69回
2019/12 訪問
訪れる度に、何か新鮮さを感じるリストランテ
高級な食材をふんだんに使って、贅沢な美味しさを表現するのも、もちろんアリだと思います。
ですが、多くの人にとっては、そこまで豪華じゃなくても価値以上の満足を得られることも、幸せじゃないでしょうか。
こちらは、そんな納得と満足を届けてくれるリストランテだと思います。
確かな目利きで厳選された食材と、それらを活かす技術。
シェフの料理をしっかり理解したソムリエがチョイスしたコスパ抜群のワイン。
この日も素晴らしかった。
個人的には、いい意味で野暮ったい印象もあるイタリアンですが、高橋シェフはそんな郷土料理の解釈を残しつつも、スペインなどのモダンな感性を加えて、洗練されたお皿に昇華させます。
この日いただいたお皿たちは、↓の通り。
●ファラレル レンズ豆 パクチー
●カリフラワー ズワイガニ ビーツ
●蕪 フォワグラ 黒トリュフ
●サルシッチャのパスタ 黒トリュフ 生クリーム
●穴熊のカバテッリ
●シャラン産の鴨 小鳩のソース
●苺のドルチェ ピスタチオ
個人的に奥行きに乏しい印象のマコンながら、ふくよかなタイプで合わせたカリフラワー。
長期熟成で違う表情が出てきた甲州を蕪に。
ともに弾力が魅力の穴熊とカバテッリには、ソースのスパイスに合わせてエレガンスのあるシラー。
繊細な肉質が特徴的なシャラン産の鴨と深みのある小鳩のソースには、同じく上品なヴォーヌ・ロマネ。
訪れる度に、何か新鮮さを感じさせてくれるリストランテ。
恵比寿駅から特に近いという訳ではありませんが、少し歩く価値十分のお店です。
2019/12/19 更新
2019/11 訪問
シンプルな食材にも、しっかりと奥行きを与えてくれるリストランテ
晩秋から初冬は、やっぱり美味しい食材が集まりますね。
何を使おうか、料理人の方々にも嬉しい悩みの季節ではないでしょうか。
この日も、そんな素晴らしい食材と、それらを生かした秀逸なお皿たちに満足でした。
●氷見のぶり 金時人参 みかん
●タラの白子 キャベツ
濃厚な白子は、じっくり甘みを引き出したキャベツと。
●玉子の入ったラビオリ 白トリュフ
前回に引き続き、アルバ産の白トリュフです。今回は急遽仕込んだという、玉子が入った大きいラビオリで。
イタリアで修行して、世界一白トリュフを使うというイギリスのレストランでも経験があるシェフでも「2回しか見たことない」というピンクがかった白トリュフ。今回も当たりました!
色合いもより濃くなって、無花果のようですね。
う〜ん…美味しすぎる。
合わせたエリオ・グラッソのバローロがとてもエレガントで、なんとも贅沢な気分。
●牡蠣のパヴェッテ ほうれん草
こちらもシェフの得意料理。ほうれん草をソースにも使っていますが、牡蠣の出汁を合わせたり、ちょっと焦げ目を付けて海藻のような風味を加えたり、シンプルな食材にも奥行きがあって、見事です。
●ホロホロ鳥 にんにく アンチョビ ローズマリー
そしてこのメイン。少し大味な印象だったホロホロ鳥ですが、中がしっとりする絶妙な火入れで、とても繊細なひと皿。メインらしく、比較的しっかりした味付けで。
ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレのヴージョの上品さと抜群に合いますね。
●リンゴのコンポート 濃縮ミルクのソルベ
料理やレストランなんて、結局は個人の好みや相性ですよね。
今年もフラフラと食べ歩きましたけど、個人的には一番の当たりリストランテです!
2019/11/30 更新
2019/11 訪問
秋、いちばんのご馳走「アルバ産白トリュフのタヤリン」
世界中に名産品はたくさんありますが、「どこどこ産の、なになに」と聞いて一番心が躍るのは、もしかすると「アルバ産の白トリュフ」かもしれません。
いつも、どのお皿も裏切られることがない高橋シェフの料理。この日もすべてに満足でしたが、主役は何と言っても「白トリュフのタリオリーニ」!
タリオリーニという細く平打ちのパスタですが、白トリュフの本場アルバがあるピエモンテ州では、「タヤリン」と呼んで、両者をシンプルに絡めて楽しみます。
その本場の醍醐味を、味わわせていただきました。
生ハムのような薄いピンク色掛かるのは、高価な白トリュフの中でも「当たり」だそうで、芳醇過ぎる白ならではの贅沢な香りを存分に愉しみました!
合わせるのはもちろん、同郷のバローロ。
果実味豊なムルソーのシャルドネなどもいいでしょうけど、やっぱり同じ地域のマリアージュは鉄板です。
続くメインは、某グルメドラマでも話題の「鹿肉」。
血抜きが素晴らしいというエゾジカは、嫌な臭みとは無縁で爽やか。その多少の淡白さを、血で粘度を高めたコクのある赤ワインのソースでバランスよく仕上げています。
ドメーヌ・シュヴィヨンのニュイ・サン・ジョルジュV.Vの、少し野趣を残しながらも繊細なアプローチと、素晴らしいマッチングですね。
茸をはじめとした美味しい食材が揃う秋にあって、秋らしい見事な食事を満喫しました。
美味しいものは、やっぱり美味しい!
2019/11/14 更新
2019/10 訪問
もう、安心の領域に到達する信頼感です
この日もそうだったのですが、リピーターのゲストが多く見られたのも当然です。
なにせ居心地がいい。料理とワインが美味しい。
訪問を重ねると、飽きさせないよう、メニューにはない食材も用意してくれている。
初めてのゲストにももちろんしっかりしたサービスですし、上述の通りリピーターにはリピーターなりのちょっとした特別感も演出してくれますけど、決して区別をしている訳ではありません。
私も初めての訪問を経験していますから。
こうしたフレキシビリティも、マンサルヴァの大きな魅力のひとつですね。
この日、ほとんどがお店からのオススメで構成されたお皿たちは↓の通り。
●栗カボチャ
●ポルチーニやいくつかの茸 さつまいもチップス
●ヒメジ エビのムース 白インゲン
●川俣軍鶏とトリュフのタリオリーニ
●ポルチーニのリゾット
●平戸の猪 ロース 胸肉 サルシッチャ
●葡萄とフロマージュ・ブランのデザート
●栗のモンブラン
特に、香り高いタリオリーニと、ポルチーニのリゾットは秀逸。あえて古米を選ぶリゾットに、シェフのこだわりが象徴されていますね。
また、フランスやイタリアでは定番ながら日本では滅多にお目に掛かれないヒメジもご用意いただきました。
エビを餌にしているというこの魚に合わせて、少し甲殻の風味を加えて。
「日本でも食べたいなぁ」と常々思っていたので、幸せでした。
きれいな味わいが特徴という長崎の平戸産の猪もまた、洗練と野趣の間ともいえる味わいで堪能できました。
そしてワインも前回からのカブリなし。
・リゾットのハーブがシャルドネの爽やかさと、ポルチーニの風味が樽香と絶妙にマッチしたマランジェ1erのラ・フュジェール
・いい意味でトゲが削られつつ、サルシッチャに合うスパイシーさも残したドメーヌ・ムートンのコート・ロティ
・デザートでいただいた1998年のシャトー・スデュイロー
これらは特に印象的でしたね。
それなりの頻度でおじゃまして、その都度満足。
シェフからのこだわりを聞けば納得の、信頼感抜群のリストランテです。
2019/10/22 更新
2019/10 訪問
美味しい料理と美味しいワイン。これに勝る幸せはありません
こちらのリストランテの素晴らしさは過去にもレビューした通りなのですが、特に感心するのが、訪問を重ねてもその魅力が薄まらないこと。
食後の膨れたお腹を抱えて店を出る度に、すぐに「また来よう」と思わせてくれるお店は、そうそうありませんね。
いろんなお店を探求したい私が、短期間でこのリピートなので、マイベストイタリアンと言えるかもしれません。
料理、ワイン、サービス、空間、融通が利く使い勝手、価格、すべてに納得です。
コースの用意ももちろんありますが、私はいつも食べたい物だけを食べたい品数でアラカルトです。
気になるパスタが2品あれば、それぞれハーフでも用意してくれますので、欲張りな私には有難い。
●カボチャの春巻き風 ゴルゴンゾーラ
●赤海老 キャビア リンゴ 根セロリピューレ ライム
●フォワグラのムースを包んだ穴子のフリット ジロール茸 黒トリュフ トウモロコシ
●青ナスと秋刀魚のバヴェッテ アンチョビ 胡桃(食い意地張って写真失念)
●ポルチーニと発酵バターのタリアテッレ
●ランド産 家禽の小鳩
●桃 ライチ ヨーグルト
本当に、どれもこれも美味しい!
カリッ、フワッ、トロの穴子のフリットは秋の香りを纏って美味。
シェフ自ら「得意」と話す青魚のパスタは、今回も秀逸。
そして、メニューになかったもののオススメいただいた小鳩の見事なこと!味わい、香り、柔らかさ、ソースが絶品です。感動レベルでした。
お供になるワインも、今回またまた素晴らしい。
・フランチャコルタ コンタディ・コスタルディ
・ケラーライ・テルラン ピノ・ビアンコ
・バルベラ・ダルバ アルベルト・ヴィベルティ
・ヴェネト・ビアンコ コントラ・ソアルダ
・ヴォルネイ コント・アルマン(写真失念)
特に“イル・ペンディオ”という、このヴェネトのガルガネガ種のクオリティには驚きでした。このマイナー品種で、まるでムルソーのようなふくよかさまで感じられて、ポルチーニとバターのパスタにもピッタリ。
自分では絶対に選ばない、こうしたワインとの出会いも外食の醍醐味のひとつですね。
そして、大好物のコント・アルマンも、絶品小鳩との相性良しです。
今回もすっかり堪能させていただきました。
「いい鴨が入る」というタイミングに、また次回はお邪魔しましょう。ご馳走さまでした。
2019/10/05 更新
2019/07 訪問
フレンドリーなスタッフが作る快適な空間と、ハイレベルなお皿に出会えるイタリアン★
少し短期間でお邪魔し過ぎでしょうか。
ですが、コスパを含めてトータルバランスがとても素晴らしい。
このところお邪魔したイタリアンの中でも、トップクラスのクオリティです。
冷温前菜、パスタ、セコンド、ドルチェのそれぞれにバリエーションのあるメニューも飽きさせないポイントですね。
今回いただいたのは、↓な感じです。
全体的に盛り付けも美しい。
●「茄子 生ハムのスプーマ マスカット」…
焦がした茄子の香り、生ハムの塩味、マスカットの甘味が好バランス。生ハムをスプーマで仕立てるなど、アイデアも生かした冷前菜。
夏らしい見た目も爽やか。
●「アーティチョーク 鶏のムース フォワグラ サマートリュフ」…
味自体の主張は控えめながらホクホクとした食感が楽しいアーティチョークに、フォワグラとトリュフのゴールデンコンビ。夏なので、気持ち弱いトリュフの香りは、オイルも補佐役として上手に活用。スペシャリテというだけあって美味。
前回の鮎もいただきましたが、やはり鮎を丸ごと使ったパテとの組み合わせが秀逸。
●「バヴェッテ 鰯 焦がしトマト スカモルツァ」…
これは美味しい。卵黄を使わないというパスタのバヴェッテは、モチモチの食感。燻製したチーズのスカモルツァのいい薫香に、鰯もトマトソースによく合います。
●「ピチ サマートリュフ」…
細めのうどん程度の太さはあるピチ。トリュフと一緒にシンプルに。ダイレクトに伝わる美味しさですね。
●「夏鹿のロティ」…
「脂身が美味しい」と言われたものの、元々さっぱりした味わいが特徴の鹿ではピンと来なかったのですが、これ程旨みがしっかりしているとは意外な発見でした。
●「カカオのデザート」…
甘さと苦味が絶妙の、〆の一品。ペロリです。
今回もワインは料理に合わせてもらいつつ、シャルドネはマコンやムルソー、ピノはニュイ・サン・ジョルジュやジュヴレ・シャンベルタンなど特徴の違いも楽しませていただきました。
気軽に使えて、中身はしっかりしてるリストランテ。
またお邪魔します。
2019/07/09 更新
2019/07 訪問
とても融通が利く、使い勝手のいいリストランテ
前回の印象が良かったので、あまり間隔をおかずに再訪です。
なんとなく、「家の近くにある行きつけのワインバー」みたいな快適さです。
サービスもいい距離感で、フロアマネージャー、ソムリエ、シェフがバランスよく相手していただけるので(もちろん、混雑状況次第です)、一人での利用もオススメできますね。
コースでのオーダーはもちろん、アラカルト、「軽くワインにパスタだけ」みたいでも全然OK。本当にシーンを選ばず使えるので、使い勝手がいいリストランテです。
私は料理の説明をじっくりと聞いて、アラカルトでいただきます。前回から1カ月経っていないように思いますが、メニューも一新されていて、頻回利用でも飽きさせません。
今回いただいたのは、↓の通り。
●「スカンピ ラルド 白いんげんのピューレ」・・・
スカンピは大好物。半生に火を通し、豚の背脂(ラルド)を薄く巻いて旨みをプラス。夏野菜のウイキョウと一緒にいただきます。うまし・・・。
●「鮎 ジャガイモ バジル」・・・
とても夏らしい一皿。おろして焼き上げた鮎の身に、丸ごとを使ってパテにした鮎のほどよい苦みがよく合います。ソース代わりにビシソワーズにしたジャガイモも、涼しさのいい演出になってます。
●「ボロネーズ」・・・
念願のボロネーズ。少し酸が効いたラグーにまろやかなベシャメルがいいですね。パスタのモチっとした食感もよく、満足の一皿。
●「エゾ豚のロース ケッパーの葉」・・・
放牧で飼育に時間が掛かるというエゾ豚。火入れが素晴らしく、きれいなピンク色。脂身がしっかりついていますが、くどさはなく、爽やかなケッパーで意外とさっぱりいただけます。
●「河内晩柑のデザート」
ワインも前回同様、好みと料理に応じていい具合で出していただけます。
フランチャコルタ、リースリング、ヴェルメンティーノ、ガルガネガなどの白品種に、豚にはブルネッロ。
料理、ワイン、サービスいずれも肩ひじ張らずに堪能できるリストランテ。
また、おじゃまします。
2019/07/05 更新
2019/06 訪問
視覚・嗅覚・味覚で美味しい、洗練されたイタリアン
恵比寿ガーデンプレイスから、広尾方面に下った徒歩数分のところに構える「マンサルヴァ」。
これが、なかなかに素晴らしいリストランテでした!
2018年に近隣から移転してきたという店内は、カウンターとテーブル合わせて20席ほど。清潔感溢れる明るい基調で、とても居心地のいい空間です。
半個室も含めて、幅広いシーンで使えそうですね。
遅めの時間なら、軽くワインとおつまみ程度でもOKなようで、私のように一人でも楽しみたい方にオススメです。
アラカルトでいただいたのは、↓な感じ。
●「鰯のコンフィ バジルに牛乳の燻製ソース 鰯のパテ」…
鰯自体ではなく、ソースに使った牛乳を燻製にしたという香り高い一皿。鰯とバジルという、リグーリア州そのものを味わうような爽やかさです。
なにより、見た目も素晴らしい!
●「サフランのフェットチーネ 仔牛のスネ肉」…
実は、某有名グルメ雑誌に掲載された「家庭でも作れる絶品ボロネーゼ」がパスタのお目当てだったのですが、普段は出していない裏メニュー的な存在らしく、残念ながらこの日はありつけず。
ですが!こちらもシェフのスペシャリテのようで、実際に美味。
コクのあるスネ肉に、しっかりサフラン。手打ちならではのモチモチ食感のフェットチーネで、満足です。
●「1440日最長熟成の松坂牛 アスパラソバージュ」…
最長とも言える熟成で、限られた頭数分しか出回らないという貴重な松坂。赤身のきれいな内モモ肉です。
燻したような薫りと程よい噛み応え、もちろん旨味も魅力のメインです。
ピレネー地方に自生するという、付け合わせのアスパラソバージュも、少し粘度のある歯応えがとても楽しい旬野菜。
●「キウイ 青リンゴのソルベ フロマージュブラン モスカートのジュレ」…
爽やか系が好みの私にピッタリのデザート。もう一皿いけます。
ワインも、イタリア・フランス問わずバリエーションも豊富に揃ってる上に、メニュー以外のグラスも好みに応じてバンバン開けてくれます!
ヴーヴ・オリヴィエのシャンパーニュ、テルランのピノ・ビアンコ、シュナン・デュ・ピュイ、ロブレ・モノのヴォルネイ(写真忘れ)などをいただきました。
サービスも素晴らしく、目配りがよく効きます。
雰囲気は快適ですし、これならコスパも悪くないでしょう。
鼻・目・口で楽しめる洗練されたイタリアン。
またお邪魔したいと思います。
2019/06/14 更新
こちらのリストランテの魅力は、さんざんご報告の通り。
この日は、メインの仔羊が素晴らしかった!
言わずと知れた仔羊の名産地、ロゼール。その背肉ですが、柔らかく美しい赤身に、なんと言っても脂が美味しい!
和牛サーロインなどの脂身は、もうさすがにあまり受け付けなくなる年齢ですが、この仔羊は、その脂がいいんです。
コースの最終盤にペロリと行けるのだから、素材と調理が見事。
そして、モチモチ手打ちパスタに白トリュフを掛けた、禁断のカルボナーラも絶品。
真冬にふさわしい、味わいに深みとボリューム感のあるお皿の数々。
今宵も素晴らしいワインと一緒に、心ゆくまで堪能させていただきました!