72回
2025/03 訪問
ホワイトアスパラと猪
春本番になり、ホワイトアスパラが太くなってきました。冬から早春にかけてのスペシャリテ、猪バラ肉煮込みもまだあります。
・ホワイトアスパラ、生ハム、ポーチドエッグのサラダ仕立て ラヴィゴットソース
ロワール産のホワイトアスパラと、原木買いしているというシャルキュトリ赤石の生ハムの濃厚な旨味がベストマッチ。
・大分産サワラのポワレ 青海苔ソース
豊後水道でとれたサワラは、身はしっとり皮はパリパリ。プロの料理人にファンが多いという青海苔ソースは、ハナビラタケによく絡む。
・備後猪バラ肉煮込み 牛蒡のソースと黒胡椒のムース
ジビエが苦手な私でも、毎年楽しみにしている猪バラ肉煮込み。軽く燻製をかけてあって香ばしく、ゴボウのソースがとても良く合う。猪とゴボウ…この組み合わせは最高です。
ワインは、
2021 Savigny Les Beaune 1er Clos Des Guettes /Anne Françoise Gros
サヴニィ レ ボーヌ村は、ブルゴーニュの中でも目立った存在ではないけど、良い畑が多い。クロ デ ゲッテは北向きの斜面で果実が熟すのが遅く、必然的にハンギングタイムが長くなる。しっかりした酸を感じるクラシカルなブルゴーニュ。
2016 Echezeaux /Bouchard Pere et Fils
ブシャールのエシェゾー。屹立と酸が立ち、紅茶のような薄い色調なのにタニック。熟成という程じゃないけど落ち着きが出ている。ブシャールのトップキュベはランファン・ジェズュだけど、さすがエシェゾーは特級畑らしいスケールの大きさを感じる。
4月で32周年です。
ホワイトアスパラ、生ハム、ポーチドエッグのサラダ仕立て ラヴィゴットソース
サワラのポワレ 青海苔ソース
猪バラ肉の煮込み 牛蒡のソース
2021 サヴニィ レ ボーヌ クロ デ ゲッテ /アンヌ フランソワ グロ
2016 エシェゾー /ブシャール
2025/04/02 更新
2024/07 訪問
夏キノコシーズン到来
サマートリュフの他にも夏キノコがいっぱい届いてます。
アミューズのキノコのフリチュールは、いつものマスタケとトキイロヒラタケ。ソースが新潟のカンズリではなく、トルコのハリッサソースに変わりました。
冷前菜:鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントであえた桃を添えて
先月も食べた夏のスペシャリテ、鮎ムース。前回より色が淡くなり、苦味が抑えられていました。天然鮎を使っているので、個体差が出るのかも。どちらにしても美味しい^ ^
キノコのソテー
チャタマゴタケ、アイタケ、ハツタケ、天然アラゲキクラゲ、ジロール、アカヤマドリタケ、アカジコウ、ヤマドリタケモドキ。凄え、の一言に尽きます。この時期にこれだけのキノコが集まるのは、この店の底力を感じます。チャタマゴなんてレア中のレア菌だよ。
メイン:牛ほほ肉とキノコの赤ワイン煮込み
夏こそ煮込みを食べるべき。ふんわりと柔らかくなるまで煮込まれた牛ほほ肉は、暑さに参った胃腸に優しい。赤ワイン煮込みはワインに合うしね!
ワインは、
2018 Pouilly-Fuisse /Maison Valette
マコネーを代表する白ワイン産地プイィフュイッセ。そこの自然派ワインの雄ヴァレットが久々にオンリスト。抜栓直後は微発泡が感じられたものの、デキャンタージュすることでそれは消え、白い花の香りが開く。ピュアな酸にカリンのニュアンス。アフターにほのかな苦味。
2019 Gevrey Chambertin La Justice /Rene Bouvier
ジュヴレシャンベルタンのジュスティス。「正義」という畑の名前で人気のワイン。ジュヴレシャンベルタンは広く、鉄道沿の平地まで村名を名乗れるが、他の村なら凡庸なワインになりそうなのに、いくつか目の覚めるようなワインを生み出す畑がある。ジュスティスもそんな畑の一つ。理屈ではなく「旨いは正義」だ。
キノコが楽しい季節がやって来ました。
鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントであえた桃を添えて
キノコのソテー(上から時計回りにチャタマゴタケ、アイタケ、ハツタケ、天然アラゲキクラゲ、ジロール、アカヤマドリタケ、アカジコウ、ヤマドリタケモドキ)
牛ほほ肉とキノコの赤ワイン煮込み
2018 プイィフュイッセ /ヴァレット
2019 ジュヴレシャンベルタン ラ ジュスティス /ルネ ブーヴィエ
アミューズ:マスタケとトキイロヒラタケのフリチュール ハリッサソース
2024/07/13 更新
2024/06 訪問
31年目、始動
鮎ムース始まりました(冷やし中華のように言うのがコツだ)
冷前菜:鮎とサマートリュフのムース フィレのソテーバジルソース 桃とミントのサラダを添えて
夏のスペシャリテである鮎ムースは、事前予約すればランチタイムでも食べられます。Bコースでプラス2500円(税サ別)。今年はワタの風味がやや強めでしたが、桃とミントのサラダと共に食べると、ワタの苦味が消えてコクだけが舌に残る。計算し尽くされた料理だなぁ、と改めて思いました。
温前菜:愛媛今治イサキのポワレ 青海苔ソース
ランチで藤本さんの魚が出るのはラッキーなこと。ベルモットを効かせた青海苔のクリームソースは、この店の魚専用のスペシャルソース。旨いです。
メイン:ナヴァラン
羊肉はやはり煮込みが美味しいことを再確認しました。脂がとろけてキノコの旨味と溶け合います。
ワインは、
2020 Chassagne Montrachet /Paul Pillot
村名のシャサーニュですが、ポールピヨらしいアフターの渋味は健在。肉料理に合う白ワイン。最近のブルゴーニュワインの高騰は異常ですが、ポールピヨも例外ではなく、数年前の2倍以上の値上がり…orz
31年目も変わらぬ料理とサービスが嬉しい店です。
2024/07/01 更新
2024/03 訪問
もうすぐ31周年
3月になってようやく始まりました。この店の冬から春にかけてのスペシャリテ、猪バラ肉の煮込み 牛蒡のソースです。
前菜1:藤本氏のブリのカルパッチョ ハナビラタケ添え 京都実山椒ドレッシング
今治の漁師、藤本さんが釣ってきた神経締めのブリは、旨味がもの凄い。その辺で売られているブリとは全く違う。添えられた瀬戸内タコの吸盤が楽しい。
前菜2:ロワール産ホワイトアスパラガス ラヴィゴットソース ニセコの生ハムと紅花卵のポーチドエッグ添え
春を感じる食材、極太のホワイトアスパラガス。生ハムの塩気で食べるアスパラが味わい深い。
白のグラスワインは、新しく仕入れたというアルザスの自然派エデルツヴィッカー。
2022 Melting Potes Edelzwicker /Camille Braun
ピノブラン、シルヴァーナー、リースリング、シャスラ、ゲヴルツトラミネールのブレンドで、ピノブランの比率が高いというが、ゲヴルツの香りが支配的。酸は柔らかめで、カルパッチョやホワイトアスパラにぴったりでした。
主菜:岡山産猪バラ肉の煮込み 牛蒡のソース 黒トランペット茸添え
ジビエが苦手な私でも、毎年楽しみにしている猪バラ肉煮込み。箱罠獲りの猪肉を煮込んで軽く燻製をかけた上、大地の香り高い牛蒡のソースが加わり、獣臭さは微塵もない。やっぱり猪は脂身が美味しいのを再確認。ソースがトランペット茸によく絡む。味変アイテムの黒胡椒ムースはパンにも良く合う。
ワインは猪に合わせて、
1991 Reserve de la Comtesse
レゼルヴ ド ラ コンテス。メドック格付け2級のシャトー ピション ロングヴィユ コンテス ド ラランド、通称ピションラランドのセカンドワイン。ヴィンテージは、なんと1980~90年代の20年間で最悪の年と言われた1991年!季節外れの遅霜で新芽が壊滅、収穫も遅れて雨季にずれ込み、多くのシャトーがワイン作りを諦めた年だ。ピションラランドも例外ではなく、収量減少の中、多くの樽がセカンドに落とされた…が。当時の人は、30年以上経って、これほどのワインになるとは思わなかったんだろうね。見事な熟成感と生きた酸の調和。けぶるような熟成香。これはセカンドワインじゃない、ピションラランドだよ。
さて、4月で31周年です。大偉業達成ですが、シェフの手腕も支配人のサービスも、ますます楽しみな店です。
今治藤本氏の神経締めブリのカルパッチョ 京都実山椒ドレッシング
ロワール産ホワイトアスパラ ニセコの生ハムと紅花卵のポーチドエッグ添え
岡山産猪バラ肉の煮込み 牛蒡のソース
2022 メルティン ポット エデルツヴィッカー /カミーユ ブラウン
1991 レゼルヴ ド ラ コンテス
2024/04/07 更新
2024/02 訪問
カモがネギしょって
冬の食材が美味しいです。モリーユもお目見えしました。
冷前菜:フォアグラと伊予美人のテリーヌ トリュフソース
伊予美人は愛媛特産の里芋で、霜に弱い里芋にしては珍しく冬を越えて春先まで収穫できる。粘り強くて甘味とコクがあり、フォアグラとの組み合わせに負けていない。2種の食材の硬さと甘さがシンクロした稀有なテリーヌ。
温前菜:クロムツのポワレ 青海苔のクリームソース ハナビラタケとモリーユ添え
冬が旬の高級魚クロムツが登場。身はホロホロとして程よい脂と旨味があります。通常のハナビラタケに加えてモリーユも添えてくれました。モリーユはクリーム系のソースとの相性が抜群に良い。春キノコのイメージがあるモリーユですが、今の季節はチベット産の栽培物がとても品質が良いとのこと。
主菜:マグレ鴨とキノコのロースト 舞茸ソース 栃木県産無農薬ネギを添えて
支配人の甥御さんが無農薬栽培しているネギは、その名も「夏扇パワー」で、太くて焼くと甘味が強い。「カモがネギしょって」の言葉どおり鴨肉との相性は抜群で、舞茸ソースを吸ってさらに美味しい。フレンチの鴨の付け合わせにネギというのもいいね!
チーズは北海道産のミモレットとウォッシュチーズ、そして熟成したサントモールでワインを消費。デザートはフレッシュチーズのムース(クレメダンジュ)がさっぱりとしていて美味でした。
ワインは、
2018 Dundee Hills Pinot Noir Cuvee Guardian /Yoshiji Coyote Sato
元ワインジャーナリストの佐藤吉司氏がオレゴンのジアイリーヴィンヤードで研修中に2018〜2020年の3ヴィンテージのみ作ったワイン。ジアイリーは1975年、ゴエミヨ主催のブラインドテイスティング「ワインオリンピック」のピノノワール部門で並みいる高級ブルゴーニュを抜いてトップ10に入賞し、オレゴンの名を世界に知らしめた実績がある。わけてもダンディヒルズの評価は折り紙付きで、実際このキュベ・ガーディアンもブルゴーニュ好きを唸らせる品質を持つが、何にせよマニアックなワインには違いない。有名な銘柄のワインではなく、本当に飲む価値のあるワインを置くという店の気概を感じる。いつか、佐藤氏が長野県富士見町で造るワインがオンリストする日が来るのかもしれない。
2月の中旬で、冬のスペシャリテである猪の煮込みは、いまだオンリストせず…今冬は無しかな?
フォアグラと伊予美人のテリーヌ トリュフソース
クロムツのポワレ 青海苔ソース ハナビラタケとモリーユ添え
マグレ鴨とキノコのロースト 舞茸と赤ワインのソース 栃木無農薬ネギを添えて
チーズ盛り合わせ
クレメダンジュ
2018 ダンディヒルズ ピノノワール キュベガーディアン /ヨシジ コヨーテ サトウ
2018ダンディヒルズ ピノノワール キュベガーディアン説明
2024/02/18 更新
2023/07 訪問
鮎ムース始まりました
冷やし中華じゃないですが。
6月半ばから、この店のスペシャリテ「鮎と夏トリュフのムース」が始まっています。
冷前菜:鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた桃を添えて
今年の鮎は山梨県桂川産。サマートリュフの柔らかな香りがムースにした鮎と絶妙にマッチしています。身、内臓、骨から取ったフォンすべてを使ったムース。毎年の楽しみです。
鮎に合わせてサンセールをグラスで。
2021 Sancerre Blanc La Plante Froide /Dom. du Nozay
ドメーヌ デュ ノゼはロマネコンティの所有者であるオベール ド ヴィレーヌの妹夫婦が興したワイナリーであり、現当主は次男(オベールの甥っ子)が務めている。サンセールにしては繊細で柔らか。白桃の香り。ラ プラント フロワードは区画名であり、そういう所もなんだかブルゴーニュ風。鮎ムースに合わせるにはギリギリ耐えられるいったところ。
温前菜:マナガツオのポワレ 青海苔ソース
西の魚というイメージが強いマナガツオ。鮮魚のポワレは真鯛や黒鯛の日が多いが、マナガツオの時は見逃さずに頼むようにしている。火を通すと真価を発揮するマナガツオはフレンチと相性がいい。もちろん青海苔のクリームソースとも。
キノコのソテー
形の良いセップが届いたというのでオーダー。この大きさならカットせずにそのまま焼きたい気持ちが分かる。香りも絶品でした。
メイン:牛ほほ肉の赤ワイン煮込み
夏こそ煮込みがおすすめ。酸味が効いて食欲をそそる赤ワイン煮込みは、口の中でホロホロと崩れて胃にも優しい。原木椎茸や舞茸も旨し。
フロマージュはお任せで熟成トムドサヴォア、栃木森のチーズ、サントモール。デザートは岡山草苺のソルベでした。
ワインは、
2013 Chateau Malescot St. Exupery
メドック3級のシャトー マレスコ サン=テグジュペリ。10年を経て熟成感があり、今まさに飲み頃。久しぶりに嗅ぐけぶるような熟成香がたまらない。これは格付けワインならでは。ちなみにサン=テグジュペリの名があるのは、「星の王子様」の著者の曽祖父がシャトーを所有していたことによる。まぁ、マルゴー村っつったらシャトーマルゴーなので、3級とはいえマニアックなワインである。名前長くて舌噛みそうだし。なお、エチケットに書かれたSemper ad altumは「常に高みへ」の意味。格好いいね。
夏キノコのスター、タマゴタケもそろそろ入荷しそうです。
鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた桃を添えて
マナガツオのポワレ 青海苔のソース
仏産セップのソテー
牛ほほ肉の赤ワイン煮込み
フロマージュ(熟成トムドサヴォア、栃木森のチーズ、サントモール)
岡山草苺のソルベ
2021サンセール ラ プラント フロワード /ドメーヌ デュ ノゼ
2013 シャトー マレスコ サン=テグジュペリ
2023/07/23 更新
2023/05 訪問
ダイエットフレンチ
そろそろ人間ドックなので、ヘルシーなフレンチを食べに来てみました。
冷前菜:季節野菜と帆立貝のテリーヌ
モザイク模様を織りなす野菜がぎっしり詰まっていて、しかもホタテはローカロリー&低糖質。添えられたカンゾウタケが嬉しい。
温前菜:キノコのブイヨンスープ
色々キノコがふんだんの具沢山スープ。太る要素なし!
主菜:真鯛のポワレ 青海苔のソース 山菜とハナビラタケ添え
いつも前菜で食べている鮮魚のポワレを、今回はメインでチョイス。背身、腹身、尾の身など藤本氏による神経締めの真鯛を思いっきり堪能しました。ソースにはクリームが入っているけど、まぁこれくらいなら無問題。
ワインは、
2019 Rully 1er Cru Blanc Rabource /Dom. de Villaine
2018が初ヴィンテージの、ヴィレーヌのリュリー。畑は1級のラブルセ。ヴィレーヌは、言わずと知れたロマネコンティの共同所有者で、コートシャロネーズで「家庭用ロマネコンティ」を作っていたが、最近リュリー村の畑を幾つか購入したらしい。モンラッシェを彷彿とさせるスケールの大きさ。DRCと同じ収穫を遅らせることによる熟したニュアンス。
翌日、体重は500グラム減っていた…恐るべし、キノコデトックス!
2023/06/03 更新
2023/05 訪問
祝!30周年
誰かが言った。
「10年続く店は偉大。20年続く店は恐るべし。30年続く店は歴史」
ついに歴史となる扉を開いたレストランマッシュルーム。4月13日で30周年を迎えました。
30周年記念パーティの熱も冷めやらぬ週末、供出されたグラスシャンパンはドラピエのマグナム。レギュラーボトルとは異なる熟成をするマグナムボトルに、ランチタイムは2杯目を頼む客が多かったそうな。
アミューズ:エノキダケと胡麻と葱のキッシュ
シャンパンに良く合いました^ ^
前菜1:今治藤本氏の神経締めカツオのカルパッチョ ラヴィゴットソース ハナビラタケとカンゾウタケ添え
丁寧に手当てされたカツオは、生臭さが一切感じられない。カツオに合わせて生姜を効かせたラヴィゴットソースがバッチリ合いました。カンゾウタケは、モリーユが終わる頃から出回り始めるキノコ。流れ出る肉汁(?)といい、歯ごたえといい、かなり肉っぽいのですが、味は酸味があってレバーっぽさはカケラもありませんw
前菜2:ロワール産ホワイトアスパラガス 紅花卵のポーチドエッグとシャルキュトリ赤石の生ハム添え
3月と比べて格段に太くなったホワイトアスパラは、今がまさにシーズン。瀬戸内レモンのソースでさっぱりといただけました。
主菜:愛媛産 媛っこ地鶏とキノコのロースト ガルムソース
大好きな地鶏のロースト。イタリアの魚醤ガルムを使ったソースによって肉の旨味が倍増します。この日はジューシーな腿肉に加えてハツが添えられていてラッキーでした。山菜のコシアブラが春らしい。
ワインは、
2021 Alsace Les Vignes du Precheur /Weinbach
アルザス随一の作り手ヴァインバックのお手頃ワインがオンリスト。特級畑ケフェルコプフのふもとのプレシュール(伝道師)という名の区画から収穫された5種類のブドウの混醸ワイン。ただし、エデルツヴィッガーではないらしい。リースリング40%、ピノブラン30%、ピノグリ20%、ミュスカ5%、シルヴァーナー5%で、リースリングが支配的。ヴァインバックらしいピュアで力強いワイン。
2018 Sonoma Coast Pinot Noir /Patz & Hall
リスト上にパッツ&ホールの名を見つけて、思わず懐かしい!と声をあげてしまった。90年代後半のワインブームを牽引した漫画ソムリエ。稲垣吾郎主演でドラマ化もされたが、それに出てきた数少ないカリフォルニアワインの作り手。シャルドネとピノノワールしか作らず、自社畑を持たずに高評価の畑から買い付けたブドウのみからワインを作るスタイルは今でも変わらない。フレンチオークの樽を使ったブルゴーニュの伝統的な醸造方法にこだわっているが、飲めばやはりカリフォルニアらしい濃さを感じる。もっとも、本家ブルゴーニュも最近は濃い作りが多いので、そういう意味では似ていると言える。
シェフの腕前、支配人の熟練したサービスは健在。30年目も楽しみな店です。
アミューズ:エノキダケと胡麻と葱のキッシュ
今治藤本氏の神経締めカツオのカルパッチョ ハナビラタケとカンゾウタケ
ロワール産ホワイトアスパラガス 紅花卵のポーチドエッグとニセコシャルキュトリ赤石の生ハム
愛媛産 媛っこ地鶏とキノコのロースト ガルムソース
2021 ヴィーニュ デュ プレシュール /ヴァインバック
2018 ソノマコースト ピノノワール /パッツ&ホール
ドラピエ カルトドール マグナム
テットドモワンヌ&プリニィサンピエール
2023/05/13 更新
2023/03 訪問
春のランチ
毎年楽しみにしている春のランチ。休日はほぼ満席。予約は必須です。
Bコース
・海老とキノコと季節野菜のフリチュール
春野菜にまじって山菜がチラホラ見えます。タラノメ、ニンニクの芽(中華のアレじゃないよ)、春エシャロット、茄子、ズッキーニ。プリプリの海老に、ハタケシメジや椎茸等のキノコ。サクサクでビールが欲しくなります。
・ヒラスズキのポワレ 青海苔ソース ハナビラタケのグリエ添え
この店のスペシャリテである青海苔ソースが大好きです。トロワグロのオゼイユソースを原型に、日本の食材でアレンジしたソース。プロの料理人が絶賛するそうな。スズキと異なり寒い季節が旬のヒラスズキは身がプリプリで、青海苔ソースに良く合いました。
・ナヴァラン
メインは春野菜を使ったナヴァラン・プランタニエール。蕪(ナヴェ)に、芽キャベツ、新じゃが、ズッキーニ。さらに分厚いヒラタケ。仔羊の脂がソースに溶け込んでたまらない。
デザートは生姜のアイスにルバーフのコンポートで、甘さ控えめの酸っぱいもので締めました。
ワインは、
Experience Blanc de Blancs Vertus Premier Cru /Andre Jacquart
アンドレ ジャカールのブランドブラン エクスペリエンスには、メニル シュル オジェ村のものと、ヴェルテュ村のものがあるが、これはヴェルテュ村の方。メニルのラベルが銀色であるのに対し、ヴェルテュは金色なので、ヴェルテュの方が上なのかな?実際、価格も若干高い。しっかりしたボディに、ブランドブランらしいエッジの効いた酸。グランクリュでなくても充分に高品質なシャンパーニュ。
さて、いよいよ30周年です。
海老とキノコと季節野菜のフリチュール
ヒラスズキのポワレ 青海苔ソース ハナビラタケのグリエ添え
ナヴァラン プランタニエール
生姜のアイス ルバーフのコンポート
シャンパーニュ ブランドブラン ベルテュ エクスペリエンス /アンドレ ジャカール
2023/04/01 更新
2023/03 訪問
ホワイトアスパラとモリーユ
春の食材であるホワイトアスパラとモリーユ(アミガサダケ)がお目見えしました。
アミューズ:カジキマグロとハナビラタケのカルパッチョ のれそれ添え
アミューズにカルパッチョが出ると嬉しい。何だか得した気分。寒い時期のカジキマグロは殊のほか美味しい。のれそれ(穴子の稚魚)は初めて食べましたが、なぜだか海原雄山の怒り顔が脳裏にチラつきます…
冷菜:ロワール産ホワイトアスパラガス 紅花卵のポーチドエッグとシャルキュトリ赤石の生ハム添え ラビゴットソース
フランスからホワイトアスパラが届き始めました。生ハムの塩気で食べるのが好きです。卵の黄身を絡めるのも良し。
温菜:牡蠣とモリーユのフリカッセ
今春の新作料理。牡蠣の旨味が溶け込んだホワイトソースがモリーユと絡み合って絶品でした。ソースはベシャメルではなく野菜のピュレを使ったサラッとした感じ。さらに牡蠣のピュレのせ。
主菜:横濱ビーフのポワレ セップソース
この店では初登場の横濱ビーフ。初めて食べました。餌にオカラ等を加えた「横濱ビーフA」を使い、神奈川県内の特定生産農家が育てた牛とのこと。腿肉でしたがサシが多め。噛みしめると脂がジュっと口の中に溢れるほど。若い人向けかな。セップソースは相変わらず素晴らしい。添えられたキノコはパイリング(白灵茹)を改良したタマシロノタケ(玉白茸)。
デザート:岡山産ヤマボウシのソルベ
岡山のマタギさんが天然キノコと一緒に野生の果物も採って送ってくれるらしい。ヤマボウシの果実はマンゴーのようと表現されますが、まあ、言われてみればそうかな… ヤマボウシは意外に街路樹としても使われているそうです。
ワインは、
2019 Chemin des Moines de Vergy /Gros Frere et Soeur
シュマン デ モワンヌ ド ヴェルジ。直訳でヴェルジ修道士の道。昔の航空写真により、かつてフィロキセラによって放棄された畑を見つけ、そこを購入して再開墾したとのこと。とはいえブルゴーニュのアペラシオンの外で、ワインとしてはVdF(テーブルワイン)扱いになる。インポーターの宣伝文句によればラターシュから500メートル上がった所だという。Googleマップを見ると、ラターシュから西側の斜面に上がる道は、いつしかヴォーヌロマネ村を離れてオーコードドニュイの村へと続いていくが、結局どの辺の畑なのかは分からずじまいでした。
ワインは濃厚かつパワフルで、グロ フルールらしさを感じる。2016年よりベルナールから継いだ息子のヴァンサンが醸造の指揮を取っているそうだが、2019については父親のワインに良く似ている。
来月4/13でいよいよ30周年です。
アミューズ:カジキマグロとハナビラタケのカルパッチョ。ちょっとだけ"のれそれ"添え(見えないけど)
ロワール産ホワイトアスパラガス(これも見えない)
牡蠣とモリーユのフリカッセ
横濱ビーフのポワレ セップソース
ヤマボウシのソルベ
2019 シュマン デ モワンヌ ド ヴェルジ /グロ フルール
2023/03/19 更新
2023/01 訪問
猪煮込み始まりました
冬のスペシャリテである猪の煮込みが始まりました。ジビエが苦手な私も、これだけは毎年楽しみにしています。
・鮮魚とハナビラタケのカルパッチョ
この日は長崎産のスズキ。いつもの京都実山椒や瀬戸内レモンではなく、ラビゴットソース。ワインに合わせるにはこの方がいいですね。
・鮑のポワレ 行者ニンニクソース
贅沢な鮑のポワレ。真ん中に肝。安納芋のピュレが敷いてあります。鮑とアラゲキクラゲの食感の対比が面白い。
・岡山産猪の煮込み 牛蒡のソースと黒胡椒のムース
軽く燻製をかけて香ばしい、猪肉で最も高価なバラ肉の煮込み。大地の香り立ち上る牛蒡のソースがベストマッチ。黒胡椒のムースで味変も楽しめます。欧州では煮込みやスープに使うトランペット茸が添えられていました。日本でも採れるらしいのですが、国産は聞いたことないですね。
ワインは、
2019 Hermitage Les Diognieres /Laurent Fayolle
猪煮込みに合わせてエルミタージュを。レ ディオニエールは区画名で畑の中央部とのこと。樽のバニラ香が上手く溶け込んでいて高級感があります。若いのにタンニンがきめ細やかで滑らか。ローラン ファヨールは15のエルミタージュ所有者の中であまり有名な作り手ではないけど、まごうかたなき最上級のシラー。
今年の4月で、ついに30周年です。
長崎産スズキとハナビラタケのカルパッチョ ラビゴットソース
鮑のポワレ 行者ニンニクソース
岡山産猪の煮込み 牛蒡のソースと黒胡椒のムース トランペット茸を添えて
黒胡椒のムース
2019 エルミタージュ レ ディオニエール /ローラン ファヨール
2023/01/09 更新
2022/11 訪問
はだか麦フェア
11月いっぱいは、シェフの故郷愛媛のはだか麦フェア開催中です。
・季節野菜と帆立のテリーヌ
夏から始まった季節野菜のテリーヌは、秋野菜になっても継続中です。つくづくフランス料理らしい前菜。
・フォアグラのプリン マッシュルームとトリュフのソース
軽く2皿のコースのつもりが、抜栓したキュベ ボトリティスの具合が素晴らしかったので、急遽追加しました。甘口ワインとフォアグラの組み合わせは鉄板。フォアグラの甘味を殺さず引き立てるのは、さすが伝統的なマリアージュ。昔の人のやる事にはちゃんと意味があるのです。
・ブルゴーニュ産小鴨のコンフィ スパイスソース
鴨のコンフィもスパイスソースもランチタイムの定番でしたが、装いも新たにディナーに昇格。スターアニスの効いたソースで鴨のコンフィを食べるのは、新たな味覚の体験でした。
はだか麦を使ったリュスティックが香ばしい。なかなか楽しいフェアです。他にも牡蠣のリゾットに使っているそうな。
ワインは、
1994 Macon Villages Cuvee Botrytis /Dom. de la Bongran
ブルゴーニュでは珍しい貴腐ワイン。果実味、酸味、複雑さ、すべてがバランスよく渾然一体となった奇跡のようなワイン。遅摘みと熟成を信条とするボングランの真骨頂。
キノコソテーを頼めば良かったかな…まだまだシメジ系の天然キノコが沢山入荷しているそうです。
季節野菜と帆立のテリーヌ
フォアグラのプリン マッシュルームとトリュフのソース
ブルゴーニュ産小鴨のコンフィ スパイスソース
1994 マコン ヴィラージュ キュベ ボトリティス /ボングラン
はだか麦フェアその1 はだかの入り自家製パン(リュスティック)
はだか麦フェアその2 牡蠣とキノコのリゾット
2022/12/08 更新
2022/09 訪問
キノコシーズン到来
9月に入り、秋のキノコシーズンが始まりました。まだまだ夏キノコも楽しめます。
アミューズ:エノキとコンテチーズのキッシュ 胡麻風味
エノキとコンテと胡麻が香ばしいキッシュ。シャンパンによく合いました。
前菜:軽く燻製をかけた仏産ほろほろ鳥とキノコのグリエ 山形紅花卵のポーチドエッグ添え ブルーチーズのソース
燻製によって旨味を凝縮させたほろほろ鳥とグリエしたキノコを、卵の黄身とブルーチーズのソースで食べる飲兵衛向けの前菜。
季節のキノコのソテー
コースに含まれないサイドディッシュですが、国産、輸入ものを含めて全て天然キノコであるこの時期は、オーダーしない理由がない。この日はオオモミタケ、ハツタケ、オーヴォリ、香茸、セップ、オオイチョウダケ、ピエブルー。夏キノコのオオモミタケに、秋キノコの香茸がもう出ています。甘味のあるオオイチョウタケが印象的でした。
主菜:やまゆりポーク ロースのポワレ エノキと黒胡麻のソース
豚肉ロースのポワレは時々肉が入れ替わるが、この日は神奈川のやまゆりポークが初見参。ジューシーなロース肉に、程よく付いた脂身も旨い。この店では様々なキノコのソースを出していますが、個人的にエノキソースが気に入っています。あまり個性を主張せずとも存在感があり、影の実力者的な感じがいい。
デザート:タルトヴォードワーズ
シェフ山岡夫人であるフランス菓子研究家の大森由紀子先生がスイスから持ち帰って日本に紹介したタルトヴォードワーズ。しばらくデザートメニューから消えていましたが、最近になって支配人によるブラッシュアップを経て復活しました。久しぶりに味わうダブルクリームの甘味とシナモンの素朴な味わいが嬉しい。
ワインは、
2015 Gevrey Chambertin /Hubert Lignier
アタックの力強さとタニックなところはジュヴレシャンベルタンらしいが、香水のような芳香に熟成香が加わり、香りだけならヴォーヌロマネのよう。さすがユベールリニエは上手く造っている。2015年特有の濃さは角が取れ、今まさに飲みごろ。
花金なのに空席が目立ったな…皆さん、キノコシーズンは今ですよ!10月後半以降はもう遅いんですよ〜
仏産ほろほろ鳥と山形紅花卵のポーチドエッグ ブルーチーズのソース
キノコのソテー。12時の位置から時計回りにオオモミダケ、ハツタケ、オーヴォリ(セイヨウタマゴタケ)、香茸、セップ、オオイチョウダケ、ピエブルー。
やまゆりポークロース肉のポワレ エノキと黒胡麻のソース
タルトヴォードワーズ
2015 ジュブレシャンベルタン /ユベール リニエ
キノコナプキンとライ麦バゲット
2022/09/13 更新
2022/08 訪問
タマゴタケのリゾット
夏キノコの代表格であるタマゴタケは、毎年食べたいキノコの一つです。
冷前菜:鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた桃を添えて
先月食べたばかりですが、同行者がオーダーしたので、目の前で食べられると羨ましくなると思って再びオーダーしてしまいました^^;
ムースをライ麦のバゲットにのせて食べても美味しいです。
温前菜:タマゴタケのリゾット
タマゴタケは、幼菌の時に卵の殻のようなものに包まれているのが名前の由来ですが、実はその煮汁もタマゴ色をしています。濃厚な旨味のあるキノコで、リゾットにするとまるでウニのような風味を感じる。
主菜:媛っ子地鶏のロースト ガルムソース
日本の地鶏は質が高いので、フレンチにすると最高に美味しい。愛媛が誇る媛っ子地鶏は、ブレス鷄に勝るとも劣らない。今回は最高の部位とされる胸肉と、おまけに手羽元も添えていただいて大満足。旨味のあるガルム(魚醤)を使ったソースが実によく合いました。添えられたキノコはユキワリタケ。
ワインは、
Champagne Extra Brut /Jean Vesselle
最近グラスシャンパンは、アンリオではなくジャンヴェッセルを使っているという。エクストラブリュットとあるが、実際にはノンドサージュで、それでも厚みのあるシャンパン。最近、温暖化のせいか、こういうのが増えたような気がします。
2020 Hautes Cotes de Beaune /Maison En Belles Lies
最近仕入れたというブルゴーニュの赤ワイン、サントーバン村を拠点とするアンベルリーのオーコート ド ボーヌ。御多分に洩れずこれもビオワインなのだが、最近のビオワインはビオ臭や微発泡などの不快な要素の発生が激減したように思う。ある程度醸造技術が確立したのかしら。アルコール度数は11.5度と低め。ビオらしいピュアな酸と果実味が印象的。
そろそろキノコ達が一番にぎやかな季節です。
タマゴタケのリゾット
鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた桃を添えて
媛っ子地鶏のロースト ガルムソース
シャンパーニュ エクストラブリュット /ジャンヴェッセル
2020 オーコート ド ボーヌ /メゾン アンベルリー
2022/08/11 更新
2022/07 訪問
夏のスペシャリテ。鮎とサマートリュフのムース
夏のスペシャリテである"鮎とサマートリュフのムース"が6月の中旬から始まっています。
アミューズ:キノコと魚介のフリチュール
トキイロヒラタケと、魚介は瀬戸内のイシモチ(テンジクダイ)でした。小魚ですが、今治の藤本氏が送ってきたものとのこと。フリットにして食べると、独特の旨味が良く分かります。岡山から帰ってきたばかりですが、瀬戸内の食材が追っかけてきました(笑)
前菜1:季節野菜と帆立貝のテリーヌ
もともとは春の前菜ですが、今年は夏に登場。中央に大きなホタテの貝柱。その周りにオクラ、春菊、アスパラ、キュウリ、キャベツなどの野菜がぎっしり詰まってました。夏向けのラヴィゴットソースがさっぱりしていてとても良い。
前菜2:鮎とサマートリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた桃を添えて
今年の鮎は山梨の桂川産。そのせいなのか、昨年よりワタの苦味が柔らかく、とてもバランス良く仕上がっていました。ムースの滑らかさも完璧で素晴らしい。そのまま食べても美味しいですが、個人的には桃と一緒にスプーンですくって食べるか、ライ麦のバゲットにのせるのが好きです。
季節のキノコのソテー
入荷したばかりの天然ハナビラタケと、フランス産のセップだけをソテーしていただきました。セップの香り、味わいを楽しむなら、ソテーが一番だと思います。
主菜:ブルターニュ産仔牛のポワレ マスタードソース
さっぱりとした仔牛肉に、キレのあるマスタードソースがありがたい、夏向けのメインです。これなら蒸し暑い日でも、いくらでも食べられそう。さらにここにもセップ茸が添えられていて嬉しい。
デザート:岡山産草苺のソルベ&クレメダンジュ
瀬戸内食材がここでも追っかけてきた(笑) 岡山はさすがフルーツ王国です。未知の果物がいっぱいです。
ワインは、
2014 Steiner Hund Riesling Reserve /Nikolaihof
鮎ムースに合わせてオーストリアのニコライホーフの上級リースリングを。シュタイナーフントはニコライホーフ所有の畑の中でも急斜面な場所であり、凝縮感のあるブドウを生み出す。柑橘や花系の香り、ビオらしいピュアな酸、しっかりとした骨格の白ワインは、肉料理にも良く合いました。
夏キノコと夏の食材を食べて、例年より長くなりそうな夏を乗り切って行きたいところです。
トキイロヒラタケとイシモチ(テンジクダイ)のフリチュール
季節野菜と帆立貝のテリーヌ
鮎とサマートリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた桃を添えて
天然ハナビラタケとフランス産セップ茸のソテー
ブルターニュ産仔牛肉のポワレ マスタードソース
2014 シュタイナーフント リースリング レゼルヴェ /ニコライホーフ
岡山産草苺のソルベ&クレメダンジュ
2022/07/16 更新
2022/05 訪問
カンゾウタケとフォアドヴォー
モリーユが終わる頃からカンゾウタケが出回り始めます。フランスでは牛の舌、アメリカでは貧者のビーフステーキと呼ばれるとか。
アミューズ:魚介とカンゾウタケのカルパッチョ
シリヤケイカは、関西や瀬戸内ではシリクサレとかケツクサレなどと散々な呼び方をされるイカで、胴から出す赤黒い粘液が一緒に網に入った魚を台無しにするので漁師たちからの嫌われ者ですが、食べれば大変美味しいイカなのです。この日はラッキーなことに静岡のキンメも盛られ、赤い肉汁(?)したたるカンゾウタケが添えられました。これはメインの料理への前振りでもあります。
冷前菜:ホワイトアスパラと山形紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの生ハムを添えて
この日はドイツ産のシュパーゲル。そう言えば、彼の地では今が最盛期だ…市場で山と積まれた景色が懐かしい。肉なのにチーズのような風味があるシャルキュトリ赤石の生ハムでアスパラを食べる贅沢さがいい。
温前菜:黒鯛のポワレ 青海苔ソース ハナビラタケのグリエ添え
今治藤本氏の神経締めの魚に、この店のスペシャリテの青海苔ソース。この組み合わせが大好きなので、なかなか他の温前菜に手を出せない。オゼイユソースを彷彿とさせる、良い意味で癖のある青海苔ソースは、赤ワインにも良く合います。
メイン:ブルターニュ産仔牛レバーのポワレ シェリービネガーソース
この店で、リドヴォー以外で内臓料理が出るのは久しぶり。フォアドヴォー(牛レバー)には伝統的にワインビネガーソースにマッシュポテトが添えられますが、ここでは高貴な香りのするシェリービネガーソースに有機栽培人参のピュレになります。臭みがまったく無いレバーに、さっぱりとしたシェリービネガーソースがベストマッチ。これぞフレンチ!という感じがする逸品でした。ステーキのように大きくて肉厚なプリュロット(平茸)にも大感激!
デザート:白いアラゲキクラゲのわらび餅風 ジャラハニーのアイス添え
白いアラゲキクラゲは、実は市販品ではなく、世界でもここでしか食べられないキノコなのです。通常の黒いアラゲキクラゲは火を通しても硬いのですが、白いアラゲキクラゲは火を通すと柔らかくなって粘り気を出すそうで、その特性を活かして、ほぐしてかきまぜてわらび餅風にしたというスペシャルなデザート。確かにほんのりわらび餅のような風味もあります。高級蜂蜜のジャラハニーアイスも贅沢で美味。
ワインは、
2015 Chinon la Diabless /Chateau de Coulaine
ロワール地方シノンのワイン。ディアブレスとは悪女の意味だそうで、シャトー ド クーレーヌのフラッグシップワインになる。カベルネフラン100%だが、タンニンは意外なほど柔らかく、醤油のような旨味が印象的。熟成によりアロマティックな香りは抑え気味で、黒胡椒のようなスパイシーさを感じる。肉料理にはもちろん合うが、意外と合わせる料理を選ばないタイプ。エチケットのベーゼが艶かしいが、悪女っぽい見かけの割に、意外と世話好きのいい人みたいな。
そろそろ夏のスペシャリテの季節になります。来月お目見えするはずの鮎と夏トリュフのムースが楽しみです。
魚介とカンゾウタケのカルパッチョ
ドイツ産シュパーゲルと紅花卵のポーチドエッグ、シャルキュトリ赤石の生ハム添え
今治藤本氏の神経締め黒鯛のポワレ 青海苔ソース
ブルターニュ産仔牛レバーのポワレ シェリービネガーソース
白いアラゲキクラゲのわらび餅風 ジャラハニーのアイス添え
2015 シノン ラ ディアブレス /シャトー ド クーレーヌ
2015 シノン ラ ディアブレス /シャトー ド クーレーヌ
2022/05/21 更新
2022/04 訪問
祝!29周年
気の遠くなるほどフランス料理を作り続けてきた一人の料理人が、ささやかに迎えた偉業の一里塚。業界きっての本物のフランス料理人の店が、新たな一歩を踏み出す日でもある。
29周年。万感の想いを込めて言う。
美味しい料理をありがとう。
素敵なサービスをありがとう。
アミューズ:トキイロヒラタケとシリヤケイカのフリチュール
春から初夏にかけて海岸に押し寄せるシリヤケイカ。イカ好きにとって密かな楽しみでもあります。
冷菜:蕎麦粉のクレープと青森海峡サーモンのフュメ 蜂蜜を添えて
春の新メニュー。サーモンとディルの組み合わせって、きっと神様が決めたに違いない。これ以外にない組み合わせ。離れられない二人。この店としては珍しいクレープ仕立てはカフェ飯っぽいけど、たまにはこういうのもいいね!
温菜:天然鮮魚のポワレ
この日の魚は神経締めで有名な今治の漁師、藤本さんのスズキのブイヤベース仕立て。天然ナメコの季節は終わってしまったが、アミタケやムキタケがいい仕事をしている。
主菜:ブルターニュ産仔牛のポワレ ホワイトアスパラと国産モリーユのフリカッセ
29周年にふさわしいスペシャルな料理。春の食材の組み合わせとして、これ以上のものはない。春ならではの仔牛肉はさっぱりとした旨味がある。小麦粉を使わず野菜のとろみだけのサラッとしたフリカッセには、大きな岡山産のモリーユと、この時期ならではのホワイトアスパラが添えられる。それぞれの旨味が渾然一体となって前人未到の旨さを発揮するのは、新たな門出にふさわしい。
デザート:練乳のソルベ
牛乳とキビ砂糖だけの素朴な味わいのソルベ。某シェイノ系の店のスペシャリテでもある。
ワインは、周年祝いに相応しくシャンパンを。
Champagne Collection 242 /Louis Roederer
ルイ ロデレールの新たなスタンダードシャンパンであるコレクション242。数字は創業年からのアッサンブラージュの回数とのこと。ジャクソンのシャンパンと同じやね。2017年のブドウを主体に6ヴィンテージのヴァンドレゼルヴを加えた気品のあるシャンパン。繊細な泡。硬質な酸。やや軽いが長めの余韻。
蕎麦粉のクレープと青森海峡サーモンのフュメ 蜂蜜を添えて
今治藤本氏のスズキのポワレ ブイヤベース仕立て ハナビラタケのグリエ添え
ブルターニュ産仔牛のポワレ ホワイトアスパラと国産モリーユのフリカッセ
練乳のソルベ
シャンパーニュ コレクション242 /ルイ ロデレール
2022/04/20 更新
2022/03 訪問
春満載のランチ
春になるとランチが楽しいです。山菜とキノコのフリチュール、春の魚、春野菜のナヴァランなどなど。
Bコース。
前菜1:キノコと海老と野菜のフリチュール
春のフリチュールは山菜が混じっていて楽しい。3月から4月にかけての時期はカンゾウとフキノトウ。他にニンニクの芽(中華でよく見る茎ではない)、春シメジ、平茸、椎茸、海老、蓮根、茄子。昼シャンに合わせると最高。
前菜2:尾長鯛のポワレ 青海苔ソース
先日ディナーで食べたのと同じ、高級魚の尾長鯛でした。普段はランチとディナーの魚は分けているそうだけど、仕入れの関係でこういうこともある。この日ランチに来た人はラッキーでしたね。この魚もまた春から夏が旬と言われる(シーズン通してあまり味が落ちないらしいけど)。
主菜:仔羊のトマト煮込み(ナヴァラン)
春野菜を使ったナヴァラン・プランタニエール。この日はキノコ多めで、何と岡山産のモリーユ入り。仔羊の脂がとろけるような旨さで、大満足でした。
デザートはピスタチオのアイスをチョイス。ナッツの風味が濃厚でした。
ワインは、春らしくロゼシャンパンを。
Champagne Brut Oeil de Perdrix /Jean Vesselle
ウイユ ド ペルドリとはヤマウズラの眼という意味。ブージィ村のピノノワール100%で作るブランドノワール。ピンク色をしているのがヤマウズラの眼という名の由来だが、ジャンヴェッセルはこれを白のシャンパンとして売っているのがややこしい。ピノノワールらしい繊細な泡、ミネラリックでエッジの効いた酸。ほのかにアプリコットのニュアンス。やや軽めで昼に飲むにはピッタリ。
支配人が自ら焼いているというパネトーネを一ついただいてみました。パネトーネ種という酵母を加え、発酵させて生地を休ませるという工程を繰り返すため、とても手間がかかるパン。素朴な甘さと、ふんわりと柔らかな食感。根強いファンが多いというのも頷けます。
4月13日で29周年だそうです。今年も周年パーティは中止で残念。
キノコと海老と野菜のフリチュール
尾長鯛のポワレ 青海苔ソース ハナビラタケのグリエ添え
モリーユ入りナヴァラン
パネトーネ
パネトーネ テイクアウト
シャンパーニュ ブリュット ウイユ ド ペルドリ /ジャン ヴェッセル
ピスタチオのアイス
2022/04/02 更新
2022/02 訪問
春の使者。ホワイトアスパラとモリーユ
立春を過ぎ、寒い中にも陽の長さを感じる頃になると、フレンチレストランのメニューにも少しずつ変化が生じてきます。旬と呼ぶにはまだ先ですが、春を待ち侘びる食材たちが登場してきています。
アミューズ:フキノトウとマスタケのフリチュール
春の山菜の代名詞とも言えるフキノトウ。ほろ苦さが嬉しい。
冷菜:ホワイトアスパラと山形紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの生ハム添え
フランスのロワール地方から届いたホワイトアスパラは、まだやや細めではありますが、さっぱりした旨味がありました。ポーチドエッグは大胆にカットして黄身をソース代わりにしてもいいのですが、黄身の大半が皿に残ってしまうのがもったいないので、今回は卵の上部にそっと穴を開け、卵の下半分を器の代わりにして、アスパラを黄身に浸けながら食べてみることに。こうすると濃厚な紅花卵を無駄なく楽しめます。アスパラは塩の代わりに生ハムを乗せて食べるのも美味。これから徐々に太くなっていくので、しばらく楽しめそうな食材です。
温菜:八丈島産尾長鯛のポワレ ブイヤベース仕立て
関東での呼び名は尾長鯛ですが、沖縄ではアカマチと呼ぶ沖縄三大高級魚の一つです(あとの二つはアカジンとマクブ)。鮮魚のポワレは、通常は青海苔ソースなのですが、主菜とクリーム系のソースが被ってしまうので、今回はお任せでお願いしました。天然ナメコとキクラゲの入ったブイヤベースは、フュメドポワソン、フュメドコキーユが濃厚なとろみのあるスープ。その上に皮目をパリッと焼いた尾長鯛を乗せていて、かなり贅沢な一皿になりました。
主菜:媛っこ地鶏とモリーユのフリカッセ
メインはオンリストしていない料理から。フリカッセこそがモリーユに一番向いている料理だと思う。なぜならクリームソースがモリーユの網目によく絡むから。フレッシュのモリーユは3月頃からヨーロッパ産、4月頃から国産が出回るものですが、2月に出会うのは初めてでした。なんとチベット産だそうです。結構ものが良かったので使ってみたとのこと。これもしばらく楽しめそうな食材です。フリカッセとはいえ、ベシャメルにはせず、黄カブのピュレを使ったさっぱりしたソースでした。しかも、上からセップのソースもかけたという贅沢さ。愛媛産地鶏のもも肉とも好相性でした。
ワインは、
2013 Original Vines Pinot Noir /The Eyrie Vineyards
この店では久しぶりのオンリストになるオレゴン州のピノノワール。ジアイリーヴィンヤーズのフラッグシップワイン。ワイナリー設立時からの畑で、樹齢は45年から55年。薄い色調ながら各要素がはっきりしたスタイルは、80年代から90年代の上質なブルゴーニュを連想させる。ラターシュのようだと言ったら褒めすぎか。21世紀になると本家ブルゴーニュですら「これがピノ?」と困惑するような濃いワインが多くなってしまうのだが、かつてのエレガントなピノノワールが味わえるのが、今やブルゴーニュから遠く離れたオレゴンというのが何とも寂しい限り。
食材で感じる季節の移り変わり。春はもうすぐそこです。
フキノトウとマスタケのフリチュール
ロワール産ホワイトアスパラと山形紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの生ハム添え
八丈島産尾長鯛のポワレ ブイヤベース仕立て
媛っこ地鶏とモリーユのフリカッセ
2013 オリジナルワインズ ピノノワール /ジ アイリー ヴィンヤーズ
2022/02/19 更新
ついに32年目に入りました。料理とサービスが、大勢の人に愛されている証です。
要予約のおまかせコースにて。
・冷前菜盛り合わせ
この店としては珍しいスタイル。たまたま近所のケータリングのオーダーが入ったとかで、盛り合わせで出していただきました。ブロッコリーとズワイガニのフラン、自家製スモークサーモン、豚肉のリエット。生マッシュルームが添えられるのがこの店らしい。
・温前菜:モリーユのフリカッセ プーレジョーヌの軽い燻製添え
モリーユはフリカッセと相性がいい。ベシャメルにしないサラッとしたクリームソースが凹凸のあるモリーユに良く絡む。フランス産プーレジョーヌの軽い燻製に、セップソースがかけられていて贅沢。
・メイン:ナヴァラン(仔羊のトマト煮込み)
予約時にメインだけ指定させていただきました。春野菜を使ったナヴァラン・プランタニエールは、毎年春に楽しみにしている料理の一つ。蕪と芽キャベツ、春ズッキーニ、そして舞茸がとろける羊肉の脂とよく絡んで美味。
ワインは、
2015 Unico /Vega Sicilia
普段、こんなワインがオンリストしているわけじゃありません。(アリオンはあったけど)
じゃあ、なぜ?と問われても、訳は言えない…とにかくウニコです。最新ヴィンテージの2015年。10年経たとは思えない力強さ、複雑さ、絹のような滑らかさ、圧巻のスケール。生涯忘れ得ぬ体験になりました。
酔っ払う前にウニコを堪能した後は、自然派の赤を。
2021 Cahors Les Acacias /Mas del Perie
カオールの雄、マスデルペリエの上級キュベであるレ ザカシア。マスデルペリエは他のカオールと一緒にされたくなくて、表のエチケットにはカオールの文字を書かない。裏にはデメター認証、ABマーク、ユーロリーフの3つが燦然と輝き、ちっちゃくカオールの文字がある。ただ、カオールにしては薄い色調で、酸が強め、タンニン薄め。ブルゴーニュのような冷涼さすら感じた。確かに従来のカオールとは違う性格のワイン。
32年目も美味しい料理とワインに出会えました♪