72回
2021/10 訪問
フォアグラと伊予美人のテリーヌ。天然ナメコも登場
キノコシーズンも終盤ですが、天然ナメコはまだまだこれからです。
アミューズ:マスタケとトキイロヒラタケのフリチュール
目をつぶって食べたら間違いなく鶏のササミと答えるマスタケは、いつ食べても不思議なキノコです。
冷前菜:フォアグラと伊予美人のテリーヌ
フォアグラと伊予美人のテリーヌが今年も始まりました。シェフの故郷の愛媛特産の里芋である伊予美人ですが、フォアグラと里芋の旨味と硬さが見事にシンクロしています。薄くレモンドレッシングと岩塩がかかっていますが、やはりトリュフソースとの相性が抜群です。フランス人が大喜びしそう。
温前菜:キノコのブイヨンスープ
天然ナメコは栽培物よりぬめりが強くて美味。他にアミタケ、ムキタケ、ヤマブシタケと天然キノコのオンパレード。この時期のキノコスープは贅沢です。
主菜:愛媛 姫っこ地鶏とキノコのグリエ ガルムソース
愛媛が誇る地鶏、姫っこ地鶏。今回はラッキーなことに胸肉と腿肉の盛り合わせでした。緻密な肉質の胸肉と、ジューシーな腿肉は甲乙つけ難し。イタリアの魚醤ガルムを使ったソースは旨味のある塩味といった感じで、肉にもキノコにもワインにもよく合います。
デザート:山形産ヤマブドウのソルベ
タンニンを感じるソルベ。ワイン好きにおすすめ。
ワインは、
2018 Bourgogne Montre-cul /Rene Bouvier
コートドールのブドウ畑の北端はマルサネ村だと思っていたが、なんとディジョン市内の畑だと言う。Googleマップで見ると、確かに市内西側に畑が広がっている。AOCディジョンというアペラシオンは無いので、ブルゴーニュを名乗る。モントル キュとは「お尻が見える」の意味だそうで、斜面が険しく山側で作業する人のお尻が見えることから名付けられたと言われるが、ラベルの絵は女性のお尻をオヤジ二人が見ているという少々えっちいイラストで、日本でこんなん作ったら叩かれるだろーな。だいたいこんなミニスカで畑仕事やる奴などおらん。ただ、ワインはジュブレシャンベルタンの雄ルネ ブーヴィエらしい骨太な作りで、ワインの名前と中身のギャップがもの凄い。
緊急事態宣言が解かれて、ワインと共にゆっくり味わえるようになったことに感謝!
マスタケとトキイロヒラタケのフリチュール
フォアグラと伊予美人のテリーヌ トリュフソース
キノコのブイヨンスープ(天然ナメコ、アミタケ、ムキタケ、ヤマブシタケ他)
愛媛 姫っこ地鶏とキノコのグリエ ガルムソース
山形産ヤマブドウのソルベ
2018 ブルゴーニュ モントル キュ /ルネ ブーヴィエ
2021/10/30 更新
2021/09 訪問
天然舞茸登場。キノコシーズン到来。
キノコが最もにぎやかなシーズンの到来です。
前菜:オオモンハタとハナビラタケのカルパッチョ 実山椒のドレッシング
珍しい鹿児島産のオオモンハタ。ハタ系の魚の中では小型にあたるらしい。ハタなんで、とりあえず高級魚という認識しかない。もっちりした歯ごたえの中にハタらしい旨味のある魚。
温菜:タマゴタケのリゾット
この季節しか食べられないタマゴタケのリゾット。タマゴタケはその煮汁もタマゴ色なんていうトリビア、世の中のどれだけの人が知っているのか。キノコの旨味と帆立の旨味が溶け込んだ贅沢なリゾット。
サイトディッシュ:キノコのソテー
この季節ならではの一皿で、オーダーしない理由がない。天然舞茸、ハタケシメジ、アラゲキクラゲ、イタリア産ポルチーニ、オオイチョウタケ、ヤナギマツタケ、タマゴタケ、オオモミダケ。夏のタマゴタケと秋の舞茸がソテーで同時に味わえる一瞬の機会。火入れと塩加減が絶妙で、それぞれキノコの旨味の違いが分かるのが贅沢でした。舞茸とタマゴタケとポルチーニの旨味の質って全然違うのですよ。
主菜:仔羊背肉とキノコのロースト グリーンオリーブとアンチョビのソース
羊肉で最も高級とされる背肉の火入れは完璧で、ジュダニョーにオリーブを加えたソースは白いアイオリと共にちょっぴり南仏の雰囲気。アニョーにジュのソースは定番だけど、そればかりじゃ面白くないからね。タマシロノタケのローストは肉並みに分厚くてジューシーでした。
ちなみにこの店のガス入りミネラルウォーターは、ルーマニアのアクア カルパティカ。ヨーロッパ最後の秘境と言われるカルパティア山脈の原生林を水源とする硬度1005の硬水です。
オオモンハタとハナビラタケのカルパッチョ
タマゴタケのリゾット
キノコのソテー(天然舞茸、ハタケシメジ、アラゲキクラゲ、イタリア産ポルチーニ、オオイチョウタケ、ヤナギマツタケ、タマゴタケ)
仔羊背肉とキノコのロースト グリーンオリーブのアンチョビのソース
Aコースメニュー
Bコースメニュー。この日は他にタマゴタケのリゾットとヒグマの赤ワイン煮込みがありました。
2021/09/20 更新
2021/07 訪問
アスパラダケと夏向けフレンチ
夏バテ気味の身体に、フレンチで喝を入れに行ってみました。
前菜:香川県産アスパラダケのポシェ 山形紅花卵のポーチドエッグと北海道シャルキュトリ赤石の生ハム添え 愛媛産レモンドレッシング
夏の暑さで伸び切らないアスパラガスを、香川ではアスパラダケとして売り出しています。タケノコのような形状ですが、伸び切らなかった分の栄養が凝縮されていて味が濃い。スタミナ回復のアスパラギン酸がいっぱい入っていそうです。栄養豊富な卵も疲労回復に良し。レモンドレッシングでさっぱりいただけました。
主菜:今治藤本氏の鮮魚のポワレ ラヴィゴットソース ハナビラタケのグリエ添え
この日の魚はマナガツオ。前回と同じ魚でしたが、ソースは変わってさっぱりとしたラヴィゴットソース。しかも、ケッパーとアンチョビと香味野菜をピュレにしたものを、表面にたっぷりと塗っていただきました。これこれ、こういうのが食べたかったんですよ。夏バテ気味の身体に染み入りました。
アラカルト2皿でしたが、食から活力を得るって大事だなぁ、と思わせるディナーでした。
香川県産アスパラダケのポシェ 山形紅花卵のポーチドエッグと北海道シャルキュトリ赤石の生ハム添え 愛媛産レモンドレッシング
今治藤本氏のマナガツオ ケッパーとアンチョビを効かせたラヴィゴットソース ハナビラタケのグリエ添え
2021/08/05 更新
2021/07 訪問
夏のスペシャリテ 鮎と夏トリュフのムース
7月に入り、鮎と夏トリュフのムースの付け合わせがメロンから桃に変わりました。
アミューズ:エノキとコンテチーズのキッシュ
アミューズでは久しぶり。テイクアウトで食べることもできますが、店で食べると黒胡麻ソースが付いて来ます。
前菜:鮎と夏トリュフのムース ミントで和えた桃を添えて
毎年微妙に出来が違うのですが、今年のは今までで最高傑作ではなかろうか。昨年の鮎は静岡県産でしたが、今年は岐阜県産を使用したせいなのか。溶けたり固まり過ぎたりせず、フワリと滑らかなムース。桃を混ぜると、ワタの苦味を中和してくれます。そして、白桃のニュアンスを持つロワールの白ワインとベストマッチ。これはメロンとは違う楽しみ方だなぁ。
主菜:今治の藤本氏の鮮魚のポワレ 青海苔のソース
曰く、「西海にサケ無く、東海にマナガツオ無し」
流通の発達した今では、沖縄で北海道サーモンを見ることは珍しくないが、関東でマナガツオを見るのは未だに和食屋の西京焼くらいではないか。少なくともスーパーや街の魚屋で見かける魚ではない。この店では新鮮なものをカルパッチョで出すこともあるが、やはりマナガツオは焼きが美味しい。適度に水分を含んだ身は焼くとフワッとして口の中でほどけ、銀色の皮はパリッとして香ばしい。そして、この店のスペシャルソースであるベルモットを効かせた青海苔のクリームソース。トロワグロのソーモンオゼイユを意識したというこの料理、ピエール トロワグロは自宅に生い茂るオゼイユを見てインスピレーションを得たというが、日本の魚にはやはり日本の食材を使ったソースが合う。何より海の魚には、同じ海の食材である青海苔が良く合います。
デザート:岡山県産ヤマモモのソルベ
野生のヤマモモを使ったワイルドな味わいのソルベ。さすが岡山はフルーツ王国です。
ワインは、最も鮎ムースに合うと言われる、
2014 Clos de la Couree de Serrant /Nicolas Joly
ニコラ ジョリーのクーレドセラン。シュナンブランとは思えないほどのスケールの大きさ、複雑さ、熟成感は、濃厚なムースやソースに良く合う。そして、熟した白桃のニュアンスは、確かに桃を使った料理にも合いました。ちなみにインポーターであるファインズはデキャント推奨ですが、デキャント前と後で比較試飲したところ、デキャント後の方がやはり香り、味わい共に開いている。澱はあえて取り除かずデキャンターに注ぎ込みました。ピリッとした微発砲はデキャントでは無くならないものの、時間の経過と共に消失しました。温度はやや高め、赤ワインと同じの18度くらいが良いようです。
残念ながら、これを書いている時点で緊急事態宣言が発令されてしまいましたが、酒類提供の再開を待ちたいと思います。
鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた桃を添えて
マナガツオのポワレ 青海苔ソース
エノキダケとコンテチーズのキッシュ
岡山県産ヤマモモのソルベ
2014 クロ ド ラ クーレ ド セラン /ニコラ ジョリー
2021/07/14 更新
2021/06 訪問
夏のスペシャリテ 鮎と夏トリュフのムース
6月の鮎解禁と共に、この店のスペシャリテである鮎とサマートリュフのムースが登場しました。
前菜:鮎とサマートリュフのムース フィレのソテーバジルソース メロンを添えて
鮎の身とワタに骨から取ったフォンを加えてムースにしたこの店のスペシャリテ。フレンチで鮎というと、たいていベニエやエスカベッシュで、ムースはまず見かけない。なぜかというと、鮎に含まれた何らかの成分のせいでなかなか固まらないんだそうです。この店では技術の粋を尽くしてムースに仕立てています(もちろん教えてもらえません)。天然鮎のワタのほろ苦さ、身の旨さが口いっぱいに広がる、世界でここでしか食べられない料理。季節が進めばメロンが桃に変わりますが、個人的には初夏のメロンが香魚のオマージュとしてふさわしいように思います。
付け合わせでカンゾウタケを添えていただきました。どう見てもレバーにしか見えませんが、口に入れると鮮やかな酸味が印象的なキノコで、見た目と味のギャップが楽しい。こちらも初夏ならではの味わいです。
主菜:阿波尾鶏のロースト ガルムソース 秋田ゴールデン舞茸のロースト添え
過去ログを振り返ってみると、この時期は前菜が鮎ムースに、主菜が地鶏のローストというパターンが圧倒的に多い。さっぱりしたものが食べたい季節だからでしょうか。イタリアのガルム(魚醤)を使ったソースの旨味が、阿波尾鶏の旨味に負けていません。ふさわしい食材にふさわしいソースの組み合わせに出会うのは幸せです。秋田のブランド舞茸と、北海道産のグリーンアスパラのローストも美味でした。
鮎ムースには、個性の強い白ワインを合わせたいところです。ニコラジョリーのクレドセランなんて最高ですね。並のブルゴーニュ白だと負けてしまいそうです。
2021/06/26 更新
2021/05 訪問
春のマッシュルームランチ
マッシュルームの春のランチには、春らしい楽しみがあります。
Bコース
前菜:キノコと海老と野菜のフリチュール
春は山菜が多めです。コシアブラ、タラノメ、フキノトウ。おまけにスナックエンドウも。緑多めのフリットは季節を感じさせます。もちろん、椎茸、舞茸、ヤナギマツタケ等のキノコもたっぷり。
魚:メバルのポワレ 青海苔ソース
春告魚とも呼ばれる春のメバルは石川県産。ディナーと違って今治の藤本氏の魚ではないが、充分美味しい。ベルモットを効かせた青海苔のクリームソースとハナビラタケのグリエは、ディナーと同じで贅沢。
主菜:仔羊のトマト煮込み(ナヴァラン)
春野菜を使ったナヴァラン・プランタニエール。春はこれを食べにランチに来ると言っても過言ではない。ナヴァランの語源とされるナヴェ(蕪)はもちろん、新じゃが、筍、空豆。そして、シーズン最後のモリーユ。他にもキノコがふんだんに使われたこの店ならではのナヴァランは、結構肉もたっぷりでボリュームがありました。ナヴァランはAコースでもokなのでおすすめです。
デザート:ホワイトアスパラガスのプリン 抹茶のソース
久々に登場しました。前菜じゃなくてデザートですよ。プリンを口に含めば春らしいアスパラの香りが口いっぱいに広がります。気をてらっているのではなく本当に美味しいです。のっているのはカエルの卵…ではなくてタピオカです。途中で抹茶のソースをかけて味変するのが楽しい。
焼き菓子やパン以外のテイクアウトメニューが出来ました。
エノキ茸とコンテチーズのキッシュ 400円
マッシュルームのムース 1000円/100グラム
これらもおすすめです。
6月の鮎解禁までもう少し。あのスペシャリテが待ち遠しいところです。
2021/05/25 更新
2021/04 訪問
28周年はモリーユと共に
欧州産のみならず、国産のモリーユも入ってきました。ワインリストには、この店では初のツィントウンブレヒトがオンリスト。今月で28周年を迎えてますます意気盛んなはずなのに、まさかの緊急事態宣言発令で酒類の提供禁止。嗚呼…
アミューズ:ポロ葱のテリーヌ レバームース添え
この料理を見て、表参道の某レストランのスペシャリテを思い浮かべる人は何人いるだろうか。本家より酸は抑え気味で、ほのかに葱の風味が香る。テリーヌを崩してレバームースと混ぜて食べると美味。
前菜:マグレ鴨の軽い燻製とローストしたキノコのサラダ 山形紅花卵のポーチドエッグ添え ゴルゴンゾーラのソース
究極の飲兵衛向け前菜。鴨の燻製と炙りキノコを半熟卵に絡めた上で、濃厚なブルーチーズソースで食べるという、ワイン好きにはたまらない一皿。
主菜:阿波尾鶏とモリーユのフリカッセ
モリーユ、日本で言うアミガサダケは、春のキノコの代名詞であり、春山の食材のスターとも言える。そして、最もフリカッセに合うキノコだと思う。なぜなら、キノコの傘の網目がクリームソースとよく絡むから。ソースの中のモリーユはフランス産、上にのったソテーは岡山産とのこと。とりわけ届いたばかりの岡山産モリーユは香りもすこぶる高い。色鮮やかなコシアブラとそのソースの緑が映える。旨味の濃いモリーユと、これまた旨味の濃い阿波尾鶏を使った、この時期だけの贅沢なフリカッセは、28周年記念にふさわしいスペシャルなメインディッシュでした。
デザートは、愛媛松山のレモンを使ったリコッタチーズケーキ 練乳のソルベ添えでした。さっぱりしたデザートで締めるのはいいですね。
ワインは、
2015 Riesling Hunabihr Clos Winsbuhl /Zind Humbrecht
ツィントウンブレヒト所有の単一畑であり、ポテンシャルは特級畑並みとされながら、大人の事情でグランクリュにはなっていないクロヴィンスビュール。ミネラリックな酸と程よい残糖感の調和。柑橘、白い花、若干のペトロ香が複雑さに深みを加える。
2016 Riesling Rangen de Thann Clos Saint Urbain Grand Cru /Zind Humbrecht
ツィントウンブレヒトを代表する畑であるクロサンチュルバン。14ヵ月樽発酵、18ヵ月樽熟成に由来する樽の印象が強い。バニラ香に赤ワイン並みのタンニンは好みの差が出そうだが、他のアルザスワインとは一線を画した存在であるのは確か。比類ない凝縮感。厚みと広がり。
こんな素晴らしいワインが入荷したのに、25日から酒類の提供は禁止だなんて!コロナ禍の終息を心から願わずにはいられません。
阿波尾鶏とモリーユのフリカッセ
マグレ鴨の軽い燻製とローストしたキノコのサラダ 山形紅花卵のポーチドエッグ添え ゴルゴンゾーラソース
ポロ葱のテリーヌ レバームース添え
愛媛松山産レモンを使ったリコッタチーズケーキ 練乳のソルベ添え
2015 リースリング ウナヴィール クロ ヴィンスビュール /ツィントウンブレヒト
2016 リースリング ランゲン ド タン クロ サンチュルバン グランクリュ /ツィント ウンブレヒト
2021/04/24 更新
2021/04 訪問
祝!28周年
1993年4月13日に開店したマッシュルーム。今月で29年目に入りました。
冷前菜:ロワール産ホワイトアスパラのポシェ 山形紅花卵のポーチドエッグと北海道シャルキュトリ赤石の生ハム添え
この季節になるとついオーダーしてしまうホワイトアスパラですが、付け合わせは日々変わっています。この日は春らしくニリンソウが添えられていました。こういう食用花を残す人は多いですが、本当にもったいないと思います。ぜひ食べて季節を感じて欲しいですね。ニセコのシャルキュトリ赤石の原木生ハムはチーズのような風味で、アスパラによく合いました。
温前菜:今治の藤本氏の黒鯛 青海苔ソース
オゼイユソースを原型とした青海苔ソースはこの店のスペシャリテ。玄人の料理人達に人気があるそうです。リースリングに殊のほか良く合ったので、これを主菜にしても良かったかも。
主菜:マグレ鴨胸肉とキノコのロースト 舞茸ソース
舞茸ソースを味わいたくて、久々に鴨のローストをオーダーしてみました。キノコの香りがすこぶる高い。マグレ鴨は他の鴨と比べて歯応えがありますが、鴨特有の鉄っぽさが少なく、肉の味を楽しめていいですね。
デザート:オーストラリア産ジャラの蜂蜜のアイス
2年に1度しか咲かないというジャラの花から採った蜂蜜は、まろやかな甘味で口当たりが良い。貴重な蜂蜜で、一瓶14000円と聞いてぶっ飛びました。
ワインは、
2016 Riesling Roche Calcaire /Zind Humbrecht
90年代から2000年代初頭にワインを勉強していた人達にとって、ツィントウンブレヒトはアルザスワインの中でも別格の存在だった。(最近はフンブレヒトと表記する店が多いのも時代を感じる)
特級畑に隣接する畑のブレンド。抜栓直後はぼやけていたが、時間が経つに連れて酸が立ち、力強さと凝縮感を感じる。手頃で良質なリースリング。
店内で焼き菓子の販売を始めていました。元パテシエだった支配人が丹精込めて焼いています。
パルメザンチーズのサブレ 150円/2枚
塩カカオのサブレ 150円/2枚
オレンジケーキ 300or350円
クグロフ 試作中
サブレはキノコ型で可愛い。特にチーズサブレはワインのアテにもおすすめです。
ホワイトアスパラと生ハムとニリンソウ
藤本さんの黒鯛のポワレ 青海苔ソース
マグレ鴨のロースト 舞茸ソース
ジャラの蜂蜜のアイス。蜂蜜は自分でかけましたw
2016 リースリング ロッシュカルケール /ツィント ウンブレヒト
焼き菓子販売中
クグロフ(試作中)
2021/04/17 更新
2021/03 訪問
モリーユの季節
春ならではのキノコがお目見えしました。
前菜1:ホワイトアスパラのポシェ キジハタのカルパッチョと共に ラヴィゴットソース
アスパラはフランスのロワール地方産です。キジハタのカルパッチョが添えられていました。キジハタは瀬戸内ではアコウと呼ばれ、人気のある魚です。瀬戸内の寿司屋に入ると、大将がアコウを出す時、なんとなく誇らしげに見えます。ラヴィゴットソースで食べるカルパッチョもいいものです。アスパラは愛媛みかん卵の黄身を絡めて食べますが、単純ですけど、卵料理としても秀逸です。
前菜2:愛媛の漁師、藤本氏の天然鮮魚のポワレ
この日の魚はコブダイでした。身が厚く、しっとりとしていて美味。オマールクリームとナメコのブイヤベース仕立てにしていただきましたが、冬の間下処理をして冷凍保存してきた天然ナメコもこれで終了だそうです。
主菜:フランス産ウサギ背肉のロースト マッシュルームソース モリーユのソテートリュフソースを添えて
久しぶりに登場したウサギ背肉のローストです。この店では、中心にマッシュルームのムースを詰めたファルシになっています。ソースも濃厚なマッシュルームソースで、柔らかな背肉を存分に楽しめました。この季節ならではのモリーユ茸を添えてくれたのがありがたい。トリュフソースと共に贅沢な付け合わせでした。
ワインは、
2013 Chassagne Montrachet 1er Cru Les Champs Gains /Dom. Paul Pillot
白ワインの名手、ポール・ピヨ。この店では長らくクロサンジャンを出していたが、1級畑シャンガンのバックヴィンテージものがオンリスト。シャサーニュの1級畑としては酸がやや丸みを帯びているが、熟成の影響というより畑の個性と思われる。樽香はそれほど強くなくエレガント。フローラルな香り、クッキー、蜂蜜のニュアンス。
この4月で28周年になるそうです。コロナ禍のため、残念ながら毎年恒例の周年パーティは無しだそうです。
ウサギ背肉のロースト マッシュルームソース モリーユ茸のソテートリュフソース添え
コブダイのポワレ オマールクリームとナメコのブイヤベース仕立て
ロワール産ホワイトアスパラのポシェ キジハタのカルパッチョ ラヴィゴットソース 愛媛みかん卵のポーチドエッグ添え
2013 シャサーニュモンラッシェ レ シャンガン /ポール ピヨ
2021/04/03 更新
2021/02 訪問
早くもホワイトアスパラガス登場
フランスのロワール地方から極太のホワイトアスパラガスが届いています。
前菜1:愛媛今治、藤本氏の鮮魚とハナビラタケのカルパッチョ
この日はマダコと真鯛でした。冬のマダコは大型になり、3キロ超えると番傘級などと呼ばれますが、旨味が一層濃くなる時期でもあります。コゴミが添えられていて、春が近いことを感じました。
前菜2:ロワール産ホワイトアスパラのポシェ 愛媛みかん卵のポーチドエッグと北海道赤石さんの生ハム添え ラヴィゴットソース
こういうのを見ると、フランス人のアスパラ好きは半端ないな、と思います。一年中食べたいんでしょうね。さっぱりとしたラヴィゴットソースで食べるのも良し、濃厚なみかん卵を絡めて食べるのも良し、塩気のある生ハムと一緒に食べるのも良し。
主菜:オランダ産リドヴォーとキノコのフリカッセ
フランス料理らしい食材であるリドヴォー。たまにしか食べないと味を忘れてしまいそうです。癖が無くて柔らかいが、意外に肉っぽい。ミルクを消化する器官だけあって、クリーム煮が良く合います。キノコと一緒に煮込むとさらに美味しい。
ワインは、
2015 Bourgogne Blanc /Dom. Jean Philippe Fichet
ジャン フィリップ フィシェというと聞きなれないが、あのコシュ デュリの甥と聞くと、旨さ3割増しというミーハーな私。ムルソー村の村名区画外の畑とのことで、実際、少々丸みのあるムルソーっぽい酸を感じる。やや厚みのあるリッチな感じの白ワイン。
3/7までディナータイムは17時半開店、18時にコースのラストオーダー、20時閉店だそうです。開店と同時に入店しましたが、充分楽しめました。
愛媛今治 藤本氏のマダコと真鯛のカルパッチョ
ロワール産ホワイトアスパラのポシェ 愛媛みかん卵のポーチドエッグとシャルキュトリ赤石の生ハム添え
オランダ産リドヴォーとキノコのフリカッセ
2015 ブルゴーニュ ブラン/ジャン フィリップ フィシェ
2021/02/12 更新
2021/01 訪問
牛ひき肉とキノコのアッシェ・パルマンティエ
パルマンティエは、フランスでジャガイモ栽培の普及に尽力した人です。日本でいう青木昆陽みたいな人。青木昆陽はサツマイモだけど。
現代では、青木昆陽は千葉の幕張で神様になっていて、パルマンティエは料理の名前になっています。この辺の扱われ方の違いは、日仏の文化の違いなんでしょうね。
3500円のランチコース。
前菜1:キノコと海老と野菜のフリチュール
舞茸やハタケシメジ等のキノコ、ズッキーニや海老のフリットの盛り合わせ。ほんのりカレー風味。ちょっぴりジャンキーで楽しい。
前菜2:鹿児島産スズキのポワレ
ランチは今治の藤本氏の鮮魚じゃないですが、充分美味しいスズキでした。ソースはシェフのお任せで、この日は天然ナメコを使ったブイヤベース仕立て。ナメコの旨味が濃い。
主菜:牛ひき肉とキノコのアッシェ・パルマンティエ
熱々のポテトグラタン。クミンの香りがエキゾチック。表面のチーズをめくれば、ポテトとひき肉に混じって黒トランペット茸がいっぱいでした。
デザートは、長野産ルバーフのコンポートと生姜のアイスでした。程よい酸味が心地良い。
フリチュール盛り合わせやパルマンティエ等、ランチでしか食べられないカジュアルなフレンチもいいものです。
2021/02/04 更新
2021/01 訪問
えひめの食 応"媛"プロジェクト
愛媛県がレストランを愛媛産の食材で応援するという他県では類を見ないプロジェクトです。
冷菜:マグレ鴨胸肉の軽い燻製と愛媛みかんたまごのポーチドエッグ ブルーチーズソース
愛媛みかんたまごを崩すと、黄身の色はみかん色、というよりポンジュースの色をしてます。これと鴨やグリルしたキノコを絡めて食べるのは、飲兵衛にはたまらないアテです。ゴルゴンゾーラを使ったソースもいい。
温菜:牡蠣とキノコのリゾット
牡蠣は愛媛県産ではないけれど、冬のスペシャリテです。舞茸やタモギタケといった出汁のでる系のキノコと、牡蠣の旨味が溶け込んだ滋味深いリゾット。牡蠣のピュレがいい味出してます。
主菜:愛媛伊予牛とキノコ、野菜のポトフ
ホロホロと柔らかい赤身の伊予牛と、キノコから出たエキスいっぱいのスープが美味。やっぱり冬には暖かいポトフがいいですね。
デザートは、シェフの故郷松山のレモンソルベでした。強烈な酸がかえって心地良い。
ワインは、
2015 l'Etoile Savagnin /Montbourgeau
ジュラ地方のレトワール村で作る、サヴァニャンというマイナーな品種の白ワイン。レトワールのワイン自体が生産量が少なく、フランス国内でも入手困難と言われる。ジュラ独特の産膜酵母を発生させる醸造に由来するナッツのような香りが特徴。産膜酵母といえばシェリー酒だが、酵母菌はレトワール村に自生するもので、スペインのシェリーとは根本的に異なるものだそうな。アタックの酸が印象的だが、時間と共に膨らみや広がりもみせる。ありきたりの白ワインに飽きた人向けのワイン。
コロナ禍で飲食店は厳しい状況ですが、こういう愛媛県の応援の仕方は素敵だと思うのです。
マグレ鴨胸肉の軽い燻製と愛媛みかんたまごのポーチドエッグ ブルーチーズソース
みかんたまごのポーチドエッグをカット
牡蠣とキノコのリゾット
愛媛伊予牛とキノコ、野菜のポトフ
松山レモンのソルベ
2015 レトワール サヴァニャン /モンブルジョー
2021/01/13 更新
2020/12 訪問
12/21-25スペシャルコース
12/21~25のスペシャルコース初日に訪れてみました。
・マッシュルームムース、フォアグラと里芋(伊予美人)のテリーヌ、ジャンボマッシュルームと黒トリュフ
まずは冷菜の盛り合わせ。生のジャンボマッシュルームは手で摘んでムースを塗って食べると美味。フォアグラと里芋のテリーヌは両者の硬さと食感が一緒だという希有なテリーヌ。さらにトリュフの香りがこれから始まるコースの期待を高めます。
・今治産天然鮮魚と天然キノコのマリネ 愛媛産レモンドレッシング
今治の藤本氏の真鯛に、松茸、天然ナメコ、アミタケ、ムキタケのマリネが添えられていました。レモンドレッシングは酸が柔らかく、ワインと料理を絶妙に結びつけてくれました。
・愛媛鬼北町キジ胸肉のコンフィとゴールデン舞茸 干し舞茸のピュレ
鬼北町で育てられたキジ肉を短時間コンフィしたもの。ほんのり桜色したキジ肉は旨味が濃い。秋田のブランド舞茸のローストは香りも高く、干して旨味を凝縮させた舞茸のピュレと共に、旨味の三重奏になりました。
・オマール海老とハナビラタケのリゾット
オマールの身と共に海老ミソのピュレが加わって、濃厚な海老の旨味がしみたリゾットは、赤ワインにもよく合いました。
・燻煙した猪バラ肉の煮込み 牛蒡ソースと黒胡椒ムース
この店の冬のスペシャリテ。冬に備えて肥え太った猪のバラ肉の脂が程よくとろけ、直前にかけられた燻製香がさらに食欲をそそります。猪は鹿児島産と伊豆産とのこと。大地の香りがする牛蒡のソースはもちろん、黒胡椒のムースがフレンチらしさを演出してました。ジビエが苦手な人にもおすすめです。添えられたキノコのシャントレルと黒トランペットが、ソースによく絡んで美味でした。
・愛媛産和栗のモンブラン 和栗アイスと渋皮煮
3つの形の栗のお菓子が一体化したデザート。特に和栗のクリームがふんだんに使われていて贅沢でした。コースの締めにふさわしい。
プティフールは、紅マドンナと白キクラゲのジュレ、紅玉のタタン風フィロ包み、メレンゲとガナッシュチョコのシャンピニオン仕立てでした。最後までキノコなのが、この店らしい。
ワインは、2014 Virginie de Valandraud
ボルドーの赤でコースを通しましたが、ヴィルジニーはガツンとパワフルなタイプではないので、カルパッチョとも問題なく合いました。シャトーヴァランドローのセカンドというより、畑は別の区画でブドウの比率も異なり、実質はまったく別のワインです。新樽100%ですが樽の香りはあくまで上品で、熟成感とは言わないものの程よい落ち着きが見られ、飲み頃と言っていい。とりわけ燻製香の効いた猪とのマリアージュは最高でした。
時短営業中ですが、まだ空席はあるようです。ご予約はお早めに…
マッシュルームムース、フォアグラと里芋(伊予美人)のテリーヌ、ジャンボマッシュルームと黒トリュフ
今治産天然鮮魚(真鯛)と天然キノコマリネ 愛媛産レモンドレッシング
愛媛鬼北町キジ胸肉のコンフィとゴールデン舞茸、干し舞茸のピュレ
オマール海老とハナビラタケのリゾット
燻煙した猪バラ肉の煮込み 牛蒡のソースと黒胡椒ムース
愛媛産和栗のモンブラン 和栗アイスと渋皮煮
プティフール(紅マドンナと白キクラゲのジュレ、タタン風フィロ包み、シャンピニオンガナッシュ)
2014 ヴィルジニー ド ヴァランドロー
2020/12/22 更新
2020/11 訪問
愛媛食材とイタリア産キノコ
国産キノコのシーズンはもう終盤ですが、イタリア産の良質なキノコがまだまだ届いています。ラッキーなことにポルチーニとオーヴォリ(セイヨウタマゴタケ)が届いたばかりでした。
冷前菜:フォアグラと里芋(伊予美人)のテリーヌ レモンドレッシング
長年フレンチを作り続けた本物のフランス料理人の技を目の当たりにしました。フォアグラと里芋の組み合わせなんて、誰が思いつくでしょうか。なんと同じ硬さ、同じ食感なんですよ。ネットリして濃厚な里芋とフォアグラの共演。これはぜひ体験して欲しい逸品。
そして、イタリアから届いたばかりのオーヴォリ。きれいな卵形のキノコ。新鮮なうちなら生で食べることもできる。キュキュッとした食感がなんとも心地良い。
温前菜:今治の漁師 藤本氏のコショウダイのポワレ 青海苔ソース
ミシュラン三つ星トロワグロの名物がソーモンオゼイユ、つまり鮭のソテー オゼイユソース。これをアレンジしたのがこの店の鮮魚のポワレ青海苔ソースです。ベルモットで酸味を効かせたクリームソースで魚を食べる。癖のあるオゼイユの代わりに日本の海苔を使用。神経締めで有名な藤本氏の魚と合わせれば、極上のスペシャリテになります。
キノコのソテー:イタリア産ポルチーニ
形の良いポルチーニが入荷したということで、それだけをソテーしていただきました。香り高く、贅沢でした。
主菜:伊予牛ランプ肉のポワレ セップ(ポルチーニ)ソース
サシの多いイチボよりさっぱりしたランプの方が好みです。伊予牛は噛みしめるほどに旨味がありました。先の皿のポルチーニつながりで、ソースはフランスのセップ茸。
前菜からメインまでシェフの故郷愛媛の食材がてんこ盛りでした。他にもポーチドエッグ等に使う卵が愛媛の"みかん卵"だそうです。近々愛媛食材フェアをやるようです。
デザートはニセコの山ブドウのソルベでした。ワイルドな果実感。
パンが、滅多に焼かないという蕎麦粉のパンでした。茨城県常陸太田産の常陸秋そばを使用した香ばしいパン。これだけでボトル1本ワインを空けられそう。
ワインは、
2017 Chorey les Beaune /Dom. Rollan
ボーヌ近郊のショレイレボーヌ村は、ほとんど傾斜のない平地にある村。平地のピノノワールらしく酸が柔らかいバランス型のブルゴーニュ。程よいタンニンと果実味が心地良い。
ポルチーニ、オーヴォリ、蕎麦粉のパン。たまたま巡り合わせが良かっただけですが、最高のディナーを彩るのにふさわしい食材たちでした。
フォアグラと里芋(伊予美人)のテリーヌ レモンドレッシング オーヴォリ添え
愛媛の漁師 藤本氏のコショウダイのポワレ 青海苔ソース ハナビラタケのグリエ添え
イタリア産ポルチーニ
イタリア産ポルチーニのソテー
伊予牛ランプ肉のポワレ セップ茸(ポルチーニ)ソース
ニセコ産ヤマブドウのソルベ
常陸秋そば粉のパン
2017 ショレイ レ ボーヌ /ドメーヌ ロラン
2020/11/19 更新
2020/10 訪問
キノコの季節真っ盛り!天然舞茸と信州牛
サイドディッシュのキノコソテー。この季節にオーダーしない理由がないです。
アミューズ:キノコのフリチュール
カラカサタケ、トンビマイタケ、サクラシメジ。アミューズから珍しい天然キノコが次々と出てきました。
前菜: マグレ鴨胸肉の軽い燻製と紅花卵のポーチドエッグ ブルーチーズソース
前回非常に美味しかったので再びチョイス。今回のブルーチーズはスティルトンでした。鴨に卵を絡めた上にブルーチーズが加わって、ワインによく合います。キノコはトキイロヒラタケ、ヤナギマツタケ、原木椎茸、ゴールデン舞茸。グリルしたキノコを絡めるのも楽しい。
キノコのソテー:天然舞茸、オオモミダケ、香茸、ハタケシメジ、クロカワ、アカモミタケ、ショウゲンジ。
圧巻なのはやっぱり天然舞茸と香茸で、これが食べられるのは今の時期ならでは。夏キノコのオオモミダケが入るのは珍しい。そして、ほろ苦くて通好みのクロカワ。香ばしいアカモミタケ。お坊さんの形をしたショウゲンジ。贅沢な一皿でした。
主菜:信州牛イチボのポワレ セップ茸と牛蒡のソース
リンゴを食べて育った信州牛はとてもジューシー。セップ茸はともかく、牛蒡は日本人しか食べないはずなのに、しっかりフレンチのソースになっているのはさすがです。牛肉並みにジューシーなタマシロノタケが添えられてらいました。
ワインは、
1999 Savennieres Roche Aux Moines /Dm. Aux Moines
新入荷したロワールの白。20年を経たシュナンブランは初めてでした。見事なまでの黄金色。柔らかな酸、カリン、蜂蜜、若干のペトロ香。熟成による複雑味を感じるが、重厚な感じは無い。これとクレドセランがサヴニエールの双璧と言われますが、ロッシュオーモワンヌの方が熟成具合を差し引いても大人しめでエレガントですね。秋の夜長にじっくりと傾けたいワインでした。
キノコのフリチュール(カラカサタケ、トンビマイタケ、サクラシメジ)
マグレ鴨胸肉の軽い燻製と紅花卵のポーチドエッグ スティルトンソース
キノコのソテー(天然舞茸、オオモミダケ、香茸、ハタケシメジ、クロカワ、アカモミタケ、ショウゲンジ)
信州牛イチボのポワレ セップ茸と牛蒡のソース
1999 サヴニエール ロッシュ オー モワンヌ /ドメーヌ オー モワンヌ
2020/10/18 更新
2020/09 訪問
スッポンスープと熟成ブルゴーニュ
映画「バベットの晩餐会」に出てきたという海亀のスープ。フランス料理としては有名らしいですが、今は世界的な禁漁で、ほとんど食べることはできない。その代わりにスッポンを使うのが、フランス本国でも広まりつつあるらしい。
アミューズ:キノコのフリチュール
定番のトキイロヒラタケとマスタケの他に、蕎麦の実揚げをしたトンビマイタケが出てきました。実際は羽を広げた鳶のように大きく茶色いキノコなのですが、茹でて火を通してから揚げると黒っぽくなります。キノコの種類が増える楽しい季節です。
前菜:マグレ鴨胸肉の軽い燻製と紅花卵のポーチドエッグ ブルーチーズソース
ブルーチーズは日替わりで、この日はペルシェドシェーブル。山羊のミルクで作ったブルーチーズには、好きな人にはたまらないコクと香りがあります。鴨の胸肉を卵にからめて食べるのもいいですね。飲兵衛向けの前菜でした^^
温菜:相模川産天然スッポンとキノコのスープ(+1000円)
スッポンのブイヨンの濃厚な旨味に、シークワッサーの程よい酸味と柔らかなディルの香り。肉と一緒に肝と白子が入っていました。スープを吸ったアミガサダケが素晴らしい。当然、生きたままこの店に届いたのですが、締める様子を聞いても、ここでは到底文字化できない。まぁ、聞かぬが華というやつで…
主菜:比内地鶏とキノコのロースト 赤ワインとフォアグラのソース
2ヶ月前の阿波尾鶏から変わって比内地鶏になりました。さっぱりとした旨味の胸肉に、酸味の効いた赤ワインソースと、濃厚なフォアグラソースが良く合いました。牛や豚肉よりも、鶏こそがフレンチという感じがします。その上、日本の高品質な地鶏をフレンチで食べるのは何より贅沢。キノコは比内地鶏と同じ秋田のゴールド舞茸でした。
デザート:愛媛松山の檸檬のソルベ
目が覚めるほど酸っぱいレモンのソルベ。〆には最高です。おすすめ。
ワインは、
2013 Bourgogne Viellies Vignes /Perrot-Minot
レストランでワインを飲む楽しみは、店で寝かせたワインを飲むことにあると思う。この店で飲んで以来3年半ぶりに再び飲むペロミノの2013ブルゴーニュV.V.。3年半この店のセラーで成長した証としての、エッジの煉瓦色、けぶるような熟成香、滑らかなタンニン。時が経つのは決して無駄ではないのだなぁ、と思わせる1本でした。ACブルとしては高めの値段(ブシャールの2015サヴィニーレボーヌ1級ラヴィエールと同額)ゆえになかなか売れなかったようですが、こういうのこそ狙い目だと思う。残り2本だそうです。
秋の美食としてふさわしいスッポン。この店の新たな名物になるかも?
キノコのフリチュール(左からトキイロヒラタケ、トンビマイタケ、マスタケ)
マグレ鴨胸肉の燻製とキノコのサラダ ポーチドエッグ添え ブルーチーズのソース
相模川産天然スッポンとキノコのスープ
比内地鶏とキノコのロースト 赤ワインとフォアグラのソース
愛媛松山の檸檬のソルベ
2013 ブルゴーニュ ヴィエイユ ヴィーニュ /ペロ ミノ
2020/09/23 更新
2020/08 訪問
アスパラダケと恵比寿風シュニッツェル
メニューにアスパラダケと書いてあると「いくらキノコフレンチの店だからって、アスパラガスを間違えるなんてやーねー」と思いがちだが、実は本当にあるのですよ、アスパラダケ。
ただし、キノコではない。夏の暑さのため、上に伸びきらずに土の中に隠れたアスパラガスのことだそうです。ちょっとタケノコに似てるのでアスパラダケ。
アミューズ:白キクラゲ入り冷製ポタージュ
甘酒のような冷製コーンポタージュの中に、涼やかな白キクラゲが隠れています。夏バテが吹き飛びそう。
冷前菜:アスパラダケと紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの原本生ハム添え
アスパラ王国とうたわれる香川県産のアスパラダケ。ずんぐりした形で、先端だけほのかに緑色。伸びきらなかった分の栄養が甘味として凝縮されてます。ソースは酸味のある赤ワインとエストラゴンのソースで、さっぱりといただけました。コクのある紅花卵とシャルキュトリ赤石の生ハムは相変わらず美味しい。
季節のキノコのソテー:白舞茸、ヤナギマツタケ、チチタケ、オオモミタケ、仏産ピエブルー、佐渡島産アンズタケ、タモギタケ、ハタケシメジ。中央にムラサキヤマドリタケ。
圧巻なのは国産セップのムラサキヤマドリタケで、傘にネットリとした旨味があって香り高い。そして、国産ジロールのアンズタケ。仏産と比べてやや色が薄い。実はジロールはソース用の小さい方が珍重されるのだそうだが、ソテーならこういう大きい方が食べ応えがあって良い。余談ですが、チチタケの隣にモミタケを置かないという暗黙のルールがあるらしいのですが、今回は並んでました。説明中にどうにも笑ってしまう客がいるんだそうで…やーねー
主菜:和牛のウィンナーシュニッツェル
とある常連客のリクエストで作ったというウィンナーシュニッツェル。出てきた皿を見て、絶句、驚愕、なんじゃこりゃあ!叩いて薄く伸ばした宮崎牛にパン粉をまぶして揚げるように焼いたシュニッツェル。さっぱり食べられるようにソースはヴィネガーを使ったラヴィゴット。そして、度肝を抜くのが一面に敷かれた生のジャンボマッシュルーム。シュニッツェルとは対照的に油分の無いさっぱりしたキノコは、柔らかいシュニッツェルと一緒に食べると絶妙の相性でした。見た目だけでなく、きちんと計算されているのです。
もし、この特製ウィンナーシュニッツェルを食べたい方は、前日までに連絡を。おすすめですよ。
ワインは、
Champagne Tradition Extra Brut /Lelarge Pugeot
ルラージュ プジョーのスタンダードキュベ。ピノムニエ65、ピノノワール25、シャルドネ15。ムニエ主体のクラシカルなシャンパンは、硬質でシャープな酸が印象的。夏にはこのくらいの酸っぱさが心地良い。
2017 Ladoix Le Cloud /Prieure Roch
引く手あまたのプリューレ ロックのラドワがオンリスト。プリューレ ロックらしい甘い香りが印象的。ビオっぽいピュアな酸に、旨味系の味わいが広がっていく。しかし、いつ見ても厨二病的なエチケットです。ゼーレ入ってますね。
夏のキノコとフレンチは元気をくれます。
和牛のウィンナーシュニッツェル
アスパラダケと紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの原本生ハム添え
香川県産アスパラダケ
キノコのソテー(時計回りに秋田白舞茸、ヤナギマツタケ、チチタケ、オオモミタケ、仏産ピエブルー、佐渡島産アンズタケ、タモギタケ、ハタケシメジ、中央にムラサキヤマドリタケ)
白キクラゲ入り冷製コーンポタージュ
瀬戸内産のレモンを使ったレモンケーキ(正式名称を忘れた^^;)
シャンパーニュ トラディション エクストラブリュット /ルラージュ プジョー
2017 ラドワ ル クル /プリューレ ロック
2020/08/16 更新
2020/07 訪問
夏キノコ届きました
「マッシュルーム通信」というお店のメールが届きました。支配人がお店のお知らせ等を不定期に送ってくるのですが、今回の通信は文面から興奮が伝わってきました。
「今年は夏キノコが盛り沢山!夏にキノコを食べずして、いつ食べるのか」という宣伝文句に誘われて、今月2度目の訪問です。
Bコース+キノコのソテー
冷菜:スイカのガスパチョ
白キクラゲが涼やかな甘いガスパチョ。スイカの自然な甘さの裏にピリ辛が隠れています。蒸し暑い季節に体力が付きそう。ムール貝、ツブ貝、ホッキ貝、ヨコスジフエダイといった魚介が入っていて、ワインのアテにもなります。
キノコのソテー
痛恨の写真撮り忘れ。キノコの名前をメモするのに夢中になってしまいました。オオモミダケ、ヤマドリタケモドキ、ヤマドリタケ、シモコシ、ハタケシメジ、ジロール、アイタケ、天然ハナビラタケ。
夏の松茸とも言われるオオモミダケは山岡シェフのお気に入りキノコ。ヤマドリタケとヤマドリタケモドキの食べ比べができるのはこの店ならでは。どちらも味わいや香りの強さに遜色は無く、好みの差だけです。モドキの方が低地の広葉樹に生え、ヤマドリタケがやや高地の針葉樹に生えるため、モドキの方が多く採れて価格が低いらしい。シモコシは霜越と書き、晩秋のキノコなのですが、何故か夏に採れたというもの。アイタケは藍茸と書く緑色のキノコで、写真で見るととんでもない色をしてます。
温菜:タマゴタケのリゾット
少量ながら入荷したとのことで、迷わずオーダーしました。夏キノコの代表格で、煮汁もタマゴ色なので、リゾットにすると真価を発揮する。旨味の濃いキノコだが、テングダケとそっくりなので、素人は手を出しちゃダメなキノコの代表格でもある。もちろん、こちらのキノコは、プロのマタギさんが採ってくる物なので安心です。
主菜:徳島阿波尾鶏のロースト ガルムソース
「マダムがいたら胸肉をゆずれ」という言葉があるそうで、フランスでは腿肉より胸肉の方が好まれます。日本で腿肉の方が好まれるのは、唐揚げのせいだと思う。阿波尾鶏の胸肉は、ブレス鶏と比べても遜色のないほど旨味が濃く、ガルム(魚醤)を使ったソースとよく合いました。
ワインは、
2012 Bourgogne Rouge /Gerard Mugneret
ヴォーヌロマネ村のミュニュレ一族に名を連ねるジェラール ミュニュレ。日本ではマイナーな作り手だが、質の高いワインを作っている。畑の詳細は不明だが、硬質な酸はオーコートドニュイの村を連想させる。手頃なワインだが、程よい熟成感があって飲み頃でした。
まさしく夏キノコ本番。楽しい季節が来ました。
2020/07/22 更新
2020/07 訪問
夏のフレンチとドイツワイン
「まあ…フランスでドイツワインを注文するとは、なんて命知らずなんでしょ!!」
新谷かおる作「エリア88」の一場面。
実際のフレンチレストランで、ドイツワインをオーダーして怒られることは無い。むしろ、夏のフレンチにはさっぱりとしたドイツワインがおすすめです。この夏、マッシュルームにも3種類がオンリストしています。
アミューズ:マスタケとトキイロヒラタケのフリチュール
もう何度となく食べたマスタケですが、本当に不思議なキノコです。火を通すと鶏のササミのような食感になる。大きくなると硬くなるので、若い内じゃないとダメなのだそうです。
前菜:ホワイトアスパラガスと紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの原木生ハム添え
今春コロナ禍で食べられなかった人たちのために、ホワイトアスパラがオンリストしています。春のドイツの市場はどこに行ってもホワイトアスパラが山積みでした。シンプルに茹でて、ハムの塩味と共に食べるのが本場流。シャルキュトリ赤石の生ハムなら最高の組み合わせ。
メイン:鹿児島純正黒豚ロースのポワレ エノキと黒胡麻のソース
白ワインに合わせてメインは豚肉をチョイス。Aコースのメインではもっともボリュームのある皿になります。真っ白なエノキソースはこの店のスペシャルソースで、癖のないソースだと思っていたのですが、改めて食べてみると、エノキダケのふんわりとした独特の風味があって実にいい。黒胡麻ソースの色と味わいのコントラストもいい。
デザート:鹿児島のオーガニックグレープフルーツ果汁を加えたフロマージュブランのソルベ
新作ソルベはチーズとグレープフルーツのソルベ。ネーミングが長い(笑)。ほんのり苦味が大人の味。夏のコースはさっぱりとしたソルベで締めるのがおすすめです。
ワインは、ドイツワイン3本開け(爆)
2018 Riesling Venture /Breuer+Mehrlein+Lunden
ラインガウを代表する若手3人、ゲオルグ ブロイヤーの当主テレーザ、醸造長のマルクス、ブドウの産地エストリッヒ村のルンデン氏によるジョイントベンチャー。その名もリースリング ベンチャーで、そのまんまのネーミング(笑)。キレのある辛口だが、しっかりした糖に支えられた、コストパフォーマンスの高いワイン。
2014 Spätburgunder Rose /Georg Breuer
シュペートブルグンダーはピノノワールのことで、皮を除いて醸造するブランドノワールと同じ作りだが、最後に1%だけピノノワールの赤ワインを加えてロゼにしている。ピンクの色合いはもとより、これがほのかな甘みとボディを形成しているような気がする。「ピンクの方がかわいいじゃない!」という当主テレーザの意向でロゼにしたとのことだが、大当たりだと思う。
2006 Oestricher Lenchen Riesling Spatlese /Peter Jakob Kuhn
約14年を経た熟成リースリング。ペーター ヤコブ キューンというマイナーな作り手だが、質の高いシュペトレーゼで、本当に綺麗に熟成しています。アルコール度数は8.5%と低いので、蒸し暑い夏でも飲み疲れることがなく、じんわりと身に染みていくようでした。
夏のフレンチとドイツワイン。おすすめです。
薩摩純正黒豚ロース肉のポワレ エノキソース
ホワイトアスパラガスと紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの原木生ハム添え
マスタケとトキイロヒラタケのフリチュール
鹿児島産グレープフルーツとフロマージュブランのソルベ
2018 リースリングベンチャー
2014 シュペートブルグンダー ロゼ /ゲオルグ ブロイヤー
2006 エストリッヒ レンヒェン リースリング シュペトレーゼ /ペーター ヤコブ キューン
2020/07/09 更新
冬のスペシャリテである猪バラ肉の煮込みが始まりました。
アミューズは、マスタケとトキイロヒラタケのフリチュール。かんずりのソースはそれほど辛くないので、たっぷりつけるのが好き。
冷前菜:フォアグラと伊予美人のテリーヌ トリュフソース
前回と同じオーダーですが、2ヶ月半を経てバージョンアップしており、ジャラハニーの蜂蜜がかけられていました。まるでフォアグラとソーテルヌの組み合わせのようで、これは良い!
温前菜:天然鮮魚のポワレ 青海苔のソース ハナビラタケのロースト添え
この店で半年ぶりに食べる鮮魚のポワレ。この日の魚は、今治は藤本氏の神経締めのスズキ。フランス料理でスズキは重要魚種で、地方によって様々な呼び方があり、日本のように出世魚でもあるが、ルー ド メール(海の狼)の呼び名が一番格好いい。白身で肉が締まっていて小骨が少なく、古代ローマ時代から好んで食べられていたそうな。青海苔ソースはベルモットのおかげで赤ワインとの相性も良い。
主菜:軽く燻製をかけた猪バラ肉の煮込み 牛蒡とフォアグラのソース 黒胡椒のムースを添えて
今年の猪は岡山産。臭みは全く無く、直前にかけた燻製の香りが芳しい。猪肉と牛蒡の相性がとても良い。別皿で添えられる黒胡椒のムースで食べるとまた違った味わいになり、ボリューミーな料理を最後まで飽きずに食べられました。ジビエが苦手な人にもおすすめです。ちなみに添えられたキノコは黒トランペット。
デザート:フランス産ノイチゴのソルベ
最後はソルベでさっぱりと締めました。
ワインは、
2018 Cambolle-Musigny Orveaux des Bussieres /Perrot-Minot
ペロミノのシャンボールミュジニー。オルヴォー デ ビュシェールと名付けられているが、1級畑のラコンブドルヴォーと、格なし畑のビュシェールほか色々な畑のブレンドらしい。ビュシェールは実に樹齢100年の区画のものだそうで、ペロミノらしい複雑さを感じる。シャンボール村らしい繊細な酸が印象的。
最近、村名ワインやACブルゴーニュにさえ別名を付けるのが流行りだけど、そうやって付加価値を高める風潮は、飲み手としてあまり望ましくないことだと思うなぁ。
残念ながら、これを書いている時点でまん防が発令されてしまいましたが、せっかく始まった猪煮込みを、多くの人が楽しまれるのを願ってやみません。