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余裕が至上
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2025/09/08 更新
近代文明の矛盾、国家主義の荒唐無稽さ、論理的思考の野暮さを嘲る「特性のない男」の舞台であるウィーンにConcertgebouworkestがツアーでやってきたということで、私も彼らを追って初めて訪ねた。その理由については、この音楽帝都に居る間、誇り高き地元民に多少誤魔化さなければならなかった。
Großer Saalは鬱陶しいほど眩しく、寺の中で音楽を聴いている感覚だった。光輝の中、弦楽器群の音色は西欧の野花を連想させる。観客たちはオーケストラが観れるように前の列の人の後頭部の隙間を狙って頭をズレることによって、後ろの人もまたズレて調整しなければならないので、一連のrecursive蠕動が発生して止まなかった。
二百年弱の歴史を持つZum weißen RauchfangkehrerではボイルしたMostviertler牛の肩肉に揚げ衣を付けてブイヨンに浸す看板料理がある。その丈夫で穏やかな味は、出汁に使った無形の香味野菜と肉の下に添えてある人参やインゲン豆の支えがなければきっと成り立たないだろう。音のピラミッドと同様に、安定な基盤を失うと頭が重すぎて逆さになって崩れてしまうから。内陸に限って、野菜こそ贅沢だ。
毎晩恒例かどうかは分からないが、店内でピアノの生演奏が行われた。演奏という構造的なものより、空間に音を湛えるという方が的確かも知れない。ピアニストはヌードリング、遊ぶように弾いていて、しかも右手で弾きながら左手で水を飲んだりしていた。なるほど、速いとか遅いとかとは別に、この国において、余裕が至上だ。
(https://sensationdefinednetwork.blogspot.com/2025/08/beef.htmlより)
余談だが、特筆すべきコンサートマスターVesko Eschkenazyのバイオリン弾きは音量こそブラスに敵わないのに何故か存在感は劣らず、どうしても耳を惹く。流石だ。