72回
2020/04 訪問
27周年ーまた逢う日まで
緊急事態宣言を受けて5月6日まで休業。こんな形で27周年を迎えるとは…とても残念です。
しばしの別れの昼餐に、車で訪れてみました。近隣で最も安い駐車場が200円/15分…さすが恵比寿です。高い。ちなみに店のはす向かいの駐車場は400円/15分で、とてもじゃないけど止められない。
・秋田産舞茸のポタージュ
栽培物の中でもトップクラスの品質を誇る秋田十條きのこ園の舞茸を使った濃厚なポタージュ。舞茸の香りが口いっぱいに広がりました。
・豚肩ロースのポアレ スパイスソース
スパイスソースはランチのみ使われるソース。スターアニスの甘い香りが印象的。筍、菜の花といった春野菜の他に、この季節ならではのモリーユ茸を添えていただきました。ありがたい。
・紅玉のタタン風フィロ包み タヒチのバニラビーンズを使ったアイス添え
タルトタタンの中身をパートフィロに包んでパリパリに焼いた焼き菓子。結構ずっしりしたボリュームがありました。
きっとまた逢えることを約束して退店。
2020/06/07 更新
2020/03 訪問
ナヴァランの洋菜
「ナヴァロンの要塞」をDVDを借りて観ました。半世紀以上前の映画とは思えないほどの出来栄えで、手に汗握りました。
久々に2500円(税サ別)のランチコースを。
・砂肝のコンフィ 紅花卵のポーチドエッグ添え
砂肝のコンフィよりキノコが目立ってます(笑) トキイロヒラタケ、ヤナギマツタケ、ハタケシメジ、原木椎茸。キノコとコンフィを、山形の山田ガーデンファーム謹製紅花卵の濃厚な黄身に絡めつつ食べるのは贅沢。
・仔羊と野菜の煮込み(ナヴァラン)
ナヴァランの語源は諸説あるようですが、最も有力なのが蕪(ナヴェ)に由来する説だそうで、ナヴァロンの要塞は関係が無い。蕪と共にキノコが入っているのがこの店らしい。春野菜を使ったナヴァランのことを特にナヴァラン・プランタニエールと呼ぶそうで、これも季節の料理なのですね。仔羊肉は柔らかく、重層なフォンが溶け込んだスープが絶品で、これがランチタイムしか食べられないというのが残念。
デザートは、胡桃をふんだんに使った香ばしいケーキと、濃厚なキャラメルアイスでした。
ワインは、
2017 Chablis 1er cru Vaillons /William Fevre
下手なシャブリはボディが細く、強い酸ばかり際だって飲み疲れしてしまうが、1級畑のヴァイヨンは適度にボディがあり、蜂蜜のニュアンスも加わって、飲んでいて楽しい。
来月13日で27周年だそうです。
2020/03/26 更新
2020/03 訪問
猪の煮込み登場。春の牡蠣とホワイトアスパラも。
冬の寒さを過ごして、ようやく脂がのった猪のスペシャリテが登場しました。
・仏産ホワイトアスパラ 北海道シャルキュトリ赤石の生ハムと紅花卵のポーチドエッグ添え
春を告げる食材であるホワイトアスパラ。激動の世の中にあっても、自然は季節の移ろいを人に教えてくれます。こういう事を見失わずにいたいものです。
・牡蠣とキノコのリゾット
春になると、山の養分をたくさん含んだ雪解け水が河口に流れ、牡蠣は産卵に備えて栄養を蓄えようとします。牡蠣はこの時期からグリコーゲンが一層高まるそうです。大粒の牡蠣2個に牡蠣のピュレ、さらにジロール茸を贅沢に使ったこの店ならではのリゾットでした。
・岡山産猪バラ肉の煮込み 軽く燻製をかけて 牛蒡のソース 黒胡椒のムース添え
2月半ばになってようやく登場したこの店のスペシャリテ。猪はバラ肉が一番旨い所で、バラ肉は煮込みが一番良い食べ方だと思う。大地の香りのする牛蒡のソースが、猪肉に本当に良く合う。歯応えのあるタマシロノタケも旨い。
・ショコラドゥーブル
チョコのスポンジケーキとムースが二層(ドゥーブル)になっています。ヴァローナチョコレートのファンは必食のデザート。
ワインは、
2013 Cornas /August Clape
コルナスを代表する作り手であるオーギュスト クラープ。コートロティやエルミタージュに並ぶ地位にコルナスを押し上げたのは、彼の存在なくしては語れない。太い骨格でスケールの大きなワインでありながら、驚くほど滑らかなタンニン。2013はようやくこなれて来た感じがあって、飲み頃に差しかかっています。
来月で27周年だそうです。凄いことです。
岡山産猪バラ肉の煮込み 軽く燻製をかけて 牛蒡のソース 黒胡椒のムース添え
牡蠣とキノコのリゾット
仏産ホワイトアスパラ 北海道シャルキュトリ赤石の生ハムと紅花卵のポーチドエッグ添え
ショコラドゥーブル
2013 コルナス /オーギュスト クラープ
2020/03/10 更新
2020/02 訪問
pot-au-feu !
寒い冬にこそ食べたいポトフ。旬の走りのホワイトアスパラも出始めました。
・フランス産ホワイトアスパラガス シャルキュトリ赤石の生ハムと紅花卵のポーチドエッグ添え
アスパラはまだ小指程度の太さですが、春の到来を告げているようで、思わず顔がほころびます。生ハムは貴重な北海道のシャルキュトリ赤石のもので、チーズのような風味がありました。紅花卵の半熟ポーチドエッグはコクがあり、アスパラと絡めて食べれば言うことなし。
・和牛とキノコのポトフ
仙台和牛赤身の脂の少ないところをじっくり煮込んであります。肉とキノコと野菜の旨味が溶け込んだスープが絶品でした。メインがポトフで追加料金1000円?と一瞬ためらうかもしれませんが、食べれば納得。満足しました。
・とちおとめのソルベ
新作デザートはとちおとめのソルベ。さっぱりとした締めくくりにふさわしい。
ワインは、
2006 Vire Clesse Cuvee Levroutee /Dm. de la Bongran
良い貴腐菌がついた年のみに造られ、10年に2、3回しか造られない希少なキュヴェ ルヴルテ。2006年はボングラン史上屈指の出来栄えであり、ルヴルテがリリースされています。花やハーブ、胡椒の香りに蜂蜜、バタースコッチのニュアンスが加わる複雑な味わい。下手なコートドールの白ワインが太刀打ちできない、マコネーの最高傑作。
ちなみに、猪のバラ肉煮込みがようやくオンリストしています。近いうちにもう一度来なければ!
和牛とキノコのポトフ
仙台和牛とキノコのポトフ
仏産ホワイトアスパラ 北海道シャルキュトリ赤石の生ハムと紅花卵のポーチドエッグ添え
とちおとめのソルベ
2006 ヴィレクレッセ キュベ ルヴルテ /ドメーヌ ド ラ ボングラン
2020/02/29 更新
2020/01 訪問
のざき牛登場
和牛のポワレ セップソースはこの店のスペシャリテですが、今冬、鹿児島の「のざき牛」が入荷しています。のざき牛は、日本で初めて個人名を冠したブランド牛です。個人名の牛というと宮崎の尾崎牛が有名ですが、響きが似てますね^^; 牛に敬意を払い、「牛さん」と呼んで大切に育てられた牛肉は、他の和牛とは一線を画しています。
・フォアグラプリン マッシュルームのポタージュとトリュフのクーリ
濃厚な味わいの一皿です。フォアグラはもちろんですが、マッシュルームとトリュフの2色のソースもまた濃厚な旨さがあります。最初から赤ワインで行きたい人向けの前菜。
・のざき牛のポワレ セップ茸のソース バルサミコのクーリ
赤身のもも肉ですが、サシがやや多め。と言ってもしつこさはなく、柔らかく旨味のある肉です。セップソースも合いますが、バルサミコのクーリがさっぱりと食べさせてくれました。ソースと共に添えられたフランス産セップ茸のソテーも贅沢です。
・岡山産桑の実のソルベ
新作ソルベは桑の実です。ちょっぴりワイルドな酸味。
ワインは、
2013 Ch. Beau-Sejour Becot
この店のワインリストにはニューワールドがほとんどなく、ブルゴーニュでも比較的新樽を使わない作り手がオンリストしているが、ボーセジュールベコは新樽100%。そのせいか、メルロー主体のサンテミリオンのワインにしてはかなりタニック。荒々しささえ感じるが、さりとて下品ではない。ボルドーのグランヴァンらしい1本でした。
この店の冬のスペシャリテである猪バラ肉の煮込みは、まだオンリストしていませんでした。まだシェフの眼鏡にかなう脂のノリではないらしいです。
2020/01/21 更新
2019/12 訪問
晩秋のスペシャリテ、和栗ソース。
キノコシーズンは終盤ですが、メニューには蝦夷鹿や青首鴨等のジビエがオンリストする季節になりました。しかし、この季節の楽しみは別にもあります。
アミューズ:フリチュール カンズリのソース
カミナリイカとトキイロヒラタケ、そしてこの時期には珍しい天然フキノトウのフリチュール。白神山地からだそうです。
静岡産くぬぎ鱒のコンフィ 木の芽ソース
新メニューの鱒のコンフィです。くぬぎ鱒は富士山麓で薬を一切使わずに養殖した鱒だそうで、しっとりとした身と燻製の香りが印象的。
今治藤本氏の鮮魚のポワレ 青海苔ソース
温前菜は色々あるのに、ついオーダーしてしまう鮮魚のポワレ。この日は大好きな太刀魚。青海苔ソースは山岡シェフのスペシャルソースの一つですが、以前この店を訪れた時、アルザスで料理人をやっているというフランス人の客が、しつこくレシピを聞いていたのを見たことがあります。ベルモットの香りと海苔の香りの相乗効果が素晴らしい。
イタリア産仔牛フィレ肉のポワレ 和栗ソース
淡白で柔らかい仔牛肉が、この時期ならではの和栗ソースをまとえば極上の一皿になります。ほんのり甘い、季節を感じさせるソースです。フランス産セップ茸が添えられていてさらに贅沢。
ワインは、
2014 Chassagne Montrachet Clos Saint Jean /Paul Pillot
ポール ピヨのクロ サン ジャンは、白ワインにもかかわらずタンニンを感じます。魚介から仔牛肉まで相性はばっちりでした。
猪の煮込みはまだオンリストしていませんでした。例年通り、年明けからのようです。
イタリア産仔牛フィレ肉のポワレ 和栗ソース
太刀魚のポワレ 青海苔ソース ハナビラタケのグリエ添え
静岡産くぬぎ鱒のコンフィ 木の芽ソース
カミナリイカ、白神山地の天然フキノトウ、トキイロヒラタケのフリチュール
2019/12/14 更新
2019/08 訪問
夏にさっぱり魚介とキノコ
残暑が厳しい季節には、肉ではなく魚介のコースが食べたくなるものです。加えて夏キノコも。
・マナガツオとタコのカルパッチョ ハナビラタケ添え 実山椒のドレッシング
「西海にサケ無く、東海にマナガツオ無し」という言葉があるほどマナガツオは西を代表する魚ですが、流通の発達により、昔は東京では食べられなかった生のマナガツオを食べることができます。それでも珍しいことには変わりないので、鮮魚のカルパッチョでこれが出てきた日は当たりだと思う。瀬戸内の蛸も、身が締まっていて美味。
・アカヤマタケとホタテのリゾット
本来ならタマゴタケの時期ですが、今年は猛暑の影響で入荷があまり無いそうで、同じく夏キノコのアカヤマタケでリゾットを作っていただきました。カレーのような色合いですが、すべてアカヤマから出た煮汁です。超贅沢な一皿になりました。
・ヨコスジフエダイのポワレ トマトとケッパーのソース
神経〆で有名な藤本氏の鮮魚は、この日はフエダイ。これも西から南方系のイメージがある魚で、赤い皮目の色合いを残して焼いてあり見た目も美しい。トマトとケッパーのソースがさっぱりと夏向けでgood。
ワインは、
2014 Clos de la Coulee de Serrant /Nicolas Joly
ビオディナミの伝道師と呼ばれるニコラ ジョリーのワイン。彼のワインは「作ったらこうなった」と言わんばかりの、ヴィンテージチャートが当てはまらないワインで、かつては正直あまり美味しくないものもありました。しかし、「究極のシュナンブラン」と言われるほどの傑作を生み出した2004年以降、だいたい安定して旨いワインを作り続けています。それはビオディナミでもなんでもなく、収穫時期を遅らせ、貴腐化したブドウを混ぜるようになったからだとか。2014年はやや大人しめだが、それはクーレドセランとしてであって、通常のロワールの白よりはるかにスケールが大きい。ただ、抜栓直後の酸が厳しいのは相変わらずで、デキャントして1時間は置いておきたいところです。
さっぱり系のフレンチとキノコに白ワイン。猛暑を乗り切る気力が湧いてきました。
マナガツオとタコのカルパッチョ ハナビラタケ添え 実山椒のドレッシング
アカヤマタケとホタテのリゾット
ヨコスジフエダイのポワレ トマトとケッパーのソース
2014 クロ ド ラ クーレ ド セラン /ニコラ ジョリー
2019/08/17 更新
2019/07 訪問
夏にシャロレとローヌワイン
キノコのスペシャルソースによる和牛ステーキはこの店の名物料理でしたが、この夏からシャロレ牛がオンリストしました。フランス原産の、脂肪の少ない赤身肉になります。
・赤鶏さつまレバーとイベリコ豚のパテ
いわゆるパテ ド グランメールですが、肉とレバーにブランド物を使っているという贅沢なパテ。キノコのフリチュールが添えられるのがこの店らしい。
・フランス産シャロレ牛フィレ肉のポワレ マデラ風味の牛蒡ソース
牛蒡ソースは、この店では猪肉にも使っている大地の香り高いソース。香ばしく焼き上げられた牛フィレ肉に良く合いました。サシが少なくて、まさしくフランス人好みの牛肉。
ワインは、
2014 Saint-Joseph Terre d'Encre /Dm. Georges Vernay
ローヌ川を挟んでエルミタージュの対岸にあるのがサンジョセフ。さほど広くもない川幅を越えるだけでワインの値段が3倍に跳ね上がるのを、サンジョセフの住民たちはどんな気持ちで見ているのでしょうか。ジョルジュ ヴェルネはコンドリューで名を馳せた作り手ですが、シラーで作るサンジョセフも非常に高品質です。エルミタージュと比べて若干軽めですが、夏に飲むならその方がいい。
サシの少ないさっぱりとした赤身肉と、軽めのローヌワイン。夏向けのフレンチとしておすすめです。
2019/08/01 更新
2019/06 訪問
鮎と夏トリュフの季節が来ました。
ファンの多い夏のスペシャリテ、鮎と夏トリュフのムースは、今年は6月11日から始まりました。
・鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えたメロンを添えて
トリュフの香り、鮎の旨味、ワタのほろ苦さが渾然一体となって口の中に広がる、唯一無二の料理です。色々な食べ方がありますが、そのままでも、メロンと混ぜても、酸味のあるライ麦パンにのせても良し。季節が進むとメロンが桃に変わりますが、個人的にはメロンの方が好みです。
・赤ピーマンとトマトのガスパチョ 甘エビと鮮魚のタルタル 白キクラゲをのせて
カルパッチョに使っている鮮魚と甘エビのタルタルの周りに、ほんのり辛いガスパチョを流した夏向けの前菜。この日の鮮魚はフエダイで、白キクラゲが涼やかな雰囲気を醸し出していました。
・今治藤本氏のスズキのポワレ ニラバターソース ハナビラタケのグリエ添え
4月に山岡シェフが参加したキッコーマンライブキッチン東京で大好評だった鮮魚のポワレ ニラバターソース。これを再現してもらいました。プリプリのスズキに香り高いバターソースが、暑さで疲れた身と心に活力を注ぎ込む夏向けの一皿になっていました。今後レギュラーメニューとして定着するといいなぁ。
ワインは、
2015 Pouilly-Fuisse Vignes Blanches /Dm. Saumaise Michelin
ビオディナミの作り手ソメーズ ミシュラン。プイィ フュイッセながらピュアな酸に樽香は、シャサーニュ モンラッシェ辺りの白を彷彿とさせる。ただ、温度が高いと樽香が浮き気味になるので、やや冷やし目がいいかも。
山では梅雨の雨でキノコがドッと生える季節です。これからがこの店の真骨頂です。
鮎と夏トリュフのムース フィレのソテー バジルソース ミントとで和えたメロンを添えて
赤ピーマンとトマトのガスパチョ 甘エビと鮮魚のタルタル 白キクラゲをのせて
今治藤本氏のスズキのポワレ ニラバターソース ハナビラタケのグリエ添え
2015 プイィ フュイッセ ヴィーニュ ブランシュ /ソメーズ ミシュラン
2019/06/29 更新
2019/05 訪問
走りの鮎と乳飲み仔羊
静岡県の一部河川では5/20から鮎釣りの解禁です。旬の走りの小さな鮎ですが、楽しみな季節がやってきました。
・天然鮎のコンフィ 木の芽ソース
ワタの味がこれほど豊かな魚って他にあるでしょうか?そして、実のところ身も旨い。この店のスペシャリテである鮎と夏トリュフのムースにするにはちょっと小さい鮎を、今年はコンフィにして出しています。木の芽ソースが初夏らしい香りで心地良い。頭も骨も食べられる濃厚な味わいのコンフィは、リースリングに良く合いました。
2013 Riesling Trocken /Robert Weil
ちょうどグラスで出していたロバート ヴァイルのリースリング。5年を経てもまだまだフレッシュで、相変わらず高品質。
・山菜とキノコのフリチュール
通常メニューにはない、この日の温前菜。コシアブラ、イタドリ、行者ニンニク、シドケ、タラノメ、タケノコ、トキイロヒラタケ、原木シイタケ。ほんのりカレー風味のフリットは、白ワインにも赤ワインにも良く合いました。行者ニンニクは揚げても香りが強いのが驚き。
・ピレネー産乳飲み仔羊のロースト グリーンオリーブとアンチョビ風味のジュと、エストラゴンのソース 舞茸とハナビラタケのグリエ添え
春先に生まれた乳飲み仔羊が出回る季節です。絶妙な火入れで旨味を最大限に引き出された繊細な肉質の仔羊。これもまたフレンチらしい逸品でした。
ボトルで開けたのは、
2008 Cote de Nuits-Villages /Philippe Charlopin Parizot
ブルゴーニュのスター、シャルロパン・パリゾですが、お手ごろ価格のコート ド ニュイ ヴィラージュも作っています。アプリコッティなニュアンスが印象的ですが、10年を経た熟成によって深みが増し、今まさに飲み頃でした。
さて、熱烈なファンの多い鮎と夏トリュフのムースですが、来月早々にはオンリストするそうです。楽しみです。
天然鮎のコンフィ 木の芽ソース
ピレネー産乳飲み仔羊のロースト
山菜とキノコのフリチュール
2008 コート ド ニュイ ヴィラージュ /フィリップ シャルロパン パリゾ
2013 リースリング トロッケン /ロバート ヴァイル
2019/05/29 更新
2019/04 訪問
ホワイトアスパラとTOKYO X
地球征服を企む悪の総裁でも、失敗しない外科医でもなく、遊星から来た物体でもない。ましてや超有名なロックバンドとは何の関係もない。TOKYO X(トウキョウエックス)とは、東京都が生み出したブランド豚のことです。
・ホワイトアスパラと生ハム 紅花卵のポーチドエッグ添え ゴルゴンゾーラソース
残念ながら北海道のシャルキュトリ赤石の生ハムは終了しました。供給が追いつかないらしいです。代わりにハモンセラーノになりましたが、これもまたチーズのような風味で美味しい。アスパラと生ハムを半熟卵の黄身と絡めて食べるのって大好きです。
・TOKYO X ロースのポワレ エノキのソース
全国のブランド豚の多くが脂身の旨さをうたいますが、TOKYO Xはどちらかと言えば肉の旨さを押し出しています。エノキのソースはこの店のスペシャリテで、ほぼ豚肉専用のソースになってますが、程よくサシの入ったロース肉とよく合いました。黒いソースは黒ゴマのソースで、これも豚肉にぴったり。添えられたキノコは、富士山麓で採取され、群馬で栽培に成功したユキワリタケ。 小気味良い歯ごたえが印象的なキノコ。
ワインは、
Champagne Ay Grand Cru Brut Tradition /Gatinois
アイ村の特級畑の葡萄で質の高いシャンパンを作るガティノワ。ピノノワール90、シャルドネ10というが、醸造段階で果皮を浸漬するタイミングでもあったのか、ロゼのような色調をしている。間違ってラベルを貼って出荷してしまったのではないか?と疑ってしまった。ラベルの2018はデゴルジュマンをした年で、ミレジメと誤解されそうだけど、こだわりなのかしら。色々ツッコミ所の多いシャンパンです。
TOKYO X ロースのポワレ エノキのソース
ホワイトアスパラと生ハム 紅花卵のポーチドエッグ添え ゴルゴンゾーラソース
シャンパーニュ グランクリュ ブリュット トラディション /ドメーヌ ガティノワ
2019/04/17 更新
2019/03 訪問
モリーユの季節。ブールデールガロワ メーカーズディナーにて。
この店が不定期に開催しているワイン会に参加してきました。今回はシャンパンメーカーのブールデールガロワで、当主のダヴィド ブールデール氏を迎え、輸入元アオセフランスのアントワーヌさんの解説付きでした。アントワーヌさんもシャンパーニュ地方の生まれで、東京の天ぷら小野でソムリエをしていた経歴があり、日本語が堪能です。
ワイン会の楽しみといえば当然ワインなのですが、それに合わせた通常メニューにはない料理が出るという楽しみもあります。
・レゼルヴ(ピノノワール40、ピノムニエ40、シャルドネ20)熟成4年 ドザージュ無し
・ホワイトアスパラガスと帆立貝 ポーチドエッグ添え ラヴィゴットソース
アプリコットのニュアンス、繊細な泡。畑のあるシャンパーニュ北部は遙か昔に海だった砂地のため、塩のようなミネラルを感じます。そのため、ホワイトアスパラの通常メニューは生ハム添えのところを帆立貝に差し替えてあって、これがとても良く合いました。
・トラディション(ピノムニエ100)熟成4年 ドザージュ無し
・貝、ウニ、天使の海老、白キクラゲ オマールのジュレ仕立て
ブールデールガロワの代名詞的なシャンパン。ピノムニエ100%で、レゼルヴよりもフレッシュ感とミネラル感が強め。これには通常メニューにない魚介のカクテルを合わせました。贅沢です。
・ブラン ド ブラン(シャルドネ100)熟成4年 ドザージュ無し
・天然真鯛の軽いフュメ 柑橘バターソース ハナビラタケのグリエ添え
ピノムニエとは異なる柑橘系の香りと、よりしっかりとした酸があります。有名なシャンパンにはブラン ド ブランが多いため、やはり醸造家として作ってみたくなるようです。それに合わせた柑橘系のソースと、直前に軽く燻製をかけた真鯛とのマリアージュが素晴らしい。魚のフュメは、将来的に通常メニューでも出してもらいたいものです。
・プレスティージュ(ピノノワール40、ピノムニエ20、シャルドネ40)熟成5年 ドザージュ無し
・阿波尾鶏とフレッシュモリーユのフリカッセ
ブールデールガロワの上級キュベ。ドザージュ(甘みの追加)が無いにもかかわらず、蜂蜜のようなニュアンスを感じます。メインはこの季節ならではの生モリーユ(アミガサタケ)と地鶏のクリーム煮でした。シャンパンと合わないわけがない組み合わせ。
・エノキプリン
・ショコラドゥーブルとグラスセップ
デザートは2皿でした。エノキのプリンは奇をてらったものではなく、みじん切りにしたエノキの食感を楽しむという必然的な意味があります。ショコラドゥーブルはスポンジとムースが二層(ドゥーブル)になったケーキ。ヴァローナのチョコがふんだんに使われています。セップ茸のアイスは、これも奇をてらったわけではなく、香りを楽しむデザートです。
すべてシャンパンという贅沢なワイン会でした。次の開催は未定だそうですが、またの企画を期待したいところです。
ホワイトアスパラガスと帆立貝 ポーチドエッグ添え ラヴィゴットソース
貝、ウニ、天使の海老、白キクラゲ オマールのジュレ仕立て
天然真鯛の軽いフュメ 柑橘バターとハナビラタケ
阿波尾鶏とフレッシュモリーユのフリカッセ
エノキプリン
ショコラドゥーブルとグラスセップ
山岡シェフ&ダヴィド ブールデール氏
2019/03/28 更新
2019/03 訪問
早春のアスパラと、絶品イノシシ煮込み
春の訪れを告げる食材のひとつにホワイトアスパラガスがあります。3月に入って一斉にフレンチレストランがこれをメニューに載せ始めましたが、ここマッシュルームの皿はひと味違うのです。
・ホワイトアスパラと北海道赤石さんの原木生ハム 紅花卵のポーチドエッグを添えて ゴルゴンゾーラソース
アスパラとハムは欧州でも定番の組み合わせだが、シャルキュトリ赤石の切りたて生ハムとくれば、それだけでスペシャリテになる。濃厚な半熟卵やゴルゴンゾーラと絡めれば、もう言うことなし!一皿目から赤ワインで行けます!
・今治藤本さんの黒鯛 下仁田ネギソース
近所のレクテも最近使い出した藤本さんの鮮魚。しかし、同郷の山岡シェフはかなり早い段階からこの人の魚を使っている。しっとりとした完璧な火入れに、魚と相性の良いネギのソースが絶妙のハーモニーを奏でます。
・京都丹波産猪バラ肉の煮込み 軽く薫製をかけて 牛蒡のソースと黒胡椒のムース
山岡シェフの冬のスペシャリテ、猪バラ肉の煮込み。ジビエが苦手な私でも、この料理だけは毎年楽しみにしている。古くから野生猪の食肉化に努めてきた丹波はそれだけブランドであり、一番美味しい部位であるバラ肉は結構いい値段がするとのこと。そして、猪なんて一年中獲れそうなものだが、シェフのお眼鏡にかなうのは、脂がのった冬から早春にかけての短い期間のみ。丁寧に日本酒で煮込み、オーダーが入ってから薫製をかけ、大地の風味がある牛蒡のソースによって、極上の一皿になる。黒胡椒のムースが添えられるが、これはパンにつけても美味しい。これだけでワインがすすむ逸品。
ワインは、
2011 Volnay /Henri Boillot
アンリ ボワイヨのヴォルネイは超熟タイプであり、7年を経てもまだまだ堅さを感じる。しかし、ゆるやかに立ち上るブーケと、バランスの良い味わいが、コースを通してもまったく飲み飽きさせない。
来月で26周年だそうです。凄いことです。
京都丹波産猪バラ肉の煮込み 軽く薫製をかけて 牛蒡のソース
今治藤本さんの黒鯛 下仁田ネギソース
ホワイトアスパラガスと北海道赤石さんの原木生ハム 紅花卵のポーチドエッグ添え ゴルゴンゾーラソース
2011 ヴォルネイ /アンリ ボワイヨ
2019/03/16 更新
2019/01 訪問
冬の風物詩、牡蠣と下仁田葱。
キノコのハイシーズンは終わり、栽培もの(といっても普通には買えないもの)が主流になる季節ですが、入れ替わるように冬の風物詩、牡蠣と下仁田葱が登場です。
アミューズ:フキノトウとトキイロヒラタケのフリチュール
新年早々にフキノトウが登場。意表を突かれました。
冷前菜:スペイン産ウサギとニンギョウタケのジュレ寄せ 秋田産兎のレバームース添え サルナシのピュレと香草のソース
冷菜の新作はウサギのジュレ寄せ。癖のないウサギ肉とニンギョウタケの歯触りが楽しいですが、ワインのアテとしてはレバームースの方が飲兵衛的に嬉しい。サルナシのピュレはゼリー寄せに、イタリアンパセリやディルを使った香草のソースはレバームースにそれぞれ合いました。
温前菜:牡蠣とキノコのリゾット
タモギタケは蛍光ペンの黄色のような派手な色合いのキノコですが、鍋にするといい出汁が取れます。これをみじん切りにして、牡蠣と共にリゾットに仕立てているのですが、さらに牡蠣のピュレがかけられて旨味を濃厚にしています。この店ならではのリゾットです。
メイン:愛媛今治 藤本氏が釣ったスズキのポワレ 下仁田葱ソース
人気沸騰、高級レストランに引く手あまたの藤本氏の鮮魚。同じく愛媛出身の山岡シェフの熟練の技によって、最高のポワレに仕上がってます。下仁田葱ソースは、この店の冬のスペシャルソース。ユリ根のピュレと共に白と緑のマーブルを描く皿は、食べる前からワクワクさせてくれます。
・ 長野県富士見町産ルバーブのコンポート 生姜のアイスをのせて
甘いものが苦手な男性に、あるいは酸っぱいものが大好きな女性に人気のデザート。ランチでも出していますが、食事をさっぱりと締めくくれるのがいいですね。
ワインは、
2014 Chassagne-Montrachet Les Caillerets /Jean-Noel Gagnard
カイユレはシャサーニュでも評価の高い1級畑。ジャン ノエル ガニャールのワインは樽香が抑え気味で、香水やバラの香りが立ち上ってエレガント。時間をかけてじっくり飲むべきリッチなシャルドネ。
余談ですが、名物のキノコのソテーが冬になって値下げしています。お得ですよ。
愛媛今治藤本さんのスズキのポワレ 下仁田ネギソース
牡蠣とキノコのリゾット
スペイン産ウサギとニンギョウタケのジュレ寄せ 秋田産ウサギレバーのムース添え サルナシのピュレと香草のソース
長野県富士見町産ルバーブのコンポートと生姜のアイス
2014 シャサーニュモンラッシェ 1級 レ カイユレ /ジャン ノエル ガニャール
2019/01/16 更新
2018/09 訪問
いつ行く?今でしょ!
9月下旬から10月いっぱいが一年でもっとも多様なキノコが並ぶ季節になります。なのに、この日は4テーブル…フレンチ好き、きのこ好きの皆さんに言いたい。この店に今行かずして、いつ行くの?
プリフィクスのコースが基本ですが、きのこ尽くしのコース(2名以上。要予約)の他に、予算に合わせたおまかせコースをオーダーすることもできます。これも2名以上、要予約です。きのこ尽くしと違うのは、皿数が少なくなる分、一皿ごとのポーションが多めになります。
・豆乳のブランマンジェ ペルノー風味
甘くないブランマンジェ。口に含むとペルノーの香りが鼻に抜けていきます。天然ナメコとシャカシメジ添え。シャカシメジは砂が混じらないよう下処理が大変なんだそうです…
・天然舞茸のグリエ 豆乳と赤ワインの2色のソース
おまかせの前菜は、届いたばかりだという天然舞茸のグリエ。味も香りも最高でした。豆乳のソースは、この店のスペシャルソースであるガルムソースの進化版で、2色のソースのコントラストが美しい。
・季節のきのこのソテー
12時の位置からオオモミタケ、ハナイグチ、タマゴタケ、クロカワ、オオツガタケ、ヤマイグチ、アカモミタケ。夏のオオモミタケやタマゴタケから、秋のクロカワ、オオツガタケに切り替わる時期なのだそうです。なかでもオオツガタケはシェフの一番のお気に入りだそうで、旨味、歯ごたえ共に群を抜いています。傘がトロリ、柄がシャキシャキしたイグチ系のきのこもgood!
・宮崎牛ブリスケのポワレ マッシュルーム、トリュフ、セップの3種のソース 国産セップのソテー添え
ブリスケは前脚の内股の部分になります。赤身で噛みしめるほどに旨味がほとばしります。3色のキノコを使ったソースが贅沢の極みでした。国産のセップはヤマドリタケモドキ。ヨーロッパでは区別しませんが、日本のセップはヤマドリタケよりも、ヤマドリタケモドキの方が多いのだそうです。
ワインは、
Champagne Brut Tradition /Bourdaire Gallois
ピノムニエ100%、ノンドサージュ、熟成4年。なんてマニアックなシャンパンなんだ(笑)。ピノムニエとノンドサージュが、作り手であるブールデールガロワのこだわりなんだそうですが、ノンドサのシャンパンにありがちな強烈な酸はない。むしろ熟成感が印象的で、小梅やアプリコットのニュアンスが小気味良い。
今期最高の料理とワインでした。満足です。
宮崎牛ブリスケのポワレ マッシュルームとトリュフとセップの3種のソース 国産セップのソテー添え
きのこのソテー(オオモミタケ、ハナイグチ、タマゴタケ、クロカワ、オオツガタケ、ヤマイグチ、アカモミタケ)
天然舞茸のグリエ 豆乳と赤ワインの2食のソース
豆乳のブランマンジェ
シャンパーニュ ブリュット トラディション /ブールデール ガロワ
2018/09/24 更新
2018/08 訪問
夏の魚介とタマゴタケ
こう暑いとフレンチなんて食べたくなくなる…なんていうことはなく、夏には夏のフレンチの楽しみがあります。特に、この店では夏のキノコであるタマゴタケが毎年の楽しみ。だいたい、8月に入ってから入荷します。
・ハモとハナビラタケのカルパッチョ 実山椒のドレッシング
夏の魚介の代表格とも言えるハモ。ハモと言えば落としにして梅肉につけていただくのが定番ですが、カルパッチョにしても美味しいものです。実山椒の香りがよくマッチしてました。
・タマゴタケとホタテ貝のリゾット
この店の夏のスペシャリテです。リゾットの中にみじん切りにして入っているものも、上に乗っているフリットにしたものも、みんなタマゴタケ。リゾットを染める黄色もタマゴタケの煮汁です。ただし、タマゴタケの名前の由来は、このタマゴ色によるものではなく、幼菌の時に卵の殻のような膜に覆われているからです。旨味の濃いキノコなので、リゾットとの相性は抜群です。
・タチウオのポワレ ケッパーのソース ジロール茸添え
タチウオも夏が旬の魚。支配人が「ソースはお任せでいいですか?」と聞いてくるときは、素直に任せた方が良いのは経験則で知っていること。果たして今日のソースは酸味の効いたケッパーのソースで、脂がのって旨味が濃いタチウオをさっぱりといただけました。夏のフレンチのメインはこうでなきゃいけない。
ワインは、
Champagne 1er Cru Brut /Yves Ruffin
1971年という比較的早い時期からビオロジックを採用しているイヴ ルーファン。いわゆるレコルタンブームから十数年以上が経っても、まだまだ世に知られていない優良な生産者はいるものだと思い知らされました。ドサージュが少なく、キリッとシャープな酸が印象的なシャンパーニュ。夏はこういうシャンパーニュで魚介のコースを食べるのが幸せです。
2018/08/16 更新
2018/06 訪問
今年も来ました。鮎と夏トリュフの季節。
6月になって各地で鮎釣りが解禁になりました。それと共に、この店の夏のスペシャリテである「鮎と夏トリュフのムース」が始まりました。今年も昨年と同じく、静岡県産の天然鮎を使っています。
・天然鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントであえたメロンを添えて
最近ではフレンチレストランでも鮎を扱うことが珍しくなくなりました。エスカベッシュやベニエなどをよく見かけます。しかし、この店の十数年来のスペシャリテである鮎のムースは、いまだに他の店で見たことがありません。何故か?それは、なかなか固まらないのだそうです。鮎の持つ何かの物質が固まるのを阻害するらしいのですが、試行錯誤と技術の粋を尽くして、ムースに仕上げることができたのだそうです。
ムースにすることによって口の中でとろけ、口中に鮎の旨味とワタのほろ苦さと、夏トリュフの香りが渾然一体となって広がります。これが秋のトリュフだと、強すぎてバランスが崩れるのだとか…本当に繊細な料理です。ムースをそのまま食べても良し、酸味のあるライ麦パンに乗せても良し、さらにメロンと混ぜて香魚としてのオマージュを偲ぶも良し…唯一無二の料理を食べに来る価値は、確かにあると言えます。
・姫っこ地鶏とキノコのロースト ガルムソース
先月ブレス鶏を食べましたが、愛媛の地鶏も負けず劣らず美味しい!旨味のある塩味といったガルムソースが、鶏肉の旨味をさらに引き立てています。
ワインは、
2017 ピノグリ /奥尻ワイナリー
リストにまだ載せていないものを出していただきました。奥尻島唯一のワイナリーで作るピノグリは、ほのかに潮のニュアンスを感じます。小梅のような小気味よい酸のある、チャーミングな白ワイン。
2018/06/11 更新
2018/05 訪問
リドヴォーと初夏のキノコ
初夏のキノコのカンゾウタケがお目見えする季節になりました。
・オランダ産ホワイトアスパラガスの温製 オレンジとウニのソース
春先はただのオレンジバターソースでしたが、初夏になってウニが加わりました。これが意外なほどウニ感があって、絶妙のコンビネーションです。確かにウニとオレンジは同じような色してますけど、ここまで合うとは意外な発見でした。
・愛媛今治の藤本さんから届いた天然鮮魚のポワレ
藤本さんの魚は締め方が完璧なので、味わいが格段に違います。サゴシの尾の身でしたが、魚らしい味わいの部位で好み。ソースは通常、青海苔のクリームソースなのですが、メインのフリカッセと重なるので、ブイヤベース仕立てに変更してくれました。この辺りのサービスはさすがです。
・オランダ産リドヴォーとキノコのフリカッセ
リドヴォーとキノコのフリカッセはクラシカルなフランス料理ですが、ここはレストラン マッシュルームなので、ただのキノコは使いません。カンゾウタケはフランス語でランゲ ド ブフ、つまり牛の舌と呼ばれるほど肉肉しい見た目なのですが、味は酸味があってさっぱりしてます。こういう料理を食べると、フランス料理っていいなって思います。
ワインは、
2012 Mercurey Rouge 1er Cru Les Vereys / F. Raquillet
メルキュレの1級畑。2012もようやく熟成感が出てきましたが、それを上回る果実味があり、ピノらしいストラクチャーがはっきりした、素直に好感が持てるワイン。
リドヴォーとキノコのフリカッセ。左がカンゾウタケ、手前が原木椎茸。
サゴシのポワレ ブイヤベース仕立て
ホワイトアスパラガスの温製 オレンジとウニのソース 真鯛のカルパッチョ添え
2012 メルキュレ 1級 レ ヴレ /ドメーヌ フランソワ ラキエ
2018/05/29 更新
2018/03 訪問
春の使者。ホワイトアスパラガス
春の訪れと共に、どこのフレンチレストランも競うようにホワイトアスパラガスをメニューに載せるようになりますが、この店も例外ではありません。
・フランス産ホワイトアスパラガス オレンジバターソース
旬の走りとはいえ、女性の指ほどの太さがあります。爽やかな風味のあるバターソースに、シェフの故郷愛媛産の柑橘と、金目鯛のカルパッチョが添えられた贅沢な一皿。
・キノコのブイヨンスープ
フュメ ド コキーユをベースに、天然ナメコやジロール等キノコの旨味がたっぷり溶け込んだ芳醇なスープ。香草とシークワッサーがいいアクセントになっています。何度も食べていますが、しみじみと美味しい。
・オーストラリア産ドーセット種仔羊背肉のロースト オリーブとアンチョビのソース
メインは久々に仔羊にしました。最高級の背肉を、ジュ(肉汁)をベースにオリーブのピュレとアンチョビを加えたソースでガッツリ食べるのは至福のひと時です。付け合わせは原木椎茸のグリエと、青森の「大鰐温泉モヤシ」でした。350年の伝統があるというモヤシですが、初めて食べました…しかもフレンチレストランで(笑)
バゲットには、稀少な石臼挽き「はるゆたか」全粒粉を使っていて、こんなところも春らしい。
ワインは、
2015 Bourgogne Rouge /Hudelot-Noellat
きれいな酸をバックボーンに、意外なほど肉付きの良さも感じる、村名クラスと言って過言ではないAOCブルゴーニュ。値段も村名クラスだけど…。ユドロ・ノエラのあまりの人気の高さに、2本しか確保出来なかったそうな。その内の1本をいただいて幸せ^^
来月で25周年になるそうです。本当に、奇跡のような店です。
フランス産ホワイトアスパラガス オレンジバターソース 愛媛産柑橘と金目鯛のカルパッチョを添えて
キノコのブイヨンスープ
オーストラリア産ドーセット種仔羊背肉のロースト オリーブとアンチョビのソース
2015 ブルゴーニュ ルージュ /ユドロ・ノエラ
アミューズ:薩摩あか鶏のレバーとイベリコ豚のパテ
ハルユタカ全粒粉パン
2018/03/19 更新
今年も夏のスペシャリテが始まりました。再開して本当に良かった…。さらに6月はボトルワイン10%off実施中です。
・鮎と夏トリュフのムース ミントで和えたメロンを添えて
鮎は山梨から静岡にかけての天然物を使用。これをワタごとムースにするには秘伝の技が必要で、他店では食べることのできない正真正銘のスペシャリテ。初夏のうちはメロンが添えられ、ムースと混ぜることによって、皿の上で香魚として蘇ります。さらにトリュフの香りがフレンチらしい。普通の白ワインでは負けてしまうので、シャンパンか、クレドセランのような濃厚な白ワインと合わせるのがおすすめです。添えられている茶色いのはレバーではなくて、カンゾウタケというキノコです。
・岩手産アイナメのポワレ 青海苔のソース
青海苔のソースは海の香りがするこの店のスペシャルソース。青海苔とベルモットの香りが絶妙のバランスを保っています。ちなみに鮎に似ているので鮎魚女(アイナメ)というのですが、この日の魚だったのは偶然です。
・仔羊背肉のロースト オリーブとジュのソース
シャトー ムートン ロスシルドを持ち込んだので、メインもムートン(羊)にしました。ジューシーな仔羊と熟成したボルドーの完璧なマリアージュ。なお、持ち込み料は1本につき3000円で、さらにワンドリンクオーダー必須です。あと、これはルールではないのですが、良いワインの場合、グラス1杯分ほど店のために残すのがエチケットかな、と思います。
・練乳のソルベ コーヒーのジュレを添えて
新作ソルベは自家製の練乳。卵やクリームを加えてないのに濃厚なコクがありました。
ワインは、
Champagne Blanc de Blanc /Henriot
華やかな印象のあるブラン ド ブラン。アンリオのシャンパンはすべてのクラスでレベルが高いのですが、スタンダードなスーヴェランよりちょっと贅沢したい時におすすめ。
1997 Chateau Mouton Rothschild
ラベルの絵はフランス人画家ニキ ド サンファルによるもの。アタックは強め、滑らかなタンニン。果実味は影を潜め、熟成したブーケ、とりわけチョコレートのニュアンスが印象的。1997年のボルドーはあまり良い年ではなかったが、まだ力強さがあり、今でも飲み頃を保っているのはさすがムートンというべきか。
雌伏の時を経て立ち上がったレストランマッシュルーム。夏キノコのシーズンを迎えて、再スタートを切りました。