
歯にサクッと絡み舌を招く
地焼の火入れ加減も神技で
パリンからフワリと食感が
舌に同時に舞う瞬間の快感
噛めば噛む程味が深まって
高揚感がグンと広がります。

炭火で直焼きした博多の海鰻は
芳しく香り立ちフワリと鼻腔を
擽ぐる
餅米はしっぽりとモッチリして
皮目のパリパリ感に潜む旨味と
仲良く絡み合い妙味を引き出す

そして寄り添う餅米からも
ムチッとする様な膨よかな
食感が舌を襲って来ながら
餅米に寄せる海鰻の相性が
これ程マッチングするとは
想像を遥かに超える妙味で
舌を踊らせておりました。

絶妙な火入れのバランスが生む旨さ
海鰻らしい野生的な肉感が膨よかに
漲る旨味をここまで昇華させている
その絶品鰻の2切れを心ゆく迄堪能

■鰻ダレに酔い痴れる

舌と触れ合う味覚の構成エレメント達が
発する味わいの多様な関わり合いに感銘

味醂とお酒と濃口を1:1:1の比率を
色々に試しながら仕上げて来た鰻ダレ
その日の鰻が最高の出来栄えになる様
海鰻の身質の豊かさを自然に発揮して
甘味を強めたりして鰻の皮にも腹にも
丹念に刷毛を入れて念入りに仕込んで
そして山椒の香りを付けながらと言う
作業を何度も繰り返されての炭火焼き
故に咀嚼の時のパリパリする破砕感が
とても心地良く響きながら味わい深い
甘味と同時進行してこの海鰻の一口を
極上の甘ダレが鰻の身質を巧みに染め
舌を甘やかしながらも美味の極地へと
誘いこんで行くのです。

■味覚のグラデーションを満喫する

白身はホクホクの深い鰻本来の味わい
皮目はパリパリッと歯ごたえ感を満喫
その食感と味覚のコントラストに感銘
その切り身をギュッと咀嚼し続けると
タレの甘味と山椒のツンと散る刺激と
モチッとする餅米が三位一体となって
海鰻の膨よかさが充足感を醸成しつつ
味覚グラデーションが進んで行きます。
そして海鰻のポテンシャルを限りなく
引き出す炭火を巧みに扱う技にも感嘆
いやいや、素晴らしい海鰻の飯蒸しを
頂いてしまいました。

③海胆ゼリー

□馬糞海胆
□鯛のお出汁ゼリー

鯛出汁を馴染ませたゼリーに馬糞海胆と
合わせておられます。
一番出汁をベースに焼いて無い鯛の骨を
炊いて旨みを引き出したゼリーで纏める

鯛の中骨を炊いて取ったお出汁のゼリー
馬糞海胆を優しくカバーして冷感を保ち
奥床しくも優しいゼリーの旨味が海胆を
冷んやりと労り海胆の珍味を邪魔せずに
繊細に完成された旨味と珍味が同居して
斯様な一品に佇む雑味の無い旨さに脱帽

舌を冷感が気持ち良い旨味で覆い尽くす
冷んやりするゼリー食感が海胆を手伝い
馬糞海胆本来の持ち味を素直に際立たせ
舌に快感をストレートに写していました。

④焼き鼈

□浜名湖 服部中村養鼈場の鼈

服部養鼈の養殖方法は格別なもので
同じ鼈養殖でもきちんと冬眠させて
3年間に渡り養殖して育ててるので
他の養殖場とは違い鼈の身肉繊維に
味が詰まってる深みを感じます。
お肉の密度が全然違っており咀嚼した際に
肉の繊維質がギュッと詰まって歯に当たり
其の儘吸引される感覚に陥るのが不思議で
普通は鼈肉を咀嚼するとコラーゲン脂質は
プヨンとなり肉感も柔らかく弾みプルッと
弾力するのに比して服部養鼈で育てられた
養殖鼈は噛むとギッシリお肉が詰まってて
プルンではなくムギユッと噛み込んで肉の
繊維質に引っ張られる感じとなり弾力性に
富んで滅茶苦茶に咀嚼感が詰まった旨味が
ガツンと来ちゃうのです。
元来鼈はダイナミックな肉感が売り物とも
言えますがその中でも此方の鼈肉は格別で
咀嚼時の味わいの奥行きの深さが堪らない。

其処に更にvividな特性醤油ダレの甘味も
加わり噛めば噛むほど味わいが深掘りされる
焼き鼈となるので有ります。
手掴みで鼈肉を鷲掴みして両手で支えながら
鼈に向かいガバッと喰らい付くので有ります。
齧った途端に鼈の野性味を帯びた肉肉しさが
無闇矢鱈に口腔内を蹂躙して極上旨味が弾け
飛び交うので有ります。
骨が見えるまでしゃぶり尽くすとコラーゲン
たっぷりのゼラチン質がぷよぷよと口内へと
溶けて流れてきてるのが推し量れます。

其処をグッと引き千切って更に舌で舐め回し
快感が増幅して来るので御座います。
もう、感動しっぱなしなのです。
豊かなお醤油風味も心地良く靡き焼き鼈から
相性良く肉感が放ちつつも旨味を広げて来て
美味しい楽しい躍動が広がる味わいに繋がり
大満足となる至福の逸品でした。

⑤芋茎の吉野煮

定番の名作であるのは勿論の事
吉野煮の生姜風味と炒子出汁に
訪れる度にほっこりと嬉しい味
この一品に出逢う為に通いたく
なる気持ちに襲われるほど迄に
やはり舌に染み入って来るので
この一品だけは忘れ難き名品と
言えるかと思います。

炒子が優しいお出汁のうま味を整えて
葛餡を纏わせ芋茎を穏やかに包み込む
この葛で溶いた炒子出汁の餡を飲むと
何故か心が和んでくるんですよね。
芋茎のザクッとする食感が歯に当たり
心地良く響き乍ら葛餡のトロ〜リ感に
舌が満たされて行きます。
芋茎の無機質感を葛の瀞みでねっとり
炒子出汁のうま味で装いつつ淡白乍ら
アクセントの生姜だけで創作する名品。

そろそろ芋茎も今月まででしょうかね。
10月からは根芋の吉野煮になりそうで
一年の内に芋茎も根芋も途切れる月が
一回発生するかしないかだそうです。
それでも生産者が高齢化し数限られた
農家さんだけなのでその内には消滅し
吉野煮も最後になる時を迎えるのかと
思いますと寂しい限りですね。
そんな事を頭に描きながら吉野煮から
生姜の刺激と葛餡のほっこりさを纏う
芋茎の繊維感で舌を惑わせつつ妙味に
うっとりしちゃいました。

ここで閑話休題

やはり時期的に皆様松茸を期待してますが
星野大将のお話では未だお料理に饗する程
良い松茸が無いとの事で本日は残念ながら
松茸料理はパスさせて頂くことに。
そんな話しをし乍らも松茸を凌駕する味の
お料理が待ち受けてました。
その辺は流石と思わせるものが有ります。

季節の味覚を引き出し変幻自在に味を写し
夏の名残のものと秋味深まる味覚を合わせ
舌を喜びに誘う一品たちに心躍りますね。

来週になるともう海胆や芋茎は消えて
メニューも一新され完全に秋の味覚へ
移り変わるようです。
この時期が丁度端境期となり楽しさも
増えて印象的なお料理が多くなる気が
致しておりました。

⑥冷たい無花果田楽

□無花果を蒸して冷やして
□山利の田楽をお供にして

冷んやり無花果に田楽味噌の甘味が重なる
無花果との相性がパーフェクトな一品

一口目で無花果田楽を含んだ時の味わいが
舌をまったりと寄せて来るし幸せな思いを
育み舌鼓を打つ時に頂く耽美な甘い世界へ
没頭させて仕舞います。

無花果が格別な味覚の果実に変化しちゃう
無花果からジュクジュクと湧き出る甘味に
負けない田楽味噌のしっとり甘いが秀でて
見事に味覚同士が同調して来る味わいには
舌が惑いうっとりしっぱなしとなります。
山利の素材感を活かした白味噌ならではの
田楽味噌は卵の黄身と煮切り酒とお砂糖で
合わせて田楽を仕立てております。
山利のお味噌だけで十分に無花果の果実と
甘味が寄り添ういい味の調和に繋がるかと
思いますが更に甘味に磨きを掛ける星野流
一味も二味もその味わいのレベルの高さに
舌が惚れ込んで仕舞うのは避けられないと
痛切に感じました。

⑦大原の黒鮑

□鮑葛粉揚げ
□銀杏の素揚げ
□振り塩

星野さんの揚げ物で一番の味覚の繊細さを
感じることが出来る葛粉の揚げ物のご用意。
この葛粉揚げは京味系でお目にかかれるが
星野さんのは何処か一味違うんですよね。
揚げられた粉の粒子から舌に伝わる粉質の
サラサラ度と言うか軽やかに粉が舌に着地
触れた瞬間からジワッと滲み出る粉の底味
其れに加えて鮑の肉感が直ぐ隣から直接に
歯に響き渡り葛粉揚げを軽妙に破砕しつつ
ボリューム感が旺盛な黒鮑の肉感プワンと
跳ねて来て実に相対するお粉と肉の共演に
悶絶しちまって堪らないのです。

葛粉で鮑を揚げますと揚げ衣の軽さにも
驚いちゃいますが鮑の野生的な肉感との
衣の距離感がよりピタッと密着しており
然も衣の粒子が細かく揚がっている為か
噛んだ時のサクサク感がふんわりとして
サラリと流れて行く舌触りの細やかさが
鮑の美味しさをキュッと引き立ててます。

葛粉揚げの黒鮑は肉厚な身がプリップリに
弾む肉感を口内に投じていて咀嚼してると
しなやかな身質を維持したまま揚げたての
旨味がちっとも損なわれてなくてある程度
瑞々しさは無くなりパサ付くかと思いきや
逆に
肉感が躍動してる生き生きとして噛み心地
抜群に伸びます。

やはり鮑と言うのは中の肉が大きいものの
方が良い様で外周をカットしてから中身を
調理して料理を作り上げる為外周をカット
した後の中の身が大きい方が美味しくなる
との事でした。

そしてお摘み的にお供する新銀杏の素揚げ
振り塩が施され良い塩梅の塩加減に纏まり
齧るとサクッと破砕感健やかに伸びて来て
銀杏がパチンと弾けて実が幸せいっぱいに
潰れるのが嬉しくなる

秋味をさり気無く軽やかに仕上げてご用意
酒もついつい進んでしまう一品達でした。

⑧お造り

□明石の鯛
□酢橘
□雪塩
□修善寺の山葵
□お醤油

鯛は寝かせずに朝締めのプリプリな身が
とても生き生きとしており鮮度の良さを
感じる逸品でのご用意です。

然も山盛りに盛り付けされてお薬味等も
各種を楽しめる様にセットされてる所が
嬉しくなります。
一枚一枚をしっかり噛み締めて鯛の味と
口内に残して行く余韻を確かめながらも
淡白な旨味がお醤油や酢橘塩な雪塩にて
表情が素直に変わる所を楽しませて頂き
鯛を堪能致します。

鯛の身質自体は流石に明石の激流の中で
鍛えられているだけあり身がしなやかに
舌を撫でて行き柔らかくてプリッと弾む
優しい弾力感が有りふわんと反発するし
弾力感が歯に伝わる時の快感が堪らなく
食感の秀逸さを著して感動致しますね。
そして噛んだ時に淡白な肉質から滲んで
その旨味は山葵が負けてしまう程のもの
鯛の無垢な美味しさにホント舌が参って
惚れ込んでしまいます。

アクセントのお薬味が多々ご用意されて
中でも意外と雪塩との相性が頗る良くて
雪塩を鯛の切り身へと振ってやりますと
ジンワリと鯛の身質の中に溶け込み乍ら
その身質の旨味がキュッと締め付けられ
際立つ感じとなり味わいが深掘りされて
鯛の持ち味をストレートに感じました。

鯛の醍醐味を存分に味わえる素敵な時を
頂くことが出来て満足でいっぱいでした。

⑨小鍋

□淡路の鱧
□九条葱
□お餅

所謂鱧鍋ですね。
グツグツと煮立っている鱧の小鍋から
湯気立ちとともにフワフワァンと良い
匂ひが鼻腔掠めて立ち上がってきます。

シンプルに鱧だけの甘味うま味を身から
出たお出汁をお鍋にも写し更に鱧出汁の
中で煮込むことにより鱧自身の肉を鱧で
綺麗に磨き上げているという何と贅沢な
調理を施すものなのかと感銘致します。

そしてその鱧鍋のスープの地の淡麗なる
うま味の美しさと深き味わいに舌が唸る

更にその鍋には九条葱をたっぷり合わせ
愛おしくなる様な葱の繊維感の清々しい
食感が演出されていて鱧の身肉に添って
グッと美味しさを引き延ばして来ます。

この時、驚くべき光景が目に入って来て
星野大将のお料理センスが光る素材登場
鱧鍋に隠されてる秘技を発見してお客様
全員チョット感動しちゃうんですね。
何と鱧鍋の底で鱧のお肉の塊の下の方に
お餅が密かに仕込まれておりました!
此れにはかなり舌が驚きの表情でお出迎え

大将曰く九条葱だけだと何か物足りないと
感じててシーズンでは無いのですがお餅を
繋いでみたら良いのではと考えて鱧鍋には
お餅がグツグツの中に射込まれてました。
咀嚼してみるとあら、不思議な食感

モチ〜ッと円やかに伸びるお餅の食感から
甘い餅米の溶ける馴染みの有るものが鱧と
絶妙に絡んでお出汁のうま味をほんのりと
纏いつつ誠に染み染みお餅と一緒に溶けて
美味を奏でておりました。

鱧鍋は兎角鱧を煮込み過ぎたりして直ぐに
火が通り其の儘煮詰まる中で食べると鱧が
ボソボソになっちまいがちな鍋物らしい。
ここでお餅の力を借りましてトロンとさせ
鱧も同時に助けて同期化させますと味覚が
互いに仲良く同調し食感も瀞みが出て来て
実に美味しい〜!となるのですね。
此れはかなり感動ものの鱧鍋で鱧とお餅の
名コンビ誕生秘話となるのでしょうか。
来年同時期に来て確かめたいものです。

兎にも角にもまぁ、

鱧とお餅が一緒になって瀞みが絡んで来て
鱧もスベスベの肉感がプルンと歯に纏うし
食感と肉感と舌触りが全て絡んで美味形成
めちゃくちゃに美味しい鱧鍋となりました。

⑩焼物

□落鮎 岡山 庄川
□はじかみ生姜

各自自分の手による調理をお手伝いして
落鮎を解して美味さを其々のやり方で
整えさせてくれる臨場感を味わう趣向は
とても目新しいのと同時に鮎への愛着が
湧いてくる

本日は星野大将直伝の焼き上がったばかりの
落鮎の捌き方食べ方の講習会が始まるのです。
ご指導の通りに指を動かして
先ず、
頭の方を押さえて尻尾を千切る
頭を持って泳いでる形の背中を上に向けます。
次にお箸の腹で上から落鮎の身をポクポクと
軽く叩いて背中を沈める感じで叩いて
今度は頭を上に向けてお腹側を軽くフワッと
満遍なく全身がペタッとなる様な感じに叩く
ここまで来たら後は骨を抜くだけですっぽり
身が抜け出るのですが
此処で焦って頭を持って骨を抜こうとすると
失敗が多いとの事で骨を抜こうとはしないで
身の方を骨から引き出す感じで身を引く様に
して抜くとスッポリ良い感じで外れます。
引き抜く時は前もって鮎の真ん中辺りの皮を
指でチョット摘み乍ら右手のお箸で身を挟み
引くと一口サイズくらいの大きさで鮎の身が
ハラリと解けつつ中骨から削がれて行き鮎の
ホクホクの白身が眼前に飛び出て来て感動。
不思議な位にスルスル〜ッと鮎の皮毎白身が
フカフカと湯気立ちして削がれ出て来ます。
頭以下の中骨は綺麗に小骨迄まるで標本の様
見事に鮎の身だけが真っ白な状態の儘で骨と
分離されて綺麗に収まってます。

このやり方は
昔の落鮎の食べ方だそうでフワフワな身肉で
柔らかさがもてなす食感の豊かさが鮎本来の
持ち味の美味さを如実に感じ取れる食べ方と
言われてました。
現在の主流はやはり炭火でパリッと焼き上げ
カリカリ焼いた皮や尻尾を齧り乍ら焦げ面の
苦味も一緒に身を食べると言う食べ方が主な
流れとなってますが本来はフワッとした身の
味わいを楽しめる魚料理だそうです。

自分の箸で捌いた落鮎を食べる時の臨場感と
その場に漂って来るうまい具合に捌けるかの
興奮と緊張の狭間でスポッと鮎の身が骨から
解れて解放された時の喜びを感じて楽しさが
美味しさに覆い被さり興奮と満足が行き交う
格別な感情が湧き上がり舌も釣られて興奮の
醒めない儘に鮎の妙味をご満悦となったので
有ります。

⑪焚き合わせ

□飛龍頭
□湯葉
□絹さや

其々別々のお出汁で炊いて一つに纏めるので
炊き合わせなのですが
湯葉の甘味が優しくてこれだけでもご馳走と
なりますが絹さやなんかと合わせても良くて
湯葉の甘味が負けてない所為なのか
絹さやの妙味と良い塩梅の味わいに調和する

湯葉の方は甘く炊いて甘味を主張し
飛龍頭の方はお出汁の味付けだけで
そんなに甘く味付けはしない仕上げ

飛龍頭の中には銀杏と生の木耳が射込まれて
飛龍頭のお豆腐成分のふっくらとした食感と
穏やかぁ〜な甘味に浮き出る銀杏特有の香り
その甘味たちがとても微笑ましく感じられる
その中でプチンと弾力性を持つ木耳が弾いて
此れも愉快に味わいつつ楽しめる炊き合わせ

所で本日の飛龍頭の豆腐生地などは
新橋の老舗のお豆腐屋さんから頂いており
星野さんの方で水切り等を施して炊いてて
そのお豆腐屋さんが今月一杯でお店を畳む
との事だそうです。
創業98年続いた老舗との事で大変残念な事
なのでこのお豆腐で作れるのも今月で最後に
なりますと言われてました。
そう言う歴史の重みを感じながら頂く飛龍頭
となると味わいも感慨深くなり舌も一所懸命
咀嚼を重ねる事になりました。
そして
飛龍頭はジワァリお出汁が染み入る優しい味
じ〜んと心に染み込んで来て誠に美味いです。
これ程まで洗練され綺麗に磨かれた味わいに
やはり一口頂く度に感動しますね。
絹さやを飛龍頭を食べる合間に挟み繊維感を
楽しみながら再度飛龍頭へ向かう
更にその合間に湯葉の甘味を添えてお出汁を
少し嗜みつつお酒で喉を潤わすと言う好循環?
に舌が浮かれっ放しとなりましたのは仕方が
無いかと自己弁護しておりました。

⑫お食事

○山形のコシヒカリ
○松坂牛の時雨煮
○山椒雑魚
○香の物
○赤出汁

絶品の白米様に舌が歓喜するご飯タイムが
やって参りました。
艶々でホクホクの何時もの白ご飯のお時間
幸せご飯に旨味たっぷりの時雨煮を乗せて
更に贅沢に山椒雑魚も全部乗せしての白米

時雨煮の旨味
山椒雑魚の鹹味と辛味
白ご飯の甘味

どの一品もご飯にベストマッチする味わい
ベストコンディションで臨んでくれてます。
あぁ、この至福のご飯時間こそ星野料理の
真骨頂とも言うべき癒しの白ご飯が花咲き
完成されたカタチなのだと強く感じます。
本日のメインイベントはやっぱり白ご飯だ。

美味しくて美味しくて堪りません。
もう、この贅沢なご飯のお供とご一緒に
じっくりと米粒の甘味を噛み噛みさせて
一所懸命に楽しませて頂きました。

何時もでしたらご飯をお代わりをして
卵かけご飯を所望するのですが本日は
お腹も満足しており控える事にします。

最後に赤出汁をじっくり味わい舌も心も
いっぱいとなる満足度MAXとなりつつ
大満足を頂いたご馳走でした。

⑬甘味

□葛切り
□煎茶

葛切りの純度抜群に黒蜜の気高い甘味が
寄り添い濃厚な甘さと淡麗な葛切りとが
ベストマッチして頗る美味でした。

2023/11/08 更新

16回目

2023/06 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥60,000~¥79,999
    / 1人

夏素材オンパレードの贅沢な神回は一品毎にクライマックスが訪れました。

■2023.6.17(土)20時半〜23時00分

■お料理 お任せ ¥45,000
お酒と時雨煮購入含むお会計¥税込69,600

■ご予約 一年前にお電話にて

①先付

○兵庫三田の新芽の蓴菜
○蝦夷鮑
○胡瓜の飾り
○ポン酢
○山葵

星野さんの蓴菜は何でこんなに清々しい
ヌル感が口内で育まれるのだろうと毎年
この時期に来ると考えさせられてしまう。
新芽と言う事もあるでしょうし三田でも
かなり秘境の地に育つ蓴菜とも聞くので
産地の特性かと推察しますがその蓴菜を
見極めて仕入れを契約してるからこその
素材力とでも言うのでしょうか
素材には妥協を決して許さず拘りの追求
だからこそ素材の訴求力に加え星野流の
調理で磨きが掛かった時の味覚が鮮烈に
生き生きとした美味しさになるのですね。

三田の蓴菜のヌル感がプルンと揺れて
食感のコントラストが抜群に響きつつ
妙味を伸ばして来る
三田の蓴菜は何でも新芽だけを取って
厳選されてるとの事。
だからでしょうか。
蓴菜のヌル感が飛び抜けており新芽の
力強い繊維感も伸び歯応え十分のもの
赤芽も大きくてガッツリと付いていて
とても良質な蓴菜です。

蓴菜に合わせ三陸の鮑が瑞々しく食感を
伸ばして来る対照的な歯触りが実に旨し!
鮑からコリコリ感が歯にvividに響き
蓴菜のヌル感との食感の格差をクリアに
感じながらもポン酢の酸味がシャープに
同期して来て舌と歯に口福感いっぱいに
着地する

蝦夷鮑はコリコリする食感にミネラル感
ある香りと味わいが清涼感を増幅させて
蒸し暑い初夏の時期にぴったりの一品目。
季節感溢れるお料理に顔が綻びます。

蓴菜と鮑の持ち味を存分に活かし切って
多様な食感のハーモニーが作り出す妙味
舌を何時迄も喜ばし続けていました。

②鰻の飯蒸し

○博多湾の海鰻
○お出汁で蒸し上げた餅米
○木の芽

海鰻は甲殻類を食べて育つとの事です。
なので焼いてる時に甲殻の匂ひが出て
風味の良さを感じる鰻だと直ぐに分る
という事でした。
成る程、普通の川鰻と違い香り方まで
異なるのかと良いお勉強になりました。

見るからに威風堂々とした飯蒸し様の
立ち居振る舞いに迫力を感じています。

而も2枚重ねで贅沢な振る舞いの飯蒸し
此処は一枚目の海鰻をしっかり味わって
鰻様のみを単独でお口に投入しパフッと
噛みつきムフフとニンマリして頬っぺた
落ちまくって素直に喜びに浸ります。

しっかり地焼きされた海鰻は皮目へとても
パリッパリで咀嚼時の破砕感が爽快に響く
皮目も身質もしっかり肉付いており極太な
旨味が漲り生命力が溢れる美味さを如実に
感じる海鰻で咀嚼が自然に進み激うまです。
これぞ鰻の醍醐味だと言う迫力を感じます。

そして2枚目は餅米とご一緒させて頂いて
餅米がしっぽり歯を包みモッチリ食感伸び
膨よかな身質の旨味を最大限に引き出して
完成度が美しく贅沢感が溢れる飯蒸しです。

皮目と密着してる身質をホクホクに仕上げ
そのエネルギッシュな身が自ら捩れるほど
鰻の持ち味が零れて来る美味さを満喫する。

絶妙な火入れのバランスが生み出す旨さは
海鰻らしい野生的な肉感が豊満に漲るもの
海鰻をこれ程昇華させてしまう星野さんの
火入れのチカラに舌が痺れちゃいました。

[鰻への慈愛溢れる火入れ]

海鰻の蒲焼に使う星野流特性の鰻ダレは
味醂とお酒と濃口を1:1:1の比率にて
色々試行錯誤しながらその日入荷の鰻が
最高の出来栄えになるように調和させて
海鰻の身質の豊かさを自然に発揮させる
甘味の緩急を整えて鰻の皮目に腹側にも
丹念に刷毛を入れて念入りに馴染ませて
山椒の香りを付けながら繰り返し炭火を
入れると言う作業を繰り返す火入れの妙
故に咀嚼した時のパリパリする破砕感が
とても心地良くスムーズに響きながらも
コク深い甘味が同時に舌に上乗りしてて
この蒲焼の海鰻を極上の味わいで迎える
事が出来るのだと実感致しました。

[味覚のグラデーションに酔う]

海鰻の身はホクホク感が極まる鰻本来の
味わいを見せている
皮目のパリパリ感が快適に響く歯応えを
満喫し乍ら食感と味覚のコントラストが
クリアに浮き上がるもので舌が唸り続け
堪らなくなります。
鰻ダレの甘味と山椒のツンと散る刺激と
モチッとする餅米が絡みつつ調和し合う
海鰻の膨よかさが餅米と一体感を醸成し
味覚のグラデーションが進んで行きます。
この海鰻のポテンシャルを限界領域まで
出し切らせる火入れの力強さに圧倒され
海鰻を調理する匠の技に感服致しました。

③お凌ぎ

○ほうれん草の軸と岩茸の白和え

ほうれん草の軸は瑞々しくシャキッとして
絶妙な食感で青い香りに混じり胡麻からも
フワンと微風の様に香りが届いて香り三昧
その甘味達を纏ったほうれん草は季節感を
感じるほうれん草で青みがかった美味さが
際立つ一品となっておりました。
そして、岩茸と胡麻の相性も抜群に馴染み
既に胡麻茸と言っても過言ではないほどの
馴染み具合で舌を喜ばしておりました。

④芋茎吉野煮

京味系のお店では伝統の名作の一つ
芋茎を炒子出汁の吉野葛で炊かれて
味も食感も整えている一品

炒子が優しいお出汁のうま味を整え
葛餡に纏われた芋茎の繊維を和める
この葛で溶いた炒子出汁の餡を飲み
何故かホッと心が安堵するのです。

芋茎のザクッとする咀嚼感が響いて
歯を気持ち良く迎え入れてくれ乍ら
舌が葛餡のトロ〜リ感に満たされる。
芋茎と言う無機質な味を葛の粘性と
炒子出汁のうま味で装いつつ生姜の
アクセントだけで爽やかな味に整え
舌を納得させてくれるのである。

何の変哲も無い根菜を一本一本丁寧に
仕込みつつジンワリと穏やかに出汁を
馴染ませて瀞みと共に嗜む伝統の一品

⑤蒸し物

○蒸し鮑 唐津 500g

鮑は殻ごと辛口のお酒と昆布と少しの
お水だけで蒸しててその際に滲み出た
煮汁だけで肝を伸ばされてます。

塩等は使わず鮑の地だけの旨味を作る
実に素材の持ち味をしっかり引き出し
鮑の本性を曝け出している作品
芳醇な香りとミネラル感のある旨味が
柔らかくプワァンと口内に広がります。
一口食べてもうメロメロになりますね。
肝ソースは臭み無く深みとコクを添え
鮑の美味さをこれでもかと感じさせて
咀嚼が恍惚を呼んでしまう美味さです。

⑥箸休め

○馬糞海胆 利尻
○雉羽太のお出汁のゼリー

雉羽太の出汁ゼリーが海胆を冷んやりと
纏い海胆の甘味を巧みに引き出しており
見事な味覚のコラボレーションを演じる

海胆を纏うゼリーは一番出汁に雉羽太の
中骨から取ったお出汁で整えてます。
雉羽太の出汁の旨味の濃度の深さに加え
雑味が無くて透明感が綺麗に伸びて来る
味わいに舌がうっとりしております。

そして馬糞海胆は香りと味覚がしっかり
してお出汁がその風味を優しく包み込み
馬糞海胆らしい珍味度を増幅させながら
広がりを持って滋味深さがジワァ〜ッと
舌に染み込んで来ます。

ゼリーの旨味と馬糞海胆の甘味が見事に
活性化してハーモナイズする美味しさで
舌を弄び初夏に相応しい涼風を靡かせて
珍味を楽しませて頂きました。

⑦揚げ物

○虎魚の葛粉揚げ えんがわ添え
○万願寺唐辛子の天麩羅
○お出汁が効いた天汁
○一味

虎魚は葛粉が粒子も肌理細やかに塗され
揚げ立て状態はフワッフワな感じの一品

付け合わせの万願寺唐辛子は普通に粉で
天麩羅にして揚げられております。

粉の粒子感やフワサクの食感異なる2品
咀嚼のコントラストがくっきり浮かんで
歯を楽しませてくれる揚げ物の食べ比べ
此れは嬉しくなる揚げ物のご用意に感謝

そしてまた天麩羅にも葛粉揚げにも最適
天汁が天下一品の淡くて研ぎ澄まされた
旨味が佇む天汁は一番出しが香り気高く
舌をうっとりさせる程の美味にて此の儘
お飲み物としても秀逸かつ酒の摘みにも
なっちゅうくらいの滋味深さに脱帽です。

虎魚へ顔を近づけると食欲唆る油が薫る
虎魚の端っこを一口齧ってみます。
葛粉揚げされた虎魚の表面はカリッとし
身質はフワッと歯に響いて咀嚼が進む。
衣を突き破ると葛打ちされた虎魚の身は
プルンと揺れながらもツルリと艶かしく
舌に着地してぬめり味が賑やかに舞う
葛粉の粒子の細やかさと虎魚の肉肌との
艶々感の格差から生まれる食感同士との
あざとさに歯がぞっこん惚れちまいそう。

虎魚は敢えて天汁にどぼん!と浸しつつ
虎魚の綺麗な雑味の無い色旨味が天汁の
滋味深さでグーッと膨らんじゃいます。
いい意味で気取らず頂ける揚げ物ですが
一口一口が実にチャンピオン級の美味さ!
そして万願寺唐辛子は甘味と青い香りが
グッと主張しお互いのバランス感も絶妙
なのがとても微笑ましく感じられました。
虎魚は自らの身を磨き上げるが如くにて
天汁に浸されるとポテンシャルが最大に
発揮されて淡白な旨味に迫力が滞在する

羽織一枚という感じの薄衣
フワフワな葛粉の衣の舞に
唇がフッと触れると其の儘
衣の繊細な誘惑に駆られて
自然にキスしたくなります。

虎魚の葛粉揚げを箸先で弄ぶ
ハラリと衣毎スルスル解けて
解けた虎魚の一片をお出汁に
浸しザブンと衣に染みる出汁
共に集う虎魚のフカフカ白身
一つ齧っただけでうんメェ〜
となり悶絶級の美味さが炸裂

虎魚の無垢な甘味が鮮烈に走ります。
此奴は病み付きになりそうなほどの
気品溢れる虎魚の淡白な味わいには
舌が震えちまいました。
更に驚いちまいました味覚の佇まい
何ともお出汁の天汁の驚異的な淡味
お椀の吸い地に勝とも劣らぬレベル
地の旨味の奥行きの深さに感極まる
普通、天つゆと言いますと
揚げ物の持ち味に塩味なり甘味なりを纏わせ
脂分を和ませ緩和するお仕事をするものです。
然し乍ら此方の星野天つゆはドボンと浸すと
天つゆを虎魚に纏わせただけで虎魚の身質に
滋味深い旨味を膨らませる秀逸なお汁でした。

吸い地としても行けるくらいの
洗練されたおつゆの美味しさは
舌がかなり衝撃を受けて脳裏に
天汁の旨味が刻印される

そして虎魚の葛粉揚げはと言いますと
身の部分だけをサラリと揚げて白身が
丸っ切り無垢な身質で一切の雑味無く
仕上がっており極旨の味わいに感激。
サラリと衣の粒子も揚げられた虎魚は
火が満遍なく白身の中まで届いており
咀嚼してますとホクホク感が舌に響き
天汁に浸った衣は濡れ加減もしなやか
ゾクっと来るくらい食感が伸びてます。

天汁の旨味と軽妙な衣の食感の狭間で
虎魚の妙味がパァ〜ッと広がります。
凄い凄いレベチの美味さで咀嚼を促し
揚げ物レベルの美味さが突き抜けます。
ホント、舌殺しの葛粉揚げの揚げ物で
虎魚の味わい方の常識を覆してしまい
天つゆと衣の関係すらも次元を超えた
一品でした。

⑧お造り

○アコウ(雉羽太)
○浜防風
○酢橘
○マルドンのお塩
○お醤油
○山葵

本日のアコウはそれ程は脂が乗らず
意外とサッパリな身質なので酢橘が
合う感じです。

夏の河豚と言われる元気なお魚です。
夏場は鯛が良くないので代わりにと
アコウが美味しくなる季節との事で
この時期にアコウを珍重される模様

身は程よく締まりブリッとした弾力
食感と共に優しく力強い旨味を発揮

円やかなマルドン塩はちょっと煎ってますね。
お塩の野性味がほんのり露わに出てる感じが
良くて少しアコウの生身にパラリ振ってやる
アコウの膨よかな身肉に鹹味を浮き出させて
お塩効果抜群に伸びてアコウの旨味をジワリ
曝け出して来て咀嚼が楽しくなりますね。

アコウの身肉の淡白な旨味をグッと伸ばして
味わいを際立出せますね。
このマルドンのお塩にチョット感動しました。

このお塩を酢橘の酸味で溶かし酢橘塩として
アコウにポトンと滴らせると底味と酸味とが
アコウの身の奥から浮かび上がって来る様で
身質の淡白さに輪郭を与えてしっとりとして
しなやかな白身の旨味を誘い出しております。

更に
お醤油も御殿場の天然醸造もので甘味が
丸くてソフトな味覚を佇ませた醤油です。
お醤油と山葵の甘辛加減も良くアコウに
馴染ませてやると旨味が健やかに膨らみ
味覚が単に美味さを深めるだけで無くて
アコウの身を丸い味覚に伸ばし涼しげに
舌に囁いて来ておりました。

⑨お椀

○牡丹鱧
○蓴菜
○梅肉
○酢橘の皮

綺麗な姿でお椀に浮かぶ牡丹鱧は
牡丹の花が咲き誇ってる様に見え
その佇まい自体が芸術品です。

吸い地が綺麗に研ぎ澄まされており
シャープさを感じる美しさを放って
昆布が誠に淡麗で枯淡の趣を感じる
うま味が舌に寄せて来ます。

どこまでも淡く深い所から忍び寄り
昆布の淡味が澄み切って佇む吸い地
雑味が除かれ繊細でキレのある味覚
それだけでも馳走となり得ます。

やや火入れを施した蓴菜が山葵色に
衣替えして素敵な色合いを見せます。
プヨンと弾んだ温かい蓴菜の食感を
嗜みつつ態と芽がついて無いものを
選定しお椀に穏やかに蓴菜を散らす

吸い地も椀種も邪魔しないで単純に
蓴菜のヌル感と弾力感が柔らかくて
地に寄り添わせる感じで椀に置いた
蓴菜の佇ませ方にも感嘆したい。

このお椀と真摯に向き合い牡丹鱧の
ヌルリとした食感に舌が着地しつつ
鱧がハラリ解けていく淡白な旨味を
しっかり味わう至福のひと時を頂く

鱧の身は口の中で優しく崩れて行き
クリアな旨味を誇りフワッと舌にも
寄り添い至高の美味しさを満喫して
口福感を堪能させて頂きました。

⑩焼物

○若鮎塩焼き二尾 神流川
○矢生姜
○酢橘

神流川の若鮎を炭火でじっくりと火入れ
指で触るとアチッとなりますがとっても
身がふっくらとしててフワッフワです。

鮎の品質が最上級なものを厳選されてて
漁師さんより直接頂いてるもので毎日は
入荷しないそうです。
なので手に入った時のみお料理に出す為
日によっては鮎が無いことも屢々なので
本日は貴重な日にお邪魔出来て光栄です。

つい先程まで生きていたものを焼いてて
とても良い鮮度が保たれてる状態を保ち
身も良く有るカリカリに焼くのでは無く
ホントに鮎の身が膨らむ火入れの施しに
感銘します。ちっともパサついて無くて
しっとりしてる感じに驚いちゃいます。

此処で星野大将よりこの若鮎の食べ方の
講習会が俄かに開催されます。

先ずこのふかふかな若鮎さんを起こして
背中の方と向き合います。
最初に尻尾をプチンと割いて取り外して
次に背中をお箸でポンポンと叩いてから
身をお箸で挟み中骨から食べる分だけを
引き千切る様にして引っ張り出します。
おぉ〜、
何と身だけがスルスルゥッと抜けて行き
中骨は取り残され何かの標本みたいです。

この写真を撮るの残念な事に忘れた!
此れは凄く興奮を呼び楽しくなりますね。
こんな食べ方があるとは新しい鮎体験に
お客様全員が驚きと歓喜の声を上げつつ
感動していらっしゃいます。
綺麗に身が抜けて行き自分の手で若鮎を
料理している様な感覚が芽生えて興奮を
呼びテンションMAXの楽しさとなります。

こう言う芸当が可能になるのは余程鮎の
鮮度が素晴らしく良いからで中骨に身が
引っ掛から無いままスッと抜けるんです。
中骨から引き抜いたフワフワの鮎の身を
直ぐ様お口に放り込み鮎の生き生きした
ふっくら感をvividに感じ乍ら頂くと
もう、素晴らしい美味さの一言に尽きる

咀嚼を進めますと

身質は雑味無く美しい若鮎の香りが舞い
正に香魚と言われる醍醐味が漂う美味さ
舌が興奮してうっとりしまくりますね。
いや、此れは感動ものの美味さです。

隣の蓼酢にチョコンと浸すのに躊躇して
しまうくらいの身質の鮮度の良さに驚嘆
鮎のポテンシャルを最大限に引き出して
焼き方と食べ方が完全に同期する逸品に
感動しか有りませんでした。

次に中骨から引き抜いた身の方にワタも
きちんと感じられるものだし頭もフワッ
柔らかくて美味しく又ワタのほろ苦さが
とても穏やかで甘さが仄かに浮き上がり
鮎自身の旨味をキュッと引き締めて旨し!
この絶品味覚の鮎を頂けた事に感謝感激。

⑪焚き合わせ

○賀茂茄子の煮浸し
○生姜
○木の芽

味わい深くフワトロの賀茂茄子でした。

柔らかな炭の香りを纏わせた賀茂茄子は
程よく繊維感を残してジューシィに佇む
茄子をプワンして噛むと綺麗な味わいと
出汁のうま味がジュワァンと零れます。
甘味穏やかで舌に染み入る美味さです。

網焼きみたいに焦げ面が付かずの美感で
綺麗に皮を剥いていますので茄子の身が
全く痛んでいなくて繊維感の嫋やかさが
如実に感じ取れます。

賀茂茄子は一度炭火で丸焼きして仕上げ
その後で鰹を効かしたお出汁で炊きます。
賀茂茄子本来の持ち味の甘さをグイッと
引き出し繊維質がフワトロの柔らかさで
スゥ〜ッとお箸が取り込まれていく快感
その翡翠色が美しく輝いて咀嚼がとても
楽しげに歯当たり気持ち良く進みます。

お茄子が全然クタクタとかなら無いし
汗ばんで濁ったりもしてなく綺麗だし
茄子の芯まできちんと火も通ってます。
温度管理や火加減のコントロールにも
お茄子を寝かせる時間にも寄るのかと
思いますがやはりこれ程までに茄子を
上手く焼いて炊くのは凄いと感じます。
食感と同時に溢れるジューシィな甘味
焼き茄子の持ち味のほろ苦さも残って
お出汁のうま味と同居する味覚に舌が
翻弄されっ放しとなりました。

⑫酢の物

○焼き鱧 淡路
○冷たい胡瓜
○茗荷

鱧胡瓜の酢の物のご用意となります。
此方はご飯の前のお口直しです。

わ〜い、早くも走りの鱧のご用意は嬉しい。
初夏に相応しい素材を頂けるのは矢っ張り
お口が喜んじゃって少しワクワクします。

此方の淡路産の焼き鱧は態々尻尾の部位を
使って炭火焼きするとの事。
その方が鱧の身が薄いのでカリッと焼ける
それと焼き鱧に対して胡瓜を添えてますが
酢加減の馴染ませ方が大事で程良い酸味が
焼き鱧の旨味をキュッと引き締める感じで
其の一体感が鱧キュウの醍醐味となります。

パリッと焼き上げた鱧の炭火焼きは熱々で
咀嚼してみると心地良くカリフワの食感と
種を抜いた胡瓜の冷たさが瑞々しさを讃え
シャキッとした食感コントラストが絶品!

酢の加減
胡瓜のシャリシャリ感
茗荷のシャキシャキ感
焼き鱧の潔い歯触りと
反発する肉感の快適さ

茗荷等は一枚ずつ丁寧に剥がして
手間暇掛けてあしらってます。

胡瓜のさっぱり感に鱧の淡白な味は
実に初夏らしい一皿からの食後感に
スッキリと纏まりとても爽快さ走り
余韻を残して行きお食事への素敵な
アプローチを完成させておりました。

⑬お食事

[一膳目]

○山形県合鴨農法のコシヒカリを
土鍋で炊いた白ご飯
○牛の時雨煮
○山椒雑魚
○香の物
○赤出汁

ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
ぜんぶ乗せして一膳目を頂くのが好みです。
ホクホク艶々の白ご飯と雑魚をお口一杯に
頬張って実山椒の刺激をピリッと感じつつ
絶品時雨煮の甘美な味覚に染まる白ご飯を
その芳醇なる時雨煮の甘味と一緒に咀嚼し
極上ご飯の乳化を満喫致します。
少し鹹味も滲み甘味が濃厚な牛時雨からは
喉に渇きを覚える感じの甘さ加減が絶妙で
星野ご飯との相性が良過ぎ時雨煮をご飯に
ぶっ掛けて頂くのが一番美味しいのです。
耽美なる甘さ濃度に煮詰まった牛時雨煮は
もう、お口の中へ麻薬の様に忍び込み舌を
惑わして翻弄し続けます。
何時もこの義勇時雨煮ご飯の美味しさには
舌が麻痺してしまいます。

[二膳目]卵かけご飯

星野さんの定番でもある卵かけご飯は
シンプルに卵黄に鰹節の振り掛けです。

お醤油を少し滴らせて卵黄をご飯に掻き混ぜ
ジュルジュル〜ッと頂いてお腹を満たします。
時雨煮ご飯から卵かけご飯時への流れも好み

鰹節の酸味がご飯の熱々な温感に溶かされて
お口に卵黄の甘ったるい瀞みと一緒に含むと
鰹節酸味と同期した口溶け感がパッと広がり
至福の卵かけご飯タイムを頂きました。

[三膳目]お焦げ

最後の締めご飯には土鍋の底にお醤油を
ポタポタポタ〜ッと滴らせてジュワッと
お醤油が蒸発すると同時に醤油が瞬間に
焦げる香ばしい匂ひがプワァッと広がる

ガリガリ〜ッと星野大将が杓文字で底を
探りお焦げを剥がしてお煎餅状になった
お焦げを小皿に取り分けし手元にお届け
芳しさ満載のコシヒカリの贅沢煎餅です。
カリッと噛んでバリバリィンと歯で割り
お焦げを破砕して砕け散る歯当たり感が
滅茶苦茶潔い快感を呼び込み醤油味との
相性もバッチリ美味しさを満喫しました。

⑭甘味

○本葛粉の葛切り
○黒蜜
○煎茶

夏場限定の爽やかな甘味との嬉しい出会い
星野料理の変幻自在な美味を締め括るのに
相応しい切り立ての葛切りとなります。

葛切りは出来立てなのですぐ溶けてしまう
故に出来た順に食べて下さいとのお達し。

薄く伸ばされてモチッとして長さも程良い
ツルツル〜ッと喉越し爽快に滑る葛切りは
ホント飲める葛切りで涼風も清らかに戦ぎ
口内をツルツル〜ッと駆け抜けます。

滑らかツルツル感が尋常じゃなく
喉越しの軽快さに吃驚する葛切り
葛切りが純白無垢な味だからこそ
黒蜜の濃厚な甘さが際立ちます。

シルクのように滑らかな口当たり
葛切りのコシのある食感が何とも
心地良く舌を捉え黒蜜を纏いつつ
後味爽やかな食後感を作り上げる

キンキンに冷たい甘味が喉も舌も
潤して〆に相応しい清涼感を残し
最高度の満足を抱ける甘味でした。

何とも言えずしっぽりとする淡麗な甘さが
舌に寄せて来て堪らなく美しい葛切りです。

⑮お土産

牛の時雨煮をパックに詰めて頂いて
翌日の朝餉のご飯で星野料理の一旦を
堪能させて頂きました。

2023/08/08 更新

15回目

2023/05 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥50,000~¥59,999
    / 1人

春の素材を慈しみ何処までも崇高な味覚を追求し続ける星野料理

■2023.5.27(土)18時〜20時15分

■お料理 お任せ ¥45,000
お酒と時雨煮購入含むお会計¥53,600税込

■ご予約 一年前にお電話にて

①先付

○蓬餅の白味噌仕立て

蓬は邪気を払う食材と言われており
皆様の息災を願うお気持ちも込めて
大将からの優しい気遣いでスタート

蓬餅のお汁は京都山利の白味噌を溶いて
まったり感が舌を優しく包み込み円やか
ほっこりしてお腹の座り心地が良くなる

山利の京白味噌の滋味深く舌にジワリと
染み入る美味さはとても抗えないものが
有ります。
一口啜った時の滋味深さとまったりする
滑らかな舌触りには堪らなくなります。
円やかに舌を撫でて行きサラサラと滑る
舌が惚れてしまう程円やかな瀞みに唸る
この奥深き滋味の漂う中ほんのり浮かぶ
蓬餅がまたポッチャリ可愛くて舌を弄ぶ
その奥深き味わいから白味噌がまったり
甘味をクリアに伸ばしています。

素直に蓬餅だけをお椀に佇ませるだけの
一品となっており白味噌と蓬餅の相性で
舌を完全に満足させてしまう芸術品には
ため息しか出ませんね。
蓬餅はモッチモチの柔らかさがグ〜ンと
伸びて気持ちの良いくらいプヨンとして
赤ちゃんの頬っぺたみたいに柔らかぁく
弾むんです。そんな感じの蓬餅なのです。
浮かんでる所をパクッ一口齧ってみます。
歯にはピッタリ引っ付いてくるわ舌には
しっぽりと粘性豊かに絡んで来て愉快な
食感が付いてくるわで滅茶楽しいのです。
もう、堪んないっスね。
この蓬餅に絡む山利の円やかさも手伝って
ズ〜ッとこのお椀を食べ続けてたい衝動が
全く消え失せませんでした。

②お凌ぎ

○伝助穴子の飯蒸し 粽に巻いて
○笹の葉の香りを写して
○実山椒

迫力の旨味ポテンシャルを誇る伝助穴子を
飯蒸しにしたものを粽巻きに包んでご用意
穴子の飯蒸しには笹の葉の香り付け写され
一口頂いただけでフワッと香りが鼻を擽る
アクセントに添えられて実山椒が穴子から
甘味をクリアに弾き飛ばす様に仕向けつつ
パチンと刺激を舌に放ち楽しい味わい。
穴子の飯蒸しはモチッと餅米が柔らかみを
楽しませてくれる甘美な佇まいで舌に着地
伝助穴子の旨味に餅米の甘味が見事な迄に
ハーモナイズする一品に現を抜かしました。

③蓴菜と蝦夷鮑のお酢の物

○三田の新芽蓴菜
○蝦夷鮑
○胡瓜
○土佐酢
○山葵

ヌル感が抜群に飛び抜けているのである
新芽の繊維感は力強さを遺憾無く発揮し
赤芽の大きさはコリッと歯に訴えかける
こんなにスンバラシイ蓴菜様に出会えて
歯も舌も大喜びしちゃうのである

蓴菜の咀嚼と同時に進む蝦夷鮑の妙味

蝦夷鮑を噛むとコリコリ感が優れて伸び
咀嚼が断然に進み鮑の優れた鮮度により
噛む度に鮑がコリコリッと跳ねる快感が
ストレートに伸びつつ小気味良い食感を
口内に撒き散らします。
其処に
三田の蓴菜のヌル感がプルンと揺れ乍ら
食感のコントラストが鮮明に響いて来て
妙味が伸びて舌に快感を呼び込んでます。

素材の持ち味を十分に活かし切り多様な
食感のハーモニーを作り出す妙味を作り
舌を何時迄も喜ばし続けていました。

④煮物

○茄子の煮浸し
○鰹節
○木の芽

お出汁で炊いただけなんですよ、と仰る
星野大将のご謙遜に茄子が喜んでますね。

炊いただけと言う千両茄子は一つ噛むと
もうトロ〜ントロンでナチュラルに身が
解れて行き舌をその蕩ける食感で魅了。

お茄子の食べ方もコツが有り教えて頂く
茄子を縦方向に真っ直ぐに割いて繊維の
方向と交差する向きで割り鰹節と一緒に
食べるとより美味しさが増すとの事にて
ご指導に従いその様に頂きます。

驚くべきは千両茄子は普通に市販してる
お茄子と何ら変わらない品物をお料理に
具していて星野大将の手に掛かると全く
別な素材のお料理に化けて仕舞うと言う
そう言う所が凄いと感じます。
何の変哲もない普通に私たちでも買える
素材をここ迄直炊きだけで美味しくする
不思議で仕方がないしとても真似は不可
と思って仕舞うのも致し方無い事ですね。
それが精進を長年重ねて来たお料理人の
料理たる所以なのでしょう。
素人がお茄子なんて炊いたら煮崩れして
跡形崩れてしまいクニャ〜ッとなり形が
留まらない感じになりますが此方の茄子
見事な姿態でしっかりお茄子の持ち味を
曝け出して舌を満足させて頂きました。

⑤揚げ物

○小柱の葛粉揚げ
○そら豆の天麩羅

小柱はガラスの器に入ってるので
保温効果も有り温感が保ち続けて
葛粉がサラサラと舞う小粒な小柱
その食感と優しい揚げ衣粒子から
咀嚼感を快適に押し頂き歯を招く

小柱を齧りコロコロ感を楽しむと
全部を頂いて仕舞うのは勿体無く
少し取り置きしておいてお酒との
会話にてチビチビやるのが嬉しい

盛り付けも美しく荷崩れしない為
小柱は散らばらなくて落ち着いて
其処に佇んでおり一個ずつ摘んで
サクッと齧ってやるのが美味しい

方や空豆の天麩羅がサクサク感を
潔く伸ばして空豆シャクッとして
繊維感が鮮度も良く伸びる食感を
舌に届けて空豆のテクスチャーを
しっかり受け止める幸せを感じる

⑥芋茎の吉野煮

炒子が優しいお出汁のうま味を整え
葛餡に纏われた芋茎の繊維を和める
この葛で溶いた炒子出汁の餡を飲み
何故かホッと心が安堵するのです。

芋茎のザクッとする咀嚼感が響いて
歯を気持ち良く迎え入れてくれ乍ら
舌が葛餡のトロ〜リ感に満たされる。
芋茎と言う無機質な味を葛の粘性と
炒子出汁のうま味で装いつつ生姜の
アクセントだけで爽やかな味に整え
舌を納得させてくれるのである。

何の変哲も無い根菜を一本一本丁寧に
仕込みつつジンワリと穏やかに出汁を
馴染ませて瀞みと共に嗜む伝統の一品

⑦珍味

○馬糞海胆
○真鯒のお出汁のジュレ

鯒の中骨で取ったお出汁のジュレを
馬糞海胆に纏わせた珍味旺盛な一品

真鯒出汁のうま味滋味深くジュレに
佇みプルンと揺れながら舌に着地し
人肌の温度で自然に口溶けし液状化
その過程で孵化するかの様に出汁の
うま味が麗しく口内に留まりジワリ
ジュレが舌に染み入り其の儘海胆と
珍味を繋げてジュレからのうま味が
海胆珍味をさり気無く引き立ててる

ふふふ、口元がニンマリして仕舞う
舌をゆっくりと動かしジュレの中の
馬糞海胆を舐め回してやると出汁に
ほんのりと染まる海胆が清涼に流れ
冷んやりとした食感乗せて舌に着地
ジュレ纏う馬糞海胆の味覚が見事に
ハーモナイズして舌と戯れて陶酔の
世界へと導いておりました。

⑧お造り

○真鯒
○浜防風
○山葵
○酢橘
○塩
○醤油

春〜初夏に掛けてが旬の真鯒をご用意
何時もは明石の鯛の鯛を頂いてますが
時期的に痩せてる様で良く無いとの事
代わりに此れも希少な高級魚の真鯒を
ご用意頂いて初夏に元気になる滋養を
スッと頂けるものが嬉しいです。

真鯒の白身の一枚を咀嚼してみますと
上品な甘さがそのしなやかな身質から
浮き出て来てしっとりして舌に馴染む
同時に身肉がコリコリッと反応するが
サッパリとした歯ごたえのある食感で
歯を自然に迎えてくれて快感を呼ぶ

食感が兎に角優れ鮮度の良さが分かる
身質もモチッとするも艶かしく捩れる
然もしなやかさも漲り舌を快く撫でる
噛むとプリプリの活き活き躍動感走り
ずっと噛み続けていたい衝動に駆られ
堪らなくなりますね。

出汁醤油で宥められました鯒からは
酢橘がキュッと味わいを引き締めて
その噛んだ瞬間の美味に唸りました。

⑨お椀

○虎魚丸仕立て
○えんがわ
○白髪葱
○木の芽

星野さんならではの虎魚の張り方に
舌が唸り続けてしまった椀盛です。
時期的にはお優しい虎魚な筈なのに
虎魚の丸仕立ての旨味が淡麗な事に
極まり実に研ぎ澄まされた味わいに
舌が驚いてしまい続けてました。

夏場の河豚と言われる虎魚の白身は
エネルギッシュな身肉が溌剌と歯に
挑みかかって来る感じの力強さにて
噛みごたえ良く快感を呼んできます。

其処に

淡麗な吸い地が身にピタッと寄り添い
淡く虎魚の脂汗がフワッと浮き上がり
吸い地の表情を深掘りして来る感じに
進んで行き舌が愉悦の境地に陥ります。

昆布と虎魚だけで取った澄んだお出汁
虎魚の味わいがとても無垢で雑味等の
かけらが一切感じられない地味深さに
これ以上求めようが無い程究極の地を
感じ入り暫し恍惚の世界に浸りました。

⑩焼物

○伊佐木 炭火焼き
○矢生姜
○酢橘
○蓼酢

中々のサイズ感が走る伊佐木です。
味を深掘りするお薬味には蓼酢を
ご用意されてて此処で蓼酢を使う
中々妙味を膨らませてくれる趣向
チョット変化球を織り交ぜた焼物
と言う感じに受け止めました。

しっかり皮目パリパリに焼き切り
ほぼ真っ黒焦げの状態の伊佐木は
白身はしっとりフワフワとしてて
噛み始めると正にフワサクと言う
感じの咀嚼感が入って来て楽しい

伊佐木の白身はこんなに嫋やかで
結構淡白な身質乍ら底味が効いて
ジワァッと舌に味が染み入り旨し!
途中で矢生姜半分の白い所を齧り
舌を少しリセットしてから残りの
白身に戻り再度ふっくら伊佐木を
今度は酢橘で味変を促して満喫し
脂質旺盛なこの時期の伊佐木様を
温和に宥めながら堪能致しました。

元来は伊佐木と言うお魚の性格か
旨味が控え目な白身で大人しさが
仄かに佇む落ち着いた身質を持ち
穏やかな性格の焼き魚となります。
其処に舌妙な火入れを施し旨味を
静から動へと加速させる美味さを
作り出してます。
こう言う所にも星野料理の力量を
凄く感じてしまいます。

⑪焚き合わせ

○小芋
○車海老
○蒸し鮑
○空豆
○姫竹
○木の芽

五つの違うお鍋とお出汁で炊き上げて
違う味付けをしたものを合わせてます。
五つのお鍋で個別に炊いて味を整えて
一つの器に赴き異なる味わいを纏めて
個々の持ち味を尊重し乍ら合わせ技の
味覚が上手く味のベクトルを同調させ
一つの完成度の高いお料理に昇華する

中でも小芋は淡い甘味を醸し出し美味
小芋の芯までお出汁が染み渡り齧ると
トロッと蕩ける風にお口の中で解けて
繊維感をしっかり受け止め乍ら咀嚼。

更に

唐津の黒鮑は3時間もかけて蒸し煮に
そのプルンと優しく揺れる嫋やかさは
肉感の上品さを讃えて舌を唸らせます。

そして

春の香り心地良く佇む空豆がコリッと
歯応え宜しく美味しそうに歯を招いて
空豆の粒感が旺盛に開き爽快な甘味を
残して行きました。

⑫酢の物

○蛸
○胡瓜
○茗荷

の酢の物
ご飯の前のお口直しとなります。

蛸が兎に角ホントうまかったぁ
こんなに撫で心地が良い蛸にも
出会ったことのない繊維感です。
きっと手間暇かけて塩揉みして
蛸の硬さをじっくり解してやり
塩抜きもして酢の加減も整えて
仕込んでるのだろうなぁと思う。
鮮度良く蛸の芯からシコシコの
身質が伸び塩味がジワリ染みて
酢も馴染んで舌を弄んでいます。
其処に蛸の生き生きする食感が
歯を捉え咀嚼が味覚と同調する。

胡瓜のシャリシャリ感
茗荷のシャキシャキ感
蛸の身肉のシコシコ感

何にしても蛸の潔い歯応えから
肉感の潔い心地よ良さを感じて
歯も舌も満足の境地となります。

⑬お食事

[一膳目]

○山形県合鴨農法のコシヒカリを
土鍋で炊いた白ご飯
○牛の時雨煮
○縮緬雑魚
○香の物
○赤出汁

一膳目の食べ方としては
ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
ぜ全部乗せして一膳目を頂くのが好みです。
ホクホク艶々の白米と縮緬雑魚をご一緒に
お口一杯に頬張って掻き込む雑魚の食感と
潮風味をサラリ感じつつ濃厚な甘味鹹味が
交差する絶品時雨煮の甘美な妙味を取込み
ホクホクご飯をお口の中で掻き回す喜びに
溢れて嬉しくなります。

その芳醇なる時雨煮の甘味をご飯と一緒に
mogmogして極上のご飯乳化を満喫します。
この甘辛っぽくて喉には仄かに渇きを覚え
耽美な甘さに煮詰まった時雨煮ご飯からは
魔性の味わいとも言える甘味鹹味が舌へと
襲い掛かり舌を蠱惑して止まないのです。
舌も心もその絶品なる味わいで鷲掴みして
舌が狼狽えてしてしまいます。

[二膳目]卵かけご飯

星野さんの定番の宇治の卵かけご飯は
シンプルに卵黄に鰹節の振り掛けです。

ガラスのお醤油瓶が可愛くてポトリと
醤油を滴らせて卵をご飯に掻き混ぜて
ジュルジュル〜ッと掻き込んでお腹を
いっぱいに満たして行きます。
鰹節の酸味と卵黄がトロ〜ンと蕩けて
甘美に染まるご飯が交じり合い絶妙な
美味しさを醸し出し至福の卵かけご飯
となり舌を大満足させてくれました。

[三膳目]お焦げ

お焦げも拘りの一品です。
ご飯がほぼ全部土鍋から無くなり
鍋底にご飯の名残りがへばり付き
残ってる所をタイミング良く捉え
最後にガッと再度火を入れてから
お醤油を掛けてジュッと蒸発音が
鳴りお焦げを仕上げられてます。
杓文字でガリガリと大将が土鍋の
お焦げを剥がして煎餅状態のまま
お小皿に取り分けしてくれます。
お醤油味が焦げてとても芳しい。
カリカリッと噛んで頂きます。
この破砕感が堪らなく美味しくて
此れは病みつきになりますね。
しっかりお焦げも頂いて満足度が
MAXとなる口福ご飯を頂きました。

⑭甘味

○蕨餅
○黄粉
○煎茶

黄粉が美味しい星野さんの蕨餅は
お土産に持って帰りたいですね。

本蕨粉で練り立ての蕨餅
粉質感が美しく舞う黄粉
舌が現を抜かしてしまいます。

星野料理の変幻自在な美味を締め括り
有終の美を飾るわらび餅
黄粉をたっぷりと塗してお口に運ぶと
黄粉の細やかな粒子が繊細かつ上品で
エレガントな粉質感なのです。
蕨餅がプルンと揺れつつ黄粉がサラリ
絡みまくり何とも言えない至高の甘味

其処に煎茶の渋味と共に口内を洗って
蕨餅の甘味を頂いた後に頂くととても
ホッとするんです。
ふぅ〜。
最高峰の美味の高みに辿り着いてます。
ホッと落ち着いてる自分を発見しつつ
舌は満足の極致に達する余韻に浸って
この余韻が醒め無い様にとの気持ちが
脳裏に強く印象付けられておりました。

⓯お土産

牛の時雨煮をパックに詰めて頂いて
翌日の朝餉ご飯で星野料理の一端を
堪能させて頂く幸せを貰いました。

2023/07/21 更新

14回目

2022/09 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥50,000~¥59,999
    / 1人

秋味が色づく至高の料理に舌鼓し至福の時を迎える

◆2022.9.8(木)夕餉

◆お料理 お任せ
お酒時雨煮含むお会計¥58,000

①先付

○焼き茄子の白味噌仕立て
○茗荷
○生姜

久世茄子を串刺しにして炭火の上で
クルクル焼き鳥みたいに回して焼く
満遍なく茄子全体に火が通って行く

茄子に網焼きの時みたいな焦げ面が
付かずに綺麗な翡翠色のままで皮が
剥がれるので茄子の身も全く痛まず
匠の技を駆使してる珠玉の焼き茄子
その焼き茄子を白味噌の中に浸して
焼き茄子のあの特有の香り立ち上り
鼻腔を漂う匂ひにもうっとりしつつ
白味噌に馴染んだ焼き茄子を食べる

久世茄子繊維の翡翠色が輝いてます
お茄子が全然濁ってなくて見事です
フワッと揺れるお茄子を一口齧ると
芯までふわんとした感じになってて
焼き茄子の炭の名残り香が茄子味と
調和しつつ舌を瑞々しく魅了します。

そして白味噌のまったりする甘美な
味わいがコク深く舌を染めて惑わせ
陶酔する味覚の世界に誘い込みます。
秋味を静かに嗜む最初の一品でした。

②お凌ぎ

○博多湾海鰻の飯蒸し
○お出汁で蒸し上げた餅米

鰻は博多湾の天然の海鰻に
お出汁染まる餅米に寄せて
木の芽を添えてご用意です。

川鰻とは違って溌剌とした
海鰻の身肉が飛び交います。

餅米に鰻の火入れは神焼き
とでも言いたくなるレベル
貴重な海鰻を頂ける栄誉に
感謝しかありません
海鰻を乗せて飯蒸しなんて
そう簡単には巡り合えない

海鰻の持つ固有の身質から
浮き上がる豊かな膨よかさ
パリンと弾ける皮の焦げ目
歯にサクッと絡み舌を招く
地焼の火入れ加減も神技で
パリンからフワリと食感が
舌に同時に舞う瞬間の快感
高揚感がグンと増し増しに

炭火で直焼きした博多の海鰻は
芳しく香り立ちフワリと鼻腔を
擽ぐる
餅米はしっぽりとモッチリして
皮目のパリパリ感に潜む旨味と
仲良く絡み合い妙味を引き出す

絶妙な火入れのバランスが生む旨さ
海鰻らしい野生的な肉感が膨よかに
漲る旨味をここまで昇華させている
その絶品鰻の2切れを心ゆく迄堪能

○鰻ダレに酔いました

味醂とお酒と濃口を1:1:1の比率を
色々に試しながら仕上げて来た鰻ダレ
その日の鰻が最高の出来栄えになる様
海鰻の身質の豊かさを自然に発揮して
甘味を強めたりして鰻の皮にも腹にも
丹念に刷毛を入れて念入りに仕込んで
そして山椒の香りを付けながらと言う
作業を何度も繰り返されての炭火焼き
故に咀嚼の時のパリパリする破砕感が
とても心地良く響きながら味わい深い
甘味と同時進行してこの海鰻の一口を
極上の甘ダレが鰻の身質を巧みに染め
舌を甘やかしながら美味の極地へ誘う

○味覚のグラデーションに悶舌しました

白身はホクホクの深い鰻本来の味わい
皮目はパリパリッと歯ごたえ感を満喫
その食感と味覚のコントラストに感銘
その切り身をギュッと咀嚼し続けると
タレの甘味と山椒のツンと散る刺激と
モチッとする餅米が三位一体となって
海鰻の膨よかさが充足感を醸成しつつ
味覚グラデーションが進んで行きます。
そして海鰻のポテンシャルを限りなく
引き出す炭火を巧みに扱う技にも感嘆
いやいや、素晴らしい海鰻の飯蒸しを
頂いてしまいました。

③小付

○松茸 岩手
○ほうれん草
○柚子醤油

素直に秋味の走りを頂いて秋の風情を
感じる事が出来るのは嬉しいものです。
一年で一番食材が実り豊かに熟れる時
松茸はまだ蕾のままやや小振りですが
蕾にしっかりと身が根付いてぎっしり
松茸の蕾とコロを星野大将が炭火にて
焼き上げて飾りを丁寧にスライスして
ほうれん草と柚醤油で和えてます。
食感が堪りませんね
松茸の香りも添い寝して来ますね
食感と香りの二重奏が心に深々と響く

咀嚼してシャキシャキ感が爽やかに伸び
松茸の繊維質が仄かにパチンと鳴る感じ
初秋に初々しい味わいに清涼感キュンと
飛ばして来る嬉しい口当りで満たされる

松茸の香り
松茸の旨味
松茸の咀嚼感
ほうれん草のシャキシャキ感
柚醤油の爽やかな甘味

この一品に込められた多様なエレメントが
途轍も無く伸びて来てお口をリフレッシュ
させてくれました。

こう言う何の変哲も無い素材を絡ませて
美味しく磨いてあげて美味しいお料理に
作り上げる事が料理人の本分と言われる
星野大将の言葉が重みを持ってと伝わる
この小鉢の一品に感銘を覚えました。

④焼物

○鼈山椒焼き

此れは堪らなく欲望が渦巻く一品
炭火でこんがりと焼きあがってる
お皿の上にドン!と鎮座された鼈
目が釘付けとなり山椒の香り舞い
齧り付きたくなる誘惑に駆られる

ガッツリ手掴みしてガブリと行く
んん〜、何と香ばしい肉感なのだ
テカテカ鼈だれの甘さ加減も良い
炭の香りと山椒の香りが交差する
鼻からスカ〜ッと匂ひが抜けるよ
山椒が効いて鼈の肉肉しい旨味を
ピリ〜ッと引き締めて来ますね〜
この鼈ダレが程良い甘味で幾重も
塗られてて咀嚼してると肉肌から
ジワッと浮き上がる
其れが鼈の逞しい躍動的な肉質の
旨味と見事な程馴染んで舌が唸る
更にプルップルのゼラチン質から
脂質がトロリと口内に蕩けて来て
ウゥ〜んまぁい、となり
鼈の活力エネルギー漲る肉質感が
ビンビン伝わって舌が狼狽えます。
猛々しい肉質感がお口の中に充満
鼈のお肉自身が傍若無人に暴れて
肉の旨味が迸ります。
もう、舌が肉感的な脂質で溺れて
その快感で目が回るほどに美味い!
骨迄しゃぶり尽くして少しふっと
お口を休ませると高揚感が離れて
食い切ったと充足感が訪れました。

⑤お凌ぎ

○馬糞海胆
○お出汁のジュレ

本日は夏の名残のものと
秋のはしりの食材が丁度
折り合う時期のお料理が
散りばめられた一品にて
カウンターが賑やかです。

此方も変幻自在に移り変わる
夏の名残と秋味の味覚に惑い
舌が喜び勇んで燥いでしまう

来週になるともう海胆や芋茎は消えて
メニューも一新され完全に秋のお献立

鯛の中骨を焼いて取ったお出汁のジュレ
馬糞海胆を優しくカバーして冷感を保つ
奥床しくも優しいジュレの旨味が海胆を
冷んやりと労り海胆の珍味を邪魔しない
繊細に完成された旨味と珍味が同居する
斯様な一品に佇む雑味の無い旨さに脱帽

⑥芋茎の吉野煮

本日の吉野煮は甘味を強目に主張させて
炊き加減にて芋茎の味を整えられてます。

定番の名作であるのは勿論の事
吉野煮の生姜風味と炒子出汁に
訪れる度にほっこりと嬉しい味
この一品に出逢う為に通いたく
なるのも分かる気がします。

炒子が優しいお出汁のうま味を整えて
葛餡を纏わせ芋茎を穏やかに包み込む
この葛で溶いた炒子出汁の餡を飲むと
何故か心が和んでくるんですよね。
芋茎のザクッとする食感が歯に当たり
心地良く響き乍ら葛餡のトロ〜リ感に
舌が満たされて行きます。
芋茎の無機質感を葛の瀞みでねっとり
炒子出汁のうま味で装いつつ淡白乍ら
アクセントの生姜だけで創作する名品。

芋茎も9月まででしょうか
10月からは根芋の吉野煮になりますね。
この生姜の刺激と葛餡のほっこりさに
舌が喜んでうっとりしちゃいました。

⑦小付

○冷たい無花果の白味噌和え

冷んやり無花果に白味噌の甘味が重なり
無花果との相性がパーフェクトな一品。
無花果が別格の味わいの果実に変化して
無花果のジュクジュクした甘味にトロリ
耽美な香りの白味噌がこれまた秀逸にて
見事に素材の味覚同士が同調して来ます。
白味噌はベースに山利のものを使われて
卵黄と煮切り酒と砂糖で合わせたものに
仕立てて粘性が程良く絡むまったり味に
仕上げられており一味も二味も違う甘い
味わいがフワッと浮き上がり無花果との
ジューシィな果実味が舌を蠱惑して来る

無花果の甘味も
白味噌の甘味も
無花果の冷感も
ジュウッとする瑞々しい食感と
お口の中に溢れる耽美な味覚が
無限大に口内に広がり続けます。
全部の甘さが融合して舌を陶酔
美味極まる世界にいざないます。

⑧揚げ物

○ぐじの松笠揚げ
○熊本の新銀杏
○酢橘

齧ったところで酢橘を掛けて
酸味をぐじに泳がす

ぐじの松笠を齧ってみます。
サクッ‥フワッ‥
最初に届くのは屹立した鱗
巧みな揚げ加減で間引きされた鱗が
整然と並んでる故に歯触りが快適に
カリッと歯に当たり薄衣がサクッと
破砕感を清々しく呼び込んで来ます。
この食感に先ずやられちゃいますね
破砕感が楽し過ぎて癖になりそう。

薄くてパウダー状の様な揚げ衣に
閉じ込められたぐじの白身からは
しっとりとした身質の膨よかさを
感じつつ旨味がフワンと囁きかけ
秋の匂ひを漂わせながら訪れます。
咀嚼がぐじの身をホロホロと解き
しっぽり舌に抱き付いて来ます。
豊満な厚みを誇る膨よかな旨味が
咀嚼時の快感の妖艶さを伴いつつ
舌を蠱惑へと導いておりました。

一方、付け合わせにポチッと置かれてる
可愛い銀杏が秋味らしく塩味効いて旨し
ぐじをふっくらする身質をパクつき乍ら
箸を休めて銀杏の苦甘さを味わう感じに
秋味が佇んでおりました。

⑨お造り

○明石の鯛
○静岡の伊勢海老
○山葵
○醤油
○塩
○酢橘

明石の鯛の切り身が整列
奥の方が背中の部位にて
手前側が腹身の部位です。

海老の尾鰭を仕切り代わりに
添える花穂紫蘇の飾り付けも
雅な装いに暫し見惚れます。

弾力感が溢れて噛み心地抜群の
鯛の切り身を咀嚼してますと
背の方が気持ちサッパリ系で
お塩がピタリとハマります。

一方、腹側の鯛はしなやかさが
前面に出て膨よかな旨味を感じ
肉質でやや濃厚に脂質が乗って
酢橘を垂らし山葵醤油を滴らせ
鯛の肉質の旨味を引き締めてが
より一層鯛の旨味引き出します。

更に伊勢海老の身質を咀嚼すると
身がねっとりと舌に絡んで妖艶な
旨味の虜になってしまいますね。
山葵だけとの相性が良くて抜群に
伊勢海老を引き立てて来ますよ。
此れは素晴らしい味わいに沈黙

伊勢海老の嫋やかなる旨味
鯛の生命力漲る逞しい旨味
ガップリお造りの四相撲に
舌が唸りっぱなしでした。

⑩小鍋

○炭火の囲炉裏
○鱧松の土瓶鍋
○酢橘

鱧松の小鍋です。
言わば星野流土瓶蒸しの小鍋仕立て的な
小鍋に松茸がごそっといっぱい詰まって
鱧の中骨で取ったお出汁をベースにして
松茸香るエキスが小鍋に流れ込んでます。

グツグツと煮立ちブクブク沸騰中の小鍋
湯気が立ち上りながら手前に置かれます。

其処に丁寧に骨切りされた鱧の切り身が
一皿ご用意されており最初の一切れ目を
大将が小鍋の中に湯掻く要領を目の前で
デモンストレーションしてくれます。
こんな感じになったら蓮華で掬い上げて
小皿に取り分けて召し上がって下さい、
とのお教えを受けてお箸を進めます。

小鍋の湯煙から旨味際立つ匂ひが漂って
顔の辺りをプ〜ンと芳しく彷徨って行き
鼻腔を刺激して行き乍ら旨味たっぷりに
鍋の地に馴染んだ鱧の浮かぶ姿を見ると
俄然食欲が湧いて来て秋味を感じます。

先ずは鱧をしゃぶしゃぶして単独で頂く
鱧の淡い味が鱧松のうま味写すお出汁に
馴染み鱧がとても優雅な味覚を踊ります。

そしてお待ちかねの松茸をお出汁と食し
名残の鱧松のお出汁が馴染んだお出汁を
お小皿に取り分けしてクイッと飲み干す
んん〜まぁ〜ッ、て何なんでしょうねェ
この奥床しくも滋味深さ漂う美味たちが
心憎い程までにジンジンと舌に染み入る
鱧の声か松茸の香りか分からんけれども
兎に角めっちゃくちゃ美味旨出汁の深さ
その妙味に暫し呆然としてしまいます。

取り皿には小鍋から鱧と松茸を少しずつ
取り分けしながら酢橘をお鍋の汁に少し
滴らせてから頂いてみました。
酢橘が相性良くてこのうま味に合います。
鱧をゆっくりと地に浸してたっぷり地の
うま味に親しませて鱧を深掘りさせます。
そうすると自然に鱧松が馴染みあい乍ら
噛んでも舐めても啜っても全部の味覚が
美味し過ぎる秋味を演じ舌を大満足させ
高揚感を超える味覚の感動を頂きました。

⑪焼き鮎

岐阜県高原川の名人の釣り師からの限定品
かなりビッグサイズの鮎の塩焼きが届いて
星野大将曰くサイズがかなり大きい鮎の為
骨まで火を通しパサパサにするのではなく
頭と骨は食べない仕様の火の入れ方をして
逆に鮎本来の身質の美味さを味わって頂く
焼き方でのご用意となります、との事です。
なので
鮎の頭と中骨を自分達で取り除蹴れる様に
星野講習会が徐に目の前で始まります。
先ず、尾鰭をパチンと取り除いて頭と身を
横たわらせます。
鮎の頭を指で押さえて腹側を下にし背中を
起こして立てるようにしてお皿の上に配置
お箸で腹側をほぐす様に上からポンポンと
叩きながら数カ所ほど叩いて身を和らげる
身が解されたら焼き鳥を食べる時みたいに
中骨から鮎の食べたい分だけをスッと抜く
おぉ〜、フワンと鮎の身質が一部スッポリ
抑えた部分だけ抜けて来ちゃいましたぁ!
いや、コレはびっくりして愉快楽しい〜

成る程ね、こうすると自分が食べたい分量
また次に食べたい分だけ中骨から抜き頂く

鮎の身質がとてもホクホクのまま美味しい
しっとりとして絶品なうまうま箇所だけを
雑味なく鮎の醍醐味を味わえます。

この方法だと鮎のワタの苦味が嫌いな人は
其処を除き抜けば良いし逆に好きなの方は
ワタごと身質と一緒にお箸で抜いてやれば
同時にに食べれて鮎の甘苦さを味わえます。

此れは味も自分好みに出来るしユニークな
楽しい演出効果にて鮎のお料理の仕上げを
自分で参加している気分となり滅茶苦茶に
楽しさ倍増する企画の鮎料理で御座います。
鮎の醍醐味を素直に満喫させて頂きました。

⑪炊き合わせ

○飛龍頭
○絹さや
○湯葉

飛龍頭が優しい味ですね〜。
じ〜んと心に染み込んできますわ〜
これ程洗練された味わいは無いかと

湯葉の方は甘く炊いて甘味を主張し
飛龍頭の方はお出汁の味付けだけで
そんなに甘く味付けはしない仕上げ

飛龍頭の中には銀杏と生の木耳が射込まれて
飛龍頭のお豆腐成分のふっくらとした食感と
穏やかぁ〜な甘味に浮き出る銀杏特有の香り
その甘味たちがとても微笑ましく感じられる
その中でプチンと弾力性を持つ木耳が弾いて
此れも愉快に味わいつつ楽しめる炊き合わせ

お隣には湯葉が耽美なるかなと思わせる様な
舌を和ませて来れる甘味を振り撒いてきます。
甘味同士がお互いを支え合って愉快な味覚を
作り上げて来ている処に絹さやがシャキッと
絡み合って爽やかな食感を残して行きます。
一品一品が仕事をしっかり完遂して行き乍ら
自己主張し過ぎず互いを尊重し合ってる様な
味覚を創り出している所が素晴らし過ぎです。
んん、此れは頬っぺたがストンと落ちますね。

⑫お食事

○山形のコシヒカリ
○松坂牛の時雨煮
○山椒雑魚
○香の物
○赤出汁
○生卵
○鰹節

絶品の白米様に舌が歓喜するご飯タイムが
やって参りました。
艶々でホクホクの何時もの白ご飯のお時間
幸せご飯に旨味たっぷりの時雨煮を乗せて
更に贅沢に山椒雑魚も全部乗せしての白米

時雨煮の旨味
山椒雑魚の鹹味
白ご飯の甘味

どの一品もご飯にベストマッチする味わい
ベストコンディションで臨んでくれてます。
あぁ、この至福のご飯時間こそ星野料理の
真骨頂とも言うべき癒しの白ご飯が花咲き
完成されたカタチなのだと強く感じます。
本日のメインイベントはやっぱり白ご飯だ。

美味しくて美味しくて堪りません。
もう、この贅沢なご飯のお供とご一緒に
じっくりと米粒の甘味を噛み噛みさせて
一所懸命に噛み締めさせて頂きました。
更に美味し過ぎご飯をお代わり致します。
其処に卵黄を乗せて少し醤油を滴らせて
黄身の皮をプチュンと破って掻き混ぜて
卵黄塗れの白ご飯をズルルゥ〜ッと啜り
お口の中に一気に掻き込むので有ります。
んん、此れも最高にうまうまです。
流石は京都宇治の卵は品が良くて濃厚な
甘味を持ち合わせてる物だと改めて認識
此れでお腹はほぼ満杯の満足度MAXです。
心も舌も大満足させてくれるご飯でした。

⑭甘味-1

葛切りと蕨餅から選べます。
両方共所望させて頂きました。

葛切りの純度抜群に黒蜜の気高い甘味が
寄り添い濃厚な甘さと淡麗な葛切りとが
ベストマッチして頗る美味です。

⑮甘味-2

蕨餅
煎茶

定番の黄粉が眩しいくらい美味しい蕨餅
この締めの甘味に舌がつい甘えてしまう
最後までうっとりとさせてくれる充足感
満ちる至福の和食時間を頂き至福の喜び


⑯お土産

松坂牛の時雨煮をパッケージに
詰めて頂きお土産に頂きました。

2022/11/01 更新

13回目

2022/06 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥50,000~¥59,999
    / 1人

夏の素材のダイナミズムを浮き上がらせながら 優しく淡く和やかなるも切なくなる味覚が佇む

■2022.6.9(木)夕餉

■お料理 お任せ 時価
税サ及び時雨煮のお土産代含むお会計¥50,200

■ご予約 ご常連様のお招きにて

湿気も多くて最近は梅雨入りとなり
ジトジト湿気の多い気分が憂鬱になる季節
こんな時は心より美味しさが
滋味深く佇みつつ涼しい星野料理が
嬉しくなります。

①先付

○三田の赤芽付き蓴菜
○三陸の蝦夷鮑
○胡瓜
○山葵
○土佐酢

梅雨入りしてジトジトした気分の舌を
爽やかな気分で解放してくれる一品。

兵庫三田の蓴菜のヌルのプチプチ感と
ヌルンとした食感に土佐酢の酸味が絡み合い
素敵な清涼感が駆け抜けて行きます。
赤玉もかなり大きな蓴菜で
ここ迄のものはかなり珍しく
其れだけにヌルのサイズも大きく
舌と歯でヌルを潰そうとすると
プチプチ感とぷよぷよ感が共鳴し合う食感が
軽快に広がって行きます。

其処に胡瓜のシャキッとした食感が
爽やかな涼風を運び込むと同時に
蝦夷鮑が新鮮なままにコリコリッと
歯応えを伸ばして美味を深掘りし
蓴菜のヌル感と対照的な味覚の
コントラストを生み出し
山葵の刺激が程良いアクセントを添えて
三位一体となる妙味が舌を弄んでおりました。

②鰻の飯蒸し

○博多湾の海鰻
○お出汁で蒸し上げた餅米

炭火で直焼きした博多の海鰻が
芳しく香り立ちプワァンと鼻腔を擽る
餅米はしっぽりとモッチリ
皮目のパリパリ感に潜む旨味を
最大限に引き出しています。
皮目と密着してる白身をホクホクに仕上げて
そのエネルギッシュな身が自ら捩れるほどに
鰻の持ち味が零れて来て満喫出来ます。
絶妙な火入れのバランスが生み出す旨さ
海鰻らしい野生的な肉感が膨よかに漲る旨味を
ここまで昇華させてしまう星野流の火入れ
その絶品鰻が3切れも乗っかってるのです。

○鰻ダレに酔う

味醂とお酒と濃口を1:1:1の比率を
色々に試しながら
その日の鰻が最高の出来栄えになる様に
海鰻の身質の豊かさを自然に発揮するように
甘味を強めたりして鰻の皮目にも腹側にも
丹念に刷毛を入れて念入りに仕込んで
そして山椒の香りを付けながらと言う作業を
繰り返されての炭火焼き
故に咀嚼した時のパリパリする破砕感が
とても心地良く響きながら
コク深い甘味が同時に展開して
この蒲焼の切り身を極上の味わいで
舌を攻めて来るのでしょう。

○味覚のグラデーションに酔う

白身はホクホクの深い鰻本来の味わいを見せて
皮目はパリパリッと歯ごたえ感が満喫出来て
その食感と味覚のコントラストに
唸り続けてしまいますね。
咀嚼し続けると
タレの甘味と山椒のツンと散る刺激と
モチッとする餅米が絡みつつ
海鰻の膨よかさが一体感を醸成しつつ
味覚のグラデーションが進んで行きます。
この鰻のポテンシャルを限界まで
出し切る力強さにも圧倒されます。

いやいや、素晴らしい鰻の飯蒸しを頂きました。

③ほうれん草と岩茸の胡麻和え

○ほうれん草の軸
○岩茸
○煎りたての胡麻
○お出汁

軸の部分のほうれん草と岩茸を綺麗にお掃除
お出汁で炊いて煎りたての胡麻で合わせて
しっぽりと胡麻の甘み芳しい浸し地が
ほうれん草と岩茸を優しく纏います。

咀嚼してシャキシャキ感が爽やかに伸びる
食感と岩茸の仄かにパチンと鳴る感じの
弾力感が交差して初夏に初々しい味わいが
清涼感をキュンと飛ばして来て嬉しい
口当たりです。

胡麻の香り
胡麻の甘味
胡麻の冷感
炒りごまの優しさ
軸の繊維感
岩茸の弾力感

この一品に込められた多様なエレメントが
途轍も無く伸びて来てお口をリフレッシュ
させてくれます。

こう言う変哲も無い素材を美味しくする事こそが
お料理なのだと言う星野大将の言葉の重みが
ヒシヒシと伝わる小鉢の一品に
感銘を覚えました。

④芋茎の吉野煮

その吉野煮を咀嚼したら
フワッと焼き茄子の風味が漂っていた。
芋茎を研ぎ澄ますとお茄子っぽくなるのかな?
と不思議な味覚を感じながら頂く

定番の名作である

炒子が優しいお出汁のうま味を整えて
葛餡に纏われて芋茎を包んでいる
この葛で溶いた炒子出汁の餡を飲むと
何故か心が和んでくるのです。
芋茎のザクッとする食感が歯に
心地良く響き
舌が葛餡のトロ〜リ感に満たされて行く。
芋茎の無機質な味を葛の粘性と
炒子出汁のうま味で装い
アクセントの生姜だけで創作する名品。
何の変哲も無い根菜を
一本一本丁寧に仕込み
ジンワリと穏やかに嗜ませて頂く味わい
伝統芸の一品です。

⑤黒鮑の唐揚げ

○伊東の黒鮑

衣が優し過ぎる
衣の粒子感が本当に肌理細やかで
この繊細な衣の粒子を感じるサクサク感
と言うよりサラサラ感に近い食感が
堪らなく美しい舌触りなのです。

鮑は外したてのものを直ぐに揚げるのが
ポイントだそうです。
外し置きしておいた鮑を揚げても
鮑のエキスが流れ出てしまい
鮮度が落ちて食感も甘味も劣化する様です。
確かに鮮度の良さから齎される
鮮烈なプリッコリッの肉感の走り方は
突き抜けるものが感じられます。

其れとこの黒鮑の唐揚げの一口サイズに
カットしてくれるのも
丁度お口の中で衣から鮑の旨味が炸裂して
飛び回る感じとなり
其れも美味しさを後押ししてるのだと感じます。
細部まで拘り細心の気配りで料理の完成度を
突き詰めていくカタチに感銘を覚えます。

私如きが言える話では無いですが
星野料理の真骨頂と感じるものは
素材の鮮度を保ち
その鮮度を活用して限りなく忠実に
素材の旨味を極限までに追いかけて
完成度を高めて行く所に有るのではと
思います。
簡単では無いですが
其れをさり気無くやって仕舞う凄さが
星野料理には潜んでると感じます。

⑥虎魚の唐揚げ

○虎魚
○えんがわ
○お出汁
○一味

虎魚を唐揚げにして
優しいお出汁にドボン!と浸して
お出汁を虎魚とご一緒に飲む感じで
召し上がって下さい、との大将の仰せです。

葛粉でサラリと薄く着飾った虎魚の唐揚げ
羽織一枚という感じに見える
フワフワな葛粉の衣の舞に
唇がフッと触れると其の儘
衣の繊細な誘惑に駆られて
自然にキスしたくなりますね。

虎魚の唐揚げを箸先で弄るとハラリと
衣ごと解けて
解けた唐揚げの一片をお出汁に浸して
ザクザクッと衣に染み渡るお出汁と共に
虎魚のフカフカな白身を頂きます。

んん、うんメェ〜
虎魚の純真無垢な甘味が鮮烈に走り抜けますね。
此奴は病み付きになりそうなほどの
気品溢れる虎魚の研ぎ澄まされた淡白な味わいに
舌が震えちまいましたよ。
更に
驚いちまいました味覚が佇んで居ましたのは
お出汁の天つゆ!
何だこりゃ、
お椀の吸い地レベルのうま味が潜んでおります。
普通、天つゆと言うと
揚げ物の持ち味に塩味なり甘味なりを纏わせて
脂質分を和ませてを緩和させるお仕事をするものかと思います。
然し乍ら此方の星野流天つゆは
ドボンと浸して
天つゆの味を虎魚に纏わせるだけで
滋味深い旨味を膨らませておりました。

吸い地としても行けるくらいの
洗練されたおつゆの美味さです。
残りの天つゆは
きっちり飲み干しさせて頂きました。

そして虎魚の唐揚げはと言いますと
身の部分だけをサラリと揚げて白身が
丸っ切り無垢な身質で一切雑味無く
仕上がっており、極旨です。
唐揚げされた虎魚は
火が満遍なく白身の中まで届いており
咀嚼してますとホクホク感が舌に行き届き
天つゆに浸った衣は濡れ加減がしなやかで
ゾクっと来るくらい食感が迸ります。

天つゆのうま味と軽妙な衣の食感の狭間で
虎魚の旨味がパァ〜ッと広がります。
凄い凄い、揚げ物としてのレベルがダントツ
ホント、舌殺しの唐揚げさんで
天つゆと衣と白身を蒸すレベルの次元を超えた
一品でした。

⑦焼物

○万願寺唐辛子 炭火焼き
○おろし生姜
○鰹節
○お醤油

サクッと炭で軽く焼いて
生姜で爽快な刺激を纏わせつつ
お醤油と鰹節で味わいを整えた一品。
この時期の万願寺はほんのり焼くと
甘味が豊かに膨らんで
生姜醤油っぽい味付けが
万願寺の甘味を浮立たせてきて
舌にジワリ万願寺の甘苦さが広がり
乙な味わいを堪能させて頂きました。

⑧お造り

○士別の馬糞海胆
○キジハタの骨で取ったお出汁のジュレ

高値安定してしまってる馬糞海胆
原価的には扱いしにくくなってるのでしょうが
余市の方から士別の方への取り寄せにして
お料理に添えてくれている
その心意気にも感謝したくなる

キジハタの骨で取ったお出汁の滋味深いうま味が
ジュレからジワァ〜ッと舌に染み入る感じで
舌に侵食する
舌をゆっくりと動かせば
ジュレを纏った馬糞海胆が舌を
円やかな食感を乗せて這う
そのジュレと馬糞海胆の甘味が見事な迄に
ハーモナイズして来ます舌を弄んでおりました。

⑨お造り

○キジハタ
○浜防風
○酢橘
○マルドンのお塩
○お醤油
○山葵

夏のお魚です。
夏場は鯛が良くないので代わりに
キジハタが美味しくなる季節との事で
この時期にはキジハタを珍重される様です。

円やかなマルドン塩はちょっと煎って
お塩の野性味がほんのりと露わに出てる感じで
とても膨よかな鹹味が浮き出てくるお塩と
なっており
キジハタにチョコンと振ってやると
キジハタの淡白な旨味をグッと伸ばして
味わいを際立出せますね。
このお塩にチョット感動しました。

このお塩を酢橘の酸味で溶かすして酢橘塩にして
キジハタに滴らせてみると
塩気の底味が酸味の奥から
浮かび上がって来る感じとなり
キジハタの淡白さに輪郭を与えてしっとりとした身質をしなやかな旨味に誘い出しております。

更に
お醤油も御殿場の天然醸造もので甘味が
丸くてソフトな味覚を佇ませた醤油です。
お醤油と山葵の甘辛加減良くキジハタに
馴染ませてやると旨味が健やかに膨らみ
味覚が単に美味いのではなく
その身質と折り重なり涼しげに舌に
囁いてくるのです。

大海の恵みを受けたキジハタの美味なる洗礼を
受けたひと時でも有りました。

⑩お椀

○虎魚
○蓴菜
○梅肉
○柚香

本日の椀種は虎魚に梅肉
椀づまには蓴菜を忍ばせてます。

火を入れてあげた蓴菜は
素敵なグリーンに衣替えです。

虎魚がサラリとしてる
まだ若いものでしょう
ぼんやりと虎魚の脂汗が
吸い地一面に浮き上がってます。

このうまい具合の掛け合わせ方
星野大将ならではの昆布のうま味が
何処までも淡く淡く佇む吸い地の奥行きの深さ

吸い地に親しむ純白で無垢な虎魚
天に染める梅肉が紅一点鮮やかに輝く
お顔を近づけるとフッと柚香の香しさに戸惑う

吸い地を慎重にじっくりと味わいます。
どこまでも淡く深い所から忍び寄る昆布の淡味
澄み切った吸い地
雑味が除かれた繊細でキレのあるうま味が
詰まっており
淡麗なうま味が佇む吸い地は
それだけで馳走となり得ます。

プヨンと弾む温かい蓴菜の食感を嗜みつつ
ここは虎魚の滑りが溢れ
ハラリと解けていく淡白な旨味を
しっかり捉えたい
純白な虎魚からは無垢な甘味と
素直なぬめり味が舌に及ぶ
舌で虎魚の表面を舐めて行くと
虎魚の持てる味覚の全てがその身質に
凝縮されてるが如き淡い旨味が
味蕾の一つ一つに染み渡り
昆布の香り纏う余韻を残して行く

虎魚が進むにつれて
吸い地は穏やかに表情を変え
虎魚の旨味が写り
慈愛溢れるコクの深さが顕となり
舌が沈められて行きました。

⑪若鮎

○島根県高津川の天然鮎
○蓼酢
○蓼の葉
○はじかみ生姜

中骨が気になる様でしたら抜いて貰えます
好みに寄りますが
骨ごとぼりボリ頂くのが美味しい


本日は
旬の凄いやつが全部出て来ちゃうんですね。
舌が喜びまくりです。
稚鮎は頭から中骨まで優しく焼かれて
柔らか目に仕上げてあります。
この稚鮎がまたしっくりと来るんですよ〜。
どうしたらこう言う焼き加減の
火入れが可能となるのでしょう。
鮎は頭の先っぽからカリカリと皮目全体に
焦げ付きが広がり満遍なく火が通り
ゼラチン質などは欠片も残らず消えている
なのにワタの身が柔らかくレア感があり
ふっくらと良く火が通った白身と対照的な
甘味が静かに訪れる
このコントラストも素晴らしいが
頭と尻尾と腹回りの皮目のカリカリ度
中の白身のほっこりふかふかな豊満度
小骨に絡んだワタのレアな苦味の濃度

是等の味覚がくるくると舌を回して
魅了するのです。

次に
1尾目の鮎を貪って頂いてる最中に
違う食べ方してみますかとお言葉頂き
ハイ、とご返事しましたら
その場で即興的にザクザクッとお箸で
細工を入れて頂き
焼いたばかりの稚鮎から何と!
スルスルするりと頭付きの中骨迄を抜き取り
白身とワタはそのままで
二体にして頂きました。

綺麗に分解された稚鮎を見て
その場に居た人みんな、
目の前で何が起きてるのかな?と言う感じで
一瞬ポカンとしてます。
意図も簡単にサラリとやって退ける星野氏の
技に感嘆します。

頭付きの中骨を抜くと残った方の身の食感が
格段に違って来るんですよね。

中骨にも肝が付いてるし苦味がバラけず
稚鮎自身が若いのでまだ骨が柔らかく食べれて
新鮮な味わいが残ります。
中骨を抜いてしまうと身の若さが格段に違って
舌に身の旨味を残していく。

なんかこの中骨抜き取りする食べ方
癖になりそうです。

⑫炊き合わせ

○久世茄子
○小芋
○生姜
○木の芽
○浸し地

久世茄子を串刺しにして炭火の上でクルクル回しながら焼くそうです。

網焼きみたいに焦げ面が付かないのと
綺麗に皮が剥がれるので
茄子の身が全く痛まない
焼きナスにしてからお出汁に漬けてる

炭火で丸焼きして焼き茄子に仕上げてから
鰹を効かしたお出汁に浸して

お茄子の繊維質にスゥ〜ッとお箸が
取り込まれていく

翡翠色が輝いてます
お茄子が全然濁らないし
中まできちんと火が入ってる
芯までふわんとした感じになってて
お茄子のエグ味が全然無いのですよ。
お茄子を寝かせる時間によるのでしょうが、
経験値が成せる技かと思います。

⑬鱧胡瓜

○焼き鱧と冷たい胡瓜

胡瓜がうまい!
種を取り外してカットして
塩で揉んで塩抜きして土佐酢で和えただけ
家庭料理です、とは言うものの
この胡瓜の瑞々しさのレベルが
鮮やか過ぎる

パリパリに焼いてあったかぁい鱧が横たわる
あったかい鱧と冷たくキュッと酢締めした胡瓜の組合せ
温感料理と冷感料理の均衡の美学の集大成

胡瓜は全部種を取ってお塩で揉んでます。
胡瓜のさっぱり感が焼き鱧の和む旨味と
良く釣り合ってます。
鱧を焼くとこう言う感じの美味しさに
化けるのかと初めて味わいました。
鱧を焼いてお醤油たれで鰻の地焼きみたいに
仕上げてるのです。
その焼き鱧を一口食べると鱧の猛々しさが
焼きの中に閉じ込められてて鱧の旨味が
ホクホクで穏やかな味わいに
仕上がってるのです。
余韻が舌にジーンと響いて後を引きます。

⑭お食事

○山形県合鴨農法のコシヒカリを
土鍋で炊いた白ご飯
○卵かけご飯
○牛の時雨煮
○縮緬雑魚
○香の物
○赤出汁

一膳目は
ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
ぜんぶ乗せして一膳目を頂くのが好みです。
ホクホク艶々の白米と雑魚を
お口一杯に頬張って
実山椒をピリッと感じつつ
絶品時雨煮の甘美な味わいに包まれた
ふわふわご飯をお口の中に放り込んで
その芳醇なる時雨煮の甘味をご飯と一緒に
mogmogして極上の
ご飯の乳化を満喫します。
この少し辛くて喉に渇きを覚える
耽美な甘さ加減に煮詰まった時雨には
もう、麻薬の様に忍び込んで来て
舌を離しません。
何時もこの時雨煮の美味さには
舌が麻痺してしまいます。

二膳目は白ご飯に

シンプルに生卵をいただいて
卵かけご飯です。
お醤油を少し滴らせて卵をご飯に掻き混ぜて
ジュルジュル〜ッと頂いてお腹を満たします。
ん、此のご飯時の流れも好みに合ってて
至福のご飯タイムとなります。

⑭甘味

○蕨餅
○黄粉
○煎茶

黄粉が美味しい星野さんの蕨餅は
お土産に持って帰りたいです。

本蕨粉で練り立ての蕨餅
粉質感が美しく舞う黄粉
舌が現を抜かしてしまいますね。

星野料理の変幻自在な美味を締め括るに
相応しい作り立てのわらび餅
きな粉をたっぷりと塗してお口に運ぶ
きな粉の粉質が繊細かつ
上品でエレガントな粉なのです。
粉こなしてるのです。
わらび餅がトロンとしてきな粉がしっとり
絡みまくりです。
何とも言えないしっぽりとした甘さが
舌に寄せてくるんです。

其処に煎茶の渋味が淡くて
わらび餅の甘味を頂いた後に味わうと
ホッとするんです。
ふぅ〜。
最高峰の美味の高みに辿り着いて
ホッと落ち着いてる自分を発見。
満足の極致に達した感に酔い痴れる夕餉でした。

⓯お土産

牛の時雨煮をパックに詰めて頂いて
翌日の朝餉のご飯で星野料理の一旦を
堪能させて頂きました。

2022/09/08 更新

12回目

2022/04 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

味わうほどに滋味深さが増して味覚の繊細な美しさに惚れ込む

■2022.4.19(火)夕餉

■お料理 お任せ ¥40,000
お酒税サ時雨煮のお土産含む
お会計¥47,700

■ご予約 半年前に電話予約

■味わうほどに慈の深みが増して
味覚の繊細な美しさに惚れ込む

■非凡なお料理

本日は星野大将の非凡さを印象付ける
お料理でした。
この季節は筍がメインとなるコース仕立てが
多く見受けられるかと思いますが
本日の仕立て方の特筆すべき点の一つに
甘味の扱い方に脱帽します。
単品で甘さを打ち出すのではなく
コースの中に甘味の緩急を織り交ぜながら
巧みに舌を甘味の濃淡で導いて
淡く繊細な甘味から
大胆にジューシィさを打ち出す甘味までを
舌に感じ取らせる技アリの作品集となってます。
甘味は共すると素材との調和が難しく
甘さだけが舌に残ってしまい
素材の持ち味を消してしまう事もありますが
其処を巧みに素材の持ち味を引き出しつつ
味を整えて星野流の滋味深さに繋げている所に
非凡な技術の凄さを感じます。

①蕗の薹の小吸い物

淡く澄んだ鰹のうま味が佇むお出汁の優しさ
琴線に響く様な穏やかなうま味が
ジンワリと舌に染み込む
この見事に澄み切った美味しさは
如何したらこれ程までに昇華するのだろうと
このチャームな吸い地にうっとりとします。

そして可愛く浮かんでる生の蕗の薹が
春の匂ひを地に写して
ほんのりと気高く香り
何とも奥床しく
後から追いかけて来てくれました。

吸い地の味わいと
春の香りを楽しむ品の良い一品

②鰻の蒸し鮨

○鰻
○酢飯
○錦糸卵
○木の芽

地焼きした鰻を酢飯と一緒に蒸したもの

酢飯は一度お出汁で炊き上げたものを
酢飯にして切り立ての所に焼き立て鰻乗せて
散らし鮨風に錦糸卵を敷き詰めてます。

この小さな可愛い器の中に
味覚の精が宿ってるのではと思えるほど
極自然なカタチで鰻の旨味が舌に
素直に伝わって来ます。
温かい酢飯と鰻と肌理細やかに優しく佇む錦糸卵たちが味覚を紡ぎ合い
自分たちの味を引き出し合って
蒸し鮨を盛り上げています。

咀嚼すると最初は錦糸卵が酢飯に絡んで
大人しい酸味と錦糸の甘味がハーモニーを
奏で始めます。
その後、鰻のしっとりと蒸されて
仄かにダイナミックに踊る旨味が
酢飯の後を意外な勢いで追いかけて来て
結構衝撃的な美味を走らせます。
この味覚の段差攻撃に舌が翻弄されて
やられちまいます。
ホント、素材の持ち味を上手く構成して
穏やかに蒸し上げる事で
酢飯も鰻も温和にその持ち味の美味しさを
グッと引き上げてる一品でした。
食べた後の鰻の甘ダレがフワッと
余韻を残して行き
舌がうっとりその余韻に浸っておりました。

③物集女の焼き筍

○物集女の白子筍
○木の芽
○お醤油

京都塚原の直ぐ隣の物集女より届いた白子筍様を
2時間ほど直焼きにした物集女の筍は
真っ黒に変色したお姿で
お皿上に迫力あるカタチで鎮座されてます。
その真っ黒焦げの皮を大将が包丁で削いで
ど真ん中だけをスライスして
ホクホクのままお皿に盛り付け
木の芽をパラパラと散らして
お醤油をサッと滴らせて
温かいうちに召し上がれと嬉しい御言葉

もう、いきなり香しさがぷ〜んです。
その匂ひがストレートに鼻に抜けて行きます。
其れだけで美味そうな気分に浸り切ってしまい
味覚の渦に惹き込まれそうになりますね。

矢張り生の筍をじっくり焼かないと
この芳しい香りは出ない様です。
熟れてしまった筍では
こう言う香ばしさは生まれない様です。
この芳しさにまず、やられちゃいますね。

焼くのは2時間もかけてますが
頂くのは
香ばしさに誘われて美味しく味わえるのは
一瞬と
儚さを誘うのも筍の醍醐味かと感じながら
一所懸命ホクホクな白子筍に齧り付きます。

また、木の芽が見事に筍の甘味とマッチする
個性的な匂ひと刺激的な味をほんのりと添えて
其れが筍の甘味を更にくっきりと
浮かび上がらせて来ます。
この何とも言えない大地からの恵みを感じる
ナチュラルな甘味には
舌がメロメロに参ってしまいますねます。
誠に突き抜ける美味しさに感動いたしました。

④紀州のうすい豆の温かいお浸し

うすい豆を穏やかな温感の広がる甘く炊いた
お出汁で染めて甘い味覚を整えておられます。

うすい豆は実がふっくらとした食感が
整えられてて
皮がとても丸い質感の柔らかさで
然も齧ると意外にもプチッて鳴る
良くこんなに穏やかで元気な材質感を
出せれるもんだと
舌が驚いちまってます。

円やかな甘味
プチンと元気に弾ける食感
穏やかに温かい薄い豆
慎ましくも味わい深いお出汁

浸し地にコロコロと浮いてるお豆さんたちを
スプーンで掬って齧ると
一緒にお出汁の甘味が慎ましやかに
手を繋いできて
うすい豆にピタリと付き添う感じで
寄せて来ます。
そして
素朴な甘味が舌に訪れて
春らしい長閑な味覚に満たされる気持ちで
いっぱいになります。

この素朴なまん丸い緑のお豆が
これ程迄にホッと落ち着く味覚を運ぶとは
嬉しすぎですね。
うすい豆の甘味としっとり来る自然な繊維感を
さり気無く引き出してる一品でした。
こう言うお味と食感を作らせたら
ホント、星野さんならではの
天下一品の作品となります。

⑤青森の紫海胆

○鯛の中骨出汁のジュレ

この時期に難しいだろうに
海胆の一品をご用意して頂けるとは
何とも予想を超える嬉しさに
舌が小躍りしてしまいます。

黄金色っぽく輝くジュレたっぷりの
盛り付けの中にぼんやりと揺れる様に見える
青森の紫海胆
ジュレがプヨンと揺れて
小さな塊がプルンと舌に着地する
うま味が味覚の静けさを邪魔しない様に
ジッと座り落ち着き払う
その佇みの奥からポロリと紫海胆が
頭を出して来て
滑らかな葉っぱが舌触りも滑らかに
人肌の温感で蕩けて行く
この仕掛けの巧みな点に関心しちゃう
海胆って空気中に置いてても溶けて来る
直ぐに食べないと雫みたいに崩れて来ますが
ジュレの冷感の中に収まってるので
カタチも味わいも崩れずに
紫海胆の鮮度が其の儘ストレートに舌を
脅かして珍味を展開します。
この鮮烈な珍味がちっとも劣化しないで
届くもんだから
ジュレに負けずに
寧ろジュレのうま味をリードする感じで
紫海胆の珍味が広がり
その後からジュレが冷んやりと
追いかけて来る感じの蕩け方で
味覚の座り心地がとても良いんですよね。
素材の持ち味を駆使して
鮮度を活かす匠の一品

⑥芋茎の吉野煮

○芋茎
○生姜
○葛餡

里芋の茎みたいな味気ない食材を加工して
こう言う美味しい料理にしてしまう所が
星野料理の真髄なのかなと感じる一品。

此のお料理はお出汁との向き合い方で
どう言う色に芋茎が染まるのか
或いは染めるのかで味の出方に
芋茎の繊維質の特性が出る一品

吉野煮自体がとてもお優しい味わいを
引き出してて
ホント人の琴線に染み入る優しい味覚を
作り出してると感じます。
食べるとホッと落ち着いて来ます。

⑦天麩羅

○ぐじ
○タラの芽
○酢橘

衣が薄くかろやかで
鱗を間合い良く間引いてる故に
鱗が元気に屹立

衣は極微量に付着させてるだけ
脂質は何処までも軽くフワッと
浮かせる感じの揚げ衣

何時も感じますのが
揚げ衣の優しい繊細さに脱帽する。
粉質感が素敵に漂う衣で
小麦粉の細やかさにも驚くし
衣のサクッとした食感も素敵です。

ぐじの天麩羅をサクッと齧ると
最初に屹立した鱗がカリカリッと歯に当たり
破砕感が楽しくて癖になりそう。
この時期はぐじが嬉しい季節で
特に上手く4月にお席を頂けた時は
このぐじの天麩羅がとても楽しみなので
有ります。
薄く纏った揚げ衣の中に閉じ込められた
旨味がフワンと囁きかけて来て
春の匂ひを漂わせながら
ぐじの身がホロホロと解けて
しっぽり舌に抱き付いて来ます。
ぐじは揚げ衣の中でしっかり蒸されて
膨よかな旨味を広げており
咀嚼する時の快感が妖艶なまでに
舌を惑わせます。

更にタラの芽の天麩羅も
繊維質がシャキッとしてて
微塵も破壊されてない感じの仕上がり具合が
素材の美味しさを引き出しつつ
天麩羅の醍醐味を
味わえて完成度の高い一品となってました。

⑧お造り

○明石の鯛
○醤油
○酢橘
○塩
○山葵

鯛は朝締めて半日ほど寝かせてます。

手前がお腹の部位
奥側が背側の部位

そう言われて食べると舌が意識して
お腹の方がふっくらしてる気がしますし
旨味が厚い感じがします。
背の方はあっさりして質感が軽めかな。
言われなかったら
気が付かないかも知れませんね。

鯛のお造りは
鯛の身質が流石に
明石の激流に鍛えられてるだけあって
筋肉がしなやかに舌を撫でる柔らかさ
優しい弾力感が有りふわんと反発してくるし
弾力感が歯に伝わる時の快感が堪らなく
食感の秀逸さに感動してしまいます。
そして噛んだ時に淡白な肉質から滲み出る甘味は
山葵が負けてしまうほどのもので
鯛の無垢な美味しさに舌が惚れ込んで
しまいます。

⑨お椀

○鮎魚女の葛叩き
○物集女の筍(穂先の部位)
○蕨
○木の芽
○梅肉

吸い地を頂く前に鼻腔に漂う昆布の
馥郁たる香りにやられてしまいますね
そして唇が地に濡れると
何と言う憂いを含んだうま味なのかと
感嘆を超える味わいに陶酔します。

その吸い地は昆布の香りが
フワッと広がり鼻に優しく抜けて行き
引かれたお出汁は雑味なくクリアな旨味に
舌が力強く惹き寄せられるもので
舌に沁み入る優しさで満ちてます。

お椀に張られた吸い地を啜れば
淡く素直な澄んだ味わい
飲むほどにしみじみと旨味が積もって行き
丸い余韻を残していく
鮎魚女は見事なまでの大きさで
優しい甘味を舌に落として
滑らかなヌメリと共に口中に
儚く消えていくが
その滋味深い味が椀の中に溶け出して
次第に吸い地の味わいを深めていき心踊ります
最後の一滴を飲み干すとクライマックスが訪れ
陶然と酔い痴れてしまいました。

⑩北海道桜鱒の漬け焼き

○桜寿(おうじゅ)北海道産
○はじかみ生姜
○刻み大葉

北海道の桜寿ブランドの桜鱒を
塩焼きではなく漬けでの焼物

咀嚼してこのお魚の持ち味の引き出し方
味覚の引き立て方にも星野さんの非凡さを
感じる仕上がりに唸ります。

皮目をカリッカリに焼き上げて
身はしっとりと火を入れてます
皮と身をご一緒に召し上がって
下さいとの星野大将の仰せに従い
咀嚼を進めますと
皮はバリッバリで身質はジュワ〜ッと
口内に広がる脂質が程良く溢れて
更に漬け地の旨味を弾けさせて
極上の美味が舌を襲う。

火入れの妙で中まで火が通ってて
ちっともパサパサせずに
しっとりとした身質の嫋やかさが伸びます。
其れでいて皮目のカリカリが楽しかなりますが
焦げてる部分がほぼ無し
ん、これどういう事?
こんだけカリカリなら黒焦げする箇所が
点々と散らかるのに
カリカリで裏側はゼラチン質が艶かしく
旨味を発散してる
誠に見事としか言いようが無い。

⑪筍の直炊き

○静岡藤枝の筍(下の部位)
○花山椒

本日のメインです。
食べ応え感のダイナミズムが横たわり
透き通るような白子筍ザクザク感を満喫
此れは凄い!
これ程の食感と
気品溢れる穏やかな糖度を放つ甘味と
ザクッと思い切り噛んでシャキッと
フレッシュな噛み応え感が呼び込む快感が
全てが目まぐるしく絡み合い
齧り付きの醍醐味が溢れかえりますね
力強い筍の甘味に唸りっぱなしです。

お話を聞きますと
本当は炊き合わせの予定だったらしいですが
ものが良くて
筍自体のポテンシャルが素晴らしかったので
別物での用意に変えたそうです。
此方としては大歓迎ですね。

⑫炊き合わせ

○蕗
○鯛の子
○木の芽

この時期春の山菜がとても良いのです。
お酒お出汁お醤油お砂糖で炊き合わせたもの
甘辛加減が絶妙に素材を穏やかな妙味に育んで
味わいの滋味深さが心にジ〜ンと染み渡ります。

蕗はお出汁でサッと炊いてあり
サッパリとした食感に爽やかな苦味が
口内に広がります。

蕗に現を抜かしていると
ひょっこり鯛の子が可愛らしくプチプチ感を
弾きながら穏やかに甘辛の出汁が染み込んで
粒々感がプチュンと弾けて
めちゃ楽しい味覚が舌を弄びます。

其処に春の苦味を放つ木の芽が
大人の味覚で寄り添って来て
炊き合わせ全体の調整役を果たして
味を巧みに整えておりました。

⑬酢の物

○蛍烏賊
○車海老
○うるい
○菜の花
○酢味噌掛け

巧みに舌を誘導しるんですね。
筍でガツンと甘味を堪能させて
炊き合わせで温感も穏やかに
甘辛で舌を宥めておいて
徐々に興奮気味の舌を落ち着かせる
少し間を置かせてシャキッとしたうるいが
繊維感を伸ばし
蛍烏賊や車海老に掛ける酢味噌で
酸味軽やかに走らせて舌をスキッと
切り替えさせる

蛍烏賊は目玉や軟骨・嘴などエグ味のある物を
全て綺麗に取り除いて有り
咀嚼感がとても優しい仕上がりで
酢味噌がとても良く馴染みます。
なので蛍烏賊だけでもお口をサッパリと
リセットしてくれちゃいます。

この爽やか系の多様な味覚で
楽しませてくれるのと同時に
お口を仕切り直し頂ける一品には
有り難みさえ感じます。

⑭お食事

○筍ご飯(真ん中の部位)
○白ご飯
○卵かけご飯
○牛の時雨煮
○縮緬雑魚
○香の物
○赤出汁

一膳目は筍のど真ん中を刻んで
筍のお出汁で炊き込んで頂いた筍ご飯
コシヒカリの艶やかな旨味が米粒から
弾け飛び
筍の甘い香りがフワァンと立ち昇り
鼻腔をうっとり掠めつつ食欲を募る
その筍ご飯をガツガツと掻き込んで
お口いっぱいに筍甘味を充満させて
筍ご飯の膨らむ妙味を満喫させて頂きました。

二膳目は
ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
全部乗せして一膳目を頂くのが好みです。
ホクホク艶々のコシヒカリと雑魚を
お口一杯に頬張って
実山椒をピリッと感じつつ
絶品時雨煮の甘美な味わいに包まれた
ふわふわご飯をお口の中に放り込んで
その芳醇なる時雨煮の甘味をご飯と一緒に
mogmogして極上の味わいを楽しみます。
この少し鹹味が喉に渇きを覚える
耽美な甘さ加減に煮詰まった時雨煮は
麻薬の様に忍び込んで来て舌を離しません。
何時もこの時雨煮の美味さには
舌が麻痺してしまいますね。

三膳目は白ご飯に
シンプルに生卵をいただいて
卵かけご飯です。
お醤油を少し滴らせて卵をご飯に掻き混ぜて
ジュルジュル〜ッと頂いてお腹を満たします。
ん、此のご飯時の流れも好みに合ってて
至福のご飯タイムとなります。

⑮甘味

○蕨餅
○煎茶

黄粉が美味しい星野さんの蕨餅は
お土産に持って帰りたいです。

本蕨粉で練り立ての蕨餅
粉質感が美しく舞う黄粉
舌が現を抜かしてしまいますね。

最後に時雨煮のお土産を
こっそり頂いて
冷蔵庫に保管して
おうちご飯で星野さんの余韻を楽しむのが
密やかなご褒美となります。

2022/07/24 更新

11回目

2022/01 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥50,000~¥59,999
    / 1人

何処までも研ぎ澄まされてる唯一無二のお料理

■2022.1.31(月)夕餉

■ご予約 昨年10月にお電話にて

■お料理
お酒税サ牛時雨のお土産含む
お会計¥50,200

①京風のお雑煮

山利の白味噌仕立て
お餅
富田林海老芋
金時人参
お大根
鮪節の糸がき

真っ白に穏やかな温かさに揺れながら佇む
白味噌のお汁
白味噌に浸されたお餅の天には鮪節の糸がきが
憂いを含んだ様にサワサワと
佇んでいらっしゃいます。

その糸がきから気高く香る
鮪節の匂ひにうっとり
白味噌の何処までも甘く薫る匂ひにも
心が揺らぐ

お椀の蓋を開けた時から心癒される
その佇まいで眼を楽しませて始まる星野料理
目を楽しんだ後は香りで惑わせ
白味噌の至福の味わいが舌を訪れる
白味噌のお汁のまったりとした円やかな食感と
こっくりと心身を芯から穏やかに包み込む
瀞み感じる舌触りと甘味

合鴨農法でお米を作られてる農家さんに
餅つきして頂いたお餅は
もっちりモチモチにグ〜ンと伸びて
ふんわりお口の中でネットリ絡みまくる
ポッチャリとポタージュみたいに円やか食感を
振り撒いて来る白味噌の甘味は
兎に角こってりと濃厚なコクを感じる甘美な
味わいで舌が呆然としてしまうくらいの美味

あらゆる五感が目覚めてその旨味に陶酔感を
覚えるほどの至高の味覚
何者にも邪魔されてない穢れの無い
純粋に無垢な味わいが其処に佇んで
私の舌を魅惑の衣で纏う
お餅の中に射込まれてる海老芋も人参も大根も
お雑煮の具材たちが舌を満足げに弄ぶ

その味わいの奥行きの広がりを満喫しながら
喜びに満ち溢れるほどの美味が訪れて
至福のひと時を頂きました。

②お節の前菜

祝い鶴のお皿が嬉しく新春のお喜び気分を
醸し出します。
御節気分の前菜に舌がウルウルして
泣けて来ちゃいますね。

盛り付けの真ん中から順に
自家製の唐墨
松葉串に黒豆
春子鯛の酢締め
菜の花の昆布締め
たたき牛蒡

お正月の珠玉が雅に散りばめられたお皿
お酒のアテにもドンピシャなミニ御節に
して頂いており感謝の言葉しか出ません。
お正月気分に少し浸りながら
飛切りの燗酒にお付き合い頂き
唐墨とチビチビやるも良し
グビッと呑んで酔いに舌を委ねるも良し
ほろ酔い加減が進んでしまいます。

8時間かけて煮詰めた黒豆の艶やかな事
とんでも無くツルツルな輝きは
不思議にも思えるほど美しさを誇る漆黒の
輝きを見せてます。
しっくりと優しい粉質感に佇む品格のある
糖度の質感に驚く
甘さなのか甘味を超える旨味かも知れない
しつこく無くて爽やかにサラッと舌に
入って来る上品な糖度に参りました。

菜の花はサラッと湯掻いて昆布で締めて
お出汁に浸してます。
繊維質の心が残りシャキッとした食感と
ほんのりと昆布の香りが同居する美味さ
お出汁の味が菜の花の狭間から
滲み出て来る出汁のうま味と食感の
バランスの整え方に感嘆する

この不思議にも思える味覚の中に
どう反応して良いやら
舌が迷っております。

唐墨がまた凄く美味しい
純度と言うのか鮮度と言うのか
血管の混じり気が微塵も無い唐墨
見ててもその綺麗なオレンジ色に輝く
天然の色合いに見惚れてしまう
唐墨の粒々が綺麗に映える
血の気を完璧なまでに消していて
血抜きが完璧に施されてる感じ
細かく手を施してるのかと思いますが
その丁寧なお仕事に見合う唐墨の品の良い
塩味と海鼠固有の味わいに参ります。
その唐墨を食べ切ろうか残そうかと
迷っておりましたら
星野大将此方の意図をスッと感じ取って頂き
小さめの取り皿をカウンターに置いてくれて
唐墨を此方の小皿に取り置きしておいて
チビチビやってください、とのお達し。
まぁ、何とも嬉しくなっちゃいますね。
お節の前菜を食べ切って
唐墨だけ置いておきたいなぁと
心中を察して頂いたのでしょうか。

前菜のお品はどれもこれもが
心に染み入るお味でお酒が自然に
進んでしまいます。

ホント美味三昧のお料理構成に舌が
メロメロでした。

③河豚の白子焼き

プクゥ〜ッと脹れ面している
大きな焼き白子さんが
お皿の上でプルプルと揺れております。

最初、お箸でプツンと薄皮を割って
頂こうかなと思ってましたら
飛んでも御座いません。
薄皮どころか
齧ってみて吃驚こいた
厚手の皮目がしっかり纏っており
厚みのある白子の皮をブチンと
噛み切らんばかりに歯でグッと噛むと
ポンと弾力感豊かに反発して来て
中からはトロ〜ンなのです。
この見事な食感のマリアージュに驚嘆
焼き方が秀逸なのでしょう。
此処まで白子の皮を厚く焼くと
もう少し脱水症状が上がって
パサつきが出るものですが
プヨンぷよんの白身から珍味が
いっぱい飛び出して来て
舌は狂喜乱舞しちゃいます。
もう、
ほっぺが落ちるよ〜と叫んじゃいそうです。
そしてそのプヨプヨな白子が舌の隅々まで
徘徊してるときに感じる塩味が
また淡く寄せて来るんですよ。
この塩梅が絶妙な塩梅で
白子の甘味に奥ゆかしく底味を浮き上がらせて
熱々の白子さんがゆっくりとお口の中で溶けて
消えていく間合いの中で淡い塩味が
ヒタヒタと忍んでくるのです。
堪んないですね。

更には
お酒とのマリアージュも素敵でした。

お酒を含んでから白子焼きを食べると
とても白子が燗酒と一緒にほんのりと
薄く染まっていき
お酒の余韻の甘さが白子を優しく包んでくれて
そのお酒の甘味が仲良く
白子の甘味に繋がるのです。
また、
白子をmgmgして白子をほぼ食べ切った後で
お酒を頂いても白子の甘味よりも淡く佇んでいた塩味の余韻がほんのりと滲み出して来て
お酒の甘味を微妙にくっきりと
浮かび上がらせる感じも
良い余韻となってました。

いやぁ〜、この白子さんは絶品。
このお料理で高揚感上昇しっ放し。

④浜茹で松葉蟹 津居山

流石と言いますか
此れぞ匠の技と言うに足る作品かと
感じ入ってしまいました。
何も足さない
ただ只シンプルに浜茹でされた蟹を
一杯ずつ少し温感を持たせる為に
カウンターに饗される直前に蒸してます。

浜茹でされた松葉蟹を一杯ずつ
蒸し器で優しく蒸されてるので
蟹の身がとっても穏やかな
円やかさが伴う優しいお味になり
舌がウフフと喜んじゃってますよ。

やはり運ばれて来て冷たいものをお出しするより
少し温感を纏わせた方が
蟹の香りも甘味も浜茹でした時の鮮度が
蘇って来ますので
食べてみるとホントにvividな憂いを含んだ
美味しさが訪れてました。
この微妙な塩梅で浜茹での旨味を
再現しようとする星野料理の
研ぎ澄まし方と言うのか
繊細な施しが蟹の甘味を昇華させてます。

浜茹ででもドボンと沢山の蟹をいっぺんに
茹でる事で蟹のエキスがお出汁として
お鍋の中に充満し
蟹の茹で汁のエキスで蟹の旨味を深めるし
蟹自身の体液が逃げずに其の儘蟹の身に纏って
味わいを昇華させてるカタチとなる様です。

なのでこの浜茹での松葉蟹の爪も脚も
ぎっしり詰まってる身をス〜ッと削いで
其の儘蟹酢とかも浸さずに食べると
蟹にしてはメチャ濃厚な甘味が伸びて来るし
全然水っぽくないのにも驚く。

兎に角
お箸を殻の隙間に入れてスゥ〜っと入れて
ホカホカの白身が殻から剥き出しとなり
お箸でその白身の塊を摘んでお口にパクリと
放り込みます。

全くもってピュアな甘味
其れもかなり鮮烈な蟹らしい甘さです。
無垢で雑味の無い旨味をギュッと
引き出してます。
然もお上品な甘味なんですよ。

これ程蟹のポテンシャルを
余すことなく引き出してるとは
ホントに綺麗な美しい味覚を纏ってる
茹で蟹料理でした。

⑤蟹味噌和え

ほぐし身に温和な蟹味噌を添えて
味噌との和え物でのご用意です。
少し蟹酢を浸してお召し上がり下さいとの
仰せに従い
温かい蟹味噌とほぐし身を一緒に
お箸で摘んで蟹酢に浸けて頂きます。

うふふ、で御座いますよ。
何、この穏やかァな甘酸っぱさ
同じ蟹味噌の和え物でも
こんなに旨味度、甘味度のレベルが違うものか
と不思議に思う。
この時期まぁ大体何処でも
蟹料理はご用意されて
お味噌との和え物の盛り付けも有るかと
思おますが
共すると水っぽくて蟹味噌がシュッと溶けで
結構ベチョッてなる事が多いです。
星野さんのは
何というのか
先ず水っぽくなくて
ほぐし身が綺麗にキュッと締まってて
蟹味噌も粘度レベルが穏やかに整えられてる
その両面味覚と食感の度合いが上手に
均衡してお互いに珍味を出し合い
味わいを引き寄せつつ全体感が整えられている
故に蟹酢の酸味もキュンと
生きてきちゃうんですね。
素材が良いもので有ることは確かですが
その良さを更に磨きを掛けてると言った
感じになるかと思います。

舌を円やかに撫でていく
もう、絶句する味わい
こんなん出されたら本当に参っちゃいます。

⑥根芋の吉野煮

定番の吉野煮
此れは外せない一品
いつも通り根芋と吉野葛の相性と生姜の
刺激がお口の中で舞い踊る妙味に
舌が震えてる
この妙味の誘惑にはなかなか勝てそうに
有りません。
何でこの素朴な素材が
此処までの味わい深き妙味を帯びた
お料理に一変してしまうのかと
何時も不思議な味覚に摘まれながらも
この生姜のツンと来る刺激と
吉野葛の餡の瀞みとの相性の良さに感動
ズルズル〜ッと吸い込むようにして
根芋の束を噛み締めてうっとりと
快適な妙味に浸り切ってしまいます。

そしてご一緒頂く飛切りの御燗が
この吉野煮と誠に合うのです。
感謝しか有りません。

⑦白魚の天麩羅 宍道湖

厨房からシャァ〜ッと唸る油の音色が
カウンター越しにまで届きます。

粉はごく普通の小麦粉をお水で溶いたもの
油は綿実油と太白のブレンドしたもの
特別な事をしてるわけではなく
普通に私達も買えるもので
美味しいお料理を作る
其処が料理人の腕の見せ所であり
京味から受け継いだ矜持ともなっている
そんな大将の思いを伺いました。

さて、宍道湖の白魚です。
毎年この時期の白魚は穴道湖の大きなものを
使われてますね。

其処は星野流の施しが冴える技ものに仕上げて
バラ揚げを山盛りで饗されます。
真ん中が山のように盛って有るのが
美しくも有り食欲も唆りますね。

衣を齧る
揚げたての薄い衣のサケサク感が美しくて
サラリと流れる食感の心地良さが堪らない
こんなにサラサラした衣の揚物は
星野さんでしか出会えない逸品
咀嚼感も素敵でふんわりと歯を招く
招かれるままに歯も舌も天麩羅に委ねる
薄い衣の向こうにある白魚がやんわりと歯を
導き入れて白魚の淡白な甘味を舌に振り撒く
とってもフカフカする甘さに感動してしまう
白魚を一尾ずつ頂きますが
手が止まらない。
次から次へと舌が渇望しどんどん食べてしまう
一気食いである
食感の心地良さの継続性が良い
白魚の香りと甘味がたっぷりお口の中に
入って来て食べ応え感を満喫させてくれます。
満足感が高き作品。

このシンプルな揚物の素材を
極上の旨味の高みへ持って行くレベルの高さに
感銘してしまいました。

⑧お造り

明石の鯛
醤油
山葵


真冬の激流に揉まれて育つ鯛
この時期の明石は鯛の身質のしなやかさが
秀でて来てるところで咀嚼感がはっきりと
身質から感じとれるものです。

白身が分厚く旨味が出てきてますので
チョツト刺激を包みたくなり
生山葵を鯛の白身でくるくると巻いて頂きます
お口に入れて咀嚼しますと
身質の淡白さとしなやかさが反発して来て
その間隙から山葵がツーンと弾き出して来て
鯛の身質に刺激を与えて美味を振り撒きます。
何度も咀嚼し続けていたい気分です。
鯛の鮮度の良さに舌が喜んでました。

⑨お椀

椀種:車海老の薄氷椀
椀づま:鶯菜
吸い口:柚子皮

聖護院大根を薄氷に見立てた椀盛です。
お椀に浮かんでる姿が透き通って
真冬に張る薄氷が張られてるイメージが
眼前に広がる様です。

薄氷仕立ての聖護院大根も一度炊いたものを
浮かばせてます。
薄氷の下には一入当てた車海老を
湯掻いたものを椀種として浮かばせてます。
薄氷仕立ての大根を取り払いますと
クリアな純白の車海老が一口サイズに
くるりと巻かれてくっきりと姿を
表します。

昆布鰹のうま味も奥深く吸い地に
忍ばせてる感じで淡く軽くお淑やかな
佇まいです。
車海老はプリプリ感半端なく
サッとお湯で湯掻いただけで余計な
足算はしない味付けで
食感が素晴らしく舌に響き応えてくる
車海老は一口サイズに小振に纏めて有り
とても食べ易いです。

其れ等全ての食材の持つ旨味エレメントが
お椀全体を盛り立てて
至福のうま味を作り出している
何と言うバランスの良さ
吸い地と椀種の距離感も図抜けてます。
研ぎ澄まされた味覚のグラデーションに
感銘し感動を飛び越えて行きますね。
素直に素材の持ち味を雑味なく引き出す技に
おいては
私が知り得る小さな世界ですが
この方を超える人は居ないのではと思います。

⑩焼き物

ぐじの松毬焼き(松笠とも書きます)
酢橘
はじかみ生姜

酢橘は皮では無く身の方に滴らせて
召し上がって下さい、とのお話を頂きます。

松毬の立ち居振る舞いが非常に美しく
正に松毬の様に鱗が整然と並んでおり
由緒正しい松毬焼き
鱗がきちんと寝てるので見た目も美しい。

まずは一口鱗から齧ってみます。
食感が鋭くカリッと当たって来る鱗が
嬉しくなる程の美味を感じます。
皮目のパリパリ感が堪んない
身はホクホクで塩味がほんのりと浮かぶ

もう芸術作品の領域ですね
皮目のパリパリ感の感覚と身質のホクホク感との
コントラストが素晴らし過ぎて
この不思議な食感を何度も味わいたくなる。
皮目をザクッと噛む度に歯に跳ね返ってくる
パリッとした鱗の粒混じりの皮目さんが
快感をいっぱい呼んで来てくれます。
皮目を通り過ぎて純白の身質に
深く歯を入れるとハラリと解け崩れる白身
その崩れた身質から淡く寄せる塩味が
ジーンと舌の全面に染み渡ってゆっくりと
広がって行きながら
ぐじの旨味がパッと口内に充満
舌が極上の味わいに酔い知れて
満足と興奮が渦巻くひと時に溺れておりました。

⑪炊き合わせ

聖護院大根と京菊菜
黒胡椒

鯛の中骨を焼いてとった出汁で大根を
炊いてます。
お出汁を多目に張って有りますので
大根の柔らかい甘味を頂きつつ
お出汁も合間に飲みながら
合わせて楽しめます。

お大根をコトコト炊いてるのかと思いますが
本当に優しい味わいは
心が洗われるよう

その大根から滲み出るエキスのみで
満ちる甘味でお大根自身を浸す
甘味が綺麗なまでに澄んでて
大根から滲み出るおつゆが誠に美味い!
その甘味に浸された菊菜が嫋やかに揺れる
味覚を持ち出してくる
味覚自身が淡く舌に寄せて来て
滋味深いうま味が広がる
こう言う味わいが舌の琴線に触れて来て
ジ〜ンと来ちゃいます。

⑫鴨饅頭と百合根

合鴨のミンチを甘辛く炊いて
葛で当てて
百合根の生地で包んで
周りに叩いたおかきを塗して
一度揚げてから蒸して冷やしたものに
温かい餡掛けを施したお饅頭となります。
瀞みが円やかな銀餡掛けの上には
山葵を可愛く盛り付けです。

銀餡をスプーンで掬って舐めます。
餡の瀞みが絶妙で穏やかな事
ほんのりと醤油味を泳がせていて
凄く奥ゆかしい味わい

トロンとした銀餡の中に浮かぶ鴨饅頭を
やおら蓮華で崩してみますと
百合根生地に包まれた鴨肉のお団子がお目見え

中から鴨肉のそぼろがホロホロと
流れ出して来て舌を誘惑してます。
一口摘んでゆるりとお饅頭を咀嚼
美味ぁい。
百合根が優しいので餡も緩い餡に
仕上げてますね。

百合根と銀餡のマリアージュした味覚の
穏やかな甘味に鴨団子の旨味が折り重なる
一口ザクッと噛むと多様な味覚に惑わされて
蠱惑の渦の中の妙味の奥へ奥へと誘われて
舌が深みにハマってしまいます。
お饅頭を包んでる百合根が無茶苦茶
しっぽりと舌に抱き付いて来ます。
更に奥深く進むと鴨肉の旨味がやんわりと
朧げに浮かんでくる
そして
山葵の刺激が鴨饅頭の甘味をグッと押し上げて
この妙味連打に完全にノックアウトです。

⑬お食事

山形県合鴨農法のコシヒカリの白ご飯
牛の時雨煮
雑魚
赤出汁
香の物

○一膳目は星野丼にします。
ホクホク艶々の白米に雑魚も牛の時雨煮も
お香の物も全部盛りして
星野丼を完成させます。
最初に雑魚ご飯の所を掻き込んで
実山椒をピリッと感じつつ
ご飯の甘味と対比しながらの美味を堪能
次にサッパリとお漬物にご一緒頂いて
お口を少しスッキリ味でリセット
お仕舞いに濃厚な甘味を放つ時雨煮で
フカフカの白米様をガバッと口内に突っ込んで
頬張ります。
んん、どいつもこいつも美味しいじゃん
やっぱり〆にはこの3度楽しめる星野丼方式で
満足感を高揚させてから
赤出汁でホロリと落ち着くのが良いなぁと
つくづく思いました。

○さて、二膳目はおかかに
卵黄掛け山葵添えご飯を頂きます。

甘味にコクのでてる宇治の卵黄と
ふわふわご飯を掻き込んで
濃厚な黄身をネットリとご飯に垂れ流して
おかかの気高い香りに塗されて
スーパーTKGの極上の美味さを堪能です。

いつも乍ら嬉しい満足度の高いご飯たちに
祝福を頂きました。

⑭甘味

蕨餅
星野さんの蕨餅って艶々な感じで
練りたてのものを頂けるので
お餅感が優しくって
きな粉も甘さがピッタリ蕨餅に寄り添ってて
ホント美味しいのです。

⑮お土産

明日の朝ご飯用に牛の時雨煮をタッパーに
包んで頂きました。
この時雨煮だけでご自宅で星野丼の
片鱗を味わう事ができちゃいます。

2022/05/13 更新

10回目

2021/07 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

此れと言った食材の薄い夏場に鱧、鼈、鰻、鮎を駆使して美味珍味を緩急自在に操る星野料理に感銘

■2021.7.27(火)夕餉

■お料理 お任せ ¥40,000
お酒税サ含むお会計¥44,300

■ご予約 半年前に電話予約

①冷やし薯蕷汁

丹波のつくね芋をお出汁で伸ばしたものに
蓴菜
ぐじ
を具材に入れて
酢橘の搾り汁を滴らせて仕上げてます。

このトロ〜ンとした舌触りの清々しく
爽やかに走り抜ける食感と
滑らかに流れる清涼感
何と気持ちが晴れる感じで
舌を喜ばしてくれるんだろう
夏の気怠い気分を見事に吹っ切らせてくれる一品
更に蓴菜のヌルのぷよぷよ感とつくね芋の
トロリ感の相性が抜群に良いのです。
互いに干渉する事なく仲良く溶け合う
ヌルリとした艶かしさに薯蕷の滑らかさが
交錯する
そのトロリとしたつくね芋の中からぐじが
ひょっこり顔を出してプリッとした生身を
曝け出す
ぐじがトロ〜ッとした薯蕷の粘性を浴びて
舌触りもヌルッとしながら淡白な甘味が
薯蕷の中で消えて行く
この同時進行する多様な食感と味覚の混成が
堪らなく舌を魅了して止みませんでした。

②海鰻の飯蒸し

博多湾の海鰻
雑味の無い清い鰻
鰻と言う魚の秘めるポテンシャル
鰻の皮と身から零れてくるほどに溢れる
美味の極み
鰻自体を再認識させられると言うのでしょうか
また、
其処まで極まる鰻の旨味を
引き出せるものなのでしょうか
素材も秀逸なればこそ
星野大将の施しにより
極限まで鰻に潜む美味妙味を最大限に
引き出す火入れのチカラに感銘し
舌が震えてしまいました。

兎に角鰻への火入れが飛んでもなく見事
焼き加減で此処まで鰻の本質的な美味さを
引き出せるのかと
然も炭ではなく電熱との事です。

恐る恐る一切れ目を咀嚼しつつ
少し餅米もお口に含みます。
もう、舌も目もパチクリです。
驚きを超える驚きの美味しさ
食感
香り
歯触り
舌触り
どれも此れもが究極の海鰻の美味さに舌を巻く

皮目がキリリとパリパリ感がストレートに走る
身は蒸した様にふっくらとするもジワリ沁みる
鰻の保湿感が漂う様なしっとりな美味さを纏う
皮を齧ると付着するゼラチン質の穏やかな甘味
皮目の硬さに比して白身はパサつかず
フワァ〜ンと膨よかな美味が浮き上がって
堪らないほど美し旨しなのです。
鰻ダレも甘過ぎず辛すぎずサラッとコクのある
甘味を滲ませて鰻の身質に寄り添う
勿論素材も良い物なのですが
海鰻の雑味の無い鰻本来の旨味を此処まで見事に
表現出来てしまうとは
恐ろしい料理人様です。

博多湾の海鰻は
車海老とか甲殻類を食べて育ってるので
鰻丼を焼いてる時に甲殻の匂ひが香るそうです。
其処がまた鰻の美味しさに奥行きを与えて
より一層舌を惑わせてくれるんでしょうね。
フゥ、参りました。
2品目にどストライクな一品が来て
一気に高揚感が膨らんじゃってます。

③鱧の落とし

南淡路の鱧
自家製梅肉
赤紫蘇につける前の新鮮な梅干しベースで
仕上げた梅肉の品の良い事
山葵をしっかり梅肉の中に溶かしてから
鱧に梅肉を浸して頂きます。

鰻のパンチを喰らった後に
舌が癒されるかの如く温和な鱧の落とし
程良い暖かみを纏った鱧が
淡いうま味を佇ませた浸し地に染まり
淡白な白身はコク深い甘味を忍ばせてます。
この淡い浸し地に染められた鱧の甘味が
何とも言えず
滋味深さを醸し出していて
舌を鱧の滋味深さで満たして行くのです。
梅肉の酸味が鱧を優しく攻めてくる
ポン酢の酸味も
上塗りされて酸味の合唱が鱧の淡白さに共鳴して
鱧しゃぶを力強い味わいに変える
私はお出汁だけで地のままに染まった
鱧の方が自分の舌には穏やかで素直な
鱧の美味さが感じられて好ましく思えました。
何方にせよ鱧の魅力をグッと引き出した一品と
感じました。

④芋茎の吉野煮

京味系定番の名作と呼ぶに相応しい一品。
炒子のお出汁で芋茎を炊いて
芋茎と言う何の変哲も無い根菜にうま味を
付けて味わい深き一品に仕上げる
これ程ピュアな繊維質を感じるお料理も
珍しいかと思います。
芋茎自身はコトコトと星野大将が
お鍋の中で葛を加えながら炊いております。
かなり強めに炊いてるのに
繊維が劣化せずシャキッとした繊維感を
頂けるのには何時も驚いてしまいます。
その芋茎の妙味に生姜が程よく絡んで
刺激的なアクセントを加えています。
芋茎を噛むと葛の瀞みと一緒に
ジュウ〜ッと口の中に零れ落ちるうま味
其処に
生姜が痺れをほんのりと寄り添い
とても良い妙味を
舌に運んでくれてました。

⑤蒸し鮑

唐津の蒸し鮑のスライスが2枚
鮑の肝を煮汁で伸ばしてペースト状にして
たっぷりと鮑に浸して頂きます。
これがなんともコク深さ伴う旨味で
ジ〜ンと舌を陶酔させる円やかなる珍味が
広がります。
鮑の筋肉質は綺麗な味覚が佇み
海の香りや磯風味が舌に飛んで来る
こんなに鮑が美しく純真無垢な味わいを
見せるとは
どうやって鮑の身を磨いてるのだろうか
星野さんの手に掛かると
あらゆる素材が潜在能力を発揮して
秘めた旨味が蘇り輝いて来ちゃう
鮑を噛んでみた
するとその瞬間一旦は弾力して歯を押し返すが
其の儘グッと力を込めて押すと
鮑が歯を吸い込む様にスゥッと鮑の肉の中に
沈んでいく
この鮑のスライス一枚を
噛み続けていると肉質に粘りがでてきて
段々と淡く甘味が浮き出て来るのである
更に鮑の肝が舌の中に滲み込んで来る
苦味が無く無垢なる肝の甘味が淡く切なく残る
舌が少し肝を愛おしく感じる瞬間が訪れて
鮑はお口の中で無邪気に遊んでいた。

⑥雲丹ゼリー

歯舞の紫雲丹
アコウの中骨を焼いて取ったお出汁のゼリー

ゼリーがプルルンと揺れてます。
揺れるゼリーを纏った紫雲丹さんが
うま味溢れる味わいを雲丹に乗せて
お口の中で雲丹がジワジワと口溶け
そのトロ〜ンと蕩ける味覚の中から
ゆっくり珍味が舌一面に広がります。
雲丹ゼリーのプルプル食感と冷感が
雲丹の珍味を切れ味の良い美味へと
誘い込んでいく
お口の中で多様な味覚が交錯しながら
雲丹ゼリーが珍味なる余韻を残して
溶けて消えて行きました。

⑦天麩羅


玉蜀黍

天麩羅と言うより軽く葛粉を塗して
油で洗ってる感じの揚げ衣感で
衣の繊細なサクサク感に驚きます。
そのサクッと歯に応える食感を通り過ぎると
若々しく元気に鮮度の高さを誇らしげな身質の
鱚がお目見えです。

お勧めに従い
鱚は酢橘塩で
玉蜀黍は塩で頂きます。

鱚の身がふっくらと新鮮な
揚げてる油の温度で蒸されており
噛むとそのままハラリと崩れて
ホロホロになって口内に散らばるのです。
散らばりながらも淡白な甘みと
白身の鮮度の高さに溺れてしまいそう。
とても軽妙な食感が走り抜けて行き
舌を喜ばせてます。
咀嚼してるとどんどん美味しくなる
とても気品に溢れてる鱚天でした。
一方、
玉蜀黍は素揚げっぽくて
殆ど衣が付いてません。
噛むとジュワッと粒が弾けて
糖度の高さとジューシィな味わいが
その口内に散乱します。
この甘美な味わいにはうっとりしてしまい
この上品な甘さに舌が惚れ惚れしてました。

⑧お造り

淡路のアコウ
碇防風
山葵

醤油

星野さんで鯛以外のお造りを頂くのは
珍しく良い鯛が無かったんでしょうね
また、星野大将を納得させる程の身質の
アコウとの出会いだったと言う事かも
知れません。
そのアコウの身のしなやかなる事
お目目がウルウルしちゃうくらい
身質のシコシコ感をいっぱいに感じながら
お刺身を噛んでいるとモチッと静かに反発して
歯がアコウの肉肌の中に誘われちゃう
噛み心地が快感を呼びこんで
mogmogし始めると今度はしっとりとした
質感も合わさり陶酔感が舞い上がりました。

⑨丸鍋

青森産養殖の鼈
焼き葱
黒山椒

グツグツと煮立ち
湯気からフゥ〜ッと薫る匂ひ
鼈の香り?
お出汁の香り?
鼻腔をとても気持ち良さげに擽ぐるのです。

蓮華で一口掬ってフウ〜フウ〜して
飲んでみます。
んん、んめぇ〜、なんと言うコク深さと
慈の味わいがジィ〜ンと舌に染み渡り
鼈から吸い地に写ったうま味が舌を潤しますね♪
お醤油ベースの吸い地は生姜風味がしっかり
映されててうま味充分

大将曰く
淡い味付けだと亀の匂ひや野性味が立ってしまうとのことで敢えて醤油ベースの濃い味付けで
亀のアクの強さを和ませて
お出汁を飲んだ時の味わいに
慈のうま味が感じられる方に向けて
味付けを施して行くそうです。

そしてコラーゲンたっぷりの鼈の身皮を頂き
ぷよぷよする所をやんわりと舐めて
ダイナミックな鼈の肉塊もドンと鍋の中に
浮かんでおり
其奴にガッツリ喰らいつきます。
んん、焼き鼈と違ってホロホロに鼈の肉が
解けて行き旨味がお出汁に浸されてる故か
滋味深さ漂いますね。

さて、この丸鍋を味わいながら
ふと考えます。
星野流のお料理とは何なのだろうかと
自問自答しても素人の私などが
簡単には見つけられる訳も有りませんが
何処までも手を緩めず味覚を
突き詰めて行く真摯な姿には感嘆します。

この鍋物にしても
醤油ベースのお出汁の味わいの素朴さ
うま味のコクが淡く浮き上がる妙味
鼈のお肉の野性味を感じさせながらも
ホロホロに解けて行く柔らか味が優しい
其れらの味覚の踊り子たちが優雅に舞う
然も地の味と肉の味のバランスが良くて
舌に届いて来ると堪らなくなり
味わう事を止めたくなくなるのです。
どんどん後を引いてもっと飲みたいとなる
更にクドさとかしつこいとか無くて
サラッとして清い味わいなのにも驚く

こう言うピュアな旨味と言うのでしょうか
どの一品も素材のポテンシャルを極限まで
引き出し美味しさをピュアに整えて来る所に
星野流の真髄があるのではと
感銘してしまいます。

⑩鮎の塩焼き

郡上長良川の鮎
蓼酢
はじかみ

星野さんの鮎への火入れはさり気無く優しい
鮎の身を労りつつ
程々に頭も中骨もカリッとさせて
骨も身もバランス良く焼くと言うのは
至難の業かと思うのですが
其れを両立させている火の入れ方なのです。

少し骨がゴワゴワしますので
お好みで抜きますとの大将からのお言葉
個人的には骨もガッツリ食らい付きたい方なので
骨付きのまま頂くことにします。

頭から齧り付きます。
確かに少し頭も骨もゴワついて
歯に当たる感じがしますが
それがまたコリコリして歯に当たって
楽しめます。
腹の部分に歯を進めると
皮も身も全部美味しい
骨は噛んでコリッと歯に当たり
少し強く噛むと砕け散ります。
身と皮はふっくらとして鮎の淡白な旨味が
舌にはっきりと伝わってきて妙味が冴える
特に皮が美味しい
薄皮の厚みも活かして真鱈模様に焦げ目がついて
所々パリッとした食感を纏わせつつ
しっとりとして美味
単にパリッとしてるのではなく
皮らしい厚みも活かされたものに仕上がっており
皮と身の一体感が寄り添う旨味が有り
鮎の美味しさに深みが出てきております。

炭では無く電熱で焼いてるとの事
ホイールを被せて熱の反射を利用して焼くと
乾燥してパリッとしながら保湿感も残る食感に
仕上がるそうです
かつ
火力も上がるので骨にも充分火が通る様です。
そして腹の部分を中程まで齧ると
ワタのほろ苦さも鮎の身の淡白な旨味と
同居しているし
ふっくらする皮と
しっとりホクホクの白身と
ほろ苦いワタの身と
鮎の醍醐味を全てが味わえる口福感を
頂きました。
この鮎の塩焼きは芸術品と思える
美味しさでした。

⑪炊き合わせ

久世茄子
小芋
お出汁

一本ずつ丁寧に焼いてるので皮肌が綺麗な
翡翠色をしており
茄子のレア感が半端なく
かつ
茄子の持てる瑞々しい甘さを極上に仕上げてきて
全く自然なピュアさを感じるジューシィな
茄子の美味しさを実現されております。
これ程までにお茄子のポテンシャルを
引き出せるものかと思ってしまいますね。
星野さんの本領が発揮された茄子料理

焼き茄子の薫香っぽい焦がした繊維の香味が漂い
茄子の翡翠色の繊維質がちっとも濁っておらず
その蠱惑的な甘さで舌を茄子の虜に
してしまいました。
素材の本質的な魅力を際立たせる事に掛けては
この方の右に出る人は居ないでしょう。

⑫酢の物


胡瓜
茗荷

これでチョッとサッパリして頂いて
ご飯になりますとの事
鮎の焼き物まで徐々に高揚感が増す味覚の
行進を続けて
鮎でクライマックスを迎えた後は
舌の落ち着きを取り戻す炊き合わせをご用意
そしてこの酢の物でサラッとお口をリセットする
流れの繊細な味覚の構成に感銘を覚えます。
蛸の食感
胡瓜のシャキシャキ感
茗荷の爽快感
酢の酸味を帯びた食感たちが遭遇し合い
お口を見事な軽妙さでリセットしてくれました。

⑬お食事

白ご飯
牛の時雨煮
雑魚の山椒煮
香の物
赤出汁
生卵

ご飯にお供します雑魚も時雨煮も香の物も
全部乗せして一膳目から星野ご飯を頂くのが
最高のご馳走
星野さんの偉大な発明品とでも言うべき
牛の時雨煮は煮込んで仕上がった牛肉の
歯触り響く肉質感
時雨煮の甘味と辛味のバランスの絶妙さ
白ご飯は艶々ホクホクの甘味を滲み出す
時雨煮ご飯が絡んで浮き出す極上の旨味

この少し辛くて喉に渇きを覚える
耽美な甘さ加減に煮詰まった時雨には
もう、麻薬の様に忍び込んで来て
舌を離しません。
何時もこの時雨煮の美味さには
舌が麻痺してしまいます。

更にホクホク艶々の白米と山椒雑魚を
お口一杯に頬張って
実山椒をピリッと感じつつ
舌がこの美味三昧ご飯に夢中になって
翻弄されて没頭してしまいます。

本日は京都宇治の平飼いの卵かけご飯のご用意がありましたがお腹いっぱいで
お代わり出来ず次回までお預けとしました。

⑭甘味

葛切り
黒蜜

出来立てなのですぐ溶けるので
出来た順に食べてくださいとのお達しです。

本葛粉の葛切り
滑らかツルツル感が尋常じゃなく
喉越しの軽快さに吃驚でした。
葛切りが純白無垢な味だからこそ
黒蜜の濃厚な甘さが際立ちます。
キンキンに冷たい甘味が喉も舌も潤して
〆に相応しい清涼感を残して最高の満足を
頂きました。


2021/10/29 更新

9回目

2021/03 訪問

  • 夜の点数:4.9

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

春の走りと冬の名残が行き交い心揺れる星野料理

■2021.3.13(土)夕餉

■お料理 お任せ 時価
お酒税サ時雨煮のお土産含む
お会計¥46,900

■ご予約 半年前に電話予約

本年はコロナ禍の影響もあり
キャンセルした方への振り替えにて
年内予約は既に終了してしまいました。
う〜、残念。
一方朗報です。
嬉しいことに
星野さんの一番弟子 礒田さんが
2021.4.15 人形町五十番ビルにて
独立されますので
お伺いの予定です。
今後のご活躍を祈るばかりです。

①若竹汁

春筍 山城
生和布 鳴門

春の出会いものですね。
未だ3月ですから
流石に白子筍は難しいですが
京都の山城からの早筍の良いものが
手に入ったとのことで
嬉しい春の香りが漂う温かい若竹汁からの
スタートです。

この優しく心に染んで来る様な
とても繊細なお出汁です。
澄み切った若竹汁からは
生ワカメの新鮮な繊維質のシャキシャキ感と
筍の甘く芳しい匂ひが鼻腔を
心地良く刺激して来ます。
そして可愛く浮かんでる小さな木の芽が
ほんのりと気高く香って
後から追いかけて来ました。

何でこう言う事が出来るんだろうと
不思議に思えてしまうほどの繊細な
汁椀にうっとりしてしまいました。

②雛寿司

酢飯
冬子椎茸
高野豆腐
焼き穴子
車海老
錦糸卵
木の芽

酢飯は一度お出汁で炊き上げたものを
酢飯にして切り立ての所に具材を散らして
散らし鮨風に施して錦糸卵を敷き詰めてます。

この小さな可愛い器の中に
味覚の精が宿ってるのではと思えるほど
極自然なカタチで具材たちの味が
素直に伝わって来ます。
そのエレメントたちが上手に手を繋ぎ合い
自分たちの味を引き出し合って
雛鮨を盛り上げています。
大人しい味なのに何故か舌には
適度な余韻を残して行って貰える施し方が
堪らなく好きです。

③河豚の白子焼き

今シーズン見納めの白子さんですね。
河豚の白子の皮目をお手元の先端で
突きます、ぷよっと白子さんがお返し
更に強くプチッと突くと
プクぅ〜ッと怒り気味に反発して来るのです。
中の白子の白身が熱々です。
スプーンで一口味わいます。
んん〜、唸る味覚が舌にドクドクと
流れ込んで来ちゃいますね〜。
このトロトロに蕩ける触感が
あぁ、快感を呼び込んで来て
堪りません。
更には分厚目の皮目を強く押して割きますと
皮の厚みをペタッと感じながら
とても心地よい食感に囲まれて
トロトロドロ〜っと白子の身が
ねっとり溢れ出して来てうっとり。
その半生のプルプルな白身をといっしょに
皮を舐めてると淡く塩加減が舌を覆います。
滋味深い塩加減の施しが
皮目の面積に応じて塩味が淡く広がります。
その塩味と対照的に白子のプルプルさんが
その独特な濃厚ね甘味で
口内を蹂躙して来て興奮を呼び起こしました。

④河豚の煮凝り

河豚のゼラチン
河豚の身皮
とうとうみ

プリプリ感とぷよぷよ感の清々しさに
身皮やとうとうみの身質とのコントラスト
口どけ感が自然に蕩ける口当たり
そして
河豚のコラーゲンたっぷりなうま味が
混沌として煮凝りから浮き出て来ます。

お出汁に河豚の皮を入れて煮出して
お醤油を加えただけのもの
河豚のゼラチン質が勝手に
作ってくれるそうです。
此処でも河豚の凄さに脱帽してしまいます。

ゼラチン質のぷよぷよ感が堪らないし
食感と同時進行する旨味は
ぷよぷよ感がお口に溶け込む中で
旨味が溶け出て来る
ホントに絶妙な味付けのコラーゲンの
施し様に舌がぷるぷる震えちゃいました。

⑤河豚の炭火焼

河豚の白身3枚を囲炉裏の熾火で網焼きです。

煮切りをお酒で割った割醤油で
浸した河豚の身を一枚ずつ
炙ってお一人様ずつ炙り立てを頂きます。
網で焼かれ始めた瞬間から
磯部焼きを少し焦がした様な魅惑の香りが
此処まで届いて来ます。
少し炙って直ぐに手前に運ばれて
其の儘間髪置かずに熱々の焼き河豚を
お口にパクリと食べるのが
めちゃくちゃ旨旨なので有ります。
むふ、ムハッと唸って仕舞う美味しさです。
3枚頂くのですが
火入れを調整して半生気味に仕上げるものから
プリプリに肉の旨味を
凝縮させた火入れを施すもの迄
河豚の表情を変えて用意頂き
河豚の肉質の食感の変化と
旨味の凝縮度合いの変化を
楽しんで頂く焼き河豚料理を堪能しました。
特に3枚目は身も大きく強く火を入れて
お肉が網の上で生きてる様に蠢いて
河豚の肉質が躍動感に溢れる肉感豊かな珍味を
味わさせて頂きました。

⑥焼きウグイス

一尾に一箇所しか取れない稀少部位のウグイスや
少量しか取れないカエルを
焼物にてのご用意です。
煮切り醤油を少し浸して焼いたウグイスは
河豚の身の中でも
ギュッとお肉が引き締まっていて
河豚のダイナミックな旨味の片鱗を見せて
噛めば噛むほど美味しさがお口に
充満していきます。
肉片を齧るとジュッと浮き出てくる脂と
お肉に漬けられたお醤油味とが溶け合って
プワァ〜ッと醬油風味が香る極上の旨味を
引き出してます。
肉片を食べ切った後も
骨をしゃぶり続けていたい誘惑に駆られて
この骨を再度焼いてお酒にボチャンすると
美味しいそうです。
卑しくも食べ終わってからも
チュ〜チュ〜ッと骨を吸い続けてしまいました。

⑦根芋吉野煮

根芋
生姜
葛餡

里芋の茎みたいな味気ない食材を加工して
こう言う美味しい料理にしてしまう所が
星野料理の真髄なのかなと感じる一品。

此のお料理はお出汁との向き合い方で
どう言う色に根芋が染まるのか
或いは染めるのがで
京味系のお店の中でも味覚の違いが
一目瞭然にでてしまいますね。
吉野煮自体がとてもお優しい味わいを
引き出してて
ホント人の琴線に染み入る優しい味覚を
作り出してると感じます。
食べるとホッと落ち着いて来ます。

⑧揚げ白河

愛媛県八幡浜の白河
鱗が見事に屹立してパリッパリ
鱗は間引いてるそうです。
そのまんま焼いてしまいめすと
ゴワゴワしてしまうそうです。
骨抜きで間引いてやるとカラッと鱗が揚がり
鱗の立ち方がいい感じに仕上がり
穏やかに立ちあがると同時に
カリカリ食感が優しい鱗に焼き上がる様です。
白身のしっとり感と合わせてのコントラストが
絶妙な旨さで絶品の鱗揚げとなり
これこそヤバヤバに美味を極めるものと
なります。

⑨天麩羅

鱈の目
蕗の薹

もう直ぐ春ですね〜、と歌いたくなる様な
何時も感じますのが
揚げ衣の優しさ繊細さです。
粉質感が素敵に漂う衣で
小麦粉の細やかさにも驚くし
衣のサクッとした食感も素敵です。

蕗の薹の天麩羅をサクッと齧ると
薄く纏った揚げ衣の中に閉じ込められた
ほろ苦さがフワンと囁きかけて来て
春の香りを口内に撒き散らします。
蕗の薹をmogmogしていますと
更に蕗の苦みが甘い色合いに変わって行く

蕗の薹も鱈の目の天麩羅も
繊維質がシャキッとしてて
微塵も破壊されてない感じの仕上がり様が
素材の美味しさを引き出しつつ
天麩羅の醍醐味も味わえる御料理になってます。

⑪お造り

山口の赤貝
山葵

殻から外してお掃除し終わったと同時に
塩を当ててキュッと〆てるそうです。
もうね、赤貝の生きの良さ
ピンピンに肉質が引き締まってて
身質の潔さに舌が惚れ込んでしまうわ
歯が喜んでしまって舞い上がってしまいそうな
食感の心地よさに感動してしまいました。

⑫お造り

明石の鯛
山葵

鯛のお造りは
鯛の身質が流石に
明石の激流に鍛えられてるだけあって
筋肉がしなやかに舌を撫でる柔らかさ
優しい弾力感が有りふわんと反発してくるし
その弾力感が歯に伝わる時の快感が堪らなく
食感の秀逸さに感動してしまいます。
そして噛んだ時に淡白な肉質から滲み出る甘味は
山葵が負けてしまうほどのもので
鯛の無垢な美味しさに舌が惚れ込んで
しまいます。

⑬お椀

蛤真薯 鹿島
鶯菜
柚子

ひな祭りなので貝合わせと言う思いも込めて
蛤の真薯です。
最初に吸い地を嗜んで澄んだ味わいを楽しみつつ
蛤にお箸を入れるに従い真薯でお出しの表情がどんどん変わり白濁して行くのもまた、楽しくなり
面白いように貝の旨味が浮き上がって来ます。

すり身に蛤のお出汁で溶いて葛だけで
纏めた真薯は食感が優しくとてもぷよぷよ
何処までも柔らかな身質が際立つ真薯で
良くお汁に溶けてしまわないもんだと
不思議に思ってしまいます。
故に真薯の解け方も優しくて
吸い地に緩やかに溶け込んでいき
うま味のグラデーションが徐々に深まって
舌を飽きさせないものとなります。
穏やかにうま味を忍ばせて
フワリフワリと浮き沈みしながら
蛤がぴょこんと顔を出して可愛い味わい。
真薯がフンワフワッとしてて
蛤と喧嘩せずに上手に真薯と混じり合い
お椀全体のうま味を深めていきます。
されど
真薯の優しい旨味が吸い地をどんどん昇華させてしまうので先に飲み干してしまいたくなり
蛤がポツンと寂しくお椀の中に独りぼっち
になりそうで、可哀想なので
飲み干す前にパクリしちゃいました。
そしたらプックリ感が意外と躍動的で
元気な蛤さんに出逢えて楽しくなりました。

⑭焼物

江戸前の太刀魚
はじかみ
酢橘
花山葵

なんか太刀魚の焼物の常識を
ひっくり返された様な
トロンと蕩けてしまう太刀魚です。
普段はもう少し肉質がボソッとして
歯に当たって歯触り感を楽しみますが
此の太刀魚の
全く歯を擦り抜けてそのまま舌にトロ〜ッと
蕩けてしまう
まるで鮪の中トロみたいです。
脂質が潤沢に滴り落ちて来る太刀魚で
喉黒に匹敵するかも知れない
なのですんごい甘くて美味いのです。
その脂質分が旺盛に感じられて
全般的に河豚も白河もカラッとしていたので
此処で緩急を付けての脂の乗りを楽しめて
嬉しい太刀魚の塩焼きでした。

⑮5種盛り


飯蛸
菜の花



全て個別に異なるお出汁で炊いてます。
一品ずつ個別の鍋でグツグツと炊いて
それぞれの個性を尊重して味付けを施し
5種の味わいが重なり合う美味しさを
盛り合わせて
奥ゆかしく演じられてます。

特に筍が素晴らしくて
厚みも面積も大きく広がる筍を
盛り付けて頂き
木の芽の香りと筍の独特な芳しい匂ひに
まず、囁かれてうっとりとし
その匂ひに誘惑されつつ
筍の繊維質の歯応えを感じながら
甘味が満遍なく口腔内に充満していきます。
かと思うと蕨の甘味が後追いして来て
優しく舌を包み込んでくるし
蕗が甘味を抑える様にほろ苦さを纏いながら
シャキッとした繊維感をお届けです。
誠に春めく香りと味覚のハーモニーを
舌が穏やかなる心持ちで受け入れてました。

⑯お食事

感動の白米さんとそのお供たち
牛の時雨煮
縮緬雑魚
香の物
赤出汁

ご飯の上にお供の雑魚も時雨煮も香の物も
ぜんぶ乗せして一膳目を頂くのが好みです。
ホクホク艶々の白米と雑魚を
お口一杯に頬張って
実山椒をピリッと感じつつ
絶品時雨煮の甘美な味わいに包まれた
ふわふわご飯をお口の中に放り込んで
その芳醇なる時雨煮の甘味をご飯と一緒に
mogmogして極上の
ご飯の乳化を満喫します。
この少し辛くて喉に渇きを覚える
耽美な甘さ加減に煮詰まった時雨には
もう、麻薬の様に忍び込んで来て
舌を離しません。
何時もこの時雨煮の美味さには
舌が麻痺してしまいます。

⑰卵掛けご飯

二膳目はシンプルに生卵をいただいて
卵かけご飯です。
お醤油を少し滴らせて卵をご飯に掻き混ぜて
ジュルジュル〜ッと頂いてお腹を満たします。
ん、此のご飯時の流れも好みに合ってて
至福のご飯タイムとなります。

⑱甘味

蕨餅
煎茶

黄粉が美味しい星野さんの蕨餅は
お土産に持って帰りたいです。

2021/05/01 更新

8回目

2021/01 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

新春の星野料理は引き算の美学が佇んでいた

■2021.1.8(金)夕餉

■新春の星野料理
お酒税サ牛時雨のお土産含む
お会計¥48,200

新春早々緊急事態宣言を受けて
本日が年明け初日の星野さん
1月は本日と明日のみフル営業
来週から当面時短営業なので
とても幸運な
巡り合わせに感謝してしまいます。

■新春の星野料理は引き算の美学が佇んでいた

■慈の味わいで心癒されるお料理

■新春の美味しい事始め

①白味噌のお雑煮

山利の京白味噌
鰹節
富田林 海老芋
輪切り人参

お餅があんまァくて
とろ〜りしてて
端先でつまんだらビヨ〜んと伸びて
お口の中ではモチモチ感が膨らんで来るし
クチャクチャと噛んだり舐めたりする度に
お餅の中に歯が吸い寄せられたり
もっちり肌に包まれたりで
とぉっても気持ち良い食感が訪れ続けます。
そのスンバラしぃねっとり感に山利の
トロトロの白味噌が絡んで来ます。

品の良いうっすらした甘さ
とてもコクと旨味を感じる白味噌なの
その上での
円やかかつ滑らかさには感動を覚えます。
優しい甘味とまるでお豆のポタージュのような
滑らかな旨味が広がりお餅をも包み込んでしまい
お口の中では口溶けて行きます。
更に白味噌汁の奥深くから海老芋が
顔を覗かせてます。
この時期の富田林!
大好きなんですよ〜。
然も星野さんはど真ん中をくり抜いて
出してくれるので
飛んでもなくしっとり感が充満してる
海老芋さんなのです。
お芋の繊維質が微塵も感じず
只々海老芋の甘味と粘性により
ピュアな旨味が際立ちます。
もうこんなお雑煮なら毎日お正月にして欲しい
堪らないですね〜。

②おせち前菜

祝い鶴のお皿に盛り付けて貰って
新年のお節気分に浸りながら
至福の酒肴に舌鼓

明石の鯛 昆布締め
菜の花昆布締め
黒豆
唐墨
たたき牛蒡胡麻和え

お正月の珠玉が雅に散りばめられた前菜に
目がほくそ笑んでます。
飛切りの燗酒でチビチビやるも良し
グビッと呑んで酔いに舌を委ねるも良し
ほろ酔い気分がどんどん進んでしまいます。

8時間コトコト煮詰めた黒豆の艶やかな事
半端ないツルンツルンの円やか味
豆質感が豊満に伝わって来ます。
甘味もお淑やかな大人の黒豆です。

菜の花はサラッと湯掻いて昆布で締めてあり
お出汁に浸してます。
繊維質の芯が残りシャキシャキした食感と
しっとりしなやかな菊菜の食感が同居する
少し咀嚼して
昆布締めのうま味を帯びた菜の花の狭間から
滲み出て来る味わいに舌が喜んでます。
そして半生の唐墨
純度と言うのか鮮度と言うのか
血管の混じり気が微塵も無い唐墨
粒々が鮮やかに映える橙色
血の気を完璧なまでに消していて
ボラの卵の血抜きが完璧に施されてる
此奴は一気に片付けてしまう勇気もなく
小皿をご用意頂き
チビチビとお酒にお付き合い頂きました。

黒胡麻で和えた牛蒡がめちゃウンマかった。
擂りたてのゴマじゃないと此れだけの甘味が
出ないそうです。
何でも大阪のアダチ食品の胡麻を
使ってるそうです。

辛いもん
甘いもん
旨いもん
彩り鮮やかな前菜たちに拍手を
送りたくなります。
どれもこれもが丁寧なお仕事
心に染み入るお味でお酒が自然に
進んでしまいます。

③河豚の焼き白子

白子
酢橘

ぷっくりふくらんでる焼き白子さんが二つ
お皿の上でプルプルと揺れております。
此れは魔薬です。

最初、お箸でプツンと薄皮を割って
頂こうかなと思ってましたら
皮が分厚いのに気付いて
最初、厚手の白子の皮をクニュッとひん剥いて
皮だけを食べてみると
ペロンと舌に吸い付いて少し白子さんの
トロトロの白身がへばりついてて
甘味と皮の食感がしっとりとしてて
めちゃくちゃ美味しいです。
此れはヤバいお味でお酒が
グイグイ入ってしまいます。
次に
一口で皮も白身もご一緒にパクリと食べると
白子の分厚い皮と中のぷよぷよしてる白身の
独特な甘味とが一気に爆発して
焼き白子の醍醐味を堪能できます。

このサイズ感とお口に含んだ時の熱々感と
お口の中でブチンと皮が裂けて
トロトロとろ〜んと蕩けて身が溢れて来る
ぷよぷよの白身が激うまうまで
その官能的な珍味に舌はメロメロとなり
舌は恍惚状態となってしまい
ほっぺが落ちるよ〜と叫びたくなりました。
そしてそのぷよぷよと揺らめく白子が
お口の中を充満させるに連れて
白子に振り塩して施された塩味が
また淡く寄せて来て白子の甘味をくっきりと
浮かび上がらせるのですよ。
この塩気の塩梅がメチャめちゃ絶妙で
白子の底味が奥ゆかしくもジ〜ンわりと
浮き上がって来て堪んないのです。
熱々の白子さんがゆっくりとお口の中で溶けて
その甘味が揺れながら消えていく時に
忍び寄って来る淡い塩味は
ホントに堪りませんね。
お酒進むわけだ。

④茹で蟹

浜坂のかに吉さんから送られて
星野さんで塩茹でしたばかりのもの

ただ只シンプルに蟹を一匹ずつ湯掻いて
カウンターに饗される直前に蒸すのみ
松葉蟹と真摯に向き合って
蟹の素朴な甘味を極限まで引き出しています。
お水の温度感覚だけで施される蟹料理は
まさに引き算の美学かと言えると思います。

脚の真ん中には一本綺麗に飾りが入り
お箸で一直線に掬うと
身がいっぱい詰まった脚からは
スルスルスゥ〜っと殻から蟹の身が抜けていく
気持ちいいくらい抵抗感が無いの

純白のほぐし身を一気に贅沢に其の儘
蟹酢には目もくれずに
お口に放り込んじゃう

松葉蟹の甘味が素直に浮上して来ます。
全く無垢な旨味と蟹の純粋さを引き出してて
すんごく甘いし品格伴う甘さなの
憂いを含んだ甘味
うま味が漂う甘味とでも言えば
良いのでしょうか
とてもピュアな甘味に舌が歓喜しちゃいますよ
mogmog、mogmogと顎を動かして
舌をほぐし身の甘味を一所懸命に拾います。
んん、甘くてうまぁ〜い。
この甘味と飛切りの燗酒がまた見事にマッチング
しちゃうんですよね〜。
ムフフでござりまするな。

ホントに蟹の美しい味覚を引き出してる
星野流の蟹料理に脱帽です。

⑤蟹味噌和え

蟹味噌
ほぐし身
酢を少し纏わせて

濃緑色の味噌がとても綺麗に雅に佇んで
其処に有る
其の有り様にうっとり惹かれてしまうのである
そして蟹味噌には酸味が淡く纏い
甘酸っぱさが蟹味噌に浮き出ている

その蟹味噌をそっとお箸で摘んで少し頂く
舌の上にチョンと置いてやる
舌をゆるりと動かし蟹味噌を舐めてやる
ふんわり蟹味噌が溶け出す
蟹味噌のあのほろ苦さの入り混じった甘味が
甘酸っぱく変化してほんのりと爽やかさ伴う
蟹味噌の珍味が舌を通り抜けて行く
ふぅ〜!甘くてちょっと酸っぱい珍味が
やんわり蕩けて行くのがメチャメチャ美味しい。

蟹味噌の珍味を堪能した後は
ほぐし身との蟹味噌和えが
ほぐし身の甘味に味噌の旨味がヒタヒタと
寄せて来てコクを感じる蟹味噌和えの旨味が
お口の中で拡散します。

蟹の解し身も蟹味噌もとっても穏やかな
円やかさが伴う優しい味覚の広がり
此奴は舌がウフフと言って微笑んじやいますね。

⑥吉野煮

冬の星野料理名作シリーズから

根芋の吉野煮です。
此れがないと舌が寂しくなる名品
此れだけは何時来ても出会いたいと思う逸品

いつも通り根芋と吉野葛の相性と生姜の
刺激がお口の中で舞い踊る妙味が冴えて
吉野葛と根芋と生姜のアンサンブルが奏でます。
一口頂くとトロリと葛が舌を撫でる
ねっとり感
ほっこり感
そして何となく安堵感が寄って来る
舌がまったりしてる所に
静寂を破る様に生姜のピリリッととした刺激が
走り抜ける
この爽快感と生姜の走った吉野煮の妙味が
途轍もなく根芋の美味しさを膨らませて来る
シンプルな素材の根芋を吉野葛と一緒に
炊いただけなのに
甘味と言い
瀞みと言い
辛味と言い
味覚のハーモニーが完全に同調律を一致させる
この完成度の高さに舌がやられちまうのですね。
地中に埋まっている単一素材の料理としては
当代随一かと思うのです。

そしてご一緒頂く飛切りの御燗が
この吉野煮と誠に合うのですよ。
んん、参っちゃいますよね〜。
穏やかな愉悦が舞い降りて来て嬉しい〜。

⑦白魚の天麩羅

宍道湖の白魚

揚げたての天麩羅に振り塩をサラサラと
星野さんの指から優しく注がれる

サイズ感半端無く大きいです。
白魚とは思えない食べ応え感
衣の軽やかさがフワリと舞う
サクサク進む歯触りが軽快に食欲を唆り
サラサラな衣の食感の軽妙さが堪らない

この衣の軽やかさは
お水と小麦粉の溶き加減で違って来るもの
後は油の量と温度に依るとのご本人のお言葉
この組み合わせが芸術的な領域に
達してるのでしょうね。

白魚同士が複雑な模様を見せて絡み合い
掻き揚げの衣に振られた塩味の淡さが絶妙過ぎる
サクサクの衣から底味がジワジワと浮き上がり
淡い鹹味を極めているのではと舌が悶絶
衣を過ぎて白身に歯が触れる
白魚がソフトに舌にタッチすると
白魚が歯をフッと招き入れて
白魚の淡白な甘味を舌に振り撒く
とっても身がフカフカしてるのよ
其のフカフカの白魚が集合体の掻き揚げ
食感の心地よさも長続きするし
白魚の香りと甘味も芳醇にお口の中に入って来て白魚の味覚を満喫させてくれます。

このシンプルな揚物の素材を
極上の旨味の高みへ持って行く
天麩羅の仕上げレベルの高さに
感銘してしまいます。

⑧お造り

氷見のメジマグロ
おろし
山葵

この時期の鮪の子供へ元気で
艶々な美肌はキラキラ輝いて
脂の乗りも良くて滋養豊富な
旨味を蓄えてる身質なのです。

2切れがじっと此方を見ています。
一枚は其の儘艶かしい舌触りのままに頂きます。
もう一枚は皮目炙ってタタキ的に仕上げてます。

元々小さな鮪ですから
身質に含まれてる脂成分も薄く、
大人の鮪とは異なりサラリとした脂質です。
身は瑞々しくもっちりしてて
優しく舌を包み込む味わいという感じです。

そのメジマグロにおろし醤油を薬味に
持って来るなんて
結構斬新な味覚の施し方かと思うのです。
軽めの脂質にサッパリ系のおろしが
ほんのりと苦味を加えてスッキリ感を赤身に
施してとても素敵なハーモニーを奏でます。
而も
筋が優しくてとっても柔らかくて円やか
脂質分のサラリとした舌触りが
しっくりとして自然に舌が迎え入れます。
でもマグロの旨味はたっぷり溢れかえって来る
素敵なマグロちゃんなのでした。

⑨お造り

京味さんから譲り受けた清水焼の器に
盛り付けも美しい明石の鯛のお造り

明石の鯛
目甘草
山葵

星野さんの定番のお造り
何時もとくるくる巻いたやつを
二枚重ねにして器に落ち着かせる盛り付け

この時期の明石は流れが強いので
鯛の身質をキュッと引き締めて
しなやかさが際立つもの
筋肉質がピチピチvividに生々しく感じられ
咀嚼するとクリアに弾む様を身質から感じ取れて
その食感たち全てが鯛の淡白な旨味に繋がって
味わいを深めて行きます。
この鯛の2切れは貴重品。
そして
この白身が分厚く旨味が出て来てる所に
チョツト山葵の刺激を包み込んで
白身でくるくると巻いて頂いちゃう。
んん〜、此れは流石に上質な鯛にて
山葵をも上手に抱きこんで
鯛の甘味をくっきりと浮かばせて来る
このまま暫く
何度も咀嚼し続けていたい気分になる。
明石の鯛の鮮度の良さに舌が喜んじゃって
飛切りをクイッと煽ってしまいますね。

⑩薄氷椀

淀大根
半生の車海老
芽蕪
柚子

淀大根を薄氷に見立てて仕立ててます。
お椀に浮かんでる姿が透き通ってます。
半生の車海老にお椀の湯温で火が入る
徐に半生から自然に茹で上がって行く
車海老の顔色がほんのりと赤く染まる
身質がプヨプヨからプリプリに締まる
流石なのです、この仕掛け。
お椀なのにこう言う素敵な趣向を頂く
だからこそ生まれて来る極上のうま味

鰹と昆布も奥深く忍ばせてる感じで漂う

其れ等全てのエレメントがお椀全体を
盛り立てて至福のうま味を作り出している
何と言うバランスの良さ
味わいの純朴さ
素直に素材の持ち味を雑味なく引き出すお料理

⑪焼物

白甘鯛
はじかみ
酢橘

昨年と違って赤甘鯛では無く
超高級魚の白甘鯛に変えてみたとの事
星野さんお初の白ですよ。
松笠風に鱗焼きがパリパリで
狐色に輝く鱗が見事な美しさ
焼かれた鱗が普通の皮の様に
平坦な形で整えられています

まずその片鱗を一口パリンと齧ってみます。
美味しィ〜。
皮が絶品な旨さに舌が感極まるですよ。
鱗のサックサク感が堪らず鱗の中に歯が
疼いて埋められたくなる
其の儘白身の深みに入り込んでいくと
ホクホクな身から滲み出る
淡い塩味がほんのりと舌を抱き込み
その底味がじわりと忍び寄り
白甘鯛の淡白な甘味の中に舌が
どんどん沈んで行く。
此奴は堪らん。
このままじっとして
暫しこの陶酔感に浸って居たい。

もう此れは芸術の領域か
鱗のパリサク感と身質の淡さと
ホロリと解けて舌を撫でて行く
そのマッチングが素晴らし過ぎて
何度も味わいたくなる誘惑に駆られる
私はこの一品に
鱗の美学と匠の火入れが織りなす工芸的な
美味しさを見出している。

⑫炊き合わせ

淀大根
京菊菜
白甘鯛の中骨で取ったお出汁
黒七味

お大根をコトコト炊いて
その大根から滲み出るエキスのみで
満ちる甘味で自身を浸す
甘味が綺麗なまでに澄んでて
大根がホロリと解けて滲み出す甘味
散らされた黒七味の刺激がピリッと甘味を
お大根の甘味を引き締める
お出汁に浸された菊菜が意外にも
シャキッとした繊維感を保ち
歯触りが心地よく響く

お口の中で解けて崩れる大根が
淡く舌に寄せて来て
滋味深いお出汁のうま味が広がる
こう言う味わいは舌の琴線に触れて来て
ジ〜ンと来ちゃいますね。

⑬鴨饅頭

山葵

銀餡

鴨肉がお饅頭の中にドンと射込まれて
いっぱい詰まってる
おかきの衣揚げの食感が抜群に良い感じです。

瀞みが円やかな銀餡を施して
天に山葵を盛り付け

銀餡をスプーンで掬って舐めます。
餡の瀞みが絶妙で穏やかな事
ほんのりと醤油味を泳がせていて
凄く奥ゆかしい味わいに舌が溺れそう

トロ〜ンとした銀餡の中に浮かぶ鴨饅頭を
やおらお箸で突いて崩してやる
中から鴨肉のそぼろがホロホロと溢れて来る
一口摘んで鴨肉を咀嚼
鴨肉はダイナミックな旨味を発揮し
お口の中で暴れて意外にも
大人しくない肉肉しい鴨肉の野性味を
感じる美味さに踊らされました。

そして
山葵の刺激が鴨饅頭の甘味をグッと
押し上げて来て
この妙味たちの連打に完全に
やられちゃいました。

⑭お食事

ご飯
牛の時雨煮
雑魚
赤出汁
香の物

ご飯の上に雑魚も時雨煮もたっぷりお乗せして
一口目はホクホク艶々の白米と雑魚を
お口一杯に頬張って
実山椒をピリッと感じつつ
ご飯が乳化する甘味を対比しながら
ご飯の美味を満喫

二口目は甘味にコクのでてる絶品時雨煮で
ふわふわご飯を掻き込んで時雨煮の旨味が
米粒までお口の中で浸透してご飯と一緒に
その旨味が溶けて無くなって行き
チョット儚い美味を満喫

いつも乍ら嬉しい至福を頂けるご飯です。

⑮甘味

蕨餅
星野さんの蕨粉はホント艶々な感じで
練りたてのものを頂けるので
モチモチ感が優しいの
その上黄粉の甘さがピッタリ蕨餅に寄り添ってて
ホント美味しいのです。

⑯お土産

牛の時雨煮をお持たせ頂きました。
此れおうちご飯で食べると
味が濃厚に染み渡って
甘辛加減が忘れられなくなるくらいに
舌が渇望してしまうのです。
白米と仲良く握手してくれるし
お茶漬けにしてサラサラと掻き込んでも
絶品な美味しさ。
星野さんの味覚の片鱗をお家で食する口福感は
何にも変え難いと感じます。


2021/02/08 更新

7回目

2020/09 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

食材のポテンシャルを何処までも尊重して旨味を引き出す美味しさは舌を震わせる

◆2020.09.01(火)夕餉

◆お料理 お任せ
お酒消費税含むお会計¥43,000

①先付

渡蟹
オクラ
真菰茸
お出汁のジュレ

まだ外気は少し暑い
なので9月に入りましたが
涼しいものからのスタートで
舌にさり気なく清涼感をお届けする
星野さんの一品
毛蟹の甘味に加わるジュレの
涼やかな酸味に
真菰茸と言うコリッとしてるのに
繊維質が優しい食感の狭間で
舌が涼しさを満喫する
この食材同士の合わせ方に
何時も感嘆してしまう
こう言うものは天性の才覚なのだろうなぁと
思いつつ満足する一品に惚れてしまう

②青鰻の飯蒸し

岡山の青鰻を餅米と合わせて

餅米と鰻の火入れは神焼きとでも言うレベル
青鰻そのものも品格のある鰻
汽水域にのみ生息する青鰻
幻の鰻を頂ける栄誉に感謝しかありません
青鰻で飯蒸しなんて
そう簡単には巡り合えないお品書きです
青鰻の持つ独特の旨味が
その膨らみ豊かな白身から浮き上がる
パリンと皮の焦げ目が弾ける
歯にサクッと絡む
食感の気持ちよさも半端ない
地焼の火入れ加減も神技
パリンからフワリと白身が舌に落ちる
その瞬間に舌も恋に落ちる

◉天領

③小椀


菊花
酢橘

9/9の重陽の節句に因んで
菊花を散らした温かいお料理
鱚の葛打ちに菊が美しい色合い
鱚がクルクルッと巻かれてて
一口で食べ易い形に纏められてます。
凄いと感じたのは
鱚の白身に全く小骨が感じられなく
ツルンツルンな肌触りで
舌が鱚を舐めるとそのままスルリと
滑らかぁ〜に舌の上を滑って行く

骨抜きをされてるとは言っても
鱚の小骨がこれ程皆無な状態に
仕上がるものなのか不思議だ
葛の瀞みが手伝ってる所為もあるかしら

兎に角
ツルンと鱚をお口の中で転がすと
クルクルと回転して舌が面白そうに
鱚と遊んじゃう
其処を止めて咀嚼すると白身が
葛で纏われてる故か
とても和やかな甘味が鱚のフワフワな白身を
覆い尽くして妙味がハッキリ浮き上がります。
鱚ってこんなに美味しかったのかを
再認識させられた逸品。

④雲丹茄子

長崎の赤雲丹と焼き茄子のマリアージュ
至福の味覚
信じられないほど美味しい

見た目は雲丹の軍艦みたいに見えますが
この食材たちの雅な味覚の舞に
酔ってしまいます。

何と言っても揚げて焼いた茄子の
香ばしさに加えて
雲丹の甘味が飛び込んで来るこの味覚の
マリアージュに衝撃を覚える
茄子に油が入ってるからこその生き生きしてる
繊維質の食感が雲丹の冷感と茄子の温感との
落差から旨味を昇華させてる

この化学的な調理の組み合わせの素晴らしさは
喩えようがないほど美味しい
センスが冴える一品の奥に潜むお料理の科学が
自然に星野料理にはinputされてるんでしょうね。

⑤芋茎吉野煮

京味系定番
星野さんの吉野煮は静寂にほっこり佇む味覚
郡司さんの吉野煮は穏やかに和む味覚
井上さんの吉野煮は楽しく癒される味覚
の様に少しずつ持ち味が違う様に
感じられます。
あくまでも個人的な感覚です。
この名作を継いでくれる職人さんが
居ることに感謝しなくてはならないと
思います。

芋茎も9月まででしょうか
10月からは根芋の吉野煮に
その途中で一瞬、品切れの時もあるようで
その際は何か考えるとの事らしいです。
その何かをレアチャンスですが
食べてみたい物です。
ひょっとしたら新作の吉野煮が
いつの日か巡り合えるかも知れないと
感じつつ
この生姜の刺激と葛のほっこりさに
舌が喜んでうっとりしちゃいます。

⑥鰹の叩き

気仙沼の鰹
茗荷
刻み葱

炭火でサラリと外周を焼いてるだけ
その赤身の中からは
油がほんのりと浮き出てる感じで
しなやかに身質をくねらせて美味しい
その赤身がとてもしっとりとした
膨よかさを感じる身質を引き出していて
その鉄分がいっぱいに含まれた感のある
赤身からは酸味豊かに妙味が広がる
この一切れで天領がクイッと進んじゃう。

⑦揚げ物

鮑の天麩羅
酢橘

鮑はおろし立てをそのまま薄衣を付けて
揚げてます。
何時も感じるのは星野さんの揚物料理の
衣の優しさと肉質とのバランスに富んだ火入れ

薄く塗された衣に触れるとフワッとした
歯触り感に参ってしまう
其の儘噛み進むと
鮑の肉厚、一口のサイズ、肉の幅、肉の高さ等
そのバランスの良さから
鮑をお口に入れた時に最大の旨味が浮き上がる様にカットされた大きさであり
その一切れ一切れが完成された鮑の珍味を
導き出している解なのです。
ん〜、ホント悩増される味覚に
降参してしまいます。
此れはまつもと君をグビッと
お付き合いさせちゃいましょう。

◉まつもと ultra

⑧お造り

明石の鯛
花胡瓜
山葵
醤油

酢橘

明石の鯛の切り身が整列
奥が背中の部位
手前が腹身の部位

夏らしい装いに黄色が鮮やかな花胡瓜が
眩しく輝いてます。

弾力感が溢れて噛み心地抜群の
切り身を咀嚼してますと
背の方が気持ちサッパリ系で
お塩がピタリとハマります。

腹の方はしなやかさが前面に出て膨よかな
肉質でやや濃厚に脂が乗ってる感じで
酢橘を垂らして山葵醤油が鯛の肉質の
旨味を引き出します。

何方も甲乙つけ難い一品ですが
この両方を一皿で頂けるのが嬉しい

⑨小鍋


冬瓜
七味屋山椒

グツグツと煮立ち沸騰中の鼈鍋が
湯気を立ち込めながら手前に置かれます。
その湯煙から旨味際立つ良い香りが
顔の辺りをプ〜ンと芳しく彷徨って
鼻腔を刺激し
旨味たっぷりに薫る匂ひで嗅覚を喜ばして
食欲を俄然誘って来ます。

鼈の身がたんまり食い応え有りの
食いちぎる感じてかぶり付くと
鼈がホロリとこぼれ落ちて柔らか味がまた良い
旨味たっぷりな味覚が途端に広がる
身を平らげなからお出汁を啜る
山椒が品が良くて
鼈の甘味をキリッと引き締めてくる
この山椒が鼈の珍味を引き立てて
舌が舞い上がりそう
そして磯自慢を舐める
その後にこの鼈スープのうま味を合わせる
んん、お口の中でうま味とお酒の
甘味が蕩け合う〜。
此奴は以外とダイナミックな味覚の
マリアージュに舌が歓喜してしまいます。
このスープだけでかなりチビチビ行けるわ。

冬瓜が美味い!
何気にお鍋に冬瓜が佇んでますが
この冬瓜にも丁寧に鼈のお出汁を
馴染ませていて
たっぷりに鼈のうま味を冬瓜が吸ってて
グチュッと齧るとホロホロにトロンと解けて
鼈のうま味がジュワ〜ンと舌を撫でる
この冬瓜の美味さよ
答えられんわ

この鼈鍋地獄から抜け出せそうになく
何時迄もスプーンで
小鍋に残ったスープを
浚い続けてしまいました。

◉磯自慢 雄町55

⑩鱧の南蛮焼き

焼き鱧
九条葱
焼き枝豆
はじかみ生姜

九条葱を巻き込んで鱧を南蛮焼きに
仕立ててます。
枝豆も茹でた物を良い塩梅で焼いてて
とても香ばしさが舞います。

元来西翁の父 音松氏のお料理だとか
湯引きでもなく
焼き霜でもなく
お造りでもなく
椀種でさえない

斯様な鱧料理のカタチに出逢えるとは
喜びも一入です。

南蛮焼きの鱧は甘辛控えめに
火入れ加減宜しく
しっとりとしてふっくらした身質に仕上がって
牡丹開く花弁の中には
九条葱が芳ばしく薫る

咀嚼と言う概念を覆す様に
噛んだ食感が舌を狂わせる
何?この歯触り感の軽快せにも驚くほど
フワンと鱧が浮かぶ
ジュッと甘味が浮かぶ
葱がシャキッと騒ぐ
其れでいて元気に弾力感もあるのだ
鱧の身はフワッとしてるのに
鰻みたいに皮がパリンなのだ
このコントラスト冴える旨味にも感動する
今日はいい物に出会えたなぁとつくづく
感じます。

⑪炊き合わせ

飛龍頭
絹さや
湯葉
銀杏
木耳

優しい味
じ〜んと来るわ
これ程洗練された味わいは無いかな

飛龍頭の中には銀杏と生の木耳が射込まれて
飛龍頭のお豆腐成分のふっくらとした食感と
穏やかぁ〜な甘味から浮き出る銀杏特有の香りと甘味がとても微笑ましく感じられる
その中にプチンと弾力性持つ木耳が弾いて来て
此れも愉快に味わえて楽しめる炊き合わせ
お隣には湯葉が耽美なるかなと思わせるような
和みの甘味を振り撒いてくれる
甘味同士がお互いを支え合って愉快な味覚を
作り上げて来る処に
絹さやがシャキシャキと絡んで来て
爽やかな食感を残して行く
一品一品が仕事をしっかり果たしつつ
自己主張し過ぎず互いを尊重してるような
味覚を創り出しているのが凄い
ん、ほっぺストンと落ちるわ。

⑫お口直し

小鰭
辛子大根

このタイミングで
小鰭を辛子大根で和えてる一品が
サラリとな流れてくるんですね。
星野流は炊き合わせの後に
こう言う優れものが一品繋ぎに入っちゃう
お口直し的な位置付けかと思いますが
此れがお口をサッパリとさせるだけで無い所が
舌を唸らせることになるわけですよ。

小鰭の脂も少し魚臭いところも
辛子大根が打ち消して
逆に小鰭の肉付きの良い旨味を際立たせて来る
しっかり咀嚼させて口内をサッパリと
爽快感で充足
ご飯前に潔く清廉な気持ちにさせてくれます。

⑬お食事

山形のコシヒカリ
牛時雨
山椒雑魚
香の物
赤出汁
生卵

絶品の白米
舌が歓喜するご飯タイムがやってまいりました
艶々ホクホクの何時もの白ご飯
幸せのご飯に旨味たっぷりの時雨煮を乗せて
更に贅沢に山椒雑魚も全部乗せする
時雨煮の旨味
山椒雑魚の鹹味
白ご飯の甘味
どの一品もご飯にベストマッチする
ベストコンディションで臨んでくれてます。
あぁ、この至福のご飯タイムこそ
星野さんの真骨頂とも言える癒しの味覚が
完成されてくると感じます。
本日のメインイベントはやっぱり
このご飯だ。

美味しくて美味しくて堪らない
お代わりして卵をぶっかけて
チョットお醤油を垂らして
グチョグチョに掻き混ぜて
ズルズルゥ〜ッとお口の中に
一気に掻き込んじゃった。
んん、此れも最高です。
卵の黄身の甘味が濃厚
流石は京都宇治の卵は品が良くて濃厚な
甘味を持ち合わせてる物だと改めて認識
此れでお腹ほ満杯
心も満足満足

⑭甘味

蕨餅
煎茶

定番の黄粉が美味しい蕨餅
この締めの甘味に舌が甘えてしまう
最後までうっとりとさせてくれる充足感が
満ちる至福の和食時間を頂き感謝感謝なので
御座います。

2020/09/23 更新

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