2回
2022/01 訪問
目黒川と備長炭の香りで紡ぐ、美食の詩」
ごきげんよう、諸君。
先日、目黒川沿いの名店「とり澤 中目黒店」に足を運んだ。目黒川のほとり、春風がそっと耳元を撫でるような場所に佇むこの店は、噂通りの一斉スタート制。夜の20時30分、まるで演奏会の開幕を告げるベルのように、全員が同時に美食の舞台へと誘われる。
主役は何といっても大山鶏。備長炭で丁寧に焼き上げられるその串は、香りだけでもう心を虜にする。炭の香ばしさと鶏肉のジューシーさが絡み合い、一口食べれば舌の上でシンフォニーが奏でられるようだ。特に、「もも肉の塩焼き」は絶品。シンプルながらも、鶏本来の旨みを最大限に引き出したその味わいに、思わず「これはもう詩だ!」と叫びたくなった。
箸休めには大根おろしが登場。これがまた心憎い演出だ。しっかりと水気を切った瑞々しいおろしが、焼き鳥の濃厚さを絶妙にリセットしてくれる。これで次の串に挑む準備は万端だ。胃袋はもちろん、心まで潤されるとは、なんたる贅沢。
そして、この店が真の輝きを放つのは桜の季節だろう。目黒川沿いの桜が夜風に揺れる中、備長炭の香りと桜の花びらが織りなす風景は、まさに春の風物詩。私は春を待ちわびる詩人のように、またこの地を訪れたくて仕方がない。
諸君、もし中目黒に訪れることがあれば、ぜひ「とり澤」に立ち寄ってほしい。そこで味わうのは、単なる食事ではない。目黒川と炭火、そして大山鶏が織りなす、春の物語だ。
「料理は時間と情熱の結晶体。」
さあ、わが書斎で共に美食の物語を紡ごうではないか!
2024/12/23 更新
ごきげんよう、諸君。
春の宵、私は中目黒の川辺にて、花より団子…いや、正確には「花と団子と焼き鳥」という、三位一体の至福に包まれたのである。その舞台は、焼き鳥界の名門「とり澤」。百名店の名をほしいままにしつつも、決して気取らず、気さくな灯りで我ら食通を招き入れる。
目黒川沿い、夜桜がまるで夢のように舞い散る中、私はその暖簾をくぐった。扉を開けると、木の香りと炭の芳香がふわりと鼻をくすぐる。内装はシンプルで凛とした佇まい、だがその奥には、焼きの魔術師・葛城大将の神々しい立ち姿があった。
「とり澤」の夜は、ストップと言うまで続く、まさに“胃袋任せの美食リサイタル”。焼き鳥のフルオーケストラである。最初に供されたのは、さび焼き——しっとりと火入れされたささみに、わさびが春風のような刺激を添える。「おお、これは舌の上の散歩道…!」
続いて登場したのは、レバー。苦手な人も虜にするその滑らかさ、まるでフォアグラが日本国籍を取得したような濃厚さ。葛城大将の焼き加減はもはや芸術。焼きというより、“あやつっている”とでも言おうか。炭火の上で串たちは彼の指揮棒に従い、正確に、情熱的に音を奏でている。
砂肝、せせり、つくね…どれも絶妙な塩梅と火入れ。まさに、「一口の美食に、百の詩情が宿る。」という格言を地で行く体験だ。とり澤では、串一本に哲学があり、塩ひと振りに思想がある。
隣の席では、常連と思しき紳士が「今日のつくね、泣けるわ…」と呟いていた。思わず「分かります」と、串で乾杯したくなったのは内緒である。
諸君、もしこの春、桜と焼き鳥のダブルパンチに酔いしれたいなら、「とり澤」は最上の場所だ。胃袋が満たされると、心までもうたた寝を始める。
わが書斎で共に美食の物語を紡ごうではないか?